(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図に従って第1実施形態の異物検査装置(以下、単に「検査装置」という)10について説明する。検査装置10は、検査対象物であるワーク17に残留した異物を検査する装置である。
図1に示すように、検査装置10は、架台11、アーム13、載置台15、ノズル30、吸引ダクト(吸引通路)21、検出装置40、排気装置25及び安全柵27を含む。検査装置10は、封止装置26を含んでもよい。
【0009】
架台11は、フレーム状をなす。架台11の下面には、ドレンパンが設けられてもよい。
【0010】
アーム13は、架台11の上面に設けられている。アーム13として、垂直多関節ロボット、直交軸ロボット、パラレルリンクロボットその他のロボットを利用できる。アーム13の先端には、ノズル30が設けられている。アーム13は、ノズル30をワーク(検査対象物)17の検査箇所18(検査箇所181ないし185の総称、
図7参照)に密着できるように構成されている。
【0011】
載置台15は、架台11の上面に設けられている。載置台15には、ワーク17が載置される。
【0012】
安全柵27は、架台11を覆うように設けられている。安全柵27には、点検者がその内部に入れるように図示しない扉が設けられている。
【0013】
吸引ダクト(吸引通路)21は、ノズル30と検出装置40とを接続している。吸引ダクト21は、安全柵27の天井付近とノズル30との間に懸架されている。吸引ダクト21は、可曉性のダクトホースを利用できる。吸引ダクト21は、好ましくはケーブル保護管の内部に設けられる。吸引ダクト21は、導電性材料で形成され、接地され得る。また、吸引ダクト21の外周には、ヒータを設けても良い。
【0014】
吸引ダクト21が導電性をもち、接地されると、吸引ダクト21の内部を通過する異物51(
図8参照)と吸引ダクト21とが摺接することにより、異物51が帯電して吸引ダクト21に張り付くのを防止できる。また、吸引ダクト21の外部にヒータを設けて、吸引ダクト21を加熱することにより、吸引ダクト21の内面への吸気に含まれる水分の付着若しくは凝着を防止できる。
【0015】
ここで、異物51は切りくず、繊維くず等、ワーク17に付着して残留している異物をいう。
【0016】
なお、吸引ダクト21は、天井付近から懸架されることに替えて、アーム13に沿わせて設けられても良い。
【0017】
排気装置25は、回転翼型ドライ真空ポンプ、スクロール型ドライ真空ポンプ、油回転真空ポンプその他の真空ポンプを利用できる。排気装置25は排気弁251を含んでもよい。排気装置25を駆動し、排気弁251を開弁すると、吸引ダクト21を通して、吸入口から異物等を吸引する。排気弁251を設けた場合、排気装置25の駆動、停止を繰り返さなくてもよいため、検査時間を短縮できる。
【0018】
図2に従って、ノズル30について説明する。ノズル30は、支持棒39、吸入管38及び吸入口33を含む。支持棒39はフランジ391を有する。フランジ391は、アーム13の取付け面131に固定される。支持棒39は、吸入管38を支える。
【0019】
望ましくは、ノズル30は、吸入吻32を含む。吸入吻32は、吸入口33および吸入管38の間に設けられる。吸入吻32は、吸入口33を吸入管38に対して伸縮自在に保持する。ここで、
図2の右側半分は吸入吻32が縮んだ状態を、左半分は吸入吻32が伸びた状態を示している。
【0020】
吸入管38は、中空円筒状に形成されている。吸入管38は、その先端部に吸入口33が、基端部に吸引通路接続口37が設けられる。吸引ダクト21は、吸引通路接続口37に接続される。
【0021】
吸入口33は、円環形状、矩形、又は検査箇所18の形状に合わせた特殊形状をなす。吸入口33の大きさは、検査箇所18(
図7参照)の大きさよりも若干大きく設計される。例えば検査箇所18が呼びM6の雌ねじであれば、吸入口33の内径(直径)は7mmないし9mmに設定される。吸入口33の材質は、吸入口33がワーク17に接触した時に、ワーク17を傷つけない程度に軟質な材質が選択され得る。ワーク17の材質がアルミニウムであれば、吸入口33の材質は、導電性プラスチック、導電性ゴムが選択できる。
【0022】
吸入吻32が設けられるとき、吸入管38は、リング314、摺接面311及び摺接面312を含む。吸入管38の一方端部の外周部には、リング314が設けられている。吸入管38の一方端部の内周部には、円筒面である摺接面311及び摺接面312が設けられている。摺接面312は、摺接面311よりも小径であり、摺接面311よりも先端側に設けられている。摺接面311と摺接面312の段差部313は、ガイド管322のストッパとして作用する。
【0023】
