特許第6688082号(P6688082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688082
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20200421BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20200421BHJP
   H04M 3/428 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   H04Q3/58 106
   H04M3/42 M
   H04M3/428
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-2773(P2016-2773)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2017-123609(P2017-123609A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】生駒 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】宇田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 涼
【審査官】 麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−150926(JP,A)
【文献】 特開2010−252024(JP,A)
【文献】 特開2007−013798(JP,A)
【文献】 特開2009−219029(JP,A)
【文献】 特開平06−311238(JP,A)
【文献】 特開2010−246163(JP,A)
【文献】 特開平03−262368(JP,A)
【文献】 特開平02−246661(JP,A)
【文献】 特開2011−087237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q3/58−3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と管理装置とを有する通信システムであって、
前記管理装置は、
保留呼に応答するための特殊番号を含む情報を記憶する記憶手段と、
前記端末から、前記特殊番号の通知を要求された場合に、前記情報に含まれる前記特殊番号を前記端末に通知する通知手段と、
を有し、
前記端末は、
利用者から保留呼に応答するとの指示を受け付けた場合に、前記管理装置に前記特殊番号の通知を要求する要求手段と、
前記管理装置から通知された前記特殊番号を用いて発呼を行う通信手段と、
を有する、通信システム。
【請求項2】
前記情報には、前記特殊番号と、前記特殊番号に対応するグループに所属する1以上の端末とが対応づけられており、
前記要求手段は、前記管理装置に前記特殊番号の通知を要求する場合に、前記端末が所属するグループを特定するための情報を前記管理装置に通知し、
前記通知手段は、前記端末が所属するグループに対応する前記特殊番号を前記端末に通知する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
公衆携帯電話網に接続される端末と、前記端末と前記公衆携帯電話網を介して通信可能な管理装置と、前記端末と前記公衆携帯電話網を介して通信可能で、かつ、内線システムに含まれる交換機とを有する通信システムであって、
前記管理装置は、
1以上の機能と該1以上の機能に対応づけられるプレフィクスとが対応づけられたプレフィクス情報を記憶する記憶手段と、
外線番号と所定の機能を示す情報とが含まれるプレフィクス問い合わせ要求を、前記公衆携帯電話網を介して前記端末から受信した場合、前記所定の機能に対応するプレフィクスを前記プレフィクス情報から取得し、前記外線番号に付与した上で、前記プレフィクスが付与された外線番号を、前記公衆携帯電話網を介して前記端末に通知する通知手段と、
を有し、
前記端末は、
所定の機能を利用するために、外線番号と所定の機能を示す情報とが含まれるプレフィクス問い合わせ要求を、前記公衆携帯電話網を介して前記管理装置に要求する要求手段と、
前記管理装置から通知された、前記所定の機能に対応するプレフィクスが付与された外線番号を発信先番号、前記端末の前記内線システムにおける内線番号を発信元番号として、前記公衆携帯電話網を介して発呼を行う通信手段と、
を有し、
前記交換機は、
前記端末から発呼された信号に含まれるプレフィクスを取得し、取得したプレフィクスに対応する所定の機能を実行する機能実行手段と、
を有する、通信システム。
【請求項4】
端末と管理装置とを有する通信システムが実行する通信方法であって、
前記管理装置が、保留呼に応答するための特殊番号を含む情報を記憶手段に記憶させるステップと、
前記端末が、利用者から保留呼に応答するとの指示を受け付けた場合に、前記管理装置に前記特殊番号の通知を要求するステップと、
