特許第6688326号(P6688326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688326
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ソール構造およびそれを用いたシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/22 20060101AFI20200421BHJP
   A43B 13/18 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   A43B13/22 A
   A43B13/18
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-4771(P2018-4771)
(22)【出願日】2018年1月16日
(65)【公開番号】特開2019-122544(P2019-122544A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2018年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八幡 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】井内 一憲
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−060502(JP,A)
【文献】 特開平07−284403(JP,A)
【文献】 実開昭49−032848(JP,U)
【文献】 米国特許第03005272(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00−13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材からなるミッドソールと、該ミッドソールの下側に積層配置されたアウトソールと、を備えるシューズ用ソール構造であって、
前記アウトソールは、
前記アウトソールの下側に設けられた略平坦面状の基準面と、
前記基準面に下方に向かって突設され、前記基準面よりも下方に位置する突出面が形成されたスタッド部と、を有し、
前記ミッドソールの下部には、前記スタッド部の上側に対向する位置で前記ミッドソールの下面から凹陥したミッドソール側凹部と前記アウトソールの上部との間に囲まれたミッドソール側空隙部が設けられている、ソール構造。
【請求項2】
請求項1に記載のソール構造において、
前記スタッド部は、前記突出面の表面積が前記ミッドソール側凹部の開口面積よりも小さくなるように形成されている、ソール構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソール構造において、
前記スタッド部の上側には、前記アウトソールの上面から凹陥したアウトソール側凹部と前記ミッドソールの下部との間に囲まれたアウトソール側空隙部が設けられており、
前記スタッド部は、前記突出面に外力が作用したときに前記アウトソール側空隙部が圧縮変形して、前記突出面が前記基準面に向かって接近するように上下移動可能に構成されている、ソール構造。
【請求項4】
請求項3に記載のソール構造において、
前記ミッドソール側空隙部には、前記ミッドソール側凹部の底部から前記アウトソールに向かって下方に延びるミッドソール側リブ部が設けられており、
前記アウトソール側空隙部には、前記アウトソール側凹部の底部から前記ミッドソールに向かって上方に延びかつ前記ミッドソール側リブ部の下端部と当接するアウトソール側リブ部が設けられている、ソール構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のソール構造を備えた、シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソール構造およびそれを用いたシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツシューズのソール構造として、例えば特許文献1のようなソール構造が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ミッドソールの下側に積層配置されたアウトソールを備えたソール構造が開示されている。このアウトソールは、くつ底表面と、くつ底表面に下方に向かって突設されたスタッド部と、を有している。スタッド部の上側には、アウトソール上面から凹陥した凹部が形成されており、この凹部とミッドソールの下部との間に囲まれた空洞(空洞8)が設けられている。スタッド部は、下面に外力が作用したときに、上記空洞が上下方向に変形しかつ下面がくつ底表面と整列するように上下移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5797760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のソール構造では、スタッド部(特に凹部とミッドソールの下部との間に囲まれた空洞)が変形することによりクッション性が得られるようになっている。その一方、スタッド部の下面が路面に接地したときにスタッド部の下面と路面との間に摩耗が生じやすくなっている。しかしながら、スタッド部の上側にスタッド部の上下変形を促すための凹部が形成されていることから、スタッド部の厚みが自ずと制約されてしまい、スタッド部の肉厚を十分に確保することが困難となっていた。その結果、特許文献1のソール構造では、スタッド部に対する摩耗などの影響による経年劣化を抑制することができなかった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切なクッション性を保ちながら、摩耗などの経年劣化を抑制することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係るソール構造およびそれを用いたシューズでは、ミッドソールの構造に工夫を加えることにより、適切なクッション性を保ちながら、摩耗などの経年劣化を抑制することができるようにした。
