(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材の前記第1方向の一方側への移動に伴って、前記当接部による前記被駆動部材の前記第2方向の他方側への傾きが大となることを特徴とする請求項1に記載のチルト駆動装置。
前記支持部材は、前記軸線方向の一方側に向けて突出して前記ガイド溝に嵌った第1軸部と、前記第1軸部に対して前記第2方向の他方側で前記軸線方向の一方側に向けて突出して前記ガイド溝に嵌った第2軸部と、を備え、
前記被駆動部材は、前記第1軸部および前記第2軸部のうち、前記第1軸部のみが前記第2溝部に進入した際に前記第2方向の他方側に傾くことを特徴とする請求項3に記載のチルト駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の駆動装置において、被駆動部材の姿勢を切り換える必要がある場合、支持部材上に別のモータ等の駆動源やチルト駆動機構を設ける必要がある。このため、構成が複雑化してしまい、支持部材の大型化や重量の増加を招いてしまう。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、簡素な構成で、被駆動部材のチルト駆動を行うことのできるチルト駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るチルト駆動装置は、被駆動部材を軸線周りに回転可能に支持する支持部材と、駆動源と、前記駆動源の駆動力によって前記支持部材を前記軸線に対して直交する第1方向の一方側および他方側に直動させる直線駆動機構と、前記被駆動部材と前記支持部材との間に設けられ、前記被駆動部材を前記軸線および前記第1方向に交差する第2方向の一方側に傾かせる付勢力を前記被駆動部材に印加する第1付勢部材と、前記被駆動部材が前記第1方向の他方側から一方側に移動する間、前記第2方向の一方側から前記被駆動部材に当接して前記被駆動部材を支持する受け部と、前記第1方向の一方側に到達した前記被駆動部材に前記第2方向の一方側から当接して前記被駆動部材を前記第2方向の他方側に傾かせる当接部と、を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明において、被駆動部材は、支持部材によって軸線周りに回転可能に支持されているとともに、第1付勢部材によって第2方向の一方側に傾くように付勢されている。従って、被駆動部材が第1方向の他方側から一方側に移動する間、被駆動部材は、受け部によって第2方向の一方側から支持され、第1方向の一方側に到達した際には、当接部によって第2方向の他方側に傾く。このため、簡素な構成で、被駆動部材の直線駆動と被駆動部材のチルトとを行うことができる。また、当接部の位置等によって被駆動部材を任意に傾かせることができる。
【0008】
本発明において、前記支持部材の前記第1方向の一方側への移動に伴って、前記当接部による、前記被駆動部材の前記第2方向の他方側への傾きが大となる態様を採用することができる。
【0009】
本発明において、前記直線駆動機構は、前記支持部材を前記第1方向に案内するガイド溝を備えたガイド部材を備え、前記ガイド溝は、前記第1方向に延在する第1溝部と、前
記第1溝部に対して前記第1方向の一方側で前記第2方向の一方側に傾いた第2溝部と、を備え、前記被駆動部材は、前記支持部材の一部が前記第2溝部に進入した際に前記当接部が当接して前記第2方向の他方側に傾く態様を採用することができる。かかる態様によれば、ガイド溝の第2溝部の傾き等によって被駆動部材の傾きを任意に設定することができる。
【0010】
本発明において、前記支持部材は、前記軸線方向の一方側に向けて突出して前記ガイド溝に嵌った第1軸部と、前記第1軸部に対して前記第2方向の他方側で前記軸線方向の一方側に向けて突出して前記ガイド溝に嵌った第2軸部と、を備え、前記被駆動部材は、前記第1軸部および前記第2軸部のうち、前記第1軸部のみが前記第2溝部に進入した際に前記第2方向の他方側に傾く態様を採用することができる。かかる構成によれば、第1軸部の位置等によって被駆動部材の傾きを任意に設定することができる。
【0011】
