(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1234yfの少なくとも一部が、245cb及び1234yfの生成物流を含む前記組成物から除去され、前記得られた組成物が、前記第2の組成物として前記脱フッ化水素化反応器に供給される、請求項1に記載のプロセス。
前記精製工程(c)における前記スクラビングトレインが、順番に、バルク酸除去工程、微量の酸除去工程、及び1つ以上の乾燥工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
前記脱塩化水素化反応が、HFの存在下で行われ、前記HFの少なくとも一部が、工程(c)からリサイクルされる、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0008】
精製工程(c)は、1つ以上の精製工程を含み得る。任意の好適な精製方法を使用してもよい。好適な精製方法は、限定されないが、蒸留、相分離、吸着、例えば、モレキュラーシーブ、及び/または活性炭素の使用、ならびにスクラビングを含む。精製工程(c)は、1つ以上の蒸留工程及び/または1つ以上のスクラビングトレイン及び/または1つ以上の相分離工程及び/または1つ以上の吸着工程、例えば、モレキュラーシーブ、及び/または活性炭素の使用を含み得る。
【0009】
一態様では、精製工程(c)は、1つ以上の蒸留工程及び1つ以上のスクラビング工程を含み得る。
【0010】
一例として、精製工程(c)は、1つ以上の蒸留工程と、その後の1つ以上のスクラビング工程と、その後の1つ以上の蒸留工程とを含み得る。
【0011】
例えば、精製工程(c)が蒸留後のスクラビングを含む場合、蒸留塔から取り出された軽質留分は、スクラビングトレインを通過し得る。
【0012】
スクラビング技術は、当該技術分野で知られている。典型的には、スクラビングは、フッ化水素、塩化水素、または水などの無機不純物を除去する。任意の好適なスクラビング技術、例えば水によるスクラビング、または酸流への吸収などが使用され得る。スクラビングが水性媒体を使用する場合、スクラビングトレインの最終段階は、好ましくは、乾燥工程、例えば、濃硫酸と接触させること、またはモレキュラーシーブでの乾燥を含む。
【0013】
精製工程(c)の間に除去される不純物、副産物及び未使用の出発物質は、将来の使用のために精製及び貯蔵されてもよく、または本発明のプロセスにリサイクルされてもよい。例えば、精製工程(c)の間に除去されたHFは、反応工程(a)での使用のためにリサイクルされ得る。必要に応じて、HFをリサイクルする前にHFを精製してもよい。任意の好適な方法を使用して、HFを精製し得る。好適な方法の例は、相分離である。
【0014】
精製工程(c)で得られた245cb及び1234yfの生成物流を含む組成物は、第2の組成物として脱フッ化水素化反応器に供給され得る。
【0015】
一態様では、1234yfの少なくとも一部は、245cb及び1234yfの生成物流を含む組成物から除去され、得られた組成物は、第2の組成物として脱フッ化水素化反応器に供給される。除去された1234yfは収集され、貯蔵される。必要に応じて1234yfを回収して貯蔵する前にさらに精製してもよいが、これが必要でない状況が想定される。
【0016】
1234yfは、任意の好適な分離方法を用いて除去及び回収することができる。1つの好適な方法は、蒸留である。
【0017】
任意に、245cb及び1234yfの生成物流を含む組成物がいくらかの1234ze(E)を含む場合、1234ze(E)の少なくとも一部を組成物から除去してもよい。一例として、1234yfの少なくとも一部が除去された後、得られた組成物を精製工程に施して、組成物中に存在し得る1234zeの少なくとも一部を除去した後、組成物を第2の組成物として脱フッ化水素化反応器に供給する。
【0018】
1234ze(E)は、任意の好適な分離方法を用いて除去及び回収することができる。1つの好適な方法は、蒸留である。
【0019】
以下は、本発明で使用される精製プロセス(c)の非限定的な例である。フッ素化生成物流及び脱フッ化水素化生成物流は両方とも、第1の蒸留器に供給される。好ましい実施形態においてリサイクルされ得る、重質/高沸点留分(HF
の大部分及び未反応1233x
