特許第6688101号(P6688101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688101
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】洗米装置とそれを備える炊飯システム
(51)【国際特許分類】
   B02B 1/06 20060101AFI20200421BHJP
   A47J 43/24 20060101ALI20200421BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B02B1/06 D
   A47J43/24
   A47J27/00 103D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-34727(P2016-34727)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-148750(P2017-148750A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】599103122
【氏名又は名称】精宏機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北脇 武
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011188(JP,A)
【文献】 特開2004−025146(JP,A)
【文献】 米国特許第06289793(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/06
A47J 27/00
A47J 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆円錐台形状の洗米空間αを備える洗米槽と、前記洗米空間αの水平円形断面中心をとおり前記水平円形断面に垂直な回転軸と、前記回転軸の長手方向に沿った異なる位置に取り付けられた複数段の撹拌体群とを有し、各段の前記撹拌体群のそれぞれは前記回転軸から半径方向に放射状に突出するだけの1又は複数の撹拌体から構成されており、前記回転軸は少なくともその一部が前記洗米空間α内に位置するとともに、複数段の前記撹拌体群のうち、少なくとも2段以上の撹拌体群が前記洗米空間α内に位置し、逆円錐台形状の前記洗米空間α内に位置する上下方向に隣接する撹拌体群同士で比べた場合、上方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNと下方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとが、HαN>HαNの関係にある洗米装置。
【請求項2】
前記洗米槽が逆円錐台形状の前記洗米空間αの上部に前記洗米空間αと連続して円筒状の洗米空間βを有し、前記回転軸は少なくともその一部が前記洗米空間β内に位置するとともに、複数段の前記撹拌体群のうち、少なくとも1段以上の撹拌体群が前記洗米空間β内に位置し、前記洗米空間β内で最も下方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HβNと、前記洗米空間α内で最も上方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとが、HβN>HαNの関係にある請求項1記載の洗米装置。
【請求項3】
いずれか1又は2以上の前記撹拌体群において、複数の前記撹拌体が前記回転軸から半径方向に均等な角度間隔で放射状に突出している請求項1又は2記載の洗米装置。
【請求項4】
いずれか1又は2以上の前記撹拌体群において、前記撹拌体群を構成する1又は複数の前記撹拌体が、洗米時における前記回転軸の回転方向前方側に、上端部が下端部よりも前記回転方向後方に後退した平面状の表面を有している請求項1〜3のいずれかに記載の洗米装置。
【請求項5】
