特許第6688126号(P6688126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688126
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気整流装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20200421BHJP
   F02D 9/10 20060101ALI20200421BHJP
   F02M 26/17 20160101ALI20200421BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20200421BHJP
【FI】
   F02M35/10 311B
   F02M35/10 311E
   F02D9/10 H
   F02M26/17
   F02M26/05
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-68915(P2016-68915)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-180301(P2017-180301A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】松下 尚史
(72)【発明者】
【氏名】仁科 宏健
(72)【発明者】
【氏名】清水 良行
(72)【発明者】
【氏名】水野 多香子
(72)【発明者】
【氏名】三上 博亮
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−162101(JP,A)
【文献】 特開2011−208575(JP,A)
【文献】 特開2014−202196(JP,A)
【文献】 特開2000−220477(JP,A)
【文献】 特開2015−048794(JP,A)
【文献】 特開2002−371920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0182370(US,A1)
【文献】 特開2014−190172(JP,A)
【文献】 実開昭60−097361(JP,U)
【文献】 特開2001−303982(JP,A)
【文献】 実開平04−119338(JP,U)
【文献】 実開平03−017241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02D 9/10
F02M 26/05
F02M 26/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に配置されたスロットル装置を備えるとともに、前記吸気通路にEGR通路が連通し、前記吸気通路における前記スロットル装置の下流側であって、前記EGR通路との合流部近傍に整流部材を備えた内燃機関の吸気整流装置において、
前記整流部材を加熱する加熱手段を備え
前記加熱手段は、EGR通路を形成するとともに前記整流部材の外周に沿って配設されたEGR配管を備え、該EGR配管は、前記スロットル装置のスロットルボディの外周面上に該外周面と接触した状態で配設されることを特徴とする内燃機関の吸気整流装置。
【請求項2】
前記EGR配管は、前記整流部材の外周を囲むように略環状に配置されることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の吸気整流装置。
【請求項3】
内燃機関の吸気通路に配置されたスロットル装置を備えるとともに、前記吸気通路にEGR通路が連通し、前記吸気通路における前記スロットル装置の下流側であって、前記EGR通路との合流部近傍に整流部材を備えた内燃機関の吸気整流装置において、
前記整流部材を加熱する加熱手段を備え
前記加熱手段は、前記スロットル装置のスロットルボディに形成された温水通路に連通するとともに前記整流部材の外周に沿って延在する加熱通路を備えたことを特徴とする内燃機関の吸気整流装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記内燃機関で加熱された温水によって前記整流部材を加熱することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の吸気整流装置。
【請求項5】
前記加熱通路は、前記整流部材の外周を囲むように略環状に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の吸気整流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気整流装置に関し、特に、内燃機関の排気通路と吸気通路とを連結するEGR通路を備えた内燃機関において吸気通路に配置される吸気整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される内燃機関(エンジン)、例えば、自然吸気エンジンやターボ式過給を備えたエンジン等は、吸気マニホールドに接続される吸気通路と、排気マニホールドに接続される排気通路とを備え、排気通路と吸気通路とはEGR(排ガス再循環)通路によって連結される。吸気通路には、上流側から、ターボ式過給器のコンプレッサと、インタークーラと、スロットル装置とが配置され、排気通路には、ターボ式過給器のタービンが設けられる。EGR通路は、スロットル装置の下流側において吸気通路に連結される。
【0003】
