(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第1のエチレン系ポリマーと、高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第2のエチレン系ポリマーと、を含む組成物であって、かかる組成物が、以下の特性:
a)2.0〜10dg/分のメルトインデックス(I2)、
b)0.922〜0.935g/ccの密度を含み、
前記第2のエチレン系ポリマーが、前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、60〜95重量パーセントの量で存在し、
前記第2のエチレン系ポリマーが、0.924g/cc以上の密度を有し、
前記第1のエチレン系ポリマーが、2.5dg/分未満のメルトインデックスと、15cN以上の溶融強度を有し、かつ、前記第1のエチレン系ポリマーの密度が前記第2のエチレン系ポリマーの密度よりも低い、前記組成物。
前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーが各々独立して、2.6重量%以下のヘキサン抽出可能含有量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記組成物。
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記組成物を形成するための方法であって、前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーを押出システム内に個別に供給することを含む、前記方法。
【技術分野】
【0002】
紙、板、アルミニウム等への押出コーティング及び押出積層のための低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂は、広範なMWD(分子量分布)及び低抽出可能量で設計されている。押出コーティング適用において、以下の製品特性及び適用特性:種々の加工速度でのコーティング性能、基材への接着性、遮断特
性及び密封形成がとりわけ重要である。種々の加工速度でのコーティング性能が主にポリマーの粘弾特性に依存する一方で、接着特性、遮断特性、及び密封特性は、ポリマーの粘弾特性に加えて、その密度、結晶化度、及び機能性にも依存する。
【0003】
典型的に、広範なMWDを有するLDPE樹脂は、オートクレーブ反応器またはオートクレーブ反応器及び管型反応器の組み合わせを使用して作製される。広範なMWD樹脂は、オートクレーブ反応器内で長鎖分枝を促進させることによって、かつ固有の滞留時間分布によって実現され得、それによって、分子が、より短い(低分子量)またはより長い(高分子量)成長経路を経る。
【0004】
2012年11月9日出願の国際出願第PCT/US12/064284号は、押出コーティングに好適な管型反応器を使用して作製されたLDPE樹脂を記載する。しかしながら、これらの樹脂は、押出コーティング用に適用空間のより低い密度限度(例えば、0.920g/cc未満)のために設計される。押出コーティング用途のより高い密度領域及び/または中密度の密度領域のために、オートクレーブベースのLDPEが依然として必要とされている。あるいは、より低い密度の高溶融強度LDPEと、LLDPEまたはHDPEとのブレンドを使用して、より高い全体密度を実現することができる。
【0005】
接着性と基材−ポリマー層間剥離との良好なバランスを実現するために、LDPEポリマー等の高圧エチレン系ポリマーを含む組成物が必要とされている。線状型ポリマー等の他の種類のポリマーの存在は、抗酸化剤の存在のため、かつ/または望ましくない層間剥離を促進させる結果として得られる機械的特性のため、このバランスを損なう可能性がある。
【0006】
オートクレーブベースの樹脂の排他的な選択を必要とすることなく、より高い密度及び良好なコーティング性能を実現するためにLDPE成分の選択における柔軟性も必要とされており、単一のオートクレーブベースの樹脂の使用のみでは典型的には到達することのできない、例えば、改善された遮断特性のための、良好なコーティング特性におけるさらにより高い全体密度(>0.926g/cc)も実現することが必要とされている。「0.920〜0.924g/cc」の密度範囲の標準オートクレーブ(AC)コーティングのグレードは、確かに市販されている。生成費用のかかるこれらの「より低い変換AC樹脂」を含有する従来の組成物の代わりに使用され得る新たな組成物が必要とされている。
【0007】
米国公開第2007/0225445号は、1つのACのLDPE生成物と1つの管状LDPE生成物とのブレンドを記載する。両方の種類の生成物は、広範なMWD、高溶融強度を有し、それ故により低い密度を有する。異なるブレンド比でのデータは、全体密度が低くなることを示す。さらに、管状生成物及びオートクレーブ生成物のメルトインデックス範囲はそれぞれ、4〜10g/10分及び3〜9g/10分の範囲に準拠するはずである。これらのメルトインデックス範囲は、75/25〜25/75のブレンド組成範囲と相まって、低溶融弾性を有する高密度樹脂の使用を不可能にする一方で、最終ブレンド高溶融弾性を維持し、良好なコーティング性能を確実にする。
【0008】
国際公開第WO2011/075465号は、より高い密度を有し、押出コーティングされ得るが、ネックイン性能は継続して改善され得るオートクレーブベースの樹脂の製造及び適用を記載する。本発明は、優れた押出コーティング加工性能において、ネックイン性能を損なうことなく、さらにより高い密度能力をもたらす。
【0009】
EP2123707B1は、ある一定の粘度関係を有する、MI>2.5である2〜30重量%のオートクレーブと過半量が管状であるブレンドを記載する。より高いメルトインデックス、高溶融強度ブレンド樹脂の使用は、より低い溶融強度押出コーティング性能挙動を有するブレンドをもたらし、最高密度能力を低減する。
