特許第6688078号(P6688078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688078
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】操作装置及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20200421BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20200421BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-1461(P2016-1461)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-122340(P2017-122340A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】石垣 征樹
(72)【発明者】
【氏名】星野 高志
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−224433(JP,A)
【文献】 特開平11−193562(JP,A)
【文献】 特開平07−158780(JP,A)
【文献】 特開2013−253424(JP,A)
【文献】 特開2014−009492(JP,A)
【文献】 特開2013−249654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/14
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置であって、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部にて外側に突出形成された挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材の全体は薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には内側に突出する張出部が設けられ、
前記第二被取付部に対し前記第二取付部が取付けられており、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部が挟み込まれた状態とされているとともに、
前記第一被取付部に対し前記第一取付部が取付けられており、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物が挟み込まれた状態とされており、
前記挟持部本体部は、前記操作側機構部を内周にて保持し、
前記取付部材は、前記大径部の外周に配置され、前記小径部に至らないように構成されることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置であって、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部にて外側に突出形成された挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材の全体は薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には内側に突出する張出部が設けられ、
前記第二被取付部に対し前記第二取付部が取付けられており、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部が挟み込まれた状態とされているとともに、
前記第一被取付部に対し前記第一取付部が取付けられており、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物が挟み込まれた状態とされており、
前記取付部材の外周に取付けられる筒状の継手部材と、
自身の径方向に弾性変形可能に構成されたCリングとを備え、
前記継手部材は、
前記取付部材の外周に配置されるとともに、自身の外周から内周に貫通する孔部を有する取付用筒部と、
当該取付用筒部よりも他端側に位置し、内周にて前記操作側機構部を保持する保持部とを備え、
前記Cリングは、前記取付用筒部の外周に配置され、常には自身の内周部分が前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出し、
前記取付部材の外周には、前記Cリングの内周部分を配置可能な溝部が形成され、
前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出した前記Cリングの内周部分が、前記溝部に配置されて前記取付部材に係止された状態となることで、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
前記保持部は、
内側に向けて突出するとともに、径方向に弾性変形可能であり、かつ、前記操作側機構部の外周に係止される突出係止部と、
当該突出係止部よりも一端側に位置し、前記操作側機構部の外周に沿って配置される外周支持部とを備え、
前記突出係止部は、前記挟持部材よりも他端側に位置し前記挟持部材の内側に配置されていない一方、前記外周支持部は、前記挟持部材の内側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の操作装置。
【請求項4】
前記取付対象物及び前記取付部材間に位置するとともに、弾性変形可能な環状のシール部材を具備し、
前記大径部における前記第一取付部よりも一端側の外周面には、周方向全域において平滑面状をなす被シール面が設けられ、
前記シール部材は、前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれるとともに、内周面全周が前記被シール面と接触していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記シール部材は、
前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれる基部と、
当該基部の内周から内周側に突出するとともに、前記被シール面に対し締め代を有し、前記被シール面に対し弾性変形した状態で圧接する内側圧接部とを具備し、
前記内側圧接部は、前記被シール面に対する接触面積が、前記被シール面の径方向に沿って前記被シール面に対し前記基部を投影したときの投影面積よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の操作装置。
【請求項6】
筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置の取付方法であって、
前記操作装置は、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部を内周にて保持する筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部において外側に突出する挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材は、薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には、内側に突出する張出部が設けられ、
前記取付部材は、前記大径部の外周に配置され、前記小径部に至らないように構成されており、
前記挟持用突部及び前記連接部間に前記張出部を配置した上で、前記第二被取付部に対し前記第二取付部を取付け、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部を挟み込んだ状態とすることで、前記ガイド部材、前記ガイド被挿通部材及び前記挟持部材が一体化されてなるユニット体を得る一体化工程と、
前記ユニット体を前記貫通孔に挿通するとともに、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付け、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物を挟み込んだ状態とすることで、前記ユニット体及び前記取付部材を前記取付対象物に取付けるユニット体取付工程と、
前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体の前記挟持部本体部により保持された状態とする機構部保持工程と、
前記操作軸の先端部に前記操作ボタンを取付けるボタン取付工程とを含むことを特徴とする操作装置の取付方法。
【請求項7】
筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置の取付方法であって、