前記管理装置が、前記端末から、前記特殊番号の通知を要求された場合に、前記情報に含まれる前記特殊番号を前記端末に通知するステップと、
前記端末が、前記管理装置から通知された前記特殊番号を用いて発呼を行うステップと、
を有する、通信方法。
【請求項5】
コンピューターを、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端末又は管理装置のいずれか一方の各手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、企業では、内線番号が付与された複数の電話機を有する独自の内線システムを構築している。また、内線システムでは、拠点や組織ごとに契約している外線番号に掛ってきた電話を、いずれかの電話機により応答することが可能である。
【0003】
また、近年、移動通信オペレータは、携帯電話を企業内の内線システムにおける電話機の一部として利用することが可能な内線サービスを提供している。内線サービスを利用することで、企業内の利用者は、他の利用者の内線番号に電話を掛けるだけで、通話先の他の利用者の居場所に関わらず容易に連絡を取ることが可能になり、業務効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−229747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の内線サービスでは、内線通話に係る様々な機能が提供されている。一例として、本内線サービスに加入している携帯電話間で内線番号を用いて通話する機能、外線番号宛に掛ってきた保留呼を本内線サービスに加入している携帯電話で応答する機能などがある。
【0006】
本内線サービスで提供される様々な機能は、基本的に、携帯電話から発呼する際の発番号に基づいて制御される。例えば、本内線サービスに加入している携帯電話間で通話を行う際、内線番号で発信された場合は内線通話として扱われ、外線番号で発信された場合は、内線ではなく通常の携帯電話間の通話として扱われる。また、例えば、外線番号宛に掛ってきた保留呼を携帯電話で応答する機能を利用する際、携帯電話から、外線番号ごとに予め割当てられた特番宛に電話を掛けることで、当該外線番号宛の保留呼を携帯電話で応答することができる。
【0007】
しかしながら、利用者は、携帯電話を内線電話として利用する場合に、内線サービスで提供される機能を利用するための各種の番号(通話相手の内線番号や特番など)を予め把握しておく必要があった。また、利用者は、例えば、各種の番号をいちいちダイヤルしなければならず、保留呼への応答に時間がかかるなど、迅速な対応が困難である場合があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯電話を内線電話として利用する際の利便性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る通信システムは、端末と管理装置とを有する通信システムであって、前記管理装置は、保留呼に応答するための特殊番号を含む情報を記憶する記憶手段と、前記端末から、前記特殊番号の通知を要求された場合に、前記情報に含まれる前記特殊番号を前記端末に通知する通知手段と、を有し、前記端末は、利用者から保留呼に応答するとの指示を受け付けた場合に、前記管理装置に前記特殊番号の通知を要求する要求手段と、前記管理装置から通知された前記特殊番号を用いて発呼を行う通信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、携帯電話を内線電話として利用する際の利便性を高めることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施の形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図2】第一の実施の形態に係る端末及び管理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】電話帳の一例を示す図である。
図4】第一の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図5】ピックアップボタンの表示例を示す図である。
図6】第二の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図7】第三の実施の形態に係る管理装置及びPBXの機能構成の一例を示す図である。
図8】プレフィクス情報の一例を示す図である。
図9】第三の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。以下の実施の形態は、企業内で利用される通信システムを前提としているが、本発明の実施の形態は、企業に関わらず、どのような組織で利用される通信システムにも適用することが可能である。
【0013】
[第一の実施の形態]
<システム構成>
