(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688354
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ダブルヘッドドリリング装置及び孔作成方法
(51)【国際特許分類】
E21B 3/02 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
E21B3/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-170324(P2018-170324)
(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公開番号】特開2019-56293(P2019-56293A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年10月17日
(31)【優先権主張番号】17191865.9
(32)【優先日】2017年9月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514066712
【氏名又は名称】ユーロドリル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】EURODRILL GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ピコウスキィ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス メルツホイザー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック ウーホフ
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0164044(US,A1)
【文献】
特開平07−324326(JP,A)
【文献】
特開2011−231467(JP,A)
【文献】
特開平08−068289(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0068490(US,A1)
【文献】
特開平06−221075(JP,A)
【文献】
実開平06−079897(JP,U)
【文献】
特開平03−125785(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/146490(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102015001720(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007012055(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102006023505(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−19/24
E21B 44/00−44/10
E02D 3/12
E02D 7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外パイプと、その外パイプ内の少なくとも諸部分内で運動し、中心軸がドリリング軸に一致するよう配置された内ロッドと、を有するドリルロッド用のダブルヘッドドリリング装置であって、
内ロッドを回動様式にて駆動する第1駆動ユニットと、
外パイプを回動様式にて駆動する第2駆動ユニットと、
を有し、
ダブルヘッドドリリング装置は、共通のキャリッジ上に配置され、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットと共にマストに沿って直線移動され得て、
内ロッドの可解放クランピング用に第1クランピングヘッド及び第2クランピングヘッドが第1駆動ユニット上に設けられており、
第1クランピングヘッドは、クランプ状態では、ドリリング軸方向において内ロッドが第1クランピンヘッドに対して相対移動しないように、かつ内ロッドのドリリング軸周りの回動は可能に内ロッドを保持するよう構成され、第2クランピングヘッドは、クランプ状態では、ドリリング軸方向において内ロッドが第2クランピングヘッドに対して相対移動しないように、かつ内ロッドによって回動されないように内ロッドを保持してトルク伝達を生じ得ないよう構成され、
第1クランピングヘッドと第2クランピングヘッドがドリリング軸方向において相対的に移動可能に第1駆動ユニットに支持されている、
ダブルヘッドドリリング装置。
【請求項2】