前記操作装置は、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部において外側に突出する挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材は、薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には、内側に突出する張出部が設けられ、
前記挟持用突部及び前記連接部間に前記張出部を配置した上で、前記第二被取付部に対し前記第二取付部を取付け、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部を挟み込んだ状態とすることで、前記ガイド部材、前記ガイド被挿通部材及び前記挟持部材が一体化されてなるユニット体を得る一体化工程と、
前記ユニット体を前記貫通孔に挿通するとともに、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付け、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物を挟み込んだ状態とすることで、前記ユニット体及び前記取付部材を前記取付対象物に取付けるユニット体取付工程と、
前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体により間接的に保持された状態とする機構部保持工程と、
前記操作軸の先端部に前記操作ボタンを取付けるボタン取付工程とを含み、
さらに、前記操作装置は、
前記取付部材の外周に取付けられる筒状の継手部材と、
自身の径方向に弾性変形可能に構成されたCリングとを備え、
前記継手部材は、
前記取付部材の外周に配置されるとともに、自身の外周から内周に貫通する孔部を有する取付用筒部と、
当該取付用筒部よりも他端側に位置し、内周にて前記操作側機構部を保持する保持部とを備え、
前記Cリングは、前記取付用筒部の外周に配置され、常には自身の内周部分が前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出するように構成され、
前記取付部材の外周には、前記Cリングの内周部分を配置可能な溝部が形成され、
前記機構部保持工程においては、前記保持部の内周にて前記操作側機構部を保持するとともに、前記取付用筒部の外周に前記Cリングを配置した状態で、前記取付部材よりも他端側から前記継手部材を移動させて、前記取付部材の外周に前記取付用筒部を配置し、前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出した前記Cリングの内周部分を、前記溝部に配置し前記取付部材に係止することで、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられるとともに、前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体により前記継手部材及び前記取付部材を介して間接的に保持された状態とすることを特徴とする操作装置の取付方法。
【請求項8】
前記保持部は、
内側に向けて突出するとともに、径方向に弾性変形可能であり、かつ、前記操作側機構部の外周に係止される突出係止部と、
当該突出係止部よりも一端側に位置し、前記操作側機構部の外周に沿って配置される外周支持部とを備え、
前記機構部保持工程においては、前記突出係止部が前記挟持部材よりも他端側に位置し前記挟持部材の内側に配置されない一方、前記外周支持部が前記挟持部材の内側に配置された状態で、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられることを特徴とする請求項に記載の操作装置の取付方法。
【請求項9】
前記操作装置は、前記取付対象物及び前記取付部材間に位置するとともに、弾性変形可能な環状のシール部材を具備するとともに、
前記大径部における前記第一取付部よりも一端側の外周面には、周方向全域において平滑面状をなす被シール面が設けられ、
前記ユニット体取付工程においては、前記取付対象物及び前記取付部材間に前記シール部材が配置された状態で、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付けることにより、前記取付対象物及び前記取付部材で前記シール部材を挟み込みつつ、前記シール部材の内周面を前記被シール面と接触させた状態とすることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の操作装置の取付方法。
【請求項10】
前記シール部材は、
前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれる基部と、
当該基部の内周から内周側に突出するとともに、前記被シール面に対し締め代を有し、前記被シール面に対し弾性変形した状態で圧接する内側圧接部とを具備し、
前記内側圧接部は、前記被シール面に対する接触面積が、前記被シール面の径方向に沿って前記被シール面に対し前記基部を投影したときの投影面積よりも小さくなるように構成され、
前記ユニット体取付工程においては、前記被シール面に対し前記内側圧接部を圧接させた上で、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付けることを特徴とする請求項に記載の操作装置の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に設けられた栓蓋を操作するための操作装置及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栓蓋を遠隔操作し、排水口を開閉させるための操作装置として、往復移動可能な操作ボタンを用いたものが知られている。このような操作装置としては、操作ボタンと、操作ボタンを往復移動可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、所定の槽体(例えば、浴槽や洗面器など)やその近傍の構造物である取付対象物に取付けられるとともに、操作ボタンの外周において操作ボタンの移動をガイドするガイド部材と、ガイド部材の外周に螺合される筒状の取付部材とを備えたものが提案されている。
【0003】
また、ガイド部材は、自身の一端側に設けられた外周側に突出する鍔部と取付部材との間で前記取付対象物を挟み込むことにより、前記取付対象物に対して取付けられる。より詳しくは、ガイド部材の外周には雄ねじ部が形成されるとともに、取付部材の内周には前記雄ねじ部を螺合可能な雌ねじ部が形成されている。そして、取付対象物に設けられた貫通孔にガイド部材を挿通するとともに、前記貫通孔とほぼ同軸となるように取付対象物の裏側に取付部材を配置した上で、当該取付部材を回転させる。これにより、取付部材の雌ねじ部にガイド部材の雄ねじ部が螺合され、鍔部と取付部材との間で取付対象物が挟み込まれる。その結果、ガイド部材が取付対象物に取付けられる。
【0004】
ところで、一般に鍔部は、強度等を考慮して厚肉に形成されるため、鍔部の外周に水が溜まりやすく、汚れが付きやすい。そこで近年では、鍔部に相当する部分を金属板からなる金属板製フランジにより構成することで、鍔部を薄肉とし、外観品質や清掃性の向上を図るとともに、外観品質をさらに高める技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。当該技術において、前記ガイド部材に相当する部分は、外周に雄ねじ部を有するガイド筒体に対し前記金属板製フランジが固定されることで構成されている。また、前記ガイド筒体に対する前記金属板製フランジの固定は、金属板製フランジに設けられた掛穴に、ガイド筒体に設けられた爪部を係止することで行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−172512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術では、ガイド部材を得るにあたっては、ガイド筒体や金属製板フランジに固定用の構造(掛穴や爪部)を設ける必要があり、また、製造工程においては、両者を固定するための工程(例えば、組立工程やインサート成形工程など)を設ける必要がある。そのため、製造コストの増大や生産性の低下を招いてしまうおそれがある。
【0007】