図1は、第一の実施の形態に係る通信システムの構成例を示す図である。本通信システムは、端末10と、管理装置20と、PBX(Private Branch eXchange)30と、固定電話40とを有する。図1の例では、端末10は1台のみ図示されているが、便宜上であり、複数であってもよい。端末10、管理装置20及びPBX30は、移動通信オペレータが提供するPLMN(公衆携帯電話網:Public Land Mobile Network)に接続されている。
【0014】
PBX30及び固定電話40は、それぞれ、企業内で独自に構築されている内線システム(以下、単に「内線システム」と呼ぶ)で用いられる交換機及び電話機を意図している。図1には、PBX30及び固定電話40が1つずつ図示されているが、便宜上であり、それぞれ複数であってもよい。例えば、第一の実施の形態に係る通信システムでは、1つのPBX30で全ての拠点及び組織をカバーするようにPBX30が設置されていてもよいし、企業内の拠点毎や組織毎にそれぞれPBX30が設置されていてもよい。
【0015】
第一の実施の形態において、PLMNを提供する移動通信オペレータは、携帯電話を内線システムにおける電話機の一部として利用することが可能な内線サービス(以下、単に「内線サービス」と呼ぶ)を提供している前提とする。すなわち、図1に示すPLMNは、内線サービスを提供するための、内線サービス提供装置(交換機、サーバ等)を有している前提とする。
【0016】
端末10は、PLMNを介して通話を行う機能を有している。端末10は、例えば、携帯電話、タブレット端末、スマートフォン等であるが、PLMNを介して通話を行う機能を有していればどのような端末(例えば、内蔵又は外付けの通信部を有するPC(Personal Computer)など)であってもよい。端末10は内線サービスを利用可能(内線サービスを契約済み)であり、端末10に固有の内線番号が割当てられている前提とする。
【0017】
管理装置20は、端末10からの要求に応じて、内線サービスで提供される機能を利用するための各種の番号を提供する機能を有する。管理装置20は、端末10と相互に通信することができる。管理装置20は、PLMNを介して端末10と相互に通信するようにしてもよいし、PLMNに代えて、無線LAN等の他のネットワークを介して端末10と相互に通信するようにしてもよい。管理装置20は、例えば、PC、サーバ等の一般的なコンピューターであってもよい。
【0018】
PBX30は、内線システムで用いられる交換機であり、PBX30に接続された固定電話40の間で行われる内線通話を実現するための各種の機能を有する。また、PBX30は、PSTN(公衆交換電話網:Public Switched Telephone Network)と接続されており、PSTNを提供する固定通信オペレータとの契約により割当てられた外線番号による外線発信及び外線着信を行う機能を有している。更に、PBX30は、PLMNが有する内線サービス提供装置と接続されており、端末10と固定電話40と間の内線通話を実現する機能、端末10からPBX30を介した外線発信を実現する機能などを有している。なお、PBX30は、企業が独自に設置しているPBXであってもよいし、内線サービスの一部として移動通信オペレータ側から貸与されるPBXであってもよいし、クラウド上の仮想的なPBXであってもよい。
【0019】
固定電話40は、内線システムで用いられる電話機である。なお、固定電話40は、必ずしも固定的に設置された電話機のみならず、ワイヤレスにより移動可能な電話機であってもよい。固定電話40には、固定電話40に固有の内線番号が割当てられている。固定電話40に固有の内線番号と、上述の端末10に固有の内線番号とは重複しないように割当てられており、企業内の利用者は、いずれかの内線番号をダイヤルすることで、通話相手の利用者が固定電話40を利用しているのか端末10を利用しているのかを特に意識することなく、内線通話を行うことが可能である。
【0020】
<機能構成>
図2は、第一の実施の形態に係る端末及び管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【0021】
(端末)
図2(a)に示すように、端末10は、通信部101と、UI(User Interface)部102と、要求部103とを有する。これら各部は、端末10にインストールされた1以上のプログラムが、端末10のCPUに実行させる処理により実現され得る。
【0022】
通信部101は、無線でPLMNに接続して音声通話又はパケット通信を行うための各種の機能(発呼機能、着呼機能など)を有する。
【0023】
UI部102は、端末10が備えるタッチパネル、画面、操作ボタン等を用いて、端末10の画面に各種アイコンや情報を表示すると共に、利用者からの各種指示を受け付ける。
【0024】
要求部103は、管理装置20に、内線サービスで提供される機能を利用するための各種の番号を要求する(問い合わせる)機能を有する。また、要求部103は、管理装置20から通知された各種の番号を用いて発呼を行うように通信部101に指示する。
【0025】
(管理装置)
