【実施例1】
【0032】
図1に示す本発明の第1実施例の天井化粧構造は、天井下地3に対し、ウエブ21と、該ウエブ21の下端に設けた下フランジ22,22とを備える支持材2を所定間隔にて取り付け、隣り合う前記支持材2,2間に、下面側が化粧面となる化粧面部11と、該化粧面部11の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材2の下フランジ22の上方に配設される嵌入部12,12と、該嵌入部12,12の下端に延設される係合部13,13と、を有する天井化粧材1を取り付けた構成である。
【0033】
この天井化粧構造に用いられる支持材2は、
図1(d)に拡大して示すように略中央に位置して天井下地3に固定される横面部23と、該横面部23の左右を折り下げたウエブ21,21と、該ウエブ21,21の下端に設けた下フランジ22,22とを備える左右対称状の部材である。
【0034】
この支持材2の前記横面部23は、天井下地3に対してアンカー2bにて固定される固定部であり、前記ウエブ21は、長さ方向に複数の楕円状の開口部211を開設した縦面状であり、前記下フランジ22は、前記ウエブ21の下端を外方へ略水平状に折り曲げて形成して横面状であり、その先端には上向き片であるリップ221が延設されている。
【0035】
また、この天井化粧構造に用いられる天井化粧材1は、
図1(c)に拡大して示すように下面側が化粧面となる化粧面部11と、該化粧面部11の左右からそれぞれ下方へ延在して少なくとも取付状態では前記支持材2の下フランジ22,22の上方に配設される嵌入部12,12と、該嵌入部12,12の下端に延設される係合部13,13と、を有する左右対称状の部材である。
【0036】
この天井化粧材1の前記化粧面部11は、隣り合う前記支持材2,2間に亘る部位であって、側面視が略平坦状(略水平状)に成形され、長さ方向の前端及び後端を折り下げて(折り下げ片111)曲げ強度及び形状安定性を高くしたものである。
また、前記嵌入部12は、前記化粧面部11の左右の端縁を鈍角状に傾斜状に折り曲げた形状であって、この嵌入部12は、取付状態では前記支持材2の下フランジ22の上方に配設される部位であり、その下端には係合部13が延設されている。
【0037】
前述のように配設以前の嵌入部12,12は、配設状態における拡開角度より更に広く拡開して成形されているが、この天井化粧材1を下から押し込むように配設すると、左右の嵌入部12,12がそれぞれ前記支持材2,2の下フランジ22,22に当接しつつ押し上げられることになるため、前記嵌入部12,12がそれぞれ内側方向への弾性変形を受けつつ押し上げられる。そして、最も外側へ拡開している嵌入部12,12の下端が、支持材2,2の下フランジの上方に至った時点(嵌入部12を押し込んだ時点)で応力が開放され、嵌入部12,12の下端に設けた係合部13が下フランジ22の先端に弾性的に係合して安定な配設状態が得られる。
【0038】
また、この天井化粧材1の左側の嵌入部12の下端に延設される係合部13は、前記支持材2の下フランジ22及び上向きリップ221に沿うL字状に形成した。
なお、前記係合部13,13には、ビス1bを側方から打ち込むことができる縦面状の固定部131,131が延設されている。
【0039】
そして、前述のように配設以前の天井化粧材1は、図示されている取付状態よりも左右の嵌入部12,12がもっと広く拡開するように成形されているので、取り付けられた状態の天井化粧材1では、左右の嵌入部12,12がもっと外側方向へ弾性回復しようとする応力が作用し、それらの下端に延設された係合部13,13にもそれぞれ外側方向へ応力が作用している。そのため、係合部13は下フランジ22の上向きリップ221に弾性係合(圧接)している。
【0040】
なお、天井化粧材1の配設以前は、化粧面部11に対する嵌入部12,12の拡開角度を配設状態の角度よりも大きく成形していることは既に説明したが、嵌入部12と係合部13との拡開角度を配設状態の角度よりも大きく成形しておくようにしてもよく、両者を併用するようにしてもよい。
【0041】
このような部材により構成される本発明の天井化粧構造は、間隔を隔てて突き合わされた前記支持材2,2の下フランジ22,22間に、前記天井化粧材1を配設した構成であって、係合部13,13を前記支持材2の下フランジ22(リップ221)にそれぞれ弾性的に係合させて嵌合したものである。
したがって、この天井化粧構造では、天井方向へ押し上げるという簡易な操作にて天井化粧材1を容易に且つ確実に支持材2に固定することができる。
【0042】