本発明において、前記当接部を前記第2方向の他方側に向けて前記第1付勢部材の付勢力より大きな付勢力で付勢する第2付勢部材と、前記当接部の前記第2方向の他方側への変位を阻止するストッパと、を有する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1方向の一方側に到達した被駆動部材を第2方向の一方側に傾かせようとする外力が加わった際、かかる外力を第2付勢部材によって吸収することができるとともに、かかる外力に抗する抗力を第2付勢部材が発生させる。このため、外力によって被駆動部材が第2方向の一方側に傾くことを抑制することができるとともに、かかる外力が除去された際、被駆動部材の姿勢が自動的に元に戻る。また、第1方向の一方側に到達した被駆動部材を第2方向の他方側に傾かせようとする外力が加わった際、かかる外力を第1付勢部材によって吸収することができるとともに、かかる外力に抗する抗力を第1付勢部材が発生させる。このため、外力によって被駆動部材が第2方向の他方側に傾くことを抑制することができるとともに、かかる外力が除去された際、被駆動部材の姿勢が自動的に元に戻る。
【0012】
本発明において、前記軸線と平行に延在する支軸周りに回転可能なレバーを有し、前記レバーの前記支軸付近に前記受け部が設けられ、前記レバーにおいて前記受け部から一方側に延在する部分に前記当接部が設けられ、前記レバーにおいて前記受け部から他方側に延在する部分に前記第2付勢部材が接続され、前記レバーは、前記当接部が前記第2方向の他方側に変位するような前記支軸周りの回転が前記ストッパによって制限されている態様を採用することができる。かかる構成によれば、簡素な構成で、チルト駆動機構に対して外力を吸収する機構を設けることができる。
【0013】
本発明において、前記第1付勢部材は、前記軸線周りに配置された捩りコイルバネである態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1付勢部材を小さなスペースに設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明において、被駆動部材は、支持部材によって軸線周りに回転可能に支持されているとともに、第1付勢部材によって第2方向の一方側に傾くように付勢されている。従って、被駆動部材が第1方向の他方側から一方側に移動する間、被駆動部材は、受け部によって第2方向の一方側から支持され、第1方向の一方側に到達した際には、当接部によって第2方向の他方側に傾く。このため、簡素な構成で、被駆動部材の直線駆動と被駆動部材のチルトとを行うことができる。また、当接部の位置等によって被駆動部材を任意に傾かせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明においては、被駆動部材3の直動方向に沿う方向を第1方向Yとし、第1方向Yに交差する2方向を各々、第2方向Zおよび第3方向Xとする。また、第1方向Yの一方側にはY1を付し、他方側にはY2を付し、第2方向Zの一方側にはZ1を付し、他方側にはZ2を付し、第3方向Xの一方側にはX1を付し、他方側にはX2を付して説明する。以下に説明する駆動装置1において、被駆動部材3は上下方向に移動する。このため、第1方向Yは上下方向であり、第1方向Yの一方側Y1は上方向であり、他方側Y2は下方向である。また、第2方向Zは被駆動部材3の前後方向であり、第3方向Xは被駆動部材3の幅方向(横方向)である。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した駆動装置1を第2方向Zの他方側Z2からみた斜視図である、
図2は、
図1に示す駆動装置1を第3方向Xの一方側X1からみた側面図である。なお、
図1および
図2では、被駆動部材3がフレーム2の内側の待機位置P1にある状態を示してある。また、
図1および
図2では、フレーム2の内部構造が分かりやすいように、輪郭のみを実線で模式的に示してある。
【0018】
図1および
図2に示す駆動装置1は、第1方向Y(上下方向)の一方側Y1(上側)に向けて開口する開口部20を備えたフレーム2と、フレーム2の内側の待機位置P1に配置された被駆動部材3とを有している。被駆動部材3は、第2方向Zに厚さ方向を向けた板状部材であり、フレーム2は箱状である。本形態の駆動装置1において、被駆動部材3は、例えば直視型の表示部材であり、フレーム2はテーブルの天板等に固定される。
【0019】
駆動装置1は、駆動源5の駆動力によって被駆動部材3を開口部20から突出した出現位置P2と開口部20より内側に引っ込んだ待機位置P1との間で移動させる直線駆動機構7を有している。さらに、駆動装置1は、駆動源5の駆動力によって出現位置P2に到達した被駆動部材3の先端側を傾かせるチルト駆動機構8(チルト駆動装置)を有している。本形態において、直線駆動機構7およびチルト駆動機構8等を構成する部材は、第3方向Xの両側に対称に配置されている。
【0020】