さらに、ガイド筒体に対して金属製板フランジを強固に固定することは容易ではなく、部品(ガイド部材)の耐久性を十分に確保することができないおそれがある。万が一耐久性が不十分であると、例えば、取付部材の雌ねじ部に対してガイド部材の雄ねじ部を螺合する際に、ガイド筒体から金属製板フランジが脱落してしまい、装置(ガイド部材)の破損を招いてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストの低減、生産性の向上、及び、部品の耐久性向上等をより確実に図ることができる操作装置及びその取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置であって、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部にて外側に突出形成された挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材の全体は薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には内側に突出する張出部が設けられ、
前記第二被取付部に対し前記第二取付部が取付けられており、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部が挟み込まれた状態とされているとともに、
前記第一被取付部に対し前記第一取付部が取付けられており、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物が挟み込まれた状態とされており、
前記挟持部本体部は、前記操作側機構部を内周にて保持し、
前記取付部材は、前記大径部の外周に配置され、前記小径部に至らないように構成されることを特徴とする操作装置。
【0011】
尚、「薄肉」とあるのは、例えば、厚さが1.5mm以下であることを意味する。また、「高剛性材料」としては、ステンレスや真鍮などの金属、PPSなどの樹脂材料、及び、セラミック材料等を挙げることができる。
【0012】
上記手段1によれば、ガイド部材の全体は薄肉の高剛性材料により形成されているため、鍔部についても薄肉とすることができる。従って、外観品質や清掃性の向上を図ることができる。
【0013】
また、上記手段1によれば、ガイド部材はその全体が薄肉の高剛性材料からなるため、鍔部に相当する部位を別体とした場合に必要となる、鍔部に相当する部位とその他の部位とを固定するための構造や、両者を固定するための工程は不要となる。そのため、製造コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0014】
さらに、上記手段1によれば、鍔部に相当する部位を別体とした場合に懸念される、部品(ガイド部材)の耐久性低下といった事態は生じることなく、ガイド部材において十分な耐久性をより確実に確保することができる。
【0015】
加えて、上記手段1によれば、ガイド被挿通部材(第二被取付部)に挟持部材(第二取付部)を取付け、ガイド被挿通部材(連接部)及び挟持部材(挟持用突部)によってガイド部材の張出部を挟み込むことで、ガイド被挿通部材等に対しガイド部材が固定されている。従って、ガイド被挿通部材等に対しガイド部材を強固かつ安定した状態で固定することができ、装置の耐久性向上をより図ることができる。また、ガイド被挿通部材(第二被取付部)に対し挟持部材(第二取付部)を取付けるという簡易な手法で固定することができるため、生産性の一層の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、上記手段1によれば、鍔部と取付部材との間に取付対象物を配置した状態で、取付部材(第一被取付部)にガイド被挿通部材(第一取付部)を取付けるという比較的簡便な手法によって、取付対象物に対しガイド部材、ガイド被挿通部材、挟持部材及び取付部材を取付けることができる。従って、良好な取付作業性を得ることができる。
【0017】
手段2.筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置であって、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部にて外側に突出形成された挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材の全体は薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には内側に突出する張出部が設けられ、
前記第二被取付部に対し前記第二取付部が取付けられており、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部が挟み込まれた状態とされているとともに、
前記第一被取付部に対し前記第一取付部が取付けられており、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物が挟み込まれた状態とされており、
前記取付部材の外周に取付けられる筒状の継手部材と、
自身の径方向に弾性変形可能に構成されたCリングとを備え、
前記継手部材は、
前記取付部材の外周に配置されるとともに、自身の外周から内周に貫通する孔部を有する取付用筒部と、
当該取付用筒部よりも他端側に位置し、内周にて前記操作側機構部を保持する保持部とを備え、
前記Cリングは、前記取付用筒部の外周に配置され、常には自身の内周部分が前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出し、
前記取付部材の外周には、前記Cリングの内周部分を配置可能な溝部が形成され、
前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出した前記Cリングの内周部分が、前記溝部に配置されて前記取付部材に係止された状態となることで、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられていることを特徴とする操作装置。
【0018】
上記手段によれば、Cリングを径方向外側に弾性変形させた状態で取付部材の外周に取付用筒部が配置され、その上で、Cリングの弾性変形が解除され、溝部へとCリングの内周部分が配置されることで、取付部材に対し継手部材を取付けることができる。すなわち、Cリングの弾性変形を利用することで、取付部材に対し継手部材を容易に取付けることができる。これにより、継手部材に保持された操作側機構部をより容易に配設することができ、取付作業性の更なる向上を図ることができる。
【0019】
また、ガイド被挿通部材の外周に配置される取付部材は比較的大径となるため、Cリングも比較的大径なものとなる。従って、Cリングにおいて、許容される(破損が生じない範囲での)径方向に沿った弾性変形量を比較的大きなものとすることができ、結果的に、Cリングを径方向に弾性変形しやすいものとすることができる。これにより、常には取付用筒部の内周からのCリングの突出量を十分に大きなものとしつつ、取付部材に対する継手部材の取付時には、溝部に対しCリングを容易に配置することができる。その結果、良好な取付作業性を維持しつつ、取付部材に対するCリングの係止代を十分に確保することが可能となり、継手部材やこれに保持された操作側機構部の取付安定性を高めることができる。
【0020】
手段.前記保持部は、
内側に向けて突出するとともに、径方向に弾性変形可能であり、かつ、前記操作側機構部の外周に係止される突出係止部と、
当該突出係止部よりも一端側に位置し、前記操作側機構部の外周に沿って配置される外周支持部とを備え、
前記突出係止部は、前記挟持部材よりも他端側に位置し前記挟持部材の内側に配置されていない一方、前記外周支持部は、前記挟持部材の内側に配置されていることを特徴とする手段に記載の操作装置。
【0021】
上記手段によれば、外周支持部は挟持部材の内側まで延びているため、操作側機構部のより一端側の部位を外周支持部によって保持することができる。これにより、操作側機構部や操作ボタンをより安定した状態で配設することができる。
【0022】
また、突出係止部は、挟持部材の内側に配置されないように構成されているため、保持部のうち突出係止部が存在する部位や突出係止部よりも他端側に位置する部位を比較的厚肉にすることができる。従って、保持部によって操作側機構部を保持すべく、突出係止部を弾性変形させた場合など、保持部に対し負荷が加わったときに、保持部において過度の変形や破損が生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、装置の破損を効果的に抑制することができる。
【0023】
手段.前記取付対象物及び前記取付部材間に位置するとともに、弾性変形可能な環状のシール部材を具備し、
前記大径部における前記第一取付部よりも一端側の外周面には、周方向全域において平滑面状をなす被シール面が設けられ、