しかもこの第1実施例では、前述のように天井化粧材1が左右対称状に成形されたものである。そのため、この天井化粧材1の設計、成形を容易に行うことができ、またその取付作業に際しても、取付方向の誤りを生ずることがないものである。
【0043】
また、この第1実施例では、前記化粧面部11の前端及び後端を折り下げているので、化粧面部11の曲げ強度が高いものとなり、軽量化を可能にし、形状安定性も高いものとなった。
さらに、前記天井化粧材1には、係合部13,13の下端に下方へ延在する固定部131,131を設けてビス1bにて固定したので、係合部13,13の固定がより強固に且つ確実なものとなった。
なお、前記支持材2のウエブ21に設けた複数の開口部211は、この支持材2自体の軽量化に貢献するばかりでなく、この
図1には図示していないが配線を通す部位として用いることができる。
【0044】
図2に示す天井化粧構造は、天井化粧材1と支持材2に関しては前記第1実施例と同様であってウエブ21には複数の横長楕円状の開口部211が形成されているが、この開口部211に前記アンカー2bを隠す化粧材4Aを取り付ける構成の一例を
図2(a)の右側に記載し、同図の左側には二点鎖線で示した照明灯の機器5Aを取り付ける構成の一例を記載している。
即ちこの
図2(a)に示される天井化粧構造は、前記第1実施例とは複数の開口部211の用途が異なる例を示したものである。
【0045】
図2(a)の右側に示す構成を拡大して
図2(d)に示しているが、前記支持材2を固定するための前記アンカー2bを隠す化粧材4Aが、略Z字状に成形された引っ掛け金具4b,4bにて取り付けられている。
前記引っ掛け金具4bは、縦片の上端が折り返された係止部41と、下端が折り返された連結用係止部42とを備えるピース材であり、前記化粧材4Aは、略水平面状の化粧底面から立ち上がる起立片が左右に形成され、それぞれの起立片の上端には楔状の連結用係合部43が形成された長尺材である。
そして、前記支持材2のウエブ21,21にそれぞれ内側から前記引っ掛け金具4bの係止部41を掛止させ、その縦片をウエブ21の内面側に沿わせた状態で、下方から化粧材2Aを押し上げるように臨ませることにより、引っ掛け金具2b,2bの係合用係止部42,42に係止材2Aの左右の連結用係合部43,43を係合させて一体的に取り付けている。
【0046】
図2(a)の左側に示す構成を拡大して
図2(c)に示しているが、二点鎖線で示した照明灯の機器5Aを固定するための部材5Bは、複数の金具より形成されている。
前記固定用の部材5Bは、略U字状に成形され、その略中央に取付部52を備える本体5cに、上端に係止部51を有する縦状材5dを、ビス5eにて一体的に固定した構成であり、照明灯の機器5Aを雄ネジ状に示しているが、その場合、前記取付部52は雌ネジ状に形成すればよい。
そして、前記支持材2のウエブ21,21に対し、前記部材5Bを押し上げるように臨ませることにより、それぞれ内側から係止部51,51を掛止させてウエブ21,21間に位置させ、取付部52に照明灯の機器5Aを一体的に取り付ければよい。なお、予め照明灯の機器5Aを固定用の部材5Bに取り付けた状態で掛止するようにしてもよい。
【0047】
図3に示す天井化粧構造は、天井化粧材1と支持材2に関しては前記第1実施例と同様であるが、前記支持材2自体を隠す化粧カバー6を取り付ける構成の一例を示している。なお、
図3(a)の左側には、前記
図2(a)の左側に示した照明灯の機器5Aを部材5Bにて固定する構成の更に下側から化粧カバー6が覆う構成を示している。
即ちこの
図3(a)に示される天井化粧構造も、前記第1実施例とは複数の開口部211の用途が異なる例を示したものである。
【0048】
前記化粧カバー6を拡大して
図3(c)に示しているが、下面側が化粧面となる横面部61の左右端を立ち上げて縦面状の側面部62,62が設けられ、該側面部62の上端を内側へ折り曲げて係止横片621としている。なお、
図3(c)は取付状態の化粧カバー6を抜き出して示したものであって、配設前では側面部62,62がやや内側へ傾斜し、係止横片621,621がやや下方へ傾斜するように形成されている。
そして、前記天井化粧構造における天井化粧材1の係合部13,13の上片に、前記化粧カバー6の係止横片621,621が外側から覆うように取り付ける。なお、その配設手順については特に限定するものではないが、例えば化粧カバー6の左右の何れか一方を天井化粧材1の係合部13に引っ掛けるように取り付け、その状態で化粧カバー6を弾性に抗して横に引っ張るように延ばしつつ取り付ければよい。
この構成では、前記化粧カバー6により、室内側から見上げた際に、支持材2が全く見えないので、前記天井化粧材1と相まって天井全体の美観向上が果たされる。