(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688312
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】少なくとも1つのシリンダを備える内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02F 1/00 20060101AFI20200421BHJP
F02F 1/24 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
F02F1/00 J
F02F1/24 A
F02F1/24 K
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-548286(P2017-548286)
(86)(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公表番号】特表2018-507984(P2018-507984A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】AT2016050059
(87)【国際公開番号】WO2016145467
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月14日
(31)【優先権主張番号】A50203/2015
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ツルク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ブライテンベルガー,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ホイスル,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】クラムプファー,マルティン
【審査官】
櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−229211(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04343556(DE,A1)
【文献】
特公昭48−040601(JP,B1)
【文献】
実開昭60−162241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00
F02F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各シリンダ(1,1’,1”)に対して複数のシリンダヘッドボルト(19,20,21,22,19’,20’,21’,22’;19”,20”,21”,22”)を介してシリンダハウジングに接続された少なくとも1つのシリンダヘッド(11,11’,11”)を備える少なくとも1つのシリンダ(1,1’,1”)を有する内燃機関(2)であって、各シリンダ(1,1’,1”)に対して2つのインレットバルブ(3,4)と2つのアウトレットバルブ(5,6)が設けられ、これらバルブがエンジン縦平面(2a)に対して捻じれバルブパターンを有し、1つのシリンダ(1,1’,1”)に対して割り当てられたすべてのシリンダヘッドボルト(19,20,21,22,19’,20’,21’,22’,19”,20”,21”,22”)のボルト軸心(19a,20a,21a,22)同士がシリンダ軸心(1a)に対して平行に配置されたシリンダヘッドボルト面(24a,24b,24c,24d,24e,24f)を形成し、シリンダ(1,1’,1”)に関連するすべてのシリンダヘッドボルト面(24a,24b,24c,24d,24e,24f)が、エンジン縦平面(2a)と、当該エンジン縦平面(2a)に対して垂直に延出するエンジン横平面(2b,2c)との両方に対して傾斜しているものにおいて、インレットバルブ軸心(3a,4a)とインレット通路分離点(30)、および/又は、アウトレットバルブ軸心(5a,6a)とアウトレット通路接続点(31)との、シリンダヘッドシーリング面またはそれに平行な面への投影によって形成される三角形の表面積は、ボア面積の5〜15%であることを特徴とする内燃機関(2)。
【請求項2】
