(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力ステップと、
前記第1入力ステップにおいて入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップと、
前記第2入力ステップにおいてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、
を含み、
前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力処理と、
前記第1入力処理において入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理と、
前記第2入力処理においてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致していると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行し、
前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする機械式立体駐車設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、国土交通省は、機械式立体駐車設備の安全性の一層の向上を図るため、平成26年3月に「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を策定した。製造者は、誠実にこれを遵守し、より安全且つ利便性の高い機械式立体駐車設備の提供が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、機械式立体駐車設備において安全性及び利便性の更なる向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力ステップと、前記第1入力ステップにおいて入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証ステップと、前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップと、前記第2入力ステップにおいてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証ステップと、前記第2認証ステップにおいて前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、前記第2暗証コードは前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする。
【0008】
この構成により、ユーザが第1暗証コードを入力すると、第1のユーザ認証が成功した場合にのみ車両搬送手段が呼び出されて入出庫扉が開かれる。そして、ユーザは第2暗証コードを入力することにより、第2のユーザ認証が成功した場合にのみ入出庫扉が閉じられる。つまり、呼び出し操作をしたユーザのみが入出庫扉が閉じることができる。これにより、第1の認証操作を行ったユーザが、入出庫操作を終えた後に、車庫装置外に退避し、第2の認証操作を行うまでは入出庫扉が閉じられることはない。従って、車庫装置内にユーザが取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止することができる。つまり、複数のユーザが連続して入出庫操作に訪れた場合でも、前のユーザがまだ車庫装置内に居る時に次のユーザが入出庫扉を閉じることが無い。そして、第2暗証コードは第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであるので、ユーザの負担が軽減し、利便性が向上する。
【0009】
また、前記操作盤は、ICカードリーダー及びキー操作部の双方の装置を含み、前記第1記憶ステップでは、前記第1記憶手段に、前記第1暗証コード及び前記第1暗証コードに関連付けられた第1情報を記憶しておき、前記第1入力ステップにおいて、前記暗証コードは前記キー操作部を介して入力される、又は、前記ICカードリーダーを介してカードIDとして入力され、前記第1認証ステップにおいては、前記第1入力ステップにおいて前記ユーザが前記暗証コードを入力した場合は前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定し、又は、前記第1入力ステップにおいて前記ユーザが前記カードIDを入力した場合は前記第1記憶手段に記憶された前記第1情報と一致するか否かを判定することにより、前記第1入力ステップにおいて入力を行ったユーザが契約したユーザであるか否かを判定してもよい。
【0010】
