(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性材料により環状に形成され、形状に沿って材料ガスの流路が内部に形成されてあるチャンバと、該チャンバへ高周波電流を供給する高周波電源とを備えるプラズマ発生装置であって、
前記チャンバは、
環形状の一部を欠落させた本体部分と、
該本体部分と対応する断面形状を有して前記本体部分の欠落部に介装されている絶縁体と、
該絶縁体の空洞部分に内嵌されており、絶縁性材料により形成された前記絶縁体よりも長い管体と
を備えることを特徴とするプラズマ発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チャンバを金属製としたとしても、高温高出力のプラズマ発生装置では、プラズマによるスパッタ等によって内部が損傷を受ける。特に接続部分のシーリング材は損傷を受け易く、交換が頻回となる可能性がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、導電性材料のチャンバを用いたとしても装置の長寿命化を実現できるプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るプラズマ発生装置は、導電性材料により環状に形成され、形状に沿って材料ガスの流路が内部に形成されてあるチャンバと、該チャンバへ高周波電流を供給する高周波電源とを備えるプラズマ発生装置であって、前記チャンバは、環形状の一部を欠落させた本体部分と、該本体部分と対応する断面形状を有して前記本体部分の欠落部に介装されている絶縁体と、該絶縁体の空洞部分に内嵌されており、絶縁性材料により形成された前記絶縁体よりも長い管体とを備える。
【0008】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、高周波電源から供給される高周波電流がチャンバの本体部分を流れる。更に欠落部を介して対向する端部同士がギャップ電極となって高電圧が印加されるために高温のプラズマが発生し易く、異常放電も発生し易く、更にはプラズマによるスパッタなどによる損傷も受けやすいところ、管体が内嵌されていることでチャンバの本体部分の内壁の損傷が抑制される。
【0009】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記管体はセラミックス製である。
【0010】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、硬度が適切であってプラズマ発生に高い耐性を有するセラミックスを管体とすることで本体部分の損傷を抑制し、装置の長寿命化を実現する。
【0011】
本開示に係るプラズマ発生装置では、前記管体の外周が、前記本体部分の欠落部に面する端面近くの内壁に設けられたシーリング材に弾接された封止構造を有する。
【0012】
これにより本開示に係るプラズマ発生装置では、本体部分の端面寄りに設けられたシーリング材と、その管体の端面が本体部分の端面から奥まった位置となるほどに十分に長い管体とにより絶縁体の介装部分が封止される。これにより、本体部分及び管体内部で発生するプラズマ化したガスは内壁と管体との間の隙間に入り込んでシーリング材へ到達する可能性が低いため、シーリング材の劣化を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本開示のプラズマ発生装置による場合、チャンバを導電性材料によって形成し、高周波電源から高周波電流をチャンバの本体部分へ供給し、その本体部分の内側の放電空間にプラズマ電流が流れるから、環状の高周波電流及びプラズマ電流夫々の経路は近接し、略同軸である。したがって漏れ磁束を、チャンバの本体部分の内壁周辺に僅かに発生する程度に低減させることができ、結合力を強化させることができる。このように高電圧の高周波電流を流す構成としても、チャンバの内壁及びチャンバの接続部分のシーリング材の損傷が抑制され、装置の長寿命化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るプラズマ発生装置1の概要を示す説明図である。プラズマ発生装置1は、チャンバ2、磁性コア3、及び高周波電源4を備える。
【0017】
チャンバ2は、
図1に示す平面視において外形が略四角環状であり、環の縦断面は全周に亘って矩形状であり、中央に円形の孔が設けられている。チャンバ2は、一辺の中央部を適長欠落させた欠落部(