前記シール部材は、前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれるとともに、内周面全周が前記被シール面と接触していることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の操作装置。
【0024】
上記手段によれば、取付対象物及び取付部材によってシール部材が挟み込まれるため、取付対象物の背面とシール部材の上面との間を水密にシールすることができる。また、シール部材の内周面全周がガイド被挿通部材の外周に設けられた平滑面状の被シール面に接触しているため、シール部材の内周面とガイド被挿通部材(大径部)の外周面との間を水密にシールすることができる。従って、鍔部及び取付対象物間を通ったり、蒸気等の状態でガイド部材及びガイド被挿通部材間を上がってきたりすることなどにより、取付対象物(貫通孔を形成する部分)とガイド被挿通部材(大径部)の外周面との間から水が浸入した場合であっても、浸入した水が外部に漏出してしまうことをより確実に防止できる。
【0025】
手段.前記シール部材は、
前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれる基部と、
当該基部の内周から内周側に突出するとともに、前記被シール面に対し締め代を有し、前記被シール面に対し弾性変形した状態で圧接する内側圧接部とを具備し、
前記内側圧接部は、前記被シール面に対する接触面積が、前記被シール面の径方向に沿って前記被シール面に対し前記基部を投影したときの投影面積よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする手段に記載の操作装置。
【0026】
尚、「内側圧接部」としては、例えば、内周側に向けて凸の突起部や、内周側に向けて徐々に薄くなる台形部、基部よりも薄肉に形成された矩形部などを1又は複数設けてなるものを挙げることができる。また、「基部」は、取付対象物及び取付部材により直接挟み込まれていてもよいし、所定の部材を介して両者により間接的に挟み込まれていてもよい。
【0027】
上記手段によれば、被シール面に対する内側圧接部の接触圧力を大きくすることができ、シール部材とガイド被挿通部材(大径部)との間をより水密にシールすることができる。これにより、取付対象物(貫通孔を形成する部分)とガイド被挿通部材(大径部)の外周面との間から水が浸入した場合であっても、浸入した水の漏出防止をより効果的に図ることができる。
【0028】
また、内側圧接部は、被シール面に対し締め代を有するため、取付対象物に対し操作装置を取付ける際に、シール部材の弾性力のみを利用して、被シール面の外周に対し、シール部材を安定した状態で装着することができる。従って、取付作業をより容易なものとすることができ、一層良好な取付作業性を得ることができる。
【0029】
手段6.筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置の取付方法であって、
前記操作装置は、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部を内周にて保持する筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部において外側に突出する挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材は、薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には、内側に突出する張出部が設けられ、
前記取付部材は、前記大径部の外周に配置され、前記小径部に至らないように構成されており、
前記挟持用突部及び前記連接部間に前記張出部を配置した上で、前記第二被取付部に対し前記第二取付部を取付け、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部を挟み込んだ状態とすることで、前記ガイド部材、前記ガイド被挿通部材及び前記挟持部材が一体化されてなるユニット体を得る一体化工程と、
前記ユニット体を前記貫通孔に挿通するとともに、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付け、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物を挟み込んだ状態とすることで、前記ユニット体及び前記取付部材を前記取付対象物に取付けるユニット体取付工程と、
前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体の前記挟持部本体部により保持された状態とする機構部保持工程と、
前記操作軸の先端部に前記操作ボタンを取付けるボタン取付工程とを含むことを特徴とする操作装置の取付方法。
【0030】
上記手段6によれば、取付けられた操作装置において、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0031】
また、上記手段6によれば、ガイド部材、ガイド被挿通部材及び挟持部材を一体のユニット体とした上で、取付部材(第一被取付部)に対しガイド被挿通部材(第一取付部)を取付けることにより、ユニット体等を取付対象物に取付けることができる。従って、取付作業性をより一層向上させることができる。
【0032】
手段7.筒状のガイド本体部、及び、当該ガイド本体部の一端部において外側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を有し、前記ガイド本体部が前記取付対象物の貫通孔に挿通された筒状のガイド部材と、
前記ガイド本体部の内周に配置された操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド本体部の軸方向に変位可能な状態で支持する操作軸を有してなる操作側機構部と、
前記操作ボタンの変位による駆動力を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材とを備える操作装置の取付方法であって、
前記操作装置は、
内周に所定の第一被取付部を有してなる環状の取付部材と、
前記ガイド本体部の外周に配置される筒状の大径部、少なくとも自身の内径が前記大径部の内径よりも小さい筒状をなす小径部、並びに、前記大径部の内周面及び前記小径部の内周面を連接する段差状の連接部を有するとともに、前記大径部の外周に所定の第一取付部が形成され、かつ、前記小径部の内周に所定の第二被取付部が形成されてなるガイド被挿通部材と、
前記操作側機構部が内側に配置される筒状の挟持部本体部、及び、当該挟持部本体部の一端部において外側に突出する挟持用突部を有するとともに、前記挟持部本体部の外周に所定の第二取付部が形成されてなる挟持部材とを具備し、
前記ガイド部材は、薄肉の高剛性材料からなるとともに、前記ガイド部材の他端部には、内側に突出する張出部が設けられ、
前記挟持用突部及び前記連接部間に前記張出部を配置した上で、前記第二被取付部に対し前記第二取付部を取付け、前記挟持用突部及び前記連接部により前記張出部を挟み込んだ状態とすることで、前記ガイド部材、前記ガイド被挿通部材及び前記挟持部材が一体化されてなるユニット体を得る一体化工程と、
前記ユニット体を前記貫通孔に挿通するとともに、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付け、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物を挟み込んだ状態とすることで、前記ユニット体及び前記取付部材を前記取付対象物に取付けるユニット体取付工程と、
前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体により間接的に保持された状態とする機構部保持工程と、
前記操作軸の先端部に前記操作ボタンを取付けるボタン取付工程とを含み、
さらに、前記操作装置は、
前記取付部材の外周に取付けられる筒状の継手部材と、
自身の径方向に弾性変形可能に構成されたCリングとを備え、
前記継手部材は、
前記取付部材の外周に配置されるとともに、自身の外周から内周に貫通する孔部を有する取付用筒部と、
当該取付用筒部よりも他端側に位置し、内周にて前記操作側機構部を保持する保持部とを備え、
前記Cリングは、前記取付用筒部の外周に配置され、常には自身の内周部分が前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出するように構成され、
前記取付部材の外周には、前記Cリングの内周部分を配置可能な溝部が形成され、
