(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種の増粘剤(C)に関しては、コーティング組成物の総質量に対して、0.5から15質量%の範囲の固形分を有する、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
ポリマー樹脂(C1)として使用されるポリアミドが、(C1)1g当たりKOH 30から120mgの範囲の酸価を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
結合剤(A)が、少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)として、少なくとも1種のポリウレタン、および/または少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートおよび/また少なくとも1種のポリエステルを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
金属シリケート、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤、ポリウレタン系増粘剤、ポリマー性ワックス、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のさらなる増粘剤(D)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
任意にコーティングした基材を、ベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングするために、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物を使用する方法。
少なくとも1つの任意にコーティングした基材を、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングすることにより得られる、かつ/または請求項12に記載の方法により得られる、ベースコートフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、本発明の第1の主題は、
少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)および任意に少なくとも1種の架橋剤(A2)を含む、少なくとも1種の結合剤(A)、
少なくとも1種の顔料(B)、ならびに
少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液
を含む水性コーティング組成物であって、
増粘剤(C)が、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4):
(1)少なくとも1種の有機溶剤中に、ポリマー樹脂(C2)としての少なくとも1種のポリウレタンの分散液または溶液を製造する工程、
(2)工程(1)により得られた分散液または溶液と、(C1)1g当たりKOH 1から200mgの範囲の酸価を有する、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)としての少なくとも1種のポリアミドの溶融物または溶液との混合物を製造する工程、
(3)工程(2)により得られた混合物に水を添加する工程、ならびに
(4)工程(3)により得られた混合物から、有機溶剤を除去して、少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液を得る工程
を含む方法により得ることが可能である、
任意にコーティングした基材を、ベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングするための、水性コーティング組成物である。
【0014】
本発明のさらなる主題は、
少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)および任意に少なくとも1種の架橋剤(A2)を含む、少なくとも1種の結合剤(A)、
少なくとも1種の顔料(B)、ならびに
少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液
を含む、任意にコーティングした基材を、ベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングするための水性コーティング組成物であって、
増粘剤(C)が、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4):
(1)少なくとも1種の有機溶剤中の、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステル、また、それらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー樹脂(C2)の分散液または溶液を製造する工程、
(2)工程(1)により得られた分散液または溶液と、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)としての少なくとも1種のポリアミドの溶融物または溶液との混合物を製造する工程、
(3)工程(2)により得られた混合物に水を添加する工程、ならびに
(4)工程(3)により得られた混合物から有機溶剤を除去して、少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液を得る工程
を含む方法により得ることが可能である、水性コーティング組成物である。
【0015】
本発明の水性コーティング組成物は、下塗りで任意にコーティングした基材表面にベースコートフィルムを塗布するための「ベースコート/クリアコート」プロセスに特に適切であり、ひいては、ベースコートコーティング組成物として使用できることを意外にも見出した。
【0016】
さらに、特に本発明に従って使用される特定の増粘剤(C)が存在するおかげで、増粘剤として、典型的なレオロジー補助剤、例えばLaponite(登録商標)がポリアミドと組み合わせて使用される場合、またはポリアミドが単独で使用される場合に観察されることが多いピンホール、ぶつおよび流れ不良の発生を防ぐことが可能であることを意外にも見出した。
【0017】
さらに、特に本発明に従って使用される特定の増粘剤(C)が存在するおかげで、基材に塗布される場合、コーティング組成物の金属効果に有害な影響がなく、本発明のコーティング組成物は、特に良好なフロップインデックスおよび良好な明度に関して顕著であることが意外にも明らかになった。
【0018】
さらに、本発明のコーティング組成物は水性であり、したがって、多い割合の有機溶剤を含む従来のコーティング組成物より環境への懸念が少ないということにより区別される。
【0019】
本発明のコーティング組成物は、特に、比較的高温でも、例えば温度40℃以上で保存する際にも、良好な安定性に関して顕著であることを意外にも、さらに見出した。
【0020】
「はじき」、「ピンホール」、「フロップ」、「ぶつ」、「沈降」および「流れ不良」という用語は、当業者に公知であり、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998で定義されている。
【0021】
本発明のコーティング組成物に関連する「を含む」という用語は、本発明の意味において、好ましい一実施形態では、例えば、「からなる」という意味を有する。この好ましい実施形態では、成分である水、(A)、(B)および(C)と同様に、本発明のコーティング組成物に存在する(D)および/または(E)および/または有機溶剤を、そこに任意に入れることも可能である。この場合、すべての成分は、いずれの場合にも、それらの後述の好ましい実施形態において本発明のコーティング組成物に存在してもよい。
【0022】
本発明のコーティング組成物に存在する成分、すなわち水、(A)、(B)および(C)、また、任意に(D)および/または(E)および/または有機溶剤の質量%単位の割合は、コーティング組成物の総質量に対して、好ましくは合計100質量%になる。
【0023】
コーティング組成物
本発明の水性コーティング組成物は、水を液体希釈剤として含む。
【0024】
本発明のコーティング組成物に関連する「水性」という用語は、好ましくは、その液体希釈剤、すなわち、液体溶剤および/または分散媒として、水を主要な成分として含む液体コーティング組成物を指す。したがって、本発明の水性コーティング組成物は、好ましくは、実質的に有機溶剤を含まない。しかし、本発明のコーティング組成物は、任意に有機溶剤を前記比率で含み得る。そのような有機溶剤の例は、ヘテロ環状、脂肪族または芳香族炭化水素、単または多官能アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびアミド、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコールおよびブチルグリコール、また、それらのアセテート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、イソホロンまたはそれらの混合物を含む。これらの有機溶剤の割合は、好ましくは、いずれの場合にも、本発明のコーティング組成物に存在する液体希釈剤、すなわち、液体溶剤、および/または分散媒の総割合に対して、最大で40.0質量%、より好ましくは最大で35.0質量%、きわめて好ましくは最大で30.0質量%、より詳細には、最大で25.0質量%である。したがって、この関連では、「実質的に有機溶剤を含まない」という表現は、本発明のコーティング組成物に関連して、好ましくは、有機溶剤の割合は、いずれの場合にも、本発明のコーティング組成物に存在する液体希釈剤、すなわち、液体溶剤および/または分散媒の総割合に対して、最大で40.0質量%、より好ましくは最大で35.0質量%、きわめて好ましくは最大で30.0質量%、より詳細には、最大で25.0質量%であることを意味する。特に、「実質的に有機溶剤を含まない」という表現は、本発明のコーティング組成物に関連して、その中の有機溶剤の割合は、本発明のコーティング組成物に存在する液体希釈剤、すなわち、液体溶剤および/または分散液媒体の総割合に対して、最大で10.0質量%から35.0質量%の範囲であることを意味する。本発明のコーティング組成物は、好ましくは、コーティング組成物の総質量に対して、最大で25質量%、より好ましくは、最大で20質量%の有機溶剤(複数可)を含む。
【0025】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは水性ベースコート組成物、すなわち、ベースコートフィルムを生成するのに適しているコーティング組成物である。「ベースコート」という用語は、当業者に公知であり、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag 1998で定義されている。
【0026】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、コーティング組成物の総質量に対して、10から50質量%の範囲、より好ましくは15から45質量%の範囲、きわめて好ましくは15から50質量%の範囲の固体画分、すなわち、固形分を有する。当業者は、固体画分または固形分、すなわち、不揮発性画分を判定する方法を認識している。不揮発性画分は、以下に記載されている判定方法に従って判定される。
【0027】
結合剤(A)
本発明の水性コーティング組成物に使用される結合剤(A)は、好ましくは、水に分散または溶解する結合剤である。
【0028】
「結合剤」という用語は、本発明の意味において、DIN EN ISO4618(ドイツ語版、2007年3月付け)に従って、好ましくは、フィルム形成に関与するコーティング組成物の不揮発性画分であって、顔料(B)およびそこに存在する任意のフィラーを除くもの、より詳細には、フィルム形成に関与するポリマー樹脂を指す。不揮発性画分は、以下に記載されている方法に従って判定してもよい。その結果として、結合剤(A)の概念は、ポリマー樹脂(A1)だけではなく、好ましくは、それぞれのコーティング組成物に存在する任意の架橋剤(A2)も組み込む。しかし、増粘剤(C)は、好ましくは、結合剤(A)の概念に包含されない。
【0029】
適切なポリマー樹脂(A1)は、当業者に公知のすべての慣用のポリマー樹脂(A1)、例えば、自己架橋型および非自己架橋型ポリマー樹脂(A1)である。非自己架橋型ポリマー樹脂(A1)が使用される場合、本発明に従って使用される結合剤(A)は、架橋剤(A2)をさらに含み得る。任意に存在する架橋剤(A2)を含む適切なポリマー樹脂(A1)は、例えば、EP0228003A1、DE4438504A1、EP0593454B1、DE19948004A1、EP0787159B1、DE4009858A1、DE4437535A1およびWO2005/021168A1、より詳細にはEP0228003A1、DE19948004A1、DE4009858A1およびDE4437535A1から公知である。
【0030】
結合剤(A)は、好ましくは、架橋反応を可能にする反応性官能基を任意に有する、少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)を含む。
【0031】
ポリマー樹脂(A1)は、好ましくは、本発明に用いられる増粘剤(C)の製造に使用されるポリマー樹脂(C1)と異なる;言い換えれば、(A1)は、好ましくはポリアミドではない。ポリマー樹脂(A1)は、本発明に用いられる増粘剤(C)の製造に使用されるポリマー樹脂(C2)と同一であっても、異なっていてもよい。例えば、ポリウレタンは、増粘剤を製造するために、およびポリマー樹脂(A1)としての両方で、ポリマー樹脂(C2)としての役割を果たすことができる。
【0032】
