特許第6688299号(P6688299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688299コーティング組成物のための流動性改良剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688299
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】コーティング組成物のための流動性改良剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20200421BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20200421BHJP
   C08F 220/16 20060101ALI20200421BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20200421BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20200421BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20200421BHJP
【FI】
   C09K3/00 103
   C08F290/06
   C08F220/16
   C08F220/28
   C08F230/08
   C09D7/65
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-527265(P2017-527265)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-505233(P2018-505233A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2015078961
(87)【国際公開番号】WO2016096537
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】14198379.1
(32)【優先日】2014年12月16日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513277278
【氏名又は名称】オールネックス オーストリア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テメル、アルミン
(72)【発明者】
【氏名】ショーンバッハー、トマス
(72)【発明者】
【氏名】シャフホイトル、マルクス
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−501701(JP,A)
【文献】 特開昭60−219207(JP,A)
【文献】 特開昭61−078806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00− 3/32
C08F 290/00−290/14
C08F 220/00−220/70
C08F 230/08
C09D 7/00− 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
・結合された2つ以上のビニル基を有するビニル末端ポリシロキサンA、及び
・2種以上のオレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステルBに由来する部分、ここで、少なくとも2種の異なるアルキルエステルが使用され、第1のものをアルキルエステルB1と呼び、第2のものをアルキルエステルB2と呼び、第1アルキルエステルB1がエチルアクリレートであり、第2アルキルエステルB2が2−エチルヘキシルアクリレートであり、及び
・ヒドロキシエチルアクリレートである少なくとも1つのヒドロキシアルキルエステルB3に由来する部分、
のものに由来する部分を含むコポリマーABを含む流動性改良剤であって、
ビニル末端ポリシロキサンAは2つの末端ビニル基を有し及び式Iに従い:
【化1】

式中R〜Rは互いに独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル及びアルキルフェニルからなる群から選択されるアリール基、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがF及びClからなる群から選択されるハロゲン原子によって置換される1〜6個の炭素原子を有するハロアルキル基、からなる群から選択され;ここで前記アルキルフェニルはアルキル基に1〜9個の炭素原子を有し、及びここで数m及びnは互いに独立して0又は1〜90の整数であり、mとnの合計m+nは、少なくとも6で且つ100以下でなければなら
コポリマーABは、モノマーに由来する繰り返し単位の以下の質量分率wを含む
ジビニル末端ポリシロキサンAのw(A)は1.5%〜4.5%であり;
エチルアクリレートB1のw(B1)は30%〜85%であり;
2−エチルヘキシルアクリレートB2のw(B2)は5%〜55%であり;
ヒドロキシエチルアクリレートB3のw(B3)は5%〜20%であって、
