(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜7のいずれか1項に記載のキーボード装置を備えた本体筐体と、該本体筐体とヒンジを用いて回動可能に連結されたディスプレイ筐体とを備えることを特徴とする電子機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術の構成では、キーボード装置が剛性不足によってふかふかし、キートップの操作感が低下することを防止するため、数十本単位となる多数のねじを用いてキーボードアセンブリをフレーム部材に固定している。このため、この構成では、多数のねじの使用によって部品点数が増加することでコストや重量が増加し、組付作業の手間もかかる。さらに、この構成では、多数のねじを螺合するねじ穴をフレーム部材に形成する必要があり、この作業のための手間やコストも必要となる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、コスト、重量及び作業工程を低減することができるキーボード装置及び該キーボード装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るキーボード装置は、第1シート状部材と、前記第1シート状部材の上面に配置されるメンブレンシートと、前記メンブレンシートの上面に配置され、前記第1シート状部材との間で前記メンブレンシートを面内方向に移動可能な状態で支持する第2シート状部材と、前記第1シート状部材と前記第2シート状部材とを連結する連結部材と、前記第2シート状部材の上面側に設けられたガイド機構によって上下動可能に支持され、押下操作されることで前記メンブレンシートの接点を接離させる複数のキートップと、隣接する前記キートップ間を区画すると共に、その下面に前記第2シート状部材の上面が接着固定されるフレーム部材と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、第1シート状部材との間にメンブレンシートを支持した第2シート状部材と、フレーム部材とが接着固定される。すなわち当該キーボード装置は、メンブレンシートやキートップを設けたキーボードアセンブリをフレーム部材に対して接着固定するため、その固定に多数のねじを用いる必要がなく、ねじを全く用いないことも可能である。このため、当該キーボード装置は、その剛性を確保してキートップの高い操作感を確保しつつも、部品点数の増加によるコストや重量の増加を防止でき、さらに組付作業の工程やフレーム部材に対するねじ穴加工の作業も低減することができる。しかも当該キーボード装置では、連結部材によって互いに連結された第1シート状部材と第2シート状部材との間で、メンブレンシートが面内方向に移動可能な状態で支持されている。このため、環境温度等の影響でメンブレンシートが熱膨張等を生じた場合であっても、メンブレンシートが第1シート状部材と第2シート状部材との間で伸縮移動することで、メンブレンシートの接点が常時閉じる等の不具合の発生を防止できる。
【0009】
前記第1シート状部材及び前記第2シート状部材は、樹脂材料で形成された構成であってもよい。そうすると、第1シート状部材及び第2シート状部材をアルミニウム等の金属材料で形成する場合に比べて大幅な軽量化が可能となる。この際、当該キーボード装置は、メンブレンシートやキートップを設けたキーボードアセンブリがフレーム部材に対して直接的に接着固定されているため、前記第1シート状部材及び前記第2シート状部材を樹脂材料で形成しつつも高い剛性を確保できる。
【0010】
前記フレーム部材は、前記複数のキートップ全体の外周を囲むように設けられた外枠部と、前記外枠部の内側で網目状に設けられ、各キートップ間を区画する内枠部と、を有し、前記第2シート状部材は、前記外枠部及び前記内枠部に対して接着固定された構成であってもよい。そうすると、当該キーボード装置は、メンブレンシートやキートップを設けたキーボードアセンブリの外周縁部及び各キートップの周囲がフレーム部材に接着固定される。このため、当該キーボード装置は、一層高い剛性を得ることができ、各キートップの操作感が一層高品質なものとなる。
【0011】
前記第1シート状部材と前記第2シート状部材との間に介在し、該第1シート状部材と該第2シート状部材との間隔を、前記メンブレンシートの板厚よりも大きい寸法に規制する支柱を備える構成としてもよい。そうすると、第1シート状部材と第2シート状部材との間に、メンブレンシートを移動可能に収容する空間を確実に形成できる。
【0012】