fを含む)を残して、混合物から供給混合物の軽質/低沸点成分(245cb、1234yf、1234ze(E)及び一部のHFを含む)を蒸留する。蒸留された(低沸点の)成分は、スクラビングトレインを通過する。
【0020】
このスクラビングトレインは、1つ以上のスクラバーを含み得る。好適なスクラバーは、限定するものではないが、1つ以上の水スクラバー、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを使用する1つ以上の塩基性スクラバー、及び1つ以上の酸スクラバー、例えば硫酸スクラバー、ならびにそれらの組み合わせを含む。一例では、留出物は、硫酸スクラバー(水を除去するため)よりも、水スクラバー(バルク酸を除去するため)、次いで塩基性スクラバー(微量の酸を除去する)を通過する。流出物はスクラバーから除去され、245cbを含む流ならびに酸及び水を本質的に含有しない1234yfの生成物流が、さらなる精製のためにスクラバートレインから出る。
【0021】
好ましい実施形態では、スクラビングトレインは、順番に、バルク酸除去工程、微量の酸除去工程、及び1つ以上の乾燥工程を含む。
【0022】
バルク酸除去工程は、精製すべき流を、例えば約5重量%のHF濃度を有する流出物流を提供するのに十分な量の水流と接触させることを含み得る。代替的な実施形態では、バルク酸除去工程は、精製すべき流を水性HFの流、例えば約50重量%の濃度と接触させて、70重量%の領域のHF濃度を有する流出物流を生成することを含み得る。
【0023】
微量の酸除去工程は、好ましくは、バルク酸除去工程の後に、精製すべき流を水性腐食剤の流、例えばNaOHまたはKOH(すなわち、塩基性スクラビング工程)と接触させることを含む。NaOHまたはKOHは、好ましくは約20重量%以下、例えば10重量%未満または5重量%未満の濃度を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、乾燥工程は、好ましくは約78重量%〜約98重量%の濃度で、より好ましくは約80重量%〜約94重量%の濃度で、生成物流を硫酸源と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、乾燥工程は、生成物流を第1の硫酸源と接触させる第1の乾燥段階、その後生成物流を第2の硫酸源と接触させる第2の乾燥段階を含む。このような実施形態では、第1の硫酸源は、好ましくは約78重量%〜約90重量%の濃度を有し、第2の硫酸源は約90重量%〜約98重量%、例えば、約90重量%〜94重量%を有する。このようなアレンジは、生成物流の効果的な乾燥を可能にすると同時に、スクラビング流出液中の分解生成物の存在を最小にする。
【0025】
代替的な実施形態において、酸除去工程は、粗生成物流を水性酸の供給源、例えば、水性HF及び/またはHClの供給源と接触させることを含む。好ましくは、水性酸の供給源は、少なくとも約40重量%の濃度、例えば少なくとも約50重量%の濃度の水性HFを含む。特定の実施形態において、HF及び/またはHClは、水性酸の消費された流から、例えばフラッシュ分離及び/または蒸留によって回収される。
【0026】
245cb及び1234yfを含む流は、第2の蒸留器を通過する。この第2の蒸留器では、1,1,1−トリフルオロプロピレン[以下、トリフルオロメチルアセチレン、TFMAと称する]のような低沸点不純物が除去され、245cb、1234yf及び任意に1234ze(E)のような高沸点成分を含む留分が、さらなる精製または反応プロセスへのリサイクルのために回収され、この留分は、245cb及び1234yfの生成物流を含む組成物である。
【0027】
精製工程(c)を出る245cb及び1234yfの生成物流を含む組成物は、反応プロセスにリサイクルされ得、及び/またはさらに精製され得る。好ましい態様では、精製工程(c)のこの生成物をさらなる(第3の)蒸留工程に施す。この蒸留工程において、1234yf(所望の生成物)を蒸留物として単離することができる。重質/高沸点留分は、主成分として245cbを含有するが、1234ze(E)も含み得る。1234ze(E)が存在する場合、これは、任意にさらなる(第4の)蒸留工程において、蒸留物として245cbを除去することによって単離され得る。次いで、第3または第4の蒸留工程からの245cb含有流を、脱フッ化水素化反応器に通過させ得る。望ましくない不純物を除去するために必要に応じて追加の蒸留工程を加えることができる。