【0010】
押出コーティングにおいて、最適なバランスの加工性、密度、結晶化度、及び最終使用性能を含む、新たなエチレン系ポリマー組成物が依然として必要とされている。この必要性及びその他の必要性は、以下の発明によって満たされている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、本発明は、高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第1のエチレン系ポリマーと、高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第2のエチレン系ポリマーと、を含む組成物を提供し、かかる組成物が、以下の特性:
a)2.0〜10dg/分のメルトインデックス(I2)、
b)0.922〜0.935g/ccの密度を含み、
第2のエチレン系ポリマーが、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、60〜95重量パーセントの量で存在し、
第2のエチレン系ポリマーが、0.924g/cc以上の密度を有し、
第1のエチレン系ポリマーが、2.5dg/分未満のメルトインデックスを有する。
【0014】
発明組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0015】
第1のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0016】
第2のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0017】
一実施形態において、第1のエチレン系ポリマーは、2.4dg/分以下、さらに2.3dg/分以下、さらに2.2dg/分以下、さらに2.1dg/分以下のメルトインデックスを有する。
【0018】
一実施形態において、第1のエチレン系ポリマーは、2.0dg/分以下、さらに1.9dg/分以下、さらに1.8dg/分以下のメルトインデックスを有する。
【0019】
一実施形態において、第1のエチレン系ポリマーは、1.7dg/分以下、さらに1.6dg/分以下、さらに1.5dg/分以下のメルトインデックスを有する。
【0020】
一実施形態において、第1のエチレン系ポリマーは、15cN以上、さらに17cN以上の溶融強度(190℃)を有する。
【0021】
一実施形態において、第2のポリマー密度は、0.9245g/cc以上、さらに0.9250g/cc以上、さらに0.9260g/cc以上である(1cc=1cm
3)。
【0022】
一実施形態において、第2のポリマーの密度及び第1のポリマーの密度における差は、0.0060g/cc以上、さらに0.0065g/cc以上、さらに0.0070g/cc以上、さらに0.0075g/cc以上である。
【0023】
一実施形態において、第2のポリマーの密度の第1のポリマーの密度に対する比は、1.005以上、さらに1.006以上、さらに1.007以上である。
【0024】
一実施形態において、第2のエチレン系ポリマーは、2.0〜50.0dg/分、さらに2.5〜40.0dg/分、さらに3.0〜30dg/分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0025】
一実施形態において、第1のエチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0026】
一実施形態において、第2のエチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0027】
一実施形態において、第2のエチレン系ポリマーは、第1のポリマー及び第2のポリマーの重量の合計に基づいて、70〜92重量パーセント、さらに80〜90重量パーセントの量で存在する。
【0028】
一実施形態において、本組成物は、2.5〜10dg/分、さらに3.0〜10dg/分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0029】
一実施形態において、本組成物は、2.0〜9.0dg/分、さらに2.0〜8.5dg/分、さらに2.0〜8.0dg/分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0030】
一実施形態において、本組成物は、0.922〜0.932g/cc、さらに0.922〜0.930g/ccの密度を有する(1cc=1cm
3)。
【0031】
一実施形態において、本組成物は、0.923〜0.935g/cc、さらに0.923〜0.932g/cc、さらに0.923〜0.930g/ccの密度を有する。
【0032】
一実施形態において、本組成物は、0.924〜0.935g/cc、さらに0.924〜0.932g/cc、さらに0.924〜0.930g/ccの密度を有する。
【0033】
一実施形態において、本組成物は、5.5重量パーセント未満のヘキサン抽出可能含有量を有する。
【0034】
一実施形態において、本組成物は、4.0重量パーセント未満のヘキサン抽出可能含有量を有する。
【0035】
一実施形態において、本組成物は、3.3重量パーセント未満のヘキサン抽出可能含有量を有する。
【0036】
一実施形態において、本組成物は、2.6重量パーセント未満のヘキサン抽出可能含有量を有する。
【0037】
本発明は、発明組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0038】
一実施形態において、本物品は、コーティング(食品包装、ならびにワイヤ及びケーブル用途のための押出コーティングを含む)、フィルム、発泡体(栓用途及び包装用途を含む)、積層体、繊維、またはテープから選択される。
