(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688269
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】VRコンテンツ視聴装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/234 20110101AFI20200421BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20200421BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
H04N21/234
H04N21/258
G06F13/00 650R
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-196473(P2017-196473)
(22)【出願日】2017年10月8日
(65)【公開番号】特開2019-71539(P2019-71539A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】517158083
【氏名又は名称】株式会社スペースリー
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】110002125
【氏名又は名称】特許業務法人アイザック国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田博和
(72)【発明者】
【氏名】中村友一
【審査官】
長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/002445(WO,A1)
【文献】
特開2004−272216(JP,A)
【文献】
特開2012−175178(JP,A)
【文献】
特開2006−005415(JP,A)
【文献】
特開2010−147845(JP,A)
【文献】
特開2004−241817(JP,A)
【文献】
特開2003−199074(JP,A)
【文献】
特開2003−339038(JP,A)
【文献】
特開2017−183855(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/050733(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04N 7/14−7/15
H04N 5/91−5/95
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報端末と、第2の情報端末との間でサーバ装置を通じて、VRコンテンツをリアルタイムの共有するVRコンテンツ視聴装置において、
前記サーバ装置は、
第1の情報端末、及び第2の情報端末からの要求に基づいて前記VRコンテンツを描写する描写部と、
前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末との間での前記VRコンテンツの同期を同期情報に基づいて処理する同期処理部と、
を備え、
前記同期処理部は、特定のURLを生成するとともに、当該URLに接続した情報端末との間で常時接続状態を維持し、
前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、
ブラウザを通じてインターネット経由で特定のURLによって特定される前記同期処理部に接続して前記描写部によって描写された前記VRコンテンツを前記ブラウザ上で再生するとともに、
前記VRコンテンツを再生している状態において、VRコンテンツを閲覧する方向を示す視線情報を前記同期情報として前記サーバ装置に対して送信し、
前記同期処理部は、共通のURLに接続した前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示する
ことを特徴とするVRコンテンツ視聴装置。
【請求項2】
前記VRコンテンツは、動画形式の動画データであり、
前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、前記同期情報として、前記動画データの再生時間情報を前記サーバ装置に送信し、
前記同期処理部は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報、及び前記再生時間情報に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示する
ことを特徴とする請求項1に記載のVRコンテンツ視聴装置。
【請求項3】
前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、前記同期情報として、前記VRコンテンツへの操作指示を示すコマンド情報を前記サーバ装置に送信し、
前記同期処理部は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報、及び前記コマンド情報による操作指示に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示する
ことを特徴とする請求項1、又は2に記載のVRコンテンツ視聴装置。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末における前記視線情報の送信を許諾するか否か、及び前記コマンド情報の送信を許諾するか否かを定める属性情報を含んだ前記URLを生成し、
前記第1情報端末、及び前記第2情報端末は、接続した前記属性情報を含む前記URL、によって前記属性情報が付与され、
前記同期処理部は、前記第1情報端末、及び前記第2情報端末に付与された前記属性情報に基づいて、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末からの前記視線情報、及び前記コマンド情報のうち許容されている前記同期情報のみを用いて前記描写部に描写を指示する
ことを特徴とする請求項3に記載のVRコンテンツ視聴装置。
【請求項5】
前記サーバ装置は、複数の情報端末をグルーピングするグルーピング情報を含んだ前記URLを生成し、
前記複数の情報端末は、接続した前記属性情報を含む前記URLによって所属する前記グルーピング情報が付与され、
前記同期処理部は、前記複数の情報端末のうち、同一の前記グルーピング情報が付与されたものに対する前記VRコンテンツの描写を、前記同期情報に基づいて前記描写部に指示する