モノマーの質量分率の合計が100%を超えないようにモノマーが組み合わされる。
【請求項2】
、R、R及びRはメチルであり、R及びRは両方メチルであり、R及びRは両方エチル又はフェニルであり、又はそれらは異なりRはメチルであり一方Rは1,1,1−トリフルオロプロプ−3−イルである、請求項1に記載の流動性改良剤
【請求項3】
n=0である、請求項2に記載の流動性改良剤
【請求項4】
mの値は、ジビニルポリシロキサンAの数平均モル質量が500g/モル〜7000g/モルであるように選択される、請求項3に記載の流動性改良剤
【請求項5】
モノマーに由来する繰り返し単位の以下の質量分率wを含む請求項1〜4のいずれかに記載の流動性改良剤
ジビニル末端ポリシロキサンAのw(A)は1.5%〜3.8%であり;
エチルアクリレートB1のw(B1)は30%〜75%であり;
2−エチルヘキシルアクリレートB2のw(B2)は5%〜55%であり;
ヒドロキシエチルアクリレートB3のw(B3)は10%〜20%である。
【請求項6】
1.5kg/モル〜6kg/モルの数平均モル質量M、及び2.5kg/モル〜40kg/モルの質量平均モル質量Mを有し、数値はGPCによって測定されるポリスチレン当量である、請求項1〜5のいずれかに記載の流動性改良剤
【請求項7】
少なくともバインダー樹脂、及び任意に、溶媒、添加剤、顔料、着色剤、架橋剤、及び触媒の1つ以上を含むコーティング組成物における、請求項1に記載の流動性改良剤の使用方法であって、流動性改良剤は0.05%〜5%の質量分率でコーティング組成物中に存在する、方法。
【請求項8】
請求項1の流動性改良剤を含むコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物の流動性改良剤に関する。本発明はさらに、レべリング剤として流動性改良剤を含むコーティング組成物に関する。コーティング組成物は、好ましくは、有機溶媒中、水中、有機溶媒と水の混合物中の結合剤の溶液又は分散液であり得、必要に応じて、顔料及び助剤も含み得る。
【背景技術】
【0002】
ペイント表面は、通常、完全に滑らかではなく、しばしば波形又は「オレンジピール」と呼ばれる不規則な構造を有する表面を示す。一般的に微細構造は「短波」と呼ばれ、粗い構造は「長波」と呼ばれる。そのような構造は通常望ましくない。構造は、コーティング組成物の性質及び組成、いわゆる「合体剤」としてしばしば特別に添加される溶媒の存在、並びに乾燥の温度及び速度などの他のパラメータに依存する。特に粉末コーティング材料の場合、流動性改良剤(流動性促進剤とも呼ばれる)の添加が滑らかな表面を得るために必要である。
【0003】
(メタ)アクリルモノマーに基づくポリマー及びポリシロキサンに基づくポリマーの両方は、コーティング組成物の流動性改良剤、流動性促進剤、又はレベリング促進剤として使用されている。
【0004】
ポリシロキサンは、一般的に、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサンであり、ポリエーテル変性又はポリエステル変性であり得る。ポリシロキサン部分を含むブロックコポリマーは、EP1375605B1に記載されている。
【0005】
ポリ(メタ)アクリレートの場合には、アルキル鎖に1個の炭素原子からアルキル鎖に13個までの炭素原子のアルキル基鎖長を有するアクリル酸アルキルエステルのポリマー又はコポリマーを使用することが好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、及びトリデシルアクリレート、又は対応するメタクリエート、又はこれらのいずれかの混合物などである。アクリレート及びメタクリレートの両方は、本出願の目的のために、「(メタ)アクリレート」という記載形態に包含されるものとする。使用される生成物は、いくつかの場合、100kg/モルまでの数平均モル質量を有する。アルキル基に1又は2個の炭素原子を有するアルキルアクリレートから、アクリル酸から、及び任意に、2−エチルヘキシルアクリレートなどのより長鎖のアルキルアクリレートから作製されるアクリレートコポリマーは、米国特許第5,621, 059A号から公知である。これらは、水系及び溶媒系コーティングで、並びに粉末コーティングで流動性改良剤として使用されることができる。米国特許第6,197,883号において、レベリング促進剤、レベリング添加剤、又は流動性改良剤としてブロックコポリマーの使用が記載されている。これらの異なる言葉は全て、添加剤が添加された塗料組成物又はコーティグ組成物のせん断及び伸長粘度、界面接着力、また表面張力を含む流れ挙動を変化させる添加剤の様々な側面を記載し;したがって、以後これらの添加剤を一般に「流動性改良剤」と呼ぶ。
【0006】
流動性改良剤として使用されるこれらのポリ(メタ)アクリレート(コ)ポリマーは、そのままで、又は有機溶媒中の溶液として、又は例えばシリカに適用される粉末として使用され得る。後者は、通常、流動性改良剤が粉体コーティング材料で使用される場合である。コーティング処方において、流動性改良剤として使用されるそのような生成物の質量分率は、コーティング処方の質量で、通常0.05%〜3%である。
【0007】