前記連結部材は、前記第2シート状部材の上面で前記ガイド機構を支持する支持部材から垂下されたピン状部材であると共に、該ピン状部材は、前記第2シート状部材に設けられた孔部と、前記メンブレンシートに設けられた孔部とを挿通して前記第1シート状部材に連結されており、前記メンブレンシートの前記孔部の内面と、前記ピン状部材の外面との間には、隙間が設けられた構成であってもよい。そうすると、連結部材を簡素な構成としながらも、第1シート状部材と第2シート状部材との間を確実に連結しつつ、その間でメンブレンシートを移動可能に支持できる。
【0013】
前記連結部材は、前記第1シート状部材から突出したピン状部材であると共に、該ピン状部材は、前記メンブレンシートに設けられた孔部と、前記第2シート状部材に設けられた孔部とを挿通して前記第2シート状部材の上面に突き出しており、前記ピン状部材の先端は、前記ガイド機構と連結される連結部を有するか、又は、前記第2シート状部材の上面で前記ガイド機構を支持する支持部材に対して連結されており、前記メンブレンシートの前記孔部の内面と、前記ピン状部材の外面との間には、隙間が設けられた構成であってもよい。そうすると、連結部材を簡素な構成としながらも、第1シート状部材と第2シート状部材との間を確実に連結しつつ、その間でメンブレンシートを移動可能に支持できる。
【0014】
当該キーボード装置は、前記第1シート状部材の下面側に、前記キートップに対するタッチ操作を検出可能なセンサを設けた構成としてもよい。すなわち、キートップから第1シート状部材までを金属材料を介在させない構成とし、第1シート状部材の下面側にセンサを設けることで、各キートップの上面を指先等でなぞるタッチ操作を検出することが可能となる。
【0015】
本発明の第2態様に係る電子機器は、上記構成のキーボード装置を備えた本体筐体と、該本体筐体とヒンジを用いて回動可能に連結されたディスプレイ筐体とを備える。このような構成によれば、キーボード装置のコスト、重量及び作業工程を低減することができるため、電子機器全体としてコストや重量を低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、コスト、重量及び作業工程を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るキーボード装置について、この装置を備える電子機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るキーボード装置10を備えた電子機器12を上から見下ろした図である。電子機器12は、キーボード装置10を設けた本体筐体14と、ディスプレイ16を設けたディスプレイ筐体18とをヒンジ20で開閉可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明は、ノート型PC以外の電子機器に用いてもよい。また本発明は、例えばタブレット型PCを着脱可能な拡張装置となるキーボード装置、或いはデスクトップ型PC等に使用する外付けのキーボード装置等に用いてもよい。
【0020】
以下、キーボード装置10について、
図1に示すように電子機器12に搭載されて使用される状態を基準とし、手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0021】
本体筐体14は、内部に図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置、メモリ等の各種電子部品を収容している。キーボード装置10は、本体筐体14の上面に設けられている。ディスプレイ筐体18は、前面に液晶ディスプレイ等で構成されたディスプレイ16を有する。ディスプレイ筐体18は、本体筐体14の後端部にヒンジ20を介して回動可能に連結されている。
【0022】
キーボード装置10は、複数のキースイッチ22を有する。キーボード装置10は、各キースイッチ22の操作面となるキートップ24の周囲をフレーム部材26で区画したアイソレーション型のキーボード装置である。キーボード装置10は、各キースイッチ22等を組み付けたキーボードアセンブリ28をフレーム部材26に対して接着固定した構造である。
【0023】
図2は、キーボードアセンブリ28をフレーム部材26に対して取り付ける状態を示す分解斜視図である。
図3は、キーボード装置10の構成を模式的に示す側面断面図である。
【0024】
図1〜
図3に示すように、フレーム部材26は、外枠部30と、内枠部32とを有し、樹脂材料や金属材料等で形成されている。外枠部30は、キートップ24全体の外周を囲むように設けられた矩形状の枠部である。内枠部32は、外枠部30の内側に設けられ、各キートップ24が挿入配置される複数のキー配置孔32aを有した網目状の枠部である。これにより、各キートップ24は、隣接する他のキートップ24との間が内枠部32によって区画され、それぞれが独立した配置となっている。
【0025】