図1のハッチング部分)を有する本体部分20と、該欠落部に介装した絶縁体とを備える。本体部分20は、例えばアルミニウム等の導電性に優れた金属材料製である。なお本体部分20は、銅、鉄等の他の金属材料製であってもよく、適切な強度と導電性とを有していれば、金属以外の材料製であってもよい。絶縁体は、例えばセラミックス等の絶縁性材料によって形成されており、本体部分20と同一の縦断面を有している。本体部分20及び絶縁体に設けられた孔は、チャンバ2の内部に全周に亘って連続するガス流路29を形成している。ガス流路29は、本体部分20の相対向する2つの角部に開設されたガス入口及びガス出口により外部に連通されている。ガス流路29では、
図1にIN及びOUTで示すように、ガス入口に供給された材料ガスが内部でプラズマ化され、ガス出口から後工程へ送出されるように流れる。
【0018】
磁性コア3は、フェライト磁性体製の環状体である。磁性コア3は、本体部分20の四辺夫々の外側に填め合わせてある。なお磁性コア3は必須ではなく、またその数は
図1に示しているような4つに限られず、プラズマの発生状況に応じて適宜設計される。
【0019】
高周波電源4は、欠落部(絶縁体)を挟んで対向する本体部分20の端部の内、ガス入口側の端部に接続されている。なお本体部分20のガス出口側の端部は接地されている。高周波電源4から供給される電流は、
図1に実線の白抜き矢符で示すように、ガス入口側の端部からガス出口側の端部へ流れる。
【0020】
以上の如く構成されるプラズマ発生装置1では、高周波電源4から供給される高周波電流がチャンバ2の本体部分を周方向(トロイダル方向)に流れ、本体部分20の環の断面を周回する方向(ポロイダル方向)に沿って高周波磁界が発生する。なお磁気コア3が設けられていることで磁束の漏れが低減される。そして高周波磁界の電磁誘導の作用によって、
図1に破線の白抜き矢符で示すように、本体部分20の形状に沿って周方向に、本体部分20を流れる上述の高周波電流とは逆向きの高周波電界がチャンバ2内のガス流路29内に発生する。ガス入口からガス流路29内に供給された材料ガスは、この高周波電界によってプラズマ化され、ガス出口から送出される。このようにプラズマ発生装置1では、チャンバ2の本体部分20に流れる高周波電流を励磁電流として、誘導結合によりその本体部分20の内側のガス流路29にプラズマ電流が流れる。高周波電流及びその逆向きに流れるプラズマ電流夫々の経路は近接し、略同軸であって漏れ磁束を低減させることができ、結合力を強化させることができる。
【0021】
以下このように、漏れ磁束を低減させつつ装置全体の小型化を実現し、更に高寿命化を実現できるチャンバ2の具体的構成について詳細に説明する。以下の説明においては、
図1に示したプラズマ発生装置1の内、磁性コア3については説明を省略している。
【0022】
図2は、本実施の形態におけるチャンバ2の外観を示す斜視図であり、
図3はチャンバ2の分解斜視図であり、
図4は、
図2中のA−B線によるチャンバ2の横断面図、
図5は
図2中のC−D線によるチャンバ2の縦断面図である。
【0023】
チャンバ2は、同一形状の分体20a,20bを絶縁体23及びスペーサ24を介して接続し、全体として四角環状をなすように構成されている。分体20a,20bは、アルミニウム等の導電性に優れた金属材料にて形成されている。分体20a,20bは、矩形の縦断面を有して屈曲成形(
図2等ではコの字(Uの字)形に形成した例を示す)した基材に、各辺の中心を通る円形断面の貫通孔を形成し、コの字の角部(
図4中に破線により示す部分)を斜めに切除して各辺の貫通孔の交差部を露出させた構成を有する。また分体20a,20bの一端部には、連結用のフランジ28が一体に形成されている。フランジ28の大きさは、分体20a,20bの縦断面の大きさと同一である。
【0024】
絶縁体23及びスペーサ24は、分体20a,20bの断面外形と同一の外形を有する等厚の板であり、夫々の中心には、分体20a,20bの孔と同径の貫通孔の形成により空洞部分231,241が設けられている。絶縁体23及びスペーサ24は、分体20a,20bと同一の断面形状を有している。絶縁体23は、例えばセラミックス等の適切な強度を有する絶縁性材料製である。スペーサ24は、分体20a,20bと同一又は異なる導電性に優れた金属材料製である。なお絶縁体23及びスペーサ24の断面形状は夫々、空洞部分231,241が分体20a,20bの空洞部分と連通するような対応する形状であればよく、寸法も含めて分体20a,20bと同一形状でなくともよい。絶縁体23及びスペーサ24同士も同一形状でなくてよい。
