(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の環境試験装置1は、試験室5内に所望の環境を作ることができる装置である。環境試験装置1の基本構成は、従来技術と大差無いので簡単に説明する。
環境試験装置1の本体部は、
図2に示すように断熱壁3によって覆われた断熱槽2を有している。そして当該断熱槽2の一部に試験室5が形成されている。試験室5は、被試験物56を設置する空間である。
環境試験装置1は、さらに空調機器10と送風機11を備えている。空調機器10は、加湿装置6、冷却装置7及び加熱ヒータ8によって構成されている。
環境試験装置1には、試験室5と環状に連通する空調通風路15があり、当該空調通風路15に前記した空調機器10と送風機11が内蔵されている。
【0024】
空調通風路15は、断熱槽2の一部に形成され、空気吹き出し部16と空気導入部18の2箇所で試験室5と連通している。
そのため送風機11を起動すると、試験室5内の空気が空気導入部18から空調通風路15内に導入される。そして空調通風路15が通風状態となり、空調機器10に空気が接触して熱交換や湿度調整がなされ、空気吹き出し部16から試験室5内に調整後の空気が吹き出される。
また空調通風路15の空気吹き出し部16の近傍に、温度センサー12と湿度センサー13が設けられている。
環境試験装置1を使用する際には、送風機11を運転して空調通風路15内を通風状態とし、温度センサー12及び湿度センサー13の検出値が、設定環境の温度及び湿度に近づく様に空調機器10を制御する。
【0025】
環境試験装置1の試験室5には開閉扉20が設けられている。
開閉扉20は、
図3の様に断熱壁3であり、薄い鋼板で形成された外郭体22にグラスウール等の断熱材98が詰められたものである。
そして開閉扉20には、窓部21が設けられている。
窓部21は、
図3に示す様に、窓30が、環境試験装置1の本体部(本実施形態では開閉扉20)にはめ込まれたものである。本実施形態では、窓30と断熱壁3の外郭体22との間には、コーキング剤等の封止剤43が塗布されている。なお窓30と断熱壁3の外郭体22との間の前記封止剤43は、必須ではなく、無くてもよい。
【0026】
窓30は、
図3乃至
図5に示す様に、透明な板状のガラス31,32,33(透明板)と、枠状部材35によって構成されている。枠状部材35は、
図4、
図5の様に、4片の枠片36a,b,c,dが組み合わされたものである。
ガラス31,32,33は、4片の枠片36a,b,c,dで構成される枠状部材35に間隔を開けて装着された構造を有している。すなわち、窓30は、複数のガラスが間隔をあけて積層された多重構造を有している。
【0027】
枠状部材35を構成する枠片36a,b,c,dは、いずれも
図3、
図5の様に一面に3条の溝37を有している。各溝37は、一定の間隔を開けて平行に形成されている。
枠状部材35は、4片の枠片36a,b,c,dが、溝37を内側にして長方形に組み合わされたものである。そのため枠状部材35の内周面には、3条の溝37が設けられている。各溝37は、それぞれ環状に繋がっている。
【0028】
本実施形態では、各溝37にガラス31,32,33の4辺が嵌入され、ガラス31,32,33が枠状部材35の内側に間隔をあけて積層されている。そのため、各ガラス31,32,33は離間しており、窓30内には、ガラス31,32,33と枠状部材35の溝37間によって空間38,40(
図3)が形成されている。
なお中央のガラス32を保持する溝37にはコーキング剤等の封止剤44が充填されている。これに対して、両側の31,33を保持する各溝37にはコーキング剤その他の封止剤はなく、ガラス31,33の4辺が直接溝37に挿入されている。そのためガラス31,33と枠状部材35の間には