搬送ラインに沿って搬送される複数個の炊飯釜を用いて炊飯釜ごとに個別に炊飯を行う炊飯システムであって、前記炊飯釜に供給される米を洗米する洗米装置として、請求項1〜4のいずれかに記載の洗米装置を備えている炊飯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米装置とそれを備える炊飯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯装置や炊飯システムにおいては、計量された米と水の供給を受けて、米を洗米する洗米装置が用いられている。斯かる洗米装置は、洗米槽と、その内部に配置された撹拌手段とを備えており、前記洗米槽は、洗米終了後に下部の排米口から洗米終了後の米を残すことなく排出するために、通常、円錐台を倒立させた逆円錐台形状の洗米空間を有している。しかし、逆円錐台形状の洗米空間内に収容された米を、洗米槽全体として、均一に撹拌、洗米することは一般に困難であった。
【0003】
斯かる困難を解消するために、例えば、特許文献1においては、洗米槽内に配置される回転軸に取り付けられた複数の撹拌体の先端部を、平面視において、洗米槽の内壁に沿うように形成するとともに、各撹拌体の先端部の回転軸からの距離を相違させて前記回転軸に対して渦巻き状に配置することによって、米粒と水の撹拌効果を高めたとする洗米装置が提案されている。また、特許文献2、3においては、撹拌体の形状を、回転軸から回転の半径方向に伸びる水平部分と、この水平部分の外端から下方に屈曲する垂直乃至は洗米槽の内壁に沿った形状とすることによって、洗米槽内での撹拌の均一化を向上させたとする洗米装置が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら従来の洗米装置においては、撹拌体の形状が複雑である上に、回転軸に固定されている根元部から先端部までの距離が長く、しかも途中に曲折部を有しているので、洗米時に回転させると米と水の抵抗を受けて撹拌体が屈曲し易いという欠点があり、耐久性の点で問題が生じる恐れがある。また、洗米槽全体として均一な洗米を実現するという点においても、これまで提案されている洗米装置は、十分なものとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−169288号公報
【特許文献2】特開2002−273241号公報
【特許文献3】特開2011−11188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の洗米装置の欠点を解消するために為されたもので、撹拌体の形状が簡単で耐久性に優れ、かつ均一な洗米を可能にする洗米装置と、それを備える炊飯システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意努力を重ねた結果、本発明者は、回転軸とともに回転する撹拌体を回転軸から半径方向に放射状に突出するだけの単純な形状の撹拌体にするとともに、1又は複数の撹拌体から構成される撹拌体群を回転軸の長手方向に沿った異なる位置に複数段配置し、各段の撹拌体群における撹拌体の数を逆円錐台形状の洗米槽の下方に向かうほど少なくすることによって、形状が単純な撹拌体を用いながら、逆円錐台形状の洗米空間を有する洗米槽内に収容された米をより均一に洗米することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、逆円錐台形状の洗米空間αを備える洗米槽と、前記洗米空間αの水平円形断面中心をとおり前記水平円形断面に垂直な回転軸と、前記回転軸の長手方向に沿った異なる位置に取り付けられた複数段の撹拌体群とを有し、各段の前記撹拌体群のそれぞれは前記回転軸から半径方向に放射状に突出する1又は複数の撹拌体から構成されており、前記回転軸は少なくともその一部が前記洗米空間α内に位置するとともに、複数段の前記撹拌体群のうち、少なくとも2段以上の撹拌体群が前記洗米空間α内に位置し、逆円錐台形状の前記洗米空間α内に位置する上下方向に隣接する撹拌体群同士で比べた場合、上方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNと下方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとが、HαN>HαNの関係にある洗米装置、及びこれを備える炊飯システムを提供することによって、上記課題を解決するものである。
【0009】