前記機構部保持工程においては、前記保持部の内周にて前記操作側機構部を保持するとともに、前記取付用筒部の外周に前記Cリングを配置した状態で、前記取付部材よりも他端側から前記継手部材を移動させて、前記取付部材の外周に前記取付用筒部を配置し、前記孔部を通って前記取付用筒部の内周から突出した前記Cリングの内周部分を、前記溝部に配置し前記取付部材に係止することで、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられるとともに、前記操作側機構部を、前記ユニット体における前記挟持部本体部の内周に挿通しつつ、前記ユニット体により前記継手部材及び前記取付部材を介して間接的に保持された状態とすることを特徴とする操作装置の取付方法。
【0033】
上記手段によれば、上記手段と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、Cリングの弾性変形を利用することで、取付部材に対し継手部材を容易に取付けることができ、ひいては継手部材に保持された操作側機構部をより容易に配設することができ、取付作業性の更なる向上を図ることができる。
【0034】
手段.前記保持部は、
内側に向けて突出するとともに、径方向に弾性変形可能であり、かつ、前記操作側機構部の外周に係止される突出係止部と、
当該突出係止部よりも一端側に位置し、前記操作側機構部の外周に沿って配置される外周支持部とを備え、
前記機構部保持工程においては、前記突出係止部が前記挟持部材よりも他端側に位置し前記挟持部材の内側に配置されない一方、前記外周支持部が前記挟持部材の内側に配置された状態で、前記取付部材に対し前記継手部材が取付けられることを特徴とする手段に記載の操作装置の取付方法。
【0035】
上記手段によれば、上記手段と同様の作用効果が奏される操作装置を、取付対象物に対し容易に取付ることができる。
【0036】
手段.前記操作装置は、前記取付対象物及び前記取付部材間に位置するとともに、弾性変形可能な環状のシール部材を具備するとともに、
前記大径部における前記第一取付部よりも一端側の外周面には、周方向全域において平滑面状をなす被シール面が設けられ、
前記ユニット体取付工程においては、前記取付対象物及び前記取付部材間に前記シール部材が配置された状態で、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付けることにより、前記取付対象物及び前記取付部材で前記シール部材を挟み込みつつ、前記シール部材の内周面を前記被シール面と接触させた状態とすることを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の操作装置の取付方法。
【0037】
上記手段によれば、上記手段と同様の作用効果が奏される操作装置を、取付対象物に対し容易に取付ることができる。
【0038】
手段10.前記シール部材は、
前記取付対象物及び前記取付部材で挟み込まれる基部と、
当該基部の内周から内周側に突出するとともに、前記被シール面に対し締め代を有し、前記被シール面に対し弾性変形した状態で圧接する内側圧接部とを具備し、
前記内側圧接部は、前記被シール面に対する接触面積が、前記被シール面の径方向に沿って前記被シール面に対し前記基部を投影したときの投影面積よりも小さくなるように構成され、
前記ユニット体取付工程においては、前記被シール面に対し前記内側圧接部を圧接させた上で、前記第一被取付部に前記第一取付部を取付けることを特徴とする手段に記載の操作装置の取付方法。
【0039】
上記手段10によれば、上記手段と同様の作用効果が奏される操作装置を、取付対象物に対し容易に取付ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1実施形態における操作装置の一部破断正面図である。
図2】被シール面に対する基部の投影面積と、被シール面に対する内側圧接部の接触面積とを示すための拡大展開模式図である。
図3】第2実施形態における操作装置の一部破断正面図である。
図4】別の実施形態におけるシール部材の構成を示す断面図である。
図5】別の実施形態におけるシール部材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、操作装置1は、取付対象物としての浴槽100に取り付けられており、ガイド部材2、ガイド被挿通部材3、挟持部材としてのナット部材4、取付部材5、操作側機構部6、操作ボタン7及び伝達部材8を備えている。尚、浴槽100は、その貯水空間を形成する側壁部(図示せず)と、当該側壁部の上端から水平方向に延びるフランジ部101とを備え、当該フランジ部101に対しその板厚方向に貫通する貫通孔102が形成された構成となっている。
【0042】
ガイド部材2は、筒状をなし、その全体が薄肉(例えば、1.5mm以下)の高剛性材料(例えば、ステンレスや真鍮等の金属など)により形成されている。また、ガイド部材2は、円筒状のガイド本体部21を備えている。ガイド本体部21は、その中心軸方向に沿って一定の内径を有しており、自身の内周に配置される操作ボタン7の移動をガイドする役割を有する。
【0043】
さらに、ガイド部材2は、ガイド本体部21の一端部において外側に突出形成された環状の鍔部22と、ガイド本体部21の他端部において内側に突出形成された環状の張出部23とを備えている。尚、以下においては、基本的に、図中の上側を一端側とし、図中の下側を他端側として説明する。
【0044】
鍔部22は、浴槽100(フランジ部101)の表面に載置された状態となっており、取付部材5との間で浴槽100(フランジ部101)等を挟み込むことで、ガイド部材2等を浴槽100へと取付けるために用いられるものである。張出部23は、ガイド被挿通部材3及びナット部材4により挟み込まれることで、ガイド部材2をこれら部材3,4と一体とするために用いられる。
【0045】
ガイド被挿通部材3は、例えば樹脂等により筒状に形成されており、その一端側から他端側に向けて、大径部31、連接部32及び小径部33をこの順序で備えている。
【0046】
大径部31は、円筒状をなしており、この内周にガイド本体部21が挿通された状態となっている。また、大径部31の外周には、ガイド被挿通部材3等を浴槽100へと取付けるために用いられる、第一取付部としての第一雄ねじ部31Aが形成されている。さらに、本実施形態において、大径部31の一端部は鍔部22の背面近傍まで延びている。そして、大径部31のうち、その一端部と前記第一雄ねじ部31Aとの間に位置する外周面は、周方向全域において平滑面状をなす被シール面31Bとなっている。
【0047】
連接部32は、大径部31の内周面と小径部33の内周面とを連接する部位であり、段差状をなしている。
【0048】
小径部33は、少なくとも自身の内径が大径部31の内径よりも小さくなるように構成された部位である。また、小径部33の内周には、ガイド部材2やガイド被挿通部材3等を一体とするために用いられる、第二被取付部としての第二雌ねじ部33Aが形成されている。
【0049】
ナット部材4は、自身の内周にて操作側機構部6を保持しつつ、ガイド被挿通部材3の内周に取付けられるものである。ナット部材4は、筒状をなす挟持部本体部としてのナット本体部41と、当該ナット本体部41の一端部から外側に突出形成された挟持用突部42とを備えている。
【0050】
ナット本体部41は、自身の弾性変形により、径方向に沿って移動可能な突起部41Aと、段差状の被載置部41Bとを内周に備えている。そして、ナット本体部41は、突起部41Aが操作側機構部6の後述する係止用凹部62Aに配置され、かつ、被載置部41Bに対し操作側機構部6が載置された状態となることによって、操作側機構部6を、上方への移動を規制しつつ、落下不能な状態で保持している。
【0051】
さらに、ナット本体部41のうち、突起部41Aよりも他端側の外周面には、ガイド被挿通部材3への取付用の第二取付部としての第二雄ねじ部41Cが形成されている。
【0052】
挟持用突部42は、鍔状をなしており、連接部32との間で張出部23を挟み込むために用いられる。本実施形態では、大径部31の内周にガイド部材2(ガイド本体部21及び張出部23)を挿通するとともに、ガイド部材2(ガイド本体部21)の内周にナット部材4を挿通した上で、第二雌ねじ部33Aに対し第二雄ねじ部41Cを螺合し、挟持用突部42及び連接部32により張出部23を挟み込んだ状態とすることによって、ガイド部材2、ガイド被挿通部材3及びナット部材4が一体化された状態となっている。以下においては、一体化されたガイド部材2、ガイド被挿通部材3及びナット部材4をユニット体9と称することがある。
【0053】
取付部材5は、前記ユニット体9を浴槽100へと取付けるために用いられるものであり、筒状をなすとともに、自身の内周面に第一被取付部としての第一雌ねじ部51を備えている。本実施形態では、第一雌ねじ部51に対し第一雄ねじ部31Aを螺合し、鍔部22及び取付部材5によりフランジ部101を挟み込んだ状態とすることで、ユニット体9及び取付部材5がフランジ部101へと取付けられている。