図3の様に僅かに隙間41があり、空間38,40と外部との間にはある程度の通気性がある。
【0029】
ガラス31,32,33と空間38,40の関係をまとめると次の通りである。
ガラス31,32,33は、透明の板であっていずれも長方形の平面形状であり、二つの主面A,Bがある。即ちガラス31は、主面31A,31Bを有し、ガラス32は、主面32A,32Bを有し、ガラス33は、主面33A,33Bを有している。
前記した様に、ガラス31,32,33は一定の間隔をあけて枠状部材35に装着され、ガラス31とガラス32の間に空間38がある。またガラス32とガラス33の間に空間40がある。
ガラス31に注目すると、一方の主面31Aは、外部に面し、他方の主面31Bは、ガラス31とガラス32に挟まれた空間38に面している。
ガラス32に注目すると、主面32A,32Bは、いずれもガラス31,32,33に挟まれた空間38,40に面している。
ガラス33に注目すると、一方の主面33Aは、ガラス32とガラス33に挟まれた空間40に面し、他方の主面33Bは、試験室5に面している。
【0030】
枠状部材35の上辺を構成する枠片36aには貫通孔42,45が設けられている。また枠状部材35の下辺を構成する枠片36cにも貫通孔46が設けられている。
上辺を構成する枠片36aに設けられた貫通孔42,45は、ガラス31,32,33によって挟まれた空間38,40に開口している。具体的には、貫通孔42は、ガラス31とガラス32の間で形成される空間38に開口し、貫通孔45は、ガラス32とガラス33の間で形成される空間40に開口する。
同様に、下辺を構成する枠片36cに設けられた貫通孔46は、ガラス31,32によって挟まれた空間38に開口している。
【0031】
枠状部材35の上辺部の二つの貫通孔42,45は、管部材47を介して接続されている。すなわち、管部材47の一方の端部が貫通孔42に接続されており、他方の端部が貫通孔45に接続されている。そのため、空間38と空間40はガラス32で仕切られているが、管部材47を介して通気可能に連通している。
【0032】
枠状部材35の下辺部の貫通孔46には、可撓性を有する供給配管48が接続されており、空間38は供給配管48を介して乾燥空気生成装置50と接続されている。
乾燥空気生成装置50は、
図2の様に乾燥剤収容容器51と、フィルター52と、減圧弁53が直列に接続されたものであり、図示しない空気源に接続されている。
乾燥剤収容容器51には、シリカゲル等の乾燥剤55が充填されている。
乾燥空気生成装置50には、コンプレッサ等の空気源から加圧空気が供給される。加圧空気は、乾燥剤収容容器51を通過して、除湿され、さらにフィルター52を通過して異物が除去される。
そして減圧弁53で減圧されてガラス31,32によって挟まれた空間38に供給される。
【0033】
本実施形態では、乾燥空気生成装置50が乾燥剤収容容器51を含むので、空気中の水蒸気がほとんど吸着される。
乾燥空気(乾燥気体)は、水蒸気含有量が少ないものであることが望ましいが、水蒸気含有量がゼロである必要はない。
乾燥空気は大気圧露点が試験室内の温度よりも摂氏5度以上低いものであれば足りる。従ってコンプレッサに空気冷却装置が設けられている等により、空気源から供給される空気の露点がそもそも低い場合には、乾燥空気生成装置50は必要ではない。また乾燥気体として窒素等を使用する場合にも、乾燥空気生成装置50は必要ではない。
【0034】
次に、上記した環境試験装置の機能について説明する。
本実施形態の環境試験装置1を使用して環境試験を行う場合には、空調機器10及び送風機11を起動し、試験室5内の環境を所望の試験環境に調整する。
また本実施形態の環境試験装置1では、さらに供給配管48を介して開閉扉20の窓30の空間38に乾燥空気を供給する。ガラス31,32,33によって挟まれた二つの空間38,40は、管部材47を介して連通しているから、二つの空間38,40は、乾燥空気で満たされる。