この構成により、ユーザは状況に応じて第1入力ステップにおける暗証コードの入力方法を適宜選択することができ、利便性が向上する。なお、ここで第1記憶ステップで記憶する第1情報は第1暗証コードを共用するものとし、ICカードリーダーを介して入力するカードIDが暗証コードと同一のコードであってもよい。これにより、第1記憶手段に記憶する情報を少なくでき、管理しやすくなる。
【0011】
また、上記機械式立体駐車設備の制御方法は、前記第1認証ステップと前記第2認証ステップとの間において、前記ユーザにより入力された前記暗証コード又は前記カードIDと一致すると判定された前記第1暗証コードに基づいて、当該第1暗証コードに対応し且つ当該ユーザの同一の利用契約に係る前記第2暗証コードを生成し、第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップを更に含んでもよい。
【0012】
この構成により、入力された暗証コードと一致すると判定された第1暗証コードに基づいて第2暗証コードが生成されるので、予め第2暗証コードを記憶しておく必要がなくなり、制御装置のメモリスペースを削減できる。
【0013】
また、前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成されてもよい。
【0014】
この構成により、ユーザは第1暗証コードの一部の所定桁のコードを覚えておけばよいので、ユーザの負担が減り、利便性が向上する。
【0015】
また、同一ユーザが複数台の利用契約に応じて前記第1暗証コードが複数付与される場合、当該ユーザに係る第2暗証コードは共通でもよい。
【0016】
この構成により、複数台の利用契約したユーザには共通の第2暗証コードが付与されるので、ユーザは暗証コードを管理し易くなり、利便性が向上する。
【0017】
また、その他の発明は、車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力処理と、前記第1入力処理において入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理と、前記第1認証処理において当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理と、前記第2入力処理においてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証処理と、前記第2認証処理において前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致していると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行し、前記第2暗証コードは前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、機械式立体駐車設備において安全性且つ利便性の更なる向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る機械式立体駐車設備1の構成を示す平面図である。この機械式立体駐車設備1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者用のものである。機械式立体駐車設備1は、複数の車両Vを駐車スペースに収容可能なエレベータ方式の立体駐車施設であり、例えば地上部に車両Vの入出庫口4が開口する搭状の車庫装置2内に車両を搬送する手段としてのパレット6が収容される。同図ではパレット6は車両Vを載置した状態で車庫装置2内の入出庫部3の所定位置に配置されている。機械式立体駐車設備1は、車両を搬送する車両搬送手段を有して駐車させるものであれば、エレベータ方式の立体駐車施設に限定されない。この明細書中における前後左右方向の概念は、
図1に示す入出庫部3の外部から入出庫扉5に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。また、車両Vを矩形状枠として示す。
【0022】
図1に示すように、機械式立体駐車設備1は、車両Vを搬送するパレット6を有する車庫装置2と、車庫装置2の外部に設けられた操作盤7と、操作盤7の操作に基づいて車庫装置2の入出庫扉5の開閉を制御する制御装置8とを備える。
【0023】
車庫装置2は、矩形状に形成され、正面側に開口する入出庫口4に入出庫扉5が設けられている。車庫装置2内の入出庫部3には、物体を検知する複数のセンサが設けられている。車両Vを入出庫させるパレット6の左側方に左部センサ11が設けられ、右側方に右部センサ12が設けられている。また、パレット6の前方には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する前部センサ13が設けられ、パレット6の前後方向の中間部分には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ16が設けられている。さらに、パレット6と入出庫扉5との間には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する後部センサ14が設けられ、入出庫口4の部分には、入出庫扉5の外側で物体を検知する入出庫扉外センサ15が設けられている。
