特許第6688118号(P6688118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688118
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】天井化粧構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/26 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   E04B9/26 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-59466(P2016-59466)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-172212(P2017-172212A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−071624(JP,U)
【文献】 特開平04−044563(JP,A)
【文献】 実開昭61−194013(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/06
E04B 9/22
E04B 9/26
E04B 9/28
E04B 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井下地に対し、少なくともウエブと、該ウエブの下端に設けた下フランジとを備える支持材を所定間隔にて取り付け、隣り合う前記支持材間に天井化粧材を取り付けた天井化粧構造であって、
前記天井化粧材は、下面側が化粧面となる化粧面部と、該化粧面部の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材の下フランジの上方に配設される嵌入部と、該嵌入部の下端に延設される係合部と、を有し、
間隔を隔てて突き合わされた隣り合う前記支持材の下フランジ間に、前記天井化粧材を配設して前記係合部を嵌合させてなることを特徴とする天井化粧構造。
【請求項2】
支持材は、ウエブに複数の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井化粧構造。
【請求項3】
支持材は、天井下地に固定される横面部と、該横面部の左右を折り下げたウエブと、該ウエブの下端を外方へ折り曲げて形成した下フランジと、を有する左右対称状の部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の天井化粧構造。
【請求項4】
天井化粧材は、化粧面部の前端及び後端を折り上げ又は折り下げていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の天井化粧構造。
【請求項5】
天井化粧材は、係合部の下端に下方へ延在する固定部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の天井化粧構造。
【請求項6】
支持材の下フランジを下方側から被覆する化粧カバーを設けていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の天井化粧構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC(鉄筋コンクリート)等にて形成される天井下地に対して取り付ける化粧構造であって、天井美観を損なうことがなく、支持材をアンカーにて取り付けると共に該支持材間に天井化粧材を下方から簡易な操作にて容易に取り付けることができる天井化粧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
RC(鉄筋コンクリート)等で施工される天井等の下地(内壁)は、意匠性を得るために屋根下地にアンカーボルトを打ち込み、該アンカーボルトに対して天井材支持材、天井材等を取り付ける吊り天井と称される工法で天井の仕上げが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述のアンカーを打ち込んで各種の化粧材を張設状に取り付ける方法では、耐震等の観点から構成の複雑化を招き、施工手間も掛かるものであった。
【0004】