そして試験室5内に被試験物56を設置し、耐久性等の試験を行うことができる。
ここで本実施形態の環境試験装置1では、開閉扉20に窓30が装着されているから、試験中に被試験物56を目視観察したり、ビデオ撮影を行うことができる。
【0035】
試験室5内に環境が例えば摂氏マイナス40度といった低温環境である場合、開閉扉20の窓30内の空間38,40も低温となる。ここで本実施形態の環境試験装置1では、開閉扉20の窓30内の空間38,40に乾燥空気が導入されており、空間38,40が乾燥気体で満たされるので、各ガラス31,32,33の空間38,40に面した側に結露や結氷が発生しない。
具体的に説明すると、ガラス31の主面31Bと、ガラス32の主面32Aは、ガラス31,32間の空間38に面しており、乾燥空気と接している。空間38内の雰囲気の露点が低いので、主面31B,32Aの温度が低下しても結露や結氷は生じない。
同様にガラス32の主面32Bと、ガラス33の主面33Aは、空間40に面しており、乾燥空気と接している。空間40内の雰囲気の露点が低いので、主面32B,33Aの温度が低下しても結露や結氷は生じない。
そのため、窓30の内面側は曇らない。
【0036】
また本実施形態の環境試験装置1では、窓30の外側も曇らない。即ち本実施形態の環境試験装置1では、ガラス31,33の空間38,40に面しない側についても結露や結氷が発生しにくい。また仮に結露や結氷が発生しても、短時間の内に消失する。
【0037】
以下、この原理について説明する。
本実施形態の環境試験装置1では、供給配管48を介して開閉扉20の窓30内の空間38,40に乾燥空気が供給されるが、空間38,40から外部に空気を排出する排出口はなく、空間38,40内が、乾燥空気によって正圧雰囲気となる。
その一方で、本実施形態では、各溝37にガラス31,32,33の4辺が嵌入され、ガラス31,32,33の各辺が枠状部材35の溝37に挿入されて保持されているが、3枚のガラス31,32,33の内、中間のガラス32を除いて外側2枚のガラス31,33を保持する各溝37にはコーキング剤その他の封止剤はなく、ガラス31,33と枠状部材35の間には
図3の様に僅かに隙間41があり、ある程度の通気性がある。
そのため、
図6の様に、窓30の外側に面するガラス31,33の主面31A,33Bの各辺から空間38,40内の乾燥空気が僅かずつ漏れる。特に本実施形態では、枠状部材35の溝37の側面88とガラス31,33の表面の隙間から乾燥空気が排出され、乾燥空気の排出方向はガラス31,33の表面に沿っている。
漏れ出た乾燥空気は、ガラス31,33の主面31A,33Bに沿って流れ、ガラス31,33の主面31A,33Bを包む。
そのため主面31A,33Bは乾燥空気と接している。漏れ出た乾燥空気によって主面31A,33B近傍の雰囲気の露点が低く、低温状態の主面31A,33Bが外気に触れても結露や結氷が生じない。
【0038】
また試験室5を低温環境に調整して環境試験を実施し、被試験物56を入れ換える等のために開閉扉20を開くと、窓30の外側に面するガラス31,33の主面31A,33Bに結露や結氷が生じて曇るが、結露や結氷は、空間38,40から漏れ出る乾燥空気と触れることによって蒸発又は昇華し、短時間で消失する。
そのため本実施形態の環境試験装置1は、窓30の結露や結氷による視界不良が少なく、試験室5の内部を常時観察または撮影することができる。
【0039】
ガラス31,33の主面31A,33B側に故意に漏らす乾燥空気の量は任意であるが、0.05リットル/分から0.5リットル/分程度の少量で十分である。
また空間38,40内の圧力は、わずかに正圧であれば足り、例えば0.001MPa(ゲージ圧)から0.03MPa(ゲージ圧)であればよい。
