特許第6688257号(P6688257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688257
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】帯電プレートモニタ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/12 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   G01R29/12 G
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-108235(P2017-108235)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-205032(P2018-205032A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年3月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年12月2日 平成28年 応用物理学会東北支部 第71回学術講演会にて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000106900
【氏名又は名称】シシド静電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日吉 功
(72)【発明者】
【氏名】澤木 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆一
(72)【発明者】
【氏名】永田 秀海
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−077348(JP,A)
【文献】 特開昭51−074232(JP,A)
【文献】 特開2007−052125(JP,A)
【文献】 特開昭55−054455(JP,A)
【文献】 特開2016−001114(JP,A)
【文献】 特開2001−124812(JP,A)
【文献】 米国特許第05886528(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン生成装置の性能評価に用いられる帯電プレートモニタ装置に関する静電容量がJIS規格又はIEC規格により規定された範囲である所定の規格範囲内であるように定められた前記帯電プレートモニタ装置であって、
接地部との間に容量を形成するように、該接地部に対して絶縁して配置された所定サイズの導体板から成る帯電プレートと、
複数の容量素子を直列に接続して構成され、前記帯電プレートと接地部との間の空間の容量に対して並列接続された状態になるように前記帯電プレートと接地部とに接続された直列容量素子群とを備え、
前記直列容量素子群の複数の容量素子の容量値は、前記帯電プレートと接地部との間の空間の容量値との合成容量値が、前記規格範囲内の値になるように設定されており、
前記帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧を前記直列容量素子群により分圧してなる電圧であって、前記イオン生成装置のイオン生成周波数で変動する電圧を測定信号として生成するように構成されていることを特徴とする帯電プレートモニタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の帯電プレートモニタ装置において、
前記直列容量素子群は、前記帯電プレートと、該帯電プレートの法線方向と直交する方向に距離を有するように該帯電プレートから離れた位置でシールドされた状態で配置されていることを特徴とする帯電プレートモニタ装置。
【請求項3】
請求項1記載の帯電プレートモニタ装置において、