【0039】
一実施形態において、本物品は、押出コーティングである。別の実施形態において、本物品は、フィルムである。
【0040】
驚いたことに、全体より低い密度の高溶融強度成分を使用することによって発明組成物における実現可能な全体密度がより高くなることが見出されている。このことは、成分密度、メルトインデックス、及び溶融強度のバランスに関連する。発明組成物が低抽出可能レベルにつながり、それ故に最も重要な食品接触用途に適し得ることも見出されている。
【0041】
本発明は、発明組成物を形成するための方法も提供し、該方法は、第1のエチレン系ポリマーと第2のエチレン系ポリマーを混合することを含む。
【0042】
本発明は、発明組成物を形成するための方法も提供し、該方法は、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーを押出システム内に個別に供給することを含む。さらに実施形態において、押出システムは、調合押出機及び/または最終物品を形成するために使用される押出機(例えば、コーティング押出機)を含む。
【0043】
発明組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0044】
第1のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0045】
第2のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0046】
発明物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0047】
発明方法は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0048】
重合
高圧フリーラジカル開始重合プロセスでは、2つの基本的な種類の反応器が知られている。第1の種類は、1つ以上の反応区画を有する撹拌オートクレーブ槽(オートクレーブ反応器)である。第2の種類は、1つ以上の反応区画を有する被覆管(管型反応器)である。このプロセスのオートクレーブ及び管型反応器区画のそれぞれにおける圧力は、典型的には100〜400、より典型的には120〜360、さらにより典型的には150〜320MPaである。このプロセスのそれぞれの管型反応器区画における重合温度は、典型的には100〜400、より典型的には130〜360、さらにより典型的には140〜330℃である。
【0049】
このプロセスのそれぞれのオートクレーブ反応器区画における重合温度は、典型的には150〜300、より典型的には165〜290、さらにより典型的には180〜280℃である。当業者であれば、オートクレーブ内の温度が管型反応器の温度よりもかなり低く、かつ分化されておらず、それ故にオートクレーブベースの反応器システムで生成されたポリマーにおいてより好ましい抽出可能レベルが典型的に観察されることを理解する。
【0050】
広範なMWDを有する第1のエチレン系ポリマーは、典型的には、以下のプロセス要素のうちの1つ以上を含む重合条件で作製される。
・低下した動作圧力(反応器システムの最大動作圧力に対して)、
・上昇した重合温度(1つ以上のオートクレーブ領域及び/または1つ以上の管型反応器区画は、それぞれ、240及び290℃を超える制御または最大ピーク温度で動作される)、
・オートクレーブ性質の最低2つの反応区画、またはオートクレーブ/管型混成性質ならびに管型性質の最低3つの反応区画、及び/または
・広範なMWDの生成物を確保するための反応区画にわたるCTAの種類の選択及び/もしくは分布。
【0051】
本発明に従って見出される有利な特性を有する組成物のためにポリエチレンホモポリマーまたはインターポリマーを生成するための本発明の高圧プロセスは、好ましくは、少なくとも3つの反応区画を有する管型反応器において実行される。
【0052】
開始剤
本発明のプロセスは、フリーラジカル重合プロセスである。本プロセスにおいて使用されるフリーラジカル開始剤の種類は重要ではないが、好ましくは、適用される開始剤のうちの1つは、300℃〜350℃の範囲の高温動作を可能にすべきである。一般的に使用されるフリーラジカル開始剤は、有機過酸化物、例えばペルエステル、ペルケタール、ペルオキシケトン、過炭酸塩、及び環状多機能性過酸化物を含む。これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合可能なモノマーの重量に基づいて、典型的には0.005〜0.2重量%の従来の量で使用される。他の好適な開始剤は、アゾジカルボン酸エステル、アゾジカルボン酸ジニトリル、及び1,1,2,2−テトラメチルエタン誘導体、ならびに所望の動作温度範囲でフリーラジカルを形成することのできる他の成分を含む。
【0053】
過酸化物は、典型的には、好適な溶媒中、例えば、炭化水素溶媒中の希釈溶液として注入される。一実施形態では、重合の少なくとも1つの反応区画に開始剤が添加され、この開始剤は、255℃超、好ましくは260℃超の「1秒における半減期温度」を有する。さらなる実施形態では、かかる開始剤は、320℃〜350℃のピーク重合温度で使用される。さらなる実施形態では、開始剤は、環構造に組み込まれた少なくとも1つの過酸化物基を含む。
【0054】
かかる開始剤の例として、両方ともAkzo Nobelから入手可能なTRIGONOX 301(3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナアン(triperoxonaan))及びTRIGONOX 311(3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン)、ならびにUnited Initiatorsから入手可能なHMCH−4−AL(3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトルオキソナン(tetroxonane))が挙げられるが、これらに限定されない。国際公開第WO02/14379号及び同第WO01/68723号も参照されたい。