【0028】
工程(a)は、気相で行われる。それは、好ましくは、約0〜約390℃の温度、例えば、約100〜約350℃または約200〜約300℃または約300℃〜350℃、例えば、約350℃で行われ、約0.1〜約30バール(約10kpa〜約3000kpa)または約0.5〜約25バール(約50〜約2500kpa)、例えば、約1〜約20バール(約100〜約2000kpa)、例えば、約5〜約15バール(約500〜約1500kpa)の圧力で行われる。
【0029】
反応器(a)において、HF対1233xfのモル比は、典型的には、約1:1〜約20:1、または約5:1〜約15:1、または約7:1〜約12:1、例えば、約8:1または約9:1または約10:1である。
【0030】
一態様では、反応(a)は、空気の存在下で行われる。この反応が空気の存在下で行われる場合、空気と1233xfとのモル比は、典型的には約0.1:1〜約1:1、または約0.2:1〜約0.8:1、または約0.3:1〜約0.6:1、例えば、約0.4:1または約0.5:1である。
【0031】
反応(a)は、触媒の存在下で行われる。Zr、Co、Ni、Mu、及び/またはMgから選択される追加の金属を含み得る式CrOFの好適な触媒クロムオキシフルオライド触媒は、担持されていても担持されていなくてもよい。好ましい触媒は、亜鉛/クロミア触媒を含む。好適な触媒は、WO2011/140013及びUS2014/0275653に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
本発明で使用される触媒は、触媒前駆体として市販のフッ化クロム化合物から調製され得る。任意の好適なフッ化クロム化合物、例えば、CrF
3xH
2O、Cr/Ni/AlF
3またはフッ化Cr
2O
3が使用され得る。フッ化クロム化合物は、無水物でもよく、水和物でもよいが、好ましくは水和物である。フッ化クロム化合物、例えば、CrF
3xH
2Oをまず焼成する。焼成は、任意の好適な条件下で起こり得る。一例として、焼成の間、フッ化クロムは約200〜約1000℃の温度、例えば約400〜約500℃の温度に加熱してもよい。フッ化クロムは、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの少なくとも1つの不活性ガスの雰囲気中で加熱され得る。例えば、フッ化クロムを窒素流中で加熱して、触媒前駆体を焼成し得る。また、水和したフッ化クロムを活性ガス(空気などの反応可能なガス)を用いて焼成することもできる。触媒前駆体及び不活性ガスが一旦含有されると、不活性ガスまたは活性ガスを予熱してもよく、または反応器を加熱してもよい。加熱された不活性ガス/または活性ガスと触媒前駆体との接触時間は、約10〜約200秒、例えば、約10〜約100秒、または約20〜約50秒であり得る。圧力は、典型的には約105KPa〜約1.5KPaである。
【0033】
代替的に、触媒は、Cr
2O
3などのクロム含有化合物をフッ化水素で活性化して、活性化されたクロムオキシフルオライドを形成する。
Cr
2O
3+2HF→2CrOF+H
2O
【0034】
触媒は、担持されていなくても、担持されていてもよい。好適な担体としては、限定されないが、活性炭、グラファイト、またはそれらの対応するHF活性化化合物、例えばフッ化グラファイト、またはフッ化アルミナを含む。例えば、CrF
3またはCrOFは、アルミナに担持され得る。
【0035】
触媒の物理的形状は、特に限定されない。触媒は、例えば、ペレットまたは顆粒の形状であってもよい。触媒は、より強力なペレットを製造するための結合剤として機能することができる、及び/または摩耗なしに圧力下で操作することができる、グラファイトのような他の成分と組み合わせることができる。さらに、担持触媒の場合、担体は、顆粒またはペレットなどの形態であってもよい。
【0036】
「亜鉛/クロミア触媒」という用語は、クロムまたはクロムと亜鉛の化合物または亜鉛の化合物を含む任意の触媒を意味する。そのような触媒は、当該技術分野で既知であり、全てが本明細書に参照により組み込まれる、例えば、EP−A−0502605、EP−A−0773061、EP−A−0957074、WO2010/116150及びWO98/10862を参照されたい。
