(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の連結部材では、調節ナットが連結部材の外側に配置されているため、作業機の使用時や保管時に、他の部材が調節ナットに接触すると、調節ナットが回転して、アウターケーシングの端部の位置がずれてしまう場合がある。
また、従来の連結部材では、アウターケーシングの端部の位置を調節するときに、調節ナットを回転させるための工具が必要になる。
さらに、従来の連結部材では、調節ナットが連結部材の外側に露出しているため、コントロールケーブルの連結部位の外観が良くないという問題がある。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決し、工具を用いることなく、アウターケーシングの端部の位置を簡単に調節することができるとともに、コントロールケーブルの連結部位の外観を良くすることができ、さらに、コントロールケーブルを確実に保持することができる連結部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、第一コントロールケーブルと第二コントロールケーブルとを連結するための連結部材であって、本体部材と、前記本体部材の軸方向の両端部にそれぞれ外嵌された二つのキャップと、を備えている。前記本体部材の一端部には、前記第一コントロールケーブルのアウターケーシングの端部が収容される第一収容溝が形成されている。前記本体部材の他端部には、前記第二コントロールケーブルのアウターケーシングの端部が収容される第二収容溝が形成されている。前記本体部材において前記第一収容溝と前記第二収容溝との間には、前記両コントロールケーブルのインナーケーブルの先端部同士が連結した状態で収容される中間収容溝が形成されている。前記第一収容溝および前記第二収容溝の少なくとも一方の内面には、前記アウターケーシングの端部に形成された鍔部が嵌め込まれる複数の位置決め部が形成されている。
【0009】
本発明の連結部材では、収容溝内の位置決め部に、アウターケーシングの鍔部を嵌め込むことで、連結部材に対してアウターケーシングの端部を位置決めすることができる。そして、複数の位置決め部のいずれかにアウターケーシングの鍔部を嵌め込むことで、アウターケーシングの端部の位置を簡単に調節することができる。
【0010】
本発明の連結部材では、アウターケーシングの端部の位置を調節するための機構が連結部材の内部に設けられているため、他の部材との接触などにより、アウターケーシングの端部の位置がずれるのを防ぐことができる。
なお、小型作業機は各部をレイアウトする空間が狭いため、コントロールケーブルの一端部(例えば、気化器側の端部)が、他端部(例えば、ハンドルグリップ側の端部)よりも上方に配置されている場合などには、連結部材からコントロールケーブルが屈曲して延びることになる。このような場合には、連結部材とコントロールケーブルとが当接して、アウターケーシングの端部の位置を調整するための機構が、コントロールケーブルとの接触により、外れ易くなったり、調整位置がずれ易くなったりするという問題が生じるが、本発明の連結部材では、前記した問題を好適に防止することができる。
【0011】
本発明の連結部材では、アウターケーシングの端部の位置を調節するための機構が、連結部材の外側に露出しないため、コントロールケーブルの連結部位の外観を良くすることができる。
【0012】
本発明の連結部材では、本体部材の両端部にキャップが外嵌されているため、コントロールケーブルに対して垂直方向に外力が作用した場合でも、コントロールケーブルを収容溝内に確実に保持することができる。
【0013】
前記した連結部材では、前記第一収容溝、前記第二収容溝および前記中間収容溝が前記キャップに覆われているように構成することができる。
【0014】
前記した連結部材において、前記キャップの内周面には、前記第一収容溝の開口部または前記第二収容溝の開口部に対峙する位置にリブを突出させることが好ましい。
この構成では、収容溝内のコントロールケーブルをリブによって押さえることができるため、収容溝に対してコントロールケーブルを仮組した状態で、連結部材に対してコントロールケーブルを安定させることができ、組み付け性を向上させることができる。
【0015】
前記した連結部材において、本体部材には、前記第一収容溝および前記第二収容溝の少なくとも一方の開口部内に突出した突出片を形成することが好ましい。
この構成では、収容溝内のコントロールケーブルを突出片によって押さえることができるため、連結部材に対してコントロールケーブルを安定させることができる。
【0016】
前記した連結部材において、二つの前記キャップを同一形状に形成した場合には、両キャップを本体部材のいずれの端部にも組み付けることができるため、両キャップを本体部材に対して簡単に組み付けることができる。また、両キャップを共通の部品にすることで、製造コストを低減することができる。
【0017】