請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置であって、
上記2個のクランピングヘッドを相互独立に作動させ内ロッドを交互にクランプすることが可能なダブルヘッドドリリング装置。
【請求項3】
請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置であって、
第1クランピングヘッドが第1駆動ユニット上に固定されており、
第2クランピングヘッドが第1駆動ユニットに対しドリリング軸方向に沿って移動可能に支持されているダブルヘッドドリリング装置。
【請求項4】
請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置であって、
第2クランピングヘッドの移動用に少なくとも1個の変位シリンダが設けられているダブルヘッドドリリング装置。
【請求項5】
請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置であって、
少なくとも1個のリニアガイドが設けられており、それに沿い第2クランピングヘッドが案内されるダブルヘッドドリリング装置。
【請求項6】
請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置であって、
第2クランピングヘッドが内ロッド用通行開口付の環状構成であり、その第2クランピングヘッドにより内ロッドを第1駆動ユニット内へと段階的に動かすこと又は第2駆動ユニット外へと動かすことが可能なダブルヘッドドリリング装置。
【請求項7】
上記マストを有するキャリア手段を有し、請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置が設けられているドリリング機。
【請求項8】
孔作成方法であり、外パイプと、その外パイプ内の少なくとも諸部分内で運動する内ロッドと、を有するドリルロッドを、請求項1記載のダブルヘッドドリリング装置により回動及び軸方向移動させる方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
内ロッドの変位に備えその内ロッドを第2クランピングヘッドによりクランピングし、
第1クランピングヘッドを内ロッドから解放し、
第2クランピングヘッドをクランピングされている内ロッドと共にクランピング軸方向において移動させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の如く、外パイプと、その外パイプ内の少なくとも諸部分内で運動する内ロッドと、を有するドリルロッド用のダブルヘッドドリリング(掘削)装置であって、内ロッドを回動様式にて駆動する第1駆動ユニットと、外パイプを回動様式にて駆動する第2駆動ユニットと、を有するものに関する。
【0002】
本発明は、更に、請求項11の如く、外パイプと、その外パイプ内の少なくとも諸部分内で運動する内ロッドと、を有するドリルロッドを、ダブルヘッドドリリング装置により回動及び軸方向移動させる孔作成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的なドリリング装置が特許文献1により知らしめられている。この既知なドリリング装置は外パイプ駆動用の第1駆動ユニットを有している。その第1駆動ユニットは環状の構成であり、内ロッドがその第1駆動ユニットを縦貫して第2駆動ユニットに達しており、その第2駆動ユニットにより内ロッドが回動様式にて駆動されている。位置決めシリンダにより、後部の第2駆動ユニットを前部の第1駆動ユニットに対し軸方向に動かすことができ、ひいては内ロッドを外パイプに対し軸方向調整することができる。その軸方向調整は位置決めシリンダのストローク長による制約を受けている。
【0004】
外パイプ及び内ロッドを有するドリルロッド用のロータリ駆動装置を特許文献2から読み取ることができる。このロータリ駆動装置においては、外ロッド用ロータリ駆動ユニット及び内ロッド用ロータリ駆動ユニットが軸方向固定様式にて相互配置されている。内ロッドは両駆動ユニットを縦貫しており、その後端が終端ベアリングハウジング内で支持されている。位置決めシリンダにより、その後部ベアリングハウジングひいては内ロッドを軸方向に動かすこと、ひいては外パイプに対し調整することができる。この装置でも、内ロッドの軸方向可調性が位置決めシリンダのストローク長による制約を受けている。
【0005】
特許文献3により錐付のドリリング機が知らしめられている。その錐は単一のドリルドライブを縦貫する延長ロッド上に固定されており、その延長ロッドが、そのドリルドライブからドリリングツールへのトルク伝達用に構成されている。
【0006】