【0055】
連鎖移動剤(CTA)
連鎖移動剤またはテロゲンは、重合プロセスにおいてメルトインデックスを制御するために使用される。連鎖移動は成長するポリマー鎖の終結を伴い、ひいてはポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、典型的には、成長するポリマー鎖と反応してその鎖の重合反応を停止させる水素原子供与体である。これらの薬剤は、飽和炭化水素または不飽和炭化水素から、アルデヒド、ケトン、またはアルコールまでの多くの異なる種類であり得る。選択される連鎖移動剤の濃度を制御することによって、ポリマー鎖の長さ、そしてそれ故に分子量、例えば数平均分子量、Mnを制御することができる。Mnに関連するポリマーのメルトフローインデックス(MFIまたはI
2)は、同じように制御される。
【0056】
本発明のプロセスにおいて使用される連鎖移動剤としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、ペンテン、またはヘキサン等の脂肪性及びオレフィン性炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、またはジアミルケトン等のケトン;ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒド等のアルデヒド;ならびにメタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノール等の飽和脂肪性アルデヒドアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。連鎖移動剤は、モノマー連鎖移動剤であってもよい。例えば、WO2012/057975、WO2013/095969、及びWO2014/003837を参照されたい。
【0057】
反応区画内の分化したCTA濃度は、所望の分子量分布を達成し、制御するために使用され得る。反応区画内のCTA濃度を分化するための手段としては、とりわけ、WO2013/059042、WO2011/075465、及びWO2012/044504に記載の方法が挙げられる。
【0058】
メルトインデックスに影響を及ぼすさらなる方法は、エチレン再循環流中の、メタン及びエタンのような流入するエチレン不純物、tert−ブタノール、アセトン等のような過酸化物分離生成物、ならびに/または開始剤を希釈するために使用される溶媒成分の集積及び制御を含む。これらのエチレン不純物、過酸化物分離生成物、及び/または希釈溶媒成分は、連鎖移動剤として作用し得る。
【0059】
添加剤
発明組成物は、1つ以上の添加剤を更に含み得る。好適な添加剤としては、安定剤;充填剤、例えば、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、鋼ワイヤまたはメッシュ、及びナイロンまたはポリエステルコードを含む有機または無機繊維、ナノサイズ粒子、粘土等;粘着付与剤、ならびにパラフィン系またはナフテレン系(napthelenic)油を含む伸展油が挙げられるが、これらに限定されない。発明組成物は他のポリマーの種類を含み得る。
【0060】
定義
反対の記述があるか、文脈から黙示的であるか、または当該技術分野において慣習的である場合を除き、すべての部及び割合は重量に基づき、すべての試験法は本開示の出願日時点で現行のものである。
【0061】
本明細書において使用される「組成物」という用語は、その組成物を含む材料の混合物、ならびにその組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を指す。
【0062】
使用される「ブレンド物」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの緊密な物理的混合物(つまり、反応を伴わない)を意味する。ブレンド物は、混和性(分子レベルで分相していない)である場合もない場合もある。ブレンド物は、分相している場合もしていない場合もある。ブレンド物は、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野で既知の他の方法から決定されるときに、1つ以上のドメイン構成を含有する場合もしない場合もある。このブレンド物は、マクロレベル(例えば、樹脂を溶融ブレンドすること、もしくは配合すること)またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内で同時形成すること、もしくは別のポリマーの存在下で1つのポリマーを形成すること)で、その2つ以上のポリマーを物理的に混合することによってもたらされ得る。
【0063】
「ポリマー」という用語は、同一のものか異なる種類のものかを問わず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(これは、ポリマー構造内に微量の不純物が組み込まれ得るという理解を踏まえて1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指す)、及び以下に定義される「インターポリマー」という用語を包含する。ポリマー中及び/またはポリマー内に微量の不純物が組み込まれ得る。
