特許第6688278号(P6688278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66882784−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688278
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/79 20060101AFI20200421BHJP
   C07D 213/84 20060101ALI20200421BHJP
   C07D 307/54 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   C07D213/79CSP
   C07D213/84 Z
   C07D307/54
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-500029(P2017-500029)
(86)(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公表番号】特表2017-523960(P2017-523960A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】US2015039569
(87)【国際公開番号】WO2016007638
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】62/021,876
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/021,877
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/021,881
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レンガ,ジェイムズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ユエンミン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトカー,グレゴリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ナクイェン
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−167978(JP,A)
【文献】 特開昭57−058682(JP,A)
【文献】 特表2003−527324(JP,A)
【文献】 PUBCHEM,PUBCHEM-CID-11435037,PUBCHEM OPEN CHEMISTRY DATABASE [ONLINE],2006年10月26日,PAGE(S):1 - 12,URL,https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/11435037
【文献】 CLAUSON-KAAS, N. et al.,Preparation of Derivatives of 3-Hydroxypicolinic Acid from Furfural,ACTA CHEMICA SCANDINAVICA,1965年,19,pp. 1147-1152
【文献】 GOLDBERG, A. A. et al.,254. Synthesis of ω-Aminoalkyl Cyanides,JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY,1947年,pp. 1369-1371
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
PubChem
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
【化1】


b)
【化2】


c)
【化3】

[式中、RはC〜Cアルキルである]、および
d)
【化4】

[式中、RはC〜Cアルキルである
らなる群から選択される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年7月8日に出願された米国仮特許出願第62/021,876号、2014年7月8日に出願された米国仮特許出願第62/021,877号、および2014年7月8日に出願された米国仮特許出願第62/021,881号の利益を主張し、それぞれが参照によって本明細書に個々に組み込まれるように、そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造方法に関する。より詳細には、本開示は、フルフラールからの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
米国特許第6,521,622号明細書、ならびに米国特許出願公開第61/747,723号明細書および第14/142,183号明細書には、とりわけ、特定の一般式の複素環式芳香族アミド化合物および殺真菌剤としてのそれらの使用が記載されており、これらの開示は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0004】
【化1】
【0005】
これらの開示には、これら複素環式芳香族アミド化合物の製造における重要な中間体としての4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造も記載されている。安価な原料から4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸への効率的でスケーラブルなプロセス経路を持つことは有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示は、式A
【0007】
【化2】
の化合物からの、式H
【0008】
【化3】
[式中、RはC〜Cアルキルである]の4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸の製造方法に関する。
【0009】
本開示の一態様は、本方法において生成する新規中間体、すなわち、
a)
【0010】
【化4】

b)
【0011】
【化5】

c)
【0012】
【化6】
[式中、RはC〜Cアルキルである]、
d)
【0013】
【化7】
[式中、RはC〜Cアルキルである]、および
e)
【0014】
【化8】
[式中、RはC〜Cアルキルである]
からなる群から選択される化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本明細書で使用される用語「単離する」、「単離すること」または「単離」は、限定するものではないが、ろ過、抽出、蒸留、結晶化、遠心分離、粉砕、液−液相分離または他の当業者に公知の方法等の標準的な方法を使用して、終了した化学的プロセスの混合物の他の成分から、所望の生成物を部分的または完全に取り出すことを意味する。単離した生成物は、≦50%〜≧50%の範囲の純度を有していてよく、標準的な精製方法を使用して、より高純度に精製してよい。単離した生成物は、精製して、または精製することなく、次のプロセスのステップで使用してもよい。
【0016】
本明細書に記載の方法において、4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸は、シアノ−アミノ化、アンモニウム塩の形成、臭素化/転位、アルコキシド基による臭素の置換、ニトリルの加水分解およびハロゲンの還元を含む一連の化学的ステップでフルフラールから製造される。個々のステップの幾つかは、異なる順序で行ってよい。
【0017】
Acta Chem. Scand. 19 (1965) pg. 1147-1152に記載のようにして、式1aのシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムクロリド塩を製造し、式1bの3−ヒドロキシピコリノニトリルおよび3−ヒドロキシピコリノアミドの製造における中間体として使用した。
【0018】
【化9】
[式中、RはHまたはメチルであり、RはHまたは2−プロピルであり、RはCNまたはC(O)NHである]
【0019】
A.式Aの化合物の製造
本明細書に記載の方法において、化学的ステップa、bおよびcを、スキームIに表すようにして行い、ジブロモヒドロキシピコリノニトリルAを製造する。
【0020】
【化10】
【0021】
式Dのシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムのハロゲン化物塩は、Organic Syntheses, Coll. Vol. I, page 21およびColl. Vol. III, pages 84 and 88に記載のα−アミノニトリルのストレッカー合成のような当技術分野において公知の反応で、フルフラール(式B)を、少なくともそれぞれ1当量のアンモニア源およびシアニド源と最初に反応させて(ステップa)、式Cのアミノ(フラン−2−イル)アセトニトリルを得ることによって製造される。