これらの流動性改良剤の効果はまた、おそらく液体−気体界面へのそれらの効果に基づいており、これらの生成物は、コーティング系の結合剤との特定の不適合性のために蓄積される。この不適合性は、これらのポリマーのモル質量を増加させるか又はそれらの化学組成の変化によって、増加され得る。しかしながら、これはまた、コーティグの曇り、コーティングフィルム中のクレーターなどの表面の不規則性の形成、多層コーティングにおける界面接着の低下につながり得る。この傾向は、ポリシロキサンベースの流動性改良剤の場合にしばしば観察される。
【0008】
したがって、所望の平滑な表面及び望ましくない表面の不規則性にまだつながっていない非適合性の許容可能な程度を得るために、最適化は、表面張力と流動特性の必要な変更の間に必要である。本発明者らの研究は、既存のポリマーが上記の問題のアウトラインに対する不十分な解決策しか提供しないことを検証し、レベリング、流動性、及び基質の濡れ性の両方を促進し、生成される平滑なコーティグフィルムを可能にする改良された添加剤が必要であることを示した。EP1375605B1で記載されるような、この文脈で使用されているRAFT(Reversible Addition−Fragmentation chain Transfer(可逆的付加開裂連鎖移動))重合技術のような従来の重合プロセスによってそのような添加剤を生成することも望ましく、低多分散性のポリマーを製造することは不利益を有する。なぜなら特定のRAFT剤は、モノマーの限られたセットにしか適しておらず、RAFT剤の合成は、典型的には、多段階合成手順及びその後の精製を必要とするからである。RAFT剤はまた、長期間にわたって不安定になる傾向があり、しばしば非常に着色され、ジチオエステル部分の徐々の分解のために刺激臭を有し、より高い蒸気圧を有するより小さな分子の硫黄化合物を与えることがあり得る。得られるポリマー中の硫黄及び色の存在はまた、いくつかの用途には望ましくなく、これらの望ましくない化合物の分離は、さらなるステップを含む。
【0009】
EP0159894A2において、熱硬化性アクリル樹脂組成物が、金属材料をコーティングするために開示されているが、これは次のモノマーの混合物をラジカル共重合に供することによって得られる:(a)モノマー混合物中で40%〜80%の質量分率の、エステル基部分に1〜12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、(b)モノマー混合物中で20%〜5%の質量分率の、少なくとも1つのヒドロキシル基若しくはエポキシ基含有アクリル酸エステル又はヒドロキシル基若しくはエポキシ基含有メタクリン酸エステル、(c)モノマー混合物中で20%〜0.01%の質量分率のビニル基含有ポリシロキサン、及び(d)モノマー混合物中で20%〜2%の質量分率のビニル基含有シラン化合物。第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基に1〜5個の炭素原子、及び第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基に6〜30個の炭素原子を有する2種の異なる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの必須の存在の言及はない。
【0010】
WO 2006/125731A1において、スリップ剤及びレベリング剤が記載され、これは、次のものを共重合することによって得られるコポリマーを含む:(A)不飽和ジカルボン酸のモノ又はジパーフルオロエステルの少なくとも1つの単位;(B)少なくとも1つの末端反応性ポリシロキサン単位;(C)少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレート単位又はシクロアルキル(メタ)アクリレート単位及び/又は(メタ)アクリル酸及び/又はラジカルを形成することができるビニル化合物に由来する他の単位。モノマー混合物中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの必須の存在の開示はなく、ビニル末端ポリシロキサン単位の言及もない。
【0011】
米国特許第2004/054071A1号において、表面コーティングのためのレベリング剤としてブロックコポリマーの使用が記載され、このコポリマーは、1kg/モル〜100kg/モルの質量平均モル質量を有する。レベリング剤は、ポリシロキサンブロック及び制御されたフリーラジカル付加重合によるエチレン性不飽和モノマーから調製された1つ以上のブロックから構成される直鎖又は分枝ブロックコポリマーである。モノマーブチルアクリレート及びラウリルアクリレートに由来する単位を含むコポリマーが開示されるが、ジビニルポリシロキサン又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのいずれの記載もない、
【0012】
