特許第6688148号(P6688148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688148断路器ユニット、負荷断路器、及びコントロールセンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688148
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】断路器ユニット、負荷断路器、及びコントロールセンタ
(51)【国際特許分類】
   H02B 11/04 20060101AFI20200421BHJP
   H01H 31/32 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   H02B11/04 E
   H01H31/32 A
   H01H31/32 Z
   H02B11/04 Q
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-91054(P2016-91054)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-200376(P2017-200376A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 和馬
(72)【発明者】
【氏名】川合 達也
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−191203(JP,A)
【文献】 特開2010−028019(JP,A)
【文献】 特開平10−210612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 11/04
H01H 31/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールセンタに配設される単位装置と、前記コントロールセンタ間とを電気的に接続及び切断する断路装置を構成し、
零相変流器が一体的に備えられ、
前記零相変流器は第1の零相変流器と第2の零相変流器を備えており、
前記コントロールセンタには、R相、S相、T相の三相の電線に接続する導電部が各相2本ずつ合計6本備えられており、
前記第1の零相変流器には、2本のR相及び1本のS相に接続する導電部が通され、前記第2の零相変流器には、2本のT相及び他方の1本のS相に接続する導電部が通されている断路器ユニット。
【請求項2】
前記第1及び第2の零相変流器は地絡継電器で接続されており、
前記第1及び第2の零相変流器は、前記導電部の周囲を非接触に取り巻く鉄心と前記鉄心を巻回する巻線により構成されており、
前記第1及び第2の零相変流器それぞれの前記巻線の入側の配線、及び出側の配線がまとめられて前記地絡継電器に接続する請求項1に記載の断路器ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の断路器ユニットを備えて構成される負荷断路器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の断路器ユニットを備えて構成されるコントロールセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、断路器ユニット、負荷断路器、及びコントロールセンタに関する。
【背景技術】
【0002】
コントロールセンタに配設される単位装置において地絡電流を測定する場合に、零相変流器を用いている。コントロールセンタには多数の単位装置が配設されており、各単位装置とコントロールセンタを電気的に接続/分離しうる断路装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−210612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、零相変流器に電線を通す作業は手間がかかるため、コントロールセンタの製造性、メンテナンス性を悪化させていた。そこで、製造性、メンテナンス性を向上させることが可能な断路器ユニット、負荷断路器、及びコントロールセンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る断路器ユニットは、コントロールセンタに配設される単位装置と、前記コントロールセンタ間とを電気的に接続及び切断する断路装置を構成し、零相変流器が一体的に備えられ、前記零相変流器は第1の零相変流器と第2の零相変流器を備えており、前記コントロールセンタには、R相、S相、T相の三相の電線に接続する導電部が各相2本ずつ合計6本備えられており、前記第1の零相変流器には、2本のR相及び1本のS相に接続する導電部が通され、前記第2の零相変流器には、2本のT相及び他方の1本のS相に接続する導電部が通されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るコントロールセンタの概略構成例を示す正面図
図2】コントロールセンタに組み込まれる単位装置の概略構成を拡大して示す斜視図
図3】単位装置の電気的構成を模式的に示す図
図4】断路器ユニットの構成を模式的に示す透視斜視図
図5図4のA−A線における縦断面矢視図を模式的に示した図
図6】第2実施形態に係る断路器ユニットの概略構成を示す透視斜視図
図7図6のB−B線における縦断面矢視図を模式的に示す図
図8】第3実施形態に係る断路器ユニットの概略構成を示す透視斜視図