少なくとも1つのシリンダ(11,11’,11”)の前記シリンダヘッドボルト(19,20,21,22;19’,20’,21’,22’;19”,20”,21”,22”)のボルトパターンが平面視で多角形状に配置され、少なくとも1つのシリンダ(1,1’,1”)の前記シリンダヘッドボルト(19,20,21,22,19’,20’,21’,22’,19”,20”,21”,22”)のボルトパターンが前記シリンダ軸心(1a)に対して捩じられている請求項1に記載の内燃機関(2)。
【請求項3】
シリンダ(1,1’,1”)に関連する各シリンダヘッドボルト面(24a,24b,24c,24d,24e,24f)は、前記エンジン縦平面(2a)とゼロではないボルト面角度を形成する請求項1又は2に記載の内燃機関(2)。
【請求項4】
前記ボルトパターンの捻じれ角度(β)は、5度〜45度である請求項2、又は、請求項2に従属する請求項3に記載の内燃機関(2)。
【請求項5】
前記ボルトパターンの捻じれ角度(β)は、シリンダ(1,1’,1”)に関連するすべてのボルト面角度中の最小の角度によって規定される請求項2に従属する請求項3、又は請求項4に記載の内燃機関(2)。
【請求項6】
前記ボルトパターンの捻じれ角度(β)と、前記バルブパターンの捻じれ角度(α)とはそれらの絶対量に応じて等しくなるように構成されている請求項2、請求項2に従属する請求項3、及び、請求項4から5のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項7】
シングル・シリンダヘッドとして構成された、2つの隣接するシリンダ(1’,1”)の少なくとも2つのシリンダヘッド(11’,11”)を備えるものにおいて、隣接するシリンダ(1’,1”)の、第1シリンダヘッド(11’)の少なくとも1つのシリンダヘッドボルト(20’)と第2シリンダヘッド(11”)の少なくとも1つのシリンダヘッドボルト(22”)とが、前記隣接するシリンダ(1’,11”)間に延出する少なくとも1つのエンジン横平面(2c)の領域に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項8】
前記シリンダヘッドボルト(20’,22”)の像は、前記エンジン縦平面(2a)上において平行投影で互いにオーバラップ又はカバーしている請求項7に記載の内燃機関(2)。
【請求項9】
各シリンダヘッドボルト(19’,20’,21’,23’;19”,20”,21”,22”)は、前記シリンダヘッド(11’,11”)の突起形状一体形成部分(25’,26’,27’,28’;25”,26”,27”,28”)に配置され、隣接配置されたシリンダヘッド(11’,11”)の一体形成部分(28”;26’)は、少なくとも1つのシリンダヘッド(11’,11”)の2つの隣接する一体形成部分(26’,27’;25”,28”)の間に位置している請求項1から8のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項10】
前記バルブパターンの捻じれ角度(α)は、35度〜50度である請求項1から9のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項11】
インレットバルブ対称面(171)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y1)、および/又は、アウトレットバルブ対称面(172)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y2)は、35度〜50度である請求項1から10のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項12】
前記インレットバルブ対称面(171)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y1)、および/又は、前記アウトレットバルブ対称面(172)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y2)は、前記バルブパターンの捻じれ角度(α)と同じである請求項11に記載の内燃機関(2)。
【請求項13】
前記ボルトパターンの捻じれ角度(β)は、15度〜30度である請求項4から6、及び、請求項2に直接的又は間接的に従属する7から12のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項14】