【0054】
また、本実施形態では、取付部材5及びフランジ部101間に、弾性変形可能な材料からなる環状のシール部材10が配置されている。シール部材10は、第一雌ねじ部51に対する第一雄ねじ部31Aの螺合に伴い、後述するスリップワッシャ11を介して、フランジ部101及び取付部材5で間接的に挟み込まれた断面矩形状の基部10Aと、基部10Aから内周側に向けて突出する内側圧接部10Bとを備えている。基部10Aは、フランジ部101及び取付部材5による挟持力が加わっている部位であり、一方、内側圧接部10Bは、前記挟持力が加わっていない部位である。
【0055】
さらに、内側圧接部10Bは、前記被シール面31Bの外径よりも小さな内径を有しており、被シール面31Bに対し締め代を有する構造となっている。そして、第一雌ねじ部51に対する第一雄ねじ部31Aの螺合に伴い、基部10Aがフランジ部101及び取付部材5で挟み込まれつつ、内側圧接部10Bの全周が被シール面31Bに対し圧接した状態となっている。尚、本実施形態では、薄肉環状のスリップワッシャ11がシール部材10及び取付部材5間に配置されている。これにより、第一雌ねじ部51に対する第一雄ねじ部31Aの螺合時において取付部材5を回転させたときに、シール部材10に対しダメージが加わりにくいものとなっている。
【0056】
また、内側圧接部10Bは、内周側に向けて徐々に薄くなる断面三角形状をなしており、図2図2は、被シール面31Bの拡大展開模式図である)に示すように、被シール面31Bに対する内側圧接部10Bの接触面積S1(図2中、散点模様を付した部位の面積)が、被シール面31Bの径方向に沿って被シール面31Bに対し基部10Aを投影したときの投影面積S2(二点鎖線で挟まれた部位の面積)よりも小さくなるように構成されている。
【0057】
図1に戻り、操作側機構部6は、棒状の操作軸61と、当該操作軸61を往復移動可能な状態で保持する筒状の軸保持部62とを備えている。操作軸61は、その一端部が操作ボタン7の背面中央の筒状部分の内周に嵌合されており、操作ボタン7をガイド本体部21の軸方向に沿って変位可能な状態で支持する。また、軸保持部62の外周には、ナット部材4に対する操作側機構部6の取付に用いられる凹み状の係止用凹部62Aが形成されている。
【0058】
操作ボタン7は、ガイド本体部21の内周に配置されており、押圧操作される表面部分が平坦な円形状とされている。操作ボタン7の外径は、ガイド本体部21の内径よりも若干小さい程度に設定されており、ひいては、操作ボタン7が移動する際に、ガイド本体部21の内周面によって操作ボタン7の移動がより確実にガイドされるようになっている。
【0059】
伝達部材8は、例えば、ワイヤー等により構成されており、操作ボタン7の変位による駆動力を、浴槽100の排水口(図示せず)に設けられた栓蓋(図示せず)側へと伝達するものである。伝達部材8は、筒状のチューブ部材81の内周に配置されており、チューブ部材81に対しその長手方向に沿って相対的に往復移動可能となっている。また、伝達部材8は、前記栓蓋側に位置する端部が、前記栓蓋を支持する上下動可能な支持軸(図示せず)と接触可能であり、操作側機構部6側に位置する端部が、前記操作軸61の他端部(下端部)と接触可能に構成されている。そして、操作ボタン7の押圧に伴い、操作軸61の下端部によって伝達部材8の一方側の端部が押され、ひいては伝達部材8の他方側の端部により前記支持軸が持ち上げられることで、栓蓋が上動し、その結果、前記排水口が開放されるようになっている。
【0060】
尚、本実施形態において、前記栓蓋側には、図示しない戻り力付与部(例えば、バネ部材など)が設けられており、前記戻り力付与部によって伝達部材8に対し、復動方向の(前記栓蓋側から操作装置1側に向けた)付勢力が加えられている。さらに、前記軸保持部62の内部に、所定のロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。そして、操作ボタン7の押圧に伴い操作軸61が所定位置以下まで押し下げられると、操作軸61は下降状態のままで前記ロック機構によってロックされ、ひいては排水口は開放した状態のまま維持される。この状態で、操作ボタン7の押圧に伴い操作軸61が所定位置以下まで押し下げられると、前記ロック機構によるロックが解除されるとともに、前記戻り力付与部によって伝達部材8及び操作軸61が戻り移動する。その結果、排水口が閉鎖されるとともに、操作ボタン7が元の位置に戻ることとなる。
【0061】
次いで、浴槽100に対する操作装置1の取付工程(取付方法)について説明する。操作装置1の取付工程は、一体化工程、ユニット体取付工程、機構部保持工程及びボタン取付工程を含んでおり、これら各工程はこの順序で実施される。
【0062】
まず、一体化工程において、ガイド部材2、ガイド被挿通部材3及びナット部材4を一体化することで、ユニット体9を得る。より詳しくは、大径部31の内周にガイド部材2(ガイド本体部21及び張出部23)を挿通するとともに、ガイド部材2(ガイド本体部21)の内周にナット部材4を挿通する。その上で、第二雌ねじ部33Aに対し第二雄ねじ部41Cを螺合し、挟持用突部42及び連接部32により張出部23を挟み込む。これにより、ガイド部材2、ガイド被挿通部材3及びナット部材4が一体化されてなるユニット体9が得られる。
【0063】
一体化工程後、ユニット体取付工程において、取付部材5を用いて、得られたユニット体9を浴槽100へと取付ける。より詳しくは、まず、貫通孔102にユニット体9を挿通し、フランジ部101の表面に鍔部22が載置された状態とする。次いで、ユニット体9の他端側から、被シール面31Bの外周へとシール部材10を嵌め込み、被シール面31Bに対し内側圧接部10Bを圧接させた状態とする。これにより、シール部材10は、被シール面31Bの外周において、ほぼ滑り落ちることがない状態で配置されることとなる。
【0064】
その上で、取付部材5にスリップワッシャ11を重ねた状態で、取付部材5を回転させることにより、第一雌ねじ部51に対し第一雄ねじ部31Aを螺合する。これにより、鍔部22及び取付部材5によりフランジ部101が挟み込まれた状態となり、ユニット体9及び取付部材5がフランジ部101へと取付けられる。また、シール部材10は、基部10Aがフランジ部101及び取付部材5で挟み込まれるとともに、内側圧接部10Bの全周が被シール面31Bへと接触した状態となる。尚、挟み込みにより、基部10Aは径方向内側及び外側に多少膨出するため、被シール面31Bに対する内側圧接部10Bの接触圧力は、ユニット体9等をフランジ部101へと取付ける前と比して増大することとなる。
【0065】
次いで、機構部保持工程において、前記支持軸、伝達部材8及び操作側機構部6が一体化されてなる長尺状の部材(レリースワイヤ)を、前記支持軸、伝達部材8及び操作側機構部6の順でナット部材4の内周へと挿通していき、係止用凹部62Aへと突起部41Aを配置するとともに、被載置部41Bへと操作側機構部6を載置する。これにより、操作側機構部6がユニット体9(ナット部材4)に対し落下不能な状態で直接取付けられる。
【0066】
そして最後に、ボタン取付工程において、操作ボタン7の背面中央に設けられた筒状部分を操作軸61の先端部(一端部)にあてがった上で、操作ボタン7を奥側(ナット部材4側)へと押し込む。これにより、操作軸61の先端部に操作ボタン7が取付けられ、浴槽100に対する操作装置1の取付が完了する。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ガイド部材2の全体は薄肉の高剛性材料により形成されているため、鍔部22も薄肉となる。そのため、外観品質や清掃性の向上を図ることができる。
【0068】
また、ガイド部材2はその全体が薄肉の高剛性材料からなるため、鍔部22に相当する部位を別体とした場合に必要となる、鍔部に相当する部位とその他の部位とを固定するための構造や、両者を固定するための工程は不要となる。そのため、製造コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、鍔部22に相当する部位を別体とした場合に懸念される、ガイド部材2の耐久性低下といった事態は生じることなく、ガイド部材2において十分な耐久性をより確実に確保することができる。
【0070】
加えて、ガイド被挿通部材3(第二雌ねじ部33A)にナット部材4(第二雄ねじ部41C)を螺合し、ガイド被挿通部材3(連接部32)及びナット部材4(挟持用突部42)によってガイド部材2の張出部を挟み込むことで、ガイド被挿通部材3等に対しガイド部材2が固定されている。従って、ガイド被挿通部材3等に対しガイド部材2を強固かつ安定した状態で固定することができ、装置の耐久性向上をより図ることができる。また、ガイド被挿通部材3(第二雌ねじ部33A)に対しナット部材4(第二雄ねじ部41C)を螺合するという簡易な手法で固定することができるため、生産性の一層の向上を図ることができる。
