(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのベース生地領域及び少なくとも1つの生地複合区域を含む、体型改善機能を有する衣類であって、前記ベース生地領域が、少なくとも1つの方向に少なくとも約15%の伸張性を有する弾性ベース生地を含み、前記少なくとも1つの生地複合区域が、前記弾性ベース生地及び弾性ポリマー組成物を含み、
(a)前記弾性ポリマー組成物が、エラストマーポリオレフィン、エラストマーポリウレタン、及びエラストマーポリウレタンウレアからなる群より選択されるポリマーを含み、
(b)前記弾性ポリマー組成物が、前記生地複合区域の前記弾性ベース生地の重量の約1%〜約30%であり、
(c)前記弾性ポリマー組成物は前記弾性ベース生地内に浸透して前記弾性ベース生地の外側から見えず、前記弾性ポリマー組成物及び前記弾性ベース生地が、前記生地複合区域内に一体化生地の単一層を含み、
前記弾性ベース生地が、丸編地、経編地、織布、不織布、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記衣類。
前記衣類が、臀部持ち上げ、ヒップ整形、腹部平坦化、大腿部細長化、ウエスト痩身、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの機能を提供する、請求項1に記載の前記衣類。
前記生地を乾燥させること、前記生地を硬化すること、前記生地を洗浄すること、前記衣類を洗浄すること、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項13に記載の前記方法。
弾性ポリマー組成物を生地複合区域内の前記弾性ベース生地上に適用する前記方法が、コーティング、噴霧、浸漬、塗装、印捺、つまりスタンピング、含浸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの態様の衣類は、整形及び痩身機構を提供するために、特定の場所に生地複合物のエリアを伴って有利に構築される。本明細書内で使用される場合、用語「生地複合物」は、好ましくは、例えば、伸張性及び通気性がありながら、なおも高い弾力性及び整形特性を有する、弾性複合ポリマーが適用される弾性ベース生地を含む。本ポリマー粒子は、不連続に位置して繊維及び糸に粘着し、生地本体内に別個に浸透する。ベース生地が作製され得る例示的な材料としては、スパンデックス、2成分ポリエステル繊維、及び伸縮性及び/または弾力性特性を組み込む任意の繊維複合物が挙げられる。
【0016】
本明細書内で使用される場合、用語「薄膜」とは、平らな、一般的には2次元の物品を意味する。薄膜は、成型及び乾燥されたか、または押出された薄膜など、自立したものであり得る。あるいは、薄膜は、融成物、分散液、または溶液であり得る。
【0017】
本明細書内で使用される場合、用語「加圧形成」または「加圧形成された」とは、実質的に平面の構造を提供するために熱及び/または圧力に供された物品を指す。
【0018】
本明細書内で使用される場合、用語「分散液」とは、分散相が細かく分割された粒子からなり、連続相が液体、固体、または気体であり得るシステムを指す。
【0019】
本明細書内で使用される場合、用語「水性ポリウレタン分散液」とは、少なくともポリウレタンまたはポリウレタンウレアのポリマーまたはプレポリマー(本明細書内に記載されるポリウレタンプレポリマーなど)を含有し、任意に、脱イオン化水を含む、水などの水性媒体内に分散された溶媒を含む組成物を指す。
【0020】
本明細書内で使用される場合、用語「溶媒」とは、別途明示されない限り、非水性媒体を指し、非水性媒体は、揮発性有機溶媒(アセトンなど)、及び幾分揮発性に欠ける有機溶媒(MEKまたはNMPなど)を含む、有機溶媒を含む。
本明細書内で使用される場合、用語「無溶媒」または「無溶媒システム」とは、組成物または分散された構成要素の大部分が溶媒内に溶解または分散されていない、組成物または分散液を指す。
【0021】
本明細書内で使用される場合、用語「生地」とは、編地、織布、または不織材料を指す。編地生地は、平編、丸編地、経編地、狭い弾性、及びレースであり得る。織布生地は、任意の構築、例えば、綿じゅす、綾織、平織、オックスフォード織、バスケット織、及び狭い弾性であり得る。不織材料は、メルトブローン、スパンボンド、湿式、カーディングされた繊維系ステープル繊維ウェブなどであり得る。
【0022】
本明細書内で使用される場合、用語「硬糸」とは、実質的に非弾性の糸を指す。
【0023】
本明細書内で使用される場合、用語「成型」物品とは、物品または形作られた物品の形状が、熱及び/または圧力の適用に応じて変化することによる結果を指す。
【0024】
本明細書内で使用される場合、用語「由来の」とは、別の物体から物質を形成することを指す。例えば、薄膜は、乾燥され得る分散液由来であり得る。
【0025】
エラストマー繊維は、通常、生地及び衣類において伸張性及び弾性回復を提供するために使用される。「エラストマー繊維」は、いずれの捲縮とも無関係に100%を超える破断伸びを有する、希釈剤を含まない、連続したフィラメント(任意に、集束されたマルチフィラメント)または複数のフィラメントのいずれかである。エラストマー繊維は、(1)その長さの2倍に伸張され、(2)1分間保持され、(3)解放されたとき、解放された1分以内にその元の長さの1.5倍未満に後退する。本明細書の文脈で使用される、「エラストマー繊維」は、少なくとも1つのエラストマー繊維またはフィラメントを意味する。そのようなエラストマー繊維は、ゴムフィラメント、2成分フィラメント(ゴム、ポリウレタンなどに基づき得る)、ラストール、及びスパンデックスを含むが、これらに限定されない。用語「エラストマー」及び「弾性」は、本明細書全体で交換可能に使用される。
【0026】