WO2011/133408A2において、−Si−O−Si−結合を介してアクリルポリマーと共有結合されたシリコーンポリマーを含むシリコーン−アクリルコポリマーが記載される。このシリコーン−アクリルコポリマーは、(a)シリコーンポリマー、(bi)アクリルモノマーの混合物であって、少なくとも1つのアクリルモノマーが、ラジカル開始剤とともにシラン(メタ)アクリルモノマー及び/又はシロキサン(メタ)アクリルマクロマーを含み、アクリルプレポリマーを形成する上記アクリルモノマーの混合物、又は(bii)シラン又はシロキサン官能基を含むアクリルポリマー;及び(c)いわゆる「スクランブル触媒」の反応生成物であり、ここで、シリコーンポリマー(a)及びアクリルモノマーの混合物(bi)又はポリマー(bii)の比は、50:1〜1:50である。このシリコーン−アクリルコポリマーは、接着剤、シーラント、コーティング剤等として有用である。C〜Cアルキル(メタ)アクリレート及びC〜C30アルキル(メタ)アクリレートの両方、並びにまたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの必須の同時存在は開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基礎となる実験において、上記のこれらの目的は、ポリシロキサン部分及び2つ以上、好ましくは2つの共重合可能ビニル基を有するモノマー並びにオレフィン性不飽和カルボン酸の2種以上のアルキルエステル及びオレフィン性不飽和カルボン酸の少なくとも1つのヒドロキシアルキルエステルを含むさらなるビニルモノマーを有するモノマーから作製されるコポリマーによって満たされることがわかった。
【0014】
したがって、本発明は、以下のものに由来する部分を含むコポリマーABを提供する:
・ポリシロキサンに結合される2つ以上のビニル基を有するビニル末端ポリシロキサンA、及び
・オレフィン性不飽和カルボン酸の2種以上のアルキルエステルBに由来する部分、ここで、少なくとも2種の異なるアルキルエステルが使用され、第1のものはアルキルエステルB1と呼ばれ、第2のものはアルキルエステルB2と呼ばれ;オレフィン性不飽和カルボン酸の第1アルキルエステルB1のアルキル基は1〜5個の炭素原子を有し、オレフィン性不飽和カルボン酸の第2アルキルエステルB2のアルキル基は6〜30個の炭素原子を有し、及び
・オレフィン性不飽和カルボン酸の少なくとも1つのヒドロキシアルキルエステルB3に由来する部分。ここでエステルB3は、アルキル基に少なくとも1つのヒドロキシル基、及びアルキル基に2〜6個の炭素原子を有する。
【0015】
本発明はさらに、これらのコポリマーABを、ラジカル開始重合反応によって、好ましくは不活性溶媒中で作製する方法、及びまたさらには、コーティング組成物の流動性改良剤として上記で定義されるようなコポリマーABの使用方法を提供する。最後に、本発明はまた、上記で定義されるようなコポリマーABを含むコーティング組成物に関する。
他と重複するが本発明を以下に示す。
[発明1]
以下のものに由来する部分を含むコポリマーAB:
・結合された2つ以上のビニル基を有するビニル末端ポリシロキサンA、及び
・2種以上のオレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステルBに由来する部分、ここで、少なくとも2種の異なるアルキルエステルが使用され、第1のものをアルキルエステルB1と呼び、第2のものをアルキルエステルB2と呼び、オレフィン性不飽和カルボン酸の第1アルキルエステルB1のアルキル基は1〜5個の炭素原子を有し、オレフィン性不飽和カルボン酸の第2アルキルエステルB2のアルキル基は6〜30個の炭素原子を有し、及び
・オレフィン性不飽和カルボン酸の少なくとも1つのヒドロキシアルキルエステルB3に由来する部分、ここでエステルB3は、そのアルキル基中に少なくとも1つのヒドロキシル基を及びそのアルキル基中に2〜6個の炭素原子を有する。
[発明2]
ビニル末端ポリシロキサンAは2つの末端ビニル基を有し及び式Iに従う、発明1に記載のコポリマーAB:
[化1]

式中R1〜R8は互いに独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル及びアルキルフェニルからなる群から選択されるアリール基、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがF及びClからなる群から選択されるハロゲン原子によって置換される1〜6個の炭素原子を有するハロアルキル基、からなる群から選択され;ここで前記アルキルフェニルはアルキル基に1〜9個の炭素原子を有し、及びここで数m及びnは互いに独立して0又は1〜90の整数であり、mとnの合計m+nは、少なくとも6で且つ100以下でなければならない。
[発明3]
、R、R及びRはメチルであり、R及びRは両方メチルであり、R及びRは両方エチル又はフェニルであり、又はそれらは異なりRはメチルであり一方Rは1,1,1−トリフルオロプロプ−3−イルである、発明2に記載のコポリマーAB。
[発明4]
n=0である、発明3に記載のコポリマーAB。
[発明5]
mの値は、ジビニルポリシロキサンAの数平均モル質量が500g/モル〜7000g/モルであるように選択される、発明4に記載のコポリマーAB。
[発明6]
アルキルエステルB1において、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、及びtert−ペンチルからなる群から選択される、発明1〜5のいずれかに記載のコポリマーAB。