【0071】
さらに、鍔部22と取付部材5との間にフランジ部101を配置した状態で、取付部材5(第一雌ねじ部51)にガイド被挿通部材3(第一雄ねじ部31A)を螺合するという比較的簡便な手法によって、フランジ部101に対しユニット体9及び取付部材5を取付けることができる。従って、良好な取付作業性を得ることができる。
【0072】
また、フランジ部101及び取付部材5によってシール部材10が挟み込まれるため、フランジ部101の背面とシール部材10の上面との間を水密にシールすることができる。さらに、シール部材10の内周面全周が被シール面31Bに接触しているため、シール部材10の内周面とガイド被挿通部材3(大径部31)の外周面との間を水密にシールすることができる。これらの結果、鍔部22及びフランジ部101間を通ったり、蒸気等の状態でガイド部材2及びガイド被挿通部材3間を上がってきたりすることなどにより、フランジ部101(貫通孔102を形成する部分)とガイド被挿通部材3(大径部31)の外周面との間から水が浸入した場合であっても、浸入した水が外部に漏出してしまうことをより確実に防止できる。
【0073】
加えて、本実施形態では、接触面積S1が投影面積S2よりも小さいため、被シール面31Bに対する内側圧接部10Bの接触圧力を大きくすることができ、シール部材10とガイド被挿通部材3(大径部31)との間をより水密にシールすることができる。これにより、フランジ部101(貫通孔102を形成する部分)とガイド被挿通部材3(大径部31)の外周面との間から水が浸入した場合であっても、浸入した水の漏出防止をより効果的に図ることができる。
【0074】
また、内側圧接部10Bは、被シール面31Bに対し締め代を有するため、浴槽100に対し操作装置1を取付ける際に、シール部材10の弾性力のみを利用して、被シール面31Bの外周に対しシール部材10を安定した状態で装着することができる。従って、取付作業をより容易なものとすることができ、一層良好な取付作業性を得ることができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、スリップワッシャ11によって、シール部材10に対し、取付部材5の回転によるダメージが加わりにくい構成とされている。そのため、シール部材10を変形や歪みのない状態で、取付部材5等により挟み込むことができ、水密性の更なる向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0076】
図3に示すように、本第2実施形態の操作装置1Aにおいて、ガイド被挿通部材113は、上記第1実施形態におけるガイド被挿通部材3と比べて、その軸方向に沿った長さが比較的短いものとなっている。但し、上記第1実施形態のガイド被挿通部材3と同様に、ガイド被挿通部材113は、その一端側から他端側に向けて、大径部113A、連接部113B及び小径部113Cがこの順序で形成されるとともに、大径部113Aの外周に第一雄ねじ部113Dが形成され、小径部113Cの内周に第二雌ねじ部113Eが形成されている。
【0077】
また、本第2実施形態において、挟持部材としてのナット部材114は、操作側機構部6を保持するための突起部41Aや被載置部41Bを備えておらず、操作側機構部6は、ナット部材114の内周に対し単に挿通された状態となっている。但し、ナット部材114は、挟持部本体部としてのナット本体部114Aと挟持用突部114Bとを備えるとともに、ナット本体部114Aの外周に第二雄ねじ部114Cが形成されている点で上記第1実施形態におけるナット部材4と同様である。
【0078】
加えて、本第2実施形態の操作装置1Aは、操作側機構部6を保持するために、継手部材121及びCリング122を備え、さらに、取付部材115の外周に、溝部115A及びテーパ部115Bが形成されたものとなっている。
【0079】
継手部材121は、全体として一端側から他端側に向けて段階的に細くなる筒状をなしており、その一端部に最も大径の取付用筒部121Aを備えている。取付用筒部121Aは、取付部材115の外周に配置されており、自身の内周から外周に貫通する孔部121Bを有している。尚、取付用筒部121Aの内周面及び取付部材115の外周面の間には、弾性変形可能な材料からなる断面X字状でかつ環状の第二シール部材123が両者に挟まれた状態で配置されており、両者間からの漏水防止が図られている。
【0080】
また、継手部材121の内部であって取付用筒部121Aよりも他端側には、一端側に向けて延びる筒状の保持部121Cが形成されている。
【0081】
保持部121Cは、径方向内側に向けて突出する突出係止部121Dと、当該突出係止部121Dよりも一端側に位置する円筒状の外周支持部121Eとを備えている。
【0082】
突出係止部121Dは、保持部121Cの弾性変形に伴い径方向に弾性変形可能となっており、操作側機構部6の係止用凹部62Aに配置されることで、操作側機構部6の外周に係止されている。また、突出係止部121Dは、ナット部材114よりも他端側に位置しており、ナット部材114の内側に配置されていない状態となっている。
【0083】
外周支持部121Eは、操作側機構部6における係止用凹部62Aよりも一端側の外周に沿って配置されている。また、外側支持部121Eは、ナット部材114の内側に配置された状態となっている。
【0084】
Cリング122は、周方向に沿った一部に切欠きの形成された環状をなしており、自身の径方向に弾性変形可能に構成されている。Cリング122は、取付用筒部121Aの外周に配置され、常には(径方向外側に弾性変形していない状態では)、自身の内周部分が孔部121Bを通って取付用筒部121Aの内周から突出した状態となっている。また、Cリング122は、継手部材121における最も大径な部位である取付用筒部121Aに対応して配置されるため、その径が比較的大きなものとなっている。
【0085】
溝部115Aは、取付部材115の周方向に沿って延びる環状をなしており、その幅はCリング122の内周部分の厚さとほぼ同じものとされている。
【0086】
テーパ部115Bは、溝部115Aよりも他端側における取付部材115の外周に形成されており、他端側に向けて徐々に外径の小さくなるテーパ状をなしている。また、テーパ部115Bにおける最他端部の外径は、非弾性変形状態におけるCリング122の内径よりも小さなものとされている。
【0087】
そして、本第2実施形態では、孔部121Bを通って取付用筒部121の内周から突出したCリング122の内周部分が、溝部115Aに配置されて取付部材115に係止された状態となることで、取付部材115に対し継手部材121が取付けられている。これにより、操作側機構部6は、継手部材121及び取付部材115を介して、ガイド部材2、ガイド被挿通部材113及びナット部材114からなるユニット体119により保持された状態となっている。
【0088】
尚、本第2実施形態において、取付部材115は、その内周に第一雌ねじ部115Cを有しており、溝部115A及びテーパ部115Bが形成されている点を除き、基本的には、第1実施形態の取付部材5と同様の構成となっている。
【0089】
また、本第2実施形態では、シール部材120は、薄肉環状をなしており、上記第一実施形態と異なり、その内周部分がガイド被挿通部材113の外周面へと接触しないように構成されている。
【0090】
次いで、第2実施形態に係る操作装置1Aの浴槽100に対する取付工程(取付方法)について説明する。取付工程は、上記第1実施形態と同様、一体化工程、ユニット体取付工程、機構部保持工程及びボタン取付工程を含む。
【0091】
まず、一体化工程において、大径部113Aの内周にガイド部材2(ガイド本体部21及び張出部23)を挿通するとともに、ガイド部材2(ガイド本体部21)の内周にナット部材114を挿通した上で、第二雌ねじ部113Eに対し第二雄ねじ部114Cを螺合し、挟持用突部114B及び連接部113Bにより張出部23を挟み込む。これにより、ガイド部材2、ガイド被挿通部材113及びナット部材114が一体化されてなるユニット体119が得られる。
【0092】
続くユニット体取付工程では、まず、貫通孔102にユニット体119を挿通し、フランジ部101の表面に鍔部22を載置した状態とする。その上で、取付部材115にシール部材120を重ねた状態で、取付部材115を大径部113Aの外周に配置し、次いで、取付部材115回転させることで、第一雌ねじ部115Bに対し第一雄ねじ部113Dを螺合する。これにより、鍔部22及び取付部材115によりフランジ部101が挟み込まれた状態となり、ユニット体119及び取付部材115がフランジ部101へと取付けられる。