「スパンデックス」は、フィラメント形成物質が少なくとも85重量パーセントのセグメント化されたポリウレタンから構成される長鎖合成ポリマーである製造フィラメントである。「エラストエステル」は、繊維形成物質が少なくとも50重量%の脂肪族ポリエーテル及び少なくとも35重量%のポリエステルから構成される長鎖合成ポリマーである製造フィラメントである。エラストマーではないが、エラストエステルが本明細書内のいくつかの生地に含まれ得る。
【0027】
「ポリエステル2成分フィラメント」は、繊維断面が、例えば、並んでいる、偏心鞘−芯、または有用な捲縮が構築され得る他の好適な断面であるように、繊維の長さに沿って互いに密接に結合された一対のポリエステルを含む連続するフィラメントを意味する。ポリエステル2成分フィラメントは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ならびにポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)、またはそのようなメンバーの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含み、約10%〜約80%のヒートセット後捲縮収縮値を有する。
【0028】
第3の態様に従って、好適な伸張生地をベース生地として選択するステップ、弾性ポリマー複合物が適用されて、非常に大きな伸張特徴を有する整形機能を提供する整形区域をデザインするステップ、ポリマー組成物を正確かつ効率的な様式で適用するステップ、複合ポリマーのベース生地へのしっかりとした固着のために物品を好適な温度及び時間で硬化するステップを含むことを特徴とする、整形衣類の製造方法が提供される。
【0029】
固体粒子を低含有量で有する弾性ポリマー組成物がベース生地の裏に用いられるとき、該ポリマー粒子は、生地の内側内に浸透することができるが、生地の外表面にまでは浸透することができない。乾燥後、水分は蒸発し、固形体は、繊維及び糸の間の隙間に留まる方法で生地内側に残る。硬化後、固形ポリマー粒子は、繊維、または隣接するポリマー粒子のいくつかと、共に結合する。
【0030】
該ポリマーは、生地及び衣類仕上げ工程ならびに家庭洗濯での繰り返し洗浄に耐えることができる。それらは、目に見えず、または実質的に目に見えず、生地の裏及び表面から触れることができない。
【0031】
図1は、整形機能を有する衣類内の発明生地の詳細構造を例証する。生地2は、ポリマー組成物を有しないベース生地領域4、及びポリマー複合物8を注入された生地複合区域6の2つの部分を含む。ベース生地は、硬繊維及び弾性繊維10からなる糸12で構成される伸張生地である。該伸張生地は、方向14に伸張され得る。弾性ポリマー組成物8は、生地の片側に配置され、糸及び繊維の間の間隙及び多孔空間を通って生地の内部内に浸透し、繊維と結合し、単一層の一体化生地複合物アイデンティティを形成する。生地複合物の表面は、不連続弾性ポリマー粒子に覆われた繊維が極めて占有する。弾性ポリマー組成物形態は、共につなぎ合わさらず、生地の裏で薄膜または平らな表面の状態を形成しない。弾性ポリマー組成物は、生地の表面から見えない。
【0032】
図2は、既存技術における衣類の生地構造を示し、生地ラミネート16の薄膜または連続層は、生地の表面上に配置され、光沢の外観及び弾性のある感触が存在する。
【0033】
図3は、臀部持ち上げ区域周辺に生地複合物を有するレギンスを含む衣類20を示す。ベース生地2は、ある程度の伸張を可能にするようにエラスタン繊維を含有し得る伸張生地である。ベース生地は、着用者に一定の全体的サポートを提供するように弾力性質であり得る。本衣類はまた、弾性ポリマー組成物がベース生地に置かれる整形領域22を含む。本ポリマーは、分散液であることが好ましい。本ポリマーは、塗布及び可熱を伴う、及び高圧を伴い得る技術を使用してベース生地の内側に適用される。そのような技術は、ポリマーを生地と緊密に結合し、それらが目に見えない整形機能を果たすことを可能にする。この方法では、衣類は、目に見えない様式で、レギンスなどの、薄い、またはぴったり体に合ったパンツを通して透けて見える、別個の下着、または薄膜もしくはラミネートの層で余分にかさばることなく、着用者にサポート及び整形を提供することができる。
【0034】
驚いたことに、最善の固形含有量を有する分散液は、ベース生地の内側内に浸透することができるが、生地全体に染み渡ることはなく、生地の表面に現れないことが分かった。生地表面から、ポリマーは見ることができず、触ることができない。ポリマーは、衣類着用中、隠れている。乾燥及び加熱工程後、弾性ポリマー組成物がベース生地内に注入し、糸及び繊維と共に結合し、ベース生地よりも堅い整形生地複合物を形成する。同時に、生地複合物は依然として高い保持力と共に弾性を有する。整形区域が適用される人体表面の部分は、締め付け力の対象となり、故に、圧力の違いにより、該生地複合物表面とベース生地表面部分との違いが現れる。整形区域内のこの生地複合物は、体輪郭の形状に作用し得、重要なエリアのうちのいくつかの表出を平らにする、または制御するように作用する。したがって、整形生地複合物領域は、それが望まれるそれらの領域のみにわたって延在するように調整され得る。
【0035】
整形区域は、全体的な引き締めを生み出すように衣類全体にわたって位置するのではなく、慎重に選択されたエリア内に提供されることが理解されよう。整形区域の位置決めの結果は、体の輪郭に対するサポート及び整形、大腿部の痩身、尻の持ち上げ、及び腹部の平坦化を提供し、ひいては下半身全体を単に締め付けるのではなく、向上されたシルエットを作り出すことである。
【0036】
いくつかの態様において、整形生地複合物は、
図3に示されるように、生地複合物が尻の下方部及び大腿部の上方部分における着用者の身体の後ろ部分を覆う、「臀部持ち上げ」とも呼ばれるヒップアップ区域内に置かれる。臀部持ち上げ区域内の複合生地は、臀部/後部の輪郭をより豊かにするように着用者のヒップを押し上げる。尻上げバンドは、臀部エリアを締め付けるように
図3の矢印方向に臀部を押し上げる。