そこで、本発明は、RC等の天井下地に対して取り付ける化粧構造であって、天井美観を損なうことがなく、支持材をアンカーにて取り付けると共に該支持材間に天井化粧材を下方から簡易な操作にて容易に取り付けることができる天井化粧構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、天井下地に対し、少なくともウエブと、該ウエブの下端に設けた下フランジとを備える支持材を所定間隔にて取り付け、隣り合う前記支持材間に天井化粧材を取り付けた天井化粧構造であって、前記天井化粧材は、下面側が化粧面となる化粧面部と、該化粧面部の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材の下フランジの上方に配設される嵌入部と、該嵌入部の下端に延設される係合部と、を有し、間隔を隔てて突き合わされた隣り合う前記支持材の下フランジ間に、前記天井化粧材を配設して前記係合部を嵌合させてなることを特徴とする天井化粧構造を提案するものである。
【0006】
また、本発明は、前記天井化粧構造において、支持材は、ウエブに複数の開口部が形成されていることを特徴とする天井化粧構造をも提案する。
【0007】
また、本発明は、前記天井化粧構造において、支持材は、天井下地に固定される横面部と、該横面部の左右を折り下げたウエブと、該ウエブの下端を外方へ折り曲げて形成した下フランジと、を有する左右対称状の部材であることを特徴とする天井化粧構造をも提案する。
【0008】
また、本発明は、前記天井化粧構造において、天井化粧材は、化粧面部の前端及び後端を折り上げ又は折り下げていることを特徴とする天井化粧構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記天井化粧構造において、天井化粧材は、係合部の下端に下方へ延在する固定部を有することを特徴とする天井化粧構造をも提案する。
【0010】
また、本発明は、前記天井化粧構造において、支持材の下フランジを下方側から被覆する化粧カバーを設けていることを特徴とする天井化粧構造をも提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の天井化粧構造は、RC(鉄筋コンクリート)等の天井下地に対してアンカー等で支持材を取り付け、間隔を隔てて突き合わされた隣り合う支持材の下フランジ間に天井化粧材を配設した構成であって、天井化粧材に設けた左右の嵌入部を隣り合う支持材の下フランジの内側にそれぞれ配置させると共に左右の係合部を嵌合させたものである。
したがって、この天井化粧構造では、アンカー等を用いる箇所が少なく、また取り付けた支持材に対して天井化粧材を容易に且つ確実に固定することができる。
また、前記天井化粧材は、室内側から凹状(上方へ凸状)の独特の化粧面を備える。
【0012】
また、支持材のウエブに複数の開口部が形成されている場合、この開口部を配線等を通す部位として、ウエブ間に位置するアンカーを隠す化粧材の取付部位として、支持材自体を隠す化粧材の取付部位として、或いは照明灯の機器の取付部位などとして用いることができる。
【0013】
また、支持材が、天井下地に固定される横面部と、該横面部の左右を折り下げたウエブと、該ウエブの下端を外方へ折り曲げて形成した下フランジと、を有する左右対称状の部材とした場合には、隣り合う上述の前記支持材間に取り付ける天井化粧材も、前記支持材と同様に左右対称状の部材となるため、その製造に際してもその取付施工に際しても極めて効率がよいものとなる。
【0014】
また、天井仕上げ材が、化粧面部の前端及び後端を折り上げ又は折り下げている場合には、化粧面部の曲げ強度が高いものとなり、軽量化を可能にし、形状安定性も高いものとなる。
【0015】
また、天井化粧材が、係合部の下端に下方へ延在する固定部を有する場合には、係合部の固定がより強固に且つ確実なものとなる。
【0016】
また、支持材の下フランジを下方側から被覆する化粧カバーを設けている場合には、前記天井化粧材と相まって天井全体の美観向上が果たされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)本発明の第1実施例における天井化粧構造を示す断面図、(b)その側断面図、(c)用いた天井化粧材の一部を省略して示した拡大断面図、(d)用いた支持材を示す拡大断面図である。
図2】(a)第1実施例の天井化粧構造における開口部の用途例を示す断面図、(b)その側断面図、(c)用いた照明灯の機器を固定する構成を示す拡大断面図、(d)用いた化粧材を示す拡大断面図である。