【0040】
環境試験を実施している間、窓30内の空間38,40は、常時正圧状態としておくことが望ましいが、試験室5内の温度が常温又は高温である場合には、窓30に結露等が生じる懸念が低いので、乾燥空気の供給を停止してもよい。
例えば試験室5内の温度や設定温度に応じて乾燥空気の供給をオンオフしてもよい。
【0041】
以上説明した実施形態では、枠状部材35の4辺の溝37と、ガラス31,33の4辺の間に、封止剤を全く設けず、ガラス31,33の4辺と枠状部材35の間に、隙間41を形成させて乾燥空気を排出させた。
この構成は、推奨されるものであるが、必ずしもガラス31,33の4辺全てと枠状部材35の間に、隙間41を形成させる必要はない。
例えば
図7(a)の様に、ガラス31,33の縦辺にコーキング剤等の封止剤57を塗布し、上下辺のみから乾燥空気を漏出させてもよい。
あるいは
図7(b)の様に、ガラス31,33の上下辺にコーキング剤等の封止剤57を塗布し、縦辺のみから乾燥空気を漏出させてもよい。
図7(c)は、ガラス31,33の縦辺と下辺に封止剤57を塗布し、上辺のみから乾燥空気を漏出させた例である。
また
図7(d)の様に、封止剤57を間隔をあけてガラス31,33に塗布し、部分的に隙間41を形成させて乾燥空気を漏出させてもよい。
図7(d)では、全ての辺に部分的に隙間41を形成させているが、一部の辺だけに隙間41を設け、他の辺については封止剤57を塗布して封鎖してもよい。
【0042】
あるいは
図8に示す様に、枠状部材35に切り欠き58や開口を設けて乾燥空気を漏出させてもよい。
【0043】
また
図9,
図10の様に、ガラス31,33の辺部に弁部材67,68を設け、外気が枠状部材35の空間38,40に入り込まない様にすることも推奨される。
図9に示す窓60は、枠状部材35の辺部に、リード状の弁体66を接着したものである。
図9に示す窓60では、外部側の圧力が空間38,40内の圧力よりも高くなると、
図9(a)の様に弁体66の自由端側がガラス31,33の表面に密着し、枠状部材35とガラス31,33のとの隙間を封鎖して空間38,40内に外気が進入することを防ぐ。
一方、枠状部材35内の空間38,40が正圧であれば、
図9(b)の様にリード状の弁体66は、ガラス31,33の表面を離れ、空間38,40内の乾燥空気が外部に漏れ出る。
【0044】
図10に示す窓61は、枠状部材35の辺部とガラス31,33の双方にリード状の弁体63,65を設けたものである。
図10に示す窓61では、外部側の圧力が空間38,40内の圧力よりも高くなると、
図10(a)の様に弁体63,65の自由端側同士が密着し、枠状部材35とガラス31,33との隙間を封鎖して空間38,40内に外気が進入することを防ぐ。
一方、枠状部材35内の空間38,40が正圧であれば、
図10(b)の様にリード状の弁体63,65が離れ、空間38,40内の乾燥空気が外部に漏れ出る。
【0045】
以上説明した実施形態では、ガラス31,32,33で仕切られた複数の空間38,40を管部材47で導通させたが、
図11の様に、各空間38,40にそれぞれ供給配管48を接続し、各空間38,40に個別に乾燥空気を供給してもよい。
【0046】
以上説明した実施形態では、いずれも枠状部材35とガラス31,33の隙間から乾燥空気を漏出させた。この実施形態によると、乾燥空気がガラス31,33の辺部からガラス31,33の表面に直接的に供給されるので好ましい。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、枠状部材35の周囲から乾燥空気を漏出させてもよい。
以下、この構成について
図12乃至
図17を参照しつつ説明する。なお先の実施形態と共通する部分が多いので、先の実施形態と同一の構成については、同一の番号を付すことによって重複した説明を省略する。