図3に示されるように、臀部持ち上げバンド22は、矢印方向に尻を押し上げるために、弾性生地20の中央部分に対して対称である。整形生地複合区域は、矢印方向に尻の下方部分を上向きにサポートする。臀部持ち上げバンド22の形状、バンド22の湾曲または幅などは、修正され得る。
【0037】
いくつかの態様において、整形生地複合区域は、
図4に示されるように、尻整形区域に適用される。整形生地複合物は、尻周辺に湾曲したU字型として配置される。尻整形バンド24は、着用者の尻を押し上げ得、尻の輪郭外観をより丸くかつ高くするように尻を集結させる。それは、ヒップの両側がはみ出ず、豊かな尻の輪郭が示され得るように、尻の両側を押す。
図4を参照すると、尻整形バンド24は対称的である。臀部持ち上げ/尻整形バンドは、矢印方向に着用者のヒップを押し上げ、くぼみ部分を含み、矢印方向に尻を締め付ける。
【0038】
いくつかの態様において、整形生地複合区域は、大腿部細長化区域に置かれる。整形区域26及び28は、
図4及び
図5に示されるように、着用者の大腿部の内側、及び/または大腿部エリアの外側に、膝領域から股領域にかけて、及び膝領域からヒップ領域にかけて適用される。この整形区域26及び28は、大腿部を痩身し、かつ尻を持ち上げるように作用し得る。上に記載されるように、圧縮バンド26及び28は、矢印方向cに着用者の大腿部の外及び内部分を押して形作り、大腿部を薄く、平坦に、かつ細く見せる。
【0039】
いくつかの態様において、整形生地複合区域は、
図5に示されるように、腹部平坦区域に組み込まれる。複合生地30は、着用者の腹部部分を覆うように置かれる。使用中、少なくとも1つの整形領域は、ウエスト領域から股領域にかけて、着用者の下方腹部にわたって延在し得る。いくつかの実施形態において、生地複合物は、ヒップから股のエリアにかけてパンツの前部分にバンド32として適用される。したがって、整形区域は、着用者の下方腹部を平坦化するように作用し得る。それは、全体的に平坦な外観を提供し、かつ着用者の姿勢を強化しながら腹部圧縮を提供する一方で、過剰な膨らみを除去し、中核安定性を提供し、身体意識を促進する。体にぴったりした仕上がりにより、生地複合区域30は、着用の身体を持ち上げ、画定し、かつ着用者に美しい整形されたシルエットを与える。
いくつかの実施形態において、整形複合生地は、膝エリアの前に配置される。複合生地は、パンツの脚を真っ直ぐかつ緩めておく一方、このエリアにおける衣類耐久性を向上するために、より良好な耐摩耗性及び高い生地強度もまた提供する。
【0040】
いくつかの実施形態において、生地複合物は、
図6に示されるように、上半身用衣類上の腹部締め付け区域42(すなわち、腹部平坦化)内、ウエストエリア44周辺、及び腹部40の前に配置される。このエリアにおける生地複合物の高保持力により、着用のウエストはより細く見え得る。
【0041】
整形複合生地の形状は、上記方法を使用してヒップ及び大腿部を整形するために様々に修正され得る。本発明の例証的な実施形態は、添付図面を参照して本明細書内に記載されているが、本発明はそれらの正確な実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者により様々な他の変更及び修正がそこに為され得ることが理解される。全てのそのような変更及び修正は、添付の特許請求項の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0042】
本衣類は、1つ以上の整形領域、例えば、大腿部細長化、腹部平坦化、及び臀部持ち上げ(尻を上げること)区域を含み得、それ故に、大腿部を痩身し、尻を持ち上げ、下方腹部を平坦化する。サポート領域は、つなぎ合わされ得る、及び/もしくは一体化して形成され得るか、またはそれらは衣類の別個のエリアであり得る。弾性ポリマー組成物は、機能性及び美容効果を追加するための様々な形象形状を形成するために衣類上に用いられ得る。
図7は、三角形48、線50、点52など、形状及び形象のうちのいくつかを例証する。
【0043】
本複合生地は、使用中などに、ベース生地の内表面にあり得、該複合物は着用者の身体に隣接する。したがって、該複合物は、衣類が着用されているとき、隠れたままである。
【0044】
着用者に快適性と動きの自由を提供する、弾性生地をベース生地として使用することが重要である。スパンデックス、ポリエステル2成分繊維などのエラストマー繊維が生地内に組み込まれて、より大きな伸張性を提供し、かつ快適性と密着性を向上する。いくつかの実施形態において、ベース生地は、少なくとも15%の伸張性を有する。本生地は、良好な回復を有する。本生地は、織布、丸編地、経編地、ジーン布、及びカーキ地であり得る。ベース生地の重量は、3.0OZ/ヤード
2〜15Oz/ヤード
2であり得る。パンツ及びジーンズでは、3/1綾織構造が多くの場合使用されるが、他の綾織を含む、他の生地構造、織布が有用である。
【0045】
様々な異なる繊維及び糸が、いくつかの実施形態の生地及び衣類に使用され得る。これらは、綿、ウール、アクリル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、スパンデックス、再生セルロース、ゴム(天然または合成)、竹、絹、大豆、またはそれらの組み合わせを含む。
【0046】
様々な異なるポリウレタン組成物が、いくつかの実施形態の溶液及び分散液に有用である。例えば、いくつかの実施形態において、水性分散液、または実質的に無溶媒の水性分散液が組成物として使用され得る。多くのそのような溶液または分散液は、米国特許第7,240,371号に示されるもののように、当該技術分野において既知である。ポリウレタンウレア溶液の例は、いくつかの実施形態に従って、使用され得る市販のスパンデックス生産ラインからの紡糸液である。水性分散液の特定の例は、本明細書内以下に記載される。
【0047】