前記バルブパターンの捻じれ角度(α)は、45度である請求項10から13のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項15】
インレットバルブ対称面(171)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y1)、および/又は、アウトレットバルブ対称面(172)と前記エンジン縦平面(2a)との間の角度(Y2)は、45度である請求項11から14のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【請求項16】
インレットバルブ軸心(3a,4a)とインレット通路分離点(30)、および/又は、アウトレットバルブ軸心(5a,6a)とアウトレット通路接続点(31)との、シリンダヘッドシーリング面またはそれに平行な面への投影によって形成される三角形の表面積は、ボア面積の7%である請求項1から15のいずれか一項に記載の内燃機関(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各シリンダに対して複数のシリンダヘッドボルトを介してシリンダハウジングに接続された少なくとも1つのシリンダヘッドを備える少なくとも1つのシリンダを有する内燃機関に関し、各シリンダに対して2つのインレットバルブと2つのアウトレットバルブが設けられ、これらバルブはエンジン縦平面に対して捻じれバルブパターンを有し、1つのシリンダに対して割り当てられたすべてのシリンダヘッドボルトのボルト軸心同士は、前記シリンダ軸心に対して平行なシリンダヘッドボルト面を形成する。
【背景技術】
【0002】
捻じれバルブパターンを有するシリンダヘッドを有する内燃機関は、独国特許出願公開第2234642号明細書(特許文献1)、独国特許出願公開第3710453号明細書(特許文献2)又は独国特許出願公開第19735183号明細書(特許文献3)から知られている。
【0003】
高いシリンダ圧、例えば、約200bar、を有する内燃機関の場合、寿命と耐久性に関して様々な問題が生じる。特に、インレットバルブとアウトレットバルブをそれぞれ2つ備えるエンジンの場合、高い圧力負荷に耐えるためにはシリンダヘッド構造の剛性を可能な限り均一にしなければならない。特に、インレット通路とアウトレット通路の領域、とりわけ、それらの副通路の間の領域においては、必要な空間要件から支持作用が低くなることが起こり得る。前記通路内の渦の生成におけるフレキシビリティが、負荷に関するより高い要件から生じる限定された空間条件によって大幅に制限される。インレット通路とアウトレット通路の配置と、更に、シリンダヘッドボルトの位置とにより、通常、バルブ駆動構成が比較的複雑になる。
【0004】
又、シリンダヘッドにおけるウォータジャケットの設計においても不利が生じる。その理由は、冷却効果が良好なウォータジャケット、特に、シートリング間空間の最適な冷却、のために必要な水路断面又はコア厚みを実現することが困難となるからである。
【0005】
上述した問題に加えて、通常は4〜6個のシリンダヘッドボルトの配置も、考慮されるべき更なる限定要素となる。多くの場合、これによってシリンダの間隔或いはシリンダ周りのコンポーネントが大きくなる。これは、エンジン寸法をより短いものにしたいという要望の障害となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第2234642号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3710453号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19735183号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、これらの欠点を回避し、コンポーネントの配置における可能な限り大きなフレキシビリティを可能にする、バルブ駆動構成が単純なコンパクトで構造的に強固な内燃機関を容易に得ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に依れば、これは、シリンダに関連付けられたすべてのシリンダヘッドボルト面がエンジン縦平面と、当該エンジン縦平面に対して垂直なエンジン横平面との両方に対して傾斜している構成によって達成される。
【0009】