図3】(a)第1実施例の天井化粧構造において化粧カバーを取り付けた状態を示す断面図、(b)その側断面図、(c)用いた化粧カバーを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の天井化粧構造は、天井下地に対し、少なくともウエブと、該ウエブの下端に設けた下フランジとを備える支持材を所定間隔に取り付け、前記支持材間に天井化粧材を取り付けたものである。
【0019】
前記支持材は、前述のように天井下地に取り付けられるものであって、少なくともウエブと、該ウエブの下端に設けた下フランジとを備える構成である。
この支持材としては、天井化粧材の取付部分である下フランジを左右に有するものでもよいし、左右の何れか一方のみに有するものでもよい。また、この支持材は、各種の金属板等を折曲加工して形成したものでも、押出成形等により形成したものでもよいし、特にその製造方法を限定するものではない。
【0020】
特に後述する図示実施例のように支持材を天井下地に固定される横面部と、該横面部の左右を折り下げたウエブと、該ウエブの下端を外方へ折り曲げて形成した下フランジと、を有する左右対称状の部材とした場合には、隣り合う上述の前記支持材間に取り付ける天井化粧材も、前記支持材と同様に左右対称状の部材となるため、その製造に際してもその取付施工に際しても極めて効率がよいものとなる。
【0021】
前記支持材のウエブは、前記下フランジを下端に有するものであって、一つの支持材に左右それぞれに設けられるものでも、一面のみのウエブを設けるものでもよい。前者の態様は、それぞれ左右の何れか一方の外方へ延在する一つの下フランジを有する構成であって、後者の態様は、左右の両方に外方へ延在する二つの下フランジを有する構成である。
このウエブには、複数の開口部を形成することが望ましいが、この開口部は、部材の軽量化に貢献するばかりでなく、配線等を通す部位、ウエブ間に位置するアンカーを隠す化粧材の取付部位、支持材自体を隠す化粧材の取付部位、照明灯の機器の取付部位などとして用いられ、その形状については、円形状でも楕円形状でも特に限定するものではない。
【0022】
なお、前述のように前記支持材は天井下地に取り付けられるものであるから、前記ウエブの上端に天井下地に固定される横面部を設けるが、例えば天井下地が平坦状であれば横面部も平坦状に形成すればよい。
また、天井下地は、RC(鉄筋コンクリート)等にて形成される下面を指すものであって、一般的には略平坦状であるが、特に限定するものではなく、予め前記支持材を取り付けるための孔を形成しておくようにしてもよい。
【0023】
前記天井化粧材は、下面側が化粧面となる化粧面部と、該化粧面部の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材の下フランジの上方に配設される嵌入部と、該嵌入部の下端に設けられる係合部と、を有する構成である。
この天井化粧材は、前述のように隣り合う前記支持材間に取り付けられるものであるから、後述する図示実施例のように左右対称状の部材として成形することができる。この場合には、部材の生産に関しても取付作業(取付方向の誤りを生じない)においても利点が大きいものとなる。
【0024】
この天井仕上げ材は、前記支持材の長さ方向に連続する長尺状でもよいが、所定長さを有する定尺材を複数並列状に配設するものでもよく、意匠性を継続的に維持でき、前述の挙動を可能とする材料であれば、例えば金属板や硬質樹脂板等の単一材料にて構成されるものでもよいし、例えば有孔性の材料にボード状の材料を組み合わせた複数材料にて構成されるものでもよい。なお、前記金属板等に強度の向上を目的としてボード状の材料を組み合わせてもよいが、以降の複数材料にて構成される態様としては、有孔性材料とボード状材料とを組み合わせたものとする。
【0025】
前記天井化粧材が前記有孔性材料とボード状材料を組み合わせた複数材料にて構成される態様は、この天井化粧材の部位やこの天井化粧材が必要とする特性を何れか一方に全て負担させるのではなく、各材料に分担させる態様ということもできる。
化粧面部は、専らボード状材料に任せることにより強度を向上することができ、嵌入部や係合部は、専ら有孔性材料に任せるようにすればよい。言い換えれば、ボード状材料としては、化粧面部として必要な特性を有するものであれば、特にその材質を限定するものではなく、有孔性材料としては、嵌入部や係合部として必要な特性を有するものであれば、特にその材質を限定するものではない。
【0026】
前記化粧面部は、隣り合う前記支持材間に亘る部位であって、後述する図示実施例では側面視が略平坦状(略水平状)に成形されているが、特にその形状について限定するものではない。