【0024】
操作盤7は、車庫装置2の外壁であって、入出庫口4の側方(図では右方)に設けられている。操作盤7は、機械式立体駐車設備1の運転操作を行うためのものである。操作盤7の操作権限は、機械式立体駐車設備1の利用契約を結んだ者であって、駐車設備の取扱いに関する教育・訓練を受けて管理責任者から認定された者にのみ与えられる。駐車場の認定取扱者として契約者はユーザ登録される。以下では、ユーザ登録された契約者をユーザともいう。契約者には登録時に暗証コードが付与される。本実施形態では暗証コードは暗証番号である。
図2は、機械式立体駐車設備1の契約者に付与される暗証番号の一例を示す表である。
図2に示すように、各契約者には二種類の第1認証用暗証番号(第1暗証コード)及び第2認証用暗証番号(第2暗証コード)が付与される。ここでは3人の契約者(A,B及びC)に対してそれぞれ第1認証用暗証番号及び第2認証用暗証番号が付与される。第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定のコードであり、さらに本実施例では第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される。ここでは、第1認証用暗証番号は4桁の暗証番号であり、第2認証用暗証番号は4桁の下2桁の番号と同じ2桁の番号である。例えば第2認証用暗証番号は機械式立体駐車設備1の駐車可能台数に応じて01〜99又は00〜99の数字が割り振られる。ここでは契約者Aには、第1認証用暗証番号として「2458」、第2認証用暗証番号として「58」が付与される。契約者Bには、第1認証用暗証番号として「5482」、第2認証用暗証番号として「82」が付与される。契約者Cには、第1認証用暗証番号として「1567」、第2認証用暗証番号として「67」が付与される。3人の契約者(A,B及びC)の第2認証用暗証番号は互いに重複しないように設定される。これらの内、第1認証用暗証番号は契約者毎に制御装置8(
図1)に予め記憶されている。
【0025】
図1では操作盤7と制御装置8が一体となった例を示している。ユーザは操作盤7を操作して、第1認証用暗証番号及び第2認証用暗証番号を入力することによって、制御装置8において第1認証及び第2認証が実行される(詳細は後述する)。つまり、本実施形態の操作盤7は認証機能を備える。
【0026】
図3は、操作盤7を模式的に示した正面図である。操作盤7には、モニタ71と、音声スピーカ72と、キー操作部として数字入力を行うテンキー操作部73と、ICカードリーダー74と、起動ボタン75と、安全確認ボタン76と、閉扉ボタン77が設けられる。モニタ71と音声スピーカ72は、画面及び音声によってユーザに操作方法を指示するものである。テンキー操作部73は、ユーザがキー操作によって暗証番号を入力するための読み取り装置であり、ICカードリーダー74は、ユーザがICカードによって暗証番号を入力するための読み取り装置である。また、起動ボタン75は、ユーザがパレットの呼出を行うためのボタンである。安全確認ボタン76は、安全確認を終えたユーザが閉扉操作を有効にするためのボタンである。閉扉ボタン77はユーザが入出庫扉5を閉じるためのボタンである。
【0027】
図4は、制御装置8の構成を示すブロック図である。制御装置8は、入出庫扉5、パレット6(ここでは、簡単のため、パレット6を搬送するためのエレベータなどの搬送装置や駆動装置等を総称するものとして、パレット6で説明する)及び操作盤7と接続され、操作盤7の操作に基づいて入出庫扉5の開閉及びパレット6の駆動を制御するように構成されている。
図4に示すように、制御装置8は、主制御部81と、扉開閉制御部82と、パレット駆動制御部83と、記憶部84とを備える。
【0028】
主制御部81は、扉開閉制御部82及びパレット駆動制御部83を統括制御するように構成されている。主制御部81は、操作盤7から入力される暗証番号等の操作情報に基づいてユーザ認証を行い、認証結果に応じて扉開閉指令又はパレット駆動指令を生成し、これを扉開閉制御部82又はパレット駆動制御部83に出力する。扉開閉制御部82は、主制御部81から入力される扉開閉指令に基づいて、扉開閉機構(図示せず)の動作を制御して入出庫扉5を開閉させる。パレット駆動制御部83は、主制御部81から入力されるパレット駆動指令に基づいて、駆動機構(図示せず)の動作を制御して、パレット6を駆動させる。記憶部84は、予め、認証用暗証番号等の各種データ、制御プログラム等を記憶しておく。