吸入吻32は、ガイド管322、摺接ガイド323、ばねガイド324及び弾性体であるつるまきばね325を有する。ガイド管322は中空円筒であり、その外筒面が摺接面312に摺動できる。ガイド管322の基端部には、摺接ガイド323が設けられている。ガイド管322の先端部に吸入口33が設けられている。摺接ガイド323は、ガイド管322よりも大径に構成されている。ばねガイド324は、ガイド管322の先端部の外面に設けられる。ばねガイド324の外径は、つるまきばね325の内径よりも若干小さく構成される。つるまきばね325は、吸入管38の下端部の外面とばねガイド324とに支えられてリング314と吸入口33との間に挿入される。つるまきばね325は、吸入吻32を先端方向に付勢する。吸入吻32は、摺接面311及び摺接面312に摺接ガイド323及びガイド管322がそれぞれ導かれて吸入管38内を摺動できる。なお、弾性体としてつるまきばね325に替えて、皿ばね、板ばね又はゴムチューブを利用できる。
【0024】
検査装置10は、ランス34、圧縮空気供給装置28及びエアチューブ(圧縮空気供給配管)29を含んでも良い。
【0025】
ランス34は、ノズル30に設けられる。ランス34は、吸入管38の外部から吸入管38の内部に挿入される。ランス34の先端側は、吸入口33の伸縮方向、すなわち吸入管38と同心方向に延びて設けられる。吸入吻32が伸びた状態において、ランス34の先端は、吸入口33付近まで設けられる。ランス34の先端は塞がれている。ランス34の先端部の周囲に噴口341が設けられている。噴口341はランス34の円周方向に等分された位置に、放射線状に複数設けられても良い。噴口341は、ランス34の軸方向に複数個所に設けられても良い。例えば図示するように、噴口341は、円周方向に4か所、軸方向に2か所、合計8か所設けられる。
【0026】
なお、面である検査箇所18を主な検査対象とするノズル30については、噴口341を周方向に複数設けることに替えて、噴口341をランス34の軸方向に一つ又は複数設けても良い。この場合、吸入吻32が伸びきった状態において、ランス34の先端は吸入口33のわずかに内側に入るように設けられる。
【0027】
圧縮空気供給装置28は、空気圧縮機及びエア開閉弁を含んでも良い。
【0028】
エアチューブ29は、圧縮空気供給装置28とランス34とを接続する。エアチューブ29は可曉性のチューブを利用できる。エアチューブ29は、吸引ダクト21に沿って設けても良い。
【0029】
検査装置10は、ノズル交換装置35及び電磁バルブ36を含んでも良い。ノズル交換装置35は、マスタシリンダ352及びアダプタ351を含む。この場合、マスタシリンダ352は支持棒39に固定される。吸引ダクト21はマスタシリンダ352に接続される。吸入管38は、アダプタ351に接続される。アダプタ351は、マスタシリンダ352に脱着できる。ノズル交換装置35によれば、アダプタ351を切り離すことにより、検査箇所18の形状に応じて、適切なノズル30を選択してアーム13に装着できる。
【0030】
マスタシリンダ352は、ボディ3520、主挿入部3521、吸引通路3526、空気通路3527、プランジャ3522、パッキン3523、副挿入部3524及びパッキン3525を有する。ボディ3520は、円筒状をなす。ボディ3520の中央に円筒形の主挿入部3521が設けられている。主挿入部3521の中央に吸引通路3526が貫いている。主挿入部3521の中央部には、放射状に延びる複数のプランジャ3522が設けられている。パッキン3523は、主挿入部3521の外周に設けられている。ボディ3520の周辺部に円筒形の副挿入部3524が主挿入部3521に並んで設けられている。パッキン3525は副挿入部3524の外周に設けられている。空気通路3527は、副挿入部3524を貫通している。好ましくは、吸引通路3514、吸引通路3526、吸入管38は、それらの内径が同一で、同軸上に設けられる。エアチューブ29は、継手291により空気通路3527に接続されている。
【0031】
アダプタ351は、ボディ3510、主挿入口3511、吸引通路3514、空気通路3515、V溝3512、副挿入口3513、を有する。ボディ3510は、円筒状をなす。ボディ3510の中央に主挿入口3511が設けられている。主挿入口3511は円筒形の有底穴である。主挿入口3511には、主挿入部3521が嵌合して挿入する。主挿入口3511の中央を吸引通路3514が貫いている。吸引通路3514は吸入管38と接続する。主挿入口3511の高さ方向の中央部に断面がV字状のV溝3512が円周方向に延びて設けられている。ボディ3510の周辺部に副挿入口3513が主挿入口3511に並んで設けられる。副挿入口3513は主挿入口3511よりも小径の円筒状有底穴である。副挿入口3513には、副挿入部3524が嵌合して挿入する。副挿入口3513の中央に空気通路3515が貫通している。ランス34は、継手342により空気通路3515に接続されている。
【0032】
アダプタ351がマスタシリンダ352に挿入されたとき、主挿入部3521が主挿入口3511に、副挿入部3524が副挿入口3513にそれぞれ挿入され、プランジャ3522がV溝3512に突出する。そしてアダプタ351がマスタシリンダ352に固定される。吸引通路3514と吸引通路3526は、パッキン3523で密封されて接続できる。空気通路3515と空気通路3527は、パッキン3525で密封されて接続できる。