前記した連結部材において、前記本体部材の外面に突起部を形成するとともに、前記キャップの開口縁部には、前記突起部に嵌め合わされる凹部を形成してもよい。
この構成では、突起部を指で押さえて、本体部材を保持しつつ、本体部材にキャップを嵌め合わせることができるため、本体部材に対してキャップを組み付け易くなる。
【0018】
前記した連結部材において、前記本体部材を一対の半筒状の分割部材によって筒状に形成し、前記分割部材の内面に前記第一収容溝、前記第二収容溝および前記中間収容溝を形成してもよい。
【0019】
この構成では、一対の分割部材の内面に各収容溝が形成されているため、両キャップによって各収容溝を覆う必要がない。したがって、キャップを小さくすることができ、連結部材全体を小型化することができる。
【0020】
また、前記した構成では、本体部材の両端部にキャップを外嵌することで、両分割部材を確実に閉じることができる。
なお、小型作業機は各部をレイアウトする空間が狭いため、コントロールケーブルの一端部(例えば、気化器側の端部)が、他端部(例えば、ハンドルグリップ側の端部)よりも上方に配置されている場合などには、連結部材からコントロールケーブルが屈曲して延びることになる。このような場合には、連結部材とコントロールケーブルとが当接して、アウターケーシングの端部の位置を調整するための機構が、コントロールケーブルとの接触により、外れ易くなったり、調整位置がずれ易くなったりするという問題が生じるが、本発明の連結部材では、前記した問題を好適に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の連結部材では、アウターケーシングの端部の位置を調節する機構を本体部材の内部に配置し、本体部材からキャップを容易に取り外すことができるため、アウターケーシングの端部の位置を簡単に調節することができるとともに、アウターケーシングの端部の位置がずれるのを防ぐことができる。
また、本発明の連結部材では、コントロールケーブルの連結部位の外観を良くすることができる。
また、本発明の連結部材では、連結部材に対してコントロールケーブルから外力が作用しても、連結部材からキャップが外れ難いため、コントロールケーブルを収容溝内に確実に保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0024】
[第一実施形態]
第一実施形態では、
図1に示すように、本発明の連結部材10Aを用いて、刈払機1の第一コントロールケーブル150と第二コントロールケーブル160とを連結する場合について説明する。
刈払機1は、エンジンである駆動装置2と、駆動装置2が収容されたケーシング3と、ケーシング3に連結された操作桿4と、を備え、操作桿4の先端部に回転刃(図示せず)が取り付けられている。
【0025】
操作桿4のスロットルレバー4aと、駆動装置2のスロットルバルブ(図示せず)とは、第一コントロールケーブル150および第二コントロールケーブル160を介して連結されている。
【0026】
第一コントロールケーブル150は、
図5に示すように、樹脂製の円筒状の第一アウターケーシング151と、第一アウターケーシング151内に摺動自在に挿通された金属製の第一インナーケーブル152と、を備えている。
第一インナーケーブル152の一端部には、金属製の連結具153が設けられている。また、第一インナーケーブル152の他端部は、スロットルレバー4a(
図1参照)に連結されている。
【0027】
第二コントロールケーブル160は、樹脂製の円筒状の第二アウターケーシング161と、第二アウターケーシング161内に摺動自在に挿通された金属製の第二インナーケーブル162と、を備えている。
第二アウターケーシング161の一端部の外周縁部には、金属製の鍔部161aが形成されている。
第二インナーケーブル162の一端部には、金属製の連結具163が設けられている。また、第二インナーケーブル162の他端部は、駆動装置2(
図1参照)のスロットルバルブ(図示せず)に連結されている。
【0028】
第一コントロールケーブル150の一端部と第二コントロールケーブル160の一端部とは、連結部材10A内に挿入されており、第一インナーケーブル152と第二インナーケーブル162とが連結部材10A内で連結されている。
【0029】
連結部材10Aは、
図1に示すように、樹脂製の円筒状の部材であり、ケーシング3の外部に配置されている。連結部材10Aの軸方向は、両コントロールケーブル150,160の連結部位の軸方向(前後方向)に沿うように略水平に配置されている。
【0030】
連結部材10Aは、
図3に示すように、本体部材20と、本体部材20の前部および後部にそれぞれ外嵌された二つのキャップ50,60と、を備えている。第一実施形態では、本体部材20全体が両キャップ50,60内に収容されている。
【0031】
本体部材20は、
図2に示すように、前後方向に延びている直線状の部材である。本体部材20の中央部には、本体部材20の前端部から後端部に亘って本体溝部21が形成されている。