【0025】
チャンバ2は、分体20a,20bのフランジ28が設けられた一端部と、分体20a,20b夫々の他端部とを対向させ、対向する端面間に絶縁体23、スペーサ24を介装し、フランジ28に通した複数本の固定ボルト27により一体に接続して構成される。そして分体20a,20bの切除部分をインレットポート21、アウトレットポート22、及び2つの蓋板25により覆うことで各々管状に形成する。これによりチャンバ2は、分体20a,20bの中心の孔と絶縁体23及びスペーサ24の中心の孔とにより管状に連続するガス流路29を設けて構成される。
【0026】
このように、同一形状の分体20a,20bの一端面間で絶縁体23を介装し、他方の端面間の隙間には導電体製のスペーサ24を介装することで、
図1に示すような一部を欠落させた環状の本体部分20を容易に作製することができる。分体20a,20bを同一形状とすることにより製作コストを低減させることができる。また分体20a,20bは、平坦面を広く含む形状とすることで取扱いも容易になる。なお分体20a,20bは、相互に同一形状とし、接続して環状(四角環に限らず六角環、八角環等の多角環、又は円環、楕円環等)とすることができれば、これに限られない。分体20a,20bは、屈曲した管状の部材であれば環状に接続することが可能であり、例えば
図2〜
図5に示した例のようなコの字のみならずL字状、円弧状の形状に形成されていてもよい。更に断面外形は方形であることには限られない。
【0027】
更に、本実施の形態におけるチャンバ2では
図4に示すように、本体部分20の欠落部に対応する箇所に設けられる絶縁体23の空洞部分231に、管体26が内嵌されている。スペーサ24の空洞部分241にももう1つの管体26が内嵌されている。管体26は、十分な強度を有した絶縁性材料により形成されており、絶縁体23及びスペーサ24の長さに比べて十分に長い。分体20a,20b夫々の絶縁体23又はスペーサ24に接する端面近くの内周に設けられたOリング261が、管体26の外周に弾接されており、これにより絶縁体23及びスペーサ24の接続部分の気密性を保持している。
【0028】
絶縁体23を挟む分体20aの端面と分体20bの端面との間には、高周波電源4により高電圧が印加されるから、絶縁体23付近にプラズマが発生し易い。絶縁体23の空洞部分231は、プラズマのスパッタ等による損傷も受け易く、更には高温となった状態で意図しない異常放電も発生し易い。管体26は、絶縁体23付近で分体20a,20bの内壁及び絶縁体23の空洞部分231を覆うから、これらのプラズマによるスパッタ、高温、更に異常放電による焼損等の損傷を防止する。管体26自体は損傷を受けるが、管体26単体の交換を行なえばよく、チャンバ2の機能を維持するためにチャンバ2全体の修復を行なう必要がない。スペーサ24の付近においても、スペーサ24は分体20a,20bと一体ではないから他の部分よりも電位差が発生する可能性があり、意図しない放電等が発生して損傷を受け易い。しかしながら管体26により、スペーサ24の空洞部分241及びその周辺の分体20a,20bの内壁の損傷を防止することができる。このように管体26により、絶縁体23の空洞部分231、及びスペーサ24の空洞部分241、並びに周辺の分体20a,20bの内壁はプラズマ及び高温に直接曝されず、損傷を受けにくいから、プラズマ発生装置1の長寿命化を実現することができる。なお管体26は絶縁体23の空洞部分231側のみに内嵌される構成としても損傷を防止するという効果を奏する。この場合、スペーサ24の接続部分の気密性の保持は管体26を用いることなく他の封止構造によって実現されてもよい。
【0029】
また、管体26の両端面は、分体20a,20b夫々の絶縁体23及びスペーサ24に接する端面から十分に奥まった位置にまで延びている。一方でOリング261は、分体20a,20bの端面寄りに位置している。Oリング261は、管体26の端面から離れた位置で管体26の外周に弾接している。管体26の端面から離れた位置にOリング261があるため、管体26の端面から分体20a,20bの内壁と管体26の外周との隙間にプラズマが入り込んでOリング261へ到達する可能性が低い。Oリング261のようなゴム製又は樹脂製の部品は、プラズマによるスパッタ、高温下での異常放電による焼損等の損傷を最も受け易いが、上述したようにOリング261へプラズマが到達する可能性が低いため、Oリング261の損傷を抑制することができる。このように部品の損傷を抑制してプラズマ発生装置1の長寿命化を実現することができる。