【0008】
具体的に、本発明の第1の形態はソール構造に係るものであり、このソール構造は、弾性材からなるミッドソールと、ミッドソールの下側に積層配置されたアウトソールと、を備えている。アウトソールは、アウトソールの下側に設けられた略平坦面状の基準面と、基準面に下方に向かって突設され、基準面よりも下方に位置する突出面が形成されたスタッド部と、を有している。そして、ミッドソールの下部には、スタッド部の上側に対向する位置でミッドソールの下面から凹陥したミッドソール側凹部とアウトソールの上部との間に囲まれたミッドソール側空隙部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の形態では、ミッドソール側空隙部をスタッド部の真上に設けたことにより、接地時に路面から受ける反発力などの外力がスタッド部の突出面に作用すると、スタッド部がミッドソール側空隙部に向かって上下移動するようになる。これにより、ソール構造のクッション性が発揮されるようになる。そして、第1の形態では、スタッド部を上下移動させるための要素として、従来技術のようにスタッド部上側にアウトソール上面から凹陥した凹部を特に設けなくてもよい。このため、スタッド部の厚みが特に制約されず、各スタッド部の厚みを比較的大きくすることにより、スタッド部に対する摩耗などの影響による経年劣化を抑制することが可能となる。したがって、第1の形態では、適切なクッション性を保ちながら、摩耗などの経年劣化を抑制することができる。
【0010】
第2の形態は、第1の形態において、スタッド部は、突出面の表面積がミッドソール側凹部の開口面積よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の形態では、突出面に外力が作用したときに、突出面が基準面に接近して、突出面を含めたスタッド部の全体がミッドソール側空隙部内に入り込みやすくなる。このように、スタッド部の上下移動が促される結果、ソール構造のクッション性をより一層高めることができる。
【0012】
第3の形態は、第1または第2の形態において、スタッド部の上側には、アウトソールの上面から凹陥したアウトソール側凹部とミッドソールの下部との間に囲まれたアウトソール側空隙部が設けられており、スタッド部は、突出面に外力が作用したときにアウトソール側空隙部が圧縮変形して、突出面が基準面に向かって接近するように上下移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
第3の形態では、上記第1または第2の形態と比較して、アウトソール側空隙部の圧縮変形によりスタッド部の上下移動が促される結果、ソール構造のクッション性をより一層高めることができる。
【0014】
第4の形態は、第3の形態において、ミッドソール側空隙部には、ミッドソール側凹部の底部からアウトソールに向かって下方に延びるミッドソール側リブ部が設けられている。アウトソール側空隙部には、アウトソール側凹部の底部からミッドソールに向かって上方に延びかつミッドソール側リブ部の下端部と当接するアウトソール側リブ部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第4の形態では、ミッドソール側リブ部およびアウトソール側リブ部を設けることにより、ソール構造の製造時にアウトソールとミッドソールとの圧着工程でミッドソール側空隙部およびアウトソール側空隙部が不意に押し潰れされないようにその内部空間を維持することができる。
【0016】
第5の形態は、第1〜第4の形態のいずれか1つのソール構造を備える、シューズである。
【0017】
この第5の形態では、上記第1〜第4の形態と同様の作用効果を奏するシューズを得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によると、適切なクッション性を保ちながら、摩耗などの経年劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るソール構造の底面図である。
図2図2は、ソール構造を内甲側から見て示す側面図である。
図3図3は、図1のIII−III線断面図である。
図4図4は、図3のIV部を拡大して示す部分拡大断面図である。
図5図5は、図4に示したスタッド部の突出面に外力が作用したときの状態を示す図4相当図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係るソール構造のスタッド部を概略的に示す部分拡大底面図である。
図7図7は、図6のVII−VII線断面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係るソール構造の変形例としてスタッド部の断面構造を示す図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
[第1実施形態]
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係るソール構造1の全体を示しており、ソール構造1は、着用者の足裏面を支持するためのものである。このソール構造1にアッパー(図示せず)などが設けられたシューズは、例えばウォーキングシューズやランニングシューズ、インドア競技用シューズ、または土や芝生の上で行われる球技用シューズなどに適用可能なシューズとして使用される。
【0022】
ここで、ソール構造1は、左足用シューズのソール構造のみを例示している。右足用シューズのソール構造は、左足用シューズのものと左右対称になるように構成されているので、以下の説明では左足用シューズのソール構造のみについて説明し、右足用シューズのソール構造の説明は省略する。