図9図8のC−C線における縦断面矢視図を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面に基づいて説明する。実施形態の説明において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るコントロールセンタ100の概略構成例を示す正面図である。図2は、コントロールセンタ100に組み込まれる単位装置19の概略構成を拡大して示す斜視図である。図3は単位装置19の電気的構成を模式的に示す図である。
コントロールセンタ100は箱体11を備えている。箱体11内には仕切板11aにより区画された複数のユニット室12が設けられている。後述する単位装置19はこのユニット室12に装着される。箱体11の各ユニット室12の全面開口部には扉13が回動可能に装着されており、各ユニット室12の前面開口部は扉13の回動により開閉可能に構成されている。
【0009】
箱体11内の後部には、R相、S相、T相に対応する三相の電源母線14(図3参照)が配設されており、これら電源母線14の前面は図示しない母線カバーにより覆われている。各ユニット室12内の後部には図示しない単位電源断路器が配設されている。これら各単位電源断路器は、絶縁ケースと、絶縁ケースに装着された3つの図示しない接触部とを有するものであり、各接触部は電源母線14に接続されている。
【0010】
箱体11内の右側部には、縦長な配線処理室15が区画形成されており、配線処理室15内には、各ユニット室12に対応して雌側の断路器ユニット16が配設されている。各断路器ユニット16は、図示しない3つの雌側接触部を備えている。この雌側接触部は負荷側接触部に相当する。断路器ユニット16の各接触部は負荷ケーブル17(図3参照)を介して誘導電動機18(図3参照)に接続されている。誘導電動機18は負荷に相当する。
【0011】
各ユニット室12内には、単位装置19が挿抜可能に収納される。単位装置19は、図2に示すように、フレーム20に配線用遮断器21、電磁接触器22等の主回路器具を固定してなるものである。単位装置19の右側側面には雄側の断路器ユニット38が設けられている。断路器ユニット38は雄側接触部38aを備えている。単位装置19がユニット室12に装着された状態で、雄側の断路器ユニット38は断路器ユニット16に対応する位置に配置されている。単位装置19がユニット室12に装着される際には、単位装置19の挿入動作にともない、断路器ユニット38の雄側接触部38aが、断路器ユニット16の雌側接触部に嵌め合うことにより電気的に接続される構成を備えている。単位装置19が抜去される際には、単位装置19の抜去動作にともない、断路器ユニット38の雄側接触部38aが、断路器ユニット16の雌側接触部から抜去されることにより電気的に切断される構成を備えている。すなわち、断路器ユニット16及び38は、単位装置19とコントロールセンタ100を電気的に接続及び切断する負荷断路器44(図3参照)を構成している。
【0012】
図3に示すように、電源母線14と誘導電動機18(すなわち負荷)との間には主回路23が形成されている。主回路23は、例えば、配線用遮断器21と、電磁接触器22と、主回路電流に応じた電圧信号を発生する電流変換器24と、負荷断路器44等により構成されている。負荷断路器44は雌側の断路器ユニット16と雄側の断路器ユニット38により構成されている。地絡電流検出用の零相変流器25は、雄側の断路器ユニット38に設けられている。零相変流器25は、制御部28に電気的に接続されている。零相変流器25を備える断路器ユニット38の構成については後述する。制御部28は、マイクロコンピュータにより構成される論理演算回路により構成されており、主回路23に対して種々の制御を行っている。また、制御部28は、地絡を検出する地絡継電器としても機能する。
【0013】
各単位装置19には、フレーム20の後部に位置して図示しない単位電源断路器が取着されている。これら各単位電源断路器は、図示しない絶縁ケースと、絶縁ケースに固定された図示しない3つの接触部とを有するものであり、各単位装置19をユニット室12内に収納すると、単位装置19に固定された単位電源断路器の各接触部がユニット室12内に配設された単位電源断路器の接触部に接触する。電源母線14と配線用遮断器21は、電源断路器37を介して接続している。これにより、電源母線14が主回路23に接続され、電源母線14から主回路23に電源が供給される。
【0014】
各単位装置19には、図2に示すように、フレーム20の右側部に位置して雄側の断路器ユニット38が取付けられている。図4は断路器ユニット38の構成を模式的に示す透視斜視図であり、図5は、図4のA−A線における縦断面矢視図を模式的に示した図である。断路器ユニット38には、R相、S相、T相に対応する3つの雄側接触部38aが設けられている。雄側接触部38aの右端は断路器ユニット38の外部に露出しており、断路器ユニット16の雌側接触部と嵌合して電気的に接続/切断可能に構成される。雄側接触部38aは、雄側の断路器ユニット38内部に設けられた導電部38bを介して、主回路23に接続されている。導電部38bの左側には端子取付部38cが備えられており、三相の電源母線14に接続される。導電部38bの右側には雄側接触部38aが備えられている。上述のように、雌側の断路器ユニット16と、雄側の断路器ユニット38は、負荷断路器44を構成する。
【0015】
断路器ユニット38内部に設けられた三つの導電部38bは、それぞれがR相、S相、T相に対応しており、それぞれが雄側接触部38aに接続されている。零相変流器25は環状の鉄心25aと、鉄心25aを巻回するコイル25bを構成する巻線25cを備えており、全体として中心部に穴を備えたドーナツ形状を呈している。コイル25bを構成する巻線25cは、制御部28に接続されている。零相変流器25から制御部28へは、電流方向から見てコイル25bへの巻線入側の配線k、及び巻線出側の配線lが接続している。制御部28の図示しない記憶部には、地絡の保護動作の制御動作を実行するための制御プログラムと、機能データとが記憶されており、制御部28は、制御プログラム、機能データ、入力信号に基づいた保護動作及び制御動作を実行するように構成されている。これにより、制御部28は地絡継電器として機能する。