上記のとおり、本発明の洗米装置は、逆円錐台形状の洗米空間α内に少なくとも2段以上存在する撹拌体群を構成する撹拌体の数が、逆円錐台形状の洗米空間αの下方に向かうに連れて減少することを一つの大きな特徴としており、斯かる特徴を備えることにより、より均一な洗米を実現可能としたものである。洗米装置が上記特徴を備えることによって、半径方向に突出するだけの単純な形状の撹拌体を用いながら、逆円錐台形状の洗米空間全体として均一な洗米が実現できるということは、極めて意外な結果である。何故なら、逆円錐台形状の洗米空間は、下方に向かうにつれて水平円形断面の半径は小さくなるものの、回転軸の回転速度は前記洗米空間の上下で変わることはないから、回転軸とともに回転する撹拌体の数が少なくなれば、回転軸の1回転あたり、収容されている米が撹拌体と直接又は間接に接触して撹拌される回数は減ることになる。したがって、撹拌体の数を減らすと、米と撹拌体との接触頻度が減少し、通常は、十分な洗米が行われなくなると考えられるからである。
【0010】
しかるに、本発明者が確認したところによれば、全く意外なことに、撹拌体群を構成する撹拌体の数を逆円錐台形状の洗米空間αの下方に向かうに連れて減らすことにより、逆円錐台形状の洗米空間α内で、より均一な洗米が実現される。その理由は、定かではないが、洗米空間が逆円錐台形状を有しているため、逆円錐台形状の洗米空間のより下方に位置する米は、その直上に位置する米と水からの垂直方向の圧力に加えて、逆円錐台形状の斜面の傾斜に沿って内側に向かおうとする米と水の圧力が加わった状態にあり、その中で撹拌体を回転させると、米と撹拌体とが、より大きな圧力で接触することになるので、洗米空間の上方に位置する米に比べて、より大きな洗米効果が得られるからではないかと推測される。逆に、逆円錐台形状の洗米空間α内に位置する複数段の撹拌体群を構成する撹拌体の数を、その撹拌体群の位置に係わらず同じにすると、洗米空間αの上方では適度な洗米時に、下方では過剰洗米となり、米粒の割れや欠けが発生することになる。
【0011】
因みに、逆円錐台形状の洗米空間α内に位置する上下に隣接する2つの撹拌体群において、上方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNと下方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとは、HαN>HαNの関係にあれば良く、HαNとHαNの差は1以上であれば幾つであっても良いが、洗米の均一さをより高めるためには、両者の差は1、すなわち、HαN−HαN=1であるのが好ましい。
【0012】
本発明の洗米装置は、その好適な一態様において、洗米槽が逆円錐台形状の前記洗米空間αの上部に前記洗米空間αと連続して円筒状の洗米空間βを有しており、前記回転軸は少なくともその一部が前記洗米空間β内に位置するとともに、複数段の前記撹拌体群のうち、少なくとも1段以上の撹拌体群が前記洗米空間β内に位置し、前記洗米空間β内で最も下方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HβNと、前記洗米空間α内で最も上方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとが、HβN>HαNの関係にある。
【0013】
このように、本発明の洗米装置は、洗米槽が逆円錐台形状の洗米空間αの上部に、連続して、円筒状の洗米空間βを備えていても良く、その場合には、洗米空間β内で最も下方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体の数HβNと、洗米空間α内で最も上方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体の数HαNとをHβN>HαNの関係にすることによって、円筒状の洗米空間βと逆円錐台形状の洗米空間αの双方を加えた洗米槽全体として、均一な洗米を実現することが可能となる。なお、この場合においても、HβNとHαNの差は1以上であれば幾つであっても良いが、洗米の均一さをより高めるためには両者の差は1、すなわち、HβN−HαN=1であるのが好ましい。
【0014】
本発明の洗米装置において、各撹拌体群を構成する撹拌体は、基本的に回転軸から半径方向に放射状に突出する撹拌体であれば良く、1つの撹拌体群に複数の撹拌体が存在する場合、より均一な洗米を実現するという観点からは、いずれか1又は2以上の撹拌体群において、複数の撹拌体が回転軸から半径方向に均等な角度間隔で放射状に突出しているのが好ましく、さらには、複数の撹拌体で構成される撹拌体群の全てにおいて、複数の撹拌体が回転軸から半径方向に均等な角度間隔で放射状に突出しているのがより好ましい。
【0015】