[発明7]
アルキルエステルB1はエチルアクリレート及びn−ブチルアクリレートからなる群から選択される、発明6に記載のコポリマーAB。
[発明8]
アルキルエステルB2において、6〜30個の炭素原子を有するアルキル基は、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、2−ノニル、ドデシル、トリデシル、ペンタデシル、及びオクタデシルからなる群から選択され、それらは前記アルキル基の直鎖及び分枝異性体を含む、発明1〜7のいずれかに記載のコポリマーAB。
[発明9]
アルキルエステルB2はヘキシルアクリレート及び2−エチル−ヘキシルアクリレートから選択される、発明8に記載のコポリマーAB。
[発明10]
ヒドロキシアルキルエステルB3は、アルキル基に少なくとも1つのヒドロキシル基を及びアルキル基に2〜6個の炭素原子を有し、及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピルエステルを含むヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−1−プロピル(メタ)アクリレートと1−ヒドロキシ−2−プロピル(メタ)アクリレートの異性体混合物からなる群から選択される、発明1〜9のいずれかに記載のコポリマーAB。
[発明11]
ヒドロキシアルキルエステルB3は、ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシ−1−プロピルアクリレートと1−ヒドロキシ−2−プロピルアクリレートの異性体混合物からなる群から選択される、発明10に記載のコポリマーAB。
[発明12]
モノマーに由来する繰り返し単位の以下の質量分率wを含む発明1〜11のいずれかに記載のコポリマーAB:
ジビニル末端ポリシロキサンAのw(A)は0.5%〜4.5%であり;
アルキルエステルB1のw(B1)は30%〜85%であり;
アルキルエステルB2のw(B2)は5%〜55%であり;
ヒドロキシアルキルエステルB3のw(B3)は5%〜20%である。
[発明13]
1.5kg/モル〜6kg/モルの数平均モル質量M、及び2.5kg/モル〜40kg/モルの質量平均モル質量Mを有し、数値はGPCによって測定されるポリスチレン当量である、発明1〜12のいずれかに記載のコポリマーAB。
[発明14]
少なくともバインダー樹脂、及び任意に、溶媒、添加剤、顔料、着色剤、架橋剤、及び触媒の1つ以上を含むコーティング組成物のための流動性改良剤としての、発明1に記載のコポリマーABの使用方法であって、コポリマーABは0.05%〜5%の質量分率でコーティング組成物中に存在する、方法。
[発明15]
発明1のコポリマーABを含むコーティング組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリシロキサンに結合される少なくとも1つのビニル基を有するビニル末端ポリシロキサンAは好ましくは2つの末端ビニル基を有し、さらに好ましくは式Iに従う:
【化1】

式中R〜Rは互いに独立して1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル及びアルキルフェニルからなる群から選択されるアリール基(アルキルフェニルは、アルキル基に1〜9個の炭素原子を有する)、アルキル基の水素原子の少なくとも1つが、F及びClからなる群から選択されるハロゲン原子によって置換される1〜6個の炭素原子を有するハロアルキル基からなる群から選択される。R、R、R及びRは好ましくはメチルであり、R及びRは好ましくは両方メチルであり、R及びRは好ましくは両方エチル又はフェニルであり、又は別の好ましい態様においてそれらは異なり、Rはメチルである一方、Rは1,1,1−トリフルオロプロプ−3−イルである。数字m及びnは互いに独立して0又は1〜90の整数であり、mとnの合計m+nは少なくとも6で、かつ100以下でなければならない。好ましい態様において、m+nは少なくとも9で、かつ90以下である。さらに好ましい態様において、m+nは少なくとも9で、かつ85以下である。nがmより小さいことも好ましく、より好ましくはn=0である。
【0017】
ポリシロキサンAとして、R〜R基としてメチル基のみを有するポリシロキサンを使用する場合、ジビニルポリシロキサンAの数平均モル質量が500g/モル〜7000g/モルであるように、mの値を使用することが特に好ましい。
【0018】
アルキルエステルB1において、アルキル基は1〜5個の炭素原子を有し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、及びtert−ペンチルからなる群から選択され得る。オレフィン性不飽和カルボン酸は、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸である。特に好ましいアルキルエステルB1はエチルアクリレート及びn−ブチルアクリレートであり、特に好ましくはエチルアクリレートである。
【0019】