図2(b)に示すように、管理装置20は、通知部201と、記憶部202とを有する。これら各部は、管理装置20にインストールされた1以上のプログラムが、管理装置20のCPUに実行させる処理により実現され得る。通知部201及び記憶部202は、異なるコンピューターを用いて実現されていてもよいし、更に細かい単位でコンピューターが分散されていてもよい。すなわち、管理装置20は、1又は複数のコンピューターを用いて実現されていてもよい。また、当該1又は複数のコンピューターは、仮想化技術を利用した仮想サーバであってもよいし、クラウド上に実装された仮想サーバであってもよい。
【0026】
通知部201は、端末10からの要求(問い合わせ)を受けた場合に、記憶部202に記憶されている電話帳を参照し、内線サービスで提供される機能を利用するための各種の番号を端末10に通知する機能を有する。
【0027】
記憶部202には、電話帳が記憶されている。記憶部202は、管理装置20が備える記憶装置(メモリ、HDD等)、管理装置20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0028】
図3は、電話帳の一例を示す図である。図3に示すように、記憶部202に記憶されている電話帳には、個人ごとの電話帳と、組織ごとの電話帳が格納される。「名称」は、個人名又は組織名を示す。「種別」は、電話帳の各レコードが個人の電話帳なのか、組織の電話帳なのかを示している。
【0029】
「ピックアップ用特番」は、内線サービスを提供する移動通信オペレータにより外線番号毎に予め割当てられ、保留呼(保留中の着信呼)をピックアップする(保留呼に応答する)際に用いられる特番である。つまり、ピックアップ用特番は、内線システムを構築する企業が管理する(独自に決定する)番号ではなく、移動通信オペレータが提供する内線サービス側で管理される番号である。なお、特番とは、通常の電話番号(例えば0から始まる電話番号)とは異なる特殊番号を意味する。
【0030】
図3の例では、利用者は、端末10から特番(2001)をダイヤルすることで、組織Xの外線番号(0451111111)に掛ってきた保留呼に応答することができることを示している。同様に、利用者は、端末10から特番(2002)をダイヤルすることで、組織Yの外線番号(0452222222)に掛ってきた保留呼に応答することができることを示している。
【0031】
「外線番号」は、移動通信オペレータ又は固定通信オペレータとの契約により割当てられた電話番号である。図3の例では、個人A〜Cの外線番号は、移動通信オペレータとの契約で割当てられた電話番号であり、組織X〜Zの外線番号は、固定通信オペレータとの契約で割当てられた電話番号である。「内線番号」は、内線システム内で用いられる内線番号である。図3の例では、個人A〜Cの内線番号は、移動通信オペレータにより割当てられた内線番号であり、組織X〜Zの外線番号は、PBX30の設定により割当てられた内線番号である。
【0032】
「所属」は、各個人がどの組織に所属しているかを示している。図3の例では、個人A〜Cは組織Xに所属しており、個人D、Eは組織Yに所属しており、個人F、Gは組織Zに所属していることが示されている。なお、電話帳における各個人の「所属」は、人事異動等に従って適宜変更される。例えば、個人Aが人事異動等により組織Xから組織Yに異動した場合、個人Aは組織Xではなく組織Yに所属するように電話帳が更新される。
【0033】
<通信システムの動作例>
図4は、第一の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図4は、組織Xに属する個人Aへの取り次ぎを希望する顧客等から組織Xの固定電話に電話があり、電話があったことを知らされた個人Aは、個人Aの端末10を用いて電話に応答するという状況を想定している。以下の説明において、電話帳には、図3に示すレコードが格納されている前提とする。
【0034】
ステップS101で、PBX30は、組織X宛の呼(宛先が0451111111である呼)を受け付ける。
【0035】
ステップS102で、PBX30は、組織Xの固定電話40を呼出す。
【0036】
ステップS103で、当該着呼を受けた利用者により固定電話40の保留ボタンが押下される。
【0037】
ステップS104で、固定電話40は、PBX30に保留指示信号を送信する。
【0038】
ステップS105で、PBX30は、ステップS101で受け付けた呼を保留中の状態にする。
【0039】
ステップS106で、着呼を受けた利用者は、顧客から組織Xの固定電話40に電話があり、保留中であることを個人Aに通知する。
【0040】
ステップS107で、個人Aは、保留中の呼に応答するため、端末10の画面に表示されているピックアップボタンを押下する。端末10のUI部107は、ピックアップボタンが押下されたこと認識する。
【0041】