【0033】
電磁バルブ36は、圧縮空気供給装置28とマスタシリンダ352の中間に設けられている。電磁バルブ36は方向切替え弁である。電磁バルブ36が接続方向へ切替わると、圧縮空気供給装置28からマスタシリンダ352内の図示しない流路を経て送られる圧縮空気によってプランジャ3522が外方に押圧されてプランジャ3522の先端が突出し、V溝3512に噛み込む。そしてアダプタ351がマスタシリンダ352に接続される。電磁バルブ36が離間方向へ切替わると、プランジャ3522の先端が図示しないばね部材の付勢力によって内方に引き込まれ、マスタシリンダ352がアダプタ351を切り離す。
【0034】
なお、ランス34が設けられない場合、空気通路3515、空気通路3527及びパッキン3525は省いてもよい。
【0035】
図3に従って、検出装置40について説明する。検出装置40は、ボディ41、捕捉室42、窓43、フィルタ44、支持体(支持部材)45、緩衝室46、撮像装置としてのカメラ48及び照明49を含む。筐体としてのボディ41は矩形をなし、上流側ボディ411及び下流側ボディ412に2つ割になっている。
【0036】
上流側ボディ411の中央には、円筒状の空洞である捕捉室42が設けられている。捕捉室42は、上流側ボディ411を外面から下流側ボディ412に向かって貫通している。捕捉室42の外面側の端面は窓43で塞がれている。捕捉室42の下流側ボディ412側の端面には、フィルタ接続口421が設けられている。捕捉室42の円筒面には、吸引路接続口473が設けられている。上流側ボディ411の外面から吸引路接続口473までを貫通して吸引通路471が設けられている。吸引ダクト21は、吸引通路471に接続されている。
【0037】
下流側ボディ412の中央には、円板状の支持体45が設けられている。支持体45は、フィルタ44を支持できる。支持体45は、ガスを通過できるよう構成されている。支持体45は、金属メッシュ、多孔質板、ハニカム板を利用できる。フィルタ44は、支持体45及びフィルタ接続口421の間に挟持される。フィルタ44及び支持体45は、フィルタ接続口421よりも一回り大きい。フィルタ44、支持体45及びフィルタ接続口421は中心が重なるように配置される。フィルタ44に着目して支持体45の裏面側には、開口461を有する空洞状の緩衝室46が設けられている。緩衝室46は円筒状をなしている。緩衝室46に接続するように吸引通路472が設けられている。吸引通路472は、排気装置25に接続される。吸引された空気は、吸引通路471、捕捉室42、フィルタ44、支持体45、緩衝室46及び吸引通路472を通って、排出される。吸引された異物は、吸引通路471及び捕捉室42を通って、フィルタ44に捕捉される。
【0038】
撮像装置であるカメラ48は、窓43及び捕捉室42を通してフィルタ44の表面に捕捉された異物51を観察できる。カメラ48は、光学カメラを利用できる。カメラ48は、そのレンズが窓に対面するように設けられている。
【0039】
カメラ48は、焦点深度を浅く設定できる。例えば焦点深度は、0.002mmないし0.05mmに設定できる。更にカメラ48は、その焦点距離を自動で変更できる焦点移動装置を有しても良い。カメラ48の焦点深度が浅く、カメラ48が焦点移動装置を有していれば、カメラ48は、複数の焦点距離でフィルタ画像53を撮影できる。このとき、カメラ48は、焦点距離の異なる複数の映像を合成してフィルタ画像53(
図9参照)を作成できる。そして抽出手段63(
図5参照)は、焦点の合った焦点距離を検出して、異物51(
図8参照)の高さを演算できる。
【0040】
照明49は、窓43を通してフィルタ44の表面を照らす。照明49としては、スポット照明を利用できる。
【0041】
図4を参照して、封止装置26を説明する。封止装置26は、検査箇所185が交差穴であるときに、ノズル30を密着させる検査箇所185以外の開口部186、187を封止する。封止装置26は、シリンダ261、支持板262及び封止体263を含む。シリンダ261は、エアシリンダその他の流体シリンダを利用できる。支持板262は、シリンダ261によって移動できるよう構成される。例えば支持板262は、シリンダ261のシリンダロッドに固定される。シリンダ261は、シリンダロッドを伸ばしたときに、封止体263をワーク17に押し当てる。シリンダ261は、シリンダロッドを縮めたときに、封止体263をワーク17から離間し、退避位置に移動する。封止体263は、開口部186、187を封止できるよう構成される。封止体263は、ゴム板又はOリングによって構成できる。封止体263は支持板262に配置され、支持される。ノズル30が検査箇所185に密着させられるときに、封止装置26は検査箇所185の他の開口部186、187を封止できる。そして、検査箇所185に対する吸引が終了したときに、封止装置26は、封止体263を退避させて、開口部186、187を開放する。
【0042】
図5を参照して、制御装置60を説明する。制御装置60は、記憶装置61、数値制御装置62、抽出手段63、マッチング手段64及び出力装置65を含む。