前記直列容量素子群と、前記測定信号を入力するアンプ又は電圧測定器とが、前記帯電プレートとの間に接地された基台を介在させた状態で配置されていると共に、前記直列容量素子群と、前記アンプ又は前記電圧測定器とがシールドされていることを特徴とする帯電プレートモニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置等のイオン生成装置の性能評価等を行うために使用される帯電プレートモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、除電等の用途で使用されるイオン生成装置の性能評価は、一般に、帯電プレートモニタ装置を使用して行われる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この帯電プレートモニタ装置は、接地部に対して絶縁して配置された所定のサイズの導体板から成る帯電プレートを有し、該帯電プレートの電圧(接地部との間で発生する電圧)を測定し得るように構成されている。この場合、帯電プレートのサイズ、帯電プレートと接地部との間の容量値、帯電プレートの絶縁特性等の仕様が、所定の規格(IEC 61340-4-7又はJIS C 61340-4-7)によって、規定されている。
【0004】
このような帯電プレートモニタ装置を用いて、イオン生成装置の性能評価を行う場合、例えば、+1000V(又は−1000V)の高電圧に帯電させた帯電プレートをイオン生成装置により除電することを実行しつつ、該帯電プレートの電圧の経時変化を測定し、該帯電プレートの電圧が+100V(又は−100V)まで低下するのに要する時間(減衰時間)を計測すること、イオン生成装置の作動(イオンの生成)を定常的に継続した状態で、帯電プレートの電圧の変動もしくはオフセットを計測すること等の試験が一般に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−255668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
帯電プレートモニタ装置を用いてイオン生成装置の性能評価を行う場合、上記の如く、帯電プレートモニタ装置の帯電プレートには1000V以上の高電圧が付与される。このため、従来の帯電プレートモニタ装置では、帯電プレートの電圧の測定は、一般に、振動容量型電位センサを使用して行われる。この振動容量型電位センサは、センシング部を振動させることで、帯電プレートの電圧を低電圧の交流信号に変換する方式のセンサである。
【0007】
一方、近年、半導体デバイス等の電子デバイスの微細化に起因して、電子デバイスの電圧耐性の低下を招いている。そして、電圧耐性が低い電子デバイスの除電を行う場合には、該電子デバイスの損傷等を防止するために、イオン生成装置の放電電極に印加される高電圧に起因して電子デバイスに誘起される誘導電圧や、生成された正負のイオンが電子デバイスに流れ込むことによって該電子デバイスに発生する電圧を極力小さくすることが要求される。
【0008】
かかる要求を満たすために、近年のイオン生成装置では、正負のイオンの生成周波数(放電電極に印加する正負の高電圧の周波数)を、従来の周波数(例えば50Hz又は60Hz)よりも高周波(例えば数百Hz)にすることが図られている。
【0009】
しかしながら、このように周波数を高周波化したイオン生成装置の性能評価を、従来の帯電プレートモニタ装置を用いて行うと次のような不都合を生じる。
【0010】
すなわち、従来の帯電プレートモニタ装置で、帯電プレートの電圧を測定するために一般的に使用されている前記振動容量型電位センサは、周波数応答性能が低く、測定対象の電圧の周波数が、例えば100Hzを超えると、測定対象の電圧に対する該振動容量型電位センサの出力電圧の比率(感度)は、100Hzよりも低周波側での比率よりも3dB以上低下する(図3の破線のグラフを参照)。
【0011】
このため、周波数を数百Hz等に高周波化したイオン生成装置の性能評価を、従来の帯電プレートモニタ装置を用いて行うと、振動容量型電位センサによる帯電プレートの電圧の測定値が、実際の電圧よりも低い電圧になりやすい。ひいては、イオン生成装置の性能評価の試験結果の信頼性が低いものとなりやすい。
【0012】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、高周波域を含めた幅広い周波数域で、帯電プレートの電圧を精度よく計測することが可能となり、ひいては、イオン生成装置の性能評価の信頼性を高めることが可能となる帯電プレートモニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の帯電プレートモニタ装置は、上記の目的を達成するために、イオン生成装置の性能評価に用いられる帯電プレートモニタ装置に関する静電容量がJIS規格又はIEC規格により規定された範囲である所定の規格範囲内であるように定められた前記帯電プレートモニタ装置であって、
接地部との間に容量を形成するように、該接地部に対して絶縁して配置された所定サイズの導体板から成る帯電プレートと、