アルキルエステルB2において、アルキル基は6〜30個の炭素原子を有し、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、2−ノニル、ドデシル、トリデシル、ペンタデシル、及びオクタデシルからなる群から選択されることができ、直鎖及び分枝異性体が明示的に開示されていない場合は、これらを含む。オレフィン性不飽和カルボン酸は、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸である。特に好ましいアルキルエステルB2はヘキシルアクリレート及び2−エチル−ヘキシルアクリレートであり、特に好ましくは2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0020】
好ましいヒドロキシアルキルエステルB3は、アルキル基に少なくとも1つのヒドロキシル基、及びアルキル基に2〜6個の炭素原子を有する。オレフィン性不飽和カルボン酸は、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸である。特に好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピルエステルを含むヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−1−プロピル(メタ)アクリレートと1−ヒドロキシ−2−プロピル(メタ)アクリレートとの異性体混合物である。最も好ましいアルキルエステルB3は、ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシ−1−プロピルアクリレートと1−ヒドロキシ−2−プロピルアクリレートとの異性体混合物である。
【0021】
本発明に係る好ましいコポリマーABは、モノマーに由来する繰り返し単位の以下の質量分率wを含む:
ジビニル末端ポリシロキサンAの場合、w(A)は、0.5%〜4.5%、特に好ましくは1.0%〜4.2%、特別に好ましくは1.5%〜3.8%であり;
アルキル基が1〜5個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステルB1の場合、w(B1)は、30%〜85%、特に好ましくは35%〜80%、特別に好ましくは40%〜75%であり;
アルキル基が6〜30個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステルB2の場合、w(B2)は、5%〜55%、特に好ましくは6%〜50%、特別に好ましくは7%〜45%であり;
アルキル基が2〜6個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルB3の場合、w(B3)は、5%〜20%、特に好ましくは7.5%〜18%、特別に好ましくは10%〜16%である。
ここに記載される異なるモノマーの全ての範囲は、質量分率の合計に対して100%を超えないように注意して組み合わされ得る。
【0022】
ポリマー中の繰り返し単位の質量分率は、一般式CXi1i2 = CXi3i4を有する各オレフィン性不飽和モノマーiについて、オレフィン性不飽和モノマー−CXi1i2−CXi3i4の繰り返し単位を同定し、適切な分析手段、この場合、好ましくは、13C−NMR分光法によってポリマー分子中のこれらの繰り返し単位の平均数を測定し、こうして得られた数分率にモノマーの単位と同じである繰り返し単位のモル質量をかけることにより計算される。シグナルが質量に依存する熱分解ガスクロマトグラフィーなどの分析ツールを使用する場合、質量分率は、既知の組成の純粋なモノマー又はコポリマーで較正後に分析結果から直接計算され得る。
【0023】
本明細書中で記載される上記の個々の成分の好ましい態様の組み合わせは、特に良好な結果をもたらすことが見出された。成分Aのための特に好ましい選択は、成分B1、B2及びB3の1つ以上のための好ましい選択、又は特に好ましい選択と組み合わされた場合に、最高の結果が得られた。
【0024】
本発明のコポリマーABを調製するために使用される及び使用され得る付加重合プロセスは以下の通りである:
(1)溶液中での標準的なラジカル重合、ここでラジカルは、熱分解によって、好ましくはアゾ化合物、過硫酸塩、又は過酸化物の熱分解によって、光分解によって、好ましくは金属ヨウ化物、金属アルキル、又はアゾ化合物の光分解によって、電離放射線によって、ラジカルアニオン又はラジカルカチオンの電解形成によって、酸化還元反応によって、好ましくは鉄触媒下での過酸化水素又はアルキル過酸化水素の酸化還元反応によって、又はメタロセン、アシルペルオキシドなどの開始剤、及びジケトカルボン酸に基づくもののような三元開始剤を使用して発生する;
(2)以下を含む制御されたラジカル重合法:
(2a)例えばWO1998/058974 A1で記載されるような、移動剤としてキサントゲンエステルを用いて制御されたフリーラジカル重合、
(2b)例えばWO 1998/001478 A1で記載されるような、移動剤としてジチオエステルを用いて制御されたフリーラジカル重合、
(2c)例えばWO 1999/031 144 A1で記載されるような、移動剤としてジチオカルバメートを用いて制御されたフリーラジカル重合、
(2d)例えばWO 1996/030421 A1又はChem. Rev. 2001, 101, 2921に記載されるような、遷移金属触媒を使用する原子移動ラジカル重合(ATRP)。