本発明の洗米装置は、その好適な一態様において、撹拌体群を構成する1又は複数の撹拌体は、洗米時における回転軸の回転方向前方側に、上端部が下端部よりも前記回転方向後方に後退した平面状の表面を有している。撹拌体群を構成する撹拌体が上記平面状の表面を有している場合には、回転軸とともに撹拌体が回転することによって、撹拌体と直接又は間接に接触した米粒が、一旦は前記平面状の表面に沿って上方に持ち上げられた後、撹拌体の通過後には下方に落とされるので、より効果的な米粒の撹拌効果が得られ、洗米をより短時間で終えることができるという利点が得られる。上述した平面状の表面は、いずれか1又は2以上の撹拌体群を構成する撹拌体が有しておれば良いが、全撹拌体群を構成する全撹拌体が上述した平面状の表面を有しているのが、より好ましい。
【0016】
本発明の洗米装置は、これを単独で洗米装置として使用しても良いが、加熱手段を備えた炊飯装置と組み合わせて使用するのが良く、より好ましくは、搬送ラインに沿って搬送される複数個の炊飯釜を用いて炊飯釜ごとに個別に炊飯を行う炊飯システムにおける洗米装置として使用するのが良い。なお、本発明の洗米装置は、主として炊飯前の米の洗浄に使用される装置であるが、場合によっては、米に限らず、米以外の穀粒の洗浄に使用しても良いことは勿論である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の洗米装置によれば、米の排出に便利な逆円錐台形状の洗米空間を有する洗米槽を備える洗米装置において、より均一な洗米を実現することができるという利点が得られる。また、本発明の洗米装置に用いられる撹拌体は、回転軸からその半径方向に突出しているだけの単純な形状の撹拌体であるので、洗米時の米粒や水との接触によって損傷を受ける恐れが少なく、耐久性に優れるという利点が得られる。さらに、本発明の洗米装置を備える本発明の炊飯システムによれば、より均一に洗米された米を炊飯釜に供給して炊飯を実行することができるので、ムラなく、品質の良い米飯を炊飯することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の洗米装置の一例を示す正面部分断面図である。
図2図1の洗米装置における洗米槽の部分だけを取り出して示す正面部分断面図である。
図3図2におけるA−A’線での水平断面図である。
図4図2におけるB−B’線での水平断面図である。
図5図2におけるC−C’線での水平断面図である。
図6図2におけるD−D’線での水平断面図である。
図7図2におけるE−E’線での水平断面図である。
図8】撹拌体の他の一例を示す正面図である。
図9】撹拌体の他の一例を示す側面図である。
図10】撹拌体の他の一例を示す平面図である。
図11図8図10に示す形状の撹拌体を回転させたときの米と水の動きを模式的に示す図である。
図12】撹拌体のさらに他の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0020】
図1は、本発明に係る洗米装置の一例を示す正面部分断面図である。図1において、1は洗米装置、2は洗米装置1を構成する洗米槽であり、洗米槽2は、破線aで示す水平面を境に、下部に逆円錐台形状の洗米空間αを有するとともに、洗米空間αの上部に、洗米空間αと連続して、円筒状の洗米空間βを有している。3は回転軸であり、回転軸3は、洗米槽2の水平円形断面の中心をとおり、洗米空間α内及び洗米空間β内に少なくともその一部が位置するように、当該水平円形断面に垂直に配置されている。4は回転軸3を回転自在に支承する軸受、5はギアボックス、6は電動機である。回転軸3の上端は軸受4を経由してギアボックス5に接続されており、電動機6を駆動すると、その回転子の回転はギアボックス5を介して回転軸3に伝達され、回転軸3は垂直な軸の回りに回転する。
【0021】
7は回転軸3に取り付けられた撹拌体、8は米排出口、9は米排出口8を開閉する開閉弁、10は水排出口、11は水排出口10を開閉する開閉弁、12は洗米槽2と水排出口10の境に設けられたフィルター、13はオーバーフロー用排水口である。また、14は米供給口、15は米貯蔵タンク、16は水供給口、17は水貯蔵タンクである。なお、本例において、撹拌体7は、長さ方向に一様な円筒棒状形状の撹拌体であるが、後述するとおり、撹拌体7の形状は円筒棒状形状に限られるものではない。
【0022】