複数の容量素子を直列に接続して構成され、前記帯電プレートと接地部との間の空間の容量に対して並列接続された状態になるように前記帯電プレートと接地部とに接続された直列容量素子群とを備え、
前記直列容量素子群の複数の容量素子の容量値は、前記帯電プレートと接地部との間の空間の容量値との合成容量値が、所定の規格範囲内の値になるように設定されており、
前記帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧を前記直列容量素子群により分圧してなる電圧であって、前記イオン生成装置のイオン生成周波数で変動する電圧を、前記帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧に応じた測定信号として生成するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明において、「前記帯電プレートと接地部との間の空間の容量」というのは、詳しくは、前記直列容量素子群を除いて、前記帯電プレートと接地部との間に形成される空間の容量を意味する。また、「前記直列容量素子群により分圧してなる電圧」は、前記直列容量素子群の一部分(直列容量素子群で直列に接続された容量素子の総数Nよりも少ない個数(<N)の容量素子により構成される部分)の両端間の電圧を意味する。
【0015】
上記本発明によれば、前記直列容量素子群の複数の容量素子の容量値を適切に設定しておくことで、前記合成容量値が、JIS規格又はIEC規格により規定された範囲である所定の規格範囲内の値となるように帯電プレートモニタ装置を構成できる。
【0016】
そして、前記帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧を前記直列容量素子群により分圧してなる電圧であって、前記イオン生成装置のイオン生成周波数で変動する電圧を、前記帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧に応じた測定信号として生成するので、該測定信号の電圧は、帯電プレートに前記接地部との間で発生する電圧に比して十分に小さな電圧の信号にすることができる。
【0017】
このため、該測定信号の電圧を測定する電圧測定器として、振動容量型電位センサを使用しないタイプで、比較的低い電圧を、高周波域を含めた幅広い周波数域で精度よく測定可能な公知の一般的な測定器を使用することができる。また、この種の測定器は、一般に入力インピーダンスが高く、ひいては、帯電プレートの絶縁性を効果的に確保し得る。
【0018】
そして、このような電圧測定器を使用できるため、結果的に、イオン生成装置の性能評価において、帯電プレートの電圧(接地部との間の電圧)を、該電圧が大きなものであっても、高周波域を含めた幅広い周波数域で、精度よく計測することが可能となる。
【0019】
よって、本発明によれば、高周波域を含めた幅広い周波数域で、帯電プレートの電圧を精度よく計測することが可能となる。ひいては、イオン生成装置の性能評価の信頼性を高めることが可能となる帯電プレートモニタ装置を提供できる。
【0020】
また、上記本発明では、前記直列容量素子群は、前記帯電プレートと、該帯電プレートの法線方向と直交する方向に距離を有するように該帯電プレートから離れた位置でシールドされた状態で配置されているという態様を採用し得る。
【0021】
これによれば、イオン生成装置の性能評価を行う際に、生成されるイオンの流れが直列容量素子群等によって乱されるのを極力防止することができる。
【0022】
また、本発明では、前記直列容量素子群と、前記測定信号を入力するアンプ又は電圧測定器とが、前記帯電プレートとの間に接地された基台を介在させた状態で配置されていると共に、前記直列容量素子群と、前記アンプ又は前記電圧測定器とがシールドされているという態様を採用することもできる。
【0023】
これによれば、前記直列容量素子群と、前記アンプ又は前記電圧測定器とを、前記帯電プレートの近くにシールドした状態で配置できるので、外乱ノイズの影響を極力受けないように、帯電プレートの電圧測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の帯電プレートモニタ装置の構造を概略的に示す図。
図2】実施形態の帯電プレートモニタ装置の回路構成を示す図。