駆動源5は、フレーム2に固定されたステッピングモータ等のモータ50であり、モータ50は、双方向の回転を出力する。本形態において、モータ50は回転部材51を回転中心軸53周りの双方向に回転駆動し、回転部材51の回転は、直線駆動機構7に伝達される。本形態においては、回転部材51は第3方向Xの両側に配置されている。但し、2つの回転部材51は、連結軸52によって繋がっている。従って、1つのモータ50によって2つの回転部材51を各々、回転中心軸53周りに回転させることができる。
【0021】
(被駆動部3周辺の構成)
図3は、
図1に示す駆動装置1の被駆動部材3周辺の構成を示す説明図であり、被駆動部材3等を後側(第2方向Zの他方側Z2)からみた斜視図、被駆動部材3等の分解斜視図、および第1付勢部材78の近傍を拡大して示す斜視図である。
【0022】
図3に示すように、被駆動部材3は、第3方向Xに延在するホルダ31を介して第3方向Xの両端が各々、支持部材70に支持されている。本形態において、支持部材70は、直線駆動機構7によって第1方向Yに駆動されるキャリッジである。ホルダ31は、被駆
動部材3の下端部(第1方向Yの他方側Y2)にボルト32によって固定されている。ホルダ31および被駆動部材3は、第3方向Xの両側において、支持部材70に対して、第3方向Xに延在する軸線L3周りに第2方向Zに回転可能に支持されている。より具体的には、ホルダ31には、第3方向Xの両側に向けて開口した軸穴310が形成されている一方、支持部材70には、軸穴310に嵌る支軸701が形成されており、ホルダ31および被駆動部材3は、支軸701の軸線L3周りに回転可能に支持されている。
【0023】
支持部材70と被駆動部材3との間には、被駆動部材3が軸線L3周りの一方方向(矢印R31で示す方向)に回転して第2方向Zの一方側Z1に傾くように付勢する第1付勢部材78が設けられている。本形態において、第1付勢部材78は、支軸701周り(軸線L3周り)に配置された捩りコイルバネであり、一方の端部が支持部材70に当接し、他方の端部がホルダ31に当接している。
【0024】
(直線駆動機構7の構成)
図2および
図3に示すように、直線駆動機構7は、第3方向Xの両側に、支持部材70と、支持部材70を第1方向Yに案内するガイド機構72とを有しており、ガイド機構72は、第1方向Yにガイド溝720が延在するガイド部材721からなる。支持部材70は、第3方向Xの両側においてホルダ31とは反対側(外側)に向けて突出した第1軸部706と、第3方向Xの両側において第1軸部706より第1方向Yの他方側Y2でホルダ31とは反対側(外側)に向けて突出した第2軸部707とを備えている。第1軸部706の先端部には円筒状の第1ベアリング708が装着され、第2軸部707の先端部には円筒状の第2ベアリング709が装着されている。第1軸部706の第1ベアリング708、および第2軸部707の第2ベアリング709は各々、ガイド溝720の内側に位置する。ガイド溝720は、第1方向Yの他方側Y2から一方側Y1に直線的に延在した第1溝部726と、第1溝部726の第1方向Yの一方側Y1で第2方向Zの一方側Z1に傾いた第2溝部727とを有している。
【0025】
直線駆動機構7は、溝750が形成されたレバー75を有しており、溝750には、回転中心軸53と、回転部材51の中心から離間した位置で第3方向Xに突出する丸棒状の凸部57とが嵌っている。レバー75の先端部には、第1軸部706が嵌る軸穴751が形成されており、第1軸部706と軸穴751とは軸線L3周りに回転可能な関節を構成している。従って、直線駆動機構7には、回転中心軸53および凸部57が嵌った溝750を備えたレバー75と、第1軸部706および軸穴751からなる関節と、第1ベアリング708および第2ベアリング709が嵌ったガイド溝720とによって、支持部材70、ホルダ31および被駆動部材3を第1方向Yに直線駆動するスライダリンク機構77が構成されている。
【0026】
被駆動部材3に対して第2方向Zの一方側Z1には、被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から当接するベアリング等の受け部91が設けられている。従って、被駆動部材3は、第1付勢部材78によって先端側(上端側)が第2方向Zの一方側Z1に傾くように付勢されているが、直線駆動機構7が支持部材70および被駆動部材3を第1方向Yの他方側Y2から一方側Y1まで移動させる間、被駆動部材3は、受け部91によって直立した姿勢に維持される。本形態において、受け部91は、ガイド部材721の第1方向Yの一方側Y1の端部722より他方側Y2(第1溝部727の第2方向Zの一方側Z1)に設けられている。
【0027】
(チルト駆動機構8の構成)
図4は、
図1に示す駆動装置1のチルト駆動機構8の説明図であり、
図4(a)、(b)は各々、チルト駆動機構8によって被駆動部材3が傾く直前の様子を示す説明図、およびチルト駆動機構8によって被駆動部材3が傾いた後の様子を示す説明図である。
