特許第6688321号(P6688321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688321電子レンジ調理用のジャムミックス組成物、これを用いたジャムとその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688321
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】電子レンジ調理用のジャムミックス組成物、これを用いたジャムとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/10 20160101AFI20200421BHJP
【FI】
   A23L21/10
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-560453(P2017-560453)
(86)(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公表番号】特表2018-504933(P2018-504933A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】KR2016000757
(87)【国際公開番号】WO2016140436
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年8月9日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0030698
(32)【優先日】2015年3月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,テクボン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンボン
(72)【発明者】
【氏名】パク,スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョンギュ
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭38−016717(JP,B1)
【文献】 国際公開第2012/050099(WO,A1)
【文献】 特開平07−322835(JP,A)
【文献】 超簡単、レンジでグラパラジャム,https://cookpad.com/recipe/1861681,2012年 6月24日,検索日2018年6月18日
【文献】 レンジで簡単!リンゴジャム,https://cookpad.com/recipe/205857,2005年 7月 4日,検索日2018年6月18日
【文献】 レンジだけで!いちごジャム,https://cookpad.com/recipe/2126240,2013年 2月20日,検索日2018年6月18日
【文献】 いちごジャム☆オリーブオイル入り,https://cookpad.com/recipe/1768326,2012年 4月 6日,検索日2018年6月18日
【文献】 レンジで簡単、熟したキウイのジャム,https://cookpad.com/recipe/2874215,2014年11月 8日,検索日2018年6月18日
【文献】 レンジで簡単☆こく旨りんごバタージャム,https://cookpad.com/recipe/2226839,2013年 5月18日,検索日2018年6月18日
【文献】 レンジ調理☆簡単♪アップルジャム,https://cookpad.com/recipe/2154265,2013年 3月17日,検索日2018年6月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 21/00−21/25
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末形態の油脂類と、該油脂類を噴霧または噴射によりコーティングしているクエン酸とを含み、甘味料および増粘剤をさらに含む電子レンジ調理用のジャム(Jam)ミックス組成物。
【請求項2】
前記油脂類は、
植物性油脂、動物性油脂とこれを用いた硬化油、分別油、エステル交換油、粉末油脂、および乳化剤からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項3】
前記植物性油脂は粉末形態であることを特徴とする、請求項2に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項4】
前記甘味料は、砂糖、ブドウ糖、キシロース(xylose)、タガトース(tagatose)、プシコース(psicose)、飴類、糖シロップ、デキストリン(dextrin)、麦芽糖(maltose)、フラクトオリゴ糖(fructooligosaccharide)、イソマルトオリゴ糖(isomaltooligosaccharide)、マルトオリゴ糖(maltooligosaccharide)、キシロオリゴ糖(xylooligosaccharide)、およびキトオリゴ糖(chitooligosaccharide)からなる群より一つ以上選ばれる一般甘味料単独;または、前記一般甘味料、糖アルコール類、およびアスパルテーム(aspartame)、アセサルフェームK(acesulfame K)、サイクラミン酸ナトリウム(sodium cyclamate)、サッカリンナトリウム(sodium saccharin)、スクラロース(sucralose)、ステビア甘味料(stevia sweetener)、ズルチン(dulcin)、ソーマチン(thaumatin)、ネオテーム(neotame)、モネリン(monellin)、およびモンクフルーツ(Monk Fruit)からなる群より一つ以上選ばれる高甘味度甘味料からなる群より選ばれる二つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項5】