本発明に従って使用される結合剤(A1)中のポリマー樹脂(A1)は、好ましくは、架橋性反応性官能基を有する。当業者に公知の、慣用の架橋性反応性官能基は、いずれもこの文脈において適切である。結合剤(A)における少なくとも1種のポリマー樹脂は、好ましくは、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、少なくとも1個のC=C二重結合を有する基、例えばビニル基または(メタ)アクリレート基、およびエポキシド基からなる群から選択される、少なくとも1つの官能性反応基を有する。結合剤(A)におけるポリマー樹脂(A1)は、好ましくは、官能性ヒドロキシル基を有する。
【0033】
本発明の目的のために、「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という表現は、いずれの場合にも、それぞれ「メタクリルの」および/または「アクリルの」ならびに「メタクリレート」および/または「アクリレート」の定義を包含する。
【0034】
結合剤(A)中のポリマー樹脂(A1)が、架橋性官能基、例えばヒドロキシル基を有する場合、いずれの場合にも、結合剤(A)中のポリマー樹脂(A1)の固形分の総質量に対して、架橋性官能基、例えばヒドロキシル基の割合は、好ましくは、0.1質量%から7.0質量%、より好ましくは0.25から6.5質量%、きわめて好ましくは0.50から6.0質量%、より詳細には0.75から5.5質量%である。
【0035】
ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、発熱または吸熱硬化性または架橋性である。ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、より詳細には、熱硬化性または架橋性である。ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、−20℃から250℃までの温度範囲で硬化性または架橋性である。ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、室温でまたは15℃から80℃の範囲の温度で、架橋性である。本発明の目的のための室温は、好ましくは、18℃から23℃の範囲の温度を意味する。あるいは、ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、高温、例として80℃以上、より好ましくは110℃以上、きわめて好ましくは140℃以上または150℃以上の温度でのみ架橋性である。ポリマー樹脂(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、50から150℃、より好ましくは70から150℃、きわめて好ましくは80から150℃で架橋性であると特に有利である。
【0036】
結合剤(A)は、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ビニルエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェニル−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン樹脂、また、それらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)を含み、好ましくは、ポリマー樹脂の70から100質量%が、前述のポリマーの少なくとも1種から選択される。明記したポリマーのうち、好ましくは、いずれの場合にも、ホモポリマーおよびコポリマーの両方が言及される。これらの樹脂、またその製造も当業者に公知である。適切なポリエステルは、例えばDE4009858A1から公知である。適切なポリウレタンは、例えばDE19948004A1およびEP0228003A1から公知である。「ポリウレタン」という用語は、好ましくは、特に、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、すなわち、ポリウレタンで改質したポリ(メタ)アクリレートを含む。そのようなポリウレタンポリ(メタ)アクリレートは、例えばDE4437535A1から当業者に公知である。
【0037】
結合剤(A)は、好ましくは、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステルおよびポリ(メタ)アクリレートからなる群からから選択される少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)を含み、、好ましくは、結合剤中のポリマー樹脂の70から100質量%は、前述のポリマーの少なくとも1種から選択される。
【0038】
2種以上の異なるポリマー樹脂(A1)、例として、各例において、互いに異なる2種または3種のポリマー樹脂(A1)が、結合剤(A)に存在することも可能である。
【0039】
特に好ましい一実施形態において、結合剤(A)は、ポリマー樹脂(A1)として、少なくとも1種のポリウレタンを含み、好ましくはポリマー樹脂の70から100質量%が、そのようなポリウレタンを構成し、および/または、ポリマー樹脂(A1)として、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートを含み、好ましくは、ポリマー樹脂の70から100質量%が、そのようなポリ(メタ)アクリレートから選択され、および/または、ポリマー樹脂(A1)として、少なくとも1種のポリエステルを含み、好ましくはポリマー樹脂の70から100質量%が、そのようなポリエステルから選択される。
【0040】
結合剤(A)は、イソシアネート基および/またはオリゴマー化または重合化イソシアネート基、きわめて好ましくは、少なくとも1種の対応するポリウレタンおよび/またはポリエステルおよび/またはポリ(メタ)アクリレートが加えられた、硬化性または架橋性ポリマー樹脂(A1)を含み得る。
【0041】
結合剤(A)が、少なくとも1種のポリウレタンをポリマー樹脂(A1)として含む場合、ヒドロキシルを含有する化合物、例えば、ジオールを含むポリオール(例えば、ヒドロキシルを含有するポリエステルまたはヒドロキシルを含有するポリエーテルのヒドロキシル基、また、それらの混合物およびコポリマー)ならびに、少なくとも1種のイソシアネートまたはポリイソシアネート(芳香族および脂肪族イソシアネート、ジ−、トリ−および/またはポリイソシアネートを含む)の間での、重付加反応により製造されるポリウレタン系樹脂は、際立った適合性を所有する。これは、通常は、ポリイソシアネートのイソシアネート基を用いた、ポリオールのOH基の化学量論的変換を必要とする。しかし、ポリイソシアネートは、「過架橋」または「架橋不足」が生じ得る量でポリオール成分に加えられるので、使用される化学量論比も変動し得る。イソシアネート基とOH基との反応以外に、発生し得るさらなる架橋反応は、例えば、イソシアネートの二量化および三量化である(ウレトジオンまたはイソシアヌレートを形成する)。適切なポリイソシアネートおよびイソシアネートは、用いることができ、架橋剤(A2)として明記されているすべてのポリイソシアネートおよびイソシアネートをそれぞれ含む。
【0042】
結合剤(A)が、少なくとも1種のポリウレタンをポリマー樹脂(A1)として含む場合、好ましくは、ポリエステルポリオールを、プレポリマーポリオール成分として使用して適切に製造される。適切なポリエステルポリオールは、特に、少なくとも1種のポリオール、例えば少なくとも1種のジオール、例としてエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオールおよび/もしくは1,6−ヘキサンジオール、または、例えば少なくとも1種のトリオール、例えば1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)に由来する化合物、少なくとも1種のジカルボン酸、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルト−フタル酸および/もしくはジメチロールプロピオン酸に由来する化合物、ならびに/あるいは少なくとも1種のジカルボン酸誘導体、例えばジカルボン酸エステルおよび/もしくはジカルボン酸無水物、例えばフタル酸無水物に由来する化合物を含む。プレポリマーポリオール成分として使用される、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジオールおよび/またはトリオール、ならびにアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルト−フタル酸、ジメチロールプロピオン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のジカルボン酸(もしくは少なくとも1種のそれらのジカルボン酸誘導体)に由来する、この種のポリエステルポリオールがとりわけ好ましい。結合剤(A)により包含されるポリウレタン樹脂を製造するために、少なくとも1種のそのようなポリエステルポリオールを、少なくとも1種の架橋剤(A2)と、より詳細には少なくとも1種のポリイソシアネート、例えばHDIまたはIPDIと使用することが好ましい。
【0043】
水中における、この種のポリウレタン樹脂および/またはポリ尿素樹脂の溶解または分散を可能にするためには、分散を安定させるために、イオン性および/または親水性セグメントを、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素鎖に組み込むのが通常である。ポリウレタンの場合に使用される軟質セグメントは、好ましくは、すべてのジオールの量に対して、比較的高分子量のジオール、好ましくは、500から5000g/mol、好ましくは1000から3000g/molの数平均分子量M
nを有するポリエステルジオールの、20から100mol%である。数平均分子量は、本明細書で以下に記載されている方法により判定される。
【0044】
結合剤(A)は、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレート系ポリマー樹脂を含み、特にエステル、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸のC
1〜6アルキルエステルのモノマー混合物またはオリゴマー混合物と適切に製造される。ポリマー合成は、これらのモノマーのC−C二重結合を反応させることにより達成される。そのようなポリ(メタ)アクリレート系樹脂の製造は、例えば、有機過酸化物の分解によって開始するラジカル重合によって達成できる。
【0045】
結合剤(A)が、少なくとも1種のポリマー樹脂(A1)に加えて、少なくとも1種の架橋剤(A2)をさらに含む場合、当業者に公知のすべての慣用の架橋剤、例えば、アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、多官能性マンニッヒ塩基、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、β−ヒドロキシアルキルアミド、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、エポキシド、遊離ポリイソシアネートおよび/またはブロックポリイソシアネート、とりわけブロックポリイソシアネート、また、エステル交換反応が可能な基を平均で少なくとも2個有する化合物、例として、マロン酸ジエステルおよびポリイソシアネート、またはマロン酸の多価アルコールエステルおよび部分エステルとモノイソシアネートの反応生成物が、そのような薬剤の適合性を所有している。特に好ましい架橋剤は、ブロックポリイソシアネートである。ブロックポリイソシアネートが架橋剤として選択される場合、本発明の水性コーティング組成物は、好ましくは、一成分組成物(1−K)として製剤される。非ブロックポリイソシアネートが架橋剤として選択される場合、本発明の水性コーティング組成物は、好ましくは、二成分組成物(2−K)として製剤される。
【0046】
水に分散性または可溶性のメラミン樹脂、好ましくはメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物、より詳細にはエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物は、用いることができ、架橋剤(A2)として特に好ましい。これらの生成物の水における溶解度または分散性は、できるだけ低くすべき縮合度だけではなく、エーテル化成分によっても決まり、アルカノールまたはエチレングリコールモノエーテル系の中の低級構成物だけが、水溶性縮合物を生成する。メタノール−エーテル化(メチル化)メラミン樹脂は、最も重要性がある。可溶化剤が、任意のさらなる添加剤として使用される場合、エタノール−、プロパノール−および/またはブタノール−エーテル化メラミン樹脂、より詳細には、対応するエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物も、水性相に溶解または分散することができる。
【0047】
