【発明の効果】
【0009】
冒頭に記載した様式の自動車、特に、乗用車は、
コクピットモジュール内に設けられた制御装置と、
前記制御装置を前記自動車の車内配線(ワイヤハーネス)(Boardnetz)に接続するためのケーブルハーネスであって少なくとも1つのデータケーブル及び/または電源ケーブルを備えるケーブルハーネスとを有し、
その際、前記制御装置が、前記ケーブルハーネスの電気的な接触のための、少なくとも1つの接続部を有している。
本発明によれば、この接続部は、制御装置の、自動車の室内の方に向けられた側に設けられている。換言すれば、ケーブルハーネスは、もはや(車両前部の方に向けられた)背面側においてではなく、むしろ(車両室内の方に向けられた)制御装置の前面側において接続される。
換言すれば、本発明の核心は、制御装置の組込み姿勢を、この制御装置の垂直軸線周りに180°回転することにある。即ち、制御装置そのものは、本発明に切り換えるために変更が加えられる必要はない。
【0010】
従来技術において公知の、コクピット部における制御装置の組込み姿勢の原因となった前提条件が、技術的な進捗によって無くなったことに発明者は気付いた。
第一に、先に記載したように、コクピット部内に設けられた制御装置の操作エレメントおよび表示エレメントは、制御装置の一体的な組立部品では既にないのが普通で、その代わり、切り離されて設けられ、データ配線を用いて制御装置に接続される。制御装置の前面側が、組込みスロットを囲むコクピット表面と概ね面一で終端するようにしてコクピット部に制御装置を配設する他の理由は、この制御装置が、サウンド記憶媒体およびデータ記憶媒体、特に、CD、および、DVDを収容するように構成されていたことにある。しかしながら、この種のサウンド記憶媒体およびデータ記憶媒体の重要性が減りつつあることから、この前提条件も同様に無くなった。
【0011】
制御装置が、接続部を、自動車の室内の方に向けられた側において(即ち、この制御装置の前面側に)有するというやり方で、従来技術におけるケーブルハーネスの余分なケーブル長さのために必要なスペースはなくすことができるか或いは他の使い方ができる。更に、このケーブルハーネスは、制御装置の接続の際に、もはや、組込みスロットから引き出される必要はない。即ち、ケーブルハーネスを、組み付けの目的のために、この制御装置の組み付けられた状態において必要である寸法よりも長く寸法設定することは、もはや必要ではない。
上記の代わりに、このケーブルハーネスの長さは、最終的な組込み姿勢が必要とする程度に長さを寸法設定することができる。本発明により、即ち、ケーブルハーネスの長さが長いことに起因する重量、および、起因するコストを削減することが可能になる。
【0012】
本発明は、更に、コクピット部における制御装置を、比較的柔軟に設けることを可能にする。例えば、制御装置は、更に後方へと(即ち、車両前面の方向に)移動することができる。これによって、コクピット部を開発する際に形状変更する余地を比較的大きくできる。
特に、目にすることのできるコクピット部の形状を変更する際に従前より存在する制限は無くなる。
【0013】
有利には、制御装置は、マルチメディア制御装置である。最新式の自動車のマルチメディア制御装置は、先に記載したように、多数の機能を備えている。これらの機能は、ラジオ信号およびテレビ信号の受信、並びに、サウンド記憶媒体またはデータ記憶媒体の読み取り、および、場合によっては書き込み、オーディオ信号の出力、操作エレメントおよび表示エレメント、電話機能、ナビゲーション機能の制御、を含んでいる。
しばしば、このマルチメディア制御装置は、いわゆる、リアシートエンターテイメント、即ち、後部座席の乗客に提供する娯楽用電子機器エレメントのための中央制御装置をも具現する。このマルチメディア制御装置は、今日的な自動車における上記の機能規模のゆえに、コクピット部に組み込まれる最も大きな制御装置の1つである。
本発明は、従って、特に有利には、このマルチメディア制御装置に対して適用可能である。本発明は、即ち、コクピットモジュールにおけるマルチメディア制御装置の組込み場所を、以前よりも柔軟に選択することを可能にする。この組込み場所において、マルチメディア制御装置は、本発明に従い組み込むことができ、その後、ケーブルハーネスをこのマルチメディア制御装置に接続することができる。過剰なケーブルハーネスの長さを収容するための、本発明がなければ必要になる組み立てスペースは省くことができるので、マルチメディア制御装置の組込みには、全体的に、より少ないスペースが必ず設けられることになる。
【0014】
本発明の更に有利な構成において、制御装置は、コクピットモジュールの中央部分に設けられている。