特許文献4からはダブルヘッドドリリング用駆動ユニット、特にドリルロッドの外パイプ・内パイプ間角度位置を調整手段により設定できるものを読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国登録特許第10 2006 059 171号明細書(B3)
【特許文献2】欧州特許出願公開第1936109号明細書(A1)
【特許文献3】欧州登録特許第2295645号明細書(B1)
【特許文献4】欧州登録特許第2236734号明細書(B1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ダブルヘッドドリリングにおいては、外パイプに対する内ロッドの軸方向相対調整が幾つかのケースで有益であることが、明らかになっている。例えば砂地盤や不安定地盤の場合、ボーリング孔(掘削孔)を支えるには、内ドリリングツール付の内ロッドに対し外パイプを先行させることが得策であろう。とはいえ、他の場合には、内ドリリングツール付の内ロッドを初期的に外ドリルパイプに対し先行させることが、意味をなすこともあろう。特に層状構造地盤の場合には、ボーリング孔を上部領域内ではドリルパイプにより支持することが必要になりうる反面、より安定性の高い深部地盤層では内ドリリングツール付の内ロッドのみによるドリリングのみで十分となりうる。
【0009】
本発明は、ひときわ高いダブルヘッドドリリング時適用万能性に到達しうるダブルヘッドドリリング装置及びそれに関連するドリル方法を提供する、という目的を基礎に置いている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的が、請求項1の特徴を有するダブルヘッドドリリング装置により、また請求項11の特徴を有する孔作成方法により達成される。
【0011】
本発明の好適な諸実施形態については個々の従属形式請求項に記述されている。
【0012】
本発明に係るダブルヘッドドリリング装置の特徴は、内ロッドの可解放クランピング(締付)用に第1クランピングヘッド及び第2クランピングヘッドが設けられていること、並びにそれら2個のクランピングヘッドが軸方向可変位様式にて相互支持されていることにある。
【0013】
本発明の基本着想は、ダブルヘッドドリリング装置にて内ロッドの可解放クランピングが行われる点に見いだすことができる。そのため、第1クランピングヘッド及び第2クランピングヘッドが設けられ、それらが軸方向可変位様式にて相互支持されている。軸方向可変位様式にて支持された少なくとも1個のクランピングヘッドにより軸方向変位を引き起こすことができ、また2個のクランピングヘッドが配置されているためそれを反復的又は段階的に実行することができる。従って、ダブルヘッドドリリング装置上の構築空間が制約されている場合でさえも、外パイプに対する内ロッドの軸方向調整を概ね全て実行することができる。特に、2個の環状駆動ユニットを縦貫し駆動装置から後部へと数メートル以上も突出する内ロッドの使用が可能である。原理的には、内ロッドの端部に付加的な延長部材を取り付けることにより、本発明に係るダブルヘッドドリリング装置にて、通常はドリルパイプたる外パイプに対する、内ロッド及びそれに取り付けられている内ドリリングツールの、ほぼ全ての軸方向運動を行えるようにすることさえ可能である。
【0014】
本発明のある好適実施形態は、それら2個のクランピングヘッドを相互独立に作動させ内ロッドを交互にクランピングすることが可能な点に所在している。交互作動を通じ、確とまた常に、軸方向に沿い内ロッドを固定することができる。これにより、縦又は傾斜ボーリング孔への内ロッドの導入中又はそこからの引出中の内ロッド脱落が防止される。特に、第2クランピングヘッドが停止位置に到達し終えてから内ロッドが第1クランピングヘッドによりクランピングされ始動位置にリセットされる。
【0015】
本発明の更なる発展形態によれば、有益なことに、第1クランピングヘッドが第1駆動ユニット上に堅固配置され、且つ第2クランピングヘッドが第1駆動ユニットに対し軸方向可変位様式にて支持される。この第1クランピングヘッドにより第1駆動ユニット・内ロッド間トルク伝達性連結を形成することができる。その駆動ユニットは、好ましくも、対応するギアトランスミッションを伴う液圧ドライブにより構成することができる。内ロッドが回動様式にて駆動されるときには、第1クランピングヘッドがトルクプルーフ様式にて内ロッドに連結される一方、第2クランピングヘッドが内ロッドから解放される。これに対し、変位動作では、第1クランピングヘッドが内ロッドから解放される一方、第2クランピングヘッドがフォースロックド様式にて内ロッドに連結されるので、その第2クランピングヘッドを内ロッドと共に軸方向変位させることができる。
【0016】
本発明の更なる発展形態によれば、ひときわ好都合なことに、第2クランピングヘッドの変位用に少なくとも1個の変位シリンダが設けられる。望みなら2個以上のシリンダを設ける。このシリンダはとりわけ液圧的に作動させるとよい。