【0022】
【化11】
適切なアンモニア源としては、限定されないが、酢酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよびシアン化アンモニウム等のアンモニウム塩;たとえば、メタノール中のアンモニア、エタノール中のアンモニアおよびジオキサン中のアンモニア等の有機溶媒に溶解したアンモニア;水中のアンモニア(すなわち、水酸化アンモニウム);ならびに液体の無水アンモニアまたはガス状アンモニアが挙げられる。適切なシアニド源としては、限定されないが、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムおよびシアン化アンモニウム等のシアニド塩;およびシアン化水素が挙げられ、これらはフルフラールにアンモニアと共に連続添加法で添加してよい。反応は、水、もしくはアルコール、または水とアルコールの混合物、たとえば、水−メタノール、または水−エタノール、または水と、たとえば、テトラヒドロフラン、DMSO、ジオキサンおよびアセトニトリルもしくはこれらの混合物等の極性の水溶性有機溶媒との混合物等のプロトン性溶媒または反応媒体中で行ってよい。あるいは、当該反応(ステップa)は、水および限定されないが、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸エチル、塩化メチレン、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、トルエンおよびキシレンから選択される少なくとも1種の水と混和しない溶媒からなる2相溶媒系中で行ってよい。このような反応は、国際公開第2000/049008号パンフレットの55頁に記載されている。本反応は、典型的には、実質的に均一な反応物の混合物を維持するために、十分な撹拌を伴って行われる。典型的な反応は、終了まで進行させるために、通常、約1〜約50時間を必要としてよい。このような反応は、約0℃〜約50℃の温度、好ましくは約0℃〜約30℃の温度で行ってよい。反応が終了した後、式Cのアミノ(フラン−2−イル)アセトニトリルを、標準的な単離および精製手法を使用することによって回収してよく、または、式Cの生成物を慎重に単離することなく、式Dの化合物に直接変換してよい。長期間保管するよりも、式Cの生成物を式Dの塩に直接変換することが好適であり得る。
【0023】
式Dの化合物を製造するための一連の反応のステップbにおいて、少なくとも1当量の鉱酸を、たとえば、ジエチルエーテル、MTBE、酢酸エチル、2−MeTHF、トルエン、キシレン、またはこれらの混合物等の水と混和しない溶媒に溶解した式Cの生成物である中間体のアミノ(フラン−2−イル)アセトニトリルに添加して、所望の式Dのシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウム塩を得る。適切な鉱酸としては、限定されないが、臭化水素酸(HBr)、硝酸(HNO)、硫酸(HSO)、およびリン酸(HPO)が挙げられ得る。本反応は、約0℃〜約25℃の温度で行ってよい。反応が終了した後、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0024】
臭素化/転位反応(スキームI、ステップc)において、式Dのシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウム塩を臭素化剤と反応させて、式Aの臭素化/転位生成物を得る。臭化物塩としての式Dの出発物質は、たとえば、臭素、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド等の適切な臭素化剤で処理してよい。約3〜約6モル当量の臭素化剤を使用してよい。反応は、好ましくは、約3〜5モル当量の臭素および式Dの化合物の臭化物塩(X=Br)を使用して行われる。反応が終了まで進行することを確実にするために、5%、10%または15%モル過剰等の過剰の臭素化剤を使用することがしばしば好都合である。反応は、好ましくは、プロトン性溶媒または水、または水とたとえば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル等の水溶性有機溶媒の混合物等の反応媒体中で行われる。
【0025】
【化12】
反応を行う温度は、約0℃〜約60℃、好ましくは約0℃〜約40℃である。臭素化剤の添加が終了したら、反応混合物を室温で10〜48時間撹拌しておいてよい。任意に、反応時間は、たとえば、2〜4モル当量の酢酸ナトリウム等の塩基を反応に添加することによって短縮してよい。任意に、臭素化剤の添加終了後、式Aの生成物への変換を終了させるために、反応を30〜60℃に加熱してよい。反応が終了した後、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0026】
本開示の一実施形態は、「ワンポット」の方法でのフルフラールからの式Aの化合物の製造に関する。このような方法において、全ての反応ステップは、反応物および試薬を連続的に容器に添加することによって単一の容器中で行ってよく、次いで、化学的ステップaおよびcの終了後、単離操作を行って式Aの生成物を単離する。本明細書に記載の化学的反応物および試薬を使用して、シアニド源、アンモニウム源およびフルフラールを溶媒と共に反応容器中で一緒に混合し、適切な温度で適切な時間、十分に撹拌して、式Cの生成物であるアミノ(フラン−2−イル)アセトニトリルを得る。
【0027】
【化13】
式Cの生成物を含有する得られた反応混合物を、次いで、本明細書に記載の適切な反応条件(時間、温度および/または溶媒)を用いて、任意に塩基を使用して、臭素等の臭素化剤で処理し、式Aの生成物を得る。式Aの生成物を、次いで反応混合物から回収し、必要に応じて、標準的な単離および精製手法を使用することによって精製する。
【0028】
本開示の別の実施形態は、2相性の方法として本明細書に示す方法による式Aの化合物の製造に関する。本明細書で使用される「2相性の方法」は、2相溶媒系を使用する方法を示す。このように、本明細書に記載の、条件、化学的反応物および試薬を使用して、式Cのα−アミノアセトニトリルのストリッカー合成のために2相溶媒系を使用した。水および水に混和しない有機溶媒を含有する2相溶媒系の使用は、ストリッカー反応後に存在する水溶性の塩(すなわち、シアニドおよび酢酸塩)の分離を容易にする。有機溶媒中に残るα−アミノアセトニトリル生成物を、次いで、対応する水溶性のHBr塩(式Dの化合物、X=Br)の形成によって、臭化水素酸(HBr)の水溶液に抽出する。得られたα−アミノアセトニトリルのHBr塩の水溶液の臭素での処理は式Aの生成物をもたらす。式Aの生成物を、次いで最終の反応混合物から回収し、必要に応じて、標準的な単離および精製手法を使用することによって精製する。2相性の方法は、約0℃〜約50℃、好ましくは約15℃〜約35℃の温度で行ってよい。
【0029】
本開示の別の実施形態は、2つの化学的ステップを含む方法(すなわち、2ステップの方法)での、式Dのシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウム塩(式中、Xは本明細書に記載の通りである)からの式Aの化合物の製造に関する。このような方法において、式Dの化合物は、最初に約1〜約2モル当量の臭素化剤と反応して、式Jの生成物である3−ヒドロキシピコリノニトリルを得る。式Jの生成物を、次いで標準的な単離および精製手法を使用することによって回収し、次いで約2〜約3モル当量の臭素化剤で処理して、式Aの生成物を与える。
【0030】
【化14】
2ステップの方法は、臭素および式Dの化合物の臭化物塩(X=Br)を使用して行ってよい。個々の反応が終了まで進行することを確実にするために、5%、10%または15%モル過剰等の過剰の臭素化剤を使用することがしばしば好都合である。単離された式Aの生成物中に、少量の、中間体であるモノ臭素化された生成物(すなわち、4−ブロモ−および/または6−ブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル)が存在していてよい。2ステップの方法のための反応は、プロトン性溶媒または水、または水とたとえば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル等の水溶性有機溶媒の混合物等の反応媒体中で行ってよい。反応を行い得る温度は、約0℃〜約75℃である。臭素化剤の添加が終了したら、反応混合物を室温で0〜48時間撹拌しておいてよい。任意に、臭素化剤を用いる式Aの生成物への式Jの化合物の変換は、たとえば、2〜4モル当量の酢酸ナトリウム等の塩基を添加して行ってよい。反応が終了した後、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0031】