図2は、洗米装置1における洗米槽2の部分だけを取り出して示す正面部分断面図である。図に示すとおり、撹拌体7は、回転軸3の長手方向に沿った異なる位置P1、P2、P3、P4、P5に取り付けられており、同じ位置に取り付けられている1又は複数の撹拌体7で、それぞれ一群の撹拌体群を構成している。例えば、位置P1には複数の撹拌体7が取り付けられているが、これら位置P1に取り付けられた複数の撹拌体7によって撹拌体群H1が構成されている。同様に、位置P2、P3、P4にそれぞれ取り付けられた複数の撹拌体7によって、それぞれ撹拌体群H2、H3、H4が構成されている。本例の場合、位置P5には1つの撹拌体7しか取り付けられていないので、撹拌体群H5は位置P5に取り付けられた1つの撹拌体7で構成されているということになる。
【0023】
なお、位置P1、P2、P3、P4、P5間の垂直方向の間隔h〜hは、互いに異なっていても良いが、逆円錐台形状の洗米空間α内にある位置P2、P3、P4、P5間の垂直方向の間隔h〜hはそれぞれ同じで、h=h=hであるのが好ましく、h〜hが全て同じで、h=h=h=hであるのがより好ましい。特に、位置P1とP2間の距離hに関していえば、逆円錐台形状の洗米空間αと円筒状の洗米空間βとの境である水平面aによって、距離hが上下に等分されるのが好ましく、換言すれば、位置P1の水平面aからの垂直方向距離は、位置P2の水平面aからの垂直方向距離と等しく設定されるのが好ましい。
【0024】
このように、回転軸3には、その長手方向に沿った異なる位置P1、P2、P3、P4、P5に、それぞれ、1又は複数の撹拌体7から構成される撹拌体群H1〜H5が取り付けられており、そのうち、撹拌体群H1は洗米空間β内に位置し、残る撹拌体群H2〜H5は洗米空間α内に位置している。なお、図示の例においては、4段の撹拌体群H2〜H5が逆円錐台形状の洗米空間α内に位置しているが、洗米空間α内に位置する撹拌体群の数は4段に限られるものではなく、少なくとも2段以上の撹拌体群が洗米空間α内に位置しておれば良く、より均一な洗米を実現するという観点からは、3段以上の撹拌体群が洗米空間α内に位置しているのが好ましい。
【0025】
また、図示の例においては、洗米空間β内に位置する撹拌体群は撹拌体群H1の1段のみであるが、洗米空間β内に位置する撹拌体群は2段以上であっても良い。さらに、図示の例においては、洗米槽2は洗米空間αの上部に洗米空間βを有しているが、洗米槽2は洗米空間として逆円錐台形状の洗米空間αを有しておれば良く、円筒形状の洗米空間βは存在しなくても良い。因みに、洗米空間βが存在しない場合には、当然のことながら、洗米空間β内に存在する撹拌体群の段数は0段となる。
【0026】
図3図7は、それぞれ、図2におけるA−A’線、B−B’線、C−C’線、D−D’線、及びE−E’線での水平断面図である。図3に示すとおり、位置P1に取り付けられた複数の撹拌体7で構成される撹拌体群H1は、回転軸3から半径方向に放射状に突出する5本の撹拌体7から構成されており、各撹拌体7間の円周方向の角度間隔θ〜θはいずれも均等で72度である。
【0027】
同様に、図4に示すとおり、位置P2に取り付けられた複数の撹拌体7で構成される撹拌体群H2は、回転軸3から半径方向に放射状に突出する4本の撹拌体7から構成されており、各撹拌体7間の円周方向の角度間隔θ〜θはいずれも均等で90度である。また、図5に示すとおり、位置P3に取り付けられた複数の撹拌体7で構成される撹拌体群H3は、回転軸3から半径方向に放射状に突出する3本の撹拌体7から構成されており、各撹拌体7間の円周方向の角度間隔θ〜θはいずれも均等で120度である。さらに、図6に示すとおり、位置P4に取り付けられた複数の撹拌体7で構成される撹拌体群H4は、回転軸3から半径方向に放射状に突出する2本の撹拌体7から構成されており、撹拌体7間の円周方向の角度間隔θとθは均等で、いずれも180度である。一方、図7に示すように、位置P5に取り付けられた撹拌体7で構成される撹拌体群H5は、回転軸3から半径方向に突出する1本の撹拌体7から構成されている。
【0028】
以上のとおり、撹拌体群H1、H2、H3、H4、及びH5は、それぞれ、5本、4本、3本、2本、及び1本の撹拌体7から構成されており、各撹拌体群を構成する撹拌体7の数を逆円錐台形状の洗米空間α内に位置する撹拌体群H2〜H5についてみると、上下方向に隣接する撹拌体群同士で比べた場合、上方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体7の数HαNと、下方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体7の数HαNとは、HαN>HαNの関係にあり、さらには、HαN−HαN=1の関係にある。