これによりシリンダヘッドボルト配置は、シリンダ軸心周りで捩じられたものとなる。例えば、シングル・シリンダヘッドおよび/又はそのシリンダヘッドが4本のシリンダヘッドボルトによって固定される単数又は複数のシリンダを備える内燃機関において本発明のバリエーションが実施される。
【0010】
前記エンジン縦平面は、内燃エンジンのクランク軸のクランク軸心とシリンダの少なくとも1つのシリンダ軸心とによって形成される。この場合、エンジン面とは、前記シリンダ軸心を通って、或いは、それに対して平行に、延出するエンジン縦平面上の垂直面を意味するものと理解される。
【0011】
この場合、前記バルブパターンは、シリンダの平面視における前記インレットバルブとアウトレットバルブの配置を意味する。捻じれバルブパターンとは、バルブ対称面がエンジン縦平面に対して0度ではない(又、90度、180度、270度でもない)捻じれ角度を有するバルブパターンを指し、ここで、前記バルブ対称面は、前記シリンダ軸心によって形成されるか、又は、前記シリンダ軸心に対して平行かつ前記両インレットバルブ間の距離の中心点と前記両アウトレットバルブ間の距離の中心点とを通る。本発明の一変形例において、前記バルブパターンの捻じれ角度αは、35度〜50度、好ましくは45度である。これによって、通路軌跡、バルブ駆動構成配置、更に、パッケージ化のための有利な構成を達成することが可能となる。この目的のために、別の変形例として、前記インレットバルブ軸心および前記シリンダ軸心に最も近いインレット通路分離点および/又はアウトレット軸心および前記シリンダ軸心に最も近いアウトレット通路接続点との、シリンダヘッドシーリング面又はそれに平行な面への投影によって形成される三角形の表面積がボア面積の5%〜15%、好ましくは7%である構成が提供される。特に、これによって、有利なシリンダヘッド剛性が得られる。
【0012】
前記ボルトパターンは、多角形、例えば、四角形、特に長方形又は正方形の形状とすることができる。好ましくは、少なくとも1つのシリンダの前記シリンダヘッドボルトの前記ボルトパターンは、前記シリンダ軸心に対して捻じれている。
【0013】
ここで、前記シリンダヘッドボルトのボルトパターンとは、シリンダの平面視における前記シリンダヘッドボルトのボルト軸心の配置であると理解される。ここに記載されるこのケースにおいて、前記ボルト軸心は、多角形のコーナーポイントに位置する。前記シリンダ軸心に対して捻じれたボルトパターンとは、ここでは、平面視において、シリンダの2つのシリンダヘッドボルトの、2つの隣接する、或いは、例えば、互いに対向するシリンダヘッドボルト(したがって、各シリンダヘッドボルト面は、関連するシリンダヘッドボルトのボルト軸心によって形成される)によって形成されるすべてのシリンダヘッドボルト面が、前記エンジン縦平面および/又は前記エンジン横平面、に対して傾斜又は捻じれているボルトパターンとして理解される。これは、シリンダヘッドボルトのボルトパターンが捻じれておらず、シリンダの少なくとも2つの隣接する、又は対向するシリンダヘッドボルトが、前記エンジン縦平面に対して平行な、又は、前記エンジン横平面に対して平行な、シリンダヘッドボルト面を形成している従来公知の構成と異なる。
【0014】
シリンダに関連付けられた各シリンダヘッドボルト面がモータの長手軸心とゼロでないボルト面角度を形成することによって、シリンダのコンポーネント、例えば、点火装置又は注入装置、の配置において高いフレキシビリティを達成することが可能であることが示された。前記ボルトパターンの前記捻じれ角度は、例えば、シリンダに割り当てられる最小のボルト面角度によって規定することができる。前記ボルトパターンの前記捻じれ角度を約5度〜45度、好ましくは、約15度〜30度、例えば23度とすることが特に有利である。
【0015】
本発明の別実施形態において、前記ボルトパターンの前記捻じれ角度と前記バルブパターンの前記捻じれ角度との絶対量が同じとなるように構成することができる。従来配置のシリンダヘッドボルトの捻じれの無いバルブパターンと比較して、前記インレットバルブおよびアウトレットバルブは、前記シリンダヘッドボルトの前記ボルトパターンとともに、前記シリンダ軸心周りで、同じ向き又は反対の向きで、同じ角度量だけ、捩じられて配置される。前記バルブパターンの捻じれ角度は、一方においては2つのインレットバルブ間に延出し、他方においては2つのアウトレットバルブ間に延出するバルブ対称面と、エンジン縦平面との間の角度として定義される。
【0016】