B.式Hの化合物の製造
式Hの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸を製造するために、化学的ステップd、eおよびfは、スキームIIに表すように2つの異なる順序で行ってよい。式Aの化合物の4−ブロモ基をアルコキシ基に置き換えるための置換反応において(ステップd)、式MOR(Mはアルカリ金属であり、RはC〜Cアルキルである)のアルカリ金属アルコキシドを使用して、式Fの4−アルコキシ−6−ブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリルを製造する。少なくとも2当量、好ましくは2〜5当量のアルカリ金属アルコキシドを当該反応で使用する。当該反応で有用な典型的なアルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムまたはカリウムの、メトキシド、エトキシド、1−プロポキシドまたは2−プロポキシドが挙げられる。
【0032】
【化15】
反応は、プロトン性溶媒または反応媒体(メタノール(メトキシドに対して)、エタノール(エトキシドに対して)、1−プロパノール(1−プロポキシドに対して)もしくは2−プロパノール(2−プロポキシドに対して)、または、メタノール、エタノール、1−プロパノールもしくは2−プロパノールと、極性の非プロトン性の共溶媒(DMSO、DMF、スルホラン、またはNMP等)との混合物等)中で行ってよい。
【0033】
【化16】
反応は、アルコール共溶媒を含まない1種または複数の極性の非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属アルコキシドを用いて行ってもよい。反応を行う温度は、約20℃〜約150℃、好ましくは約40℃〜約100℃である。置換反応は、一般に、終了まで進行するためには、約1〜約48時間必要であり、揮発性溶媒の損失を防ぐために密封した容器で、圧力下で行ってよい。反応が終了した後、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0034】
一部の実施形態において、式Aの化合物からの式Fの化合物の製造は、少なくとも1種のプロトン性溶媒および極性の非プロトン性溶媒を含む溶媒混合物(全溶媒混合物におけるプロトン性溶媒と極性の非プロトン性溶媒との容積パーセント(vol%)の比率は約100:0〜約0:100の範囲である)を使用して行ってよい。一部の実施形態において、全溶媒混合物におけるプロトン性溶媒と極性の非プロトン性溶媒の容積パーセント(vol%)の比率は、80〜100vol%のプロトン性溶媒と0〜20vol%の極性の非プロトン性溶媒、60〜80vol%のプロトン性溶媒と20〜40vol%の極性の非プロトン性溶媒、40〜60vol%のプロトン性溶媒と40〜60vol%の極性の非プロトン性溶媒、20〜40vol%のプロトン性溶媒と60〜80vol%の極性の非プロトン性溶媒、または0〜20vol%のプロトン性溶媒と80〜100vol%の極性の非プロトン性溶媒である。プロトン性溶媒と極性の非プロトン性溶媒との好ましい容積パーセント(vol%)の比率は、約0.01〜10vol%のプロトン性溶媒と約90〜99.99vol%の極性の非プロトン性溶媒である。一部の実施形態において、式Aの化合物から式Fの化合物(R=CH)を製造するために使用される溶媒混合物は、メタノールおよびDMSO、メタノールおよびDMF、メタノールおよびスルホラン、またはメタノールおよびNMPである。
【0035】
それぞれ式GおよびHの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸を製造するための、式FおよびIの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリルのニトリル基の加水分解反応において(スキームIIのステップe)、出発のピコリノニトリルを、典型的には、強い水性の鉱酸の反応媒体に懸濁させ、よく混合しながら、高温で所定時間加熱する。加水分解反応に有用な強い鉱酸としては、硫酸、リン酸、塩酸、および臭化水素酸が挙げられる。好ましい強い鉱酸の反応媒体としては、重量基準で、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%または約80%の水中の硫酸等の硫酸の水性混合物が挙げられる。最も好ましくは、約25%〜約70%の水中の硫酸を使用してよい。加水分解反応を行い得る温度は、通常約75℃〜約150℃、好ましくは約80℃〜約120℃である。加水分解反応は、一般に、終了に達するためには、約8〜約48時間、好ましくは約8〜約36時間必要である。反応が終了した後、冷却し、反応混合物を冷水にゆっくりと注ぎ、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0036】
【化17】
【0037】
一部の実施形態において、それぞれ式GおよびHの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリン酸を製造するための、式FおよびIの4−アルコキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリルのニトリル基の加水分解反応は(スキームIIのステップe)、出発のピコリノニトリルを、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物等の強塩基を含有する水性の反応媒体に懸濁させ、よく混合しながら、高温で所定時間加熱する。ピコリノニトリルの加水分解に使用するための強塩基としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。ピコリノニトリルの加水分解に使用する強塩基の濃度は、約10〜約40重量パーセント(wt%)、約15〜約40wt%、約20〜約40wt%、約30〜約40wt%、または約15〜約25wt%の範囲であってよい。加水分解反応のための強塩基と出発物質のニトリルとのモル当量比率は、約3:1〜約10:1、好ましくは約4:1〜約7:1の範囲であってよい。強塩基の加水分解反応を行い得る温度は、通常約75℃〜約150℃、好ましくは約80℃〜約120℃である。強塩基の加水分解反応は、一般に、終了に達するためには、約8〜約48時間、好ましくは約8〜約36時間必要である。加水分解反応が終了した後、反応混合物を酸性化し、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を単離してよい。
【0038】
それぞれ式IおよびHの還元生成物を製造するための、式Fの化合物または式Gの化合物の6位からのブロモ基の除去は(スキームIIのステップf)、(1)水素源および遷移金属触媒を使用する触媒的還元、または(2)亜鉛等の金属および水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム等の塩基を用いる還元によって達成してよい。
【0039】
水素を用いる触媒的還元において、適切な水素源としては、水素ガスまたはギ酸アンモニウム、ギ酸カリウムまたはギ酸ナトリウム等の水素移動試薬が挙げられる。適切な遷移金属触媒としては、限定されないが、パラジウム炭素(Pd/C)およびラネーニッケル(Ra/Ni)が挙げられる。これらの触媒は、基質であるブロモピリジンに対する金属の重量基準で、約0.01%〜約10%の水準で使用してよい。当該反応で使用するための溶媒の例示としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルおよび酢酸が挙げられる。たとえば、トリエチルアミン等の可溶性の塩基を、通常、水素を用いる触媒的還元において使用する。
【0040】
【化18】
約2〜約4モル当量の可溶性塩基が通常使用される。水素ガスを水素源として使用する場合、還元反応は、大気圧の水素ガス下、もしくは大気圧を上回る平方インチあたり(psi)10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ポンド以上等の圧力を高めた水素ガス下、またはこれらの値の間で圧力を徐々に増加させた水素ガス下で行ってよい。式Hのピコリン酸を製造するための式Gの6−ブロモピコリン酸の還元に対して、触媒的還元化学を使用することが好ましい。触媒的還元反応の終了後、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0041】