また、前記化粧面部は、使用する材質や板厚又は長さ(後述する図面(例えば図1)上の奥行き方向)、幅(支持材間隔)等によって、その後端及び前端を折り上げ又は折り下げているものであってもよい。即ちその場合には化粧面部の曲げ強度が高くなり、軽量化を可能にし、形状安定性も高くなる。なお、複数材料の有孔性材料を、この化粧面部の補助として用い、長さ方向の前端及び後端を折り上げ、その折り上げ片間にボード状材料を保持するようにしてもよい。
【0027】
前記嵌入部は、前述のように前記化粧面部の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では支持材の下フランジの上方(内側)に配設される部位であって、その下端には係合部が設けられる。この係合部は、取付状態では下フランジの先端に弾性的に係合される。
例えばこの天井化粧材を下から押し込むように配設させる場合の挙動について簡単に説明すると、下から押し込むという操作により、左右の嵌入部がそれぞれ前記支持材の下フランジの先端に当接しつつ押し上げられることになるため、弾性に抗して縮幅される応力を天井化粧材は受けつつ押し上げられる。そして、最も外側へ拡開している嵌入部の下端が、支持材の下フランジの上方に至った時点(嵌入部を押し込んだ時点)で応力が開放され、嵌入部の下端に設けた係合部が下フランジの先端に弾性的に係合して安定な配設状態が得られるのである。
この嵌入部の形状は、どのように形成してもよいし、特に限定するものではないが、隣り合う支持材のその下端に設けられる係合部は、支持材の下フランジの先端に外側から係合するものであるから、嵌入部の下端が最も外側へ拡開していることが望ましい。
また、係合部の形状も、支持材の下フランジの構成によって適宜に設定すればよいが、リップを備えない下フランジに対しては下フランジに沿う横片の前端を折り返した形状に形成すればよいし、リップを備える下フランジに対しては下フランジ及びリップに沿うL字状に形成すればよい。
【0028】
前述のように支持材の下フランジに対し、天井化粧材を安定に取り付けるためには、弾性的に係合させることが望ましい。
左右の嵌入部間の幅長さ(=天井化粧材の最大幅)を、突き合わされた隣り合う支持材の下フランジ間(=突き合わされた空間長さ)より長く形成するのは説明するまでもない(そうでなければ配設した天井化粧材が落下する)が、例えば嵌入部と化粧面部との拡開角度を、取付状態の角度よりも拡開状に成形しておけば、その下端に設けられた係合部にも弾性は作用するし、例えば嵌入部と係合部との拡開角度も、取付状態の角度よりも拡開状に成形ておいても、弾性は係合部に作用するので、何れかの態様又は両態様を採用して弾性的に係合させることが望ましい。
【0029】
なお、前記係合部の下端には、下方へ延在する固定部を設けるようにしてもよい。即ち該固定部からビス等の固着具を打ち込むことにより、係合部の固定はより強固に且つ確実なものとなる。
【0030】
また、後述する図示実施例のように前記支持材の下フランジを下方側から被覆する化粧カバーを設けることが望ましい。この場合には、前記天井化粧材と相まって天井全体の美観向上が果たされる。
前記化粧カバーは、前記支持材の下フランジを下方側から被覆する化粧面を有するものであって、支持材の長さ方向に連続する長尺状に形成される。また、この化粧カバーには、前記支持材と天井化粧材との取付を補助(強化)する構成を具備させてもよい。
【0031】
これらの天井化粧材及び支持材材より構成される本発明の天井化粧構造は、間隔を隔てて突き合わされた前記支持材の下フランジ間に、前記天井化粧材を配設した構成であって、天井化粧材の係合部を前記支持材の下フランジに嵌合させてなるものである。そして、この天井化粧構造では、例えば天井方向へ押し上げるという簡易な操作にて天井化粧材を容易に且つ確実に固定することができ、しかもこの天井化粧構造は、室内側から見上げて凹状(上方へ凸状)の独特の化粧面を備える。
【実施例1】
【0032】
図1に示す本発明の第1実施例の天井化粧構造は、天井下地3に対し、ウエブ21と、該ウエブ21の下端に設けた下フランジ22,22とを備える支持材2を所定間隔にて取り付け、隣り合う前記支持材2,2間に、下面側が化粧面となる化粧面部11と、該化粧面部11の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材2の下フランジ22の上方に配設される嵌入部12,12と、該嵌入部12,12の下端に延設される係合部13,13と、を有する天井化粧材1を取り付けた構成である。