本体溝部21の上部は開口し、本体溝部21の底面は円弧状に形成されている。これにより、本体部材20の軸断面はU形状に形成されている(
図4参照)。また、本体部材20の外周面は円弧状に湾曲している。
【0032】
本体溝部21内には、
図2に示すように、第一仕切り壁22と、第二仕切り壁23とが前後方向に間隔を空けて形成されている。本体溝部21は、両仕切り壁22,23によって前部、中間部および後部の三つの領域に区画されている。
【0033】
本体溝部21において、前端開口部21aと第一仕切り壁22との間には、第一収容溝25が形成されている。第一収容溝25は、
図5に示すように、第一アウターケーシング151の一端部が収容される部位である。
【0034】
第一収容溝25の底部には、
図2に示すように、前端開口部21aの最下部から後方に向けて直線状に延びているガイド溝25aが形成されている。ガイド溝25aは、
図4(a)に示すように、第一収容溝25の底部を上下方向に貫通している。
【0035】
第一仕切り壁22には、最上部から下方に向けて直線状に窪んでいる挿通溝22aが形成されている。挿通溝22aは、第一仕切り壁22を前後方向に貫通している。挿通溝22aは、
図5に示すように、第一インナーケーブル152が挿通される部位である。
【0036】
本体溝部21において、後端開口部21bと第二仕切り壁23との間には、
図2に示すように、第二収容溝26が形成されている。第二収容溝26は、
図5に示すように、第二アウターケーシング161の一端部が収容される部位である。
【0037】
第二収容溝26の内面には、
図2に示すように、複数の位置決め部26aが前後方向に等間隔に形成されている。位置決め部26aは、
図4(b)に示すように、第二収容溝26の左右の縁部に亘って形成された凹溝である。
位置決め部26aは、第二アウターケーシング161の鍔部161aが嵌め込まれる部位である。位置決め部26aに鍔部161aを嵌め込むことで、本体部材20に対して第二アウターケーシング161の端部を固定することができる(
図5参照)。
【0038】
第二仕切り壁23には、
図2に示すように、最上部から下方に向けて直線状に窪んでいる挿通溝23aが形成されている。挿通溝23aは、第二仕切り壁23を前後方向に貫通している。挿通溝23aは、
図5に示すように、第二インナーケーブル162が挿通される部位である。
【0039】
本体溝部21において第一仕切り壁22と第二仕切り壁23との間には、
図2に示すように、中間収容溝27が形成されている。中間収容溝27は、
図5に示すように、第一インナーケーブル152の連結具153と、第二インナーケーブル162の連結具163とが連結した状態で収容される部位である。
【0040】
第二インナーケーブル162の連結具163の外周面には、係合溝163aが形成されている。そして、係合溝163aに第一インナーケーブル152の連結具153が嵌め込まれることで、第一インナーケーブル152の連結具163と第二インナーケーブル162の連結具163とが前後方向に係合されている。このようにして、両インナーケーブル152,162が直列に連結されている。
なお、第一仕切り壁22および第二仕切り壁23によって、連結具153,163の前後方向への抜け止めが構成されている。
【0041】
本体部材20の外面には、
図2に示すように、左右の突起部28,28が左右方向に突出している。両突起部28,28は、本体部材20の前後方向の中央部よりも後方に配置されている。
突起部28の前後方向の幅は、内側から外側に向かうに従って漸次小さくなるように形成されている。すなわち、突起部28は、平面視で台形状に形成されている。
また、突起部28には、取付穴28aが上下方向に貫通している。また、突起部28の先端面(左右の側面)には、凹凸部28bが形成されている。
【0042】
第一キャップ50は、
図3に示すように、円筒状の部材であり(
図2参照)、本体部材20の前端部に外嵌されている。第一実施形態の第一キャップ50は、本体部材20の第一収容溝25および中間収容溝27を覆っている。つまり、本体部材20において、第二仕切り壁23よりも前側の部位が第一キャップ50内に挿入されている。
【0043】
第一キャップ50の内周面には、
図4(a)に示すように、複数のリブ51,52が周方向に等間隔に形成されている。第一実施形態では、六つのリブ51,52が形成されている。各リブ51,52は、第一キャップ50の前端部から後方に向けて直線状に延びている(
図5参照)。
【0044】
六つのリブ51,52のうち、第一キャップ50の中心部を挟んで上下に対峙する一対の第一リブ51,51は、他の四つの第二リブ52よりも第一キャップ50の中心側に突出している。
上側の第一リブ51は、第一収容溝25の開口部に対峙しており、上側の第一リブ51の先端部は、第一収容溝25の開口部に挿入されている。
