特許第6688161号(P6688161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688161
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】シフト位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20200421BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B60K20/02 Z
   B60K20/02 A
   G01B7/00 102M
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-113453(P2016-113453)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-217997(P2017-217997A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃平
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−107376(JP,A)
【文献】 特開2006−347314(JP,A)
【文献】 特開2007−118700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトポジションの選択操作を行なうシフトレバーと、前記シフトレバーの操作に連動して移動するプレートと、オンまたはオフの出力信号を出力する複数のセンサと、を備え、前記プレートには、前記複数のセンサのうち所定のセンサがオンの出力信号を出力する第1の領域と、前記所定のセンサがオフの出力信号を出力する第2の領域とが所定のパターンで2次元状に配列されており、前記複数のセンサの各出力信号を組み合わせて構成されるポジション信号から前記シフトレバーのシフトポジションを検出するシフト位置検出装置であって、
前記第1の領域または第2の領域のいずれか一方がN極に着磁されたN極領域として構成され、他方がS極に着磁されたS極領域で構成され、
前記複数のセンサが、
前記N極領域にのみ反応してオンの出力信号を出力するN極検出センサと、
前記S極領域にのみ反応してオンの出力信号を出力するS極検出センサと、
により、構成されることを特徴とするシフト位置検出装置。
【請求項2】
前記ポジション信号が、前記センサの出力信号を組み合わせて構成され、他のシフトポジションにおける前記ポジション信号と比較して少なくとも3つの前記センサの出力信号が異なるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のシフト位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の領域または前記第2の領域で各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、各配置パターンの間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンを形成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシフト位置検出装置。
【請求項4】
前記N極領域に、着磁されていない未着磁領域に変更可能なS極着磁禁止領域が設けられるとともに、前記S極領域に前記未着磁領域に変更可能なN極着磁禁止領域が設けられ、前記2次元状に配列された前記N極領域または前記S極領域において、各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、該配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンとして形成され、且つ、前記集約配置パターンを構成する領域のうち、すべてが前記S極着磁禁止領域またはN極着磁禁止領域で形成される一列領域または一行領域が削除されて前記第1の領域および前記第2の領域が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシフト位置検出装置。
【請求項5】
前記N極領域に着磁されていない未着磁領域に変更可能なS極着磁禁止領域が設けられるとともに、前記S極領域に着磁されていない未着磁領域に変更可能なN極着磁禁止領域が設けられ、前記2次元状に配列された前記N極領域または前記S極領域において、各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、該配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンとして形成され、且つ、前記集約配置パターンを構成する領域のうち、前記N極領域または前記S極領域とは重複しない前記S極着磁禁止領域及び前記N極着磁禁止領域が削除されて前記第1の領域および前記第2の領域が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシフト位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シフトレバーの操作位置に基づいて車両のシフト位置を電気的に検出するシフトバイワイヤ方式のシフト位置検出装置が知られている。
【0003】