【0029】
次に、制御装置8により実行される機械式立体駐車設備1の制御方法について説明する。制御装置8は記憶部84に記憶された制御プログラムに従って動作する。
図5は、制御装置8の処理の流れを示すフローチャートである。ユーザは、操作盤7を運転操作して、車両Vの入出庫作業を行う(
図1参照)。尚、運転操作開始に先立って、制御装置8は、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された認証用暗証番号(
図2参照)のうち、第1認証用暗証番号のみを、予め、記憶部84に記憶しておく(本発明の「第1記憶ステップ」に相当)。
【0030】
まず、車庫装置2の入出庫扉5の開扉操作について説明する。制御装置8は、車庫装置2の入出庫扉5を開く前に、操作盤7を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける(ステップS1)。制御装置8は、テンキー操作部73又はICカードリーダー74を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードとして、第1認証用暗証番号を受け付け可能である。本実施形態では、ICカードには、テンキー操作部73を介して入力する暗証番号と同一の暗証番号がカードIDとして格納されている。本実施形態では、制御装置8は、テンキー操作部73又はICカードリーダー74を介して、4桁の第1認証用暗証番号が入力されたか否かを判定する。そして、制御装置8は、4桁の第1認証用暗証番号の読み取りが完了した場合は次のステップに移行する。
【0031】
次に、制御装置8は、ステップS1において操作盤7を介して入力された暗証コードに基づいて、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理を実行する(ステップS2)。制御装置8は、ステップS1において入力された第1認証用暗証番号がそのユーザの利用契約に応じた第1認証用暗証番号と一致するか否かを判定する。制御装置8は、記憶部84に記憶された第1認証用暗証番号のリスト(
図2の第1認証用暗証番号参照)を検索して、ステップS1で入力された第1認証用暗証番号と一致するか否かを判定する。ユーザが契約者Aの場合、制御装置8は、記憶部84に記憶された第1認証用暗証番号(「2458」、「5482」及び「1567」等)を検索して、ステップS1で入力された4桁の第1認証用暗証番号「2458」と一致するか否かを判定する。ここで入力された第1認証用暗証番号が記憶部84に記憶された第1認証用暗証番号と一致する場合は第1認証の成功を意味し、一致しない場合が第1認証の失敗を意味する。
【0032】
次に、制御装置8は、ステップS2において第1認証が成功した場合には、その第1認証用暗証番号に基づいて、その第1認証用暗証番号に対応し且つそのユーザの同一の利用契約に係る第2認証用暗証番号を生成し、その第2認証用暗証番号を記憶部84に記憶する(ステップS3)。これが第2記憶ステップである。本実施形態では制御装置8は、第2認証用暗証番号を、第2記憶手段として第1認証用暗証番号と共通の記憶手段(記憶部84)に記憶するが、別の記憶手段に記憶してもよい。ユーザが契約者Aの場合、制御装置8は、4桁の第1認証用暗証番号「2458」の下2桁の番号と同じ2桁の番号である第2認証用暗証番号「58」を生成し(
図2参照)、第2認証用暗証番号「58」を記憶部84に記憶し、次のステップに移る。一方、制御装置8は、ステップS2において第1認証が失敗した場合には、エラー表示処理を実行する(ステップS21)。制御装置8は、例えば操作盤7のモニタ71に「有効な暗証番号ではありません」と表示し、ステップS1に戻る。
【0033】
そして、制御装置8は、ステップS3で第2認証用暗証番号を記憶した後に、パレット呼び出し処理を実行する(ステップS4)。このとき制御装置8は、操作盤7のモニタ71又は音声スピーカ72を通じて、起動ボタン75の操作をユーザに促し、ユーザ操作に連動してパレット呼び出し処理を行う(
図3参照)。この起動ボタン75の操作は、第1認証用暗証番号をキー入力したときに入力完了の意味で操作するようにしてもよいし、省略してもよい。具体的には、パレット駆動制御部83(
図4参照)は、主制御部81で生成されたパレット駆動指令に基づいて駆動機構(図示せず)の動作を制御して、パレット6を入出庫部3の所定位置(
図1参照)まで駆動させる。ここで入庫作業の場合は空のパレット6が駐車スペース(図示せず)から入出庫部3の所定位置に呼び出され、出庫作業の場合はユーザが駐車していた車両Vが載置されたパレット6が駐車スペース(図示せず)から入出庫部3の所定位置に呼び出される。
【0034】
次に、制御装置8は、パレット6が入出庫部3の所定位置(
図1参照)に到着した後に入出庫扉5を開く開扉処理を実行する(ステップS5)。具体的には、扉開閉制御部82(