【0047】
前記した様に、窓部21は、環境試験装置1の開閉扉20に設けられている。
窓部21の構造は、
図3で説明した実施形態と同様であるが、
図12に示す実施形態で採用する窓30は、3枚のガラス31,32,33を保持する全ての溝37にコーキング剤等の封止剤が充填されている。
前記した様に開閉扉20は、断熱壁3であり、薄い鋼板で形成された外郭体22にグラスウール等の断熱材98が詰められたものである。、
図12に示す窓部21についても開閉扉20に設けられているが、断熱壁3の外郭体22と窓30の間には、微小な隙間97がある。より正確には断熱壁3の外郭体22と枠状部材35間に、微小な隙間97がある。
本実施形態では、
図12の様に窓30と断熱壁3の外郭体22の間には、コーキング剤等の封止剤は存在しない。そのため窓30の周囲においては、断熱壁3の内部と外部に僅かに通気性がある。
【0048】
また本実施形態では、
図12の様に、枠状部材35の下辺を構成する枠片36cに、貫通孔46と、貫通孔(排気口)100が設けられている。貫通孔100は、空間40に連通する位置にあり、外部は断熱壁3の内部に開いている。貫通孔100にチューブが取り付けられていてチューブの開口が断熱壁3の内部に開いていてもよい。
【0049】
本実施形態の環境試験装置についても、供給配管48を介して開閉扉20の窓30内の空間38,40に乾燥空気が供給される。乾燥空気は、
図12の矢印の様に、供給配管48から一方の空間38内に入り、さらに管部材47を経由して他方の空間40に流れる。その結果、二つの空間が乾燥空気で満たされ、窓30内の空間38,40が正圧状態となる。
そして乾燥空気は、さらに貫通孔100から断熱壁3の内部に流れ込む。
その結果、断熱壁3の内部が正圧状態となり、断熱壁3の外郭体22と窓30の間の微小な隙間97から乾燥空気が僅かずつ漏れる。
特に本実施形態では、外郭体22と枠状部材35の間の微小な隙間97から乾燥空気が排出され、乾燥空気の排出方向はガラス31,33の表面に沿っている。
漏れ出た乾燥空気は、ガラス31,33の主面31A,33Bに沿って流れ、ガラス31,33の主面31A,33Bを包む。
そのため主面31A,33Bは乾燥空気と接している。漏れ出た乾燥空気によって主面31A,33B近傍の雰囲気の露点が低く、低温状態の主面31A,33Bが外気に触れても結露や結氷が生じない。
【0050】
図12に示す実施形態では、乾燥空気は、供給配管48からガラス31,32で囲まれる空間38に入り、管部材47を経由して他方の空間40に流れ、さらに貫通孔100から断熱壁3の内部に流れ、外郭体22と枠状部材35の間の微小な隙間97から排出される。
即ち
図12に示す実施形態では、窓30の内部の空間38,40を経由した乾燥空気が断熱壁3の内部に導入され、最終的に外郭体22と枠状部材35の間の微小な隙間97から排出される。
【0051】
また
図22の様に二つの空間38,40を繋ぐ管部材47を省略し、中間のガラス32と枠状部材35の溝37の間に故意に隙間120を設けて二つの空間38,40を連通させてもよい。
図22に示す実施形態では、上辺の溝37にコーキング剤を入れず、上辺の溝37とガラス32の間に故意に隙間120を設けている。
乾燥空気は、図面下部に記載された供給配管48からガラス31,32で囲まれる空間38に入り、空間38を通過して上部の辺に形成された隙間120を通過して他方の空間40に入る。そして乾燥空気は、図面上部から空間40を下方に向かって流れ、図面下部に描かれた貫通孔100から断熱壁3の内部に流れ、外郭体22と枠状部材35の間の微小な隙間97から排出される。
【0052】
ガラス32と枠状部材35の溝37の間の隙間120は、空間38,40に淀むことなく乾燥空気を通過させるため、特定の一辺に設けることが望ましい。また供給配管48や貫通孔100から遠い位置に設けることが望ましい。