特に、シングル・シリンダヘッドとして構成された、2つの隣接するシリンダの少なくとも2つのシリンダヘッドにおける、コンパクトで空間節約的構造を可能にするために、互いに隣接するシリンダの、第1シリンダヘッドの少なくとも1つのシリンダヘッドボルトと、第2シリンダヘッドの少なくとも1つのシリンダヘッドとが、前記隣接する両シリンダ間に延出する少なくともエンジン横平面の領域に配置される。好ましくは、前記シリンダヘッドボルトの像が、前記エンジン縦平面上で平行投影で互いにオーバラップ又はカバーする。
【0017】
前記シリンダヘッドボルトは、特に、シングル・シリンダヘッドの場合、通常、シリンダヘッドの突起(ラグ:lug)形状一体形成部分の領域に、配置され、前記一体形成部分がシリンダヘッドの空間要件を増大させる。一体的に2つ形成された2つの部分の間において、前記シリンダヘッドは、全体として、小さな径方向延出を有する。隣接するシリンダのシリンダヘッドの一体形成部分が、シリンダの2つの隣接した一体形成部分間に位置するように構成することによって、必要な設置空間を大幅に縮小することができる。
【0018】
本発明の1つの変形例において、前記インレットバルブ対称面と前記エンジン縦平面との間の角度Y
1、および/又は、前記アウトレットバルブ対称面と前記エンジン縦平面との間の角度Y
2は、35度〜50度、好ましくは、45度である。本発明の更に別の変形例において、前記インレットバルブ対称面と前記エンジン縦平面との間の角度Y
1、および/又は、前記アウトレットバルブ対称面と前記エンジン縦平面との間の角度Y
2は、前記バルブパターンの捻じれ角度αと同じである。
【0019】
非限定的な図面を参照して本発明を以下更に詳細に説明する。これら図面は以下を概略図示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による内燃機関のシリンダヘッドの平面図を示す。
【
図2】このシリンダヘッドをバルブ作動装置とともに示す平面図を示す。
【
図3】2つのシリンダからなる本発明による内燃機関のエンジンベースの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
明瞭性の理由により、以下の実施形態および図面において、機能的に同じパーツは同じ参照番号を付されている。更に、略示されているシリンダヘッドは、その最も重要な特徴構成にまで省略されており、具体的には、シリンダヘッド外輪郭、インレットおよびアウトレット通路の輪郭、インレットバルブおよびアウトレットバルブ側のバルブ作動装置の要素が図示されている。
【0022】
図1は、本発明による内燃機関2のシリンダヘッド11の平面図を図示している。この図示されている解決構成は、約200bar又はそれ以上の内部シリンダ圧を有する内燃機関に特に有利である。各シリンダ1に対して2つのインレットバルブ3,4と2つのアウトレットバルブ5,6とが設けられている。前記インレットバルブ3,4およびアウトレットバルブ5,6の間の中心には、燃料注入装置又はインジェクタのための挿入開口部16が設けられている。前記挿入開口部16、又は、シリンダボア径を規定する円8の中央の像面に対して垂直にシリンダ軸心1aが延出している。
【0023】
前記インレットバルブ3,4は、共通のインレット通路7を通り、ここでこのインレット通路7は、前記シリンダ軸心1aの方向において、およそ、前記円8によって示されるシリンダボア直径の領域において、それぞれがインレットバルブ3へと通じるインレット副通路7a,7bへと分岐している。この場合、
図4にはインレット通路分離点30が図示されている。シリンダヘッドシーリング面(
図4中の紙面に対応する)、又は、同面に対して平行な面における前記通路の投影において、これは、シリンダ軸心1aに対して最も近い前記インレット副通路7a,7bの分離領域の点に関連する。ここで、前記分離領域とは、通路の断面形状によって、正確な分離点を形成することができない、ということを意味する。
図4は、更に、
図4の紙面に対して垂直に延出し、同時に、それぞれのバルブ開口部の中心を形成するインレットバルブ軸心3a,4aも図示している。
【0024】
アウトレット副通路9a,9bは、各アウトレットバルブ5,6から離間して延出し、これらアウトレット副通路は、前記シリンダ軸心1aから離間する方向において、延出するとともに、前記シリンダボア径の外側を統合して共通のアウトレット通路9を形成している。