【0043】
記憶装置61は、主記憶装置(メモリ)及び副記憶装置(ストレージ)によって構成できる。記憶装置61は、座標値記憶手段611、フィルタ画像記憶手段615、異物画像記憶手段614、異物情報記憶手段613を含む。
【0044】
座標値記憶手段611は検査座標記憶手段612を有する。座標値記憶手段611は、数値制御装置62によってアーム13を駆動するために必要な座標値、移動命令、ドゥエル、ツール番号を数値制御プログラムとして記憶できる。検査座標記憶手段612は、検査箇所番号、検査箇所18にノズル30を密着させるための座標及び移動命令を記憶できる。
【0045】
フィルタ画像記憶手段615は、それぞれの検査箇所番号又は検査座標値に対応させてフィルタ画像53(
図9参照)を記憶する。ここでカメラ48が焦点距離を変えてフィルタ画像53を撮影する場合は、フィルタ画像記憶手段615は、1つの検査箇所番号又は検査座標値に対して複数のフィルタ画像53を記憶できる。この場合において、フィルタ画像記憶手段615は、焦点が合致した部分を合成した合成画像を記憶してもよい。
【0046】
異物画像記憶手段614は、それぞれの検査箇所18に対応する異物画像52(
図9参照、異物画像521〜526の総称)を記憶する。ここで、異物画像52はフィルタ画像53から抽出した異物51(
図8参照)の画像である。
【0047】
異物情報記憶手段613は、検査箇所18に対応する異物51の異物画像52、長辺寸法、短辺寸法、面積、色彩、高さその他の異物51に関する情報を異物51毎に記憶できる。ここで、長辺寸法とは、異物の外周上の2点間の最大の距離をいう。短辺寸法とは、内接する最大円の直径をいう。異物情報記憶手段613は、検査箇所番号又は検査座標値と検査箇所18に対応する異物51の異物画像52を記憶する。
【0048】
数値制御装置62は、座標値記憶手段611に記憶された座標及び移動命令に基づいてアーム13を制御する。数値制御装置62はタイマーを備える。ここで、数値制御装置62は、座標に基づいてアーム13を制御するもの(例えば、直接教示作業により移動目標位置を記憶する制御装置)を広く含む。数値制御装置62は、圧縮空気供給装置28、排気装置25及び検出装置40を制御する。
【0049】
抽出手段63は、フィルタ画像53に含まれる異物画像52を抽出できる。このとき、抽出手段63は、背景色と異物51の色の違い、高さの違いなどに基づいて、異物画像52の輪郭を抽出できる。また、抽出手段63は、異物画像52から、その異物51に関連する長辺寸法、短辺寸法、面積、色彩、高さその他の異物51に関する情報を抽出できる。抽出手段63は、長辺寸法が指定値以上の異物のみを抽出できる。指定値は予めユーザーによって入力され、記憶装置61に記憶される。抽出手段63としては、既知の異物抽出装置(例えば特許文献1の測定装置)を利用できる。
【0050】
出力装置65は、液晶モニターその他の表示装置を含む。出力装置65は、検査箇所18毎の異物画像52及び異物画像52に関する情報を表示する。
【0051】
図9を合わせて参照して、マッチング手段64は、検査箇所番号n(
図9ではn=3)に対応するフィルタ画像533から抽出した異物画像523〜526と、検査箇所番号n−1(
図9ではn=2)に対応する異物画像521、522とをマッチング(照合)する。このとき、マッチング手段64は、外観形状に関する特徴点を抽出し、回転、対称、伸縮の変換を計算し、マッチングを判断できる。異物画像521と異物画像523、異物画像522と異物画像526をマッチングする。そして、一致しなかった異物画像524及び異物画像525を、検査箇所番号3から新たに吸引した異物として関連付ける。
【0052】
図6を参照して、検査方法について説明する。アーム13は、1番目の検査箇所に吸入口33を密着させる(S2)。排気弁251を開き、吸入口33から吸引を開始する(S3)。圧縮空気をランス34から噴射する(S4)。ランス34を検査箇所18へ挿入する(S5)。異物51を吸い上げて、フィルタ44に捕捉する(S6)。ランス34からの圧縮空気の噴射を停止する(S7)。排気弁251を閉じて吸引を停止する(S8)。カメラ48はフィルタ画像53を撮影する(S9)。抽出手段63はフィルタ画像53から異物画像52を抽出する(S10)。続いてマッチング手段64は先の検査箇所で抽出した異物画像52と、現在の検査箇所で抽出した異物画像52とのマッチングを行う。マッチングした結果、現在の検査箇所で新しく抽出した異物の像を現在の検査箇所に関連付けて記憶する(S11)。抽出手段63は、現在の検査箇所で新しく抽出した異物画像52から、異物情報を抽出できる(S12)。ステップS2ないしステップS10をそれぞれの検査箇所毎に繰返す(S1,S13,S14)。
【0053】
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0054】
説明の便宜上、ステップS1,S13,S14は、