この種のシフト位置検出装置として、オン又はオフの出力信号を出力する複数の磁気センサと、異なる磁極で着磁された反応領域および非反応領域からなるセンシング領域を磁気センサ毎に設けた反応板と、を備え、反応板がシフトレバーの操作に伴って、対向する位置に配置された磁気センサに対して相対的に移動するように構成され、各磁気センサが対向するセンシング領域に応じた出力信号を出力し、その出力信号を組み合わせたシフトポジション信号からシフトレバーの位置を判定するシフト位置検出装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記のシフト位置検出装置では、隣り合うセンシング領域の境界において反応領域および非反応領域の配置が同じになるように各センシング領域を組み合わせ、隣り合うセンシング領域の間で一部を共有させることにより、反応板の大型化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−118700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、より多くのシフトポジションを検出する場合には、反応領域および非反応領域の数が増加して複雑になることから、上記のように、隣り合うセンシング領域の境界において反応領域および非反応領域の配置が同じになるように各センシング領域を組み合わせることが困難となり、反応板の大型化を抑制することが難しくなることが懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、この種のシフト位置検出装置において、プレート(反応板)の面積を小型化するとともに、より小型のシフト位置検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、シフトポジションの選択操作を行なうシフトレバーと、前記シフトレバーの操作に連動して移動するプレートと、オンまたはオフの出力信号を出力する複数のセンサと、を備え、前記プレートには、前記複数のセンサのうち所定のセンサがオンの出力信号を出力する第1の領域と、前記所定のセンサがオフの出力信号を出力する第2の領域とが所定のパターンで2次元状に配列されており、前記複数のセンサの各出力信号を組み合わせて構成されるポジション信号から前記シフトレバーのシフトポジションを検出するシフト位置検出装置であって、前記第1の領域または第2の領域のいずれか一方がN極に着磁されたN極領域として構成され、他方がS極に着磁されたS極領域で構成され、前記複数のセンサが、前記N極領域にのみ反応してオンの出力信号を出力するN極検出センサと、前記S極領域にのみ反応してオンの出力信号を出力するS極検出センサと、により、構成されることを特徴とするシフト位置検出装置を提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ポジション信号が、前記センサの出力信号を組み合わせて構成され、他のシフトポジションにおける前記ポジション信号と比較して少なくとも3つの前記センサの出力信号が異なるように設定されているシフト位置検出装置を提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1の領域または前記第2の領域で各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、各配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンを形成するシフト位置検出装置を提案している。
【0011】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記N極領域に、着磁されていない未着磁領域に変更可能なS極着磁禁止領域が設けられるとともに、前記S極領域に前記未着磁領域に変更可能なN極着磁禁止領域が設けられ、前記2次元状に配列された前記N極領域または前記S極領域において、各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、該配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンとして形成され、且つ、前記集約配置パターンを構成する領域のうち、すべてが前記S極着磁禁止領域またはN極着磁禁止領域で形成される一列領域または一行領域が削除されて前記第1の領域および前記第2の領域が構成されているシフト位置検出装置を提案している。
【0012】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記N極領域に着磁されていない未着磁領域に変更可能なS極着磁禁止領域が設けられるとともに、前記S極領域に着磁されていない未着磁領域に変更可能なN極着磁禁止領域が設けられ、前記2次元状に配列された前記N極領域または前記S極領域において、各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、該配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンとして形成され、且つ、前記集約配置パターンを構成する領域のうち、前記N極領域または前記S極領域とは重複しない前記S極着磁禁止領域及び前記N極着磁禁止領域が削除されて前記第1の領域および前記第2の領域が構成されているシフト位置検出装置を提案している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、この種のシフト位置検出装置において、プレート(反応板)の面積を小型化するとともに、装置全体の小型化を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシフト位置検出装置の側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るシフト位置検出装置の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る7ポジションタイプのシフトパターンを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る各磁気センサのポジション信号とシフトポジション判定の関係を示した図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る各磁気センサに対するプレートの領域設定を説明するための各磁気センサに対するプレートの領域設定を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る領域を重複させたプレートと磁気センサとの関係を説明するための重複させたプレートと磁気センサとの関係を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る各磁気センサに対するプレートの領域設定を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