図4は、アウトレット通路接続点31を図示しており、このケースにおいて、それは、前記シリンダ軸心1aに最も近い前記アウトレット副通路9a,8bの接続領域の点の周りの、シリンダヘッドシーリング面(
図4の紙面に対応する)またはそれに平行な面への前記通路の投影に関する。ここで接続領域という用語も、前記アウトレット副通路9a,9bの断面に関連する合流を考慮に入れたものである。
図4は、更に、
図4の紙面に対して垂直に延出するとともに、各バルブ開口部の中心を形成するアウトレットバルブ軸心5a,6aも図示している。
【0025】
前記インレット通路7とアウトレット通路9とは、インレットフランジ7c又はアウトレットフランジ9cへと延出している。
【0026】
1つの変形例(図示せず)において、更に、前記インレット副通路7a,7b又は前記アウトレット副通路9a,9bが合流されず、それぞれのインレット副フランジおよびアウトレット副フランジへと延出する構成も提供される。
【0027】
図2に図示されているように、前記バルブ3,4,5,6の作動は、これらインレットバルブ3,4とアウトレットバルブ5,6とを接続するとともに、バルブバネアセンブリ14と、ロッカーアーム軸心12に取り付けられたロッカーアーム構造13、即ち、インレットロッカーアーム13aとアウトレットロッカーアーム13bとによって、プッシュロッド15a,15bを介して作動させることが可能なバルブブリッジ10a,10bによる公知のタイプのバルブ駆動構造によって行われる。
【0028】
図示の実施形態において、捻じれバルブパターンが実現されている。これは、前記インレットバルブ3,4とアウトレットバルブ5,6、または、それらに関連する開口部の位置が前記シリンダ軸心1a周りで時計回り方向又は反時計回り方向に捻じれている、ということを意味する。バルブパターンは、前記バルブ対称面17が、前記エンジン縦平面(longitudinal plane)2aに対して捻じれ角度α<0を持つ捻じれバルブパターンとして示される。
【0029】
面は、前記両インレットバルブ3,4の間の距離の中心点17aと前記両アウトレットバルブ5,6間の距離の中心点17bとを介して前記像面又は前記像面と一致するシリンダヘッドシーリング面に対して垂直なバルブ対称面17として示される。
【0030】
前記バルブ対称面17が前記エンジン縦平面2aに対して平行に延出する従来のタンデム式バルブパターンと比較して、前記バルブ対称面17は、図示の実施形態では、前記エンジン縦平面2aに対して約35度−45度の角度αで傾斜している。前記インレット部分ダクト7a,7bとアウトレット部分ダクト9a,9bの支流部分は、前記シリンダボア径を表す前記円8内において、前記インレットバルブ3,4又はアウトレットバルブ5,6のバルブ対称面17に対して少なくともほぼ平行又は対称に延出している。
【0031】
前記インレットバルブ対称面171(
図4)は、前記像面に対して、又は、当該像面と一致するシリンダヘッドシーリング面に対して垂直に、かつ、両インレットバルブ3,4間の距離の中心点17aを通ってインレットバルブ軸心3a,4aの接続面(この接続面は前記2つのバルブ軸心を通って延出する)に対して垂直に延出している。前記インレットバルブ対称面171と前記エンジン縦平面2aとの間の前記角度Y
1は、15度〜85度、好ましくは、45度である。この好適変形例において、従って、それは、前記バルブ対称面17と前記エンジン縦平面2aとの間の前記角度αと同じである。
【0032】
前記アウトレットバルブ対称面172も、前記像面に対して、又は、当該像面と一致するシリンダヘッドシーリング面に対して垂直に、かつ、両アウトレットバルブ3,4間の距離の中心点17bを通ってアウトレットバルブ軸心5a,6aの接続面(この接続面は前記2つのバルブ軸心を通って延出する)に対して垂直に延出している。前記アウトレットバルブ対称面172と前記エンジン縦平面2aとの間の前記角度Y
2も同様に、15度〜85度、好ましくは、45度である。この好適変形例において、従って、それは、前記バルブ対称面17と前記エンジン縦平面2aとの間の前記角度αと同じである。
【0033】
従って、前記インレット副通路7a,7bおよび/又は前記アウトレット副通路9a,9bは、前記シリンダボア内で、前記バルブ対称面17又は、それぞれ、インレットバルブ対称面171又はアウトレットバルブ対称面172に対して平行又は対称に延出している。
【0034】