図6では単純な繰り返し演算のように示した。実際には、ステップS1ないしステップS14を通して、数値制御装置62が座標値記憶手段611に記憶された数値制御プログラムに示された順序に従って、アーム13、検出装置40、排気装置25を制御する。
図7に示すように、アーム13は、プログラムされた経路55に沿って移動し、ワーク17に設定された検査箇所181ないし185に、ノズル30を順に密着させ、ランス34を挿入する。
【0055】
図8を参照して、ステップS2ないしステップS8について説明する。まず、アーム13は、検査箇所18に吸入口33をワーク表面171にほぼ垂直に近づけていく。そして吸入口33を検査箇所18に密着させる(S2)。
図8の左の図はこの状態を示している。次に数値制御装置62は、排気装置25を起動し、排気弁251を開弁する。検査箇所18、吸入管38及び吸引ダクト21内の空気が排気される(S3)。続いて、数値制御装置62は圧縮空気供給装置28から圧縮空気を送気する。圧縮空気はノズル交換装置35、ランス34を通って噴口341から噴出する(S4)。
【0056】
次にアーム13は、ノズル30を更にワーク17に押し付ける。すると、つるまきばね325が縮んで、吸入吻32が吸入管38の内部へ摺動する。そして、ランス34が検査箇所18内部に挿入される(S5)。
図8の右の図はこの状態を示している。噴口341から噴出した圧縮空気の噴流は、ねじ山188にそった旋回流57となる。検査箇所18のねじ山188に付着した異物51は、旋回流57にのって剥がれ、吸入口33から吸い上げられる。
【0057】
ランス34は、検査箇所18の底に到達しない程度に挿入され、その後引き上げられる。ランス34が引き上げられたときにおいて、吸入口33は、検査箇所18に継続して密着している。ランス34の挿入は複数回繰返しても良い。
ノズル30は吸入吻32及びランス34を有するため、ランス34が検査箇所18に挿入できる。ランス34が検査箇所18に挿入することにより旋回流57が検査箇所18の奥深くへ到達でき、検査箇所18内の異物51を吐き出せる。
【0058】
ステップS6を説明する。検査箇所18内部の異物51は吸入口33から吸引される。吸引された異物51は吸引ダクト21および吸引通路471を通り、捕捉室42に流れ込み、フィルタ44の表面に捕捉される。吸引された空気はフィルタ44及び支持体45を通り抜け、緩衝室46及び吸引通路472を通って排気装置25によって排気される。
【0059】
数値制御装置62は、ランス34が引き上げられた後の通過時間を計測する。ここで、通過時間は、吸引された異物51がフィルタ44に捕捉されるまでの時間をいう。数値制御装置62が通過時間の経過を待つ間、排気装置25は吸入口33からの吸引を継続する。
【0060】
続いて、数値制御装置62は、圧縮空気供給装置28からの圧縮空気の送気を停止する(S7)。そして数値制御装置62は、排気弁251を閉弁する(S8)。なお、ステップS8において、排気弁251の閉弁に替えて、排気装置25を停止できる。
【0061】
なお、検査装置10が封止装置26を備える場合、ステップS2の前に封止装置26が開口部186、187を封止する。このとき、ステップS8終了後に封止装置26が開口部186、187を解放できる。
【0062】
ステップS9を説明する。数値制御装置62は、照明49を点灯する。数値制御装置62は、カメラ48を駆動する。カメラ48は、窓43を通してフィルタ44の撮影をする。カメラ48は、得られたフィルタ画像53をフィルタ画像記憶手段615に記録する。
【0063】
ステップS10を説明する。抽出手段63は、フィルタ画像53をフィルタ画像記憶手段615から読み出す。フィルタ画像532から異物画像523〜526を抽出する。ただし、ここでは、前回において異物画像521、522が抽出されているものとする。抽出された異物画像523〜526は異物画像記憶手段614に記憶される。
【0064】
図9を参照して、ステップS11を説明する。マッチング手段64は、異物画像記憶手段614から、前回(図ではn=2)のフィルタ画像532に含まれる異物画像521、522と、今回(n=3)のフィルタ画像533に含まれる異物画像523〜526とのマッチングを行う。マッチングの結果、一致しなかった異物画像524、525を検査箇所183に対応する異物51と判断する。異物情報記憶手段613は、検査箇所番号又は検査座標と対応させて異物画像524、525を異物情報記憶手段613に記憶する。
【0065】
ステップS12では、抽出手段63は、検査箇所183(
図7参照)に対応する異物画像524、525に関する長辺寸法等の異物51に関する異物情報を抽出できる。異物情報記憶手段613は、異物画像524、525と合わせて異物情報記憶手段613に記憶できる。
【0066】
図10に示すように、出力装置65は、検査箇所18毎に、検査箇所18に対応する異物画像52及び異物画像に関する情報を出力する。なお、
図10中の数値は、長辺寸法×短辺寸法の例示である。
【0067】
なお、ステップS10ないしステップS12は、全ての検査箇所18に関する吸引及び撮影(S2ないしS9)を終えてから一括して実行できる。フローチャート中の数値Yは、検査箇所18の総個数を示す。