図3】実施形態の帯電プレートモニタ装置の周波数特性を例示するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を図1図3を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の帯電プレートモニタ装置1は、所定のサイズの帯電プレート2と、後述する複数の容量素子を直列に接続して構成された直列容量素子群10と、直列容量素子群10から出力される電圧を計測する電圧測定器20とを備える。
【0026】
帯電プレート2は、150mm×150mmのサイズの方形状の導体板(例えば金属板)により構成されている。
【0027】
この帯電プレート2は、接地部Gに接地された板状の導電性の(例えば金属製の)基台3上に、複数の(又は単一の)絶縁部材4を介して支持され、該基台3に対して(ひいては、接地部Gに対して)電気的に絶縁されている。この場合、帯電プレート2は、接地部Gとの間の空間の容量値C0(図2を参照)がほぼ一定値になるように、基台3の表面に対して平行な姿勢で配置されている。当該容量値C0は、詳しくは、直列容量素子群10を除いて、帯電プレート2と接地部Gとの間に形成される空間(主に、帯電プレート2と、該帯電プレート2の法線方向で該帯電プレート2に対向する部分であって、接地部Gと同電位の部分(本実施形態では基台3)との間に形成された空間(絶縁部材4を含む))の容量値である。当該容量値C0には、帯電プレート2に接続されるケーブル(例えば後述のケーブル13)の、接地部Gとの間の静電容量を含み得る。
【0028】
また、帯電プレート2には、図1に示すように、コネクタ51及びケーブル52を介して直流電源50等の電源を接続することが可能となっている。
【0029】
補足すると、基台3は、板状のものに限らず、例えば筐体状に形成されたものであってもよい。
【0030】
直列容量素子群10は、本実施形態では、図2に示すように、例えば2つの容量素子11,12を直列に接続して構成されている。この場合、各容量素子11,12は、例えばコンデンサにより構成される。なお、各容量素子11,12は、複数のコンデンサを接続して構成されたもの(例えば、複数のコンデンサを並列接続したもの)であってもよい。また、各容量素子11,12は、コンデンサ以外の容量素子により構成されていてもよい。
【0031】
そして、直列容量素子群10は、その容量素子11側の一端が、図1に示すようにケーブル13及びコネクタ14を介して帯電プレート2に接続され、容量素子12側の他端が接地部Gに接地されている。これにより、直列容量素子群10は、帯電プレート2と接地部Gとの間の空間の容量に対して、並列に接続されている。
【0032】
ここで、本実施形態では、帯電プレート2と接地部Gとの間の空間の容量値C0と、直列容量素子群10を構成する各容量素子11,12のそれぞれの容量値C1,C2とは、次のような指針であらかじめ設定されている。
【0033】
すなわち、上記の如く、直列容量素子群10が、帯電プレート2と接地部Gとの間の空間の容量に対して並列に接続されているので、当該空間容量と直列容量素子群10との合成容量値Ciは、次式(1)により与えられる。
【0034】
Ci=C0+(C1×C2)/(C1+C2) ……(1)
【0035】
また、帯電プレート2の電圧(詳しくは、帯電プレート2と接地部Gとの間に発生する電圧)をEとおき、該電圧E(以降、プレート電圧Eという)を、直列容量素子群10で分圧してなる電圧、例えば、容量素子12の両端間の電圧(容量素子11,12の間の中点と接地部Gとの間の電圧)をVoutとおくと、Voutは、次式(2)により与えられる。
【0036】
Vout=E×C1/(C1+C2) ……(2)
【0037】
なお、電圧Voutは本発明における測定信号に相当する。この電圧Voutは、式(2)に示される如く、プレート電圧Eに比例するので、該電圧Voutを測定することで、結果的に、プレート電圧Eを測定することが可能となる。
【0038】
そして、本実施形態では、容量値C0,C1,C2は、帯電プレート2と接地部Gとの間の全体の容量値としての上記合成容量値Ciが、帯電プレートモニタ装置1で要求される所定の規格内に収まるという条件(詳しくはCiが、20pF±2pFの範囲に収まるという条件)と、プレート電圧Eを、イオン生成装置等の評価試験において帯電プレート2に印加され得る最大電圧(例えば1000V)に一致させた場合に、上記電圧Voutが振動容量型電位センサを使用せずとも、低電圧測定用の電圧測定器を使用して測定し得る程度の電圧(例えば200V以下の電圧)に収まるという条件とを満たすように設定されている。
【0039】