ここで、図5を用いて、端末10の画面上に表示されるピックアップボタンの表示例を説明する。図5(a)の例は、内線サービスを制御するアプリケーションを起動した後に表示されるメニュー内にてピックアップボタンを表示させる場合の例を示しており、図5(b)の例は、端末10のトップ画面にて、内線サービスを制御するアプリケーションを起動するためのアイコンとは別に、ピックアップボタン(ピックアップアイコン)を表示させる場合の例を示している。図5(b)の例では、トップ画面にピックアップボタン(ピックアップアイコン)が表示されているため、利用者は、図5(a)の例よりも迅速に保留呼に応答することができる。図4に戻り説明を続ける。
【0042】
ステップS108で、端末10の要求部103は、ピックアップ用特番要求信号を管理装置20に送信する。なお、ピックアップ用特番要求信号には、端末10自身の内線番号(61001)が含まれている。
【0043】
ステップS109で、管理装置20の通知部201は、ピックアップ用特番要求信号に含まれる内線番号(61001)を用いて電話帳を検索することで、ピックアップ用特番(2001)を取得する。より具体的には、通知部201は、ステップS108の処理手順で受信した内線番号(61001)をキーに電話帳を検索することで、当該内線番号に対応する利用者(個人A)を特定する。次に、通知部201は、特定した利用者(個人A)が所属する組織(組織X)を特定し、特定した組織に対応するピックアップ用特番(2001)を取得する。
【0044】
ステップS110で、管理装置20の通知部201は、ピックアップ用特番(2001)を含むピックアップ用特番応答信号を端末10に送信する。
【0045】
ステップS111で、端末10の要求部103は、管理装置20から通知されたピックアップ用特番(2001)を用いて発呼を行うように通信部101に指示する。通信部101は、要求部103から指示されたピックアップ用特番(2001)宛に発呼を行う。なお、端末10から発呼された呼に係る制御信号は、PLMN内の各装置(基地局、交換機及びPLMNが備える内線サービス提供装置)を介してPBX30に送信されることになる。これは、ピックアップ用特番は移動通信オペレータにより割当てられた特番であり、PLMN内の各装置は、当該特番により発呼された呼に係る制御信号をPBX30に転送すべきであると認識することができるためである。
【0046】
ステップS112で、PBX30は、ステップS101で着信した呼の保留を解除し、保留が解除された呼に係る回線を内線サービス提供装置に接続する。当該回線は、PLMN内の各装置を介して端末10に接続され、端末10と顧客の電話機との間で通話が開始される。
【0047】
以上、第一の実施の形態に係る通信システムの動作例を説明した。第一の実施の形態によれば、保留呼に応答するためのピックアップ用特番は、管理装置20から端末10に通知される。従って、利用者(個人A)は、端末10で保留呼に応答する際に、自らピックアップ用特番をダイヤルすることなく、保留呼に応答することが可能になる。また、利用者(個人A)は、端末10で保留呼に応答する際に、ピックアップ用特番を知らなくても、保留呼に応答することが可能になる。また、利用者の所属する組織が異動等により変更された場合であっても、利用者は、異動後の組織に対応するピックアップ用特番を知らなくても、保留呼に応答することが可能になる。
【0048】
[第二の実施の形態]
続いて、第二の実施の形態について図を用いて説明する。なお、特に言及しない点については第一の実施の形態と同一でよい。
【0049】
<通信システムの動作例>
図6は、第二の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図6では、個人Aの端末10を「端末10a」と記載し、個人Cの端末10を「端末10c」と記載する。図6は、個人Aが、個人Aの端末10aから個人Cの端末10cに電話を掛ける状況を想定している。また、個人Aは、電話を掛ける際に、個人Cの端末10cの内線番号を把握しておらず端末10cの外線番号をダイヤルした(又は、内線番号を知っていたが誤って外線番号をダイヤルした)という状況を想定している。以下の説明において、電話帳には、図3に示すレコードが格納されている前提とする。
【0050】
ステップS201で、端末10aのUI部107は、個人Aから、個人Cの外線番号(09033333333)の選択(又は入力)及び発呼ボタンの押下を受け付ける。
【0051】
ステップS202で、端末10aの要求部103は、発信先の外線番号(09033333333)を含む内線番号検索要求信号を管理装置20に送信する。
【0052】
ステップS203で、管理装置20の通知部201は、内線番号検索要求信号に含まれる外線番号(09033333333)を用いて電話帳を検索することで、当該外線番号に対応する内線番号(61003)を取得する。
【0053】
ステップS204で、管理装置20の通知部201は、内線番号(61003)を含む内線番号検索応答信号を端末10に送信する。なお、外線番号に対応する内線番号が電話帳に存在しない場合、管理装置20の通知部201は、外線番号に対応する内線番号は存在しないことを示す情報を端末10に送信するようにしてもよい。
【0054】