下側の第一リブ51は、ガイド溝25aに対峙しており、下側の第一リブ51の先端部は、ガイド溝25a内に挿入されている。下側の第一リブ51をガイド溝25a内に挿入すると、必然的に上側の第一リブ51が第一収容溝25の開口部に対峙するように構成されている。
【0045】
四つの第二リブ52の先端部は、本体部材20の外周面に対峙している。また、第二リブ52の前端部には、
図3に示すように、第一キャップ50の中心部に向けて突出した当接部52aが形成されている。当接部52aは、本体部材20の前端面に当接する部位である。
【0046】
第一キャップ50の後端部の開口縁部には、左右の突起部28,28に嵌め合わされる左右の凹部53,53が形成されている。
凹部53は、第一キャップ50の後端部の開口縁部から前方に向けて矩形状に窪んでいる。凹部53には、
図3に示すように、突起部28の前部および中間部が嵌め込まれる。
【0047】
第二キャップ60は、
図3に示すように、円筒状の部材であり(
図2参照)、本体部材20の後端部に外嵌されている。第一実施形態の第二キャップ60は、本体部材20の第二収容溝26を覆っている。つまり、本体部材20において第二仕切り壁23よりも後側の部位が第二キャップ60に挿入されている。
【0048】
第二キャップ60の内周面には、
図4(b)に示すように、複数のリブ61が周方向に等間隔に形成されている。第一実施形態では、六つのリブ61が形成されている。各リブ61は、第二キャップ60の前縁部から後方に向けて直線状に延びている(
図5参照)。
【0049】
各リブ61は、その先端部が本体部材20の外周面に対峙するように突出量が設定されている。
リブ61の後端部には、
図5に示すように、第二キャップ60の中心部に向けて突出した当接部61aが形成されている。当接部61aは、本体部材20の後端面に当接する部位である。
【0050】
第二キャップ60の前端部の開口縁部には、
図5に示すように、左右の突起部28,28に嵌め合わされる左右の凹部63,63が形成されている。
凹部63は、第二キャップ60の後端部の開口縁部から後方に向けて矩形状に窪んでいる。凹部63には、
図3に示すように、突起部28の後部が嵌め込まれる。
【0051】
なお、第一実施形態では、
図1に示すように、第一コントロールケーブル150は、連結部材10Aの前端部から前方(操作桿4側)に延びており、上方に向けて緩やかに傾斜している。
また、第二コントロールケーブル160は、連結部材10Aの後端部から上方に向けて延びている。すなわち、第二コントロールケーブル160は、連結部材10Aの後端部において略直角に屈曲している。
【0052】
次に、連結部材10Aに両コントロールケーブル150,160を組み付ける手順について説明する。
まず、
図1に示す刈払機1の両コントロールケーブル150,160が連結されていない状態において、第一キャップ50に第一コントロールケーブル150を挿通させるとともに、第二キャップ60に第二コントロールケーブル160を挿通させる。
【0053】
続いて、
図5に示すように、第一インナーケーブル152の連結具153と、第二インナーケーブル162の連結具163とを連結する。
そして、両インナーケーブル152,162の一端部を本体部材20の中間収容溝27内に収容する。これにより、中間収容溝27には、両インナーケーブル152,162の連結具153,163同士が連結した状態で収容される。
【0054】
また、第一アウターケーシング151の一端部を本体部材20の第一収容溝25内に収容する。
また、第二アウターケーシング161の一端部を本体部材20の第二収容溝26内に収容し、第二アウターケーシング161の鍔部161aを位置決め部26aに嵌め込む。これにより、連結部材10Aに対して第二アウターケーシング161の端部が固定される。
【0055】
続いて、本体部材20に対して前方から第一キャップ50を被せて、本体部材20の前部に第一キャップ50を外嵌させる。
このとき、
図4(a)に示すように、下側の第一リブ51の先端部を本体部材20のガイド溝25aに挿入する。このようにすると、上側の第一リブ51は、第一収容溝25内に収容された第一アウターケーシング151に対峙する。
【0056】
図3に示すように、第一キャップ50の凹部53に突起部28を嵌め込むとともに、第一キャップ50の当接部52aを本体部材20の前端面に当接させる。これにより、本体部材20の前部が第一キャップ50内に収容され、第一収容溝25および中間収容溝27が第一キャップ50に覆われた状態となる。
【0057】
また、
図5に示すように、本体部材20に対して後方から第二キャップ60を被せて、本体部材20の後部に第二キャップ60を外嵌させる。
このとき、
図1に示すように、第一実施形態の第二キャップ60の軸方向の長さが小さいため、第二コントロールケーブル160の屈曲部に対して第二キャップ60をスムーズに通過させることができる。また、第二キャップ60を本体部材20から取り外し易いため、第二アウターケーシング161の鍔部161aの位置決めを容易に変更することができる。