本明細書に記載される水性分散液からの分散液として適用されるときの、いくつかの実施形態のポリウレタンウレア組成物の所望の効果によって、ポリマーの重量平均分子量は、約100,000〜約150,000及び約120,000〜約140,000を含む約40,000〜約150,000まで様々であり得る。水性分散液内またはプレポリマー内に任意に含まれ得る他の添加剤としては、酸化防止剤、UV安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質(すなわち、Outlast Technologies、Boulder、Coloradoから市販されているOutlast(登録商標))、抗菌剤、鉱物(すなわち、銅)、マイクロカプセル封入健康添加剤(すなわち、アロエベラ、ビタミンEゲル、アロエベラ、コンブ、ニコチン、カフェイン、芳香、またはアロマ)、ナノ粒子(すなわち、シリカまたは炭素)、炭酸カルシウム、難燃剤、粘着防止添加剤、抗塩素分解添加剤、ビタミン、薬剤、香料、電気伝導性添加剤、及び/または着色補助剤(すなわち、E.I.DuPont de Nemours、Wilmington、Delawareから市販されているMethacrol(登録商標))が挙げられる。プレポリマーまたは水性分散液に添加され得る他の添加剤は、接着促進剤、帯電防止剤、へこみ防止剤、蛇行防止剤、蛍光増白剤、融合助剤、導電性添加剤、発光性添加剤、フロー及び均染剤、凍解安定剤、潤滑剤、有機及び無機充填剤、防腐剤、粘着防止剤、質感改善剤、熱変色性添加剤、防虫剤、ならびに湿潤剤を含む。
そのような任意の添加剤は、工程が許せば、プレポリマーが分散される前、最中、または後に、水性分散液に添加され得る。同様に、これらの添加剤は、ポリオレフィン及びポリウレタンを含む任意の他のエラストマーポリマー組成物と共に含まれ得る。
【0048】
予想外に、ポリマー固体含有量が生地複合区域内のベース生地重量の約5%〜約30%であるとき、ポリマー組成物は、不連続形態として生地上に配置し得ることが分かった。ポリマー粒子は、生地本体内側に均等に浸透するが、ベース生地の外側まで染み渡らない。本ポリマー組成物は、生地内の繊維及び糸の間の空間及び間隙内に、別個に広がり、位置する。生地の表及び裏側の両方は、繊維及び糸で覆われる。生地の裏からは、ポリマー組成物は実質的に見えず、かつ触れることができない。表面からは、ポリマー複合物を見ることはできない。ベース生地領域と生地複合物領域との間に、生地表面の見た目の顕著な違いはない。
【0049】
ポリマー組成物において、ポリマー固体含有量が5%より低いとき、生地複合物は、十分な整形性能を発揮することができない。ポリマー固体含有量がベース生地重量の30%より高いとき、生地複合物の見た目と手触りは、顕著な違い、つまり強力な弾性がありザラザラとした感触、及び光沢のある外見を有する。したがって、好適な固体含有量は、約10%〜約25%を含む、分散液の約5%〜約30%であり得る。
【0050】
生地内に好適な固体含有量を得る良い実践法は、ポリウレタン水性分散液を使用することである。薄膜とは異なり、水性ポリウレタン分散液の固体含有量は、使用中、容易に調整されることができる。つまり、柔らかい手触りから非常に硬い生地まで、様々な性能を有する幅広い生地を産出することができる。簡便で経済的な方法は、分割されたポリマー粒子が生地内側内に容易に浸透することができ、かつ生地の表面上に連続した薄膜の状態を形成しないように、固体粒子を低含有量で有する分散液を使用することである。高い固体ポリマー粒子含有量を得るために、より多くの分散液、またはより多くのコーティング回数が適用され得る。低固体粒子を有するより多くの分散液を適用することによって、より良好な浸透が達成され得る。
【0051】
いくつかの態様において有用なポリウレタン水性分散液は、約10重量%〜約40重量%、例えば約10重量%〜約35重量%の固体含有量を有することが予期されるべきである。いくつかの態様において有用なポリウレタン水性の粘度は、加工及び用途要件によって、約10センチポアズ〜約100,000センチポアズの幅広い範囲で様々であり得る。
【0052】
例えば、一実施形態において、粘度は、約500センチポアズ〜約30,000センチポアズの範囲内にある。粘度は、水性分散液総重量に基づいて、約0〜約2.0重量%など、適切な量の増粘剤を使用することにより、様々であり得る。
【0053】
有機溶媒もまた、いくつかの実施形態の調製分散液に使用され得る。有機溶媒は、溶解及び希釈を介してプレポリマー粘度を下げるため、ならびに/または2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA)などのカルボン酸基を有するジオール化合物の固体粒子の分散液が、分散液の品質を改善するのを助けるために使用され得る。それは、均一性を高める目的にも役立ち得る。
【0054】
これらの目的のために選択される溶媒は、実質的または完全にイソシアナート基に対し反応せず、水中で安定であり、かつDMPA、DMPA及びトリエチルアミンの形成された塩、ならびにプレポリマーに対する良好な可溶化能力を有する。好適な溶媒の例としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール n−ブチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−プロパノン(アセトン)、及び2−ブタノン(メチルエチルケトンまたはMEK)が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態の分散液に添加される溶媒の量は、様々であり得る。溶媒が含まれるとき、溶媒の好適な範囲は、分散液の50重量%未満の量を含む。分散液の20重量%未満、分散液の10重量%未満、分散液の5重量%未満、及び分散液の3重量%未満などのより少量でも使用され得る。
【0056】
有機溶媒を製造工程の異なる工程で分散液内に組み込む方法は多く存在し、例えば、
1)溶媒は、プレポリマーの転移及び分散前に、重合が完了された後、プレポリマーに添加及び混合され得、主鎖内にカルボン酸基、鎖末端にイソシアナート基を含有する希釈されたプレポリマーは、水中に分散される間に、中和され、鎖伸長される。