【0029】
具体的には、例えば、上下方向に隣接する撹拌体群H2とH3において、上方に位置する撹拌体群H2を構成する撹拌体7の数はHαN=4であり、下方に位置する撹拌体群H3を構成する撹拌体7の数はHαN=3であるから、HαN>HαNの関係にあり、さらには、HαN−HαN=4−3=1の関係にある。
【0030】
同様に、上下方向に隣接する撹拌体群H3とH4において、上方に位置する撹拌体群H3を構成する撹拌体7の数はHαN=3であり、下方に位置する撹拌体群H4を構成する撹拌体7の数はHαN=2であるから、HαN>HαNの関係にあり、さらには、HαN−HαN=3−2=1の関係にある。さらに、上下方向に隣接する撹拌体群H4とH5において、上方に位置する撹拌体群H4を構成する撹拌体7の数はHαN=2であり、下方に位置する撹拌体群H5を構成する撹拌体7の数はHαN=1であるから、HαN>HαNの関係にあり、さらには、HαN−HαN=2−1=1の関係にある。
【0031】
このように、本発明の洗米装置1においては、逆円錐台形状の洗米空間α内に位置する複数の撹拌体群のうち、上下方向に隣接する撹拌体群同士で比べた場合、上方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体7の数HαNと下方に位置する前記撹拌体群を構成する撹拌体7の数HαNとは、HαN>HαNの関係にある。なお、本例においては、HαNとHαNとは、HαN>HαNの関係にあるとともに、HαN−HαN=1の関係にあるが、HαNとHαNとの差は必ずしも1に限られるわけではなく、2又は3以上であっても良い。また、洗米空間α内に位置する上下方向に隣接する撹拌体群が複数組存在する場合、HαNとHαNとの差は、必ずしも全組においても同じである必要はなく、異なっていても良い。ただし、より均一な洗米を実現するという観点からは、HαNとHαNとの差は1であるのが好ましく、洗米空間α内に位置する上下方向に隣接する撹拌体群が複数組存在する場合には、全組において、HαNとHαNとの差が1であるのが好ましい。
【0032】
また、円筒状の洗米空間β内にも撹拌体群が存在する場合には、洗米空間β内で最も下方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体7の数HβNと、逆円錐台形状の洗米空間α内で最も上方に位置する撹拌体群を構成する撹拌体7の数HαNとが、HβN>HαNの関係にあるのが好ましい。本例においては、洗米空間β内に位置する撹拌体群は撹拌体群H1だけであるので、撹拌体群H1が洗米空間β内で最も下方に位置する撹拌体群ということになり、撹拌体群H1を構成する撹拌体7の数は5本であるので、HβN=5である。一方、洗米空間α内には4つの撹拌体群H2〜H5が存在し、その中で最も上方に位置する撹拌体群H2を構成する撹拌体7の数は4本であるので、HαN=4であり、HβN>HαNの関係にあり、HβNとHαNとの差は1である。
【0033】
なお、HβNとHαNとの差は必ずしも1に限られるわけではなく、2又は3以上であっても良いが、より均一な洗米を実現するという観点からは、HβNとHαNの差は1であるのが好ましい。また、洗米槽2が円筒状の洗米空間βを有さない場合には、そもそも、洗米空間β内で最も下方に位置する撹拌体群は存在しないので、HβNも存在しない。
【0034】
以下、図1を用いて、本発明の洗米装置1の動作の一例を説明する。まず、米排出口8を開閉する開閉弁9が閉、水排出口10を開閉する開閉弁11が開の状態で、米貯蔵タンク15から計量された所定量の米が米供給口14を介して洗米槽2内に供給されるとともに、水貯蔵タンク17から水供給口16を介して洗米用の水が洗米槽2内に供給される。続いて、電動機6が駆動され、回転軸3が各位置P1〜P5に取り付けられた撹拌体7と共に回転し、予備洗米が行われる。予備洗米中、開閉弁11は開の状態にあるので、予備洗米は水排出口10から洗米水を排出しながら行われることになる。ただし、洗米槽2と水排出口10との境にはフィルター12が設けられているので、米が水排出口10から外部に排出されることはない。
【0035】