ことを特徴とする請求項4に記載のVRコンテンツ視聴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VRコンテンツの視聴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、360度を見渡せるVRコンテンツをスマートフォンなどの情報端末やVR用のヘッドセットを用いて閲覧する場合に、どこを見ているか何をしているかなどの状況を他の人とリアルタイムで同期したいこと場合がある。例えば、VRコンテンツで不動産を仮想的に内見する人の体験状況を、営業マンの持っている別のPCなどに同期して表示されたものを見ながら案内や説明を行う場合が想定される。不動産以外にも案内するものとして、観光やウェディング、自動車などの乗り物など空間や雰囲気が重要なものを中心にあらゆるものが対象となる。
【0003】
この際には、現状、両者の間は同一のネットワーク内で見ている画像や映像データを常に送って同期する方法や、遠方の場合では映像など大きなデータを送るための高速な回線を別途用意する方法が用いられ、端末間で通信をするためには両端末にあらかじめ同期のための特別なソフトウェアをインストールする必要性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−7406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなことで、両者間の回線速度が問題となって遅延が起こるとリアルタイムでの同期が正常に行われなかったり、別の回線で大容量データを送るようにしていたり、別のこのための特別なソフトウェアをあらかじめインストールするなど、煩わしいプロセスが必要となっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、通信帯域の広い回線を用意する必要や特別なアプリケーションのインストールの必要なく、端末間での高速なVRコンテンツの通信を可能とするVRコンテンツ視聴装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、第一の発明の実施形態は、第1の情報端末と、第2の情報端末との間でサーバ装置を通じて、VRコンテンツをリアルタイムの共有するVRコンテンツ視聴装置において、前記サーバ装置は、第1の情報端末、及び第2の情報端末からの要求に基づいて前記VRコンテンツを描写する描写部と、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末との間での前記VRコンテンツの同期を同期情報に基づいて処理する同期処理部とを備え、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、ブラウザを通じてインターネット経由で特定のURL、又はIPアドレスに接続して前記描写部によって描写された前記VRコンテンツを前記ブラウザ上で再生するとともに、前記VRコンテンツを再生している状態において、VRコンテンツを閲覧する方向を示す視線情報を前記同期情報として前記サーバ装置に対して送信し、前記同期処理部は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示することを特徴とする。
【0008】
また、前記VRコンテンツは、動画形式の動画データであり、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、前記同期情報として、前記動画データの再生時間情報を前記サーバ装置に送信し、前記同期処理部は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報、及び前記再生時間情報に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示するようにしてもよい。
【0009】
さらには、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末は、前記同期情報として、前記VRコンテンツへの操作指示を示すコマンド情報を前記サーバ装置に送信し、前記同期処理部は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末間で同期するように前記視線情報、及び前記コマンド情報による操作指示に基づいて前記VRコンテンツの描写を前記描写部に指示するようにしてもよい。
【0010】
さらには、前記サーバ装置は、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末における前記視線情報の送信を許諾するか否か、及び前記コマンド情報の送信を許諾するか否かを定める属性情報を含んだ前記URL、又は前記IPアドレスを生成し、前記第1情報端末、及び前記第2情報端末は、接続した前記属性情報を含む前記URL、又は前記IPアドレスによって前記属性情報が付与され、前記同期処理部は、前記第1情報端末、及び前記第2情報端末に付与された前記属性情報に基づいて、前記第1の情報端末、及び前記第2の情報端末からの前記視線情報、及び前記コマンド情報のうち許容されている前記同期情報のみを用いて前記描写部に描写を指示するようにしてもよい。
【0011】
さらには、前記サーバ装置は、複数の情報端末をグルーピングするグルーピング情報を含んだ前記URL、又は前記IPアドレスを生成し、前記複数の情報端末は、接続した前記属性情報を含む前記URL、又は前記IPアドレスによって所属する前記グルーピング情報が付与され、前記同期処理部は、前記複数の情報端末のうち、同一の前記グルーピング情報が付与されたものに対する前記VRコンテンツの描写を、前記同期情報に基づいて前記描写部に指示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態のシステムの機能構成を示すブロック図。
【
図2】本実施形態の情報端末とサーバ装置間でのデータのやり取りの流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のVRコンテンツ視聴装置を具体化した実施形態について説明する。
図1は、VRコンテンツ視聴装置1の機能構成図である。VRコンテンツ視聴装置1は、サーバ装置10と、第1の情報端末20、第2の情報端末30、第3の情報端末40、第4の情報端末50を備えている。サーバ装置10と、各情報端末20〜50はインターネットを通じて互いに通信可能である。
【0014】
サーバ装置10は、描写部11、同期処理部12、URL生成部13、データ記憶部14を備えている。なお、これら各部は同一のサーバ内に設けられてもよいし、複数のサーバに分散して設けられてもよい。描写部11は、データ記憶部14に保存されているVRコンテンツを読み出し、各情報端末20〜50からの要求に応じてこれをブラウザに表示可能なように描写する。情報端末20〜50は、WEBサイト閲覧用のブラウザを通じて、サーバ装置10へと接続し、VRコンテンツを閲覧する。同期処理部12は、各端末間で視聴しているVRコンテンツを同期させる処理を行う。同期の処理は各情報端末20〜50から送られてくる同期情報に基づいて行われる。