2)溶媒は、Terathane(登録商標)1800、DMPA、及びLupranate(登録商標)MIなどの他の材料に添加及び混合されて、溶液中にプレポリマーを作製し得、次いで、溶液中の、主鎖内にカルボン酸基、鎖末端にイソシアナート基を含有するこのプレポリマーは、水中に分散されると同時に、中和され、鎖伸長される。
3)溶媒は、DMPA及びトリエチルアミン(TEA)の中和された塩に添加され、Terathane(登録商標)1800及びLupranate(登録商標)MIと混合されて、分散の前にプレポリマーを作製し得る。
4)s溶媒は、TEAと混合され、次いで、分散の前に、形成されたプレポリマーに添加され得る。
5)溶媒は、グリコールに添加及び混合され得、続いて、DMPA、TEA、及び次いでLupranate(登録商標)MIが順々に添加され、分散の前に、溶液中での中和されたプレポリマーに至る。
【0057】
図8及び
図9は、衣類作製の前及び後に、分散液を衣類へ適用するために使用され得る加工ステップを示すフローチャートである。弾性ポリマー組成物は、衣類作製前に、規定のエリア内の生地上に適用され得る(
図8)。全幅生地または生地パネルが使用され得る。ポリマー組成物の添加後、生地は、衣類へ組み合わせる前に、高温で硬化され得るか、または衣類作製後に硬化され得る。次いで、衣類の全体が乾燥及び湿潤洗濯工程を経る。
【0058】
別の態様(
図9)は、衣類作製後、または衣類仕上げ加工中、または衣類仕上げ工程中に、ポリマー組成物を適用することである。硬化工程は、組成物適用後に必要とされ得る。衣類を清潔にするために、追加の洗浄または洗濯加工がポリマー適用後に使用され得る。いくつかの実施形態において、組成物を生地に固着するために、硬化手順の代わりにアイロンまたはスチームアイロンが使用される。
【0059】
いくつかの実施形態のポリマー組成物を適用するための方法及び手段は、ロールコーティング(リバースロールコーティングを含む)、金属工具またはナイフの刃の使用(例えば、分散液を基板上に注ぎ、次いで、ナイフの刃などの金属工具を使用してそれを基板中に広げることによって分散液を均一な厚さに成型すること)、噴霧(例えば、ポンプスプレーボトルを使用すること)、浸漬、塗装、印捺、つまりスタンピング、及び物品を含浸することを含むが、これらに限定されない。これらの方法は、さらなる粘着性物質の必要なく分散液を直接生地に適用するために使用され得、追加の/より厚い層が必要とされる場合は、繰り返され得る。
【0060】
エラストマーポリマー組成物の衣類への適用を達成するための1つの好適な方法は、分散液または溶液を対象のエリア内の生地に適用することである。本適用は、様々な異なる方法のうちのいずれによっても為され得る。エラストマーポリマーの分散液または溶液を適用するための方法は、噴霧、キッシング(kissing)、印捺、ブラッシング、浸漬、詰め、吐出、調量、塗装、及びそれらの組み合わせを含む。これに熱及び/または圧力の適用が続き得る。
【0061】
分散液中の水分は、複合整形生地を形成するために沈殿され合体されたポリウレタン層を生地上に残して、加工中に乾燥によって(例えば、空気乾燥、またはオーブンの使用により)除去され得る。
【0062】
少なくとも1つの凝固剤が、生地または他の物品内への分散液の浸透を制御するために任意に使用され得る。使用され得る凝固剤の例としては、硝酸カルシウム(硝酸カルシウム四水和物を含む)、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム(水和)、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛(水和)、及び硝酸亜鉛が挙げられる。
【0063】
任意の種類の生地が、いくつかの実施形態の整形衣類として使用され得る。これは、とりわけ織布、編地、及びレース地を含む。エラストマーポリマーは、整形衣類の1つの表面に隣接して置かれ得る。ポリウレタンウレア組成物は、衣類の構築中に衣類内に組み込まれ得る。衣類の染色及び仕上げは、エラストマーポリマー組成物により整形効果を有する衣類の組み立ての前または後に、実施され得る。
【0064】
生地仕上げ前に生地及びポリマー組成物を含むことにはいくつかの利益がある。一例は、生地仕上げ時に縮む傾向を含むデニム生地の場合である。衣類の着用中、伸長が発生する傾向がある。整形エリア内にエラストマーポリマー薄膜を含むことによって、追加された弾性の利点に加えて、生地の伸長に耐える。衣類染色及び仕上げ工程は、ポリマー薄膜組成物率を含む弾性特性を高める。
【0065】
高温度下での硬化工程は、ポリマー組成物の生地との粘着結合を高め得る。硬化もまた、弾性、回復力、形状保持、及び耐久性などの組成物材料の特性を改善し得る。粘着結合は、0.1秒〜数分、例えば、約1分未満の期間に、約130℃〜約200℃、例えば、約140℃〜約180℃などの約100℃〜約200℃の温度範囲で進展し得る。
【0066】
圧力を用いた結合もまた、エラストマーポリマー組成物を生地に付着させることができる方法である。エラストマーポリマー組成物は、分散液、融成物、または溶液として直接適用され得、その後に冷却または乾燥が続く。結合のために、圧力、熱、またはその組み合わせが衣類に適用され得る。例えば、熱は、整形品を達成するのに十分な時間、約185℃を含む、約150℃〜約200℃、または約180℃〜約190℃で適用され得る。熱適用に好適な時間は、約45秒〜約120秒を含む約30秒〜約360秒を含むが、これらに限定されない。結合は、マイクロ波、赤外線、伝導、超音波、ゆっくり時間をかけた圧力適用(すなわち、クランピング)、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の既知の方法によって達成され得る。
【0067】
エラストマーポリマーまたは分散液を含む生地または衣類への熱及び圧力の適用により、及び生地自体が多孔質材であれば、分散液は、部分的または完全に、生地に含浸し得ると認識されている。例えば、エラストマーポリマー組成物は、生地に完全に移動して、識別可能に別個のエラストマー生地複合物なしに統合された物品を形成し得る。