フレーム部材26は、本体筐体14の上面及び各キートップ24の操作面と略面一又は多少低位置となるように設けられる(
図3参照)。本実施形態の場合、フレーム部材26は、本体筐体14の上面カバー14aと別体構造になっているが(
図1及び
図2参照)、フレーム部材26は上面カバー14aと一体構造であってもよい。
【0026】
図3に示すように、キーボードアセンブリ28は、ベースシート(第1シート状部材)34と、メンブレンシート36と、カバーシート(第2シート状部材)38と、複数のキースイッチ22とを備える。
【0027】
各キースイッチ22は、キートップ24と、ガイド機構40と、ホルダ(支持部材)42と、ラバードーム44とを有する。
【0028】
ガイド機構40は、キートップ24をカバーシート38の上面38a側で上下動可能に支持するものである。ガイド機構40は、互いに回転可能に交差した一対の枠体40a,40bをキートップ24の下面とカバーシート38の上面38aとの間に架け渡したパンタグラフ機構である。
図3に示す構成例では、ガイド機構40は、各枠体40a,40bの上側の回転軸がキートップ24の下面側で回転可能に支持され、各枠体40a,40bの下側の回転軸が上面38a上に配置されたホルダ42によって回転可能に且つ水平移動可能に支持されている。
【0029】
ホルダ42は、カバーシート38の上面38a上に配置され、ガイド機構40の下側の回転軸を支持する矩形枠状の支持部材である。ホルダ42は、例えばその下面の四隅からそれぞれ連結部材(ピン状部材)46が垂下されている。各連結部材46は、ホルダ42の下面から下方に突出した円柱形或いは角柱形のピン状部材である。各連結部材46は、カバーシート38及びメンブレンシート36を貫通し、その先端(下端)が係止片46aを用いてベースシート34に連結されている。係止片46aは、例えばベースシート34の孔部34aを通過した連結部材46の先端に設けられた円板であり、ベースシート34の下面34b側で支柱部34dに係止される。これにより、連結部材46は、メンブレンシート36を間に挟んだ状態で、カバーシート38とベースシート34とを連結している。連結部材46は、係止片46aを省略し、その先端がベースシート34に接着固定等されてもよい。
【0030】
ラバードーム44は、シリコーンゴム等の可撓性を有する弾性材料で形成されたドーム形状部材である。ラバードーム44は、カバーシート38とキートップ24との間に配設されている。ラバードーム44は、ドーム内の天面中央に押圧部44aが垂下されている。押圧部44aは、カバーシート38の開口38cに向かって配置されている。ラバードーム44は、キートップ24が押下された場合に弾性変形し、カバーシート38の開口38cを通過した押圧部44aでメンブレンシート36を押圧する一方、キートップ24の押下操作が解除された際にはその弾性力によってキートップ24を元の位置に復帰させる。
【0031】
ベースシート34は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等の樹脂材料によって形成されたシート状部材である。ベースシート34の板厚は、例えば0.1mm〜0.3mm程度、本実施形態では0.2mmである。ベースシート34は、アルミニウム等の金属材料をシート状部材に成形したもので構成してもよい。但し、金属材料は、一般に樹脂材料よりも重量が大きいため、ベースシート34を金属製とするとキーボード装置10の重量が増大する可能性がある。
【0032】
ベースシート34は、連結部材46と重なる位置に支柱部34dを有する。支柱部34dは、例えばベースシート34の一部に上方に向かう絞り加工を施すことで、上面34c側を皿状に膨ませた構造(絞り構造)である。支柱部34dは、その頂面に位置した上面34cがメンブレンシート36の孔部36aを通してカバーシート38の下面に当接する。つまり、支柱部34dは、カバーシート38とベースシート34との間に、メンブレンシート36を面内方向(前後方向や左右方向)に移動可能な状態で収納する空間を形成する支柱であり、メンブレンシート36の板厚よりも大きな高さ寸法を有する。孔部34aは、支柱部34dに形成されている。連結部材46の係止片46aは、支柱部34dの下面34b側に収納配置される。例えば連結部材46をカバーシート38及びベースシート34にそれぞれ強固に固着させて支柱部34dを省略した構成としてもよい。この場合は連結部材46がカバーシート38とベースシート34との間の支柱として機能し、以下で説明する連結部材60を用いた構成の場合も同様である。
【0033】