使用されるイソシアネートは、好ましくは、(ヘテロ)脂肪族、(ヘテロ)脂環式、(ヘテロ)芳香族または(ヘテロ)脂肪族−(ヘテロ)芳香族イソシアネートである。炭素原子を2から36個、より詳細には6から15個含有するジイソシアネートが好ましい。好ましい例は、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−(2,4,4)−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,9−ジイソシアネート−5−メチルノナン、1,8−ジイソシアネート−2,4−ジメチルオクタン、1,12−ドデカンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネートトジプロピルエーテル、シクロブテン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサ1,3−および−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−ジイソシアネートメチル−2,3,5,6−テトラメチルシクロヘキサン、デカヒドロ−8−メチル(1,4−メタノナフタレン−2(または3)、5−イレンジメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2)、5(または6)イレンジメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2)、5(または6)イレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート(H6−TDI)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ペルヒドロ−2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(H
12MDI)、4,4’−ジイソシアネート−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアネート−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジシクロヘキシルメタン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジイソシアネートメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2−メチル−1,5−ジイソシアネートペンタン(MPDI)、2−エチル−1,4−ジイソシアネートブタン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,5−ジイソシアネートヘキサン、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,5(2,6)−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、また、これらの化合物のいずれかの混合物である。高級イソシアネート官能基のポリイソシアネートも、使用してもよい。そのような例は、三量化ヘキサメチレンジイソシアネートおよび三量化イソホロンジイソシアネートである。さらに、ポリイソシアネートの混合物も用いてよい。本発明の架橋剤(A2)として適切な有機ポリイソシアネートは、例えば、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含む、ポリオールに由来するプレポリマーであってもよい。いかなる所望のイソシアネートも、ブロックポリイソシアネートとして用いてよく、化合物と反応したイソシアネート基により、得られたブロックポリイソシアネートは、ヒドロキシル基およびアミノ基、例えば第一級および/または第二級アミノ基に対して、室温で、言い換えれば18から23℃の温度で特に安定であるが、高温で、例として80℃以上、より好ましくは110℃以上、きわめて好ましくは130℃以上、とりわけ好ましくは140℃以上、または90℃から300℃、または100から250℃、さらにより好ましくは125から250℃、きわめて好ましくは150から250℃で反応する。イソシアネートをブロック化するために、好ましくは、いかなる所望の適切な脂肪族、脂環式または芳香族アルキルモノアルコールも使用することが可能である。それらの例は、脂肪族アルコール、例えばメチル、エチル、クロロエチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、3,3,5−トリメチルヘキシル、デシルおよびラウリルアルコール;脂環式アルコール、例えばシクロペンタノールおよびシクロヘキサノール;ならびに芳香族アルキルアルコール、例えばフェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノールである。他の適切なブロック剤は、ヒドロキシルアミン、例えばエタノールアミン、オキシム、例えばメチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシムおよびシクロヘキサノンオキシム、ならびにアミン、例えばジブチルアミンおよびジイソプロピルアミンである。
【0048】
本発明の水性コーティング組成物は、好ましくは、架橋剤(A2)として、少なくとも1種の、任意にアルキル化したメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物を含む。
【0049】
架橋剤(A2)は、好ましくは、水中の分散液または溶液中の架橋剤である。架橋を促進するために、水性コーティング組成物に適切な触媒を加えることが可能である。当業者もそのような触媒を知っている。
【0050】
本発明の水性コーティング組成物は、少なくとも1種の結合剤(A)に関して、いずれの場合にも、水性コーティング組成物の総質量に対して、10から60質量%、より好ましくは15から40質量%、きわめて好ましくは20から35質量%の範囲の固形分を、好ましくは有する。
【0051】
本発明の水性コーティング組成物は、好ましくは、架橋剤(A2)を、コーティング組成物中のポリマー樹脂(A1)の総質量に対して、5から40質量%の量、好ましくは10から35質量%の量、より好ましくは15から30質量%の量で含む。これらの数量の数字は、いずれの場合にも、それぞれの固形分に対する。
【0052】
顔料(B)
本発明のコーティング組成物は、少なくとも1種の顔料(B)を含む。
【0053】
顔料(B)は、好ましくは、水中の分散液または溶液中の顔料(B)の形態である。
【0054】
有機および/または無機、着色および/または体質顔料、より詳細には、好ましくは、これらの性質の少なくとも2つを有する顔料が、顔料(B)として特に適切である。
【0055】
好ましい一実施形態において、顔料(B)は、効果顔料、または少なくとも1種の効果顔料、および、それとは異なる少なくとも1種の顔料の混合物であり、後者は、それ自体は効果顔料ではなく、好ましくは、有機および無機、着色および体質顔料からなる群から選択され、また、好ましくは、これらの性質の少なくとも2つを有する顔料である。
【0056】
当業者は、効果顔料の概念に精通している。対応する定義は、例えば、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998で見出される。効果顔料は、好ましくは、光学的効果、または色彩および光学的効果、より詳細には光学的効果を付与する顔料である。顔料の対応する分類は、DIN 55945(2011年12月付け)に従って行われる。
【0057】
顔料(B)は、好ましくは、任意にコーティングした有機または無機効果顔料からなる群から選択される。
【0058】
より好ましくは、顔料(B)は、任意にコーティングした金属効果顔料、任意にコーティングした金属酸化物効果顔料、任意にコーティングした、金属および非金属で構成される効果顔料、ならびに任意にコーティングした非金属効果顔料からなる群から選択される。
【0059】
きわめて好ましくは、実際に、顔料(B)は、金属効果顔料、シリケート−コーティング金属効果顔料、および任意にコーティングした非金属効果顔料、例えば真珠光沢顔料、より詳細にはマイカ顔料からなる群から選択される。特により好ましい顔料(B)は、金属効果顔料およびシリケート−コーティング金属効果顔料からなる群から選択される。
【0060】
好ましい金属効果顔料の例は、アルミニウム効果顔料、鉄効果顔料または銅効果顔料である。任意にコーティングした、例えば、シラン化、および/またはクロム化アルミニウム効果顔料、より詳細には、Eckartから市販されている製品、例えばStapa(登録商標)Hydrolac、Stapa(登録商標)Hydroxal、Stapa(登録商標)HydroluxおよびStapa(登録商標)Hydrolan、最も好ましくは、Stapa(登録商標)HydroluxおよびStapa(登録商標)Hydrolanがとりわけ好ましい。
【0061】
本発明に従って使用される効果顔料(B)は、当業者に公知の、任意の慣用の形態、例えば、小葉形態および/または小板形態、例えば、より詳細には(コーン)フレーク形態または硬貨形態であってよい。
【0062】
金属および非金属で構成される効果顔料の例は、欧州特許出願EP0562329A2に記載されているように、酸化鉄でコーティングしたアルミニウム顔料、例えば、金属、より詳細にはアルミニウムでコーティングしたガラス小葉、または金属、より詳細にはアルミニウム製の反射体層を含む干渉顔料である。
【0063】
非金属効果顔料の例は、真珠光沢顔料、より詳細にはマイカ顔料、金属酸化物でコーティングし、小板形態を有するグラファイト顔料、例えば、金属反射体層を含まず、濃色のフロップを呈する干渉顔料、酸化鉄ベースの効果顔料、または有機液晶効果顔料である。
【0064】
好ましくは本発明に従って、顔料(B)として用いられる、効果顔料に関するさらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、176頁「Effect pigments」ならびに380および381頁「metal oxide−mica pigments」から「metal pigments」を参照されたい。
【0065】
効果顔料ではない顔料(B)として適切な顔料は、好ましくは、有機および無機、着色および体質顔料、好ましくは、これらの性質の少なくとも2つを有する顔料、ならびにナノ粒子からなる群から選択される。適切な無機着色顔料の例は、白色顔料、例えば二酸化チタン、亜鉛白、硫化亜鉛もしくはリトポン;黒色顔料、例えばカーボンブラック、鉄マンガンブラックもしくはスピネルブラック;有彩顔料、例えば酸化クロム、酸化クロム水和物緑、コバルト緑もしくはウルトラマリン緑、コバルト青、ウルトラマリン青もしくはマンガン青、ウルトラマリン紫もしくはコバルト紫およびマンガン紫、赤色酸化鉄、硫セレン化カドミウム、モリブデン赤もしくはウルトラマリン赤;褐色酸化鉄、ミックスブラウン、スピネル相およびコランダム相もしくはクロムオレンジ;または黄色酸化鉄、ニッケルチタン黄、クロムチタン黄、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロム黄もしくはバナジン酸ビスマスである。適切な有機着色顔料の例は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンゾイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダンスロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインディゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料またはアニリンブラックである。適切な体質顔料またはフィラーの例は、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリケート、例えば滑石もしくはカオリン、シリカ、酸化物、例えば水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム、または有機フィラー、例えば紡績繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維もしくはポリマー粉末である;さらなる詳細に関しては、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、250頁以下、「fillers」を参照されたい。ナノ粒子は、好ましくは、主族および遷移族金属、ならびにそれらの化合物からなる群から選択される。主族および遷移族金属は、好ましくは、主族からの金属3から5種、遷移族からの金属3から6種、また、元素周期表の1および2種から、また、ランタニドから選択される。ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、ヒ素、アンチモン、銀、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびセリウム、より詳細にはアルミニウム、ケイ素、銀、セリウム、チタンおよびジルコニウムの使用が、特に好ましい。金属の化合物は、好ましくは、酸化物、水和酸化物、硫酸塩またはリン酸塩である。銀、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびそれらの混合物、より好ましくは、銀、酸化セリウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム水和物およびそれらの混合物、きわめて好ましくは、酸化アルミニウム水和物、より詳細にはベーマイトを使用することが好ましい。これらのナノ粒子は、好ましくは、平均一次粒径50nm未満、より好ましくは、5から50nm、とりわけ10から30nmを有する。この場合、一次粒径は、好ましくは、レーザ回折によって、より好ましくは、ISO 13320−1(2009年9月付け)によるレーザ粒度分析によって判定される。
【0066】
本発明のコーティング組成物中の、本発明に用いられる顔料(B)の量は、当該顔料コーティング組成物の用途に応じて、きわめて幅広く変化し得る。顔料(B)の量は、本発明のコーティング組成物に対して、好ましくは0.1から80質量%、より好ましくは0.5から70質量%、きわめて好ましくは1.0から60質量%、とりわけ好ましくは1.5から50質量%、より詳細には2.0から40質量%である。
【0067】
増粘剤(C)
本発明のコーティング組成物は、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4):