【0068】
コーティング、分散液、または複合整形生地は、色素沈着または着色され得、その点においてデザイン要素としても使用され得る。
【0069】
加えて、整形エリアを含む衣類が成型され得る。例えば、生地は、生地内の硬糸に適切な条件下で成型され得る。また、成型は、整形された物品または分散液を成型するが、硬糸を成型するのに好適な温度より低い温度で、可能であり得る。
【0070】
弾性ポリマー組成物の存在により、生地複合物エリアは、整形機能に加えて、耐久性、耐摩耗性、及び透け防止能力を高める能力を提供することができる。
【0071】
本発明の範囲内に入る分散液及び整形された物品を使用して産出され得る、整形エリアを含む衣服及び衣類の例は、ジーンズ、パンツ、カーキ地の軍服、レギンス、ブラウスなどを含むが、これらに限定されない。
【0072】
分析方法
以下に続く実施例において、以下の分析法を使用した。
【0073】
生地の伸び(伸張)
複合糸(すなわち、緯糸、経糸、または緯糸及び経糸)の方向である生地の伸張方向(複数可)における、指定した負荷(すなわち、力)下の%伸びに関して生地を評価した。寸法20cm×6.5cmの3つのサンプルを生地から裁断する。長い寸法(25cm)は伸張方向に相当する。サンプルの幅を5.0cmに減少させるために、サンプルを部分的に解く。次に、20℃(+/−2℃)及び65%相対湿度(+/−2%)でサンプルを少なくとも16時間条件付けした。
【0074】
サンプルの端部から6.5cmに、各サンプルの幅にわたって最初の基準点を作製した。最初の基準点から20.0cmに、第2の基準点をサンプル幅にわたって作製した。第2の基準点からサンプルのもう一方の端部までの余分な生地は、金属ピンが挿入できるループを形成し、縫い付ける。次に、重りが金属ピンに取り付けられ得るように、ループにノッチが切り込まれた。
【0075】
サンプルのループではない端部を固定し、生地サンプルを垂直につり下げた。生地サンプルが重りによって伸張されるように、吊り下げた生地ループを通して17.8ニュートン(N)の重り(4LB)を金属ピンに取り付けた。重りによって3秒間伸張させ、次に、重りを持ち上げることにより力を手動で取り除くことにより、サンプルを「訓練」した。このサイクルを3回行った。次に、重りを自由に吊り下げ、生地サンプルを伸張する。生地が負荷下にある間、2つの基準点間の距離をミリメートルで測定し、この距離をMLとする。基準点間の元の距離(すなわち、未伸張距離)をGLとした。各個々のサンプルの%生地の伸びは以下のように計算した。
%伸び(E%)=((ML−GL)/GL)×100
【0076】
3つの伸びの結果は、最終結果のために平均化された。
【0077】
生地の拡張(未回復伸張)
伸張後、拡張しない生地は、伸張前のその元の長さに完全に回復するであろう。しかしながら、典型的には、伸張生地は完全に回復せず、長期間伸張した後はわずかに長い。この長さのわずかの増加は、「拡張」と称される。
【0078】
上記の生地伸び試験は、拡張試験の前に完了しなければならない。生地の伸張方向のみが試験された。2方向伸張生地については、両方向が試験された。それぞれ25.0cm×6.0cmの3つのサンプルを生地から裁断する。これらは、伸び試験で使用したものとは異なるサンプルであった。25.0cm方向は、伸張方向に相当するべきである。サンプルの幅を5.0cmに減少させるために、サンプルを部分的に解く。上記の伸び試験にある温度及び湿度でサンプルを条件付けした。厳密に20cm離れた2つの基準点をサンプルの幅にわたって描いた。
【0079】
伸び試験からの既知の伸び%(E%)は、この既知の伸びの80%でのサンプルの長さを計算するために使用された。これは、
80%でのE(長さ)=(E%/100)×0.80×L
で計算され、式中、Lは、基準点間(すなわち、20.0cm)の元の長さであった。サンプルの両端を固定し、基準点間の長さが上記で計算されたL+E(長さ)と等しくなるまで、サンプルを伸張した。この伸張は30分間保持され、この後、伸張力が解放され、サンプルを自由に吊り下げ、リラックスさせた。60分後、%拡張は、
%拡張=(L2×100)/L
で測定され、式中、L2は、リラックス処理後のサンプル基準点間の長さの増加であり、Lは、基準点間の元の長さであった。この%拡張は、各サンプルについて測定され、結果は、拡張数を決定するために平均化された。
【0080】
洗浄試験
参照により本明細書内に開示全体が組み込まれる、AATCC試験法150−2001を、衣類の洗浄のために使用した。機械サイクルは、(i)標準/綿頑丈であった。洗浄温度は、(111)41℃であった。乾燥手順は、(A)(i)タンブル綿頑丈66℃で30分間、10分の冷却時間を伴った。
【0081】
負荷及び除荷力
伸び及び引張強さ特性を、動的引張試験機Instronを使用して生地上で測定した。サンプルサイズは、長さに沿って測定して1×3インチ(1.5cm×7.6cm)であった。サンプルを締め具内に置き、1分につき200%の伸びのひずみ速度で、最大伸びに達するまで伸長した。シャツ地及びデニム地のサンプルを、0〜20%の伸びで3サイクル伸長する。編地生地を、0〜50%の伸びで5サイクル伸長する。12%または30%伸長での負荷力及び除荷力を、3回目のサイクル後に測定した。
【実施例】
【0082】
Terathane(登録商標)1800は、1,800の数平均分子量を有する、線状ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)である(INVISTA S.a.r.L.、Wichita、KSから市販されている)。
Pluracol(登録商標)HP 4000Dは、400の数平均分子量を有する、線状、第一ヒドロキシル基末端ポリプロピレンエーテルグリコールである(BASF、Brussels、Belgiumから市販されている)。