【0028】
図4に示すように、駆動装置1において、ガイド部材721の第1方向Yの一方側Y1の端部722より一方側Y1には、ベアリング等からなる当接部92が設けられており、当接部92の第2方向Zの他方側Z2の周面は、受け部91の第2方向Zの他方側Z2の周面より第2方向Zの他方側Z2に位置する。本形態では、支持部材70、直線駆動機構7、第1付勢部材78、ベアリング等からなる当接部92、および受け部91によってチルト駆動機構8(チルト駆動装置)が構成されている。
【0029】
チルト駆動機構8において、支持部材70は、被駆動部材3を軸線L3周りに回転可能に支持し、第1付勢部材78は、被駆動部材3と支持部材70との間において、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1に傾かせる付勢力を被駆動部材3に印加する。また、受け部91は、被駆動部材3が第1方向Yの他方側Y2から一方側Y1に到達するまでの間、第2方向Zの一方側Z1から被駆動部材3に当接して被駆動部材3を支持し、当接部92は、第1方向Yの一方側Y1に到達した被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から当接して被駆動部材3を第2方向Zの他方側Z2に傾かせる。
【0030】
より具体的には、直線駆動機構7が被駆動部材3を第1方向Yの一方側Z1に駆動して、被駆動部材3が
図4(a)に示す位置から
図4(b)に示す位置まで移動すると、被駆動部材3が受け部91によって支持される位置より第1方向Yの一方側Y1まで上昇する。その間に、第1軸部706の第1ベアリング708、および第2軸部707の第2ベアリング709がガイド溝720の第1溝部726の内側に位置する状態から、第1ベアリング708および第2ベアリング709のうち、第1ベアリング708のみ(支持部材70の一部)がガイド溝720の第2溝部727の内側に位置する状態に移行する。その結果、支持部材70が第2方向Zの一方側Z1に変位し、当接部92が被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から当接する。その結果、被駆動部材3は、当接部92によって第2方向Zの他方側Z2に押圧される結果、軸線L3周りの他方方向(矢印R32で示す方向)に回転し、先端側が第2方向Zの他方側Z2に傾く。
【0031】
ここで、被駆動部材3の傾きは、被駆動部材3の第2方向Zの位置によって変化する。従って、直線駆動機構7によって被駆動部材3を第1方向Yのいずれの位置まで上昇させるかによって、被駆動部材3の傾きを最適な状態に調節することができる。本形態では、被駆動部材3が第1方向Yの一方側Y1に移動する程、被駆動部材3の先端側が第2方向Zの他方側Z2に大きく傾く。それ故、被駆動部材3をいずれの位置まで上昇させるかによって、被駆動部材3の傾きを最適な状態に調節することができる。
【0032】
(外力吸収機構9の構成)
図5は、
図1に示す駆動装置1の外力吸収機構9の説明図であり、
図5(a)、(b)は各々、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1に傾かせる外力が加わった様子を示す説明図、および被駆動部材3に第2方向Zの他方側Z2に傾かせる外力が加わった様子を示す説明図である。
【0033】
図5に示すように、本形態の駆動装置1には、軸線L3と平行かつ
図4を参照して説明した受け部91と同軸状に支軸909が設けられており、支軸909には、レバー90が回転可能に支持されている。従って、レバー90は、支軸909を回転中心にして回転可能である。ここで、
図4を参照して説明した当接部92は、レバー90において、支軸909(回転中心)から第1方向Yの一方側Y1に延在する部分の端部からなる一方端901に設けられ、レバー90の支軸909(回転中心)の付近に受け部91が設けられている。
【0034】
本形態では、チルト駆動機構8に用いた支持部材70、第1付勢部材78、当接部92
、および以下に説明する第2付勢部材98によって、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1および他方側Z2に傾けるような外力が加わった際、かかる外力を吸収する外力吸収機構9(外力吸収装置)が構成されている。本形態において、第2付勢部材98は引っ張りコイルバネであり、第2付勢部材98の一方端は、レバー90において支軸909(回転中心)から第1方向Yの他方側Y2に延在する部分の端部からなる他方端902に接続されている。また、図示を省略するが、第2付勢部材98の他方端は、フレーム2に接続されている。従って、レバー90は、矢印R61で示すように、支軸909および受け部91を中心回転するように付勢される結果、当接部92は、第2方向Zの他方側Z2に付勢されている。