典型的に、運転者、および、運転助手にとって視認可能、もしくは、アクセス可能であるべき操作エレメントおよび表示エレメントは、コクピットの中央部分に設けられている。これには、例えば、ラジオ機器、および、空調装置の操作エレメントおよび表示エレメントが含まれる。そのため、先に記載したように、従来ではこういった操作エレメントおよび表示エレメントを有する制御装置、特に、ラジオ機器は、やはり中央部分に装着されていた。しかし、
コクピット部に格納すべきエレメントの数が増えるにつれて、また、制御装置の大きさが大きくなるにつれて、この中央部分において使用できるスペースはぎりぎりになる。そのため、従来の方法で組み付けられた制御装置は、コクピット部の形状を変更する際における自由度を制限するように働く。中央部分における制御装置に対して、特に、マルチメディア制御装置に対して本発明が適用されることで、この中央部分は、比較的柔軟に構成することができる。例えば、運転者に小物入れを提供することができる。この小物入れのために、従来は如何なるスペースも無かった。
【0015】
有利には、制御装置は、組込みフレームを用いて、コクピットモジュールのキャリア構造と結合されている。
先に記載したように、別の事前組み立て場所において組み付けられるコクピットモジュールは、キャリア構造を備えている。このキャリア構造がまた、一方にクロスビームを備えていてもよく、このクロスビームが車両ボディーシェルに固定されて、コクピットモジュールをボディーシェルに結合する。
このクロスビームは、金属から構成することができる。更に、このキャリア構造は、機能キャリア(Funktionstraeger)と称されるエレメントを備えていることもあるが、このエレメントには、コクピットモジュールの更に別のエレメントを固定することができる。この機能キャリアは、プラスチックから構成することができる。
このコクピットモジュールのキャリア構造は、異なる車両モデル間において、その具体的な構成がかなり違っていることがある。それにも拘らず、所定の制御装置モデルを、可能な限り柔軟に、異なる車両モデルに組み込み可能とするために、組込みフレームが有利である。その際、コクピットモジュールのキャリア構造における固定用の組込みフレームのエレメントは、それぞれの車両モデルに応じて異なるように構成することができるのに対して、制御装置の固定用の組込みフレームのエレメントは、変わらないように構成することができる。更に、組込みフレームを使用することで、例えば、交換時における制御装置の事後的な取り出しが容易になる。
【0016】
選択的な実施形態において、制御装置は、コクピットモジュールの前記キャリア構造と直接的に結合されている。
その場合には、如何なる組込みフレームも使用されない。この実施形態は、組込みフレームの先に記載した利点がさほど重要でない一方で材料および重量の節約に特に注意が払われる場合に推奨される。
【0017】
本発明の特に有利な更なる構成において、制御装置は、車両横方向に延在する旋回軸線を中心として旋回可能にコクピットモジュールのキャリア構造と結合されている。
先に記載したように、結合は、組込みフレームを用いて間接的にまたは直接的に行うことができる。制御装置が旋回可能であることで、組み付けの際の、特に制御装置へのケーブルハーネスの接続のステップの際の組込み姿勢とは、最終的な組込み姿勢が異なっているようにできる。換言すれば、組み付けの際の制御装置は、例えば、概ね水平の組込み姿勢にあるのでもよい。
ケーブルが接続された状態にあるときに、この制御装置は、制御装置が例えば概ね傾けられた姿勢をとるように旋回することができる。このようにして、コクピットモジュールにおいて使用できるスペースを更に柔軟に利用すること、そして、それにも拘らず制御装置の最適な組み付け位置を保証することが可能になる。
【0018】
更なる特別な実施形態において、コクピットモジュールは、このコクピットモジュールの、自動車の室内の方に向けられた側に、インストルメントパネルを有しており、
このインストルメントパネルが、組立部品、特に、カバー部材を備えており、
この組立部品が、少なくとも、開放された状態、および、閉鎖された状態を有しており、
前記組立部品が、前記開放された状態において、前記インストルメントパネルの開口部を解放し、且つ、
前記組立部品が、前記閉鎖された状態において、前記インストルメントパネルの前記開口部を覆い、
前記開放された状態において、前記ケーブルハーネスの電気的な接触のための、前記制御装置の少なくとも1つの接続部が、自動車の室内からアクセス可能とされている。
換言すれば、ケーブルハーネスのための制御装置の接続部は、インストルメントパネルの開口部を介して、必ずアクセスできることになる。このことは、組み付けの目的のためと同様に、事後的な診断および修理の目的のためにも有利である。この組立部品は、例えば、スイッチ、操作ノブ、または、コントロール照明器具のような、操作エレメント及び/または表示エレメントを備えている。この開口部を、簡単な方法で、開放、もしくは、閉鎖可能とするために、組立部品として、カバー部材、特に、デコレーションパネルを使用することもしかしながら有利である。