【0023】
また、以下の説明において、上方(上側)および下方(下側)とはソール構造1の上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはソール構造1の前後方向の位置関係を表すものとする。
【0024】
図1および図2に示すように、ソール構造1は、前足部から後足部までの足裏面全体を支持するミッドソール2と、ミッドソール2の下側に積層配置されたアウトソール3,3,…とを備えている。
【0025】
ミッドソール2は、軟質の弾性材からなり、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが適している。
【0026】
ミッドソール2は、上下に分離されている。具体的に、ミッドソール2は、上部ミッドソール2aと、上部ミッドソール2aの下側に積層配置された下部ミッドソール2bとを有している。
【0027】
上部ミッドソール2aの上部には、足裏面を支持する足裏支持面2cが前後方向に延びるように形成されている。上部ミッドソール2aの周縁部には、着用者の足を覆うアッパー(図示せず)が設けられている。
【0028】
下部ミッドソール2bには、その下面から凹陥したミッドソール側凹部2d,2d,…が形成されている。各ミッドソール側凹部2dは、後述する各スタッド部12の上側に対向する位置に配置されている。各ミッドソール側凹部2dは、断面視で下部ミッドソール2bの下面から上方に向かって先細るように形成されている。そして、下部ミッドソール2bの下部には、ミッドソール側凹部2d,2d,…とアウトソール3の上部との間に囲まれたミッドソール側空隙部6,6,…が設けられている。
【0029】
上部および下部ミッドソール2a,2b間には、着用者の足の後足部に対応する位置に配設された補強プレート7が設けられている。補強プレート7は、上部および下部ミッドソール2a,2bよりも硬質な薄肉層からなり、凹凸が前後方向に繰り返された波形状に形成されている。なお、補強プレート7としては、上記波形状に形成されたものに限られず、例えば平板状に形成されたものであってもよい。
【0030】
次に、アウトソール3,3,…は、着用者の前足部から後足部に亘る範囲に設けられている。アウトソール3,3,…は、ミッドソール2よりも高硬度の硬質弾性部材で構成されており、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材が適している。
【0031】
図3に示すように、アウトソール3は、その下側に形成された略平坦面状の基準面4を有している。この基準面4は、着用者が走行中または歩行中にソール構造1が路面に接地するときの主な接地面となるように構成されている。
【0032】
アウトソール3の基準面4には、所定の突出高さを有する複数のスタッド部12,12,…が設けられている。スタッド部12,12,…は、主に着用者の足の前足部に対応する位置に配置されたアウトソール3に設けられている(図1参照)。
【0033】
各スタッド部12は、底面視で基準面4から下方に向かって略四角形状に突設されている。各スタッド部12は、例えばアウトソール3と同一の材料からなり、基準面4に対して上下移動可能となるようにアウトソール3と一体に形成されている。
【0034】
図3図5に示すように、各スタッド部12は、断面視で基準面4から下方に向かって先細るように形成されている。各スタッド部12の下部には、略平坦面状の突出面12aが設けられている。突出面12aは、底面視で略矩形状に形成されている(図1参照)。
【0035】
そして、ソール構造1を備えたシューズを着用した着用者が走行している場合において、各スタッド部12は、突出面12aが基準面4に向かって接近するように上下移動可能に構成されている。
【0036】
具体的に、図5に示すように、接地時に路面等から受ける反発力などの外力Fがスタッド部12の突出面12aに作用すると、スタッド部12の上部と連続しているアウトソール3の付け根部3a,3aがミッドソール側空隙部6の内部に向かって入り込むように弾性変形する。この付け根部3a,3aの弾性変形により、スタッド部12がミッドソール側空隙部6に向かって接近するようになる。さらに、突出面12aに外力Fが作用し続けると、スタッド部12の全体がその形状を維持しながらミッドソール側空隙部6の内部に収容された状態となる。この収容状態では、突出面12aが付け根部3a,3aを除くアウトソール3の基準面4と略面一となっている。
【0037】
このように、スタッド部12は、突出面12aに外力Fが作用したときにスタッド部12の上部がミッドソール側空隙部6に向かって接近しかつ突出面12aが基準面4に向かって接近するように上下移動可能に構成されている。
【0038】
一方、着用者の足が路面から離れると、外力Fが突出面12aに対して作用しなくなり、アウトソール3の付け根部3a,3aが元の状態に戻るようになる。これにより、スタッド部12は、ミッドソール側空隙部6の内部に収容された状態から脱して、突出面12aが付け根部3a,3aを除くアウトソール3の基準面4から離反するように元の位置(図4に示す位置)まで下方に移動する。
【0039】
(第1実施形態の作用効果)
以上のように、下部ミッドソール2b(ミッドソール2の下部)には、スタッド部12,12,…の上側に対向する位置で下部ミッドソール2bの下面から凹陥したミッドソール側凹部2d,2d,…と下部ミッドソール2bとの間に囲まれたミッドソール側空隙部6,6,…が設けられている。この各ミッドソール側空隙部6を各スタッド部12の真上に設けたことにより、接地時に路面等から受ける反発力などの外力Fが各スタッド部12の突出面12aに作用すると、各スタッド部12が各ミッドソール側空隙部6に向かって上下移動するようになる。これにより、ソール構造1のクッション性が発揮されるようになる。そして、ソール構造1では、各スタッド部12を上下移動させるための要素として、従来技術のように各スタッド部12の上側にアウトソール3上面から凹陥した凹部を特に設けなくてもよい。このため、各スタッド部12の厚みが特に制約されず、各スタッド部12の厚みを比較的大きくすることにより、各スタッド部12に対する摩耗などの影響による経年劣化を抑制することが可能となる。したがって、本発明の第1実施形態に係るソール構造1では、適切なクッション性を保ちながら、摩耗などの経年劣化を抑制することができる。