亜鉛等の金属を使用する式FおよびGの化合物の還元において、基質であるブロモピリジン(F、G)を、水性塩基性溶媒の媒体に溶解し、次いで亜鉛金属で処理する。約1〜約4モル当量の亜鉛金属(すなわち、Zn末、Zn粉末、または高表面積のZn固体)、好ましくは1〜3モル当量を使用してよい。還元は、通常、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム等の金属水酸化物を含有する水の水性溶媒の媒体中で行われ、水中の金属水酸化物の濃度は、約10重量%〜約30重量%の範囲であってよい。反応は、約10℃〜約60℃、好ましくは約20℃〜約55℃の温度で、約5〜約36時間の間、行ってよい。式Iのピコリノニトリルを製造するための式Fの6−ブロモピコリノニトリルの還元に対して、金属還元化学(すなわち、Zn/金属水酸化物)を使用することが好ましい。金属還元反応の終了後、鉱酸または有機酸の後処理を使用し、次いで標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を回収する。
【0042】
一実施形態において、式Hの化合物を製造するための式Fの化合物のブロモ基の還元的除去およびニトリル基の加水分解は、高温で亜鉛金属(すなわち、Zn末、Zn粉末、または高表面積のZn固体)および水酸化カリウムを使用するワンポットの方法で行うことができる。ワンポットの方法を行い得る温度は、通常、約75℃〜約125℃、好ましくは約80℃〜約100℃である。反応が終了した後、反応混合物を酸性化し、標準的な単離および精製手法を使用することによって所望の生成物を単離してよい。
【0043】
【化19】
【0044】
これらの任意の方法によって得られた生成物は、留去、ろ過または抽出等の従来の手段によって回収することができ、再結晶またはクロマトグラフィー等の標準的な手順によって精製することができる。
【0045】
本開示を説明するために以下の実施例を示す。
【実施例】
【0046】
実施例1a.シアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド
【0047】
【化20】
【0048】
磁気的に撹拌したシアン化カリウム(29.3g、450mmol)および酢酸アンモニウム(116g、1500mmol)のメタノール(200mL)中の懸濁液に、フラン−2−カルバルデヒド(28.8g、300mmol)を0〜5℃で添加した。反応混合物を0〜5℃で40〜50時間撹拌した。HPLC分析が示すように反応が終了した後、反応混合物をCHCl(300mL)および5%のNaHCO(300mL)で希釈した。水層を追加のCHCl(4×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、EtOAcと共に真空下で濃縮した。得られた残溶液を追加のEtOAc(600mL)に溶解し、5℃に冷却した。33%のHBr(66.1g、270mmol)の酢酸溶液をEtOAc溶液にゆっくりと加えて、固体を沈殿させた。固体を、ろ過し、EtOAcで洗浄した。集めた固体を、空気中、室温で乾燥して、シアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド(47g)を77%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.39 (s, 3H), 7.94 (dd, J= 1.9, 0.8 Hz, 1H), 6.80 (dt, J= 3.4, 0.7 Hz, 1H), 6.63 (dd, J= 3.4, 1.9 Hz, 1H), 6.29 (d, J= 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 145.60, 142.13, 114.28, 112.43, 111.53, 37.54;HBr塩 HRMS−ESI(m/z) [CO]に対する計算値122.048、実測値123.055[M+H];融点>120℃分解。
【0049】
実施例1b.シアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド
【0050】
【化21】
【0051】
磁気的に撹拌した塩化アンモニウム(25.03g、468mmol)のMTBE(250mL)中の懸濁液に、フラン−2−カルバルデヒド(28.8g、300mmol)およびシアン化ナトリウム(17.20g、351mmol)の水(80mL)溶液を室温で添加した。反応混合物を室温で15時間撹拌した。反応が終了した後、水層を除去した。有機層を飽和NaHCO溶液(2×100mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。得られたろ液を5℃に冷却し、33%のHBr(57.4g、234mmol)の酢酸溶液を溶液にゆっくりと加え、固体を沈殿させた。固体を、ろ過し、MTBEで洗浄した。集めた固体を空気中、室温で乾燥して、シアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド(29g)を54%の収率で得た。当該試料は実施例1aで製造した試料と同様のスペクトル特性を示した。
【0052】
実施例1c.4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0053】
【化22】
【0054】
5℃で機械的に撹拌したシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド(143g、704mmol)の水(1408mL)溶液に、温度を<15℃に維持しながら、滴下漏斗からBr(225g、1409mmol)をゆっくりと添加した。さらに10〜15分後(臭素の添加が終了した後)、酢酸ナトリウム(144g、1761mmol)およびメタノール(281mL)を反応混合物に添加し、続いて、温度を<20℃に維持しながら、第2の部分のBr(109mL、338g、2113mmol)を滴下添加した。反応混合物を、次いで室温で終夜撹拌した。HPLC分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を5〜10℃に冷却し、温度を<20℃に保ちながら、20%のNaHSO水溶液(704mL)をゆっくりと加えた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で終夜乾燥して、4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(137g)を淡黄色固体として70%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.28 (s, 1H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 155.55, 135.72, 129.81, 125.96, 121.61, 114.58;HRMS−ESI(m/z) [CBrO]に対する計算値275.8534、実測値275.851;融点183〜185℃。
【0055】
実施例1d.4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(1ポットの方法)
【0056】
【化23】
【0057】
磁気的に撹拌したシアン化カリウム(7.16g、110mmol)および酢酸アンモニウム(10.02g、130mmol)のメタノール(50mL)中の懸濁液に、フラン−2−カルバルデヒド(9.61g、100mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。HPLC分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を水(100mL)で希釈し、5℃に冷却した。臭素(80g、500mmol)を、温度を<20℃に維持しながら、ゆっくりと反応に加えた。反応混合物を温め、室温で終夜撹拌した。HPLC分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を5〜10℃に冷却し、温度を<20℃に維持しながら、10%のNaHSO水溶液(100mL)をゆっくりと加えた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で終夜乾燥して、4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(8g)を茶色固体として28%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.67 (s, 1H), 8.19 (dd, J= 4.4, 1.3 Hz, 1H), 7.56 (dd, J= 8.6, 4.4 Hz, 1H), 7.47 (dd, J= 8.6, 1.4 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 157.69, 142.01, 128.86, 124.41, 120.31, 115.99.