Mondur(登録商標)MLは、2,4’−MDI異性体を50〜60%及び4,4’−MDI異性体を50〜40%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物である(Bayer、Baytown、TXから市販されている)。
Lupranate(登録商標)MIは、2,4’−MDI異性体を45〜55%及び4,4’−MDI異性体を55〜45%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物である(BASF、Wyandotte、Michiganから市販されている)。
Isonate(登録商標)125MDRは、4,4’−MDI異性体を98%及び2,4’−MDI異性体を2%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の純粋混合物であり(Dow Company、Midland、Michiganから市販されている)、DMPAは、2,2−ジメチロプロピオン酸である。
【0083】
以下のプレポリマーサンプルを、高レベルの2,4’−MDIを含有する、Lupranate(登録商標)MI及びMondur(登録商標)MLなどのMDI異性体混合物で調製した。
【0084】
実施例1:プレポリマー調製
プレポリマーの調製を、窒素雰囲気を有するグローブボックス内で実施した。空気圧駆動撹拌棒、加熱マントル、及び熱電対温度測定を備えた2000mlのPyrex(登録商標)ガラス製反応釜に、約382.5グラムのTerathane(登録商標)1800グリコール、及び約12.5グラムのDMPAを装填した。この混合物を撹拌しながら約50℃まで加熱した後、約105グラムのLupranate(登録商標)MIジイソシアネートを添加した。次いで、この反応混合物を連続撹拌しながら約90℃まで加熱し、約120分間約90℃に保持し、その後、混合物の%NCOが安定値まで下がると、反応は完了し、イソシアネート末端基を有するプレポリマーの計算値(目標1.914%NCO)に合致した。プレポリマーの粘度を、約40℃で動作されるModel DV−8 Falling Ball Viscometer(Duratech Corp.、Waynesboro、VAにより販売される)を使用したASTM D1343−69の一般的な方法に従って決定した。キャップされたグリコールプレポリマーの全イソシアネート部分容量を、NCO基の重量パーセントを単位として、参照により開示全体が本明細書内に組み込まれる、S.Siggia、“Quantitative Organic Analysis via Functional Group”、3rd Edition、Wiley&Sons、New York、pp.559−561(1963)の方法により測定した。
【0085】
実施例2:分散液作製
実施例1に記載される手順及び組成物に従って調製される無溶媒プレポリマーを使用して、ポリウレタンウレア水性分散液を作製した。
【0086】
2,000mlのステンレス鋼製ビーカーに、約700グラムの脱イオン化水、約15グラムのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、及び約10グラムのトリエチルアミン(TEA)を装填した。次いで、この混合物を、氷/水で約5℃まで冷却し、回転子/固定子混合ヘッド(Ross、Model 100LC)を有する高せん断実験室用ミキサを用いて約5,000rpmで約30秒間混合した。実施例1の様式で調製され、金属製チューブ状シリンダ内に含有された粘性プレポリマーを、空気圧を加えた柔軟性のある管を通して、水性溶液内の混合ヘッドの底に添加した。プレポリマーの温度は、約50℃〜約70℃の間に維持した。押出されたプレポリマーの流れを分散させ、約5,000rpmの連続混合の下、水で鎖延長させた。約50分間の期間に、総量約540グラムのプレポリマーを、水中に導入及び分散させた。プレポリマーを添加及び分散した直後、分散された混合物に、約2グラムの添加物65(Dow Corning(登録商標)、Midland Michiganから市販されている)、及び約6グラムのジエチルアミン(DEA)を装填した。次いで、この反応混合物を、さらに約30分間混合した。結果として生じる無溶媒水性分散液は、乳白色で安定であった。分散液の粘度を、Hauthane HA増粘剤900(Hauthway、Lynn、Massachusettsから市販されている)の添加及び混合により、水性分散液の約2.0重量%に調整した。次いで、この粘性分散液を、40ミクロンBendix金属メッシュフィルタで濾過し、薄膜成型またはラミネーション使用のために室温で保管した。分散液は、43%の個体レベル、及び約25,000センチポアズの粘度を有する。この分散液からの成型薄膜は、柔らかく、粘着性があり、エラストマーであった。
【0087】
実施例3:整形機能を有するシャツ衣類
異なる固体粒子含有量を有する2種類の分散液を、2枚のシャツ衣類上にそれぞれ適用する。実施例2で作製された水性ポリウレタン分散液を、異なる量の水で希釈し、様々な固体PU含有量を有する分散液を得る。希釈された分散液を、生地複合区域である伸張シャツ衣類のエリア(25cm×25cm)上に配置する。3.19OZ/ヤード
2重量を有するシャツベース生地は、綿を97%、LYCRA(登録商標)スパンデックス繊維を3%含有する。水性分散液の拾い上げ量は、生地重量の85%である。塗装用ローラーを使用して、分散液を衣類上に適用する。空気乾燥後、衣類を加圧形成機内で、150℃で1分間硬化する。次いで、ベース生地領域内及び生地複合物区域内の生地性能及び重量を試験する。その結果を表1内に示す。
【表1】
【0088】
生地複合物エリアでは、生地伸張及び伸長が減少したことが分かる。減少した量は、ポリウレタンの含有量に関係する。PUの含有量が高いほど、生地伸張レベルは低くなり、伸長は低くなる。つまり、PU分散液は、生地寸法を維持し、かつ形状変化を防ぐのに役立つ。ベース生地と比較すると、生地複合物を12%の伸びまで伸張するにはより大きな負荷力が必要とされる。また、生地複合物は、ベース生地よりも高い回復力(除荷力)を有する。