【0058】
そして、
図3に示すように、第二キャップ60の凹部63に突起部28を嵌め込むとともに、第二キャップ60の当接部61a(
図5参照)を本体部材20の後端面に当接させる。これにより、本体部材20の後部が第二キャップ60内に収容され、第二収容溝26が第二キャップ60に覆われた状態となる。
【0059】
なお、本体部材20に両キャップ50,60を外嵌させるときには、本体部材20の両突起部28,28を左右方向から指で挟んで、本体部材20を保持する。これにより、本体部材20に対して両キャップ50,60を容易に組み付けることができる。
【0060】
このようにして、
図5に示すように、両コントロールケーブル150,160が連結部材10A内で直列に連結される。
さらに、本体部材20の両突起部28,28の両取付穴28a,28aに結束バンドを通して、他のケーブルに固定することで、連結部材10Aを安定させることができる。
【0061】
以上のような連結部材10Aでは、
図5に示すように、本体部材20の両端部にキャップ50,60を外嵌させることで、コントロールケーブル150,160を収容溝25,26内に確実に保持することができる。
第一実施形態では、
図1に示すように、第二コントロールケーブル160が連結部材10Aから屈曲して延びており、第二キャップ60に第二コントロールケーブル160が当接している。
【0062】
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図5に示すように、第二収容溝26に形成された位置決め部26aに、第二アウターケーシング161の鍔部161aを嵌め込むことで、連結部材10Aに対して、第二アウターケーシング161の一端部を固定することができる。
複数の位置決め部26aのいずれかに第二アウターケーシング161の鍔部161aを嵌め込むことで、第二アウターケーシング161の一端部の位置を前後方向に調節することができる。
【0063】
そして、第二アウターケーシング161の一端部の位置を調節することで、第二アウターケーシング161の他端部から突出した第二インナーケーブル162の突出量を調節することができ、スロットルバルブ(図示せず)の初期位置を調節することができる。
【0064】
第一実施形態の連結部材10Aでは、第二アウターケーシング161の端部の位置を調節するための機構が連結部材10Aの内部に設けられているため、刈払機1の使用時や保管時に他の部材との接触などにより、第二アウターケーシング161の端部の位置がずれるのを防ぐことができる。
【0065】
第一実施形態の連結部材10Aでは、第二アウターケーシング161の端部の位置を調節するための機構が、連結部材10Aの外側に露出しないため、両コントロールケーブル150,160の連結部位の外観を良くすることができる。
【0066】
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図4(a)に示すように、第一収容溝25内の第一コントロールケーブル150を、第一キャップ50の上側の第一リブ51によって押さえることができるため、連結部材10Aに対して第一コントロールケーブル150を安定させることができる。
【0067】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図3に示すように、第一キャップ50の前後方向の長さと、第二キャップ60の前後方向の長さとが異なっているが、両キャップ50,60の前後方向の長さを同じにしてもよい。
このように、両キャップ50,60を同一形状に形成した場合には、両キャップ50,60を本体部材20のいずれの端部にも組み付けることができるため、両キャップ50,60を本体部材20に対して簡単に組み付けることができる。また、両キャップ50,60を共通の部品にすることで、製造コストを低減することができる。
【0068】
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図2に示すように、第二収容溝26に位置決め部26aが形成されているが、第一収容溝25に位置決め部を形成してもよい。さらに、第一収容溝25および第二収容溝26の両方に位置決め部を形成してもよい。
【0069】
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図4(a)に示すように、第一キャップ50に第一コントロールケーブル150を押さえるための第一リブ51が形成されている。さらに、第二キャップ60にも第二コントロールケーブル160を押さえるためのリブを形成してもよい。
【0070】
図6に示すように、両キャップ50,60の端部を半筒状に形成し、両キャップ50,60が中間収容溝27の開口部側のみを覆うように構成することで、両キャップ50,60を小型化することができる。
【0071】
第一実施形態の連結部材10Aでは、