【0058】
実施例1e.4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(2ステップの方法)
【0059】
【化24】
【0060】
5℃で機械的に撹拌したシアノ(フラン−2−イル)メタンアミニウムブロミド(10.15g、50mmol)の水(100mL)溶液に、温度を<15℃に維持しながら、滴下漏斗からBr(15.98g、100mmol)をゆっくりと添加した。さらに30分後、温度を<20℃に保ちながら、反応混合物に20%のNaHSO水溶液(50mL)をゆっくりと加えた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で終夜乾燥して、3−ヒドロキシピコリノニトリル(2.4g)を茶色固体として40%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.67 (s, 1H), 8.19 (dd, J= 4.4, 1.3 Hz, 1H), 7.56 (dd, J= 8.6, 4.4 Hz, 1H), 7.47 (dd, J= 8.6, 1.4 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 157.69, 142.01, 128.86, 124.41, 120.31, 115.99;融点203℃。
【0061】
5℃で機械的に撹拌した3−ヒドロキシピコリノニトリル(12.01g、100mmol)および酢酸ナトリウム(16.4g、200mmol)の水(150mL)およびメタノール(50mL)溶液に、温度を<20℃に維持しながら、滴下漏斗からBr(47.9g、300mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を、次いで室温で終夜撹拌した。HPLC分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を5〜10℃に冷却し、温度を<20℃に保ちながら、20%のNaHSO水溶液(100mL)をゆっくりと加えた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で終夜乾燥して、4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(27g)を淡黄色固体として97%の収率で得た。試料は本明細書で製造した4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリルの他の試料と同様のスペクトル特性を示した。
【0062】
実施例1f.4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(2相性の方法)
【0063】
【化25】
【0064】
磁気的に撹拌したシアン化カリウム(103g、1575mmol)および酢酸アンモニウム(347g、4500mmol)の酢酸エチル(1500mL)および水(375mL)中の懸濁液に、フラン−2−カルバルデヒド(144g、1500mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。H NMR分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を20%のNaCO(750mL)で希釈した。相分離後、有機層を飽和NaCl水溶液(375mL)で洗浄した。2−アミノ−2−(フラン−2−イル)アセトニトリルを含有する有機層を1953mLの3.7%の臭化水素酸(HBr)水溶液で抽出した。有機層を追加の水(2×200mL)で抽出した。合わせた水層を5℃に冷却し、温度を<20℃に維持しながら、臭素(959g、6000mmol)を、蠕動ポンプおよびテフロンチューブの使用によって、HBr溶液にゆっくりと加えた。反応混合物を、次いで温め、25℃で終夜撹拌した。H NMR分析が示すように反応が終了した後、反応混合物を5〜10℃に冷却し、次いで、温度を<20℃に維持しながら、40%のNaHSO水溶液(400mL)にゆっくりと加えた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水(2×200mL)で洗浄し、空気中、周囲温度で乾燥して、4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(251g)を褐色固体として60%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.28 (s, 1H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 155.57, 135.72, 129.77, 125.97, 121.60, 114.59.HRMS−ESI(m/z) [CBrO]に対する計算値275.8534、実測値275.8510。褐色固体は、約94.5%の4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリルおよび約6%未満のモノ臭素化された中間体生成物(MS分析が示すように、暫定的に4−ブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリルまたは6−ブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリルのいずれかとする)を含有することが分かった。
【0065】
実施例1g.4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(2相性の方法)
【0066】
【化26】
【0067】
30Lのジャケット付ガラス反応器に酢酸アンモニウム(3371g、43.73mol)、酢酸エチル(13,144g)、シアン化カリウム(1,000g、15.38mol)、次いで水(1819g)を加えた。撹拌を150rpmで開始し、次いで、フルフラール(1,398g、14.56mol)を室温でポンプによって反応器に供給した。反応を室温で終夜撹拌し、この時点で、H NMR分析が示すように、反応は>97%終了した。16%の炭酸ナトリウムの水溶液(7300g)を反応混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌した。沈降後、水相を除去し、次いで有機相を飽和ブライン(5677g、23%)で洗浄した。ブラインを除去した後、有機溶液を、DI水(8896g)を含有する50Lジャケット付ガラス反応器にポンプによって移送した。48%のHBr水溶液(2466g、14.6mol)をDI水(5668グラム)で希釈し、得られたHBr溶液を、次いで150rpmで撹拌している50L反応器に室温でポンピングした。混合物を1時間撹拌した後、相を45分間分離させた。水相を2個の5ガロンのカーボイに排出した。有機相を、次いで約2,000グラムのDI水で2回洗浄した。洗浄したDI水をカーボイに入れた。有機相を廃棄し、次いで50L反応器を500mLの酢酸エチルおよび500mLのDI水で洗浄した。2個のカーボイ中の水相(24,536グラム)を50L反応器に移送して戻し、次いでカーボイ中に残ったHBr塩を、全部で1945グラムのDI水を用いて、反応器内に洗いこんだ。反応器中の水相を、次いで約0℃に冷却し、終夜混合した。臭素(9311グラム、56.1mol)を、次いで45分かけて反応に添加し(初期温度は約0℃)、これは25℃までの温度上昇という結果になった。臭素の添加の間、物質が溶液から沈殿し、次いで再溶解した。臭素の供給終了後約1時間で、溶液中で固体が再度生成し始めた。反応を、次いで35℃で約24時間加熱した。反応を、次いで<10℃に冷却し、次いで40%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3757g)を添加して、過剰の臭素をクエンチした。固体をろ過によって集め、洗浄液が無色になるまでDI水(5L)で洗浄した。得られた湿ケーキを、さらなる重量減少が観察されなくなるまで、ガラストレイ中で乾燥させ、結果として、2590グラムの流動性の褐色粉末を得た。H NMRアッセイは、固体が97.8wt%の4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシ−ピコリノニトリルであることを示した。アッセイに基づく収率は62.6%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.28 (s, 1H), 7.75 (d, J = 8 Hz, 0.03H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 0.03H);13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 155.47, 135.68, 129.86, 125.88, 125.88, 121.63, 114.50.HRMS(m/z)陽イオンモード[M+1] [CBrO]に対する計算値276.8607、実測値276.8609。