【0035】
但し、当接部92に対しては、第2方向Zの他方側Z2への移動を制限するストッパ723が設けられている。本形態において、ストッパ723は、ガイド部材721の第1方向Yの一方側Y1の端部において第2方向Zの一方側Z1に突出した凸曲面であり、かかるストッパ723(凸曲面)に対して、レバー90において受け部91と当接部92との間で第2方向Zの一方側に凹んだ凹曲面93が当接している。
【0036】
ここで、
図3を参照して説明した第1付勢部材78は、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1に付勢しているが、第1付勢部材78の付勢力F78は、第2付勢部材98が当接部92を第2方向Zの他方側Z2に付勢する付勢力F98より小さい。このため、チルト駆動機構8において、当接部92は、被駆動部材3を第2方向Zの他方側Z2に傾かせることができる。
【0037】
このように構成した外力吸収機構9において、
図5(a)に示すように、被駆動部材3が出現位置P2に到達した状態で、矢印R41で示すように、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1に傾かせる外力(第1外力)が加わった場合には、当接部92が第2方向Zの一方側Z1に変位する。その結果、レバー90は、支軸909および受け部91を中心に第2付勢部材98を伸長させる方向に回転し、第1外力を吸収するとともに、矢印R32で示すように、被駆動部材3を軸線L3周りの他方方向に付勢する力(第1外力に抗する付勢力)を発生させる。ここで、
図3を参照して説明した第1付勢部材78は、矢印R31で示すように、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1(軸線L3周りの一方方向)に付勢している。このため、第1外力の大きさF1と第1付勢部材78が被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1に付勢する付勢力F78との和が、第2付勢部材98が被駆動部材3を第2方向Zの他方側Z2に付勢する付勢力F98より大きい場合、被駆動部材3は、第2方向Zの他方側Z2に傾くが、かかる傾きを第2付勢部材98の付勢力によって抑制することができる。また、外力(第1外力)の印加が停止した際、矢印R42で示すように、被駆動部材3は、第1方向Yの他方側Y2に変位しながら、第2方向Zの他方側Z2に回転し、元の姿勢に自動的に戻る。
【0038】
これに対して、
図5(b)に矢印R51で示すように、被駆動部材3を第2方向Zの他方側Z2に傾かせる外力(第2外力)が加わった際、
図3等を参照して説明した第1付勢部材78は、被駆動部材3を第2方向Zの一方側Z1(軸線L3周りの一方方向)に付勢する。このため、第1付勢部材78は、第2外力を吸収するとともに、矢印R32で示すように、被駆動部材3を軸線L3周りの一方方向に付勢する力(第2外力に抗する付勢力)を発生させる。その際、第2外力の大きさF2が第1付勢部材78による付勢力F78より大きければ、被駆動部材3は、第2方向Zの他方側Z2に傾くが、かかる傾きを第1付勢部材78の付勢力によって抑制することができる。また、外力(第2外力)の印加が停止した際、矢印R52で示すように、被駆動部材3は、第2方向Zの一方側Z1に回転し、元の姿勢に自動的に戻る。
【0039】
(動作)
図2および
図3を参照して、本形態の駆動装置1における直動動作を説明する。まず、被駆動部材3がフレーム2内の待機位置P1にある状態から、モータ50によって回転部材51を矢印R51の方向に回転させると、直線駆動機構7では、第1ベアリング708および第2ベアリング709がガイド溝720に案内されながら、レバー75が回転中心軸53を中心に矢印R51の方向に回転する。従って、支持部材70が第1方向Yの一方側Y1に直動するので、被駆動部材3は、フレーム2の開口部20から第1方向Yの一方側Y1に突出し始める。その際、被駆動部材3は、第1付勢部材78によって先端側(上端側)が第2方向Zの一方側Z1に傾くように付勢されているが、受け部91が被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から当接しているため、被駆動部材3の先端側(上端側)が第2方向Zの一方側Z1に傾くことがない。
【0040】