【0017】
本発明のもう一つの好適実施形態は、少なくとも1個のリニアガイドが設けられ、それに沿い第2クランピングヘッドが案内される点に所在している。このリニアガイドは、後方にある第1駆動ユニットから、内ロッドの軸に対し平行な後尾方向に沿い延ばすことができる。このリニアガイドは、可変位な第2クランピングヘッドの保持及び/又は抗ツイスト保護に役立つ。
【0018】
本発明のある実施形態変種によれば、特に有益なことに、クランプ状態では内ロッドを軸方向固定且つ可回動な様式にて保持し第1駆動ユニットからのトルクのトルク伝達に備えるよう、第2クランピングヘッドが構成される。トルク伝達に備え第1クランピングヘッドにより内ロッドがクランピングされる。そして、この状態で第2クランピングヘッドを内ロッドから解放することができる。
【0019】
更に有益なことに、クランプ状態では内ロッドを軸方向固定且つトルクプルーフな様式にて保持するよう第2クランピングヘッドが構成される。第2クランピングヘッドが内ロッドをクランピングしているときにはトルク伝達が生じ得ない。第2クランピングヘッド及びクランピングされている内ロッドの変位に備え、第1クランピングヘッドが内ロッドから解放されるので、好ましくも変位シリンダにより、第2クランピングヘッドを軸方向に変位させることができる。
【0020】
基本的には、クランピングヘッドは、内ロッドとのフォースロックド及び/又はフォームフィッティング連結を確立するのに適するものなら、どのような手法でも構成することができる。本発明のある実施形態変種によれば、ひときわ好都合なことに、第1クランピングヘッド及び/又は第2クランピングヘッドが、内ロッドのフォースロックドクランピング用の少なくとも1個のクランピングシリンダを有するものとされる。このクランピング又はチャッキングシリンダは、具体的には、内ロッドを横断する向きを有し、或いはチャッキングウェッジ又はチャッキングコーンを有する。望みなら、2個以上のクランピングシリンダを単一のクランピングヘッド上に配置することもできる。
【0021】
本発明の更なる発展形態によれば、ひときわ有益なことに、第2クランピングヘッドが内ロッド用通行開口付の環状構成、特にその第2クランピングヘッドにより内ロッドを好ましくも第1駆動ユニット内や第2駆動ユニット外へと動かせる構成とされる。この構成では、後尾方向に最高8m以上も内ロッドで環状の第2クランピングヘッドを縦貫させることができる。特に、内ロッド上に先行ドリリングツール例えばドリル錐があるときには、そのドリリングツールを最高数メートル程も外ロッドに先行させることができる。クランピングヘッドを縦貫する内ロッドは、好ましくは、その外側にトルク伝達用のドライブキーがあるいわゆるケリーロッドとして構成される。トルク伝達に備え、それらのドライブキーを環状駆動ユニット上の対応するキーと可作動連結させることができる。
【0022】
本発明に係るダブルヘッドドリリング装置は、ダブルヘッドドリリング向けだけでなく他のドリリング方法向け、例えば重畳ドリリング(superimposition drilling)向けにも採用することができる。
【0023】
本発明によれば、更に、キャリア手段と、それに沿いダブルヘッドドリリング装置が可変位様式にて案内されるマスト又はマウントと、を有し、そのダブルヘッドドリリング装置が前述の如く本発明に従い構成されたドリリング機が構成される。とりわけ、このドリリング機を用い地中にボアパイル(埋込杭)を設けることができる。ドリリング機のキャリア手段は、通常、ほぼ鉛直方向を向いたマストを有し、それに沿いダブルヘッドドリリング装置が鉛直方向可変位様式にて案内されるようになっている。更に、本発明に係るダブルヘッドドリリング装置は、いわゆるアンカードリリング機等で用いられている空間可調マウント上で採用することもできる。
【0024】
更に、本発明によれば、外パイプと、その外パイプ内の少なくとも諸部分内で運動する内ロッドと、を有するドリルロッドを、前述の如きダブルヘッドドリリング装置により回動及び軸方向移動させる孔作成方法が構成される。本発明に係る方法により、前述の効果を実現することができる。
【0025】
本発明に係る方法のある好適実施形態は、内ロッドの変位に備えその内ロッドが第2クランピングヘッドによりクランピングされ、第1クランピングヘッドが内ロッドから解放され、そして第2クランピングヘッドとクランピングされている内ロッドとを軸方向変位させる点に所在している。このようにすることで、内ロッドの安全で段階的な変位が第2クランピングヘッドにより可能となるので、第2クランピングヘッドが内ロッドから再解放され爾後の変位工程に備え停止位置から始動位置に戻される際に、第1クランピングヘッドにより脱落保護を確立することができる。