吸気通路のスロットル装置は、吸気通路を形成するスロットルボディと、スロットルボディの内部に配置されたスロットル弁とを含み、吸気通路のスロットル弁の下流側には、整流部材を備えた吸気整流装置が配置される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−236853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、EGR通路を備えた内燃機関では、EGR通路を介して排ガスの一部を吸気通路に導入し、燃焼用空気(新気)に混合することによって、燃焼温度のコントロールやポンプ損失の低減を図り、内燃機関の熱効率を向上することができる。また、吸気整流装置は、整流部材によって、スロットル弁が急激に開弁した際に発生する吸気異音を低減することができる。
【0006】
しかし、EGR通路から吸気通路へ導入されるEGRガスは、比較的高温であって、水分を多く含んでおり、冬季等の冷間始動時や、運転直後等の低温時には、高温のEGRガスが、新気によって冷却された整流部材に接触することで、この整流部材に凝結水が付着する場合がある。さらに、整流部材に付着した凝結水は、冷却されて凍結することがある。
【0007】
このような凝結水や凍結した氷が整流部材から離脱してエンジン本体に導入されると、エンジンの失火の原因となるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、エンジンの失火の原因となる凝結水の発生を防止できる内燃機関の吸気整流装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の内燃機関の吸気整流装置は、内燃機関の吸気通路に配置されたスロットル装置を備えるとともに、前記吸気通路にEGR通路が連通し、前記吸気通路における前記スロットル装置の下流側であって、前記EGR通路との合流部近傍に整流部材を備えた内燃機関の吸気整流装置において、前記整流部材を加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段は、EGR通路を形成するとともに前記整流部材の外周に沿って配設されたEGR配管を備え、該EGR配管は、前記スロットル装置のスロットルボディの外周面上に該外周面と接触した状態で配設されることを特徴とする。
また、請求項2に記載の内燃機関の吸気整流装置は、請求項1に記載の内燃機関の吸気整流装置において、前記EGR配管は、前記整流部材の外周を囲むように略環状に配置されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、加熱手段によって整流部材を加熱することで、新気によって整流部材が冷却されることを防止し、その結果、整流部材に凝縮水が付着するのを防止することができる。
【0012】
この構成によれば、内燃機関で生成された熱を整流部材の加熱に利用することができるとともに、整流部材の加熱用に、別途、発熱装置等を設ける必要がないため、消費電力量を抑えることができる。
【0014】
また、この構成によれば、加熱手段であるEGR配管内を流通する高温のEGRガスによって、整流部材を加熱することができる。また、整流部材は、吸気通路とEGR通路との合流部近傍に設けられているので、加熱手段を構成するEGR配管の部分を比較的短くして、加熱手段の設置スペースを抑えることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の内燃機関の吸気整流装置は、内燃機関の吸気通路に配置されたスロットル装置を備えるとともに、前記吸気通路にEGR通路が連通し、前記吸気通路における前記スロットル装置の下流側であって、前記EGR通路との合流部近傍に整流部材を備えた内燃機関の吸気整流装置において、前記整流部材を加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段は、前記スロットル装置のスロットルボディに形成された温水通路に連通するとともに前記整流部材の外周に沿って延在する加熱通路を備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の内燃機関の吸気整流装置は、請求項3に記載の内燃機関の吸気整流装置において、前記加熱手段は、前記内燃機関で加熱された温水によって前記整流部材を加熱することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、スロットル装置のスロットルボディに形成された温水通路に連通するとともに整流部材の外周に沿って延在する加熱通路を備えているので、温水通路を通る温水によってスロットル装置を加熱することができるとともに、温水通路と連通する加熱通路を通る温水によって、整流部材を加熱することができる。整流部材は、スロットル弁が開弁した際の吸気異音を低減するように、スロットル装置のスロットル弁の近傍に配置されるので、整流部材の近傍に位置する温水通路の温水を利用して整流部材を加熱することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の内燃機関の吸気整流装置は、請求項3又は4に記載の内燃機関の吸気整流装置において、前記加熱通路は、前記整流部材の外周を囲むように略環状に配置されることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、加熱通路は、整流部材の外周を囲むように配置されるので、整流部材への熱伝達率が高くなり、凝縮水の発生を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る内燃機関の吸気整粒装置によれば、新気によって整流部材が冷却されることを防止し、その結果、整流部材にエンジンの失火の原因となる凝結水が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態である内燃機関の吸気整流装置の概要説明図。