【0093】
次いで、機構部保持工程においては、まず、前記支持軸、伝達部材8及び操作側機構部6が一体化されてなる部材(レリースワイヤ)を、前記支持軸、伝達部材8及び操作側機構部6の順で継手部材121の一端側からその内周へと挿通していき、係止用凹部62Aへと突出係止部121Dを配置するとともに、外周支持部121Eへと操作側機構部6を載置した状態とする。これにより、操作側機構部6が継手部材121によって保持された状態となる。
【0094】
次に、取付用筒部121Aの孔部121Bに対応してCリング122を配置し、Cリング122の内周部分を取付用筒部121Aの内周面から突出させた状態とするとともに、継手部材121の内周に第二シール部材123を配置する。その上で、Cリング122の内周部分をテーパ部115Bに接触させつつ、継手部材121を一端側へと押し込むことで、Cリング122を径方向外側に弾性変形させつつ、継手部材121を一端側へと移動させていく。そして、Cリング122が溝部115Aに至ると、Cリング122の弾性変形が解除されて、溝部115AへとCリング122の内周部分が入り込み、取付部材115に対しCリング122が係止される。これにより、取付部材115に対し継手部材121が取付けられ、ひいては操作側機構部6がユニット体119に対し落下不能な状態で間接的に取付けられる。また、突出係止部121Dがナット部材114の内側に配置されていない一方、外周支持部121Eがナット部材114の内側に配置された状態となる。
【0095】
そして最後に、ボタン取付工程において、上記第1実施形態と同様に、操作軸61の先端部(一端部)に操作ボタン7を取付けることで、浴槽100に対する操作装置1Aの取付が完了することとなる。
【0096】
以上、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、外観品質、清掃性、生産性及び耐久性の向上や製造コストの低減、良好な取付作業性の実現などを図ることができる。
【0097】
また、本第2実施形態では、Cリング122の弾性変形を利用することで、取付部材115に対し継手部材121等を容易に取付けることができる。これにより、継手部材121に保持された操作側機構部6をより容易に配設することができ、取付作業性の更なる向上を図ることができる。
【0098】
さらに、Cリング122が比較的大径であるため、Cリング122において、許容される(破損が生じない範囲での)径方向に沿った弾性変形量を比較的大きなものとすることができ、結果的に、Cリング122を径方向に弾性変形しやすいものとすることができる。これにより、常には取付用筒部121Aの内周からのCリング122の突出量を十分に大きなものとしつつ、取付部材115に対する継手部材121の取付時には、溝部115Aに対しCリング122を容易に配置することができる。その結果、良好な取付作業性を維持しつつ、取付部材115に対するCリング122の係止代を十分に確保することが可能となり、継手部材121やこれに保持された操作側機構部6の取付安定性を高めることができる。
【0099】
加えて、外周支持部121Eはナット部材114の内側まで延びているため、操作側機構部6のより一端側の部位を外周支持部121Eによって保持することができる。これにより、操作側機構部6や操作ボタン7をより安定した状態で配設することができる。
【0100】
また、突出係止部121Dは、ナット部材114の内側に配置されないように構成されているため、保持部121Cのうち突出係止部121Dが存在する部位や突出係止部121Dよりも他端側に位置する部位を比較的厚肉にすることができる。従って、保持部121Cによって操作側機構部6を保持すべく、突出係止部121Dを弾性変形させた場合などに、保持部121Cにおいて過度の変形や破損が生じてしまうことをより確実に防止でき、装置の破損を効果的に抑制することができる。
【0101】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0102】
(a)上記実施形態において、内側圧接部10Bは、断面三角形状とされているが、内側圧接部10Bの形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、図4に示すように、内側圧接部130Bが内周側に向けて徐々に薄くなる断面台形状となるようにシール部材130を構成してもよい。さらに、図5に示すように、内側圧接部131Bが、基部131Aよりも薄肉に形成された断面矩形状の矩形部131Cを1又は複数(図5では、複数)備えてなるようにシール部材131を構成してもよい。
【0103】
(b)上記実施形態では、第一取付部として第一雄ねじ部31A,113Dが設けられ、第一被取付部として第一雌ねじ部51,115Cが設けられ、第二取付部として第二雄ねじ部41C,114Cが設けられ、第二被取付部として第二雌ねじ部33A,113Eが設けられており、第一雌ねじ部51,115Cに対し第一雄ねじ部31A,113Dが螺合されることで両者が取付けられ、また、第二雌ねじ部33A,113Eに対し第二雄ねじ部41C,114が螺合されることで両者が取付けられている。しかしながら、第一被取付部に対する第一取付部の取付手法、及び、第二被取付部に対する第二取付部の取付手法は、ねじを用いた螺合に限定されるものではない。従って、例えば、第一(第二)被取付部に対し第一(第二)取付部が係合(例えば、スナップフィット係合や回転係合)されることにより、第一(第二)被取付部に対し第一(第二)取付部が取付けられるように構成してもよい。勿論、第一被取付部に対する第一取付部の取付手法と、第二被取付部に対する第二取付部の取付手法とを異なるものとしてもよい。例えば、両取付手法のうちの一方をねじ止めによるものとし、両取付手法のうちの他方を係合によるものとしてもよい。尚、上記の回転係合とは、第一(第二)被取付部を備えた部分(大径部31,113Aや小径部33,113Cであり、ここでは「被取付対象部分」と称す)、及び、第一(第二)取付部を備えた部分(取付部材5,115やナット部材4,114であり、ここでは「取付対象部分」と称す)の一方に突部が設けられるとともに、両部分の他方に前記凸部に対応する傾斜部(例えば、螺旋状の傾斜面)が設けられており、被取付対象部分に対応して取付対象部分を配置した状態で両者のうちの少なくとも一方を回転させたときに、傾斜部を突部が摺動することにより両部分が回転軸方向に相対移動し、相対移動がある程度進んだ段階で、被取付対象部分に対し取付対象部分が係合され、その結果、被取付対象部分に対する取付対象部分の相対回転や前記回転軸方向に沿った相対移動が規制された状態で、被取付対象部分に対し取付対象部分が取付けられることとなる手法を意味する。
【0104】
(c)上記実施形態において、戻り力付与部は栓蓋側に設けられており、ロック機構は操作側機構部6に設けられているが、戻り力付与部を操作側機構部6に設け、ロック機構を栓蓋側に設けてもよい。また、戻り力付与部及びロック機構の双方を、栓蓋側及び操作側機構部6の一方に設けることとしてもよい。
【0105】
(d)上記実施形態において、操作装置1,1Aは、取付対象物としての浴槽100に取付けられているが、操作装置1,1Aの取付対象は浴槽100に限られるものではなく、例えば、浴槽以外の槽体(例えば、洗面器や流し台など)であってもよい。また、槽体の近傍に設けられた構造物(例えば、流し台のカウンタ等)に対し操作装置1,1Aを取付けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1,1A…操作装置、2…ガイド部材、3,113…ガイド被挿通部材、4,114…ナット部材(挟持部材)、5,115…取付部材、6…操作側機構部、7…操作ボタン、8…伝達部材、9,119…ユニット体、10,130,131…シール部材、10A,131A…基部、10B,130B,131B…内側圧接部、21…ガイド本体部、22…鍔部、23…張出部、31,113A…大径部、31A,113D…第一取付部(第一雄ねじ部)、31B…被シール面、32,113B…連接部、33,113C…小径部、33A,113E…第二被取付部(第二雌ねじ部)、41,114A…ナット本体部(挟持部本体部)、41C,114C…第二取付部(第二雄ねじ部)、42,114B…挟持用突部、51,115C…第一被取付部(第一雌ねじ部)、61…操作軸、100…浴槽(取付対象物)、102…貫通孔、121…継手部材、121A…取付用筒部、121B…孔部、121C…保持部、121D…突出係止部、121E…外周支持部、122…Cリング。
図1
図2
図3
図4
図5