【0068】
本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の検査装置10によれば、ワーク17に付着していた異物51を、付着していた検査箇所18毎に分別して異物画像52を得られる。そのため、ワーク17のどの位置にどのような形状の異物51が残留していたのかを特定して記録できる。そして、検査装置10を洗浄後の検査に用いれば、洗浄効果を部位毎に定量評価できる。
【0069】
検査装置10は、フィルタ画像53から一旦異物画像52を抽出した後に、検査箇所18毎のフィルタ画像53に含まれる異物画像52をマッチングする。そのため、検査中に異物51がフィルタ44上で移動、反転したとしても、異物51を正確な形状で正確な数だけ抽出できる。
【0070】
検査装置10は、それぞれのフィルタ画像53を記憶できる。フィルタ画像53をストレージなどに記憶させた場合、検査終了後にフィルタ画像53からのデータ抽出を行い得る。この場合、データ抽出条件を変えてデータ処理を行えば、異なる条件下で得られた結果を相互比較して、データの信頼性を向上できる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の検査装置70について
図11ないし
図13を参照して説明する。検査装置70は、第1実施形態の検査装置10の内、アーム13、検出装置40及び制御装置60を有さない。検査装置70は、トリガー71、検出装置73及び制御装置80を有する。検出装置73は、高速度カメラ75を含む。ノズル30はグリップ72を含んでもよい。その他の構成については検査装置10と同様である。
【0072】
トリガー71は、フットスイッチ又はノズル30に取り付けた引き金を利用できる。トリガー71が引かれたときに、トリガー71はトリガー信号を発する。
【0073】
図12を参照して、検出装置73について説明する。検出装置73は、透明通路74、高速度カメラ75及び照明49を含む。透明通路74は、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、強化ガラス、サファイヤガラスその他の透明材料で構成できる。透明通路74は、断面形状が長方形の薄い通路として構成できる。断面形状を薄型に構成すれば、内部の流れが均質になり、透明通路74を通過する異物51の速度が一定になる効果が期待できる。透明通路74の内部に硬質皮膜を設けてもよい。高速度カメラ75は、透明通路74の方向と垂直な方向に向けて設けられている。透明通路74の断面が薄型の場合には、断面の薄い方向に高速度カメラ75のレンズが向けられる。高速度カメラ75は、撮影速度が4000ないし10000fps、高速転送に適応できるものが選択できる。0.1ないし0.5mmの大きさの異物を撮影できるよう、高速度カメラ75は接近レンズを有することが望ましい。高速度カメラ75は、カウンタ83によって制御される。
【0074】
なお、透明通路74は、透明材料で構成された観測用窓と、観測用窓を取り付ける不透明材料で構成されたハウジングとで構成できる。この場合、観測用窓を強化ガラス又はサファイヤガラスで構成し、観測用窓以外の部分を金属で構成できる。このように構成すれば、透明通路74のコストと強度を両立できる。
【0075】
検査装置70は、ノズル交換装置35(
図11参照)を省いてもよい。また、ノズル交換装置35は、手動で脱着できるよう構成されてもよい。
【0076】
図13を参照して、制御装置80について説明する。制御装置80は、カウンタ83、記憶装置81、及び抽出手段82を含む。
【0077】
カウンタ83は、トリガー71の信号を計数する。カウンタ83はタイマーとして働く。トリガー71が引かれた時から撮像待機時間を計測できる。ここで、撮像待機時間は、ノズル30から吸引された異物51が検出装置73に到達する時間に相当する。撮像待機時間は、異物51の吸引開始時から異物51の検出までに必要な通過時間よりも0.5ないし1s程度短い時間を設定できる。また、カウンタ83は、トリガー71が離されて解放された時から、通過時間が経過するまでを計測できる。カウンタ83は、トリガー71が引かれた回数をトリガー番号として計数する。カウンタ83は、トリガー番号を記憶装置81に送信する。また、カウンタ83は、トリガー信号を受けてから待機時間をカウントし、待機時間経過後に圧縮空気供給装置28からノズル30へ圧縮空気を送気できる。待機時間は、あらかじめカウンタ83に記憶される。待機時間は1〜5sに設定できる。
【0078】
抽出手段82は、高速度カメラ75が撮像した映像の全体から、異物51が含まれる異物動画を抽出できる。抽出手段82は、映像全体または異物動画から、異物51の全体像が最も明瞭に撮影されたフレームを異物画像として抽出する。
【0079】