そして、直線駆動機構7が被駆動部材3をさらに第1方向Yの一方側Y1に駆動すると、当接部92が被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から当接するので、被駆動部材3は、先端側(上端側)が第2方向Zの他方側Z2に傾く。
【0041】
そして、モータ50が逆回転して、回転部材51が回転中心軸53を中心に矢印R52の方向に回転すると、上記と逆の動作が行われ、被駆動部材3がフレーム2内の待機位置P1に戻る。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の駆動装置1においては、被駆動部材3を第2方向Zにチルト可能に構成したため、被駆動部材3を適正な姿勢とすることができる。また、被駆動部材3を第2方向Zにチルト可能にしたため、被駆動部材3に第2方向Zの外力が加わると、被駆動部材3が傾いて周囲と干渉する等のおそれがあるが、本形態では、被駆動部材3に第2方向Zの外力が加わっても、第1付勢部材78および第2付勢部材98を備えた外力吸収機構9が外力に抗する付勢力を被駆動部材3に印加する。このため、外力によって被駆動部材3が軸線L3周りに回転することを抑制することができるとともに、かかる外力が除去された際、被駆動部材3の姿勢が自動的に元に戻る。また、外力を第1付勢部材78および第2付勢部材98を備えた外力吸収機構9で吸収しているため、被駆動部材3に外力が加わっても、支持部材70、チルト駆動機構8、直線駆動機構7等に大きな負荷が加わらない。それ故、支持部材70、チルト駆動機構8、直線駆動機構7等が損傷することを抑制することができる。
【0043】
また、駆動装置1において、チルト駆動機構8では、被駆動部材3を軸線L3周りに回転可能に支持する支持部材70を直動させた際に被駆動部材に第2方向の一方側から当接部92を当接させて被駆動部材3の先端側を第2方向Zの他方側Z2に傾かせる。このため、簡素な構成で、被駆動部材3の直線駆動と被駆動部材3のチルトとを行うことができる。また、当接部92の位置等によって被駆動部材の傾きを任意に設定することができる。また、チルト駆動機構8では、支持部材70がガイド溝720の第2溝部727に案内されて変位した際に、被駆動部材3が当接部92に押圧されて傾く。このため、ガイド溝720の第2溝部727の傾き等によって被駆動部材3の傾きを任意に設定することができる。また、支持部材70は、第1軸部706が第2溝部727に進入した状態に移行した際に変位するため、第1軸部706の位置等によって被駆動部材3の傾きを任意に設定することができる。
【0044】
また、駆動装置1において、チルト駆動機構8は、第1付勢部材78が被駆動部材3を当接部92に向けて付勢する機能を発揮するため、チルト駆動機構8に用いた第1付勢部材78を第2付勢部材98とともに外力吸収機構9に利用することができる。従って、簡素な構成で、第2方向Zのいずれの側から被駆動部材3に外力が加わった場合でも、外力吸収機構9が外力に抗する付勢力を被駆動部材3に印加することができる。このため、被
駆動部材3が周囲と干渉する等の事態が発生しにくいとともに、外力がなくなった際、被駆動部材3は元の姿勢に自動的に戻る。また、チルト駆動機構8の当接部92が外力吸収機構9に利用されているため、構成の簡素化を図ることができる。
【0045】
また、外力吸収機構9において、第2付勢部材98は、チルト駆動機構8の当接部92を第2方向Zの他方側Z2に付勢しているため、チルト駆動機構8に用いた当接部92を利用して、第2方向Zの一方側Z1に向かう外力に対する抗力を被駆動部材3に印加することができる。また、当接部92に対しては、第2方向Zの他方側Z2への変位を阻止するストッパ723が設けられているため、チルト駆動機構8に用いた当接部92の第2方向Zの他方側Z2の位置を規定することができる。それ故、第2付勢部材98が当接部92を第2方向Zの他方側Z2に付勢している構成であっても、被駆動部材3を適正にチルトさせることができる。
【0046】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、受け部91や当接部92が被駆動部材3に直接当接していたが、受け部91や当接部92がホルダ31等を介して被駆動部材3を間接的に当接する構成を採用してもよい。
【0047】
上記実施の形態では、レバー90に受け部91や当接部92が形成されていたが、受け部91および当接部92を各々、別の部材に形成してもよく、この場合、第2付勢部材98およびストッパ723は、当接部92が形成されている部材に対して設けられる。
【0048】
上記実施の形態では、第1付勢部材78として捩りコイルバネを用いたが、引っ張りコイルバネ等を用いてもよい。また、上記実施の形態では、第2付勢部材98として引っ張りコイルバネを用いたが、圧縮コイルバネ等を用いてもよい。