もちろん、全ての辺や、複数の辺に隙間を設けてもよい。また一辺の全長に渡る隙間ではなく、一つの辺に部分的に形成された隙間であってもよい。例えば前記した
図7(d)に準ずる構成とし、部分的に隙間を形成させて乾燥空気を漏出させてもよい。
【0053】
また
図23の様にガラス31,32,33で仕切られた各空間38,40にそれぞれ供給配管48を接続し、各空間38,40に個別に乾燥空気を供給すると共に各空間38,40に貫通孔100を設けてもよい。
この構成によると、乾燥空気は、2本の供給配管48からそれぞれ空間38,40に入り、貫通孔100から断熱壁3の内部に流れ、外郭体22と枠状部材35の間の微小な隙間97から排出される。
【0054】
また窓30の内部の空間38,40の全てを経由させずに、乾燥空気を断熱壁3の内部に導入する部分を設けてもよい。
例えば
図13の様に、空間38,40を繋ぐ管部材47に分岐部101を設け、空間38から空間40に導入される乾燥空気の一部を断熱壁3の内部に開放してもよい。
さらには、
図14に示す窓部102の様に、供給配管48に分岐部103を設け、空間38,40に導入される前の乾燥空気を断熱壁3の内部に開放してもよい。
或いは、
図15に示す窓部105の様に、窓30の内部の空間38,40に乾燥空気を供給するルートとは、全く違うルートを経由して、断熱壁3の内部に乾燥空気を導入してもよい。
図15に示す窓部105では、窓30の内部の空間38,40を通過した乾燥空気は、排出管108から外部に排出され、断熱壁3の内部には入らない。
一方、
図15に示す窓部105では、断熱壁3の内部に乾燥空気を導入する導入管110があり、当該導入管110から乾燥空気が断熱壁3の内部に直接供給される。
【0055】
さらに空間38,40には乾燥空気を導入せず、乾燥空気を断熱壁3の内部に放出するだけでもよい。
断熱壁3の内部に導入された乾燥空気は、断熱材98の結露防止や除湿に寄与する。
【0056】
断熱壁3を経由して窓30の辺部から乾燥空気を漏れ出させる構成を採用する場合においても、前記した
図9,
図10の実施形態と同様の弁部材67,68を設け、外気が断熱壁3の内部に入り込まない様にすることが推奨される。
図16は、外郭体22の開口端にリード状の弁体66を接着したものである。
図16に示す窓部106では、外部側の圧力が断熱壁3内の圧力よりも高くなると、
図16(a)の様に弁体66の自由端側がガラス31,33の表面に密着し、外郭体22とガラス31,33との隙間97を封鎖して断熱壁3内に外気が進入することを防ぐ。
一方、断熱壁3内が正圧であれば、
図16(b)の様にリード状の弁体66は、ガラス31,33の表面を離れ、断熱壁3内の乾燥空気が外部に漏れ出る。
【0057】
図17に示す窓部107は、外郭体22の開口端と
枠状部材35の双方にリード状の弁体63,65を設けたものである。
図17に示す窓部107では、外部側の圧力が断熱壁3内の圧力よりも高くなると、
図17(a)の様に弁体63,65の自由端側同士が密着し、断熱壁3とガラス31,33との隙間97を封鎖して断熱壁3内に外気が進入することを防ぐ。
一方、断熱壁3内が正圧であれば、
図17(b)の様にリード状の弁体63,65が離れ、断熱壁3内の乾燥空気が外部に漏れ出る。
【0058】
断熱壁3を経由して窓30の辺部から乾燥空気を漏れ出させる構成を採用する場合においても、前記した
図7の実施形態と同様に、一部の辺にコーキング剤等の封止剤57を塗布してもよい。
【0059】
またガラス31,33の表面側から直接乾燥空気を漏出させてもよい。
例えば、
図18(a)の様に、窓30の透明板を複数のガラス80a,80bの突き合わせ構造とし、ガラス80a,80bの突き合わせ面81から空間38,40内の乾燥空気を外部に漏らす。
あるいは、