前記糖アルコール類は、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、ラクチトール(lactitol)、マルチトール(maltitol)、キシリトール(xylitol)、エリスリトール(erythritol)からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項6】
前記甘味料は、甘味料100重量部に対して、前記一般甘味料が50〜90重量部、前記糖アルコールが10〜50重量部で混合されたことを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項7】
前記甘味料は、甘味料100重量部に対して、前記一般甘味料が95〜99.992重量部、前記高甘味度甘味料が0.008〜5重量部で混合されたことを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項8】
前記甘味料は、甘味料100重量部に対して、前記一般甘味料が45〜89.992重量部、前記糖アルコールが10〜50重量部、前記高甘味度甘味料が0.008〜5重量部で混合されることを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項9】
前記増粘剤は、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、およびローカストビーンガムからなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項10】
前記組成物は、
甘味料82〜99.997重量%;
クエン酸0.01〜3重量%;
増粘剤0.01〜5重量%;および
油脂類0.01〜10重量%を含むことを特徴とする、請求項に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物。
【請求項11】
甘味料、増粘剤、および粉末形態の油脂類の混合物を製造するステップ;
及び、該混合物に液状クエン酸を噴霧または噴射しながら混合して前記混合物をコーティングするステップを含む、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法。
【請求項12】
前記液状クエン酸は、精製水に溶解して前記ジャムミックス組成物を基準に0.05〜5重量%で混合することを特徴とする、請求項11に記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法。
【請求項13】
果物または野菜を準備するステップ;
請求項1ないし請求項10のいずれか一つに記載の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造するステップ;
前記電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を前記果物または野菜に混合するステップ;
500〜1000Wの電子レンジで3〜20分間加熱するステップ;および
常温で冷却するステップ;を含む、ジャムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物、これを用いたジャムとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャム(Jam)は、果実に多くの砂糖を入れて煮たものであり、粘性が強く、高濃度の糖分が微生物の成長と発育を阻止し、長期間の保存が可能な食品の一つである。ジャムは、単独で摂取するより、トースト(Toast)やロール(Roll)などのパンに単独で、またはバターとともにつけて食べるのが一般的である。ジャムは、ヨーロッパの寒い地域で貴重な果物をより長く保存するための食品保存方法の一つであったが、最近では一つの食品として広く使用されている。
【0003】
一般的に、ジャムは貯蔵性が良い反面、調理時に煮こぼれる現象が頻繁に発生するため、人が絶え間ない注意を続けながら持続的に攪拌して、こぼれないように見守る必要があるという不便がある。また、果実ジャムは調理方法によって官能品質特性の差が大きく、一定の品質で調理するのが難しいということから、家庭でジャムを製造することは非常に面倒である。
【0004】
これらの問題を解決するため、砂糖などの糖類にゲル形成物性に寄与するペクチンのような増粘剤とクエン酸などを混合した家庭用のジャム・砂糖の組成物が発明されたが、これらも加熱によって内容物が煮こぼれるため、調理時に持続的に見守る必要があるという欠点がある。
【0005】
(特許文献1)韓国特許出願公開第2012−0097443号(2012.09.04.公開)
【0006】