【0040】
また、各スタッド部12は、突出面12aの表面積が各ミッドソール側凹部2dの開口面積よりも小さくなるように形成されている。このため、突出面12aに外力Fが作用したときに、突出面12aが基準面4に接近して、突出面12aを含めた各スタッド部12の全体が各ミッドソール側空隙部6内に入り込みやすくなる。このように、各スタッド部12の上下移動が促される結果、ソール構造1のクッション性をより一層高めることができる。
【0041】
[第2実施形態]
図6および図7は、本発明の第2実施形態に係るソール構造1を示す。この実施形態では、第1実施形態と比較して、スタッド部12の構造が一部異なっている。なお、この実施形態に係るソール構造1の他の構成は、第1実施形態に係るソール構造1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図1図5と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、この実施形態に係るソール構造1において、各スタッド部12の突出面12aは、底面視で略台形状に形成されている。また、図7に示すように、各スタッド部12の上側には、アウトソール3の上面から凹陥したアウトソール側凹部13が形成されている。具体的に、アウトソール側凹部13は、突出面12aの真上に配置されていて、アウトソール側凹部13の開口部から底部に亘って先細るように形成されている。
【0043】
スタッド部12の上側(真上側)には、アウトソール側凹部13と下部ミッドソール2bとの間に囲まれたアウトソール側空隙部14が設けられている。スタッド部12は、突出面12aの表面積がアウトソール側凹部13の開口面積よりも小さくなるように形成されている。
【0044】
そして、この実施形態のスタッド部12は、突出面12aに外力が作用したときにアウトソール側空隙部14が圧縮変形して、突出面12aが基準面4に向かって接近するように上下移動可能に構成されている。このように、第2実施形態のスタッド部12では、上記第1実施形態と比較して、アウトソール側空隙部14の圧縮変形により上下移動が促される結果、ソール構造1のクッション性をより一層高めることができる。
【0045】
(第2実施形態の変形例)
図8に示すように、上記第2実施形態に係るソール構造1の変形例として、ミッドソール側空隙部6およびアウトソール側空隙部14の内部にミッドソール側リブ部21aおよびアウトソール側リブ部21bをそれぞれ設けた形態としてもよい。
【0046】
具体的に、ミッドソール側リブ部21aは、ミッドソール側凹部2dの底部と一体形成されていて、底部からアウトソール3に向かって下方に延びている。
【0047】
アウトソール側リブ部21bは、アウトソール側凹部13の底部と一体形成されていて、底部から下部ミッドソール2bに向かって上方に延びている。また、アウトソール側リブ部21bは、その上端部がミッドソール側リブ部21aの下端部と当接するように配置されている。
【0048】
このように、第2実施形態に係るソール構造1の変形例では、ミッドソール側リブ部21aおよびアウトソール側リブ部21bを設けることにより、ソール構造1の製造時にアウトソール3と下部ミッドソール2b(ミッドソール2)との圧着工程でミッドソール側空隙部6およびアウトソール側空隙部14が不意に押し潰れされないようにその内部空間を維持することができる。
【0049】
なお、製造後のソール構造1において、ミッドソール側リブ部21aおよびアウトソール側リブ部21bは、突出面12aに外力Fが作用したときに変形可能となっている。このため、各リブ部21a,21bによりアウトソール側空隙部14の圧縮変形が阻害されることはない。
【0050】
[その他の実施形態]
上記各実施形態に係るソール構造1では、スタッド部12の突出面12aが底面視で略矩形状に形成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、突出面12aは、底面視で円形状または三角形状に形成されていてもよい。
【0051】
また、上記各実施形態に係るソール構造1では、ミッドソール側凹部2dの開口部から底部に亘って先細るような形状に形成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、ミッドソール側凹部2dを、その開口部から底部に亘って略ドーム状に湾曲形成してもよい。なお、上記第2実施形態で示したアウトソール側凹部13についても、これと同様である。
【0052】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えばウォーキングシューズやランニングシューズ、インドア競技用シューズ、または土や芝生の上で行われる球技用シューズなどに適用されるシューズとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:ソール構造
2:ミッドソール
2d:ミッドソール側凹部
3:アウトソール
4:基準面
6:ミッドソール側空隙部
12:スタッド部
12a:突出面
13:アウトソール側凹部
14:アウトソール側空隙部
21a:ミッドソール側リブ部
21b:アウトソール側リブ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8