【0030】
なお分体20a,20bと絶縁体23及びスペーサ24間の封止構造は、各々の合わせ面に介装したOリングにより、管体26を用いることなしに実現することはできる。しかしながらこの場合、分体20a,20bの内壁、絶縁体23及びスペーサ24の空洞部分231,241が高温のプラズマに曝されるばかりか、プラズマは合わせ面の間にも入り込み易く、Oリングもプラズマからの損傷を受け易い。このため合わせ面を大きくし、その外周近くにOリングを設けることで、内壁からOリングへの距離を長くし、Oリングの損傷を回避することができるがこの場合、分体20a,20b、絶縁体23、スペーサ24が大型化するという問題がある。本実施の形態においては、管体26を用いることによって、Oリング261の損傷防止と、チャンバ2、即ち装置全体の大型化回避とを両立させた封止構造を実現することができる。
【0031】
なお管体26がその長さ方向に移動することを規制するために、
図6の他の構成例の横断面図に示すように、分体20a,20bの内壁に返し202を設けるとよい。ただしこの場合、絶縁体23及びスペーサ24の長さを短くするように設計を変更した場合、返し202の位置を変更する必要がある。
【0032】
蓋板25は、分体20a,20bの角部分の矩形に対応する金属製の平板である。蓋板25の一方又は両方に、中央部にガラス製の窓251が設けられている。窓251は、ガス流路29内部のプラズマ発生状態の観察を可能とする。
【0033】
インレットポート21は、分体20bの角部分の矩形に対応する金属製の平板の中央に小径のガス管210が立設されて形成されており、材料ガスが通ることが可能である。アウトレットポート22は、分体20aの角部分の矩形に対応する金属製の平板中央に大径のガス管220が立設されて形成されており、材料ガスが通ることが可能である。これにより分体20a,20b内部に構成されるガス流路29がインレットポート21のガス管210及びアウトレットポート22のガス管220を介して外部と連通する。
【0034】
チャンバ2は更に、冷却部5を含む。冷却部5は、分体20a,20bの外面に沿って夫々密着固定させた熱伝導板51と、該熱伝導板51上に夫々固着させた冷却管52とを含む。熱伝導板51及び冷却管52はいずれも、例えば銅などの熱伝導性に優れた材料製である。熱伝導板51は例えば、分体20a,20bのL字状面と略同形に形成されている。冷却管52は熱伝導板51夫々の中心線上に沿って屈曲するように配管されている。各冷却管52の一端は、分体20a,20bの外向きに夫々曲げて外側まで延ばしてあり、その延長端は、コネクタ53を介して冷却媒体の供給装置(図示せず)に接続されている。また各冷却管52の他端は、分体20a,20bの内向きに夫々曲げて内側まで延ばしてあり、その延長端はコネクタ53,53及び接続管54により相互に接続されている。これにより供給装置から供給される冷却水等の冷却媒体は、例えば分体20a側の冷却管52の外側の延長端から冷却管52内部を流れ、接続管54を介して分体20b側の冷却管52内部へ流れ、外側の延長端から再度供給装置へ戻るか又は排水される。これにより、冷却管52に接触している熱伝導板51が冷却され、熱伝導板51により材料ガスのプラズマ化によって高温化する分体20a,20bの温度上昇を抑制する。
【0035】
なお分体20a側の冷却管52と20b側の冷却管52とは一本の屈曲管で構成されてもよいことは勿論である。また
図2〜
図5に示す例において、熱伝導板51夫々の中心線上に1本の冷却管52を屈曲させて配管されているが、熱伝導板51上を蛇行するように配管されてもよいし、1枚の熱伝導板51に2本以上の冷却管52が配管される構成としてもよい。更には、冷却部5は熱伝導板51を含まず、冷却管52が直接的に分体20a,20bの外面夫々に固定されるようにしてもよい。この場合、冷却管52は分体20a,20bの外面上で多くの熱交換の機会を得るべく蛇行するように構成されるか、又は複数の冷却管52が用いられるように構成されるとよい。また、