【0064】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという総称は、コポリマー(これは、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指す)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0065】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含み、かつ、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る、ポリマーを指す。
【0066】
「エチレン系インターポリマー」または「エチレンインターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含み、かつ少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。
【0067】
「エチレン系コポリマー」または「エチレンコポリマー」という用語は、コポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレン、及び1つのみのコモノマー(したがって、2種類のモノマーのみ)を含むコポリマーを指す。
【0068】
本明細書において使用される「オートクレーブベースの生成物」または「オートクレーブベースのポリマー」という用語は、少なくとも1つのオートクレーブ反応器を備える反応器システムにおいて調製されたポリマーを指す。
【0069】
本明細書において使用される「高圧フリーラジカル重合プロセス」という語句は、少なくとも1000バール(100MPa)の昇圧で実行されるフリーラジカル開始重合を指す。
【0070】
「備える」、「含む」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在が明確に開示されているか否かを問わず、それを除外することを意図しない。一切の疑義を回避するために、「備える」という用語の使用によって特許請求されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、ポリマーのものか別様のものかを問わず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、動作性に必須ではないものを除いて、いかなる他の構成要素、ステップ、または手順をも、いかなる後続の記述からも除外する。「からなる」という用語は、明確に詳述または列記されていないいかなる構成要素、ステップ、または手順をも除外する。
【0071】
試験方法
密度:ASTM D 1928に従って、密度測定のための試料を調製する。190℃及び30,000psi(207MPa)で3分間、次いで21℃及び207MPaで1分間、ポリマー試料を押圧する。ASTM D792、方法Bを使用して試料押圧の1時間以内に測定を行う。
【0072】
メルトインデックス:ASTM D 1238、190℃/2.16kgの条件に従って、メルトインデックス、またはI
2(グラム/10分またはdg/分)を測定する。
【0073】
溶融強度
Gottfert Rheotester2000キャピラリーレオメータに取り付けたGottfert Rheotens71.97(Gottfert Inc.;Rock Hill,SC)上で溶融強度(MS)測定を実行する。2.0mmのキャピラリー直径及び15のアスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー直径)で平入口角(180度)を有するキャピラリーダイを通して、ポリマー溶融物(約20〜30グラムのペレット)を押出す。
【0074】
試料を190℃で10分間平衡化した後、ピストンを0.265mm/秒の一定のピストン速度で起動させた。標準試験温度は190℃であった。2.4mm/秒
2の加速度でダイより100mm下に配置された一式の加速ニップに試料を一軸延伸した。ニップロールの巻取り速度の関数として引張力を記録した。ストランドが切断する前の定常力(cN)として溶融強度を報告した。溶融強度測定において以下の条件を使用した:プランジャー速度=0.265mm/秒、車輪加速度=2.4mm/s
2、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長さ=30mm、及びバレル直径=12mm。
【0075】
ヘキサン抽出可能量
(さらなる修飾無しの重合、ペレットプロセスからの)ポリマーペレットをCarver Press内で厚さ3.0〜4.0ミルに押圧した(およそ2.2グラムのペレットを押圧してフィルムにする)。ペレットを、190℃で3分間、3,000lb
fで、続いて190℃で3分間、40,000lb
fで押圧した。操作者の手の残油でフィルムを汚損しないように、無残渣手袋(PIP
*CleanTeam
*Cotton Lisle Inspection Gloves、品番:97−501)をはめた。フィルムを「1インチ×1インチ」の正方形に切り取り、秤量した。「2.5g」のフィルム試料を各抽出のために使用するように、十分なフィルム試料を使用した。次に、約1000mLのヘキサンを含有するヘキサン層内の「49.5±0.5℃」の加熱した水浴中で、フィルムを2時間抽出した。使用したヘキサンは、異性体「ヘキサン」混合物であった(例えば、HPLCのための高純度移動相及び/またはGC用途のための抽出溶媒である、Fisher Chemicalのヘキサン(Optima)、GCによる99.9%最小)。2時間後、フィルムを取り出し、きれいなヘキサンの中ですすぎ、最初に窒素で乾燥させ、次に真空炉(80±5℃)内の完全な真空(およそ30インチのHgでISOTEMP Vacuum Oven,Model 281A)で2時間更に乾燥させた。続いて、フィルムを乾燥機内に配置し、室温になるまで最低1時間冷却した。その後、フィルムを再秤量し、ヘキサン抽出に起因する質量損失量を計算した。[(質量損失量/フィルムの初期重量)×100]=ヘキサン抽出可能量の重量パーセント。