(1)ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステル、また、それらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー樹脂(C2)の、好ましくは、ポリマー樹脂(C2)としての少なくとも1種のポリウレタンの、少なくとも1種の有機溶剤中の分散液または溶液を製造する工程、
(2)工程(1)により得られた分散液または溶液と、好ましくは(C1)1g当たりKOH 1から200mgの範囲の酸価を有する、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)としての少なくとも1種のポリアミドの溶融物または溶液との混合物を製造する工程、
(3)工程(2)により得られた混合物に水を添加する工程、ならびに
(4)工程(3)により得られた混合物から有機溶剤を除去して、少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液を得る工程
を含む方法により得ることが可能な、少なくとも1種の増粘剤(C)を含む。
【0068】
増粘剤は、好ましくは、少なくとも1種のポリアミド(C1)、ならびに、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステル、とりわけ好ましくは、少なくとも1種のポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるポリマー(C2)のブレンドを含む。したがって、この例では、ブレンドは、好ましくは対応するポリマーブレンドである。「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、例えば、Roempp Chemie Lexikon 1995、Thieme Verlagから当業者に公知である。
【0069】
(C1)対(C2)の相対質量比は、いずれの場合にも、それらの固形分に対して、好ましくは1:15から1:1の範囲、より好ましくは、1:10から1:1.5の範囲、きわめて好ましくは1:10から1:1.7の範囲である。
【0070】
この方法は、好ましくは工程(2a)をさらに含み、これは、工程(2)と(3)との間で実行され、工程(2)により得られた中間体を、少なくとも1種の中和剤、例えば、OH基を任意に含有し、例えば1〜12個の炭素原子を保有することが可能な、少なくとも1種の適切なアミンを添加することで、少なくとも部分的に中和する工程である。そのようなアミンの例は、ジメチルエタノールアミンである。あるいは、好ましくは、工程(2)により得られた中間体の、この種の少なくとも部分的な中和は、工程(3)において、工程(2)により得られた混合物に、水だけではなく少なくとも1種の中和剤も添加することにより、工程(3)内で行ってもよい。
【0071】
工程(1)では、原則として、いかなる適切な有機溶剤も使用することが可能である。そのような有機溶剤の例は、ヘテロ環式、脂肪族または芳香族炭化水素、単または多官能アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびアミド、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコールおよびブチルグリコール、また、それらのアセテート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、イソホロン、またはそれらの混合物、とりわけメチルエチルケトン(MEK)および/またはメチルイソブチルケトン(MIBK)を含む。
【0072】
工程(1)および/または工程(2)および/または工程(2a)は、好ましくは60から180℃の範囲の温度、より詳細には90から150℃の範囲の温度で実行する。
【0073】
好ましくは、工程(2)では、工程(1)により得られた分散液または溶液を最初に導入し、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)、すなわち、ポリアミド(C1)の溶融物または溶液、好ましくは溶融物と混和する。別の選択肢は、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)、すなわち、ポリアミド(C1)の溶融物または溶液、好ましくは溶融物を最初に導入し、これを、工程(1)により得られた分散液または溶液と混和することである。
【0074】
工程(3)では、好ましくは脱イオン水が用いられる。工程(3)により得られた混合物は、好ましくは、分散液である。この分散液は、当業者に公知の、慣用の種類のいかなる分散を使用しても生成できる。工程(3)は、好ましくは、撹拌することにより、より好ましくは、高性能な分散装置、例えば、IKAの対応する装置Ultra−Turraxにより行われる。工程(3)では、とりわけ別の工程(2a)を実行しない場合は、工程(2)により得られた混合物に、水と同様に少なくとも1種の中和剤を任意に添加することも可能である。
【0075】
工程(4)は、例えば、減圧をかけることにより、または高温および/もしくは減圧下で蒸留除去することにより行うことができる。工程(4)により得られた増粘剤(C)の水性分散液は、工程(1)で使用された溶剤を含有する溶液または分散液に対して小さい割合で、有機溶剤、例えば、MEKおよび/またはMIBKを任意に含んでよいが、それでも、この割合は、好ましくは、いずれの場合にも、増粘剤(C)の水性分散液の総質量に対して、最大で0.2から1.5質量%、より好ましくは0.2から1.0質量%、きわめて好ましくは、0.2から0.6質量%の範囲である。
【0076】
工程(2)で使用されるポリアミド(C1)は、好ましくは、工程(0)により、すなわち:
(0)少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)、好ましくは脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、ポリマー、例えば脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体および三量体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のポリカルボン酸を、少なくとも1種のポリアミン(C1b)、好ましくは少なくとも1種の脂肪族C
2〜C
12ジアミン(C1b)と反応させる工程であって、
工程(0)により得られた反応生成物を、その後、任意に、少なくとも1種の、好ましくは、塩基性中和剤と接触させる工程により得られる。この接触は、少なくとも1種の好ましくは塩基性中和剤と行うことが好ましい。
【0077】
本発明のコーティング組成物は、少なくとも1種の増粘剤(C)に関しては、いずれの場合にも、コーティング組成物の総質量に対して、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは0.35から15質量%、きわめて好ましくは0.75から10質量%、より詳細には1.0から9.0質量%の範囲の固形分を有する。
【0078】
増粘剤(C)は、好ましくは、増粘剤の総質量に対して、少なくとも1種のポリアミド(C1)を、10から50質量%の範囲の量で含み、少なくとも1種のさらなるポリマー(C2)を、50から90質量%の範囲の量で含む。増粘剤(C)は、好ましくは、増粘剤の総質量に対して、少なくとも1種のポリアミド(C1)を、10から40質量%の範囲の量で含み、少なくとも1種のさらなるポリマー(C2)を、60から90質量%の範囲の量で含む。これらの量は、いずれの場合にも、固形分に対する。
【0079】
本発明に従って用いられる増粘剤(C)は、20℃から100℃の範囲、より好ましくは、25℃から80℃の範囲の融点を、好ましくは有する。
【0080】
ポリアミド(C1)
使用される本発明のポリアミド(C1)は、好ましくは、少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)と少なくとも1種のポリアミン(C1b)とを、好ましくは、上記の工程(0)に従って反応させることにより得ることが可能である。
【0081】
「ポリカルボン酸」という用語は、本発明の意味において、好ましくは、ポリアミド(C1)の製造に使用できる、対応するポリカルボン酸誘導体も指し、例は、対応するポリカルボン酸エステルおよび/またはポリカルボン酸無水物である。
【0082】
本発明の目的のための「ポリカルボン酸」(C1a)という用語は、好ましくは、2個以上のカルボキシル基、例として2、3、4、5または6個のカルボキシル基を有するカルボン酸を包含する。ポリカルボン酸は、より好ましくは、2または3個のカルボキシル基を有する。2個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸はジカルボン酸であり、3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸はトリカルボン酸である。本発明に用いられるポリカルボン酸(C1a)は、芳香族、半芳香族、脂環式、半脂環式または脂肪族、好ましくは、脂肪族であってもよい。本発明に用いられるポリカルボン酸(C1a)は、好ましくは、分子1個当たり4〜66個の炭素原子を有する。
【0083】
特に好ましくは、本発明に用いられるポリアミド(C1)の製造に使用されるポリカルボン酸(C1a)は、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、ポリマー、より詳細には、脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体および三量体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。きわめて好ましくは、本発明に用いられるポリアミド(C1)の製造に使用されるポリカルボン酸(C1a)は、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0084】
「脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸」という用語は、本発明の意味において、好ましくは、飽和または不飽和、好ましくは飽和の、合計3〜22個、すなわち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22個の炭素原子を有する脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、好ましくは、合計3から20個、すなわち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有する脂肪族C
3〜C
20ジカルボン酸を指し、これらは、いずれの場合にもちょうど2個の−C(=O)−OH基を有し、すなわち、例えば、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸は、これらの2個の−C(=O)−OH基だけではなく、合計1〜20個の炭素原子を有するC
1〜C
20脂肪族ラジカルを有する。この場合、「脂肪族」という表現は、好ましくは、非環式飽和または不飽和、好ましくは不飽和の、分岐または非分岐脂肪族ラジカルを包含する。C
3〜C
22ジカルボン酸内の不飽和結合は、C
4〜C
22ジカルボン酸に対してのみ可能であることは、当業者には明らかである。この文脈における不飽和脂肪族ラジカルは、少なくとも1個、好ましくは、1、2、3、4または5個、より好ましくは、1、2、3または4個、きわめて好ましくは、1、2または3個の炭素二重結合を有する。脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸は、天然または合成ジカルボン酸であってよい。脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸は、好ましくは、OH、O−C
1〜4脂肪族ラジカル、=O、NH
2、NH(C
1〜4脂肪族ラジカル)、N(C
1〜4脂肪族ラジカル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基により、1回または複数回、例として2回、3回、4回または5回、任意に置換されていてよく、置換は同一または異なる炭素原子上で可能である。脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸およびヘキサデカンジカルボン酸からなる群から選択されることが好ましい。
【0085】
「脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸」という用語は、本発明の意味において、好ましくは、飽和または不飽和、好ましくは不飽和の、合計14〜22個、すなわち、14、15、16、17、18、19、20、21もしくは22個の炭素原子を有する脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸、好ましくは合計16〜20個、すなわち、16、17、18、19もしくは20個の炭素原子を有する脂肪族C
16〜C
20モノカルボン酸を指すことが理解され、これらは、いずれの場合にもちょうど1個の−C(=O)−OH基を有し、すなわち、脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、この1個の−C(=O)−OH基だけではなく、合計13〜21個、すなわち、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21個の炭素原子を有するC
13〜C
21脂肪族ラジカル、好ましくは合計15〜19個、すなわち、15、16、17、18もしくは19個の炭素原子を有するC
15〜C