この実施形態における、本発明の重要な利点は、カバー部材が、少なくとも、制御装置の大きさをもはや有している必要がないことにある。むしろ、このカバー部材が、ケーブルハーネスのために制御装置の接続部にアクセスできるのに十分な大きさであれば足りる。即ち、本発明によれば、コクピットモジュール(このコクピットモジュールのインストルメントパネルをも含めて)を車両ボディーシェルと先ず結合すること、そして、その後やっと制御装置をケーブルハーネスと接続すること、そして、インストルメントパネルにおける開口部を通してコクピットモジュール内へと押し込むことは、もはや必要ではない。むしろ、この制御装置は、インストルメントパネルの組込みの前に、早々とコクピットモジュール内へと組み込むことができる。
このコクピットモジュールを車両ボディーシェル内へと組み込んだら、後はケーブルハーネスを制御装置に単に接続すればよいだけである。その後、この組立部品は、閉鎖された状態に変更される。こうして、例えばこのカバー部材が開口部に固定される。修理する場合、例えば、ケーブルハーネスの制御装置との電気的な接続に欠陥があると推測される場合、接続部へのアクセスを得るために、このカバー部材を開放しさえすればよい。
【0019】
自動車、特に、乗用車の製造のための、冒頭に記載した様式の方法は、以下のステップ、即ち、
− コクピットモジュールの事前組み立て(プリアセンブリ)、
− 車内配線と、この車内配線に制御装置を接続するためのケーブルハーネスであって、少なくとも1つのデータケーブル及び/または電源ケーブルを備えたケーブルハーネスと、を有する、自動車のボディーシェルの組み付け、
− 前記自動車のボディーシェル内への、前記コクピットモジュールの組込み、および、前記ボディーシェルとの前記コクピットモジュールの結合、
のステップを有する。
初めの二つのステップが、記載された順序で行われる必要は無く、むしろ、互いに依存せずに、即ち、例えば、平行しても、または、逆の順序でも実施され得ることは、自明のことである。
【0020】
最新式の自動車の全ての車内配線は、数千メートル(mehreren tausend Metern)の全長を有するケーブルから成っている。従って、これらのケーブルは、車両組み立ての際に、通常は、極めて早期の段階において敷設され、続いて、車内配線に接続された、自動車の種々の制御装置に順次接続される。
【0021】
効率の理由から、自動車の比較的大きなモジュール、即ち、例えば、コクピットモジュールは、できるだけ大規模に別の事前組み立て場所において組み付けられ、まとまったものとして本来の組み立てラインに引き渡される。既に記載された理由から、制御装置は、予めコクピット事前組み立ての際にコクピットモジュール内へと組み込まれるのではない。制御装置の組込みは、むしろケーブルハーネスが制御装置に接続されてから主組み立てラインにおいて行われる。
【0022】
本発明に従い、この方法は、以下の、更に別の、
− ケーブルハーネスの電気的な接触のための制御装置の接続部を有する当該制御装置の側が自動車の室内の方に向けられているように、
コクピットモジュール内、特に、このコクピットモジュールの中央部分内に制御装置を装着し、
− 前記制御装置の接続部に前記ケーブルハーネスを接続する、
ステップを有する。
特徴を示す二つの方法ステップが上記の順に実施されることが分かる。
この順序に、まさに本発明の工程的な形態(Auspraegung)による本発明の本質がある。即ち、従来技術においては、先ず制御装置が接続され、次にコクピットモジュール内に装着されるのに対して、本発明によれば、先ず制御装置が組み付けられ、次にケーブルハーネスが接続される。従って、(最終的な組み付け状態における)ケーブルハーネスの如何なる余分な長さも要らない。
更なる利点は、組み付けを実施する作業者がケーブルハーネスを接続している間、作業者が片手で制御装置を保持する必要が無いことにある。むしろ、この方法の発明によれば、制御装置がコクピットモジュール内の固定された位置にあるため、作業者にとってケーブルハーネスの接続がかなり楽なものにされている。
【0023】
この方法の特に有利な更なる構成において、コクピットモジュールの事前組み立てのステップは、前記コクピットモジュールにおいて、特に、このコクピットモジュールの中央部分に制御装置を装着するステップを含む。
換言すれば、この制御装置は、事前組み立て場所において既にコクピットモジュール内に装着されている。通常は、この事前組み立て場所においてインストルメントパネルが装着され、その際、ケーブルハーネスのための、制御装置の接続部へのアクセスを可能にする開口部は、開いたままである。組み立てラインでは、あとはケーブルハーネスが制御装置に接続され、この開口部が組立部品、例えばカバー部材で閉鎖されるだけでよい。
【0024】
以下で、本発明の更なる実施形態を、例示的な図に基づいて説明する。