【0076】
実験
A.第1のエチレン系ポリマー
E1
3つの反応区画を有する管型反応器において重合を実行した。各反応区画において、加圧水を、反応器の外被全体にこの水を循環させることによって反応媒体を冷却及び/または加熱するために使用した。入口圧力は2100バールであり、管型反応器システム全体での圧力低下は約300バールであった。各反応区画は1つの入口及び1つの出口を有した。各入口流は、前の反応区画からの出口流及び/または追加のエチレンが豊富な供給流からなった。エチレン中に微量(最大5モルppm)のアセチレンを許可する仕様書に従って、エチレンを供給した。したがって、ポリマー中に組み込まれる可能性のあるアセチレンの最大量は、エチレン系ポリマー中のモノマー単位の総モルに基づいて、20モルppm未満であった(表3の変換レベルを参照)。
図1Bに示されるフロースキームに従って、未変換エチレン、及び反応器出口における他の気体状成分を、高圧及び低圧再循環系によって再循環させ、増圧器、一次圧縮機システム、及びハイパー(二次)圧縮機システムによって圧縮し分配した。
図1Bで見られるように、一次圧縮機の両方の排出流(2及び3)を反応器の前供給流5に送った。有機過酸化物を各反応区画へと供給した(表1参照)。連鎖移動剤としてプロピオンアルデヒドを使用し、これは、低圧及び高圧再循環流(13及び15)、ならびに新たに注入されるCTA補給流7及び/または補給流6から生じる各反応区画入口に存在した。1.5g/10分のメルトインデックスでポリマーを作製した。
【0077】
反応区画1における第1のピーク温度(最大温度)に達した後、加圧水を用いて反応媒体を冷却した。反応区画1の出口において、新鮮な冷たいエチレンが豊富な供給流(20)を注入することによって反応媒体をさらに冷却し、有機過酸化物を供給することによって反応を再開した。第2の反応区画の終わりでこのプロセスを繰り返して、第3の反応区画におけるさらなる重合を可能にした。約230〜250℃の溶融温度で「単軸」押出機システムを使用して、ポリマーを押出し、ペレット化した(1g当たり約30個のペレット)。エチレンが豊富な供給流(9:20:21)と3つの反応区画との重量比は、1.00:0.75:0.25であった。R2及びR3値はそれぞれ、無限大(∞)に近づいた。R値は、国際公開第WO2013/059042号(2012年10月10日出願の国際特許出願PCT/US12/059469号)に従って算出される。Rn(n=反応区画番号、n>1)は、「第1の反応区画(RZ1)に供給される新鮮なエチレンの質量分率」と「n番目の反応区画(RZn)に供給される新鮮なエチレンの質量分率」との比であり、またはRn=RZ1/RZnである。内部処理速度は、第1、第2、及び第3の反応区画に対して、それぞれおよそ12.5、9、及び11m/秒であった。この重合において、CTA補給流7と6との重量比は0.09であった。追加の情報を表2及び3で見ることができる。
【0078】
E2
E1に関して上述されるように、3つの反応区画を有する管型反応器内で重合を実行した(
図1Bを参照)。エチレンが豊富な供給流(9:20:21)と3つの反応区画との重量比は、1.00:0.76:0.24であった。0.58g/10分のメルトインデックスで、ポリマーを作製した。R2及びR3の値はそれぞれ、無限大(∞)に近づいた。発明実施例において、CTA補給流7と6との重量比は2であった。追加の情報を表2及び3で見ることができる。CTAはプロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0079】
E3
E1に関して上述されるように、3つの反応区画を有する管型反応器内で重合を実行した(
図1Bを参照)。エチレンが豊富な供給流(9:20:21)と3つの反応区画との重量比は、1.00:0.76:0.24であった。0.37g/10分のメルトインデックスで、ポリマーを作製した。R2及びR3の値はそれぞれ、無限大(∞)に近づいた。本発明実施例において、CTA補給流7と6との重量比は1.35であった。追加の情報を表2及び3で見ることができる。CTAはプロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0080】
要約すると、典型的には低いかまたはより低い溶融強度の構成成分と一緒になって押出コーティング組成物中のブレンド成分として好適な高溶融強度を有する管状樹脂を達成するために、例えば、上記で示されるように、重合条件を選択しバランスをとる必要がある。重要な加工パラメータは、最大重合温度、反応器入口圧力、変換レベル、ならびに連鎖移動剤の種類、レベル、及び分布を含む。
【0084】
追加の第1のエチレン系ポリマーは、表4に示される。
【0086】
B.第2のエチレン系ポリマー
表5は、第2のエチレン系ポリマー及び他のポリマーを含む、選択されたエチレン系ポリマーの特性を示す。
【0088】
C.発明組成物の代表的な調製
ブレンド配合物は、表6〜9に示される。「18mm」の二軸押出機(マイクロ−18)を使用してブレンド成分を調合した。二軸押出機は、HAAKEソフトウェアによって制御されたLeistritz機であった。この押出機は、5つの加熱区画、供給区画、及び「3mm」のストランドダイを有した。供給区画を流水で冷却する一方で、残りの区画1〜5及びダイを電気加熱し、それぞれ、120、135、150、190、190、及び190℃まで空冷した。プラスチック袋内でペレット化したポリマー成分を合わせ、手で回転ブレンドした。押出機を予熱した後、ロードセル及びダイ圧力変換器を校正した。押出機のための駆動装置を200rpmで動かし、結果、伝達機構によって250rpmの軸速度となった。次に、乾燥ブレンドを、ペレットオーガを使用して、双オーガK−Tron供給機(モデル#K2VT20)を通して押出機に供給した(6〜8lbs/時)。供給機のホッパーを窒素で満たし、押出機への供給コーンをホイルで覆って、空気侵入を最小限に抑え、かつポリマーの酸素劣化の可能性を最小限に抑えた。得られたストランドを水急冷し、空気ナイフを使って乾燥させ、CONAIR細断機を用いてペレット化した。