(特許文献2)韓国登録特許第10−1355872号(2014.01.21.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を提供することで、家庭で果物や野菜の材料を利用してジャムを製造する時に、電子レンジを利用して容易かつ迅速に調理することができ、主材料である果物や野菜の形態と食感を維持して栄養素破壊を最小限に抑えた、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、粒子の大きさがそれぞれ異なる構成原料が組成物の全体にわたって均等に分布し、ジャム製造時において同一品質を実現できる、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様態において、油脂類を含む電子レンジ調理用のジャム(Jam)ミックス組成物が提供される。
【0010】
本発明の他の様態において、甘味料、増粘剤、および油脂類を混合するステップ;前記混合物に液状クエン酸を噴霧または噴射しながら混合して前記混合物をコーティングするステップ;前記コーティングされた混合物を乾燥するステップ;を備える、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の一様態において、本発明の様態による電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を用いて、ジャムを製造する方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、調理利便性の向上と製造時間の短縮がなされ、果物や野菜の新鮮さと咀嚼感を維持し、栄養素の破壊を最小限に抑えることができる、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、本発明の一様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を用いたジャムの製造方法の簡略な流れ図である。
【0014】
図2は、本発明の一様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を用いたイチゴジャムの製造工程と砂糖を用いた通常のイチゴジャムの製造工程を比較した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明についてより詳細に説明する。本明細書に記載のない内容は、本発明の技術分野または類似分野における熟練者であれば十分な認識と類推が可能であるため、その説明は省略する。
【0016】
本発明の一様態は、油脂類を含む電子レンジ調理用のジャム(Jam)ミックス組成物に関する。
【0017】
本発明では、油脂類を電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に含ませることで、ジャムの加熱調理過程で煮こぼれる問題を改善して調理利便性を向上させ、加熱耐性が向上されて柔らかな食感を与えるジャムを製造することができる、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物が提供される。
【0018】
具体的に、前記油脂類は、植物性油脂、動物性油脂とその硬化油、分別油、エステル交換油、粉末油脂、および乳化剤からなる群より選ばれる一つ以上を用いることができる。
【0019】
より具体的に、前記油脂類は、硬化植物性油脂であり、さらに具体的に粉末形態(脂肪含有量70〜98%)の硬化植物性粉末油脂であり得る。前記粉末形態の硬化植物性粉末油脂を使用する場合、微細な油脂粒子が食品中に分散されてゲルが網状構造になりやすいため、ジャムが柔らかくなって口中での溶解が容易になり、油脂の主要な効果である加熱調理時に生じる泡(foam)の発生を抑制する役割をする。
【0020】
前記油脂類は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に対して、0.01〜10重量%で含まれ得る。具体的には、0.01〜5重量%であり、より具体的に0.01〜1重量%で含まれ得る。前記範囲より少ない場合には、ジャムの加熱調理過程で煮こぼれる現象の効果的な防止ができなくなり、前記範囲より多い場合には、製造されたジャムの官能に影響を与えることとジャムの製造時間が長くなる恐れがある。
【0021】
本発明における電子レンジ調理用のジャムミックス組成物は、前記油脂類以外にも甘味料、クエン酸、および増粘剤をさらに含むことができる。
【0022】
本発明において用いられる甘味料は、一般甘味料を単独で、または一般甘味料と糖アルコール類および高甘味度甘味料からなる群より二つ以上を選択して使用することができる。
【0023】
前記一般甘味料は、製造されたジャムに特有の甘さを与えて消費者が願う官能を満たすことができ、強い粘性と高濃度の糖分により微生物の成長発育を阻止して長期間の保存が可能になる利点がある。
【0024】
具体的に、前記一般的な甘味料として、砂糖、ブドウ糖、キシロース(xylose)、タガトース(tagatose)、プシコース(psicose)、飴類、糖シロップ、デキストリン(dextrin)、麦芽糖(maltose)、フラクトオリゴ糖(fructooligosaccharide)、イソマルトオリゴ糖(isomaltooligosaccharide)、マルトオリゴ糖(maltooligosaccharide)、キシロオリゴ糖(xylooligosaccharide)、キトオリゴ糖(chitooligosaccharide)とこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0025】