一例として、容量値C0≒3.3pF、C1=17.4pF、C2=460pF(>C1)というように容量値C0,C1,C2が設定され得る。この場合、前記式(1)により算出される合成容量値Ciは、Ci≒20.0pFとなって、規格内(20pF±2pFの範囲内)に収まる。また、プレート電圧Eを1000Vに設定したときの電圧Voutは、前記式(2)によって、Vout≒36.4Vとなって、200V以下の電圧に収まる。
【0040】
次の表1は、容量値C0,C1,C2を上記の如く設定した場合において、容量値等を実測可能なLCRメータを用いて合成容量値Ciを測定した結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記表1に示される如く、実際の合成容量値Ciを、少なくとも10kHz以下の周波数範囲(帯電プレート2に印加する電圧の周波数範囲)では、20pF±2pFという規格内に収めることができることが確認された。
【0043】
電圧測定器20は、上記電圧Voutを測定すべく、直列容量素子群10の容量素子11,12の間の中点にケーブル21(図1に示す)を介して接続されている。この電圧測定器20は、振動容量型電位センサを使用しないタイプの一般的な電圧測定器である。該電圧測定器20は、直列容量素子群10から入力される電圧Voutを含む比較的低電圧の範囲の電圧(例えば−200V〜+200Vの範囲の電圧)を測定可能なものである。
【0044】
また、電圧測定器20は、図2に示す如く、その電圧入力部(電圧Voutの入力部)にボルテージフォロア形式で接続されたオペアンプ20aを含み、入力インピーダンスが、例えば100TΩ程度の高入力インピーダンスのものである。このため、帯電プレート2から電圧測定器20に流れ得る電流を十分に微小なものとすることができる。ひいては、帯電プレート2の絶縁性を、所定の規格(詳しくは、帯電プレート2にl000Vの試験電圧を付与した場合に、300秒以内に、試験電圧の10%以上放電してはならないという規格)を満たすように、確保することができる。
【0045】
また、電圧測定器20は、本実施形態では、精度よく電圧を測定し得る周波数帯域が広いものを採用している。このため、プレート電圧Eを直列容量素子群10で分圧してなる電圧Voutを、幅広い周波数域で測定すること可能となっている。
【0046】
本実施形態の帯電プレートモニタ装置1で実現され得る周波数特性を、図3に実施例のグラフ(実線のグラフ)として例示する。ここで、図3のグラフの縦軸の「出力/入力比率(相対値)」は、帯電プレート2にファンクションジェネレータ等の外部電源から実際に印加した電圧に対する、電圧測定器20による電圧測定値の比率の実測値である。また、周波数を示す横軸は対数軸である。
【0047】
図示の如く、実施形態の帯電プレートモニタ装置1では(実施例のグラフ)、10kHz以下の周波数範囲で、出力/入力比率(相対値)を一定に保つことができることが確認された。
【0048】
なお、図3の破線のグラフは、直列容量素子群10を備えずに、帯電プレートと接地部Gとの間の容量値が20pF±2pFが収まるように作製された従来の帯電プレートモニタ装置における帯電プレートの印加電圧を、振動容量型電位センサを用いて測定した場合の周波数特性を例示するグラフである。図示の如く、振動容量型電位センサを用いた測定では、100Hz以上の高周波域で、出力/入力比率(相対値)が大きく低下してしまうことが判る。
【0049】
また、本実施形態では、電圧測定器20及び直列容量素子群10は、接地部Gに接地された導電性のシールドケース40の内部に収容されることによってシールドされていると共に、帯電プレート2の法線方向と直交する方向に距離を有するように該帯電プレート2からある程度離れた位置に配置されている。なお、シールドケース40は、例えば、金網、金属板、あるいは、これらの組み合わせ等により構成され得る。また、電圧測定器20及び直列容量素子群10の配置位置は、帯電プレート2の法線方向と直交する方向に加えて、帯電プレート2の法線方向にも、帯電プレート2と距離を有する位置であってもよい。
【0050】
これにより、イオン生成装置W(図2に二点鎖線で示す)の性能評価を行う際に、生成されるイオンの流れが電圧測定器20及び直列容量素子群10によって乱されるのを極力防止している。
【0051】
本実施形態の帯電プレートモニタ装置1は以上の如く構成されている。かかる帯電プレートモニタ装置1を使用してイオン生成装置Wの性能評価を行う場合には、図2に示す如く、帯電プレート2に直流電源50が接続されると共に、イオン生成装置Wが、帯電プレート2の上方に、該帯電プレート2と所定の間隔を存して配置される。