【0016】
三つの導電部38bは、零相変流器25の中心に設けられた穴に通されるように配置されている。すなわち、三つの導電部38bの周りには、非接触にこれを取り巻くように零相変流器25が設けられている。このように、断路器ユニット38は内部に零相変流器25を一体的に備えている。
【0017】
以上に説明したように、第1実施形態に係る断路器ユニット38によれば、コントロールセンタ100に配設される単位装置19の負荷断路器44を構成する雄側の断路器ユニット38が、内部に零相変流器25を一体的に備えるような構成としている。この構成によれば、三相の電源母線14に接続される電線を、断路器ユニット38の端子取付部38cに接続するだけで、容易に零相変流器25に当該配線を貫通設置した構成を実現できる。従って、三相の電源母線14に接続される電線のいずれかの場所で、零相変流器25に当該配線を貫通させる煩雑な工事が不要となり、コントロールセンタ100、及び単位装置19の製造性が向上する。また、電線のサイズに応じて適切な零相変流器のサイズを選択する必要があったが、この構成によれば、電線のサイズにより零相変流器25を使い分ける必要がないため、複数の大きさの零相変流器を準備する必要がなく、単一の零相変流器を準備すればよい。このため、コントロールセンタ100、単位装置19の製造コストを削減できる。また、コントロールセンタ100の設置後に零相変流器25を交換する場合に、単位装置19内の配線と断路器ユニット38の端子取付部38cを切り離せばよいから、配線を通し直すという複雑で手間がかかる作業が不要となるため、コントロールセンタ100、単位装置19のメンテナンス性が向上する。
【0018】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図6は第2実施形態に係る断路器ユニット38の概略構成を示す透視斜視図であり、図7図6のB−B線における縦断面矢視図を模式的に示す図である。
【0019】
断路器ユニット38内部に設けられた6本の導電部38bは、上からR相、R相、S相、S相、T相、T相に接続している。この場合、図示はしないが、雌側の断路器ユニット16も6つの雌側接触部を備えて、断路器ユニット38の導電部38bに対応する構成となっている。零相変流器25のコイル25bを構成する巻線25cは、制御部28に接続されている。6つの導電部38bは、零相変流器25の中心に設けられた穴に通されるように配置されている。すなわち、6つの導電部38bの周りには、非接触にこれを取り巻くように零相変流器25が設けられている。このように、断路器ユニット38は内部に零相変流器25を一体的に備えている。
【0020】
第2実施形態に係る断路器ユニット38によれば、第1実施形態に係る断路器ユニット38と同様の効果を奏する。また、単位装置19の容量が大きい場合に、複数の負荷断路器44を設けることがあるが、この場合に、第2実施形態によれば、内部に6本の導電部38bが設けられ、大容量にも対応しうる断路器ユニット38を用いた負荷断路器44を用いることができる。これによれば、断路器ユニット38(負荷断路器44)の数を増加させることなく通電容量を大きくすることができ、コントロールセンタ100のコスト削減、省スペース化を可能とする。
【0021】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図8は第2実施形態に係る断路器ユニット38の概略構成を示す透視斜視図であり、図9図8のC−C線における縦断面矢視図を模式的に示す図である。
【0022】
第3実施形態に係る断路器ユニット38は、第1実施形態に係る断路器ユニット38を縦積みにした構成である。以下、断路器ユニット38の上部を断路器ユニット38s、下部を断路器ユニット38tとする。
【0023】
断路器ユニット38sには上側の零相変流器25sが備えられている。断路器ユニット38tには、下側の零相変流器25tが備えられている。断路器ユニット38内部に設けられた6つの導電部38bは、上からR相、R相、S相、S相、T相、T相に接続している。また、断路器ユニット38sの零相変流器25sには上から三つの導電部38bが通されるようにして設けられており、それぞれがR相、R相、S相に対応している。断路器ユニット38tの零相変流器25tには下側の三つの導電部38bが通されるようにして設けられており、それぞれがS相、T相、T相に対応している。零相変流器25s及び25tからは、電流方向から見てコイル25bへの巻線入側の配線k、及び巻線出側の配線lがまとめられて、制御部28に接続している。これらが一体的となって断路器ユニット38が構成されている。
【0024】
第3実施形態に係る断路器ユニット38によれば、第1実施形態、及び第2実施形態と同様の効果を得る。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0025】
上記各実施形態において、コントロールセンタ100が制御部28を備えない場合には、別途、地絡継電器を設け、これに零相変流器25を接続すればよい。
【符号の説明】
【0026】
100:コントロールセンタ、16、38、38s、38t:断路器ユニット、16a:接触部、19:単位装置、25、25s、25t:零相変流器、25a:鉄心、25b:コイル、25c:巻線、28:制御部(地絡継電器)、38a:接触部、38b:導電部、38c:端子取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9