所定の予備洗米が終わると、一旦、洗米水を水排出口10から全て排出した後、開閉弁11を閉にし、水供給口16から新たな洗米水を洗米槽2内に供給する。この洗米水の供給は、オーバーフロー用排水口13から排水が始まると停止させる。この状態で、回転軸3を撹拌体7とともに回転させ、洗米が行われる。必要に応じて、回転体3を一時停止させ、開閉弁11を開にして洗米水を水排出口10から全て外部に排出した後、再び開閉弁11を閉にして、水供給口16から新たな洗米水を洗米槽2内に供給する動作を1回又は複数回繰り返す。なお、予備洗米時及びそれに続く洗米時に、回転軸3は連続的に同じ方向に回転を続けても良いが、所定の回転角度ごとに回転方向を逆転させても良い。
【0036】
このような動作を行うことによって洗米が終了すると、一旦、洗米に使用した水を水排出口10から全て排出した後、水供給口16から新たに所定量の水を洗米槽2内に供給し、米排出口8の開閉弁9を開とし、洗米槽2内の洗米済の米を新たに供給された所定量の水とともに、米排出口8の下方に位置する図示しない炊飯釜又は浸漬容器などの容器内に排出する。炊飯釜内又は浸漬容器などの容器に排出された米は、炊飯釜内又は浸漬容器内で所定時間水浸漬された後、必要に応じて適宜の調味液や具材等が添加され、炊飯工程に進むことになる。
【0037】
以上のようにして、図1に示す洗米装置1を用いて7kgの米を洗米し、米排出口8から炊飯釜内に排出後、米の洗米状態を目視で確認したところ、米粒に欠けや胴割れはなく、また洗い残しも見られず、洗米状態は極めて均一であった。図1に示す洗米装置1を用いて、このように均一な洗米が実現された理由は定かではないが、逆円錐台形状の洗米空間α内においては、その直上に存在する米や水の重さに加えて、逆円錐台形状の斜面の傾斜に沿って回転軸3の中心側へ向かおうとする米と水の圧力が加わった状態にあり、逆円錐台形状の洗米空間αの下方になるほど、米と撹拌体7との接触圧がより大きくなるので、逆円錐台形状の下方に向かうほど撹拌体7の数を減らして米と撹拌体7との接触頻度を減らすことによって、逆円錐台形状の洗米空間αの上下でバランス良く、均一な洗米が達成されたのではないかと推測される。
【0038】
図8図10は、それぞれ、撹拌体7の他の例を示す正面図、側面図、及び平面図である。図8図10に示されるとおり、本例の撹拌体7は、垂直断面が平行四辺形状の一様な板状の撹拌体であり、回転軸3に対し傾いて取り付けられている。その結果、撹拌体7は、図中矢印Rで示す洗米時における回転軸3の回転方向の前方に、その上端部7tが下端部7bよりも、前記回転方向後方に後退した平面状の表面Sを有している。
【0039】
図11は、洗米槽2内で図8図10に示す形状の撹拌体7を回転させたときの米と水の動きを模式的に示す図である。図11に示すとおり、本例の撹拌体7は、洗米時における回転軸3の回転方向Rの前方に、その上端部7tが下端部7bよりも、回転方向Rの後方に後退した平面状の表面Sを有しているので、これを洗米槽2内で回転させると、撹拌体7と直接又は間接に接触する米と水とは、図中矢印vで示すように、撹拌体7の表面Sに沿って一旦は上方に持ち上げられた後、撹拌体7の上端部7tを超えると再び下方に落下することになるので、米粒と水又は米粒同士の接触頻度が増し、より高い洗米効率を実現することができる。
【0040】
なお、撹拌体7の断面形状は平行四辺形に限られず、例えば、図12に示すような四角形であっても良い。また、撹拌体7と水平面とが為す傾き角ωにも基本的に制限はないが、傾き角ωが45度を超えると、洗米槽2内での回転時に米と水から受ける抵抗が大きくなりすぎ、逆に30度未満では十分な撹拌効果が得られない恐れがあるので、30度以上45度以下が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述したとおり、本発明の洗米装置によれば、逆円錐台形状の洗米空間を備えつつ、均一が洗米を実現することができる。本発明の洗米装置は、個別の炊飯装置における洗米装置として有用であるばかりでなく、多数の炊飯釜を擁する炊飯システムにおける洗米装置としても有用であり、本発明の洗米装置及びこれを備える本発明の炊飯システムの産業上の利用可能性は多大である。
【符号の説明】
【0042】
1 洗米装置
2 洗米槽
3 回転軸
4 軸受
5 ギアボックス
6 電動機
7 撹拌体
8 米排出口
9、11 開閉弁
10 水排出口
12 フィルター
13 オーバーフロー用排水口
14 米供給口
15 米貯蔵タンク
16 水供給口
17 水貯蔵タンク
α 逆円錐台形状の洗米空間
β 円筒状の洗米空間
a 洗米空間αと洗米空間βとの境界面
H1〜H5 撹拌体群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12