図4参照)は、主制御部81で生成された扉開閉指令に基づいて、扉開閉機構(図示せず)の動作を制御して入出庫扉5を開く。このようにして、ユーザが第1認証用暗証番号を入力し、第1認証が成功した場合にのみパレット6が入出庫部3の所定位置(
図1参照)に呼び出されて入出庫扉5が開かれる。ここでユーザは入庫作業の場合は、車両Vを運転して車庫装置2内に進入し、入出庫部3の所定位置に呼び出された空のパレット6の上に車両Vを載置する。ユーザは出庫作業の場合は、車庫装置2内の入出庫部3の所定位置に呼び出されたパレット6上の車両Vに乗り込んで、車両Vを車庫装置2外に移動させる。
【0035】
次に、車庫装置2の入出庫扉5の閉扉操作について説明する。制御装置8は、車庫装置2の入出庫扉5を閉じる前に、操作盤7を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける(ステップS6)。制御装置8は、テンキー操作部73を介して、ユーザによる第2認証用暗証番号の入力を受け付ける(
図3参照)。本実施形態では、制御装置8は、テンキー操作部73を介して、2桁の第2認証用暗証番号が入力されたか否かを判定し、2桁の第2認証用暗証番号の読み取りが完了した場合は次のステップに移行する。
【0036】
次に、制御装置8は、第2認証処理を実行する。ここでは制御装置8は、ステップS6において入力された第2認証用暗証番号が、第1認証が成功したユーザの利用契約に応じた第2認証用暗証番号と一致するか否かを判定する(ステップS7)。制御装置8は、入力された第2認証用暗証番号がステップS3で記憶部84に記憶された第2認証用暗証番号と一致するか否かを判定する。ユーザが契約者Aの場合、制御装置8は、入力された第2認証用暗証番号が記憶部84に記憶された第2認証用暗証番号「58」と一致するか否かを判定する。ここで入力された第2認証用暗証番号が記憶部84に記憶された第2認証用暗証番号と一致する場合は第2認証の成功を意味し、一致しない場合は第2認証の失敗を意味する。
【0037】
次に、制御装置8は、ステップS7において第2認証が成功した場合には、ユーザに車庫装置2内の安全確認を促す安全確認報知処理を実行する(ステップS8)。例えば、制御装置8は、操作盤7のモニタ71又は音声スピーカ72を通じて、「安全を確認して下さい」と報知する。このとき制御装置8は安全確認操作をユーザに促す。例えば操作盤7のモニタ71又は音声スピーカ72を通じて「安全確認が完了したら、安全確認操作ボタンを押して下さい」と報知する。一方、制御装置8は、ステップS7において第2認証が失敗した場合には、エラー表示処理を実行する(ステップS22)。例えば制御装置8は、操作盤7のモニタ71又は音声スピーカ72を通じて、「有効な暗証番号ではありません」と報知し、ステップS6に戻る。
【0038】
そして、制御装置8は、ステップS8で安全確認報知処理を実行した後、ユーザにより安全確認操作がされたか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、制御装置8は、操作盤7の安全確認ボタン76の押圧操作を検知した場合、入出庫扉5のインターロックを解除することにより閉扉操作が有効とされ(ステップS10)、次のステップに移る。
【0039】
次に、制御装置8は、操作盤7の閉扉ボタン77が押圧操作されたか否かを判定する(ステップS11)。制御装置8は、閉扉ボタン77が押圧操作を検知した場合には、入出庫扉5を閉じる閉扉処理を実行する(ステップS12)。具体的には、扉開閉制御部82(
図4参照)は、主制御部81で生成された扉開閉指令に基づいて、扉開閉機構(図示せず)の動作を制御して入出庫扉5を閉じる。そして、制御装置8の動作が終了し、例えば次のユーザの操作まで待機する。なお、ステップS3で記憶部84に記憶された第2認証用暗証番号は、ステップS7において第2認証が成功した後の適切な段階で、削除したり空白を意味するデータに置き換えてもよい。このようにして、ユーザが第2認証用暗証番号を入力し、第2認証が成功した場合にのみ入出庫扉5が閉じられる。つまり、入出庫扉5を開く操作をしたユーザのみが入出庫扉5を閉じることができる。これにより、第1認証操作を行ったユーザが、入出庫操作を終えた後に、車庫装置2外に退避し、第2認証操作を行うまでは入出庫扉5が閉じられることはない。
【0040】
次に、本実施形態による効果を従来例と比較しつつ説明する。従来例(特開2012−026121号公報)では、入車庫扉を開くための第1認証情報(第1認証用暗証番号に相当)と、入車庫扉を閉じるための第2認証情報(第2認証用暗証番号に相当)を同じにし、第2認証処理を行った後、両認証情報を照合し両者が一致した場合のみ、入出庫扉が閉じられる。本発明者らは、車両入出庫時のパレット呼び操作又は開扉操作のための第1認証用暗証番号は車両のセキュリティを確保するため、4桁の暗証番号を使用することが多いが、閉扉操作のための第2認証用暗証番号はこのような高度なセキュリティを必要としないことに着目した。