【0037】
典型的には、反応(a)で使用される亜鉛/クロミア触媒中に存在するクロムまたはクロムの化合物は、クロムの酸化物、酸フッ化物またはフッ化物、例えば酸化クロムである。
【0038】
使用される亜鉛/クロミア触媒中に存在する亜鉛または亜鉛化合物の総量は、典型的には約0.01%〜約25%、好ましくは0.1%〜約25%、通常は、0.01%〜6%亜鉛、及びいくつかの実施形態では、好ましくは0.5重量%〜約25重量%の触媒、好ましくは約1〜10重量%の触媒、より好ましくは2〜8重量%の触媒、例えば4〜6重量%の触媒である。代替的に、触媒は通常、0.01%〜1%、より好ましくは0.05%〜0.5%の亜鉛を含む。
【0039】
好ましい量は、クロムまたはクロム及び/もしくは亜鉛の化合物または亜鉛の化合物の性質、ならびに/または触媒が作製される方法などの多くの要因に依存する。これらの要因は、以下でより詳細に説明される。
【0040】
本明細書中で引用される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、元素状の亜鉛としてまたは亜鉛の化合物として存在するかどうかにかかわらず、元素状の亜鉛の量を指すことが理解されるべきである。
【0041】
亜鉛/クロミア触媒は、追加の金属またはその化合物を含み得る。典型的には、追加の金属は、二価または三価の金属であり、好ましくはニッケル、マグネシウム、アルミニウム及びこれらの混合物から選択される。典型的には、追加の金属は、0.01重量%〜約25重量%の触媒、好ましくは約0.01〜10重量%の触媒の量で存在する。他の実施形態は、少なくとも約0.5重量%または少なくとも約1重量%の追加の金属を含み得る。
【0042】
亜鉛/クロミア触媒は、非晶質であり得る。これは、触媒が、例えば、X線回折によって分析されたときに実質的な結晶特性を示さないことを意味する。
【0043】
代替的に、触媒は、部分的に結晶性であり得る。これは、0.1〜50重量%の触媒が、1つ以上のクロムの結晶性化合物及び/または1つ以上の亜鉛の結晶性化合物の形態であることを意味する。部分的結晶性触媒が使用される場合、それは1つ以上のクロムの結晶性化合物及び/または1つ以上の亜鉛の結晶性化合物の形態において、0.2〜25重量%、より好ましくは0.3〜10重量%、さらにより好ましくは0.4〜5重量%の触媒を好ましく含有する。
【0044】
反応中に使用する間、結晶化度は変化し得る。したがって、触媒は、使用前に上記で定義したような結晶化度を有し、反応中または使用後にこれらの範囲外の結晶化度を有する可能性がある。
【0045】
本発明の触媒中の結晶性物質の割合は、当該技術分野で知られている任意の好適な方法によって決定され得る。好適な方法は、X線回折(XRD)技術を含む。X線回折が使用される場合、結晶性クロム酸化物の量などの結晶性物質の量は、触媒(例えば、触媒ペレットの製造に使用されるグラファイト)に存在する既知のグラファイトの量を参照して決定され得、より好ましくは、試料物質のXRDパターンの強度を、好適な国際的に認知された標準物質、例えば、NIST(National Institute of Standards and Technology)参照物質から調製された標準物質と比較することによって決定され得る。
【0046】
亜鉛/クロミア触媒は典型的には、それがフッ化水素またはフッ化炭化水素のようなフッ化物含有種で前処理される前に、少なくとも50m
2/g、好ましくは70〜250m
2/g、最も好ましくは100〜200m
2/gの表面積を有する。以下でより詳細に説明するこの前処理の間に、触媒中の酸素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換される。
【0047】
使用される亜鉛/クロミア触媒は典型的には、活性及び選択性レベルの有利なバランスを有する。好ましくは、それらはまた、ある程度の化学的堅牢性を有し、これは、それらが比較的長い作動寿命を有することを意味する。亜鉛/クロミア触媒はまた、比較的容易に取り扱うことを可能にする機械的強度を有することが好ましく、例えば、それらは、既知の技術を用いて反応器に充填するか、または反応器から排出することができる。