抽出手段82は、背景色と異物51の色の違いなどに基づいて、異物51の輪郭を抽出できる。ここで、背景色及び異物51の色とは、高速度カメラ75がモノクロカメラであれば、明度を表す。また、抽出手段82は、異物51の異物画像52等から、その異物51に関連する長辺寸法、短辺寸法、面積、色彩、高さその他の異物51に関する異物情報を抽出できる。抽出手段82は、長辺寸法が指定値以上の異物のみを抽出できる。指定値は予めユーザーによって入力され、記憶装置81に記憶される。
【0080】
記憶装置81は異物画像記憶手段813及び異物情報記憶手段814を有する。さらに、記憶装置81は、異物動画記憶手段812を含んでもよい。異物動画記憶手段812は、異物動画をトリガー番号と結び付けて記憶できる。異物画像記憶手段813は、異物画像をトリガー番号と結び付けて記憶する。異物情報記憶手段814は、トリガー番号と、異物画像及び異物情報を結び付けて記憶する。
【0081】
図14を参照して、検査装置70を用いた異物の検査方法について説明する。作業者は、検査箇所18に、ノズル30の吸入口33を密着させる(S22)。作業者がトリガー71を引くと、排気装置25が排気を開始し、吸入口33から吸引する(S23)。圧縮空気供給装置28はノズル30へ圧縮空気を供給できる。そして、圧縮空気をランス34から噴射する(S24)。作業者はランス34を検査箇所18へ挿入する(S25)。高速度カメラ75は動画を撮影する(S26)。抽出手段82は、異物動画から異物画像を抽出する(S27)。カウンタ83は通過時間の経過を待つ(S28)。圧縮空気供給装置28は送気を停止する(S29)。排気装置25は排気を停止する。吸入口33からの吸引が停止する(S30)。
【0082】
ステップS22は、作業者がノズル30を移動させる。その他はステップS2と同様である。
【0083】
ステップS23について説明する。作業者は、トリガー71を引く。排気装置25は、トリガー71からトリガー信号を受けて排気を開始する。ノズル30は、吸引を開始する。
【0084】
ステップ24について説明する。トリガー71が引かれてから待機時間が経過したときに、圧縮空気供給装置28は、ノズル30へ圧縮空気を供給できる。
【0085】
なお、圧縮空気送気用の第2のトリガーを別に設けてもよい。この場合、第2のトリガーが引かれている間、圧縮空気供給装置28は、ノズル30へ圧縮空気を供給する。
【0086】
ステップS25は、作業者がノズル30を手で動かし、検査箇所18に挿入する。その他はステップS5と同様である。
【0087】
ステップS26について説明する。カウンタ83は、トリガー信号の受信と同時に、又はトリガー信号の受信後に撮像待機時間の経過を待って、高速度カメラ75に撮像を開始させる。異物51は、検査箇所18から吸引される。吸引された異物51は、吸引ダクト21を通って透明通路74へ到達する。異物51は、透明通路74内を通過する。高速度カメラ75は、異物51が透明通路74内を通過する様子を撮像する。異物51は、薄型断面の透明通路74内の流れに乗って通過するため、異物51は、広い面を高速度カメラ75に向けて通過する。そのため、高速度カメラ75は、明瞭に異物51を撮像できる。
【0088】
ステップS27について説明する。抽出手段82は、コントラスト又は色彩の変化を利用して、異物動画を抽出できる。抽出手段82は、異物動画を異物動画記憶手段812に記憶させる。また、抽出手段82は異物動画から異物画像52をキャプチャする。抽出手段82は異物画像52を異物画像記憶手段813に記憶させる。抽出手段82は、異物画像52から異物情報を抽出し、異物情報記憶手段814に記憶させる。異物動画、異物画像、異物情報はトリガー回数と共に記憶される。
【0089】
ステップS28について説明する。カウンタ83は、トリガー信号が消滅してから、通過時間が経過するまでの時間を計測する。通過時間が経過したのちに、カウンタ83は、高速度カメラ75の撮影を停止する。
【0090】
ここで、通過時間が経過する前に再度、トリガー71が引かれたときは、制御装置80は警告を発してもよい。このときは、記憶装置81は、抽出された異物画像を警告と共に記憶できる。
【0091】
また、通過時間が経過するまで、カウンタ83はトリガー71を引けないように電磁ロックできる。
【0092】
ステップS29について説明する。通過時間が経過した後に、圧縮空気供給装置28は、ノズル30への圧縮空気の供給を停止する。
【0093】
ステップS30では、通過時間が経過した後に、排気装置25は排気を停止する。ステップS30は、ステップS29の後に実行されることが望ましい。ステップS30がステップS29の後に実行されれば、供給された圧縮空気は排気装置25によって廃棄されるため、ノズル30が検査箇所18を離れたときに、噴口341から噴出した圧縮空気によって、ワーク17に付着した異物がはがれることを防止できる。
【0094】
作業者がすべての検査箇所18についてステップS22ないしS30を実行させたときに、検査装置70は検査を終了する。出力装置65は、検出した異物51の画像を、トリガー番号及び異物情報と共に出力する。
【0095】
なお、検査装置70は、終了ボタンを備えてもよい。この場合において、終了ボタンが押された時に、検査装置70は、検査を終了する。また、トリガー71を短い時間の間に連続して引かれたときに検査の終了としてもよい。