【0015】
同期情報としては、例えば視線情報、コマンド情報、再生時間情報などが含まれる。視線情報は、ある情報端末がVRコンテンツを視聴している際にどの視点からどの方向に向かってみているかを示す情報である。コマンド情報は、VRコンテンツに対する情報端末からの特定のアクションを指示する情報である。指示の方法としてはVRコンテンツ内での視線を特定の領域に重ねたり、瞬きや指でコンテンツを操作するなどの方法がとりうる。指示の内容としては、説明コメントをVR空間内に表示させたり、別のシーンに移動したり、所望の画像をVR空間内に表示したり、所望の音声を流したりといったものである。
【0016】
また、再生時間情報は、VRコンテンツが動画である場合に、動画データのどのタイミングの場面が再生されているかを示す情報である。URL生成部13は、各情報端末に対してVRコンテンツを閲覧するためのURLを生成する。
【0017】
URL生成部13は、情報端末20〜50がWEBブラウザを通じてアクセスすることによってVRコンテンツを視聴可能なURL、又はIPアドレスを生成する。この際、URL生成部13は、URLに対して情報端末20〜50の属性情報を付与する。例えば、http://●●●.html?mode=1のような態様で送る。属性情報としては
属性1:情報端末から同期情報として視線情報、再生時間情報、コマンド情報のすべてを同期情報としてサーバ装置10へと送信する
属性2:情報端末から同期情報としてコマンド情報は送信するが、視線情報、再生時間情報は送信しない
属性3:情報端末から何も同期情報は送信せずに、VRコンテンツの視聴のみを行う
ものが設定される。
【0018】
また、URL生成部13は、情報端末20〜50をグルーピングするためのグルーピング情報を含んだURLを生成する。本実施形態では、第1の情報端末20と第2の情報端末30とが同じグループに属する。また、第3の情報端末40と第4の情報端末50とが同じグループに属する。この場合、グルーピング情報としては、URLに対して属性情報と同じような態様で埋め込まれる。したがって、同様のグルーピング情報が付与されたURLに接続した端末が同一のグループに属することとなる。サーバ装置10は、接続したすべての情報端末に同期したVRコンテンツを送るのではなく、同一のグループに属する端末に対してのみ、同期情報に基づくVRコンテンツの描写が行わられるように処理される。したがって、本実施形態では第1の情報端末20と第2の情報端末30とは、同期したVRコンテンツを視聴し、第3の情報端末40と第4の情報端末50とが同期したVRコンテンツを視聴する。
【0019】
第1の情報端末20は、同期情報送信部21を備えている。同期情報送信部21は、サーバ装置10へと同期情報を送信する。例えば、視線情報としては、空間全体の緯度経度の一点を向いた方向を伝えており、コマンド情報は、あらかじめ定義されたVRアクションの関数を起動するための文字列などである。同期情報送信部21は、同期情報を1秒間に約60回(毎フレーム)程度サーバ装置10へと送信する。通信の方式としては、TCP/IPが用いられる。プロトコルはHTTPとwebsocketが用いられ、websocketは双方向通信して同期するデータのやり取りに用いられる。
【0020】
第1の情報端末20は、ブラウザを通じてインターネット経由で特定のURLに接続した際に、描写部11によって描写されたVRコンテンツをブラウザ上で閲覧することができる。
【0021】
続いて、情報端末20〜50とサーバ装置10との間のデータのやりとりの流れを
図2を用いて説明する。まず、初めにサーバ装置10のURL生成部13は、属性情報やグルーピング情報事にそれぞれのURLを生成する(ステップS101)。URL生成の処理はこの装置を活用して、端末間での同期したVRコンテンツを見ようとする者が管理画面から行うことを想定している。例えば、不動産の営業担当者が閲覧する端末に応じて設定を使い分けると、対応したURLが生成される。
【0022】
各情報端末20〜50は、この自分の属性やグループに沿って生成されたURLをブラウザを通じて入力し、URLへの接続要求を行う(ステップS102)。なお生成されたURLはメールなどを用いて各端末へと送信される。
【0023】
情報端末20〜50からの接続要求があると、サーバ装置10は、その端末の属性情報、及びグルーピング情報を確認し(ステップS103)、その属性及びグループに対応したVRコンテンツを描写部11に描写させ、ブラウザ上に表示させる(ステップS104)。
【0024】
同期処理部12は、視線情報やコマンド情報などの同期情報を情報端末20〜50から受け取り、(ステップS105:Yes)、受け取った同期情報が、同期情報に基づく同期処理を許容する属性情報が付与された情報端末からのものかを判定する(ステップS106)。許容する情報端末からの同期情報である場合(ステップS106:Yes)、その受け取った同期情報に基づいてVRコンテンツを再描写するべく描写部11へと指示を送る(ステップS107)。許容しない情報端末からの同期情報である場合(ステップS106:No)、同期処理部12はその同期情報に基づく同期処理は行わない。
【0025】
以上に示した本実施形態のVRコンテンツ視聴装置1においては、URLを通じてインターネットにアクセス可能な端末においては、すぐにVRコンテンツを閲覧可能であるため、新たなデバイスを用意することなくVRコンテンツの同期した閲覧が可能となる。またブラウザによってVRコンテンツの同期処理が可能となるため、新たなソフトを各情報端末にインストール必要もなく、容易にVRコンテンツの同期が可能となる。さらには、情報端末とサーバ装置10間でやり取りされるデータは、閲覧している画像や動画データは含まず、軽い同期情報のデータのみのやり取りのため大容量通信が可能な帯域でなくても双方向コミュニケーションが十分可能なリアルタイム性が実現される。
【0026】
また、VRコンテンツの場合は、画像や映像のデータが目の前で見えている範囲以外も同時に読み込まれており、大容量化をしてしまうという特徴がある。端末間でVRコンテンツの閲覧を同期する上で、この大容量になるデータ自体を端末とサーバ間では送ることはせず、空間写真や映像のデータはサーバ上に保存された状態とする。このため、お互いの端末間では同期情報だけを送受信し、サーバ上でVRコンテンツを各デバイスに向けて描写するというやり方で、あたかもミラーリングしているような同期処理を施すことができる。
【符号の説明】
【0027】
1…VRコンテンツ視聴装置
10…サーバ装置
11…描写部
12…同期処理部
13…URL生成部
14…記憶部