【0052】
そして、帯電プレート2に直流電源50から+1000V(又は−1000V)の電圧又はそれ以上の大きさの電圧を印加した後、イオン生成装置Wを作動させながら電圧測定器20による電圧測定を行うことで、帯電プレート2の電圧が、+1000V(又は−1000V)から+100V(又は−100V)の電圧に減衰するまでの減衰時間を計測すること、あるいは、イオン生成装置Wを定常的に作動させた状態で、電圧測定器20による電圧測定を行うことで、帯電プレート2の電圧変動、もしくはオフセット等を観測すること等の試験が実施される。
【0053】
以上説明した帯電プレートモニタ装置1によれば、所定の規格を満たすように構成し得る。さらに、直列容量素子群10により帯電プレート2の電圧(プレート電圧E)を分圧してなる電圧Vout(これは、プレート電圧Eに比例する)を電圧測定器20に入力することで、帯電プレート2に±1000Vという高電圧、あるいはそれ以上の大きさの高電圧を付与した場合であっても、該電圧測定器20に入力する測定対象の電圧Voutを比較的低い電圧にすることができる。
【0054】
このため、電圧測定器20として、精度よく電圧測定を行い得る周波数帯域が広い測定器(低周波域から数十kHz程度の高周波域まで精度よく電圧測定を行い得る測定器)を採用することができる。ひいては、イオン生成装置Wが、正負のイオンの生成周波数(放電電極に印加する正負の高電圧の周波数)を、50Hz又は60Hz程度の低周波としたものはもちろん、周波数を数百Hz等に高周波化したものであっても、該イオン生成装置Wの性能評価を高い信頼性で実施することが可能となる。
【0055】
なお、以上説明した本実施形態の帯電プレートモニタ装置1では、直列容量素子群10の容量素子12の両端間の電圧を、帯電プレート2の電圧を分圧してなる電圧Voutとして、電圧測定器20により測定するようにした。ただし、例えば、容量素子12の容量値C2よりも、容量素子11の容量値C1を大きな容量値に設定し、容量素子11の両端間の電圧を、帯電プレート2の電圧を分圧してなる電圧Voutとして、電圧測定器20により測定することも可能である。ただし、この場合には、容量素子11の両端の電位が変動するため、基準電位を調整するフローティング制御が必要となる。
【0056】
また、直列容量素子群10で直列に接続する容量素子の個数は3個以上であってもよい。この場合、直列に接続された容量素子の総数よりも少ない個数(例えば2個)の容量素子を直列に接続してなる直列接続体(直列容量素子群10の一部分の直列接続体)の両端間の電圧、あるいは、直列に接続された容量素子の総数のうちの任意の一つの容量素子の両端間の電圧を、帯電プレート2の電圧を分圧してなる電圧Voutとして使用し得る。なお、この場合、電圧Voutを出力する上記直列接続体又は一つの容量素子は、その一端が、接地部Gに接続されたものであることが好ましい。
【0057】
また、前記本実施形態の帯電プレートモニタ装置1は、電圧測定器20を含めた装置であるが、本発明の帯電プレートモニタ装置は、電圧測定器を外部機器として使用するように構成された装置であってもよい。
【0058】
また、前記基台3を筐体状のものとした場合には、直列容量素子群10及び電圧測定器20の一方又は両方を基台3内に収容してもよい。この場合、基台3をシールドケースとして使用することができる。
【0059】
また、例えば、直列容量素子群10と、電圧測定器20又は、前記電圧Voutを入力するアンプ(例えば前記オペアンプ20aと同様のアンプ)とを、帯電プレート2との間に基台3を介在させた状態で配置する(換言すれば、基台3の裏面側(帯電プレート2と反対側)に配置する))すると共に、該直列容量素子群10及びアンプをシールドしてもよい。
【0060】
このようにすると、直列容量素子群10と、電圧測定器20又は上記アンプとを、帯電プレート2の近くにシールドした状態で配置できるので、外乱ノイズの影響を極力受けないように帯電プレート2の電圧の測定を行うことができる。なお、この場合、基台3が筐体状のものである場合には、直列容量素子群10と、電圧測定器20又は上記アンプとを、基台3内に収容してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…帯電プレートモニタ装置、2…帯電プレート、10…直列容量素子群、11,12…容量素子、G…接地部、20…電圧測定器。
図1
図2
図3