【0096】
検査装置70の作用効果について説明する。検査装置70は、作業者がノズル30を手で持って動かせるため、少量のワーク17について容易に検査できる。特に、特定の検査箇所18内部の残留異物を計測したいときには、手動装置が便利である。
【0097】
検査装置70は、高速度カメラ75を備えるため、透明通路74内を通過する異物51を明瞭に撮像できる。
【0098】
なお、検査装置70は、アーム13、数値制御装置62及び座標値記憶手段611を備えてもよい。この場合、トリガー71及びカウンタ83に替えて数値制御装置62が全体を制御できる。
【0099】
(第3実施形態)
以下、
図15ないし
図17を参照して、第3実施形態の検査装置90について説明する。検査装置90は、検査装置10の検出装置40及び制御装置60を含まない。検査装置90は、検出装置91及び制御装置99を含む。検査装置90のその他の構成は検査装置10と同様である。
【0100】
図15を参照して、検出装置91について説明する。検出装置91は、透明通路74、光電センサ92及び光電センサ93を有する。光電センサ92は投光器921及び受光器922を含む。光電センサ93は投光器931及び受光器932を含む。投光器921は、透明通路74の全幅にわたって広がる帯状の投射光94を投光する。投射光94は、透明通路74の流れ方向(図の左右方向)と垂直に投光される。投射光94としては、レーザー又はパルス変調光が利用できる。受光器922は、透明通路74を通過した投射光94を受光する。そして、受光器922は、投射光94内を通過した異物51によって遮光された遮光幅Hを検出できる。受光器922は、高い周波数fで遮光幅Hを検出できる。周波数fは通過する異物51を複数回検知できるように設定できる。例えば周波数fは16ないし32kHzが利用できる。光電センサ93は光電センサ92と同一の構造、機能を有する。光電センサ92と光電センサ93は、距離Lを開けて平行に設置される。
【0101】
なお、2組の光電センサに替えて、1組の光電センサと、透明通路74内の流速を測定する流速計との組み合わせを利用できる。このとき、流速計としてはレーザードップラー流速計が利用できる。
【0102】
図16を参照して、制御装置99について説明する。制御装置99はデータロガー103、抽出手段101及び記憶装置105を有している。記憶装置105は、異物情報記憶手段106及び波形記憶手段107を有する。
【0103】
データロガー103は、光電センサ92、光電センサ93の遮光幅Hを周波数fで取得する。取得した波形は波形記憶手段107に記憶される。
【0104】
抽出手段101は、波形記憶手段107に記憶された波形から、検出装置91を通過した異物51の波形を抽出する。そして、抽出した波形から、異物51のサイズを演算する。演算された異物51のサイズおよび波形を異物情報記憶手段106が記憶する。
【0105】
図17を参照して、抽出手段101の機能について説明する。
図17は、光電センサ92の遮光量を示すグラフ95及び光電センサ93の遮光量を示すグラフ97を含む。グラフ95及びグラフ97は、横軸に時間tを、縦軸に遮光幅Hを示す。グラフ95及びグラフ97は、時間tが同期した状態で示されている。グラフ95及びグラフ97はほぼ同一形状のピーク95a1、95a2、95b1、95b2を示す。抽出手段101は、グラフ95に含まれるピーク95a1、95b1・・・と、グラフ97に含まれるピーク95a2、95a3・・・とをマッチングする。抽出手段101は、ピーク幅及びピーク高さ、ピーク形状と、ピークの順番、ピーク間の検出時間差に基づいて、対応するピークを判別できる。抽出手段101は、一致した対応するピークを一組とする。抽出手段101は、一致しなかったピークを省いてもよい。ピーク間の検出時間差は、一組のピーク95a1、95a2の時間差とする。
このとき、
【0107】
ここで
Δt:一組のピークの検出開始時の時間差
A:異物51の面積
s:取得データ一つに相当する流れ方向における異物長さ
V:異物51の通過速度
f:データ取得周波数
H:各データの示す遮光幅
L:光電センサ92、93の設置距離
n:ピークに含まれるデータ数
s1:異物51の長辺長さ
【0108】
なお、光電センサ92及び光電センサ93で検出した一組の抽出したピークのサイズが異なる場合、抽出手段101は、対応する2つのピークのうち、サイズが大きいピークについて異物の長さs1及び面積Aを演算できる。
【0109】
抽出手段101は、アーム13が一つの検査箇所18にノズル30を密着し、ランス34の挿入を終えたのち、通過時間が経過するまでに、検出したピーク95a(95a1、95a2)、95b(95b1、95b2)…を、その検査箇所18に対応する異物として抽出する。異物情報記憶手段106は、算出した異物に関する情報及び関連するピークを検査箇所18と関連付けて記憶する。
【0110】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。