図18(b)の様に、ガラス31(33)に微小な開口82を設け、当該開口82から空間38,40内の乾燥空気を放出する。
【0060】
本発明の環境試験装置は、複合試験装置の一部として使用する環境試験装置に適用することもできる。
ここで複合試験装置とは、引っ張り試験装置、圧縮試験機、剪断試験機、硬さ試験機、衝撃試験機等の試験装置と、環境試験装置とを組み合わせ、所望の環境下において、材料に負荷を与える等の試験を行うものである。
以下、複合試験装置に本発明を応用した場合の態様について説明する。
図19に示す試験装置70は、複合試験装置であり、より詳細には複合型の引っ張り試験装置である。本実施形態の試験装置70は、環境試験装置71と、外力付与装置72によって構成されている。外力付与装置72は、引っ張り試験機である。
【0061】
本実施形態で採用する環境試験装置71は、環境試験装置本体73と空調機部75が分離されており、両者が配管76で接続されている。
環境試験装置71の環境試験装置本体73には、扉77があり、当該扉77には、前記した構造と同様の窓30が設けられている。
環境試験装置本体73には、上下に貫通孔86,87が設けられている。貫通孔86,87は、外力付与装置72のロッド78や、試験片の一部を挿通させるために設けられている。本実施形態の環境試験装置71においても、ガラス31,33の主面31A,33Bの各辺から空間38,40内の乾燥空気が僅かずつ漏れ、漏れ出た乾燥空気は、ガラス31,33の主面31A,33Bに沿って流れ、ガラス31,33の主面31A,33Bを包む。
そのため主面31A,33Bの温度が低下しても結露や結氷が生じず、試験室5の内部を常時観察または撮影することができる。
【0062】
図19に示す試験装置(複合試験装置)70では、環境試験装置71の環境試験装置本体73と空調機部75が別体であったが、両者は一体であってもよい。
図20に示す試験装置(複合試験装置)90は、試験室5と空調機器10を備えた環境試験装置91の扉92を改造し、当該扉92に
図19の環境試験装置本体73に相当する補助部品93を直接取り付けたものである。
なお環境試験装置91の内部構造は、各機器のレイアウトが前記した試験装置と異なるものの、機能的には大差ない。そのため同様の機能を発揮する部材に、先の実施形態と同一の番号を付している。
【0063】
図20に示す試験装置90では、環境試験装置91の試験室5と、補助部品93の内部が連通し、被試験物95を所望の環境にさらしつつ、引っ張り試験等を行うことができる。
本実施形態の試験装置90においても、ガラス31,33の主面31A,33Bの各辺から空間38,40内の乾燥空気が僅かずつ漏れ、漏れ出た乾燥空気は、ガラス31,33の主面31A,33Bに沿って流れ、ガラス31,33の主面31A,33Bを包む。そのため窓30に結露や結氷が生じず、試験室5の内部を常時観察または撮影することができる。
なお本実施形態では、外力付与装置72のロッド78等を挿通する貫通孔86,87にも乾燥空気が導入されている。
本実施形態では、乾燥空気生成装置50から供給される乾燥空気が、窓30と貫通孔86,87に分岐して供給されている。
【0064】
以上説明した実施形態では、いずれも開閉扉20に窓30を設けたが
図21に示す環境試験装置96の様に、本体部に窓30を設けてもよい。
【0065】
以上説明した実施形態では、窓30は3枚のガラス31,32,33を間隔をあけて配置したものであるが、ガラス31,32,33の枚数は、2枚以上であればよい。
【0066】
封止剤57や弁部材67,68を設ける構成を採用する場合、外側のガラス31,33の双方にこれらを設けることが望ましいが、ガラス31,33の一方だけに封止剤57や弁部材67,68を設けてもよい。
封止剤57を設けて、窓やガラスの辺の一部から乾燥空気を放出する構成に、弁部材67,68を併用してもよい。