同時に、以下の条件が存在する場合、最適な流入によって、シリンダヘッドの良好な剛性と良好な充填条件とを実現することが可能となる。
【0035】
各インレットバルブ軸心3a,4aとインレット通路分離点30、および/又は、アウトレットバルブ軸心5a,6aとアウトレット通路接続点31の、前記シリンダヘッドシーリング面(
図4の紙面に対応)またはそれに平行な面への投影(projection)によって形成される三角形が、前記ボア面積の5〜15%、好ましくは、7%に対応する表面を有する。ここで、前記ボア面積とは、シリンダボア直径を規定する円8の面積である。この場合、インレットおよびアウトレット側に形成される前記三角形は、所定の限界内で同じ又は互いに異なる表面コンテンツ(contents)を有するものとすることができる。
【0036】
ボルト穴によってのみ示されている前記シリンダヘッドボルト19,20,21,22は、シリンダヘッド11のシリンダヘッド外輪郭23のコーナー点において、図示の例においては正方形である多角形状で、対応の突起(lug)形状一体形成部分25,26,27の領域に配置されている。図示されている4つのネジの代わりに、更に多くのネジを提供することも可能であり、前記多角形は、長方形、六角形、又はその他の多角形として設定することも可能である。
【0037】
本発明に依れば、実施形態においては四角形として設定されている前記シリンダヘッドボルト19,20,21,22のボルトパターンは、シリンダ軸心1a周りで捩じられている。この場合、前記ボルトパターンの捻じれは、反時計回りで捻じれ角β=23度、として形成されているが、原理的には、必要に応じて、15度〜30度の捻じれを実現することが可能である。
【0038】
本発明による前記捻じれボルトパターンにおいて、2つのそれぞれの、例えば、対向配置されたシリンダヘッドボルト19,20,21,21の軸心19a,20a,21a,22aによってすべて規定される、シリンダ1の2つのシリンダヘッドボルト19,20,21,22のシリンダヘッドボルト面24a,24b,24c,24d,24e,24fは、平面視で、前記エンジン縦平面2aおよび/又は、エンジン横平面(transverse plane)2bに対して、ボルト面角度だけ傾斜している。前記ボルトパターンの捻じれ角βは、少なくとも1つのシリンダヘッドボルト面24a,24b,24c,24d,24e,24fが、前記エンジン縦平面2a又は前記エンジン横平面2bに対して平行に形成される従来の捻じれ無しボルトパターンからの逸脱によって定義される。シリンダ軸心1aに対して点対称であるボルトパターンの場合、前記ボルトパターンの前記捻じれ角βは、シリンダ1に関連する最小のボルト面角度によって規定される。他のボルトパターンに関して有効な変形例においては、前記捩じれ角βは、前記シリンダ軸心1aに対して、互いに反対側で、そのそれぞれが前記エンジン縦平面2aに対して最も近い、2つのシリンダヘッドボルト間のボルト面角度によって規定される。
図1の例示において、このことによって、「左下」と「右上」とを常に
図1の例示におけるものとして、左下のシリンダヘッドボルト20と右上のシリンダヘッドボルト22とが影響を受けることなる。
【0039】
図5に図示される別の変形例においては、以下の関係が関連性を有する。
【0040】
均等に分布されたシリンダヘッドボルトパターンの場合、シリンダ軸心1aの中心点を有し、すべてのシリンダヘッドボルト19,20,21,22(又は、それらの軸心19a,20a,21a,22a)の中心点を通って延出する円に関して、シリンダヘッドボルト径32が得られる。このシリンダヘッドボルト径32は、シリンダヘッドの最適な強度のためには、前記シリンダボア直径33(すなわち前記円8の直径)の、60%〜95%、好ましくは、78%である。これにより、互いに直接的に離間するシリンダヘッドボルト間のシリンダヘッドボルト間隔34は、4つのシリンダヘッドボルト19,20,21,22を備える
図1および
図5の実施形態においては、前記シリンダボア直径33の100%〜120%、好ましくは111%、となる。6つのシリンダヘッドボルトを備える図示されないバージョンにおいては、互いに離間するボルト間の前記シリンダヘッドボルト間隔は、前記シリンダボア直径の70%〜90%、好ましくは78%、である。
【0041】
好適な実施形態において、バルブパターンとシリンダヘッドボルトは、シリンダ軸心1a周りで、同じ角度、又は、同じ絶対量であるが反対の方向に、捩じれている。
【0042】