19脂肪族ラジカルを有する。この場合「脂肪族」という表現は、好ましくは、非環式の飽和または不飽和、好ましくは不飽和の、分岐または非分岐脂肪族ラジカルを包含する。この場合、不飽和脂肪族ラジカルは、少なくとも1個、好ましくは、1、2、3、4または5個、より好ましくは、1、2、3または4個、きわめて好ましくは、1、2または3個の炭素二重結合を有する。脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、天然または合成脂肪酸であってよい。脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、好ましくは、OH、O−C
1〜4脂肪族ラジカル、=O、NH
2、NH(C
1〜4脂肪族ラジカル)、N(C
1〜4脂肪族ラジカル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基により、任意に1回または複数回、例として2回、3回、4回または5回置換されていてよく、置換は同一または異なる炭素原子上で可能である。脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカノン酸、アラキジン酸、ヘンイコサノン酸、ドコサン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、イコセン酸、鯨油酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、カレンジュラ酸、プニカ酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸およびセルボン酸からなる群から選択されることが好ましい。脂肪族C
16〜C
20モノカルボン酸は、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカノン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、イコセン酸、リノール酸、リノレン酸、カレンジュラ酸、プニカ酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸およびチムノドン酸からなる群から選択されることが好ましい。脂肪族C
18モノカルボン酸は、ステアリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、カレンジュラ酸、プニカ酸およびエレオステアリン酸からなる群から、より詳細には、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸からなる群から、最も好ましくは、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸からなる群から選択されることが好ましい。
【0086】
ポリマー、より詳細には脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体および三量体を得るための製造プロセス、すなわち、重合脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸、例えば、二量化、三量化、およびより高重合脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸を得るための製造プロセスは、例えば、DE2056211A1、US2,793,219AおよびUS2,955,121Aから、当業者に公知である。重合脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、好ましくは、OH、O−C
1〜4脂肪族ラジカル、=O、NH
2、NH(C
1〜4脂肪族ラジカル)、N(C
1〜4脂肪族ラジカル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基により、任意に1回または複数回、例えば2回、3回、4回または5回置換されていてよく、置換は同一または異なる炭素原子上で置換が可能である。そのような重合脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸を製造するために使用される出発原料は、少なくとも単不飽和脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸である。得られた重合した、例えば二量化および三量化脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸は、いずれの場合にも、互いに、また、より高い多価重合生成物から蒸留することにより分離でき、任意にさらなる変換反応、例えば水素化を施すこともできる。
【0087】
「ポリアミン」(C1b)という用語は、本発明の意味において、好ましくは、少なくとも2個の、好ましくは末端の、第一級アミノ基を有する化合物を指す。しかし、ポリアミンは、合計でアミノ基を10個以下有してもよく、すなわち、少なくとも2個の第一級アミノ基に加えて、好ましくは、第一級または第二級アミノ基であるさらなるアミノ基も8個以下有してもよい。「ポリアミン」は、本発明の意味において、(ヘテロ)脂肪族、(ヘテロ)脂環式または(ヘテロ)芳香族ポリアミンであってもよい。ポリアミンは、好ましくは、ジアミンまたはトリアミン、より好ましくはジアミンである。本発明に用いられるポリアミン(C1b)は、好ましくは、分子1個当たり2から20個、より好ましくは、2から12個の炭素原子を有する。ポリアミンは、好ましくは、OH、O−C
1〜4脂肪族ラジカル、=O、NH
2、NH(C
1〜4脂肪族ラジカル)、N(C
1〜4脂肪族ラジカル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基により、1回または複数回、例として2回、3回、4回または5回、任意に置換されていてもよく、置換は同一または異なる炭素原子上で可能である。
【0088】
きわめて好ましくは、本発明に用いられるポリアミド(C1)の製造に使用されるポリアミン(C1b)は、脂肪族C
2〜C
20ジアミンからなる群から選択される。きわめて好ましくは、本発明に用いられるポリアミド(C1)の製造に使用されるポリアミン(C1b)は、脂肪族C
2〜C
12ジアミンからなる群から選択される。
【0089】
「脂肪族C
2〜C
20ジアミン」という用語は、本発明の意味において、好ましくは、飽和または不飽和、好ましくは飽和の、合計2〜20個、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有する脂肪族C
2〜C
20ジアミン、好ましくは、合計2〜12個、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の炭素原子を有する脂肪族C
2〜C
12ジアミンを指し、これらは、いずれの場合にもちょうど2個の、好ましくは末端の、−NH
2基を有する。この場合「脂肪族」という表現は、好ましくは、非環式飽和または不飽和、好ましくは飽和の、分岐または非分岐脂肪族ラジカルを包含する。この文脈における不飽和脂肪族ラジカルは、少なくとも1個、好ましくは、1、2、3、4または5個、より好ましくは、1、2、3または4個、きわめて好ましくは、1、2または3個の炭素二重結合を有する。脂肪族C
2〜C
20ジアミンは、好ましくは、OH、O−C
1〜4脂肪族ラジカル、=O、NH
2、NH(C
1〜4脂肪族ラジカル)、N(C
1〜4脂肪ラジカル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基により、1回または複数回、例として2回、3回、4回または5回、任意に置換されていてもよく、置換は同一または異なる炭素原子上で可能である。脂肪族C
2〜C
20ジアミンは、好ましくは、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン(オクタメチレンジアミン)、1,9ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカンおよび1,12−ジアミノドデカンからなる群から選択される。
【0090】
ポリアミド(C1)は、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、ポリマー、例えば脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体および三量体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)を、少なくとも1種の脂肪族C
2〜C
12ジアミン(C1b)と反応させることにより、好ましくは得ることが可能である。
【0091】
少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)および少なくとも1種のポリアミン(C1b)の反応は、好ましくは溶剤中で実行し、この溶剤は、好ましくは有機溶剤である。
【0092】
ポリアミド(C1)は、成分(C1b)として使用されるポリアミンのアミノ基1個当たり、より詳細には、脂肪族C
2〜C
12ジアミンのアミノ基1個当たり、少なくとも1.0mol、より好ましくは少なくとも1.1mol、きわめて好ましくは、少なくとも1.2molまたは少なくとも1.4molの、ポリカルボン酸(C1a)、より詳細には、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸および脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体からなる群から選択されるポリカルボン酸(C1a)を使用して製造することが好ましい。
【0093】
例えば、1molの脂肪族C
2〜C
12ジアミンが成分(C1b)として使用される場合、この例では、少なくとも1.0mol、より好ましくは少なくとも1.1mol、きわめて好ましくは、少なくとも1.2molまたは少なくとも1.4molの、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸および脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体からなる群から選択されるポリカルボン酸(C1a)が、ポリアミド(C1)の製造に使用される。
【0094】
ポリアミド(C1)は、(C1)1g当たりKOH 1から200mg、より好ましくは20から120mg、きわめて好ましくは30から100mgの範囲の酸価を、好ましくは有する。当業者は、酸価を判定する方法を認識している。酸価は、好ましくは、DIN EN ISO 2114(2002年6月付け)に対して判定される。
【0095】
本発明に用いられるポリアミド(C1)の酸価は、特に、反応後に得られたポリアミド(C1)を、少なくとも1種の中和剤と接触および反応させることにより、好ましくは、使用される中和剤の量により、制御および調整され得る。対応する適切な、好ましくは塩基性の、中和剤は、当業者に公知である。ある好ましい中和剤は、アミノアルコールであり、特に好ましくは、ジメチルエタノールアミン(DMEA)が適合性を有する。
【0096】
ポリアミド(C1)は、好ましくは、少なくとも工程(0)、すなわち:
(0)少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)、好ましくは、脂肪族C
3〜C
22ジカルボン酸、ポリマー、例えば脂肪族C
14〜C
22モノカルボン酸の二量体および三量体、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のポリカルボン酸を、少なくとも1種のポリアミン(C1b)、好ましくは少なくとも1種の脂肪族C
2〜C
12ジアミン(C1b)と反応させる工程であって、
工程(0)により得られた反応生成物を、その後、任意に、少なくとも1種の、好ましくは塩基性中和剤と接触させる工程を含む方法により得ることが可能である。工程(0)により得られた反応生成物の酸価は、遊離カルボキシル基を中和剤と反応させることにより調整され得る、または低下し得る。少なくとも1種の中和剤は、好ましくは、60から90mol%、より好ましくは、70から90mol%または75から85mol%の遊離カルボン酸が中和されるような量で使用される。
【0097】
本発明に用いられるポリアミド(C1)は、500g/molから20000g/molの範囲の数平均分子量を、好ましくは有する。当業者は、数平均分子量を判定する方法を認識している。数平均分子量は、以下に記載されている方法により判定される。
【0098】
本発明に用いられるポリアミド(C1)は、80℃から180℃の範囲、より好ましくは100℃から170℃の範囲、きわめて好ましくは120℃から160℃の範囲の融点を、好ましくは有する。
【0099】
ポリマー(C2)
増粘剤(C)の製造に使用されるポリマー樹脂(C2)として、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステル、また、それらの混合物からなる群から選択されるポリマー樹脂を使用することが好ましい。
【0100】
増粘剤(C)の製造に使用できるポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステルは、ポリマー樹脂(A1)の製造にも適している同一の対応するポリマーを含む。
【0101】
さらなるポリマー(C2)は、好ましくは、少なくとも1種のポリウレタンおよび/または少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレート、より好ましくは少なくとも1種のポリウレタンである。
【0102】
ポリマー(C2)、より好ましくはポリウレタンは、(C2)1g当たりKOH 1から30mgの範囲の酸価を、好ましくは有する。
【0103】
成分(C2)として使用できるポリウレタンは、例えばEP0228003A1に記載されている。