【0033】
この天井化粧構造に用いられる支持材2は、図1(d)に拡大して示すように略中央に位置して天井下地3に固定される横面部23と、該横面部23の左右を折り下げたウエブ21,21と、該ウエブ21,21の下端に設けた下フランジ22,22とを備える左右対称状の部材である。
【0034】
この支持材2の前記横面部23は、天井下地3に対してアンカー2bにて固定される固定部であり、前記ウエブ21は、長さ方向に複数の楕円状の開口部211を開設した縦面状であり、前記下フランジ22は、前記ウエブ21の下端を外方へ略水平状に折り曲げて形成して横面状であり、その先端には上向き片であるリップ221が延設されている。
【0035】
また、この天井化粧構造に用いられる天井化粧材1は、図1(c)に拡大して示すように下面側が化粧面となる化粧面部11と、該化粧面部11の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材2の下フランジ22,22の上方に配設される嵌入部12,12と、該嵌入部12,12の下端に延設される係合部13,13と、を有する左右対称状の部材である。
【0036】
この天井化粧材1の前記化粧面部11は、隣り合う前記支持材2,2間に亘る部位であって、側面視が略平坦状(略水平状)に成形され、長さ方向の前端及び後端を折り下げて(折り下げ片111)曲げ強度及び形状安定性を高くしたものである。
また、前記嵌入部12は、前記化粧面部11の左右の端縁を鈍角状に傾斜状に折り曲げた形状であって、この嵌入部12は、取付状態では前記支持材2の下フランジ22の上方に配設される部位であり、その下端には係合部13が延設されている。
【0037】
前述のように配設以前の嵌入部12,12は、配設状態における拡開角度より更に広く拡開して成形されているが、この天井化粧材1を下から押し込むように配設すると、左右の嵌入部12,12がそれぞれ前記支持材2,2の下フランジ22,22に当接しつつ押し上げられることになるため、前記嵌入部12,12がそれぞれ内側方向への弾性変形を受けつつ押し上げられる。そして、最も外側へ拡開している嵌入部12,12の下端が、支持材2,2の下フランジの上方に至った時点(嵌入部12を押し込んだ時点)で応力が開放され、嵌入部12,12の下端に設けた係合部13が下フランジ22の先端に弾性的に係合して安定な配設状態が得られる。
【0038】
また、この天井化粧材1の左側の嵌入部12の下端に延設される係合部13は、前記支持材2の下フランジ22及び上向きリップ221に沿うL字状に形成した。
なお、前記係合部13,13には、ビス1bを側方から打ち込むことができる縦面状の固定部131,131が延設されている。
【0039】
そして、前述のように配設以前の天井化粧材1は、図示されている取付状態よりも左右の嵌入部12,12がもっと広く拡開するように成形されているので、取り付けられた状態の天井化粧材1では、左右の嵌入部12,12がもっと外側方向へ弾性回復しようとする応力が作用し、それらの下端に延設された係合部13,13にもそれぞれ外側方向へ応力が作用している。そのため、係合部13は下フランジ22の上向きリップ221に弾性係合(圧接)している。
【0040】
なお、天井化粧材1の配設以前は、化粧面部11に対する嵌入部12,12の拡開角度を配設状態の角度よりも大きく成形していることは既に説明したが、嵌入部12と係合部13との拡開角度を配設状態の角度よりも大きく成形しておくようにしてもよく、両者を併用するようにしてもよい。
【0041】
このような部材により構成される本発明の天井化粧構造は、間隔を隔てて突き合わされた前記支持材2,2の下フランジ22,22間に、前記天井化粧材1を配設した構成であって、係合部13,13を前記支持材2の下フランジ22(リップ221)にそれぞれ弾性的に係合させて嵌合したものである。
したがって、この天井化粧構造では、天井方向へ押し上げるという簡易な操作にて天井化粧材1を容易に且つ確実に支持材2に固定することができる。
【0042】
しかもこの第1実施例では、前述のように天井化粧材1が左右対称状に成形されたものである。そのため、この天井化粧材1の設計、成形を容易に行うことができ、またその取付作業に際しても、取付方向の誤りを生ずることがないものである。
【0043】
また、この第1実施例では、前記化粧面部11の前端及び後端を折り下げているので、化粧面部11の曲げ強度が高いものとなり、軽量化を可能にし、形状安定性も高いものとなった。