そのコーナー部にシリンダヘッドボルト19,20,21,22が配置されている前記多角形の捻じれにより、多くの利点を実現することが可能である。従来技術において知られている解決構成と違って、前記インレット通路7、前記インレット副通路7a,7b又は前記アウトレット通路9および前記アウトレット副通路7a,7bのコースをよりフレキシブルに配置することが可能となる。他方、渦形成をより良好に適合させることできる。他方、副通路間のより広い間隔の分岐を設けることで、追加の材料をより大きな距離を置いて成形することが可能であるので、より高い強度のシリンダヘッド構造を実現することができる。更に、可能な限り最善の流入によってシリンダの最大充填を得られる。
【0043】
前記捻じれによって、通路コース、ここでは、特に、アウトレット通路9を、バルブ駆動構成の有効領域からシフトさせることが可能となり、その結果、より単純なバルブ駆動構成を使用することができる。最初に述べたタンデムバルブパターン等の標準的なバルブパターンと同様、直線状のロッカーアームを備える単一軸実施形態を使用することができる。
図6は、そのような実施形態を図示し、ここでは、インレットロッカーアーム13aとアウトレットロッカーアーム13bの長手軸心の角度が図示されている。インレットロッカーアーム長手軸心130aとエンジン縦平面2aとの間の角度δと、アウトレットロッカーアーム長手軸心130bとエンジン縦平面2aとの間の角度εは、それぞれ、65度〜115度、好ましくは80度である。これらの角度は同じものに形成することができるが、所定の範囲内において異なるものとすることも可能である。
【0044】
これによって、特に、カム軸(図示せず)が前記エンジン縦平面2aに対して平行に延出する場合に、バルブ駆動構成の位置決めをより良好にすることが可能となる。バルブ駆動構成の変速比又はレバーへ配置が好適になり、パッケージ化において有利となる。複雑で高価な傾斜レバー解決構成を無くすることが可能となる。
【0045】
前記シリンダヘッドボルト19,20,21,22の位置の捻じれと、よりフレキシブルな通路案内により、冷却ジャケットコアをより大きな壁厚で設計することが可能となり、それによってクーラントの質量流量が多くなりそれに対応して冷却が改善されるので、シリンダブロック内において冷却装置のためにより大きな空間が利用可能となる。この追加の空間を測定センサの配置のために利用することも可能である。
【0046】
更に別の利点が
図3に図示されている。ここでは、本発明による、内燃機関2の第1シリンダ1’と第2シリンダ1”と、更に、第1および第2シリンダヘッド11’,11”が図示されているが、他の隣接するシリンダも存在しうることは勿論である。前記シリンダヘッド11’,11”は、この例においてシングル・シリンダヘッドとして構成されている。
【0047】
この場合、隣接するシリンダ1’,1”の、前記第1シリンダヘッド11’のシリンダヘッドボルト20’と、第2シリンダヘッド11”のシリンダヘッドボルト22”とが、これら隣接するシリンダの間に延出するエンジン断面2cの領域において、シリンダヘッドボルト20’,22”の像が、前記エンジン縦平面2a上で平行投影で互いにオーバラップ又はカバーするように配置されている。
【0048】
シリンダヘッド11’,11”のシリンダヘッドボルト19’,20’,21’,23’;19”,20”,21”,22”が各シリンダ軸心1a’,1a”周りで捩じられるように配置されているので、隣接するシリンダ1’,1”を互いに引き寄せ移動させて、それによってエンジンベースの全長を短くすることができる。従来の配置と比較して、材料コストと重量が低減された、よりコンパクトな構成が得られる。
【0049】
前記バルブ対称面17が、前記エンジン縦平面2aに対して、35度〜50度、好ましくは45度の角度αで捩じられ、前記シリンダヘッドボルト多角形が、エンジン縦平面2aに対して15度〜35度、好ましくは25度の捻じれ角βで捻じれる場合、特に好適な実施形態が得られる。
【0050】
好適には、合流した通路支流とは別に、各インレットバルブ軸心3a,4aとインレット通路分離点30、および/又は、アウトレットバルブ軸心5a,6aとアウトレット通路接続点31との、前記シリンダヘッドシーリング面(
図4の紙面に対応)またはそれに平行な面への投影(projection)によって形成される三角形の面積コンテンツ(area content)は、前記ボア面積の5〜15%、好ましくは7%である。