メンブレンシート36は、ベースシート34の上面34cに積層されている。メンブレンシート36は、例えば上部接点シート48と下部接点シート49との間にスペーサ50を挟んだ3層構造である。上部接点シート48の内面には可動接点48aが設けられ、下部接点シート49の内面には固定接点49aが設けられている。これら可動接点48a及び固定接点49aは、スペーサ50によって形成されたメンブレンシート36の内部空間(通気路51)内で対向配置されている。
図4に示すように、通気路51は、各キースイッチ22の下方に位置して可動接点48aと固定接点49aとが対向配置される接点部分から連通して延びており、空気が流通可能なトンネル状の経路である。
図3等では、図面の見易さを確保するため、通気路51を上部接点シート48と下部接点シート49との間に形成したように模式的に図示しているが、通気路51は、実際には上部接点シート48とスペーサ50との間、及び下部接点シート49とスペーサ50との間に形成される。
【0034】
メンブレンシート36は、ラバードーム44の押圧部44aで上部接点シート48が押圧されて下部接点シート49側に弾性変形すると、可動接点48aが固定接点49aに当接して接点を閉じる(
図5参照)。この際、上部接点シート48と下部接点シート49との間で圧縮された内部空間内の空気は、通気路51に流れる。メンブレンシート36は、押圧部44aによる押圧が解除されると、再び可動接点48aが固定接点49aから離間して接点を開く(
図3参照)。なお、
図5では、ガイド機構40及びホルダ42の図示を省略している。
【0035】
メンブレンシート36には、板厚方向に貫通し、連結部材46が挿通されると共に支柱部34dが配設される孔部36aが設けられている。孔部36aは、各連結部材46に対応する位置で、上部接点シート48、スペーサ50及び下部接点シート49を貫通している。孔部36aは、挿通している連結部材46及び支柱部34dの外面との間に隙間Cを形成する。つまり、孔部36aの内径は、連結部材46及び支柱部34dの外径よりも十分に大きい。このため、メンブレンシート36は、カバーシート38とベースシート34との間に支柱部34dによって形成された空間内で面内方向に移動可能な状態となっている。
【0036】
カバーシート38は、メンブレンシート36の上面36b、つまり上部接点シート48の上面36bに積層されている。カバーシート38は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等の樹脂材料によって形成されたシート状部材である。カバーシート38の板厚は、例えば0.05mm〜0.2mm程度、本実施形態では0.2mmである。カバーシート38は、アルミニウム等の金属材料をシート状部材に成形したもので構成してもよい。但し、金属材料は、一般に樹脂材料よりも重量が大きいため、カバーシート38を金属製とするとキーボード装置10の重量が増大する可能性がある。
【0037】
カバーシート38は、連結部材46を介してベースシート34と連結されている。カバーシート38には、板厚方向に貫通し、連結部材46が挿通される孔部38bが設けられている。孔部38bは、連結部材46との間にほとんど隙間を持たず、連結部材46とカバーシート38とを位置決め固定する構成となっている。
【0038】
従って、このようなキーボードアセンブリ28は、カバーシート38とベースシート34とが連結部材46を介して連結された状態で、これらカバーシート38とベースシート34との間でメンブレンシート36が面内方向に移動可能に支持された構成となっている。さらにキーボードアセンブリ28では、キースイッチ22がホルダ42を介してカバーシート38の上面38a上に支持され、このホルダ42が連結部材46を介して、カバーシート38及びベースシート34と連結されている。
【0039】
次に、キーボードアセンブリ28とフレーム部材26との組付方法を説明する。
【0040】
図2及び
図3に示すように、キーボードアセンブリ28は、カバーシート38の上面38aが接着部54を介してフレーム部材26の下面(裏面)26aに接着固定される。
【0041】
接着部54は、例えば接着剤や両面テープで形成される。本実施形態の場合、接着部54は、フレーム部材26の外枠部30及び内枠部32の下面26aの全域に設けられている(
図2参照)。これにより、キーボードアセンブリ28は、その外周縁部と、全てのキースイッチ22の周囲とがそれぞれ接着部54によってフレーム部材26に接着固定される。その結果、キーボード装置10は、高い剛性を得ることができ、各キースイッチ22の操作感がしっかりとした高品質なものとなる。
【0042】
接着部54は、フレーム部材26の下面26aの全域に設けず、一部のみに設けてもよい。但し、接着部54は、少なくとも外枠部30の一部と内枠部32の一部とに適宜間隔設けることで、キーボード装置10の剛性を十分に確保できる。
【0043】
本実施形態に係るキーボード装置10は、ベースシート34の下面34b側にキートップ24に対するタッチ操作を検出可能なセンサ56を設けた構成としてもよい(