【0068】
実施例1h.3−ヒドロキシピコリノニトリル(2相性の方法)
【0069】
【化27】
【0070】
不活性化した6Lの直壁ジャケット付反応器に、346グラムの酢酸アンモニウム(4500mmol)、1500mLの酢酸エチル(EtOAc)、300mLのDI水、および102.5グラムのシアン化カリウム(KCN、1574mmol)を添加した。KCNのジャーおよび添加漏斗を、次いで約75mLの水ですすぎ、任意の残ったKCNを反応器に洗いこんだ。反応容器を閉じ、15℃に冷却し、次いで撹拌を260rpmにセットした。フルフラール(144g、1500mmol)を、次いでシリンジによって5分かけて反応器に添加した。反応器内の温度は約15℃から22℃に上昇した。反応を終夜撹拌した(22℃)。撹拌を止めて、相を分離させた。有機相を、次いでH NMR分析用にサンプリングした。反応は、所望の生成物に>99%変換されたことを示した。撹拌しながら(250rpm)、750mLの20%の炭酸ナトリウム水溶液を反応器に添加し、10分間撹拌した。炭酸ナトリウム溶液を含有する水層を除去し、次いで残った有機相を400mLの飽和ブラインで洗浄した。約1300mLのDI水で希釈した、170mLの48%のHBr水溶液(1当量、1345mmol)を、有機相を含有する反応器に添加した。HBr水溶液−有機相を含有する反応器を15分間混合した(250rpm)。沈降後、水層を5Lの受け容器に排出した。有機層を、次いで追加の250mLのDI水で洗浄し、これも5Lの容器に排出した。反応器を、次いで空にして、300mLのEtOAcですすいだ。5Lの容器中の水層を、次いで5Lの直壁反応器に真空移送して戻した。5Lの受け容器を200mLの水で洗浄し、これも反応器に添加した。反応器の内容物を、次いで撹拌し、0℃に冷却し、次いで蠕動ポンプを通じたテフロンラインによって臭素(240g、1500mmol)を30分かけて添加し、これは19℃への温度上昇と、沈殿の形成とに導いた。反応を室温で終夜撹拌した。40%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液(250mL)を、次いで反応にゆっくりと添加し、温度を<40℃に維持した。臭素をクエンチした後、固体をフリット上で集め、水で洗浄し、乾燥して、3−ヒドロキシピコリノニトリルを47%の収率(85g)で、赤色の結晶性固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.67 (s, 1H), 8.21 (dd, J= 4.4, 1.4 Hz, 1H), 7.57 (dd, J= 8.6, 4.4 Hz, 1H), 7.50 (dd, J= 8.6, 1.4 Hz, 1H) 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 157.66, 141.92, 128.72, 124.35, 120.34, 115.97.HRMS(m/z)陽イオンモード[M+1] [CO]に対する計算値121.0397、実測値121.0400
【0071】
実施例2a.6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0072】
【化28】
【0073】
磁気的に撹拌した4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(152g、547mmol)のDMSO(820mL)溶液に、30%のNaOMeのMeOH(492g、2.73mol)溶液を室温で添加した。反応混合物を50〜55℃に温め、終夜撹拌した。反応混合物を、次いで15〜20℃に冷却し、1.5NのHCl(1500mL)をゆっくりと添加してpHを約2〜3に調整することによってクエンチし、次いでCHCl(2×1000mL)で抽出した。合わせた有機層を0.1NのHCl(1000mL)で洗浄し、容積約500mlまで濃縮し、100mLのアセトニトリル(ACN)を加え、最終的に濃縮して乾固させた。得られた粗生成物を0.1NのHCl(1000mL)で洗浄し、ろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で終夜乾燥して、6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(83g)を66%の収率で茶色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.64 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 3.97 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 156.54, 149.35, 131.02, 118.54, 114.91, 114.57, 57.20;HRMS−ESI(m/z) [CBrNに対する計算値227.9533、実測値227.9534;融点168℃。水性のろ液をCHClで抽出した(2回)。有機層を合わせ、本明細書に記載のようにACNと共に濃縮した。粗固体をACN(50mL)に溶解し、室温で0.1NのHCl(400mL)にゆっくりと添加した。沈殿した固体を1時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを水で洗浄し、乾燥して、さらに6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(13g)を10%の収率で得た。
【0074】
実施例2b.6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0075】
【化29】
【0076】
4,6−ジブロモ−ヒドロキシピコリノニトリル(500グラム、1806mmol)を、不活性雰囲気下、室温で、500mLの無水DMSOおよび20mLの無水MeOHの混合物に溶解した。ナトリウムメトキシド(250グラム、4606mmol)および500mLの無水DMSOを、次いで、窒素でパージした5Lの4口反応フラスコに加えた。反応フラスコに、冷却器(w/Nライン)、サーマルウェル(thermal well)、機械式撹拌機およびセプタム(1/8インチの供給ラインを有する)を取り付けた。4,6−ジブロモ−ヒドロキシピコリノニトリルのDMSO−MeOH溶液を、次いで、蠕動ポンプを用いて1/8インチのテフロンチューブを通じて、1分当たり15〜20gの速度で、反応フラスコに供給した。反応温度が55℃に達したら、冷水浴をフラスコの周囲に置いた。供給の間、反応を50〜55℃に維持した。反応を、次いで、添加終了後1.5時間、54℃周辺に維持した。H NMR分析によって反応が終了したことを判定した後、反応混合物を氷浴で<30℃に冷却した。30℃で、2Lの水を反応混合物に添加し、それによって溶液が>40℃に温まった。反応混合物を30℃に冷却し、次いで、添加漏斗を用いて、pHが2.5周辺になるまで、10N硫酸を添加し、それによって白色固体の沈殿が生じた。pH2.5で、反応を30〜60分間撹拌し、この間反応混合物を15℃に冷却した。固体をろ過し、次いでろ液が無色になるまで水で洗浄した。重量が一定になるまで、固体を50℃の真空オーブン中で乾燥した。固体はわずかに褐色に着色した粉末であった(344g、収率83%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.64 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 3.97 (s 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 156.54, 149.35, 131.02, 118.54, 114.91, 114.57, 57.20.