【0026】
内ロッドを回動様式にて駆動するため、その内ロッドが第1クランピングヘッドで以てクランピングされる。第1クランピングヘッドのクランピング後に第2クランピングヘッドが内ロッドから解放される。その後は、第1駆動ユニットにより、別体のトルク駆動手段を介し又はクランピングヘッドを介し直に、トルクを内ロッドに作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るダブルヘッドドリリング装置10の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明について、図面中に模式的に描かれている好適実施形態により更に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係るダブルヘッドドリリング装置10の側面図である。これはキャリッジ40を有しており、それにより、ダブルヘッドドリリング装置10を、図示されていないドリリング機のマストに沿い直線的に動かすことができる。本発明に係るダブルヘッドドリリング装置は第1駆動ユニット12及び第2駆動ユニット14を備えている。第2駆動ユニット14は環状の駆動フランジ16を有する構成であり、そこにはカルダン式スイベル継ぎ手18が取り付けられている。そのスイベル継ぎ手18上には外パイプ、別称ドリルパイプが固定されているが、明瞭化のため描かれていない。この第2駆動ユニット14により、図示されていない外パイプを回動様式にて駆動し、地中に送り込むことができる。
【0030】
第1駆動ユニット12は円筒状の内ロッド50を駆動しうる構成である。その内ロッド50は、環状の駆動ユニット12,14を有するダブルヘッドドリリング装置10を縦貫している。図示されている内ロッド50の前端上には多角形連結ピース52が配置されており、その上にはドリリングツール、例えばドリリング錐又はドリリングバケットを可解放固定することができる。内ロッド50は内部ダクトを有するパイプ状の構成とすることができ、設けられたボーリング孔内にその内部ダクトを介し例えばコンクリートその他の硬化材を導入することができる。
【0031】
これら2個の駆動ユニット12,14は、内ロッド50又は外パイプへのトルク伝達用に環状の駆動輪を有している。そのトルクは後尾配置された液圧モータ20により生成され、そこからギア式伝達手段21を介し2個の駆動ユニット12,14の駆動輪へとトルクが伝達される。それら2個の駆動ユニット12,14は少なくとも1本の連結バー38により堅固に相互連結されている。これに代え、それら2個の駆動ユニット12,14を、軸方向位置決めシリンダにより軸方向に相互可動としてもよい。
【0032】
外パイプに対する内ロッド50の軸方向移動用に、環状の第1クランピングヘッド22が第1駆動ユニット12の後端に配置されている。クランプ状態においては、この第1クランピングヘッド22により内ロッド50を保持することで、その内ロッド50を、軸方向には固定だがドリリング軸11周りでは可回動とすることができる。更に、それに対し軸方向に間隔を置き第2クランピングヘッド24が配置されており、それにより内ロッド50を軸方向固定且つトルクプルーフな様式にてクランピングすることができる。第2クランピングヘッド24は環状とするのが望ましいが、他の構成とすることもできる。
【0033】
第2クランピングヘッド24がクランピングされ第1クランピングヘッド22が解放されているときには、その第2クランピングヘッド24を、クランピングされている内ロッド50と共に、変位シリンダ30により始動位置・停止位置間で軸方向変位させることができる。その際、第2クランピングヘッド24は、ガイドシュー35によりバー状リニアガイド34に沿いトルクプルーフ様式にて案内される。
【0034】
即ち、第2クランピングヘッド24と共に、内ロッド50を、変位シリンダ30のストロークに従い軸方向変位させることができる。その後は、第2クランピングヘッド24を再解放し始動位置に戻すことができる。この返戻運動プロセス中は、内ロッド50を、第1クランピングヘッド22によりクランピングしその場に固定することができる。次いで、第2クランピングヘッド24による更新クランピングを実行し、第1クランピングヘッド22を内ロッド50から再解放することができる。その後は、変位工程を、変位シリンダ30を伴う第2クランピングヘッド24により再実行することができる。
【0035】
このように、概ねどのような長さの内ロッド50でも、両駆動ユニット12,14及び両クランピングヘッド22,24を縦貫させ、ダブルヘッドドリリングに用いることができる。外パイプに対する内ロッド50の段階的変位の反復を通じ、外パイプの下端に対し概ねどのような長さでもドリリングツールを先行させることができる。