【0104】
さらなる増粘剤(D)
本発明のコーティング組成物は、成分(C)とは異なる少なくとも1種のさらなる増粘剤(D)、例えば、金属シリケート、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤、ポリウレタン系増粘剤、ポリマー性ワックスおよびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の増粘剤(D)を任意に含み得る。
【0105】
金属シリケートは、好ましくは、スメクタイトの群から選択される。特に好ましくは、スメクタイトは、モンモリロナイトおよびヘクトライトの群から選択される。モンモリロナイトおよびヘクトライトは、より詳細には、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、また、マグネシウムナトリウムおよびナトリウムマグネシウムフッ素リチウムフィロシリケートからなる群から選択される。これらの無機フィロケイ酸塩は、Laponite(登録商標)の商標名で販売されている。
【0106】
ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤は、適切な塩基と任意に架橋および/または中和する。そのようなポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤の例は、「アルカリ膨潤性エマルション」(ASE)、および、これらを疎水性修飾で変化させたものである、「親水性修飾アルカリ膨潤性エマルション」(HASE)である。ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤は、好ましくはアニオン性である。対応する製品、例えばRheovis(登録商標)AS 1130が市販されている。
【0107】
ポリウレタン系増粘剤は、任意に、適切な塩基と架橋および/または中和する。対応する製品、例えばRheovis(登録商標)PU 1250が市販されている。少なくとも1種のポリウレタンが、ポリマー(C2)として使用される場合、ポリウレタン系増粘剤は、好ましくは、このポリマー(C2)とは異なる。少なくとも1種のポリウレタンが、ポリマー樹脂(A1)として使用される場合、ポリウレタン系増粘剤は、好ましくは、このポリマー樹脂(A1)とは異なる。
【0108】
適切なポリマー性ワックスの例は、任意に修飾したエチレン−酢酸ビニルコポリマー系ポリマー性ワックスを含む。対応する製品は、例えばAquatix(登録商標)の名称で市販されている。
【0109】
本発明のコーティング組成物が、少なくとも1種のさらなる増粘剤(D)を含む場合、本発明のコーティング組成物における増粘剤(C)対さらなる増粘剤(D)の相対質量比は、好ましくは100:1から1:1、より好ましくは80:1から1:1の範囲である。すべての数は、成分の固形分に基づく。
【0110】
成分(D)が金属シリケートである場合、本発明のコーティング組成物における、増粘剤(C)対成分(D)の相対質量比は、好ましくは50:1から5:1の範囲、より好ましくは45:1から6:1の範囲である。成分(D)が、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤である場合、本発明のコーティング組成物における増粘剤(C)対成分(D)の相対質量比は、好ましくは85:1から1:1の範囲、より好ましくは80:1から1:1の範囲である。成分(D)がポリマー性ワックス系増粘剤である場合、本発明のコーティング組成物における増粘剤(C)対成分(D)の相対質量比は、好ましくは35:1から5:1の範囲、より好ましくは30:1から7:1の範囲である。すべての数は、成分の固形分に基づく。
【0111】
さらなる増粘剤(D)としての少なくとも1種の金属シリケートは、好ましくは、ポリマー樹脂(A1)の固形分に対して、2.5から10質量%の範囲、より好ましくは4.5から8質量%の範囲の量で、本発明のコーティング組成物に存在する。さらなる増粘剤(D)としての少なくとも1種の金属シリケートは、コーティング組成物の総固形分に対して、好ましくは、1.5から8質量%の範囲、より好ましくは2.0から7質量%の範囲の量で、本発明のコーティング組成物に存在する。
【0112】
添加剤(E)
本発明のコーティング組成物は、その所望の用途に応じて、成分(E)として、通例用いられる1種または複数の添加剤を含み得る。これらの添加剤(E)は、好ましくは、抗酸化剤、帯電防止剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、流れ調整剤、可溶化剤、消泡剤、湿潤剤、安定化剤、好ましくは、熱安定剤(heat stabilizer)および/または熱安定剤(thermal stabilizer)、インプロセス安定剤、ならびにUVおよび/または光安定剤、光保護剤、脱気剤、阻害剤、触媒、ワックス、湿潤剤、分散剤、柔軟剤、難燃剤、反応性希釈剤、担体媒体、樹脂、ワックス、疎水化剤、親水化剤、耐衝撃性改良剤、発泡剤(expandant)、加工助剤、可塑剤ならびに前述のさらなる添加剤の混合物からなる群から選択される。本発明のコーティング組成物における添加剤(E)の量は、変化してもよい。その量は、本発明のコーティング組成物の総質量に対して、好ましくは0.01から20.0質量%、より好ましくは0.05から18.0質量%、きわめて好ましくは0.1から16.0質量%、とりわけ好ましくは0.1から14.0質量%、より詳細には0.1から12.0質量%、および最も好ましくは0.1から10.0質量%である。
【0113】
水性コーティング組成物を生成する方法
本発明は、本発明のコーティング組成物を生成する方法をさらに提供する。
【0114】
本発明のコーティング組成物は、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4):
(1)ポリマー樹脂としてのポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステル、また、それらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー樹脂(C2)の、好ましくは、少なくとも1種のポリウレタンの、少なくとも1種の有機溶剤中の分散液または溶液を製造する工程、
(2)工程(1)により得られた分散液または溶液と、好ましくは、(C1)1g当たりKOH 1から200mgの範囲の酸価を有する、少なくとも1種のポリマー樹脂(C1)としての少なくとも1種のポリアミドの溶融物または溶液、好ましくは溶融物との混合物を製造する工程、
(3)工程(2)により得られた混合物に水を添加する工程、ならびに
(4)工程(3)により得られた混合物から有機溶剤を除去して、少なくとも1種の増粘剤(C)の水性分散液を得る工程
を含む方法により得ることが可能な増粘剤(C)の水性分散液を最初に製造することにより、製造できる。
【0115】
任意に、上に記載した工程(2)と工程(3)との間で、工程(2a)を実行することが可能である。
【0116】
これに続き、成分として生じた増粘剤(C)の水性分散液を、本発明のコーティング組成物を生成するために、本発明に従って使用されるさらなる成分、すなわち成分(A)および(B)、また、任意に(D)、(E)、有機溶剤、ならびに任意にさらなる水と、例えば高速撹拌機、撹拌タンク、アジテータミル、溶解機、混練装置またはインライン溶解機によって工程(5)で混合する。
【0117】
工程(2)で使用されるポリアミド(C1)は、好ましくは、前述の工程(0)に従って得られる。
【0118】
使用する方法
本発明のさらなる主題は、任意にコーティングした基材を、ベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングするために、本発明のコーティング組成物を使用する方法である。
【0119】
適切な基材の例は、金属またはプラスチック製のコーティングされる物品、例えば、そこから生成される自動車両、例として自動車、トラック、オートバイおよびバスのボディおよびその部品、ならびに金属またはプラスチック製の家電機器の部品を含む。
【0120】
方法、ベースコートフィルムおよび基材
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの工程(a):
(a)少なくとも1種の任意にコーティングした基材を、本発明の水性コーティング組成物によるベースコートフィルムで、少なくとも部分的にコーティングする工程
を含む、任意にコーティングした基材を、ベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングするための方法である。
【0121】
この場合、工程(a)は、基材を本発明のコーティング組成物と、少なくとも部分的に接触させることにより行われる。
【0122】
工程(a)には、任意に、さらなる工程(b)を続けてよく、これは、さらなるコーティングフィルム、好ましくはクリアコートフィルムを、工程(a)により塗布したベースコートフィルムに塗布することである。この例では、本発明の方法は、多層塗装系を生成するための方法である。
【0123】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の任意にコーティングした基材を、本発明の水性コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングすることにより得ることが可能な、または、本発明の方法により得ることが可能なベースコートフィルムである。
【0124】
本発明のさらなる主題は、本発明の水性コーティング組成物、または本発明のベースコートフィルムで少なくとも部分的にコーティングした基材である。
【0125】
この場合、本発明のコーティング組成物は、直接、または、先行するプライマコーティング組成物、例えば、カチオン電着可能なコーティング組成物(陰極電着材料)を少なくとも部分的に塗布した後で、および、必要に応じて、さらなるコーティング組成物を陰極電着に少なくとも部分的に塗布した後で、コーティングされる物品に塗布する。これに、好ましくは、これらのコーティングフィルムの乾燥が続く。本発明のコーティング組成物は、好ましくは、塗装系として、自動車両のボディおよびそれらの部品に塗布される。コーティングされる金属物品は、好ましくは、リン酸塩およびクロム酸塩で、好ましくはリン酸塩、例えばリン酸金属塩、より詳細にはリン酸亜鉛で、化学的処理を事前に施す。さらに、下塗り組成物および中塗りコーティング組成物として、公知の従来の材料を用いてもよい。
【0126】
本発明のコーティング組成物は、静電気コーティング、エアスプレーコーティングおよびエアレススプレーコーティングにより、これらの標的基材にコーティングできる(任意に、下塗りコーティング組成物で、少なくとも部分的にコーティングしたもの、さらに、任意に、適切な手段で、中塗り組成物で、少なくとも部分的にコーティングしたものを含む)。得られたそれらのコーティングフィルムの厚さは、硬化コーティングフィルムとして、好ましくは、5から35μm、より詳細には10から25μmの範囲である。コーティングフィルムは、例えば、2から40分、好ましくは5から20分、50から100℃(オーブン温度)での加熱により乾燥させてよい。
【0127】
透明コーティング組成物は、本発明のコーティング組成物のコーティングフィルムに、硬化した後で、または硬化させずに、すなわち、それらのコーティングした面に、「2コーティング2回、硬化1回」(硬化2回、焼成1回)のプロセス、または「コーティング2回、硬化2回」(硬化2回、焼成2回)のプロセスによりコーティングしてもよい。
【0128】
さらに、本発明のコーティング組成物は、簡単な予備乾燥の後で、クリアコート材料が塗布され、最初に塗装されたフィルムと一緒に焼成される二重塗布(ウェットオンウェット塗装)(3C1B)における使用にも適している。
【0129】
この種のクリアコートを塗布するための透明コーティング組成物は、本発明のコーティング組成物を、標的基材に、記載した手段で最初にコーティングすることにより、また、コーティング組成物中の固形分を好ましくは30から80質量%に制御した透明コーティング組成物を、前記基材のコーティングした面に、静電気コーティング、エアスプレーコーティングおよびエアレススプレーコーティングによって、それらのコーティングフィルムが加熱により硬化した後で、または未硬化状態で塗布できる。透明コーティング組成物のフィルムの厚さは、硬化したコーティングフィルムに対して、好ましくは、一般的に5から100μm、より詳細には20から80μmの範囲である。全体のコーティングフィルムは、100から180℃で10から40分加熱することにより硬化できる。
【0130】
判定の方法
1.酸価の判定
酸価を、DIN EN ISO 2114(2002年6月付け)に従って、「方法A」を使用して判定する。酸価は、DIN EN ISO 2114で規定の条件下で、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg単位の質量に相当する。
【0131】
2.OH価の判定
OH価を、DIN 53240−2(2007年11月付け)に従って判定する。この方法では、OH基は、過剰な無水酢酸でのアセチル化により反応させる。続いて、水を添加することにより過剰な無水酢酸を切断して、酢酸を形成し、全体の酢酸をエタノール性KOHで逆滴定する。OH価は、KOHの量をmg単位で指し示し、これは、試料1gをアセチル化する際に結合した酢酸の量に等しい。
【0132】
3.不揮発性画分の判定
不揮発性画分を、DIN EN ISO 3251(2008年6月付け)に従って判定する。この判定は、事前に乾燥させたアルミニウム皿中で1gの試料を検量し、乾燥オーブンで125℃で60分間乾燥を実行し、続いてデシケータで冷却し、次いで再度検量することにより達成される。残渣は、用いられる試料の総量に対して、不揮発性画分に相当する。