ステップS205で、端末10の要求部103は、内線番号(61003)を用いて発呼を行うように通信部101に指示する。通信部101は、要求部103から指示された内線番号(61003)宛に発呼を行う。端末10から発呼された呼に係る制御信号は、PLMN内の各装置(基地局、交換機及びPLMNが備える内線サービス提供装置)を介して端末10cに送信される。これは、端末10cの内線番号は移動通信オペレータにより割当てられたものであり、PLMN内の各装置は、当該内線番号が割当てられている端末は端末10cであることを認識できるためである。
【0055】
ステップS112で、端末10aと端末10cとの間で通話が開始される。
【0056】
以上、第二の実施の形態に係る通信システムの動作例を説明した。第二の実施の形態によれば、端末10の内線番号は、管理装置20から端末10に通知される。従って、利用者(個人A)は、端末10aから端末10cに発呼する際に、自ら端末10cの内線番号をダイヤルすることなく、端末10cに内線電話を掛けることが可能になる。また、利用者(個人A)は、端末10cの内線番号を知らなくても、端末10cに内線電話を掛けることが可能になる。また、利用者が誤って外線番号をダイヤルした場合であっても、自動的に内線番号に変換されるため、例えば通話料等を節約することが可能になる。
【0057】
[第三の実施の形態]
続いて、第三の実施の形態について図を用いて説明する。第三の実施の形態に係るPBX30は、PBX30自身が備える各種機能の各々に対応するプレフィクスを含む発信先の電話番号を受信した場合、PBX30を介した通話に係る呼処理において、当該プレフィクスに対応する機能を動作させる機能を有している。なお、特に言及しない点については第一の実施の形態又は第二の実施の形態と同一でよい。
【0058】
<機能構成>
図7は、第三の実施の形態に係る管理装置及びPBXの機能構成の一例を示す図である。
【0059】
(管理装置)
図7(a)に示すように、管理装置20は、通知部301と、記憶部302とを有する。
【0060】
通知部301は、端末10からの要求(問い合わせ)を受けた場合に、記憶部202に記憶されているプレフィクス情報を参照し、PBXで提供される機能を利用する(動作させる)ためのプレフィクスを端末10に通知する機能を有する。記憶部302は、電話帳に加えて、プレフィクス情報を記憶する。
【0061】
図8にプレフィクス情報の一例を示す。「機能名」はPBX30が備える機能の名称を示す。「プレフィクス」は、「機能名」に対応するプレフィクスを示す。図8の例では、機能Aは発信元番号変換機能であり、当該機能に対応するプレフィクスは「8」であることが示されている。なお、発信元番号変換機能とは、PBX30にて、発信元の電話番号(外線番号又は内線番号)を、当該電話番号に対応する利用者が所属する組織の外線番号に変換する機能を意図している。なお、発信元電話番号変換機能は一例であり、第三の実施の形態は、これに限られず、PBXが備えるどのような機能に対しても適用できる。
【0062】
(PBX)
図7(b)に示すように、PBX30は、機能実行部401と、記憶部402と、PSTN通信部403とを有する。これら各部は、PBX30にインストールされた1以上のプログラムが、PBX30のCPUに実行させる処理により実現され得る。
【0063】
機能実行部401は、PBXが備える各種機能を実行する。機能実行部401は、必要に応じて、記憶部402に格納されている電話帳を参照する機能を有する。
【0064】
記憶部402には、電話帳が記憶されている。記憶部402は、PBX30が備える記憶装置(メモリ、HDD等)、PBX30にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。記憶部402に記憶されている電話帳は、図3に示す電話帳と同一であるため、説明は省略する。なお、PBX30は、記憶部402を保持しないようにしてもよい。この場合、機能実行部401は、必要に応じて、管理装置20に電話帳の内容を問い合わせるようにしてもよい。
【0065】
PSTN通信部403は、PSTNに接続して音声通話を行うための各種の機能(発呼機能、着呼機能など)を有する。
【0066】
<通信システムの動作例>
図9は、第三の実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図9は、個人Aの端末10から、前述の発信元番号変換機能(機能A)を利用して顧客に電話を掛ける状況を想定している。以下の説明において、管理装置20の記憶部302及びPBX30の記憶部402に記憶されている電話帳には、図3に示すレコードが格納されている前提とする。
【0067】
ステップS301で、端末10aのUI部107は、個人Aから、顧客の外線番号(0457777777)の選択(又は入力)、前述の発信元番号変換機能(機能A)を利用する旨の指示、及び発呼ボタンの押下を受け付ける。
【0068】