【0089】
故に、生地複合区域内の衣類は、生地変形を制限し、人体上により高い圧縮力を与え、整形効果を形成することができる。
【0090】
実施例4:整形機能を有するデニム衣類
異なる固体粒子含有量を有する2種類の分散液を、2枚のデニム衣類上にそれぞれ適用する。実施例2で作製された水性ポリウレタン分散液を、異なる量の水で希釈し、様々な固体含有量を有する分散液を得る。希釈された分散液を、伸張デニムジーンズの尻エリア(20cm×20cm)上に配置する。10.18OZ/ヤード
2重量を有するデニムベース生地は、綿を98%、LYCRA(登録商標)スパンデックス繊維を2%含有する。水性分散液の拾い上げ量は、生地重量の85%である。印刷スタンプを使用して、分散液を衣類上に適用する。空気乾燥後、衣類を加圧形成機内で、150℃で1分間硬化する。次いで、ベース生地エリア内及び生地複合物エリア内の生地性能及び重量を試験する。その結果を表2内に示す。
【表2】
【0091】
生地複合物エリアでは、デニム生地伸張及び伸長が減少したことが分かる。実施例3のシャツのように、減少した量は、ポリウレタンの含有量に関係する。PUの含有量が高いほど、生地伸張レベルは低くなり、伸長は低くなる。つまり、PU分散液は、生地寸法及び形状を維持するのに役立つ。ベースデニム生地と比較すると、生地複合物を12%の伸びまで伸張するには2倍の負荷力が必要とされる。また、生地複合物は、ベース生地の4倍の回復力(除荷力)を有する。
【0092】
故に、生地複合区域内のジーン布は、デニム変形を制限し、人体上により高い圧縮を与え、パンツ、ジーンズ、及びレギンスに対して整形効果を形成する。
【0093】
実施例5:整形機能を有する編地衣類
実施例3及び4のように、異なる固体粒子含有量を有する3種類の分散液を、経編地生地を用いたトップシャツ上にそれぞれ適用する。実施例2で作製された水性ポリウレタン分散液を、異なる量の水で希釈し、様々な固体含有量を有する分散液を得る。希釈された分散液を、経編地衣類の中央エリア(30cm×30cm)上に配置する。6.11OZ/ヤード
2重量を有するベース編地生地は、ナイロンを82%、LYCRA(登録商標)スパンデックス繊維を18%含有する。水性分散液の拾い上げ量は、生地重量の72%である。塗装用ローラーを使用して、分散液を衣類上に適用する。空気乾燥後、衣類を加圧形成機内で、150℃で1分間硬化する。次いで、ベース領域及び整形区域から、生地性能及び重量を試験する。その結果を表3内に示す。
【表3】
【0094】
ベース生地C0と比較して、生地複合物C1、C2、及びC3は、より高い負荷力及びより高い除荷力を有する。増加した量は、ポリウレタンの含有量に関係する。PUの含有量が高いほど、生地の負荷及び除荷力は高くなる。ベース編地生地C0と比較すると、PU固体含有量が16.2%のとき、生地複合物C3を30%の伸びに伸張するには3倍を超える負荷力が必要とされる。また、生地複合物C3は、このPU含有量レベルで、ベース生地の3倍を超える回復力(除荷力)を有する。
【0095】
実施例6:衣類製造中の洗浄耐久性
異なる固体PU含有量を有するデニム複合生地(D1、D2、D3、及びD4)を、様々なPU濃度を有する水性分散液を適用することによって作製する。水性ポリウレタン分散液を実施例2に記載されるように作製する。生地複合物を有する衣類を、分散液適用後、オーブン内で150℃の熱風で1分間硬化する。硬化された衣類を、ジーン布衣類湿潤商用工程で使用される様々な化学物質を用いた酵素洗濯洗浄で処理する。
【0096】
表4は、酵素洗濯の前及び後の固形ポリウレタン含有量の変化を示す。それは、PU固体の大部分が、衣類作製中の強力な洗濯工程後も依然として生地上に粘着することを明白に示す。衣類製造中のPUの損失は、より多くのPU固体を分散液内に追加することにより補われ得る。
【表4】
【0097】
実施例7:家庭洗濯における衣類洗浄耐久性
表5は、家庭洗濯中の生地複合物の洗浄耐久性を示す。実施例2に記載されるように作製された水性ポリウレタン分散液を、3本のジーンズE1、E2、及びE3(12.5OZ/ヤード
2重量で、綿を98%及び弾性繊維を2%有する)の尻エリア内に配置する。20%のPU固体含有量を有する分散液を適用後、組成物を衣類上に固着させるために、3本のジーンズを異なる方法、綿設定でアイロンがけをすることによって、オーブン内で、350
0Fで1分間硬化することによって、350
0Fで1分間加圧形成することによって、加工する。
【0098】
次いで、ジーンズは繰り返しの家庭洗濯を経る。特定回数の洗浄後、固形PU含有量を試験し、記録する。表5より、固形PUが、各固着工程において非常に良好な洗浄耐久性を有することが明白に分かる。30回の洗浄後、PUは依然として生地上に存在する。
【表5】
【0099】
実施例8:整形機能を有するジーンズ
内実施例2に記載されるように作製された水性ポリウレタン分散液を、Fig?に例証されるようなU字型を有する尻エリア周辺の伸張ジーン布F1及びF2内に配置する。このジーンズは、綿68%、Coolmax(登録商標)ポリエステル繊維30%、及びLycra(登録商標)弾性繊維2%の含有量で、10.2OZ/ヤード
2重量を有する。20%及び30%の固体PU含有量を有する分散液を、ジーン布F1及びジーン布F2にそれぞれ適用する。オーブンで、350
0F度で1分間硬化後、商用ジーン布ストーンウォッシュをシミュレートするために、衣類を業務用洗濯機内で酵素及び他の洗浄剤を用いて処理する。このジーンズを、家庭洗濯条件で、さらに30回繰り返し洗浄する。
【0100】
30回の洗浄後、ジーン布F1及びF2の両方において、PUポリマーは、依然として生地内の繊維及び糸に粘着する。生地複合区域内に顕著な色の変化はない。ベース生地領域と比較すると、生地複合区域は、高弾性率、より高い保持力及び回復力を有する。これは、衣類の整形機能が業務用処理及び家庭の繰り返し洗濯に耐えることができることを示す。