図3参照)。すなわち、本実施形態に係るキーボード装置10は、カバーシート38及びベースシート34を樹脂材料で形成することで、キートップ24からベースシート34までに金属材料を介在させない構成とできる。そこで、キーボード装置10は、例えば所定のショートカットキーを押下操作してキーボードモードからタッチパッドモードに切り替えることで、各キートップ24の上面を指先等でなぞるタッチ操作を行い、これをセンサ56で検出することができる。
【0044】
図6は、変形例に係るキーボードアセンブリ28Aを用いたキーボード装置10の構成を模式的に示す側面断面図である。
【0045】
図6に示すように、キーボードアセンブリ28Aは、
図3に示すキーボードアセンブリ28と比べ、ホルダ42及び連結部材46の代わりに連結部58を設けた連結部材(ピン状部材)60を備える点が相違する。
【0046】
連結部材60は、ベースシート34の上面34cから上方に向かって突出した円柱形或いは角柱形のピン状部材である。連結部材60は、ベースシート34の上面34cに接着若しくは溶着によって固定されるか、又は、ベースシート34と一体成型された構成である。本実施形態の場合、連結部材60は、支柱部34dの頂面に位置した上面34cから突出している。連結部材60は、メンブレンシート36の孔部36a及びカバーシート38の孔部38bを挿通し、その先端(上端)がカバーシート38の上面38aに突き出している。
【0047】
連結部58は、上面38aから突き出した連結部材60の先端に対して接着若しくは溶着によって固定されるか、又は、連結部材60と一体成型された構成である。連結部58は、ホルダ42と同様に、カバーシート38の上面38a上に配置され、ガイド機構40の下側の回転軸を支持する部材である。連結部58は、例えばキースイッチ22の外側を向いた横向きU字状の係合片であり、ガイド機構40の各枠体40a,40bの下側の回転軸を回転可能に且つ水平移動可能に支持するものである。
【0048】
従って、このようなキーボードアセンブリ28Aにおいても、カバーシート38とベースシート34とが連結部材60を介して連結され、これらカバーシート38とベースシート34との間に支柱部34dによって形成された空間内でメンブレンシート36が面内方向に移動可能に支持された構成となっている。さらにキーボードアセンブリ28Aでは、キースイッチ22が連結部58を介してカバーシート38の上面38a上に支持され、この連結部58が連結部材60を介して、カバーシート38及びベースシート34と連結されている。なお、キーボードアセンブリ28Aは、連結部58に代えてホルダ42を設けた構成とし、このホルダ42の下面に連結部材60の先端を連結した構成としてもよい。また、キーボードアセンブリ28Aにおいて、連結部材60のベースシート34への固定構造は、接着や溶着等以外の構造であってもよい。例えば、
図3に示す構成例と同様、ベースプレート34に孔部34aを形成し、この孔部34aを挿通させた連結部材60の先端に係止片46aと同様な係止片を設け、この係止片をベースシート34に係止させる構成としてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るキーボード装置10は、ベースシート34と、ベースシート34の上面34cに配置されるメンブレンシート36と、メンブレンシート36の上面36bに配置され、ベースシート34との間でメンブレンシート36を面内方向に移動可能な状態で支持するカバーシート38と、ベースシート34とカバーシート38とを連結する連結部材46(60)と、カバーシート38の上面38a側に設けられたガイド機構40によって上下動可能に支持され、押下操作されることでメンブレンシート36の接点である可動接点48aと固定接点49aとを接離させる複数のキートップ24と、隣接するキートップ24間を区画すると共に、その下面26aにカバーシート38の上面38aが接着固定されるフレーム部材26とを備える。
【0050】
このように当該キーボード装置10では、ベースシート34との間にメンブレンシート36を支持したカバーシート38と、フレーム部材26とが接着固定される。すなわち当該キーボード装置10は、メンブレンシート36やキートップ24を設けたキーボードアセンブリ28(28A)をフレーム部材26に対して接着固定するため、その固定に多数のねじを用いる必要がなく、ねじを全く用いないことも可能である。このため、キーボード装置10は、その剛性を確保してキートップ24の高い操作感を確保しつつも、部品点数の増加によるコストや重量の増加を防止でき、さらに組付作業の工程やフレーム部材26に対するねじ穴加工の作業も低減することができる。
【0051】