【0041】
そこで、本実施形態では、第1認証用暗証番号の桁数を減らしたものを第2認証用暗証番号とし、二つの暗証番号が異なるようにしている。これにより、第1認証操作と第2認証操作は異なる暗証番号で別々に行われ、呼び出し操作をしたユーザのみが入出庫扉を閉じることができ、車庫装置2内にユーザが取り残された状態で入出庫扉5が閉じられてしまうことを防止することができる。更に、第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定の番号であるので、ユーザの負担が軽減し、利便性が向上する。従って、機械式立体駐車設備1において安全性且つ利便性の更なる向上を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、操作盤7は、ICカードリーダー74及びテンキー操作部73の双方の装置を含むことにより、ユーザは状況に応じて第1入力ステップS1における暗証コードの入力方法を適宜選択することができ、利便性が向上する。
【0043】
また、本実施形態では、ユーザにより入力された第1認証用暗証番号に基づいて、当該第1認証用暗証番号に対応し且つ当該ユーザの同一の利用契約に係る第2認証用暗証番号を生成し、第2認証用暗証番号に関連付けられた第2認証用暗証番号を記憶部84に記憶するステップS3(
図5参照)を含むことにより、予め第1認証用暗証番号に関連付けられた第2認証用暗証番号を記憶部84に記憶しておく必要がなくなり、制御装置8のメモリスペースを削減できる。尚、本ステップS3は、第1認証ステップS2と第2認証ステップS7との間で実行されればよく、例えばステップS4(パレット呼び出し処理)又はステップS5(開扉処理)の後で実行されてもよい。
【0044】
また、本実施形態の第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成されているので(
図2参照)、ユーザは第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号を覚えておけばよいので、ユーザの負担が減り、利便性が向上する。
【0045】
また、本実施形態の一のユーザの利用契約に係る第2認証用暗証番号と他のユーザの利用契約に係る第2認証用暗証番号コードは重複しないように設定されているので(
図2参照)、複数のユーザが連続して入出庫操作に訪れた場合には、前のユーザがまだ車庫装置2内に居る時に後のユーザが入出庫扉5を閉じるための第2認証操作を行ったとしても、前後のユーザの第2認証用暗証番号が異なるので、後のユーザの第2認証操作が成功することは無い。したがって、前のユーザが車庫装置2内に取り残された状態で次のユーザにより入出庫扉5が閉じられてしまう事態を確実に防止することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ユーザに車庫装置2内の安全確認を促す安全確認報知ステップS8(
図5参照)を含んでいるので、ユーザ自身が車庫装置2内の安全確認を行うため、安全性の更なる向上を図ることができる。尚、本ステップS8は、ステップS5(開扉処理)とステップS12(閉扉処理)の間で実行されればよい。
【0047】
また、本実施形態では、第1認証用暗証番号は、4桁の暗証番号であり、第2認証用暗証番号は、4桁の下2桁の番号と同じ2桁の暗証番号であることにより、ユーザは第2認証用暗証番号として、4桁の第1認証用暗証番号の下2桁の番号を覚えておけばよいので、ユーザの負担が減り、利便性が向上する。
(その他の実施形態)
本実施形態では、記憶部84に第1認証用暗証番号を記憶したが、第1認証用暗証番号に関連付けられた第1情報を記憶してもよい。その場合、第1入力ステップS1においては、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードとして、第1認証用暗証番号と第1情報と照合される第1認証用暗証番号以外のカードID(カード毎に格納されたコード情報)との両方を受け付け可能とし、第1認証ステップS2においては、第1入力ステップS1においてテンキー操作部73を介して、ユーザにより入力された第1認証用暗証番号が記憶部84に記憶された第1認証用暗証番号と一致するか否かを判定することにより、又は、第1入力ステップS1においてICカードリーダー74を介してユーザにより入力されたカードIDが記憶部84に記憶された第1情報と一致するか否かを判定することにより、第1入力ステップS1において暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定してもよい。