図2図1のII部分の拡大模式的断面図であって、第1実施形態における吸気整流装置の概要を説明する図。
図3図2のIII−III線断面の模式的斜視図。
図4図1のII部分の拡大模式的断面図であって、第2実施形態における吸気整流装置の概要を説明する図。
図5図4に示す吸気整流装置の斜視図。
図6図1のII部分の拡大模式的断面図であって、第3実施形態における吸気整流装置の概要を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である内燃機関の吸気整流装置の概要説明図である。
【0024】
図1に示すように、内燃機関(エンジン)1には、ターボ過給器5と、吸気通路10と、排気通路20と、EGR通路25とが設けられる。吸気通路10には、スロットル装置30と、吸気整流装置40とが設けられる。
【0025】
エンジン1は、例えば、水平対向、直列、V型等のエンジンを用いることができ、自動車等の車両に走行用駆動として搭載される。
【0026】
ターボ過給器5は、コンプレッサ6及びタービン7等を備えた過給器である。コンプレッサ6は、エンジン1が吸入する燃料用空気(新気)を圧縮する遠心式圧縮機である。タービン7は、エンジン1の排気エネルギを用いてコンプレッサ6を駆動する。
【0027】
吸気通路10は、エンジン1に導入する新気の流通路である。吸気通路10には、上流側から順に、エアクリーナ11と、エアフローメータ12と、ターボ過給器5のコンプレッサ6と、インタークーラ13と、スロットル装置30と、吸気整流装置40とが設けられる。吸気通路10のエンジン1側の端部には、エンジン1の各気筒の吸気ポートに新気を配分する分岐管である吸気マニホールド50が設けられる。
【0028】
エアクリーナ11は、吸気通路10に吸入された外気を濾過してダスト等を除去するものである。エアフローメータ12は、吸気通路10を通過する新気の流量を検出してエンジン制御ユニット(ECU)に伝達する。
【0029】
インタークーラ13は、コンプレッサ6で加圧されて高温になった新気を、例えば、走行風やエンジン冷却水等との熱交換によって冷却する。スロットル装置30及び吸気整流装置40については後述する。
【0030】
排気通路20は、エンジン1から排出された排気の流通路である。排気通路20のエンジン1側の端部には、エンジン1の各気筒の排気ポートからの排気を合流させる集合管である排気マニホールド21が設けられる。排気通路20は、上流側から順に、ターボ過給器5のタービン7と、排ガス処理装置22と、マフラー23とを備える。
【0031】
EGR通路25は、排気通路20における排気マニホールド21とタービン7との間から、あるいはタービン7の下流側から、排ガスの一部をEGRガスとして抽出し、吸気通路10に導入する流通路である。EGR通路25は、吸気通路10のスロットル装置30の下流側であって、吸気マニホールド50の上流側で吸気通路10と連通する。EGR通路25は、排ガス再循環通路を構成するEGR配管26を備え、EGR配管26には、EGRクーラ27と、EGRバルブ28とが設けられる。
【0032】
図2は、図1のII部分の拡大模式的断面図であって、本実施形態のスロットル装置30と吸気整流装置40との概要を説明する図である。
【0033】
スロットル装置30は、内部が略円筒形の吸入空気流路となるスロットルボア32を備えたスロットルボディ31と、スロットルボア32を開閉して吸入空気量を調節するスロットル弁33とを有する。
【0034】
スロットル弁33は、スロットルボディ31に取付けられた弁軸34と、弁軸34を軸心として回動する弁体35とを有する。弁軸34は、スロットルボディ31内を貫通するとともに、スロットルボア32の中心軸に直交して配置される。弁体35は、スロットルボア32の形状に合わせて円板状に形成され、アクセルペダルの踏み込み量に応じて弁軸34の周りを回動する。弁軸34の一端は、図示しないギヤトレインに連結されており、スロットル弁33は、モータによりギヤトレインを介して駆動される。
【0035】
スロットルボディ31の下流端にはフランジ31aが設けられており、該フランジ31aは、吸気マニホールド50の上流端部に設けられたフランジ51と連結される。スロットルボディ31のフランジ31aと、吸気マニホールド50のフランジ51とは、後述する吸気整流装置40の固定部32と、ゴムリングからなるガスケット56とを間に介して、連結具55を用いて連結される。連結具55としては、例えば、ボルト55a及びナット55bを用いることができる。
【0036】
吸気整流装置40は、金属製であって、整流部材41と、整流部材41を吸入空気流路内に固定する固定部42と、整流部材を加熱する加熱手段45とを有する。
【0037】
整流部材41は、吸入空気を整流する作用を有し、メッシュ状に形成される。
【0038】
固定部42は、整流部材41を囲む環状に形成されており、内周部を除く部分又は全体が、スロットルボディ31のフランジ31aと吸気マニホールド50のフランジ51との間に挟持された状態で、これらに固定される。
【0039】