図2及び
図3に示す例では冷却部5は分体20a,20bのL字状面の一方のみに設けられているが、他方の面にも設けられていてもよい。また
図2に示す分体20a,20bは、L字状面以外にも平坦面を有しているからこれらの面(外側面及び内側面)にも熱伝導板(あるいは冷却管自体)を密着固定させ、該熱伝導板に冷却媒体が供給される冷却管を固着させるようにしてもよい。なお冷却部5を構成する熱伝導板51は、分体20a,20bの外面に沿わせ得る形状であればよい。
【0036】
このように、本実施の形態におけるチャンバ2では、冷却部5を直接的に分体20a及,20bに密着固定させるため、効率的に高温化を抑制することができる。特に分体20a,20bは、断面が矩形であってしかもコの字に成形されているために平坦面が多い。平坦面は、熱伝導板51を密着固定させることが容易であり、低コストで冷却をより効率化させることが可能である。
【0037】
チャンバ2は更に、導電部6を含む。導電部6は、例えば銅等の導電性に優れた金属製であって、接続した分体20a,20b、即ちチャンバ2に沿って周回する細板状の導電体60を含む。導電体60の一端は、分体20bのフランジ28上に固定されている接続体64に固定されている。接続体64は導電性材料により形成されておりフランジ28の厚みと略等しい厚みを有している。そして導電体60はチャンバ2に沿うようにして、その本体部分20の外周から出ないように、分体20a,20bの冷却部5側に、冷却部5の熱伝導板51から所定の間隔を隔てて設けられている。具体的には、導電体60の他端が、分体20b側の熱伝導板51上の蓋板25寄りの位置に固定されている支持体62に支持され、中間部は分体20a側の熱伝導板51上の蓋板25寄りの位置に固定されている支持体63に支持されている。支持体62,63はいずれも絶縁性材料より形成されており、導電体60と熱伝導板51との間に所定の間隔を形成すると共に、冷却部5との電気的接触を回避する機能を発揮し、冷却管52を避けた位置に固定されている。接続体64、及び支持体62,63により固定された導電体60は、接続された分体20a,20bの環形状の中心軸方向からみて、シルエットが分体20a,20b内に収まる形状となるようにしてある。つまり本実施の形態における導電体60は、接続された分体20a,20bによって構成される本体部分20の外側面及び内側面を除く面(四角環状面)内に収まる形状である。つまり、前記環形状の中心軸方向から見たときの導電体60の外周は本体部分20の外周よりも小さく、それに加えて内周については本体部分20の内周よりも大きい。導電体60は少なくとも、前記中心軸方向から見た場合に本体部分20の外形から外側へはみ出さない範囲の大きさとすることにより、チャンバの大型化を抑制できる。更に、支持体62によって支持されている導電体60の他端は、内向きに曲げられてチャンバ2の内側に延びており、延長端の先端に接続棒61が立ち上がるように設けられている。導電体60は、チャンバ2の中央上方に位置する接続棒61から分体20bの形状に沿って分体20a側に渡り、更に分体20aの形状に沿って分体20b側に戻って該分体20bのフランジ28に接続している。
【0038】
このように構成されるチャンバ2を用いるプラズマ発生装置1では、導電部6の接続棒61に、高周波電源4を接続し、アウトレットポート22の平板部分を接地電位に接続する。高周波電源4からの電圧を印加すると、接続棒61から電流が導電体60中を
図2において反時計回りに伝わり、接続体64を介して金属製の分体20bのフランジ28から、該フランジ28が接している絶縁体23とは反対側へ流れ、分体20bの他端側からスペーサ24を介して分体20aへ伝わる。分体20aに伝わった電流はアウトレットポート22経由にて接地電位へ流れる。つまり導電体60における電流と、分体20a及び分体20b上を流れる電流とで向きは同一であり、接続棒61から接地電位まで螺旋状に流れる。このとき導電部60は、チャンバ2の本体部分20(分体20a,20b及びスペーサ24)により形成されるインダクタンス成分に対する追加のインダクタンス成分としての機能を発揮する。
【0039】
なお導電部6は必須の構成要件ではない。本開示の管体26は導電部6を備えない構成としたチャンバへも適用することが可能である。
【0040】
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。