ステップS302で、端末10aの要求部103は、プレフィクス問い合わせ信号を管理装置20に送信する。プレフィクス問い合わせ信号には、発信先である顧客の外線番号(0457777777)、及び、発信元番号変換機能(機能A)を示す情報が含まれる。なお、発信元番号変換機能(機能A)を示す情報は、機能ごとに固有の識別子等であってもよいし、これに限られず、どのような情報であってもよい。例えば、プレフィクス問い合わせ信号に端末10の内線番号が含まれている場合、プレフィクス問い合わせ信号に発信元番号変換機能(機能A)を示す情報が含まれていることを意味するようにしてもよい。
【0069】
ステップS303で、管理装置20の通知部301は、発信元番号変換機能(機能A)を示す情報を用いてプレフィクス情報を検索することで、当該機能に対応するプレフィクス(8)を取得する。
【0070】
ステップS304で、管理装置20の通知部201は、プレフィクス問い合わせ信号に含まれていた発信先の外線番号にプレフィクスを付与する。また、通知部201は、プレフィクスが付与された発信先の外線番号(80457777777)を含むプレフィクス問い合わせ応答信号を端末10に送信する。
【0071】
ステップS305で、端末10の要求部103は、プレフィクスが付与された発信先の外線番号(80457777777)を用いて発呼を行うように通信部101に指示する。通信部101は、要求部103から指示された外線番号(80457777777)宛に発呼を行う。なお、通信部101は、当該発呼に係る制御信号に、発信元の電話番号として自身の内線番号(61001)を含めるようにする。端末10から発呼された呼に係る制御信号は、PLMN内の各装置(基地局、交換機及びPLMNが備える内線サービス提供装置)を介してPBX30に送信される。
【0072】
ステップS306で、PBX30の機能実行部401は、受信した制御信号に含まれる発信先の外線番号にプレフィクスが付与されているかを確認する。図9の例では、PBX30の機能実行部401は、プレフィクスとして「8」が付与されていることを確認し、前述の発信元番号変換機能(機能A)を動作させる必要があると認識することになる。
【0073】
ステップS307で、PBX30の機能実行部401は、発信元番号変換機能(機能A)を動作させる。具体的には、機能実行部401は、受信した制御信号に含まれる発信元の内線番号(61001)をキーに電話帳を検索することで、当該内線番号を有する利用者(個人A)を特定する。次に、機能実行部401は、特定した利用者(個人A)の所属する組織(組織X)を特定し、特定した組織に対応する外線番号(0451111111)を取得する。
【0074】
ステップS308で、PBX30のPSTN通信部403は、発信先の電話番号としてプレフィクス「8」を除いた電話番号(0457777777)を設定し、発信元の電話番号として、組織Xの外線番号(0451111111)を設定して発呼を行う。これにより、顧客の電話機には、発信元として端末Aの外線番号ではなく、組織Xの外線番号が表示されることになる。
【0075】
以上、第三の実施の形態に係る通信システムの動作例を説明した。第三の実施の形態によれば、PBX30が備える各種機能を動作させるためのプレフィクスは、管理装置20から端末10に通知される。従って、利用者(個人A)は、PBX30の機能を利用する際に、自らプレフィクスを発信先の電話番号に付与してダイヤルすることなく、PBX30の機能を動作させることが可能になる。また、利用者(個人A)は、PBX30が備える各種機能の各々に対応するプレフィクスを知らなくても、PBX30の機能を動作させることが可能になる。
【0076】
<実施形態の補足>
各実施の形態は任意に組み合わせることが可能である。つまり、第一の実施の形態と第二の実施の形態とが組み合わされてもよいし、第一の実施の形態と第三の実施の形態とが組み合わされてもよいし、第二の実施の形態と第三の実施の形態とが組み合わされてもよいし、第一の実施の形態と第二の実施の形態と第三の実施の形態とが組み合わされてもよい。
【0077】
端末10は、管理装置20が備える各機能部を備えるようにしてもよい。これにより、端末10は、管理装置20にアクセスすることなく、各実施の形態に係る処理を実現することができる。
【0078】
以上、各実施の形態に係る端末10、管理装置20及びPBX30が有する各機能部は、これらが備えるCPU及びメモリなどのハードウェア資源を用いて、管理装置20及びPBX30の各々で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。
【0079】
なお、各実施の形態において、組織は「グループ」の一例である。端末10の内線番号は、「端末が所属するグループを特定するための情報」の一例である。電話帳又はプレフィクス情報は「情報」の一例である。
【符号の説明】
【0080】
10 端末
20 管理装置
30 PBX
101 通信部
102 UI部
103 要求部
201、301 通知部
202、302 記憶部
401 機能実行部
402 記憶部
403 PSTN通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9