【0077】
実施例2c.6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0078】
【化30】
【0079】
25.1kgのジメチルスルホキシド(DMSO)をグラスライニング鋼(GLS)反応器に仕込み、100℃に設定したジャケット温度管理下、4リットル/分の窒素でパージしながら、大気圧中で18時間加熱した。ジャケット温度を35℃に下げ、DMSOを放冷した。4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(8.0kg、28.8mol)を、ベントを開けて、1リットル/分の窒素でパージしながら、反応器に仕込んだ。反応器を、圧力を25mmHgに制御するよう設定し(実際の圧力は名目圧力35〜60mmHgで制御した)、90rpmで撹拌し、マスター温度制御下に置き、実際は30℃の反応混合物を使用した。メタノールを濃縮するために使用する上部の熱交換器を−5〜−10℃で作動させた。メタノール(16.51Kg、76.4mol)中の25重量%のナトリウムメトキシド混合物を、約30〜45分かけて反応器にポンピングした。メタノールを反応混合物から連続的に除去し、凝縮させた。メトキシドを添加した後、反応温度を1.5時間かけて53℃に上昇させた。52〜53℃に達した後約5.5時間で、反応をサンプリングし、終了したことをH NMRによって判定した。反応混合物を、35℃のジャケット制御温度下で冷却し、試料ラインのプロセスを通じてメタノールを流し、ナトリウムメトキシドをポンプで追加供給した。25kgの脱イオン化(DI)水を反応混合物に添加し、全内容物をステンレス鋼(SS)反応器に移送した。追加の25kgのDI水をGLS反応器に仕込み、内容物をSS反応器に移送した。26.6kgの20%硫酸の水性混合物を塩基性(pH13)の水性反応生成物であるナトリウム6−ブロモ−2−シアノ−4−メトキシピリジン−3−オレートに添加して、pHを<2にした。中和された6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリルを、遠心分離機を使用して単離した。湿ケーキをSS反応器に仕込んだ5ガロンのDI水を使用して洗浄し、残った固体を遠心分離機に流した。窒素下、遠心分離機中で固体をスピンドライし、さらなる重量減少が観察されなくなるまで、乾燥窒素のパージ下、湿ケーキをさらに乾燥した。5.011kgの乾燥6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリルをオフホワイト色固体として得た(収率76%)。物質のH NMRアッセイは生成物が>99.5%の純度であることを示した。
【0080】
実施例2d.6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0081】
【化31】
【0082】
35mLの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中のナトリウムメトキシド(15.2g、282mmol)スラリーに4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(30g、108mmol)の無水DMSO(30mL)溶液を添加した。30分かけて溶液を添加し、添加の間、反応混合物を55℃未満に維持した。供給終了後、反応溶液をさらに1.5時間加熱した。得られた反応混合物を<30℃に冷却し、次いで、120mLのDI水を添加した。反応混合物を約25℃に放冷した。反応混合物のpHを、40%硫酸を用いて約2に調整し、それによって固体の沈殿が生じた。固体をろ過によって集め、75mLのpH1.5の硫酸、続いて25mLのDI水で洗浄した。固体を、次いで乾燥して、20.7g(収率83.7%)の所望の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.60 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 3.98 (s, 3H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 156.52, 149.35, 130.99, 118.55, 114.89, 114.52, 57.18.
【0083】
実施例2e.6−ブロモ−4−メトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0084】
【化32】
【0085】
40mLの超音波チューブ中の4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(1.11g、4.0mmol)のメタノール(7.5mL)溶液に、25wt%のNaOMeのMeOH溶液(2.59g、12mmol)を添加した。溶液を、超音波照射下、110℃で12時間加熱した。反応混合物を、次いで15〜20℃に冷却し、2MのHClをゆっくり添加してpHを約4〜5に調整することによって、クエンチした。反応混合物をロータリーエバポレーションによって濃縮した。混合物を、メタノール/CHClで溶出する、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.53g(収率58%)の固体(融点=177〜180℃)を得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 7.33 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 4.01 (s, 3H). 13C NMR (101 MHz, メタノール-d4) δ 157.96, 150.91, 132.58, 119.91, 115.50, 115.09, 57.66.
【0086】
実施例2f.6−ブロモ−4−エトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル
【0087】
【化33】
【0088】
磁気的に撹拌した4,6−ジブロモ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(5.40g、19.4mmol)のDMSO(30mL)溶液に、21%のNaOEtのEtOH(31.5g、97mol)溶液を室温で添加した。反応混合物を55℃で18時間加熱した。反応混合物を、次いで15〜20℃に冷却し、25mLの濃HClおよび80gの氷の混合物に注いだ。褐色の沈殿が生成した。混合物をEtOAc(4×75mL)に抽出した。合わせた有機物を水(5×100mL)、次いでブラインで洗浄した。抽出物を乾燥し(MgSO)、褐色固体までロータリーエバポレーションした。固体を1:1のヘキサン−エーテル(3×20mL)を用いて粉砕し、次いで空気中で乾燥して、淡褐色固体(4.39g、収率93%、融点=175〜177℃)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.42 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 4.25 (q, J= 7.0 Hz, 2H), 1.38 (t, J= 7.0 Hz, 3H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ155.81, 149.32, 131.15, 118.63, 114.94, 114.87, 65.74, 13.94.HRMS−ESI(m/z) [CBrNに対する計算値241.9691、実測値241.9690。
【0089】
実施例2g.6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸
【0090】
【化34】
【0091】
磁気的に撹拌した6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(88g、384mmol)の固体試料に、66%のHSO(384mL)を室温で添加した。得られた混合物を温め、90〜95℃で終夜撹拌した。反応終了をHPLCが示した後、反応混合物を30〜40℃に冷却し、水(3072g)を加えたフラスコにゆっくりと移送し、生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を0.5時間撹拌した。得られた沈殿をろ過し、水で洗浄し、空気中で終夜乾燥して、6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸(95g)をオフホワイト色固体として、100%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.48 (s, 1H), 3.97 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 170.12, 156.58, 149.09, 130.19, 129.86, 114.46, 56.79;HRMS−ESI(m/z) [M+H]+CBrNOに対する計算値246.948、実測値246.948;融点167〜170℃。
【0092】
実施例2h.6−ブロモ−4−エトキシ−3−ヒドロキシピコリン酸
【0093】
【化35】
【0094】
6−ブロモ−4−エトキシ−3−ヒドロキシピコリノニトリル(906mg、3.73mmol)を、66%のHSO(15mL)に室温で添加した。得られた混合物を磁気的に撹拌し、90℃で17時間加熱し、周囲温度に冷却し、12gの氷に注いだ。50%のNaOH溶液を、褐色固体が沈殿するまで、添加した。固体をEtOAc(3×25mL)に抽出し、MgSOで乾燥し、923mgの白色の結晶性固体までロータリーエバポレーションした(収率94%、融点=152〜155℃)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.5 (br, 1H), 7.36 (s, 1H), 4.19 (q, J= 7.0 Hz, 2H), 1.36 (t, J= 7.0 Hz, 3H).HRMS−ESI(m/z) [M+H]+ CBrNOに対する計算値260.9637、実測値260.964。
【0095】
実施例2i.3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸
【0096】
【化36】
【0097】
バッチ1:パールシェーカー(Parr shaker)ボトル(2L)中の3−ヒドロキシ−6−ブロモ−4−メトキシピコリン酸(47.5g)およびEtOH(576mL)に、トリエチルアミン(40.7g、402mmol)を添加した。次いで、窒素雰囲気下、5%のPd/C(20g、9.6mmol、5mol%)をボトルに添加した。反応スラリーをパールシェーカーに置き、ボトルを水素ガス(40〜45psi)下に置き、振とうした。HPLC分析が示すように反応の終了後、水素ガスを真空下で除去し、窒素ガスで置き換えた。反応スラリーを、セライトのパッドを通じてろ過し、セライトパッドを新しいエタノールで洗浄した。
【0098】
バッチ2:パールシェーカーボトル(2L)中の3−ヒドロキシ−6−ブロモ−4−メトキシピコリン酸(47.5g)およびEtOH(576mL)に、トリエチルアミン(40.7g、402mmol)を添加した。次いで、窒素雰囲気下、5%のPd/C(10g、4.8mmol、2.5mol%)を添加した。第1バッチで記載したように第2回目の反応を終了した。2バッチのエタノール性のろ液を合わせ、濃縮して固体を得た。固体を0.2NのHCl(400mL)で希釈して、pHを約1〜2に調整し、得られた懸濁液を室温で10〜15分間撹拌した。固体を、次いでろ過によって集め、水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で乾燥して、3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸(55g)をオフホワイト色固体として85%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J= 6.4 Hz, 1H), 7.40 (d, J= 6.5 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 164.16, 162.03, 152.52, 132.32, 126.57, 109.13, 57.35;HRMS−ESI(m/z) CNOに対する計算値169.0379、実測値169.0375;融点219℃。
【0099】
実施例2j.3−ヒドロキシ−4−エトキシピコリン酸
【0100】
【化37】
【0101】
パールシェーカーボトル(0.5L)中の6−ブロモ−4−エトキシ−3−ヒドロキシピコリン酸(739mg)およびEtOH(20mL)に、トリエチルアミン(599mg、5.92mmol)を添加した。5%のPd/C(300mg、0.141mmol、5mol%)をボトルに添加した。反応混合物を水素ガス(45psi)下、22時間振とうした。反応混合物を、セライトのパッドを通じてろ過し、セライトパッドをエタノールで洗浄した。白色固体(1.047g)までろ液をロータリーエバポレーションし、これを、次いで15mLの0.1MのHCl中でスラリー化し、ろ過した。固体を5mLの0.1MのHCl、次いで5mLの水で洗浄した。固体を空気中で乾燥して、402mg(収率78%、融点=216〜219℃)のオフホワイト色粉末を得た。H NMRは、生成物の共鳴に加えて7%のEtNHClの存在を示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 14.4 (br, 1H), 8.01 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.38 (d, J= 6.4 Hz, 1H), 4.32 (q, J= 7.0 Hz, 2H), 1.41 (t, J= 7.0 Hz, 3H). 13C{1H} NMR (DMSO-d6. 126 MHz) δ 164.33, 161.13, 152.37, 132.44, 126.92, 109.53, 66.02, 14.05.HRMS−ESI(m/z) [M+H]+ CBrOに対する計算値183.0532、実測値183.0536。
【0102】
実施例2k.3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル
【0103】
【化38】
【0104】
6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(7.5g、32.7mmol)、Zn末(4.28g、65.5mmol)および20%のKOH水溶液(100mL)の懸濁液を室温で終夜撹拌した。HPLC分析が示すように反応の終了後、反応混合物を、セライトを通じてろ過した。水性のろ液を5℃に冷却し、3NのHCl(約125mL)を用いてpHを約3〜4に調整した。沈殿した固体をろ過し、水で洗浄し、空気中で、次いで50℃の真空オーブン中で乾燥して、3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(4g)を茶色固体として81%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.12 (s, 1H), 8.08 (d, J= 5.3 Hz, 1H), 7.28 (d, J= 5.3 Hz, 1H), 3.94 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) 5 154.69, 148.59, 143.51, 119.84, 116.07, 110.54, 56.36;HRMS−ESI(m/z) Cに対する計算値150.043、実測値150.0429;融点224℃。
【0105】
実施例2l.3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸
【0106】
【化39】
【0107】
1Lの三口丸底フラスコに125グラムのKOH(1952mmol、KOHの含有率88%)、次いで400グラムの水を加えた。フラスコに、機械式撹拌機、サーマルウェル、および冷却器(入口w/N2)を取り付けた。KOHが溶解するまで溶液を混合した。3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(50g、334mmol)を、次いで溶液に添加し、これは発熱を生じなかった。反応を90℃に加熱した。NMR分析によって反応が終了したと見なした後(12時間)、反応溶液を周囲温度まで放冷し、終夜放置した。pHが2〜3になるまで12NのHClを添加し、これによって生成物が溶液から沈殿した。固体をろ過によって集め、10mLのMeOH、次いで10mLのMTBEで洗浄した。生成物を終夜乾燥し、次いで60℃の真空オーブンに4時間置いた。49.2グラムの3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸をオフホワイト色固体として得た(収率87.2%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J= 6.4 Hz, 1H), 7.39 (d, J= 6.5 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 164.16, 162.03, 152.52, 132.32, 126.57, 109.13, 57.35;HRMS−ESI(m/z) CNOに対する計算値169.0379、実測値169.0375。
【0108】
実施例2m.3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸
【0109】
【化40】
【0110】
機械式撹拌機を有する1Lの三口丸底フラスコに、水(200mL)中の6−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリノニトリル(45.8g、200mmol)および亜鉛末(14.38g、220mmol)を加えた。45%のKOH(125g、1000mmol)を室温でゆっくりと加えた。反応を90℃に加熱した。HPLC分析によって反応が終了したと見なした後(20時間)、反応溶液を周囲温度まで放冷した。反応混合物を、セライトを通じてろ過した。ろ液を、氷浴を用いて冷却し、次いで、pHが0.9になるまで、12NのHCl(約90mL)を添加した。固体をろ過によって集め、0.1NのHClおよび水で洗浄した。生成物を終夜乾燥し、次いで50℃の真空オーブンに終夜置いた。3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸をオフホワイト色固体として得た(26.9g、収率80%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J= 6.4 Hz, 1H), 7.39 (d, J= 6.5 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 164.16, 162.03, 152.52, 132.32, 126.57, 109.13, 57.35;HRMS−ESI(m/z) CNOに対する計算値169.0379、実測値169.0375。
【0111】
実施例2n.3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸
【0112】
【化41】
【0113】
磁気的に撹拌した3−ヒドロキシ−6−ブロモ−4−メトキシピコリン酸(3.9g、26mmol)の固体に40%のHSO水溶液(125mL)を室温で添加した。混合物を、次いで温め、90℃で終夜撹拌した。HPLC分析が反応終了を示した後、反応混合物を5℃に冷却し、25%のNaOH水溶液(約250mL)を反応混合物にゆっくりと加え、pHを約1〜2に調整した。得られた懸濁液を室温で10〜15分間撹拌し、固体生成物をろ過によって集めた。ろ過ケーキを水で洗浄し、空気中で数時間、次いで50℃の真空オーブン中で乾燥して、3−ヒドロキシ−4−メトキシピコリン酸(3.1g)を茶色固体として70%の収率で得た。融点227℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.40 (d, J= 6.5 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 164.16, 162.03, 152.52, 132.32, 126.57, 109.13, 57.35.