図2に示すように、整流部材41は、吸入空気流路を覆う部位が、吸気通路10の接続部位となるフランジ31a,51に対して吸気通路10の上流側又は下流側に位置するように形成される。本実施形態の整流部材41は、外周部41bが、吸入空気流路の周面に沿うように固定部42から上流側に突出しており、外周部41bに囲まれた、吸入空気流路を覆う平面状部41aが、固定部42及びフランジ31a,51に対して吸入空気流路の上流側に位置している。
【0040】
加熱手段45は、エンジン1で加熱された流体、すなわちEGRガスが流通する加熱通路46を有する。加熱通路46は、EGR通路25から延在する通路であって、整流部材41の外周に沿って配置される。図3は、図2のIII−III線断面の模式的斜視図であって、加熱通路46の設置状態を説明する図である。なお、図3では、スロットルボディ31と吸気マニホールド50との接合部となるフランジ31a,51等の記載を省略している。本実施形態の加熱通路46は、EGR通路25から延在し、整流部材41の平面状部41aを囲むように、スロットルボディ31の外周面に略環状に配置されたEGR配管26によって形成される。なお、加熱通路46は、EGR配管26をスロットルボディ31に複数回巻き付けた螺旋環状であってもよい。
【0041】
図2において、矢印は、EGR通路25を通るEGRガスの流れ方向を示しており、図3において、矢印は、加熱通路46(すなわちEGR通路25)を通るEGRガスの流れ方向を示している。
【0042】
上述した吸気整流装置40では、スロットル装置30の下流側、つまりスロットル弁33の下流側に配置された網目状の整流部材41によって、吸入空気の整流機能が確保できる。具体的には、スロットル装置30のスロットル弁33が急激に開弁した際、特に、スロットル弁33の外周縁部とスロットルボア31の内周壁との隙間が比較的小さな低開度域において発生する吸気異音を低減することができる。
【0043】
また、上述した吸気整流装置40では、冬季等の冷間始動時や運転直後の低温時に、整流部材41に凝結水が発生するのを防止できる。
【0044】
加熱手段45を有していない従来の吸気整流装置では、冷間始動時等、新気とEGRガスとの温度差が大きい場合に、水分を多く含む高温のEGRガスが、新気によって冷却された整流部材に接触して、整流部材に凝結水が発生していた。この凝結水が整流部材から離脱して吸気とともにエンジンへ導入されると、エンジンにおける失火の原因となるおそれがある。また、この凝結水には、EGRガスに含まれる硫黄成分等が含まれているため、強酸性の凝結水が空気の流通路内の各部を腐食させるおそれがある。一方、このような事態を回避するために、冷間始動時等にエンジンにおけるEGRガスの再利用を停止すると、低燃費化を図ることができなくなる。
【0045】
本実施形態の吸気整流装置40では、冬季等の冷間始動時や運転直後の低温時に、EGRガスが、整流部材41の周囲に配置された加熱通路46を通って吸気通路10へ導入される。この際、整流部材41は、比較的高温のEGRガスによって加熱される。これにより、新気とEGRガスとの温度差が大きい場合であっても、新気による整流部材41の冷却を防いで、整流部材41に凝結水が付着するのを抑制することができる。その結果、冷間始動時等にEGRガスを用いて低燃費化を図りながら、整流部材41で発生した凝結水による、エンジン1の失火や、腐食の発生等の不具合を回避することができる。さらに、整流部材41の加熱に、エンジン1によって加熱された気体、すなわちEGRガスを利用することで、整流部材41の加熱のために、別途、発熱装置等を設ける必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態において加熱通路46は、整流部材41を囲むように環状に配置されているが、整流部材41の配置態様はこれに限定されるものではなく、整流部材41を加熱可能な態様で配置されていればよい。
【0047】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。図4は、図1のII部分の拡大模式的断面図であって、第2実施形態における内燃機関の吸気整流装置40の概要を説明する図であり、図5は、図4に示す吸気整流装置40の斜視図である。なお、図4及び図5において、第1実施形態と対応する部位には同一符号を付している。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については詳細な説明を省略する。
【0048】
吸気整流装置40は、スロットル装置30の下流側に設けられ、金属製であって、整流部材41と、整流部材41を吸入空気流路内に固定する固定部42と、整流部材41を加熱する加熱手段45とを有する。
【0049】
整流部材41は、吸入空気を整流する作用を有し、メッシュ状に形成される。
【0050】
固定部42は、整流部材41を囲む環状に形成されており、内周部を除く部分又は全体が、スロットルボディ31のフランジ31aと吸気マニホールド50のフランジ51との間に挟持された状態で、図示していない連結具を用いて、これらに固定される。
【0051】
加熱手段45は、EGRガスが流通する加熱通路46を有し、加熱通路46は、EGR通路から延在する通路であって、整流部材41の外周に沿って配置される。図5に示すように、本実施形態において加熱通路46は、EGR通路25の一部を構成しており、固定部42の内部に形成される。なお、図4において、矢印は、EGR通路25を通るEGRガスの流れ方向を示しており、図5において、矢印は、加熱通路46を通るEGRガスの流れ方向を示している。加熱通路46は、固定部42内へのEGRガスが流入する流入部46aと、固定部42外へEGRガスが流出する流出部46bとを有する。流入部46aと流出部46bとは、固定部42において近接する位置に形成され、加熱通路46は整流部材41の外周を囲むように略環状に配置される。