【0089】
種々のブレンド比で、LDPE770GまたはE1のいずれかを含むLDPE751Aを使用してブレンド組成物の第1の組を作製した。これらの組成物が、押出コーティングに好ましいメルトインデックスで中密度の標的レベルに到達すると同時に、類似の密度でオートクレーブLDPEコーティンググレードと同等の溶融強度を実現したことが見出された。発明組成物の特性は、表6に示される。
【0091】
種々のブレンド比で、LDPE662Iを含むLDPE421Eを使用してブレンド組成物の第2の組を作製した。これらの組成物が、押出コーティングに好ましいメルトインデックスでさらにより高い密度レベルに到達すると同時に、高い溶融強度を実現したことが見出された。発明組成物の特性は、表7に示される。
【0093】
一定のブレンド比において、LDPE662I、E2、またはE3のいずれかを含むLDPE751Aを使用してブレンド組成物の第3の組を作製した。これらの組成物が、押出コーティングに好ましいメルトインデックス及び溶融強度において中密度の標的レベルを到達したことが見出された。発明組成物の特性は、表8に示される。
【0095】
種々のブレンド比で、LDPE662Iを含むLDPE748Iを使用してブレンド組成物の第4の組を作製した。これらの組成物は、押出コーティングに好ましいメルトインデックス及び溶融強度において標的密度レベルに到達しなかった。比較組成物の特性は、表9に示される。
【0097】
図2は、表5〜8の本組成物の密度及び溶融強度データを示す。I2、密度、及びMSに関する以下のブレンドルールが、これらの発明組成物及び比較組成物の全てのブレンドデータに対して良好な適合を提供することが見出された。
対数(I2)=w
1*対数(I2
1)+(1−w
1)
*対数(I2
2)
1/密度=w
1/密度
1+(1−w
1)/密度
2
MS=w
1*MS
1+(1−w
1)
*MS
2
【0098】
これらの等式において、添え字1及び2はそれぞれ、成分1及び2を指す。属性w
1は、ブレンド中の成分1の重量分率である。この調査に関して、成分1は、第1のエチレン系ポリマーを指す。これらのブレンドルールを使用して、本組成物の特性へのブレンド比及び成分の特性の影響を計算する。表10は、かかる計算のために使用される成分の選択を列挙する。市販の材料及び理論上のLDPE樹脂に基づいて成分を選択する。表11は、特定の標的溶融強度値を実現するための、計算された重量分率における特定成分の組み合わせの選択された計算を提供する。
図3及び4は、全ブレンド比スペクトル、w
1=0〜w
1=1の選択された成分の組み合わせに対する計算された溶融強度及び密度を示す。
【0099】
図3及び
図4の各々において、各線(プロファイル)上の最高密度データ点(最も右)は、第2のエチレン系ポリマー(第1のエチレン系ポリマーを含有しないブレンド)の高密度データ点を表す。各線上の最高密度データ点からの連続する各データ点は、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量に基づいて、量を10重量パーセント増加した第1のエチレン系ポリマーを含有するブレンドを表す。この「10重量パーセントの増加」は、論争中のデータ点の右にある前のデータ点に対してである。したがって、1つが、各線上のデータ点にわたって右から左へ動くと、ブレンド中の第1のエチレン系ポリマーの量が、第1のエチレン系ポリマー及び第2のエチレン系ポリマーの重量に基づいて、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、及び100重量パーセント増加する。
【0100】
驚いたことに、より高い密度がより低い密度の高溶融強度成分を含有する発明組成物において実現され得ることが見出されている。このことは、成分密度、メルトインデックス、及び溶融強度のバランスに関連する。さらに、本明細書の表及び図で示されるように、各成分の重量分率(ブレンド比)に対するわずかな調整に関して、メルトインデックス及び溶融強度における(つまり、ドローダウン及びネックイン等のコーティング性能において)著しい変化が、低密度、高溶融強度の第1の成分を使用して、本組成物の密度の最低限の変化を以て実現され得ることが見出されている。対照的に、第1のエチレン系ポリマーとして、発明組成物の第1のエチレン系ポリマーよりも高いメルトインデックス及び低い溶融強度である従来の高溶融強度成分を使用する場合、好適なコーティング性能を実現するためにより高いブレンド比が必要とされる。コーティング性能(ドローダウン及びネックイン)の調整は、ブレンド比における大きな変更を必要とし、これは、最終ブレンド密度においてさらに大きな変化をもたらす。
【0101】
さらに、これらの表及び図は、良好なコーティング性能を実現するために、はるかにより低いブレンド比が必要とされるため、発明組成物において、達成可能な最終密度がより高いことを示す。さらに、本組成物における密度及びメルトインデックスの分化は、主要なブレンド成分(第2のエチレン系ポリマー)における変化によって実現され得る。本発明手法の柔軟性が示される
図4を参照されたい。さらに、低メルトインデックス、高溶融強度成分の使用が、非常に高いメルトインデックスを有する第2の成分の選択を可能にすることが見出されている。いくつかの代表的な計算実施例は、表12に示される。
【0105】
D.押出コーティング