さらに、前記天井化粧材1には、係合部13,13の下端に下方へ延在する固定部131,131を設けてビス1bにて固定したので、係合部13,13の固定がより強固に且つ確実なものとなった。
なお、前記支持材2のウエブ21に設けた複数の開口部211は、この支持材2自体の軽量化に貢献するばかりでなく、この図1には図示していないが配線を通す部位として用いることができる。
【0044】
図2に示す天井化粧構造は、天井化粧材1と支持材2に関しては前記第1実施例と同様であってウエブ21には複数の横長楕円状の開口部211が形成されているが、この開口部211に前記アンカー2bを隠す化粧材4Aを取り付ける構成の一例を図2(a)の右側に記載し、同図の左側には二点鎖線で示した照明灯の機器5Aを取り付ける構成の一例を記載している。
即ちこの図2(a)に示される天井化粧構造は、前記第1実施例とは複数の開口部211の用途が異なる例を示したものである。
【0045】
図2(a)の右側に示す構成を拡大して図2(d)に示しているが、前記支持材2を固定するための前記アンカー2bを隠す化粧材4Aが、略Z字状に成形された引っ掛け金具4b,4bにて取り付けられている。
前記引っ掛け金具4bは、縦片の上端が折り返された係止部41と、下端が折り返された連結用係止部42とを備えるピース材であり、前記化粧材4Aは、略水平面状の化粧底面から立ち上がる起立片が左右に形成され、それぞれの起立片の上端には楔状の連結用係合部43が形成された長尺材である。
そして、前記支持材2のウエブ21,21にそれぞれ内側から前記引っ掛け金具4bの係止部41を掛止させ、その縦片をウエブ21の内面側に沿わせた状態で、下方から化粧材2Aを押し上げるように臨ませることにより、引っ掛け金具2b,2bの係合用係止部42,42に係止材2Aの左右の連結用係合部43,43を係合させて一体的に取り付けている。
【0046】
図2(a)の左側に示す構成を拡大して図2(c)に示しているが、二点鎖線で示した照明灯の機器5Aを固定するための部材5Bは、複数の金具より形成されている。
前記固定用の部材5Bは、略U字状に成形され、その略中央に取付部52を備える本体5cに、上端に係止部51を有する縦状材5dを、ビス5eにて一体的に固定した構成であり、照明灯の機器5Aを雄ネジ状に示しているが、その場合、前記取付部52は雌ネジ状に形成すればよい。
そして、前記支持材2のウエブ21,21に対し、前記部材5Bを押し上げるように臨ませることにより、それぞれ内側から係止部51,51を掛止させてウエブ21,21間に位置させ、取付部52に照明灯の機器5Aを一体的に取り付ければよい。なお、予め照明灯の機器5Aを固定用の部材5Bに取り付けた状態で掛止するようにしてもよい。
【0047】
図3に示す天井化粧構造は、天井化粧材1と支持材2に関しては前記第1実施例と同様であるが、前記支持材2自体を隠す化粧カバー6を取り付ける構成の一例を示している。なお、図3(a)の左側には、前記図2(a)の左側に示した照明灯の機器5Aを部材5Bにて固定する構成の更に下側から化粧カバー6が覆う構成を示している。
即ちこの図3(a)に示される天井化粧構造も、前記第1実施例とは複数の開口部211の用途が異なる例を示したものである。
【0048】
前記化粧カバー6を拡大して図3(c)に示しているが、下面側が化粧面となる横面部61の左右端を立ち上げて縦面状の側面部62,62が設けられ、該側面部62の上端を内側へ折り曲げて係止横片621としている。なお、図3(c)は取付状態の化粧カバー6を抜き出して示したものであって、配設前では側面部62,62がやや内側へ傾斜し、係止横片621,621がやや下方へ傾斜するように形成されている。
そして、前記天井化粧構造における天井化粧材1の係合部13,13の上片に、前記化粧カバー6の係止横片621,621が外側から覆うように取り付ける。なお、その配設手順については特に限定するものではないが、例えば化粧カバー6の左右の何れか一方を天井化粧材1の係合部13に引っ掛けるように取り付け、その状態で化粧カバー6を弾性に抗して横に引っ張るように延ばしつつ取り付ければよい。
この構成では、前記化粧カバー6により、室内側から見上げた際に、支持材2が全く見えないので、前記天井化粧材1と相まって天井全体の美観向上が果たされる。
【符号の説明】
【0049】
1 天井化粧材
1b ビス
11 化粧面部
111 折り下げ片
12 嵌入部
13 係合部
131 固定片
2 支持材
2b アンカー
21 ウエブ
211 開口部
22 下フランジ
221 上向きリップ
23 横面部
3 天井下地
6 化粧カバー
図1
図2
図3