る領域を重複させたプレートと磁気センサとの関係を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る各磁気センサに対するプレートの領域設定を説明するための各磁気センサに対するプレートの領域設定を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る領域を重複させたプレートと磁気センサとの関係を説明するための重複させたプレートと磁気センサとの関係を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る各磁気センサに対するプレートの領域設定を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る領域を重複させたプレートと磁気センサとの関係を示す図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る領域を重複させたプレートと磁気センサとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図1から図13を用いて説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1から図8を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、シフトレバー11の操作位置である各シフトポジションを表すポジション信号を出力し、これを検出してシフトの位置を検出するように構成したものである。
【0018】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、図1図2に示すように、先端にグリップハンドルを有し、他方の端部にピボットを設けた軸状のシフトレバー11と、シフトレバー11の各シフトポジションに応じてオンあるいはオフの出力信号を出力するように構成した2以上の複数の磁気センサ14と、複数の磁気センサ14を搭載する回路基板15と、各磁気センサ14がオンの出力信号を出力する反応領域、及び各磁気センサがオフの出力信号を出力する非反応領域からなるセンシング領域を各磁気センサ14毎に設けたプレート12と、プレート12を保持する保持部13と、各磁気センサ14の出力信号を組み合わせてポジション信号を出力する図示しない信号出力部とから構成されている。つまり、本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、プレート12を保持する保持部13がシフトレバー11の動きに連動して移動する。なお、シフトレバーの操作方向と同じ方向にプレートが移動する構造に限らず、シフトレバーの操作方向とプレートの移動方向が異なった方向であってもよい。
【0019】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、図3に示すように、7つのシフトポジションが「H」パターンに配置された、いわゆるHゲート式のものである。このシフト位置検出装置10では、ホームポジション(Hポジション)が中央に配置され、ホームポジション(Hポジション)を挟んでニュートラルポジション(Nポジション)及びマニュアルポジション(Mポジション)が略一直線状に配置され、ニュートラルポジション(Nポジション)を挟んでドライブポジション(Dポジション)およびリバースポジション(Rポジション)が略一直線状に配置され、マニュアルポジション(Mポジション)を挟んでシフトアップポジション(+ポジション)およびシフトダウンポジション(−ポジション)が略一直線状に配置されている。
【0020】
なお、本実施形態に係るシフトレバー11は、通常、ホームポジション(Hポジション)に位置し、ニュートラルポジション(Nポジション)、リバースポジション(Rポジション)、ドライブポジション(Dポジション)に操作された後にはホームポジション(Hポジション)に自動的に復帰する。ホームポジション(Hポジション)からマニュアルポジション(Mポジション)に操作されると、節度機構などで復帰規制され、マニュアルポジション(Mポジション)に保持される。マニュアルポジション(Mポジション)からシフトアップポジション(+ポジション)あるいはシフトダウンポジション(−ポジション)に操作された後は、マニュアルポジション(Mポジション)に自動的に復帰する。マニュアルポジション(Mポジション)から手動でホームポジション(Hポジション)に操作されると、ホームポジション(Hポジション)に保持される。
【0021】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、各磁気センサの出力信号の組み合わせで構成されるポジション信号からシフトポジションを判定する。この一例を図4に示す。
このとき、各シフトポジションにおいて、ポジション信号が、他のシフトポジションのポジション信号と比較して、磁気センサの出力信号が少なくとも3つは異なるように設定する。これにより、1つの磁気センサが故障してもシフトポジションを検出することができる。
【0022】
具体的に説明すると、シフトレバーがHポジションにあり、ポジション信号が「111111」のときに、図4の磁気センサ14が故障して、ポジション信号が「111101」となった場合、各シフトポジションにおけるポジション信号と一致しない。しかし、センサ故障時のポジション信号「111101」は、本来のHポジションのポジション信号に対して1つしか異なっておらず、他のシフトポジションのポジション信号とは2つ以上異なるため、このポジション信号「111101」を異なる出力信号数が最も少ないHポジションと判定するとともに、磁気センサ14が故障していると判定することができる。
【0023】
一方で、本来のHポジションのポジション信号「111111」に対して2つ異なる場合には、判定することができない。このことを説明するために、Dポジションのポジション信号が本来のHポジションのポジション信号「111111」に対して2つ異なる「111100」である場合を例示する。
【0024】