前記糖アルコール類および高甘味度甘味料は、砂糖と同等の呈味性を示しながらも、低カロリーである長点がある。
【0026】
具体的に、前記糖アルコール類として、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、ラクチトール(lactitol)、マルチトール(maltitol)、キシリトール(xylitol)、エリスリトール(erythritol)とこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
また、前記高甘味度甘味料として、アスパルテーム(aspartame)、アセサルフェームK(acesulfame K)、サイクラミン酸ナトリウム(sodium cyclamate)、サッカリンナトリウム(sodium saccharin)、スクラロース(sucralose)、ステビア甘味料(stevia sweetener)、ズルチン(dulcin)、ソーマチン(thaumatin)、ネオテーム(neotame)、モネリン(monellin)、モンクフルーツ(Monk Fruit)とこれらの混合物を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されない。
【0028】
前記甘味料は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に対して82〜99.997重量%で含まれ得る。より具体的に、甘味料は、90〜99.997重量%、さらにより具体的に、95〜99.997重量%で含まれ得る。
【0029】
また、甘味料として一般甘味料と糖アルコールを混合する場合、総量の甘味料100重量部に対して、一般甘味料50〜90重量部と糖アルコール10〜50重量部で混合することができる。
【0030】
また、前記高甘味度甘味料は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に対して、0.008〜5重量%で含まれ得る。前記範囲で、前半における甘さの質と後半における甘さのバランスが優秀である。0.008重量%未満で含まれる場合には前半の甘さが足りず、5重量%を超過する範囲で含まれる場合には高甘味度甘味料の特有の苦味が出ることと後半の甘さが強すぎることで好ましくない。より具体的に、0.05〜1.5重量%で含まれ得る。
【0031】
例えば、甘味料として一般甘味料と高甘味度甘味料を混合する場合、総量の甘味料100重量部に対して、一般甘味料95〜99.992重量部と高甘味度甘味料0.008〜5重量部を混合することができ、一般甘味料、糖アルコール、および高甘味度甘味料のすべてを混合する場合、総量の甘味料100重量部に対して、それぞれ一般甘味料45〜89.992重量部、糖アルコール10〜50重量部、および高甘味度甘味料0.008〜5重量部を混合することができる。
【0032】
本発明で用いられるクエン酸は、ペクチンゲルの形成に最適pHであるpH2.8〜3.5を維持するために添加することができる。前記クエン酸は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に対して、0.01〜3重量%で含まれ得る。
【0033】
本発明で用いられる増粘剤は、ゼラチン(gelatin)、ペクチン(pectin)、グアーガム(guar gum)、キサンタンガム(xanthan gum)、カラギーナン(carrageenan)、メチルセルロース(methyl cellulose)、アルギン酸ナトリウム(sodium alginate)、およびローカストビーンガム(locust bean gum)からなる群より選ばれる一つ以上を使用することができるが、これらに限定されない。前記増粘剤は、ジャムの粘度を高め、物性を補う役割をする。具体的に、ゼラチンおよび/またはペクチンを使用することができ、より具体的に、ペクチンを使用することができる。
【0034】
前記増粘剤は、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物に対して0.01〜5重量%で含まれ得る。具体的に、0.01〜3重量%で含まれ得る。
【0035】
前記範囲を外れた場合、ジャムに要求される粘度を有せず、食材に塗布することが困難になる可能性があり、ジャムの物性を十分に補うことができない恐れがある。
【0036】
以下において、本発明における電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法に関して説明する。
【0037】
具体的に、本発明の一様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造するとき、各構成原料を混合コーティングして粒度均一性と分布度を強化した製造方法が提供される。
【0038】
本発明における電子レンジ調理用のジャムミックス組成物は、一般的に粉末形態で提供され得る。本発明におけるジャムミックス組成物の粉末原料を単純に混合して製造することもできるが、お互い異なる粒度の粉末原料を単純に混合した場合には、均一に混合されず製品の品質が低下し、消費者に不快感をもたらす恐れがある。
【0039】
その解決方法として、粒子のサイズが各々異なる構成原料のうち一部、例えば、甘味料、増粘剤、および油脂類を1次混合した後、クエン酸を溶解して噴霧または噴射コーティングを行うことができる。これにより、全体組成物における粒度の均一性が高まる長所がある。