図4(a)に示すように、第一キャップ50の第一リブ51によって第一コントロールケーブル150を押さえているが、
図6に示すように、第一収容溝25の開口縁部に形成した左右一対の突出片25b,25bによって、第一コントロールケーブル150を押さえてもよい。
また、第二収容溝26の開口縁部に形成した左右一対の突出片26b,26bによって、第二コントロールケーブル160を押さえてもよい。
このように、第一収容溝25および第二収容溝26の開口部内に突出した突出片25b,26bによって、両コントロールケーブル150,160を押さえることで、連結部材10Aに対して両コントロールケーブル150,160を安定させることができる。
【0072】
また、
図2に示すキャップ50,60の内周面に雌ねじ部を形成し、本体部材20の外周面に雄ねじ部を形成し、キャップ50,60を本体部材20に螺合させることで、キャップ50,60を本体部材20に対して強固に固定するように構成してもよい。なお、キャップ50,60の内周面に雄ねじ部を形成し、本体部材20の外周面に雌ねじ部を形成してもよい。
【0073】
第一実施形態では、
図1に示すように、刈払機1に用いた連結部材10Aについて説明しているが、本発明の連結部材は、各種の装置のコントロールケーブルに適用することができる。
【0074】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態の連結部材10Bについて説明する。
第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0075】
第二実施形態の連結部材10Bは、
図7に示すように、第一実施形態の連結部材10A(
図2参照)と略同様な構成であり、本体部材20が一対の分割部材20a,20bによって構成されている点が異なっている。
また、第二実施形態の連結部材10Bのキャップ50,60の前後方向の長さは、本体部材20の前後方向の長さよりも大幅に小さく形成されている。
【0076】
第二実施形態の本体部材20は、
図8に示すように、一対の半筒状の分割部材20a,20bを組み合わせることで円筒状に形成されている。
両分割部材20a,20bは、上下に配置されており、両分割部材20a,20bの内面が重ねられている。
また、
図7に示すように、両分割部材20a,20bの内面の側縁部同士が薄肉のヒンジ29によって連結されている。このように、両分割部材20a,20bは、左右方向に開閉自在に連結されている。
【0077】
一方の分割部材20aの内面には、第一収容溝25、第二収容溝26および中間収容溝27の上半分が形成されている。
他方の分割部材20bの内面には、第一収容溝25、第二収容溝26および中間収容溝27の下半分が形成されている。
【0078】
また、一方の分割部材20aの内面には、第一収容溝25の開口部内に突出した左右一対の突出片25b,25bが形成されている。
また、両分割部材20a,20bの第二収容溝26の内面には、複数の位置決め部26aが形成されている。
さらに、両分割部材20a,20bの外周面には、
図8に示すように、左右の突起部28,28が形成されている。
【0079】
第二実施形態の本体部材20は、前後の両端部20c,20cが本体部材20の中間部位よりも縮径されている。
本体部材20の前後の両端部20c,20cには、円筒状のキャップ50,60がそれぞれ外嵌されている。これにより、両分割部材20a,20bは、両キャップ50,60によって閉じた状態に保持されている。
【0080】
第二実施形態では、両キャップ50,60が本体部材20の前後の両端部20c,20cのみに外嵌されている。
両キャップ50,60は、共通の部品であり、その外径は、本体部材20の中間部位の外径と略同じ大きさに形成されている。
【0081】
以上のような第二実施形態の連結部材10Bでは、
図8に示すように、両分割部材20a,20bの両端部20c,20cにキャップ50,60がそれぞれ外嵌されているため、両分割部材20a,20bを確実に閉じることができる。
【0082】
第二実施形態の連結部材10Bでは、
図7および
図8に示すように、一対の分割部材20a,20bの内面に各収容溝25,26,27が形成されているため、両キャップ50,60によって各収容溝25,26,27を覆う必要がない。したがって、両キャップ50,60を小さくすることができ、連結部材10B全体を小型化することができる。
【0083】
第二実施形態の連結部材10Bでは、両キャップ50,60が共通の部品であり、両キャップ50,60を本体部材20のいずれの端部にも組み付けることができるため、両キャップ50,60を簡単に組み付けることができる。
また、両キャップ50,60を共通の部品にすることで、製造コストを低減することができる。
【0084】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第一収容溝25にも位置決め部を形成してもよい。また、第二収容溝26の開口部内に突出した突出片を形成してもよい。