重合プロセス(2a)及び(2c)は、RAFT重合とも呼ばれる。
【0025】
本発明で流動性改良剤に使用されるモノマー及びコポリマーABの組成物の利点は、アゾ又は過酸化物又はペルオキシエステル開始剤を使用する従来の溶液重合を使用して、これらのコポリマーを所望の仕様にすることができ、これは(2)によるプロセスで使用される開始剤の硫黄含有又は発色成分の存在を防止する。
【0026】
重合は、アルコール溶媒、好ましくはイソプロパノールにビニル末端ポリシロキサンAの溶液を入れ、55℃〜120℃の温度に、好ましくは還流下で加熱することによって行われた。2つの混合物を同時に加えた。1つは、同じアルコール溶媒でラジカル開始剤を含み、他方は、任意に同じアルコール溶媒中に溶解された、モノマーB1、B2及びB3の混合物を含む。反応が完了する場合、これは、反応混合物中の未反応モノマーの濃度を決定することによって確認され、反応混合物は、130℃〜170℃の温度に加熱され、溶媒、未反応モノマー及びラジカル開始剤の分解の副生成物が、減圧下での蒸留によって除去される。コポリマーABは、そのように使用され得、又は溶液沈殿ステップによって、抽出によって、又は通常のクロマトグラフィー法によって精製され得る。
【0027】
流動性改良剤として使用される本発明のコポリマーABの数平均モル質量Mは、好ましくは、1.5kg/モル〜6.5kg/モルの範囲であり、質量平均モル質量Mは、好ましくは2.5kg/モル〜40kg/モルの範囲であり、ゲル浸透クロマトグラフィーを介して、溶媒としてテトラヒドロフランを使用して測定され、ポリスチレン標準で較正した。コポリマーのモル質量について記載された値は、同等のポリスチレンモル質量のみであり、試験したコポリマーについての実際の値を反映しないことに留意されなければならない。
【0028】
適切な場合、本発明に係るコポリマーABは、架橋剤及び触媒を含むバインダー樹脂、溶媒、添加剤、顔料及び着色剤等を含むコーティング処方中で流動性改良剤として使用され、それは比較的少量で、0.05%〜5%、好ましくは、0.1%〜3%、最も好ましくは0.2%〜2%のコーティング組成物で流動性改良剤コポリマーの質量分率に対応する。
【0029】
本発明の流動性改良剤は、溶液として、水性エマルションとして、又はバルクで、すなわち、非希釈形態で、コーティング材料の性質及びその適用方法に依存して、使用され得る。
【0030】
溶媒系コーティング材料において、溶媒がコーティング材料自体の溶媒に類似する流動性改良剤を使用することが好ましい。放射線硬化系において、流動性改良剤は、好ましくは、対応するモノマー中で溶解される。粉末コーティング材料において、マスターバッチの形態で、流動性改良剤の非希釈形態、又は粉末状の担体材料に適用されるその形態が好ましい。これらの流動性改良剤は、ドイツ国特許出願DE−A19522475で記載されるように、ワックス溶解物中に組み入れられ得、自由流動性固体形態に転化される。水性粉末スラリーにおいて、流動性改良剤は、水性エマルションの形態で添加され得る。これらのエマルションは、乳化剤を用いて先行技術に従って調製される。
【0031】
本発明はまた、0.05%〜5%、好ましくは0.1%〜3%、最も好ましくは0.2%〜2%のコーティング組成物の質量に基づいて、質量分率で流動性改良剤を含むコーティング組成物に関する。
【実施例】
【0032】
本発明は、以下の実施例によって、さらに説明される。
【0033】
DIN EN ISO 2813に従って、光沢を、BYK Gardner GmbHから得られたマイクロRTI光沢計を使用して測定した。
【0034】
ウェーブスキャン及びDOIの測定は、ASTM E430に従って、BYK Gardner GmbHから得られた波動走査二重測定器を用いて行った。
【0035】
例1 シリコーン/アクリルハイブリッドコポリマーの重合
ポリマーを以下に記載されるものと常に同じ手順に従って合成した。ポリマーの組成を、以下の表1に従って変化させた。
還流冷却器、撹拌機、及び2つの添加漏斗を備えた500mlの体積を有するガラス反応器を、75gのイソプロパノール及び表1に示されるジビニル−ポリ−ジメチルシロキサンの質量で充填した。内容物を、還流(83℃)まで加熱し、イソプロパノール中t−アミルパー−2−エチルヘキサノエートの混合物並びにエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びヒドロキシエチルアクリレートのモノマーの混合物を、5時間かけて徐々に加えた。次に、混合物をもう1時間83℃で保持することによって反応を完了させ、最後に、ラジカル開始剤の分解からの残留モノマー、溶媒及び副生成物を、減圧下160℃での蒸留により除去した。
【0036】
【表1】
【0037】
例2 2液クリアコートコーティング組成物
2液クリアコート組成物が以下に従って作製された。パート(a)の場合、CC0〜CCRのそれぞれについて、75%の樹脂の質量分率を有する、ブチルアセテート中140mg/gのヒドロキシル価を有する高固形分アクリル樹脂溶液76.05gを、以下の添加剤と一緒に、キシレン、メトキシプロピルアセテート、及びさらなるブチルアセテートのそれぞれ6.73gで希釈した:
0.51gのヒンダードアミン光安定剤(Tinuvin(登録商標)292、BASF SE)、1.48gのベンゾトリアゾール光安定剤(Tinuvin(登録商標)1130、 BASF SE)を、以下のように流動性改良剤を添加して完了した:
CC0のパート(a)(未変更):無添加
CC1のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP1、
CC2のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP2、
CC3のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP3、
CC4のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP4、
CC5のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP5、
CC6のパート(a):0.65gの例1のコポリマーP6、
CCR(参照)のパート(a):ポリエーテル変性ポリシロキサン(Additol(登録商標)VXL4930、Allnex Austria GmbH)に基づく市販のレベリング添加剤0.17g、40mg/gのヒドロキシル価を有する市販のアクリル系コポリマーレベリング添加剤(Modaflow(登録商標)9200、Allnex Austria GmbH)0.11g、
及び、部分(a)のそれぞれへの1%のスズ塩の質量分率を有するキシレン中ジブチルスズジラウレート(Metatin(登録商標)712、The DOW Chemical Company)の溶液1.48g、及びジエチルエタノールアミン0.1gの最終添加。
【0038】
それらのために使用される架橋組成物(パート(b))について、8つの混合物のそれぞれを、22%のイソシアネート基の質量分率を有するヘキサメチレンジイソシアネート三量体(Desmodur(登録商標)N3300、Bayer Material Science)28.18g、酢酸ブチル10.75g、150℃〜180℃の沸点範囲を有するC〜C10芳香族化合物を含む芳香族溶媒(Solvent Naphtha H)2.69g、及びキシレン異性体混合物0.1gから調製した。
【0039】
組成物(a)及び組成物(b)を6000分−1で30分間、実験室規模のブレンダー中で別々に混合した。
【0040】
例3 テストパネルの準備
洗浄された鋼パネルは、スプレー塗布の直前にイソプロパノールでふき取られた。次に、標準的な溶媒系黒色自動再仕上げ1液スプレーベースコートを、適切な溶媒を加えることによって、15秒の流下時間(DIN−4カップ)に調整して、23℃及び50%の相対湿度で、スプレー塗りによって、清浄された鋼パネルのそれぞれの領域の半分に塗布した。パネルを、23℃及び50%相対湿度で24時間乾燥させた。得られた乾燥フィルム厚は、約10μmであった。
【0041】
クリアコートCC0〜CC6並びに参照クリアコートCCR、例2の全てを、例2で詳述された量で異なる成分(a)のそれぞれに成分(b)のそれぞれ1部分を加えることによって混合し、粘度を、酢酸ブチルを添加することによって16s(DIN−4カップ)に調整した。次に、クリアコートCC0〜CCRを、23℃及び50%の相対湿度で、自動スプレーシステムによって、ベースコート被覆された鋼パネルの全領域に塗布し、45μmの一定の乾燥フィルム厚を達成した。被覆されたパネルを30分間フラッシュオフし、次に、強制乾燥のために80℃で30分間オーブンに入れ、さらに23℃及び50%の相対湿度で5日間保管した。
【0042】
次にクリアコートの第2層を、150μmの湿潤フィルム厚で注型することにより、被覆されたパネルに塗布した。クリアコートのこの第2層は、成分(b)からの溶媒が処方から除外されていることを除いて、第1層と同様であった。注型後、パネルを、23℃及び50%の相対湿度で30分間フラッシュオフし、次いでオーブンで80℃で30分硬化させた。この硬化後のすぐ後に、第1セットのクロスカット判定を行った。この試験を、23℃及び50%の相対湿度で保存の1日後及び8日後に繰り返した。
【0043】
例4 品質試験
全ての被覆パネルのベースコート(BC)上のクリアコート層(CC)の外観(ウェーブスキャン、DOI:Distinctness Of Image(写像鮮明性)、光沢)並びにクロスカットからの結果(層間接着)を、表2及び3に示す:
【0044】
【表2】
【0045】
値の最高の組み合わせが、クリアコートCC1及びCC3について得られた。
【0046】
【表3】
【0047】
このクロスカット試験は、ASTM D3359の方法Aに従って実施された。ここで、「5」は、剥がれた塗装領域が65%超えを意味し、「4」は、塗装領域の35%〜65%が剥がれることを意味し、「0」は、粘着テープを引き剥がすことによって領域の0%が剥がれることを意味する。
【0048】
クリアコートCC1、CC3及びCC5が、最高の結果を示す。良好な結果がクロスカット試験(良好な層間接着を意味する)及び表面品質(高光沢、低うねり)の両方において、同じレベリング添加剤で実現されることが重要である。これが本発明のコポリマーABで実現された。