シフトレバー11がHポジションにあり、ポジション信号が「111111」のときに、磁気センサ14が故障してポジション信号が「111101」になった場合、Hポジションのポジション信号とDポジションのポジション信号のそれぞれに対して1つしか異なっておらず、その差が無いため、シフトレバーがどの位置にあるか、また、どのセンサが故障したかを判定することができない。
【0025】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10について、理解を容易にするために、まず、図5図6を用いて、シフトレバー11の動きに対応した各磁気センサの信号の遷移について説明する。
【0026】
複数の磁気センサ14を搭載する回路基板15は、略平板状部材の表面に6つの磁気センサ14を配設している。各磁気センサ14は、所定の方向に作用する磁界のみを検知する。各磁気センサ14は、所定の方向の磁界を検出したときのオン信号あるいは、非検出のときのオフ信号を信号出力部に向けて出力する。まず、図5および図6に示す磁気センサ14がN極を検出する磁気センサのみで構成された場合について説明する。この磁気センサ14は、ホール効果ICでもよいし、磁気抵抗素子、ホール素子、リードスイッチ等の磁気センサを採用することもできる。
【0027】
プレート12は、回路基板15の各磁気センサ14に対応して6つのセンシング領域を略平板状部材の表面に設けている。図5では、センサ番号1〜6の磁気センサ14に対応するセンシング領域のみを抜き出して示してある。各センシング領域は、N極領域(第1の領域)、S極領域(第2の領域)、未使用領域を3行3列の2次元アレイ状に配置したものである。N極領域(第1の領域)は、センサ側がN極となるように着磁した領域であり、S極領域(第2の領域)は、センサ側がS極となるように着磁した領域であり、未使用領域は、未着磁領域、N極に着磁した領域またはS極に着磁した領域のいずれでもよい領域である。これに対して、磁気センサ14は、N極検出センサであるため、N極領域(第1の領域)に対面したときにオン信号を出力し、S極領域(第2の領域)に対面したときにオフ信号を出力する。なお、未使用領域は、磁気センサ14に対面しない領域である。
【0028】
図5は、各磁気センサ14が、図4に示したシフトポジション毎のオン信号あるいはオフの信号を出力するよう、磁気センサ14毎に形成したものである。ここで、センサ番号6の磁気センサ14を例として、対応するセンシング領域の構成について説明すると、センシング領域は、4つのN極領域(第1の領域)と3つのS極領域(第2の領域)と2つの未使用領域をシフトポジションに対応して配置している。なお、図5における磁気センサ14の位置は、シフトレバー11がホームポジション(Hポジション)に位置したときのものである。
【0029】
センシング領域は、固定的に配置された磁気センサ14(図5において、番号「6」で記載された中央の四角枠で囲んで示される部分が磁気センサ14の配置位置である)に対して全体的に変位するものである。例えば、図3に示すように、ホームポジション(Hポジション)からニュートラルポジション(Nポジション)に切り替えるようにシフトレバー11を図3中の右方向に操作すると、それに伴って、例としたセンサ番号6の磁気センサ14では、その磁気センサ14に対してセンシング領域全体が図5中の右方向に変位する。これにより、磁気センサ14に対面する領域は、行番号2、列番号2のN極領域(第1の領域)から行番号2、列番号1のS極領域(第2の領域)に切り替わる。また、例えば、ニュートラルポジション(Nポジション)からドライブポジション(Dポジション)に切り替えるようにシフトレバーを手前側、つまり、図3中の下方向に操作すると、それに伴って、磁気センサ14に対してセンシング領域全体が図5中の下方向に変位する。これにより、磁気センサ14に対面する領域は、行番号2、列番号1のS極領域(第2の領域)から行番号1、列番号1のS極領域(第2の領域)に切り替わる。
【0030】
このように、図5のセンシング領域では、図3に示すように、行番号2、列番号1のS極領域(第2の領域)がニュートラルポジション(Nポジション)に対応し、行番号1、列番号1のS極領域(第2の領域)がドライブポジション(Dポジション)に対応し、行番号3、列番号1のN極領域(第1の領域)がリバースポジション(Rポジション)に対応し、行番号2、列番号3のN極領域(第1の領域)がマニュアルポジション(Mポジション)に対応し、行番号3、列番号3のS極領域(第2の領域)がシフトダウンポジション(−ポジション)に対応し、行番号1、列番号3のN極領域(第1の領域)がシフトアップポジション(+ポジション)に対応し、行番号2、列番号2のN極領域(第1の領域)がホームポジション(Hポジション)に対応している。
【0031】
他の磁気センサも同様であり、各磁気センサに対するプレート12の領域設定は、図5のようになる。これらの領域を単純に組み合わせると、プレート12の大きさは、9行、6列の54マスとなる。そこで、図5に示す各磁気センサのプレート12の領域のうち、共通する領域を重ねて1つの集約配置パターンとすると、各シフトポジションにおけるポジション信号(各磁気センサの出力信号)を変えることなく、図6に示すように、プレート12の大きさを7行、4列の28マスとすることができる。なお、各センサに対応する未使用領域は、N極領域またはS極領域であっても問題がないため、他の領域を重ねることができる。
【0032】
上記の説明を考慮しつつ、図7図8を用いて、本実施形態にシフト位置検出装置10について説明する。本実施形態では、磁気センサ14をN極検出センサとS極検出センサとで構成する。例えば、図7に示すように、センサ番号1、2、3の磁気センサ14をN極検出センサで、センサ番号4、5、6の磁気センサ14をS極検出センサで構成する。このとき、センサ番号6の磁気センサ14を例として、対応するセンシング領域の構成について説明する。
【0033】