ブレンド組成物の第3の組に関して、単層押出コーティングをBlack−Clawson押出コーティング/積層ライン上で実施した(表8参照)。150馬力及び直径3.5インチの軸を備える押出機をおよそ90rpmの軸速度で使用し、結果、114kg/h(250lb/h)のポリマー生産量をもたらした。押出機の各区画における温度はそれぞれ、177、232、288、及び316℃(350、450、550、及び600°F)であり、320℃の標的溶融温度まで上昇した。76cm(30インチ)の名目上のダイ幅は、61cm(24インチ)の開放ダイ幅に対して、起伏の多い状態であった。クラフト紙の幅は61cm(24インチ)であった。134m/分(440fpm)及び268m/分(880fpm)のライン速度で、「15cm」の空隙を使用し、それらの速度はそれぞれ、25ミクロン(1ミル)及び13ミクロン(0.5ミル)のコーティングをもたらした。ネックイン及びドローダウンを以下の通り決定した:ドローダウンは、一定のポリマー生産量でライン速度を加速させたときのウェブ破損またはウェブ欠陥/ウェブ縁部の不均一性が発生する前の達成可能な最高ライン速度として定義される。ネックインは、固定ライン速度におけるウェブの最終幅とダイ幅との差である。より低いネックイン及びより高いドローダウンは、共に非常に望ましい。より低いネックインは、ウェブのより良好な寸法安定性を示し、同様に、これは基材上へのコーティングのより良好な制御を提供する。より高いドローダウンは、より高いライン速度性能を示し、同様に、これはより良好な生産性を提供する。
【0106】
使用した最高速度は457m/分(1500fpm)であった。ペレットを検量し、次に、均一なブレンドが取得されるまで(各試料につき、およそ30分)、試料を回転ブレンドすることによって、種々の成分のブレンドを生成した。ネックイン及びドローダウンは、表13に示される。
【0107】
これらのブレンドが基準LDPE5004Iに相当する満足できるコーティング性能に至ることが見出されている。当業者であれば、ブレンド比を調整することによって、かつ/または第1及び第2のエチレン系ポリマーを選択することによって、ネックイン/ドローダウンバランスをさらに最適化することができる。
【0108】
【表13】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第1のエチレン系ポリマーと、高圧フリーラジカル重合プロセスによって形成される第2のエチレン系ポリマーと、を含む組成物であって、かかる組成物が、以下の特性:
a)2.0〜10dg/分のメルトインデックス(I2)、
b)0.922〜0.935g/ccの密度を含み、
前記第2のエチレン系ポリマーが、前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーの重量の合計に基づいて、60〜95重量パーセントの量で存在し、
前記第2のエチレン系ポリマーが、0.924g/cc以上の密度を有し、
前記第1のエチレン系ポリマーが、2.5dg/分未満のメルトインデックスを有する、前記組成物。
[2]
前記第1のエチレン系ポリマーが、2.0dg/分以下のメルトインデックスを有する、[1]に記載の前記組成物。
[3]
前記第1のエチレン系ポリマーが、1.6dg/分以下のメルトインデックスを有する、[1]または[2]に記載の前記組成物。
[4]
前記第1のエチレン系ポリマーが、15cN以上の溶融強度を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の前記組成物。
[5]
前記第2のエチレン系ポリマーが、2.0〜50dg/分のメルトインデックスを有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の前記組成物。
[6]
前記第2のエチレン系ポリマーが、3.0〜30dg/分のメルトインデックスを有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の前記組成物。
[7]
前記組成物が、5.5重量%未満のヘキサン抽出可能含有量を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の前記組成物。
[8]
前記組成物が、2.6重量%未満のヘキサン抽出可能含有量を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の前記組成物。
[9]
前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーが各々独立して、2.6重量%以下のヘキサン抽出可能含有量を有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の前記組成物。
[10]
前記組成物の各ポリマー成分が独立して、2.6重量%以下のヘキサン抽出可能含有量を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の前記組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれかに記載の前記組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む、物品。
[12]
前記物品が、コーティング、フィルム、発泡体、積層体、繊維、またはテープである、[11]に記載の前記物品。
[13]
[1]〜[12]のいずれかに記載の前記組成物を形成するための方法であって、前記第1のエチレン系ポリマーと前記第2のエチレン系ポリマーを混合することを含む、前記方法。
[14]
[1]〜[10]のいずれかに記載の前記組成物を形成するための方法であって、前記第1のエチレン系ポリマー及び前記第2のエチレン系ポリマーを押出システム内に個別に供給することを含む、前記方法。