【0040】
本発明における一様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造するにおいて、甘味料、増粘剤、および油脂類を混合するステップ、前記混合物に液状クエン酸を噴霧または噴射しながら混合して前記混合物をコーティングするステップ、前記コーティングされた混合物を乾燥するステップを備える、電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法が提供される。
【0041】
本発明における他の様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物の製造方法において、前記液状クエン酸は、精製水に溶解して前記ジャムミックス組成物を基準に0.05〜5重量%で混合することができる。
【0042】
より具体的には、ジャムミックス組成物に対して0.01〜3重量%で使用されるクエン酸を精製水に溶解して、全体組成物の総重量を基準として0.05〜5重量%となるように噴霧または噴射してコーティングすることができる。さらに具体的には、0.1〜1重量%となるように噴霧または噴射コーティングすることができる。
【0043】
また、前記乾燥工程は、前記組成物の総重量を基準として、水分含有量が約0.3重量%以下になるように行うことができる。
【0044】
本発明における他の様態は、本発明の一様態による電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を使用して製造されたジャムに関する。
【0045】
本発明におけるさらに他の様態は、本発明の一様態による電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を用いてジャムを製造する方法に関する。
【0046】
前記ジャムは、本発明の一様態に係る電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を果物と野菜などの原料に混合し、電子レンジで加熱処理した後に冷却してジャムを製造することができる。
【0047】
本発明の果物は、イチゴ、ブドウ、柿、オレンジ、リンゴ、チェリー、桃、スモモ、杏子、レモン、グレープフルーツ、イチジク、バナナ、キウイの中から選択された何れか一つ以上を用いることができるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の野菜は、ニンジン、カボチャ、パプリカ、タマネギ、セロリ、トマト、ブロッコリー、白菜の中から選択された何れか一つ以上を使用することができるが、これに限定されない。
【0049】
前記果物と野菜などは、単独または混合して使用することができる。
【0050】
前記果物と野菜が大きい場合は、大きさが3cm以下(それぞれ縦、横、幅)になるように切断したり、ミキサーで粉砕したりして使用した方が良い。果物と野菜の大きさが3cmを超えると、果物の食感を味わうことができなく、ジャムを製造するとき液状の果肉が分離層を形成して内容物が全体に均等に分布されず、品質に影響を与える恐れがあるためである。
【0051】
一方、イチゴ、ブドウ、チェリーなどの小さい果物は切断する必要がなく、そのまま使用することができる。
【0052】
果物などの原料に前記電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を混合する方法は特に限定されなく、一般的な方法が用いられる。非限定的な一例は、下記の通りである。
イチゴのヘタを取って水洗した後、イチゴの表面の水気を除去する。水気が除去されたイチゴ100重量%に対して、ジャムミックス組成物70〜100重量%をイチゴの表面に均一に塗布し、スプーンなどを利用して攪拌する。
【0053】
前記加熱処理および冷却条件は、個々の条件や環境によって異なる場合があるが、非限定的例として、加熱処理は500〜1000Wの電子レンジを利用して3〜20分間行うことができ、前記加熱処理された組成物を常温で冷却することで、本発明における一様態のジャムを製造することができる。
【0054】
以下、本発明を具体的な実施例によって詳細に説明する。実施例は本発明の例示的な説明であり、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されない。
【実施例】
【0055】
実施例1
砂糖(白雪、CJ第一製糖社)98.99重量%、増粘剤としてペクチン(Pectin、CPケルコ)0.90重量%、クエン酸(Citric acid、Jungbunzlauer社)0.01重量%、硬化植物性粉末油脂(脂肪70〜98%含有、松谷社)0.10重量%を単純混合して、実施例1の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造した。
【0056】
実施例2〜4
下表1に記載の含有量で、砂糖(白雪、CJ第一製糖社)、増粘剤としてペクチン(Pectin、CPケルコ社)、クエン酸(Citric acid、Jungbunzlauer社)と硬化植物性粉末油脂(脂肪70〜98%含有、松谷社)を混合する一方、砂糖、増粘剤、および粉末油脂を1次混合した後、クエン酸を溶解して噴射または噴霧コーティングし、クエン酸でコーティングされた混合物を乾燥して、実施例2〜4の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造した。