【0052】
本実施形態の内燃機関の吸気整流装置40では、第1実施形態の効果を奏することができる。また、加熱通路46が固定部42の内部に形成されているので、EGRガスの整流部材41への熱伝達率を向上することができる。
【0053】
なお、第1及び第2実施形態では、EGR通路25を通るEGRガスの全部が加熱通路46を通るように加熱通路46を形成しているが、加熱通路46は、EGRガスの一部が加熱通路を通るように、EGR通路25から分岐して延びる分岐通路であってもよい。
【0054】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、図1のII部分の拡大模式的断面図であって、第3実施形態における吸気整流装置40の概要を説明する図である。
【0055】
なお、図6において、第1実施形態と対応する部位には同一符号を付している。第3実施形態において、第1実施形態と同一の構成については詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態において、スロットル装置30は、内部が略円筒形の吸入空気流路となるスロットルボア32を備えたスロットルボディ31と、スロットルボア32を開閉して吸入空気量を調節するスロットル弁33とを有する。スロットルボディ31には、温水通路36と、吸気整流装置40の加熱手段45を構成する加熱通路48とが設けられる。なお、EGR通路25を形成するEGR配管26は、吸気整流装置40の下流側近傍で吸気マニホールド50に接続される。
【0057】
吸気整流装置40は、スロットル装置30の下流側に設けられ、整流部材41と、整流部材41を吸入空気流路内に固定する固定部42と、整流部材41を加熱する加熱手段45とを有する。加熱手段45は、スロットル装置30の温水通路36と連通する加熱通路48を有する。以下、温水通路36と加熱通路48とについて詳細に説明する。
【0058】
温水通路36は、スロットルボディ31及びスロットル弁33を加熱するために温水(エンジン冷却水)を導入する通路であり、スロットルボディ31においてスロットル弁33の近傍に設けられる。温水通路36は、スロットル弁33の周囲を囲むように略環状に形成される。温水通路36の流入口は、温水通路36に温水を供給する温水供給管61に接続される。温水通路36の流出口36aは、連通路37を介して加熱通路48の流入口48aと接続される。
【0059】
加熱通路48は、温水通路36と連通し、エンジンの冷却水が流通する通路であり、スロットルボディ31において整流部材41の周囲を囲むように環状に形成される。加熱通路48の流出口は、加熱通路48から温水を排出する温水排出管62に接続される。なお、図示していないが、加熱通路48は、整流部材41を囲むように螺旋環状に形成してもよい。図6において、温水供給管61及び温水排出管62における矢印は、温水の流れ方向を示している。温水供給管61内に形成された温水供給通路と、温水排出管62内に形成された温水排出通路とは、温水通路36と加熱通路48とを介して連通される。
【0060】
本実施形態の内燃機関の吸気整流装置40では、温水通路36を通る温水(エンジン冷却水)によって、スロットル弁33の凍結を防止することができる。また、冬季等の冷間始動時や運転直後の低温時に、新気に比して高温のエンジン冷却水が、整流部材41の周囲に配置された加熱通路48を通ることで、整流部材41を該温水によって加熱することができる。これにより、新気による整流部材41の冷却を防いで、整流部材41に凝結水が付着するのを抑制することができ、その結果、整流部材41で発生した凝結水によるエンジン1の失火等の不具合を回避することができる。さらに、加熱通路48を通るエンジン冷却水(流体)は、エンジン始動後にエンジン1が暖機することで暖かくなり、加熱効果が向上する。
【0061】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、整流部材41を加熱する加熱手段として、整流部材41の外周に沿って配置された電気ヒータを用いることができる。電気ヒータは、スロットルボディ31の外周面に整流部材41を囲むように環状に配置されることが好ましい。
【0062】
また、加熱手段は、第1又は第2実施形態におけるEGRガスを用いた加熱手段と、第3実施形態における温水を用いた加熱手段とを組み合わせて用いる構成としてもよい。また、吸気整流装置40の整流部材41は、吸気通路10とEGR通路25との合流部の下流側に位置する構成であってもよい。また、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態において、吸気整流装置40の各部位は、金属材料だけではなく、樹脂材料で形成することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 エンジン
10 吸気通路
20 排気通路
25 EGR通路
30 スロットル装置
31 スロットルボディ
33 スロットル弁
40 吸気整流装置
41 整流部材
42 固定部
45 加熱手段
46,48 加熱通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6