ところで、本実施形態のように、キーボードアセンブリ28(28A)をフレーム部材26に対して直接的に接着固定した場合、次のような不具合を生じる懸念があった。すなわち、メンブレンシート36は、キーボード装置10の製造時或いは使用時の環境温度の変動により、熱膨張や熱収縮を生じることがある。この際、例えば上部接点シート48が熱伸びして通気路51側に撓んだ場合は、意図せずに可動接点48aが固定接点49aに接触してしまう不具合を生じる場合がある。また、例えば下部接点シート49が熱伸びして通気路51側に撓んだ場合は、上部接点シート48と下部接点シート49とが接触して通気路51を塞ぎ、キートップ24の押下操作時に空気が円滑に通気路51へと流れずに滞留し、可動接点48aと固定接点49aとを適正に接触させることができなくなる不具合を生じる場合もある。
【0052】
この点、当該キーボード装置10では、連結部材46(60)によって互いに連結されたベースシート34とカバーシート38との間で、メンブレンシート36が面内方向に移動可能な状態で支持されている。このため、メンブレンシート36が熱膨張等を生じた場合であっても、メンブレンシート36はベースシート34とカバーシート38との間で伸縮移動することができ、上記のような各不具合の発生を防止できる。
【0053】
当該キーボード装置10は、ベースシート34及びカバーシート38を樹脂材料で形成している。例えば、アルミニウムの密度は2.68g/cm
3であり、ポリエチレンテレフタレートの密度は1.39g/cm
3である。このため、ベースシート34及びカバーシート38を樹脂材料で形成することで、金属材料で形成する場合に比べて大幅な軽量化が可能となる。また、当該キーボード装置10は、カバーシート38(キーボードアセンブリ28(28A))をフレーム部材26に対して直接的に接着固定しているため、ベースシート34及びカバーシート38を樹脂材料で形成しつつも高い剛性を確保できる。しかも当該キーボード装置10は、このように樹脂材料でベースシート34を形成したキーボードアセンブリ28(28A)をフレーム部材26に接着固定した構成であっても、メンブレンシート36が移動可能な状態で配設されているため、環境温度の変動等によるメンブレンシート36の上記不具合の発生を防止できる。なお、ベースシート34及びカバーシート38は、一方のみが樹脂材料で形成され、他方が金属材料で形成されてもよい。
【0054】
図7に示すように、連結部材46(60)に代えて、又は連結部材46(60)と共に、連結部材70を用いてもよい。
【0055】
連結部材70は、キースイッチ22とキースイッチ22との間となる位置、つまりフレーム部材26の内枠部32や外枠部30と重なる位置でカバーシート38とベースシート34とを連結する部材である。従って、連結部材70は、ホルダ42や連結部58とは別体構造となっている。連結部材70は、カバーシート38と一体に形成され、カバーシート38の下面から下方に突出している。連結部材70は、例えば接着剤を用いてカバーシート38と接着固定されるか、或いはインサート成形等によってカバーシート38と一体成形される。連結部材70は、メンブレンシート36及びベースシート34を貫通し、その先端(下端)が係止片70aを用いてベースシート34に連結されている。係止片70aは、例えば熱かしめによって連結部材70の先端に固着される。連結部材70は、支柱部70bを有する。支柱部70bは、メンブレンシート36の孔部36a内でカバーシート38とベースシート34との間に介在し、カバーシート38とベースシート34との間に、メンブレンシート36を面内方向に移動可能な状態で収納する空間を形成する支柱となる。つまり支柱部70bは、メンブレンシート36の板厚よりも大きな高さ寸法を有すると共に、その外面と孔部36aの内面との間には隙間Cが形成される。
【0056】
当該キーボード装置10では、このような連結部材70を設けることで、カバーシート38とベースシート34との連結強度を高めることができる。また連結部材70は、キートップ22のガイド機構40を支持する構成ではないため、その形状自由度が高く、上記した連結部材46,60と比べてカバーシート38との間の固定強度を確保し易い利点がある。さらに連結部材70は、ガイド機構40から外れた位置に配置されるため、キーボード装置10の厚みに対する影響が小さいという利点もある。連結部材70は、ベースシート34と一体に形成されてもよい。
【0057】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0058】
上記実施形態では、ベースシート34及びカバーシート38を薄いシート状部材で構成するものとしたが、これらシート状部材は例えば1mm程度の厚みを有した硬質なプレート構造のものであってもよい。