【0057】
実施例5
下表1に記載の含有量で、甘味料として砂糖(白雪、CJ第一製糖社)とエリスリトール(Erythritol、Zibo Zhongshi Green社)、増粘剤としてペクチン(Pectin、CPケルコ社)、クエン酸(Citric acid、Jungbunzlauer社)と硬化植物性粉末油脂(脂肪70〜98%含有、松谷社)を混合し、前記実施例2〜4と同様の方法で、実施例5の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造した。
【0058】
実施例6
下表1に記載の含有量で、甘味料として砂糖(白雪、CJ第一製糖社)とエリスリトール(Erythritol、Zibo Zhongshi Green社)とスクラロース(Sucralose、JK Sweet社);増粘剤としてペクチン(Pectin、CPケルコ社);クエン酸(Citric acid、Jungbunzlauer社)と硬化植物性粉末油脂(脂肪70〜98%含有、松谷社)を混合し、前記実施例2〜4と同様の方法で、実施例6の電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を製造した。
【0059】
前記実施例1〜6の組成と含有量を下表1に示した。
【表1】
【0060】
比較例1
砂糖(白雪、CJ第一製糖社)100重量%を比較例1で使用した。
【0061】
比較例2
従来ジャムの砂糖組成物(イチゴ専用シュガー、Dr.Oetker社)100重量%を比較例2で使用した。
【0062】
比較例3
砂糖(白雪、CJ第一製糖社)99.09重量%、増粘剤としてペクチン(Pectin、CPケルコ)0.90重量%、クエン酸(Citric acid、Jungbunzlauer社)0.01重量%を混合し、比較例3で使用した(油脂は含有せず)。
【0063】
実験例1:電子レンジ調理における便利性(煮こぼれる程度の比較)
ヘタを除去したイチゴ100重量%に、前記実施例1〜6と比較例1〜3をそれぞれ100重量%で塗布して混合物を製造した。
【0064】
煮こぼれる程度を測定するため、500mlのガラス容器に前記製造された混合物を350mlずつ入れて、700Wの電子レンジで加熱しながら煮こぼれる現象を観察し、その結果を下表2に示した。
【0065】
実験例2:電子レンジ調理時間を比較
ヘタを除去したイチゴ100重量%に、実施例1〜6と比較例1〜3をそれぞれ100重量%で塗布して混合物を製造し、700Wの電子レンジを利用して通常のイチゴジャムのような物性(5,100〜6,600cP)になるまでにかかる時間を比較した。その結果を下表2に示した。
【表2】
【0066】
前記表2に示すように、実施例1〜6は加熱調理の過程で煮こぼれる現象が発生しないで連続調理が可能であり、700Wの電子レンジで3〜20分でジャムを製造することが可能であった。一方、砂糖のみを使用した比較例1と他社の製品を使用した比較例2、油脂を含まない比較例3は煮こぼれる現象が発生し、連続調理が不可能であって調理時間も長くなった。
【0067】
実験例3:官能評価
前記実験例1と2における混合物のうち、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2を使用した混合物を、それぞれ粘度が約5,100〜6,600(cP)になるまで700Wの電子レンジを利用して加熱した後、常温で冷却してイチゴジャムを製造した。
【0068】
前記製造されたそれぞれのイチゴジャムを4℃で12時間保管した後、色、甘さ、酸味、粘度、咀嚼感と総合嗜好度について、5点尺度法で官能評価を行った。その結果を下表3に示した。
【表3】
【0069】
前記表3で、実施例1と2が比較例1および2に比べて全般的に、もっと優れた官能を示した。特に、咀嚼感において非常に優れた官能を示した。
【0070】
実験例4:ジャムミックスの製造と特性評価
実施例1と実施例2における電子レンジ調理用のジャムミックス組成物と、これに用いられた各構成原料の粒度を比較分析した。
【0071】
クエン酸コーティングステップを経由せず単純混合して製造した実施例1の組成物と、クエン酸コーティングステップを経て製造した実施例2のジャムミックス組成物の粒度を各構成原料(砂糖、ペクチン、粉末油脂、クエン酸)の粒度と比較することで、本発明の製造方法による粒度均一性の相乗効果を判断する資料として用いた。
【0072】
各組成物の粒度は粒度測定器(粒度標準体、清渓商工社)を使用して比較分析し、結果は下表4に示した。
【表4】
【0073】
前記表4から、噴霧/噴射コーティングによって製造した実施例2が、単純混合して製造した実施例1に比べて、組成物の粒度均一性が全般的に優秀であることが分かった。
【0074】
実施例1と実施例2における電子レンジ調理用のジャムミックス組成物を使用してジャム製造を繰り返し、その品質を比較分析した。
【0075】
ヘタを除去したイチゴ100重量%に、前記実施例1と実施例2におけるジャムミックス組成物をそれぞれ100重量%で塗布して混合物を製造し、700Wの電子レンジを利用してジャムを製造した。製造されたジャムのpH、流れ性を比較することにより、品質の再現性を繰り返し確認した。
【表5】
【0076】
前記表5から、噴霧/噴射コーティングによって製造した実施例2が、単純混合して製造した実施例1に比べて、品質の再現性が全般的に優秀であることが分かった。
図1
図2