【0133】
4.明度およびフロップインデックスの判定
明度またはフロップインデックスを判定するため、発明のコーティング組成物(または比較のコーティング組成物)を、水性ベースコート材料としてサーフェイサコーティングでコーティングし、寸法32×60cmの鋼鉄パネルに、最初の工程で、静電的に塗布を行って乾燥フィルムの厚さを8〜9μmとし、第2の工程で、室温(18から23℃)での2分間のフラッシング時間後に、空気圧により塗布を行って乾燥フィルムの厚さを4〜5μmとする、二重塗布によって塗布する。続いて、室温での5分間のさらなるフラッシング時間後、生じた水性ベースコートフィルムを、強制空気オーブンで80℃で5分間乾燥させる。乾燥水性ベースコートフィルムの上に塗布するのは、商用の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbHのProGloss(登録商標))であり、乾燥フィルムの厚さを40〜45μmとする。生じたクリアコートフィルムを室温(18から23℃)で10分間かけてフラッシュする。これに続いて、強制空気オーブンで140℃でさらに20分間硬化する。したがって、コーティングした基材に、分光光度計X−Rite(X−Rite MA68 Multi−Angle Spectrophotometer)を使用した測定を施す。この場合、表面を光源で照らす。可視領域で、スペクトル検出を様々な角度から実行する。標準化したスペクトル値、また、使用した光源の反射スペクトルを考慮に入れると、この手段で得られたスペクトル測定は、CIEL*a*b*色空間におけるカラー値の計算に使用でき、L*は明度、a*は赤−緑値、およびb*は黄−青値を特徴付ける。この方法は、例えば、ASTM E2194−12に、とりわけ、顔料が少なくとも1種の効果顔料から構成されるコーティングについて記載されている。いわゆる金属効果を定量化するために用いられることが多い派生値が、いわゆるフロップインデックスであり、これは、明度と観察角度の間の関係について説明している(A.B.J.Rodriguez、JOCCA、1992(4)、150〜153頁参照)。15°、45°および110°の視野角で判定した明度の値から、式
FL=2.69(L*
15°−L*
110°)
1.11/(L*
45°)
0.86
(式中、L*は、それぞれの角度(15°、45°および110°)で測定された明度の値である)
に従ってフロップインデックス(FL)を計算することができる。
【0134】
5.ぶつ発生率の評価
ぶつ発生率を評価するために、発明のコーティング組成物(または比較のコーティング組成物)を、水性ベースコート材料としてサーフェイサコーティングでコーティングし、寸法32×60cmの鋼鉄パネルに、最初の工程で、静電的に塗布を行って乾燥フィルムの厚さを8〜9μmとし、第2の工程で、室温(18から23℃)での2分間のフラッシング時間後に、空気圧により塗布を行って乾燥フィルムの厚さを4〜5μmとする、二重塗布によって塗布する。続いて、室温での5分間のさらなるフラッシング時間後、生じた水性ベースコートフィルムを、強制空気オーブンで80℃で5分間乾燥させる。乾燥水性ベースコートフィルムの上に塗布するのは、商用の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbHのProGloss(登録商標))であり、乾燥フィルムの厚さを40〜45μmとする。生じたクリアコートフィルムを室温(18から23℃)で10分間かけてフラッシュする。これに続いて、強制空気オーブンで140℃でさらに20分間硬化する。
【0135】
ぶつを視覚的に評価し、1〜5の評定は、(1=ぶつなし/5=きわめてぶつが多い)とする。
【0136】
6.ピンホールの発生率の評価
ピンホールの発生率を評価するため、発明のコーティング組成物(または比較のコーティング組成物)を、水性ベースコート材料として、サーフェイサコーティングでコーティングし、寸法32×60cmの鋼鉄パネルに、単回塗布により塗布する。コーティングを行ってから、判定されるフィルムの厚さに差を出すために、事前に、鋼鉄パネルの一方の長辺に2つの接着剤ストリップ(Tesaband、19mm)を施す。次いで、水性ベースコート材料は、静電的に塗布し、乾燥フィルムの厚さを16〜19μmとする。生じた水性ベースコートフィルムを、室温(18から23℃)で5分間のフラッシング時間後、続いて、強制空気オーブンで、80℃で10分間乾燥させる。2つの接着剤ストリップのうち片方の除去に続いて、重力供給スプレーガンを手動で使用して、商用の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbHのEvergloss(登録商標))を、ウェッジ形式で、乾燥した水性ベースコートフィルムに塗布し、乾燥フィルムの厚さを0〜55μmとする。生じたクリアコートフィルムを、室温(18から23℃)で10分間フラッシュする;これに続いて、強制空気オーブンで、140℃でさらに20分間硬化する。第2の接着剤ストリップの除去に続いて、水性ベースコートの乾燥フィルムの厚さを確認し、クリアコートウェッジに関しては、鋼鉄パネルに厚さ20〜30μm、30〜40μmおよび40〜50μmの範囲のフィルムの厚さを記録する。この場合、DIN EN ISO 2808(2007年5月付け)、方法12A(例えば、ElektroPhysikのMiniTest3100−4100という機器により)に従って、それぞれのフィルムの厚さを判定する。
【0137】
クリアコート乾燥フィルムの3つに分けた厚さの範囲(20〜30μm、30〜40μmおよび40〜50μm)で、ピンホールを視覚的に評価する。各領域におけるピンホールの数を計数する。すべての結果を、面積200cm
2に対して標準化する。さらに、適切な場合、もうピンホールが発生しないクリアコート乾燥フィルムの厚さを記録し続ける。
【0138】
7.凝縮水処理後のレベリングの判定
Byk/Gardnerのウェーブスキャン機器を使用して、コーティングした基材のレベリングまたはうねりを評価する。セクション4に記載されている二重塗布により、コーティングした基材を生成する。この目的のために、調査中、レーザービームを60°の角度で、かつ10cmの測定距離で表面に当て、機器を使用して、短波範囲(0.3から1.2mm)および長波範囲(1.2から12mm)で反射した光の変動を記録する(長波=LW;短波=SW;数量が小さいほど外観が良好になる)。これらの測定を、凝縮水曝露の前後で実行する。次いで、コーティングした基材を、DIN EN ISO 6270−2(2005年9月付け)に従って、CH試験条件下で、状態調節チャンバ中において10日間保存する。続いて、コーティングした基材を24時間検査し、状態調節チャンバからの除去に続き、膨れを視覚的に検査し、レベリングまたはうねりについても評価する。
【0139】
8.保存安定性の判定
本発明のコーティング組成物の(または比較のコーティング組成物の)保存安定性は、40℃で2週間保存する前後で、管理条件下(23.0℃±0.2℃)で、DIN 53019−2(2001年2月付け)に従って、DIN 53019−1(2008年9月付け)に対応する回転粘度計を使用して、それらを調査することにより判定した。試料は、まず、予備せん断を100s
−1の速度で3分間施す。これに続いて、せん断荷重なしに条件付けする。流動曲線を測定するために、0.1s
−1から1000s
−1の範囲のせん断速度は、約5分間以内に移動させる(上方曲線)。その後、せん断を1000s
−1で少し維持してから(保持時間)、続いて、これを、1000s
−1から0.1s
−1の範囲のせん断速度へと、約5分間かけて再度減少させる(下方曲線)。36箇所の測定点を上方および下方曲線中に、ならびに10箇所の測定点を保持時間中に取得する。保持時間中の平均粘度レベル(高せん断粘度)、および下方曲線から判定される1s
−1での粘度レベル(低せん断粘度)を、データから判定し、保存前後の値を、互いに比較する。
【0140】
9.MEQ値の判定
MEQ値は、不揮発性画分の試料100gに存在する酸(MEQ(酸))または塩基(MEQ(塩基))のミリ当量(MEQ)の数を指し示し、DIN EN ISO 15880(2004年9月付け)に基づく方法で表現される。
【0141】
0.001gの精度まで検量した試料を、70mlの適切な溶剤、例えばメトキシプロパノールに混和する。ポリマー樹脂が試料として使用される場合には、3000から5000gの試料を検量する。試料が分散液である場合、8000から10000gのこの分散液を検量し、溶剤を添加する前に、上記の方法により、その固形分での開始を判定する。MEQ(酸)値を判定するために、6滴のフェノールフタレイン溶液を試料溶液に添加し、無色からピンク色に色の変化が生じるまで、水酸化カリウム水溶液(0.5M)で滴定を行う。MEQ(塩基)値を判定するために、6滴のブロモフェノールブルー溶液を試料溶液に添加し、青色から黄色に色の変化が生じるまで、塩酸(0.5M)で滴定を行う。
【0142】
10.数平均および質量平均分子量の判定
数平均分子量(M
n)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により判定する。判定の方法は、DIN 55672−1(2007年8月付け)に従う。数平均分子量以外に、この方法を使用して、質量平均分子量(M
w)、また、多分散性(質量平均分子量(M
w)対数平均分子量(M
n)の比)を判定できる。テトラヒドロフランが、溶離液として使用される。判定は、ポリスチレン標準に対して行われる。カラム材料は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーからなる。
【0143】
11.本発明に用いられる増粘剤(C)の水性分散液、または比較の分散液を基材に塗布する際における、ぶつ発生率の評価
ぶつ発生率を評価するために、以下の一般的なプロトコールにより分散液を調査する:
100μm4面式バーアプリケータを使用して、それぞれの分散液をガラスパネルに塗布する。このように形成したフィルムを、湿った状態で、18から23℃での、60分間のフラッシング時間後、若干の空気の包含をぶつとして誤解しないように、光源に対してこれを保持することによりぶつ発生率を視覚的に評価した。1〜5の評定は、(1=ぶつがない/5=ぶつがきわめて多い)とする。
【0144】
以下の本発明の実施例および比較例は、本発明を例示する役割を果たすが、いかなる制約も課すと解釈すべきではない。
【0145】
本発明の実施例および比較例
別段の指示がない限り、各例において、部単位の量は質量部であり、パーセント単位の量は質量百分率である。
【0146】
1.増粘剤(C)を製造するために本発明に用いられるポリアミド(C1)の製造
1.1 ポリアミド(C1)を製造するための一般的な指示:
少なくとも1種のポリカルボン酸(C1a)またはその対応する誘導体、例えば対応するエステルまたは対応する無水物、例えば、任意に少なくとも1種の有機溶剤を、撹拌機、還流冷却器および水分離器を備えた反応容器に導入し、少なくとも1種のポリアミン(C1b)と混合し、この混合物を、所望の量の水および存在する任意の有機溶剤が分離されるまで、160から240℃の範囲の温度で撹拌しながら加熱し、この分離により、ポリアミド(C1)を製造するための、成分(C1a)と成分(C1b)との完全な、または所望の反応が指し示される。
【0147】
ポリアミド1
22.4gのキシレン中に687.5gの二量化脂肪酸(Crodaから市販されている製品Pripol(登録商標)1012)およびドデカンジカルボン酸(57.5g)を導入し、生じた混合物M1を60℃に加熱することにより、ポリアミド1を製造する。116.20gのヘキサメチレンジアミンを、80℃のオーブン温度で溶融し、混合物M1に少しずつ添加する。添加が終わった後で、混合物を最初に130から140℃で10分間、その後175℃で加熱する。この温度を維持し、形成された水を蒸留により除去する。このプロセス中、生じた混合物の酸価を数回判定する。酸価がKOH 68.5mg/gに達するまで(約3時間後)反応を続ける。
【0148】
ポリアミド2
21.7gのキシレン中に724.1gの二量化脂肪酸(Crodaから市販されている製品Pripol(登録商標)1012)を導入し、生じた混合物M1を60℃に加熱することにより、ポリアミド2を製造する。116.2gのヘキサメチレンジアミンを80°のオーブン温度で溶融し、混合物M1に少しずつ添加する。添加が終わった後で、混合物を最初に130から140℃で10分間、その後175℃で加熱する。この温度を維持し、形成された水を蒸留により除去する。このプロセス中、生じた混合物の酸価を数回判定する。酸価がKOH 37.9mg/gに達するまで反応を続ける。
【0149】
2.本発明に用いられる増粘剤(C)の製造
2.1 本発明に用いられる増粘剤(C)を製造するための一般的な指示:
少なくとも1種のポリアミド(C1)の溶融物を製造する。この溶融物を、少なくとも1種の有機溶剤、例えばMEK中の、少なくとも1種のポリマー(C2)の分散液または溶液に導入する。水および任意に少なくとも1種の中和剤をこの混合物に添加する。少なくとも1種の有機溶剤を除去して、水に分散した増粘剤(C)を得る。
【0150】
増粘剤1
第一に、固形分70質量%のポリマー(C2)としてのポリウレタンの溶剤含有分散液600gの溶剤を導入し、80℃の温度に加熱する。この溶剤含有ポリウレタン分散液は、EP0228003A1、8頁、5から16行目に記載されているように製造され、有機溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を含む。続いて、172.1gのポリアミド1の溶融物(140℃で加熱することにより得られた溶融物)を、溶剤含有ポリウレタン分散液に、撹拌しながら30分間かけて少しずつ添加する。その後、この混合物中で、37.9gのジメチルエタノールアミン(DMEA)を30分間かけて計量供給し、生じた混合物をさらに30分間撹拌する。1693.6gの脱イオン水をこの混合物に1時間かけて添加し、混合物をさらに1時間撹拌する。MEKを蒸留により除去し、過量の水が、MEKの蒸留除去で除去された場合は、生じた増粘剤(C)の固形分は、脱イオン水を30質量%まで添加することにより任意に調整し、その結果、固形分を30質量%超とする。MEQ値は、以下のように判定された:MEQ(酸):0.683mmol/g;MEQ(塩基):0.695mmol/g。続いて、生じた水性分散液の形態で、増粘剤1を使用する。