また、本実施形態では、運転操作開始に先立って、第1認証用暗証番号のみを、予め記憶部84に記憶しておく例を示したが、第1認証用暗証番号に関連付けられた第2認証用暗証番号を、さらに予め記憶部84に記憶しておいてもよい。このようにする場合、ステップS3において第2認証用暗証番号を記憶する際、第1認証が成功した第1認証用暗証番号に関連付けられた第2認証用暗証番号を、記憶部84に記憶する。また、このようにする場合、第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の所定桁と同じである必要は無く、無関係な任意の番号とすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、各契約者毎に1台ずつ契約する場合について説明したが、同一ユーザの複数台の利用契約に応じて第1認証用暗証番号が複数付与されてもよい。
図6は、
図1の機械式立体駐車設備の契約者に付与される暗証番号の第二の例を示す表である。
図6に示すように、上記実施形態(
図2)との違いは、契約者Cが2台の利用契約に応じて第1認証用暗証番号が複数付与されている点である。契約者Cには、1台目車両の利用契約に応じた第1認証用暗証番号として「1567」、第2認証用暗証番号として「67」が付与される。2台目車両の利用契約に応じた第1認証用暗証番号として「8127」、第2認証用暗証番号として「67」が付与される。ここで第2認証用暗証番号「67」を、4桁の第1認証用暗証番号の下2桁の番号と同じ2桁の暗証番号とするため、第1認証用暗証番号を「8167」としてもよい。このように2台の利用契約を結んだ契約者Cには2台で共通の第2認証用暗証番号が付与される。ユーザは暗証コードを管理し易くなり、利便性が向上する。
【0049】
尚、本実施形態では、操作盤7は、ICカードリーダー74及びテンキー操作部73の両方の装置を備えたが、ICカードリーダー74を備えなくてもよい。
【0050】
尚、本実施形態では、ICカードリーダー74及びテンキー操作部73は操作盤7に設けられたが、操作盤7と通信可能な構成を備え、操作盤7と異なる場所(例えば車両の進入経路の近傍)に設けてもよい。また、リモコン装置などの通信機能を有する携帯型操作機器を使用する場合、認証手段としての操作盤7に代えて、ユーザの所持するリモコン装置と制御装置8に接続された送受信器で構成することができ、送受信器は、車庫装置2の外部でも、車庫装置2や制御装置8の内部に設けてもよい。
【0051】
尚、第1認証用暗証番号は、4桁以外の桁数の暗証番号でもよいし、第2認証用暗証番号は、第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定の番号であれば、第1認証用暗証番号の桁数よりも1桁又は3桁など任意桁数少ない暗証番号としてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の4桁の下2桁の番号と同じ2桁の暗証番号としたが、第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の一部の所定桁のコードによって構成されてもよい。例えば第2認証用暗証番号は第1認証用暗証番号の最上位桁と最下位桁の番号によって構成されてもよい。その場合は、第1認証用暗証番号の最上位桁を第2認証用暗証番号の下位桁とし、第1認証用暗証番号の最下位桁を第2認証用暗証番号の上位桁としてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、暗証コードとして暗証番号を使用する場合について説明したが、暗証コードとして数字以外の文字コード(例えばアルファベット、文字)又は数字と文字コードを組み合わせたものを使用してもよい。この場合、テンキー操作部73に代えて、数字以外の入力キー等を備えるキー操作部を設ける。
【0054】
また、本実施形態では、パレット式で搭状の車庫装置2を有するエレベータ方式の駐車設備を例にしているが、垂直循環方式、平面往復方式、平面循環方式、箱型循環方式など公知の種々の方式や、パレット式でない機械式駐車設備においても適用でき、機械式駐車設備の構成は上記実施形態に限定されるものではない。また、入出庫扉が簡易的なフェンス状のものにも適用できる。なお、パレット式でない機械式駐車設備において、車両搬送手段は例えば車両を搬送する搬器である。
【0055】
また、本実施形態では、機械式立体駐車設備1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者用のものとしたが、全ての駐車スペースを契約者専用としてもよいし、一部の駐車スペースを契約者用として契約者自身が操作し、他を時間貸しとして管理人が操作する方式でもよい。
【0056】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。