図3に示すように、ホームポジション(Hポジション)からニュートラルポジション(Nポジション)に切り替えるようにシフトレバー11を図3中の右方向に操作すると、それに伴って、磁気センサ14に対してセンシング領域全体が図7中の右方向に変位する。これにより、磁気センサ14に対面する領域は、行番号2、列番号2のS極領域(第2の領域)から行番号2、列番号1のN極領域(第1の領域)に切り替わる。また、例えば、ニュートラルポジション(Nポジション)からドライブポジション(Dポジション)に切り替えるようにシフトレバーを手前側、つまり、図3中の下方向に操作すると、それに伴って、磁気センサ14に対してセンシング領域全体が図7中の下方向に変位する。これにより、磁気センサ14に対面する領域は、行番号2、列番号1のN極領域(第1の領域)から行番号1、列番号1のN極領域(第1の領域)に切り替わる。
【0034】
このように、図7のセンシング領域では、図3に示すように、行番号2、列番号1のN極領域(第1の領域)がニュートラルポジション(Nポジション)に対応し、行番号1、列番号1のN極領域(第1の領域)がドライブポジション(Dポジション)に対応し、行番号3、列番号1のS極領域(第2の領域)がリバースポジション(Rポジション)に対応し、行番号2、列番号3のS極領域(第2の領域)がマニュアルポジション(Mポジション)に対応し、行番号3、列番号3のN極領域(第2の領域)がシフトダウンポジション(−ポジション)に対応し、行番号1、列番号3のS極領域(第2の領域)がシフトアップポジション(+ポジション)に対応し、行番号2、列番号2のS極領域(第2の領域)がホームポジション(Hポジション)に対応している。他の磁気センサも同様である。
【0035】
上記の例では、磁気センサ14を一方の磁極のみに反応するセンサ(上記例では、N極検出センサ)のみで構成していたため、領域の設定が限定され、重複できない領域が存在していた。本実施形態では、2つの磁極を検出するセンサ(N極検出センサとS極検出センサ)で構成することにより、設定可能な領域パターンが多くなり、設定の自由度が増し、重複可能な領域を増やすことができる。そのため、図8に示すように、プレート12の大きさを6行、4列の24マスの集約配置パターンとすることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、N極検出センサとS極検出センサとをそれぞれ3個用いた組み合わせを例示したが、使用するセンサの数、検出したポジション信号等に応じて、各センサに対する領域も変わるため、重複可能領域が増えるようにセンサの組み合わせを変えてもよい。
【0037】
以上、説明したように、本実施形態によれば、センサをN極検出センサとS極検出センサとで構成することにより、各センサの第1の領域及び第2の領域の設定の自由度が上がり、重複可能な領域の組み合わせを増やすことができるため、プレートの面積を小型化でき、装置も小型化することできる。また、ポジション信号が、他のシフトポジションにおけるポジション信号と比較して少なくとも3つのセンサの出力信号が異なるように設定されることにより、1つのセンサが故障したとしても、故障したセンサを検出でき、且つ、シフトポジションを正しく判定することができる。第1の領域又は第2の領域で各ポジション信号に対応した配置パターンが構成され、各配置パターン間で共通する少なくとも一方の領域が重複されて1つの集約配置パターンが形成されることにより、各シフトポジションにおけるポジション信号が変わらないようにしつつ、プレートの面積を小さくすることができる。
【0038】
<第2の実施形態>
図9から図13を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0039】
本実施形態に係るシフト位置検出装置10について、理解を容易にするために、まず、図9図10を用いた説明を行う。図9は、各磁気センサ14に対するプレート12の領域設定の関係を示しているが、その内容は第1の実施形態と同様である。図9に示す各磁気センサ14に対するプレート12の領域設定の関係から、共通する領域を重ねて1つの集約配置パターンとすると図10のようになる。具体的には、プレート12の大きさが5行、6列の30マスとなっており、第1の実施形態よりも大きくなっている。
【0040】
そこで、本実施形態においては、上記の図9に示す各磁気センサ14に対するプレート12の領域設定の関係において、図11に示すように、N極検出センサにおけるS極領域をS極または未着磁領域のどちらかで構成されるN極着磁禁止領域とし、S極検出センサにおけるN極領域をN極または未着磁領域のどちらかで構成されるS極着磁禁止領域としている。
【0041】
図11のように、各センサに対する領域を設定し、共通する領域を重複させた集約配置パターンとすると、プレート12は、図12のようになる。また、その集約配置パターンにおいて、右端の列の領域(点線部分)をすべて未着磁領域とすることができ、不要な領域として削除できるため、領域を5行、5列の25マスで構成することができる。したがって、プレート12の大きさを上記の例よりも小さくすることができる。
【0042】
また、図13に示すように、N極領域またはS極領域とは重複しないS極着磁禁止領域及びN極着磁禁止領域(点線部分外)は各センサの出力信号がオフとなるように構成すればよいため、集約配置パターンから削除してもよい。このように構成した場合には、図12のような四角形のプレートではなく、異形のプレートとなるが、プレート12を最小限の大きさとすることができる。
【0043】
以上、説明したように、本実施形態によれば、未着磁領域で構成してもよいS極着磁禁止領域とN極着磁禁止領域を設けることで重複させることのできる領域のバリエーションを増やすことができるため、集約配置パターンとしてプレート12を小さくするための領域形状のバリエーションも増やすことができる。また、集約配置パターンにおいて、全てがS極着磁禁止領域とN極着磁禁止領域で構成された1列または1行の領域は削除しても問題はないため、領域を小さくすることができる。また、集約配置パターンにおいて、N極領域またはS極領域とは重複しないS極着磁禁止領域及びN極着磁禁止領域を削除すれば、プレート12を最低限の大きさとすることができる。
【0044】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10;シフト位置検出装置
11;シフトレバー
12;プレート
13;保持部
14;磁気センサ
15;回路基板
図1
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図13