【0151】
増粘剤2
第一に、固形分70質量%の、ポリマー(C2)としてのポリウレタンの溶剤含有分散液600gを導入し、80℃の温度に加熱する。この溶剤含有ポリウレタン分散液は、EP022800A1、8頁、5から16行目に記載されているように製造され、有機溶剤としてメチルエチルケトンを含む。続いて、172.1gのポリアミド2の溶融物(140℃で加熱することにより得られた溶融物)を、溶剤含有ポリウレタン分散液に、撹拌しながら30分間かけて少しずつ添加する。その後、この混合物中で、25.6gのジメチルエタノールアミン(DMEA)を30分間かけて計量供給し、生じた混合物をさらに30分間撹拌する。1658.6gの脱イオン水をこの混合物に1時間かけて添加し、混合物をさらに1時間撹拌する。MEKを蒸留により除去し、過量の水が、MEKの蒸留除去で除去された場合は、生じた増粘剤(C)の固形分は、脱イオン水を25質量%まで添加することにより任意に調整し、その結果、固形分を25質量%超とする。MEQ値は、以下のように判定された:MEQ(酸):0.506mmol/g;MEQ(塩基):0.505mmol/g。続いて、生じた水性分散液の形態で、増粘剤2を使用する。
【0152】
3.本発明のコーティング組成物および比較のコーティング組成物の製造
3.1 以下で規定されているそれぞれのコーティング組成物の成分は、以下の意味を有する:
ポリマー樹脂(I)の水性分散液は、DE19948004A1の20頁、9から21行目に記載されているように製造される。
【0153】
ポリマー樹脂(II)の水性分散液は、DE4009858A1、実施例D内の16段、37から59行目に記載されているように製造される。
【0154】
ポリマー樹脂(III)の水性分散液は、DE4437535A1の7頁、55行目から8頁、23行目に記載されているように製造される。
【0155】
ポリマー樹脂(IV)の水性分散液は、EP0228003A1の8頁、5から20行目に記載されているように製造される。
【0156】
Rheovis(登録商標)AS 1130は、BASF SEから市販されている、アクリルコポリマーをベースとする増粘剤を30質量%含有する水溶液である。
【0157】
Rheovis(登録商標)PU 1250は、BASF SEから市販されている、ポリウレタンをベースとする増粘剤を40質量%含有するブチルジグリコール水溶液である。
【0158】
Luwipal(登録商標)052は、BASF SEのメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0159】
Cymel(登録商標)203は、Allnexのメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0160】
Disparlon(登録商標)AQ630は、Kusumoto Chemicals Co.Ltd.から市販されている、不揮発性ポリアミドの割合が18質量%のポリアミド分散液である。
【0161】
Disparlon(登録商標)AQ600は、Kusumoto Chemicals Co.Ltd.から市販されている、不揮発性ポリアミドの割合が20質量%のポリアミド分散液である。
【0162】
Alu Stapa Hydrolux(登録商標)2154&VP56450は、Altana−Eckartから入手できる、2種の市販のアルミニウム顔料である。
【0163】
Pluriol(登録商標)E300は、BASF SEから市販されているポリエチレングリコールである。
【0164】
Agitan(登録商標)281は、Muenzing Chemie GmbHから市販されている脱泡剤である。
【0165】
ポリアミド1の水性分散液は、以下のように製造する:ポリアミド1を、セクション1.1に記載されているように製造する。続いて、KOH 68.5mg/gの酸価に到達した後で(約3時間後)、生じたポリアミド1を120℃に冷却し、413gのブチルグリコールをこれに添加し、生じた混合物を、100℃でジメチルエタノールアミン(DMEA)(85.5g)と混和し、撹拌する。生じた混合物を、90〜95℃の温度を有する1600gの脱イオン水に導入する。続いて、生じた混合物を、80℃で30分間撹拌し、次いで、最初に60℃に冷却し、撹拌したままにする。固形分は22.6質量%である。MEQ値は、以下のように判定された:MEQ(酸):1.058mmol/g;MEQ(塩基):1.076mmol/g。
【0166】
ポリアミド2の水性分散液は、以下のように製造する:ポリアミド2を、セクション1.1に記載されているように製造する。続いて、KOH 37.9mg/gの酸価に到達した後で、生じたポリアミド2を120℃に冷却し、次いで、200gの生じた混合物を、ジメチルエタノールアミン(DMEA)(12.3g)、0.3gのAgitan(登録商標)281、および90〜95℃の温度を有する1171.4gの脱イオン水の混合物に導入する。固形分は20.0質量%である。MEQ値は、以下のように判定された:MEQ(酸):1.460mmol/g;MEQ(塩基):0.595mmol/g。
【0167】
3.2 本発明のコーティング組成物および比較のコーティング組成物を生成するための一般的な作業手順:
以下の表のそれぞれで「水性相1」と列挙されている成分は、明記されている順に一緒に撹拌して、水性混合物M1を形成する。続いて、以下の表の「水性相2」で列挙されている成分を、明記されている順に一緒に撹拌して、第2の水性混合物M2を形成し、これを水性混合物M1に添加し、10分間撹拌する。いずれの場合にも生じたものは、水性混合物M3である。次の工程では、有機混合物を、以下の表のそれぞれで「有機相」と列挙されている成分から製造する。有機混合物を、水性混合物M3に加える。次いで、合わせた混合物を10分間撹拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用してpH8に、および23℃にて回転粘度計(Anton PaarのC−LTD80/QC調整系を備えたRheolab QC instrument)で測定して1000s
−1のせん断荷重で規定の噴霧粘度に調整する。コーティング組成物V1、V2およびB1の場合、スプレー粘度を90±5mPa・秒に設定する。コーティング組成物B2の場合、スプレー粘度を95±5mPa・秒に設定する。コーティング組成物V3、V4、V5、V6、V7およびV8、また、B3、B4、B5、B6、B7、B8およびB9のそれぞれの場合、スプレー粘度を80±5mPa・秒に設定する。
【0168】
以下の表のそれぞれにおける、それぞれの量の数字は、各例における質量部を表す。
【0169】
3.3 コーティング組成物V1およびV2(本発明によらない)ならびにB1(本発明による)
【0171】
3.4 コーティング組成物B2(本発明による)
【0173】
3.5 コーティング組成物V3(本発明によらない)およびB3(本発明による)
【0175】
3.6 コーティング組成物V4(本発明によらない)およびB4(本発明による)
【0177】
3.7 コーティング組成物V5(本発明によらない)およびB5(本発明による)
【0179】
3.8 コーティング組成物V6(本発明によらない)およびB6(本発明による)
【0181】
3.9 コーティング組成物V7(本発明によらない)ならびにB7およびB8(本発明による)
【0183】
3.10 コーティング組成物V8(本発明によらない)およびB9(本発明による)
【0185】
3.11 これらがそれぞれ含有する増粘剤(C)(本発明による)または、これらがそれぞれ含有するポリアミド成分(本発明によらない)に関する、生成された本発明のコーティング組成物および比較のコーティング組成物の要約。
【0186】
対応する要約は以下の表1.9に示される:
【0188】
4.試験および調査
4.1 ピンホール発生率の調査
この調査は、上記の方法に従って行われる。水性ベースコート材料として、本発明のコーティング組成物B1、また比較のコーティング組成物V1を、プライマ−サーフェイサ系でコーティングした鋼鉄パネルに塗布する。続いて、方法内で記載されているように、クリアコート材料を、生じたそれぞれのベースコートフィルムに塗布する。
【0189】
結果を、表1.10に要約する。報告されているピンホールの数を200cm
2に標準化する。
【0191】
結果から、本発明に用いられる増粘剤(C)を含む本発明のコーティング組成物B1は、市販のポリアミドDisparlon(登録商標)AQ 630を含むV1と比較して、ピンホールに対する耐性に関連する性質の改善したプロファイルを示すことが実証される。
【0192】
4.2 保存安定性に関わる調査
この調査は、上記の方法に従って行われる。ここでは、本発明のコーティング組成物B2、また比較のコーティング組成物V2を調査する。
【0195】
結果から、本発明に用いられる増粘剤(C)を含む本発明のコーティング組成物B2は、それ自体がポリアミド2を含むV2と比較して、きわめて良好な保存安定性を呈し:水性ベースコートB2材料のレオロジー挙動は、40℃で2週間保存した後でさえも、ほとんどまったく変化しないことが実証される。対照的に、V2は、著しく脆弱な保存安定性を示す。
【0196】
4.3 凝縮水処理後のレベリングの調査
この調査は、上記の方法に従って行われる。本発明のコーティング組成物B1またはB3、また、比較のコーティング組成物V2またはV3は、この試験において、水性ベースコート材料として、プライマ−サーフェイサ系でコーティングした鋼鉄パネルにそれぞれ塗布される。続いて、方法内に記載されているように、クリアコート材料を、生じたそれぞれのベースコートフィルムに塗布する。
【0199】
結果から、本発明に用いられる増粘剤(C)を含む本発明のコーティング組成物B1およびB3は、ポリアミドDisparlon(登録商標)AQ 630またはDisparlon(登録商標)AQ 600をそれぞれ含むV1およびV3と比較して、それぞれ、凝縮水曝露の前後両方で、これらの組成物のいずれかから得られるベースコートフィルムを含む多層構造の、LWおよび/またはSWの高い値で現れる膨潤が生じないことを実証するという利点を有することが実証される。
【0200】
4.4 角度依存明度およびフロップインデックスの調査
この調査は、上記の方法に従って行われる。本発明のコーティング組成物B4、また比較のコーティング組成物V4を、いずれの場合にも、水性ベースコートフィルムの形態で、プライマ−サーフェイサ系でコーティングした鋼鉄パネルに塗布する。続いて、方法内に記載されているように、クリアコート材料を、生じたそれぞれのベースコートフィルムに塗布する。
【0203】
結果から、ポリアミド2から製造した、本発明に用いられる増粘剤(C)を含む本発明のコーティング組成物B4は、いずれの場合にもこのポリアミド2自体のみを含むV4と比較して、15°の角度での高い明度に、また高いフロップインデックスに特徴付けられる、改善した金属効果を呈することが実証される。
【0204】
4.5 ぶつ発生率の調査
この調査は、上記の方法に従って行われる。本発明のコーティング組成物B5、B6、B7、B8およびB9、また比較のコーティング組成物V5、V6、V7およびV8を水性ベースコート材料として、プライマ−サーフェイサ系でコーティングした鋼鉄パネルにそれぞれ塗布する。続いて、方法に記載されているように、クリアコート材料を、生じたそれぞれのベースコートフィルムに塗布する。
【0207】
結果から、本発明に用いられる増粘剤(C)を含む本発明のコーティング組成物B5、B6、B7、B8およびB9は、いずれの場合にもポリアミド成分のみを含むV5、V6、V7およびV8と比較して、適合性または増粘剤のコーティング組成物への混和性に対する尺度として、ぶつ形成に関連する結果を著しく改善できることが実証される。V6およびB6に関連する実験データの比較から、ポリアミドおよびNaMgフィロケイ酸塩の組合せは、ぶつ形成を引き起こすが、本発明の増粘剤およびNaMgフィロケイ酸塩の組合せは、引き起こさないことがさらに明らかになる。
【0208】
4.6 ぶつ発生率の調査
本発明に用いられる増粘剤(増粘剤1)の水性分散液を、上記の方法を使用して、ぶつ発生率に関して調査する。同じように、約28質量%の固形分を有する比較の水性分散液を調査するが、これは、いずれの場合にも、比較の分散液の総質量に対して、29質量%の割合のポリアミド1の水性分散液(22.6質量%の固形分を有する)を含み、71質量%の割合で、30質量%の固形分を有する水性分散液のポリマー樹脂(IV)も含む(EP228003A1の8頁、5から20行目に記載されているように製造する)。
【0211】
表1.15から、比較の水性分散液の場合、増粘剤1と対照的に、発生した多数のぶつが観察されることが明らかである。比較の水性分散液は、増粘剤1の製造にも使用できる同一のポリマー樹脂(C1)および(C2)を含む;しかし、本発明によれば必須の、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4)を含むプロセスにより得ることが可能な増粘剤1の生成と対照的に、これらのポリマー樹脂は、単純に混合することにより使用して、比較の水性分散液を製造した。これらの結果により、本発明に従って使用される増粘剤(C)が、本発明によれば必須の、少なくとも工程(1)、(2)、(3)および(4)を含むプロセスにより得られることは、本発明に不可欠であることが示される。