【0048】
亜鉛/クロミア触媒は、当該技術分野において既知の任意の好適な形態で提供され得る。例えば、それらは、固定床または流動床における使用のための適切なサイズのペレットまたは顆粒の形態で提供されてもよい。触媒は、担持されていても担持されていなくてもよい。触媒が担持される場合、好適な担体は、AlF
3、フッ化アルミナまたは活性炭を含む。
【0049】
亜鉛/クロミア触媒は、ルイス及び/もしくはブレンステッド酸度、ならびに/または塩基度が向上した触媒を含む促進された形態の触媒を含む。
【0050】
使用時には、触媒、例えば亜鉛/クロミア触媒は、約300℃〜約500℃の温度で空気中で加熱することによって定期的に再生または再活性化することができる。空気は、窒素のような不活性ガスまたはフッ化水素との混合物として使用することができ、触媒処理プロセスから高温になり、再活性化された触媒を用いるフッ素化プロセスに直接使用することができる。代替的に、触媒は、例えば、酸素または塩素などの酸化性ガスを反応器に導入することによって、使用中に連続的に再生され得る。
【0051】
触媒、例えば亜鉛/クロミア触媒は、約0.01〜約50重量%、例えば、有機物及びHFの組み合わせ重量に基づき、約0.1〜約30%、例えば、約0.5〜約20%の量で使用され得る。
【0052】
フッ素化反応は、典型的には250℃〜400℃、例えば300℃〜350℃、例えば約350℃で起こる。この反応は、典型的には100〜2000kPaの圧力、例えば4〜1800kPa、例えば約1500kPaの圧力で行われる。
【0053】
フッ素化生成物流は、この生成物流が脱フッ化水素化生成物流と組み合わされる前に、少なくとも一部のHCl及び(存在する場合には)少なくとも一部の空気を除去するための精製工程を施されてもよい。
【0054】
工程(a)が空気の存在下で行われる場合、生成物流中に存在する空気及びHClは、フッ素化生成物流が脱フッ化水素化生成物流と組み合わされる前に蒸留によって任意に除去されてもよい。
【0055】
たとえ工程(a)が空気の存在下で行われない場合でも、生成物流中に存在するHClは、フッ素化生成物流が脱フッ化水素化生成物流と組み合わされる前に蒸留によって任意に除去されてもよい。
【0056】
反応(a)で使用される1233xfは、CF
3CHClCH
2Cl(243db)の脱塩化水素化によって得られ得る。
CF
3CHClCH
2Cl→CF
3CCl=CH
2
【0057】
この脱塩化水素化反応は、典型的には別個の反応器から反応(a)が起こるフッ素化反応器中で起こる。脱塩化水素化反応器及びフッ素化反応器は、連続して配置され得る。
【0058】
脱塩化水素化反応は、HFの存在下で行われ得る。この反応がHFの存在下で起こる場合、HF対243dbのモル比は、典型的には、約1:1〜約20:1、または約5:1〜約15:1、または約7:1〜約12:1、例えば、約8:1または約9:1または約10:1である。
【0059】
脱塩化水素化反応は、空気の非存在下で行われ得る。
【0060】
脱塩化水素化反応は、触媒の存在下で行われ得る。好ましい触媒は、活性炭、アルミナ、及び/または遷移金属の酸化物を含む触媒である。さらなる好ましい触媒群は、担持される(例えば、炭素上で)またはTaX
5、SbX
5、SnX
4、TiX
4、FeCl
3、NbX
5、VX
5、AlX
3(式中、X=FまたはCl)を含む担持されていないルイス酸金属ハロゲン化物である。
【0061】
疑義を避けるために、活性炭、アルミナ、及び/もしくは遷移金属の酸化物を含む触媒とは、我々は、本質的に活性炭、アルミナ、及び/もしくは遷移金属の酸化物のみである触媒ならびに活性炭、アルミナ、及び/もしくは例えば1つ以上の金属(例えば、遷移金属)、ならびに/またはその化合物の添加によって改質された遷移金属の酸化物である触媒を含む。
【0062】
「活性炭」とは、約50〜約3000m
2または約100〜約2000m
2(例えば、約200〜約1500m
2または約300〜約1000m
2)のような比較的高い表面積を有する任意の炭素を含む。活性炭は、石炭(例えば、木炭)、ナットシェル(例えば、ココナッツ)、及び木材のような任意の炭素質物質から誘導され得る。活性炭の任意の形態、例えば、粉末状、粒状、及びペレット状の活性炭を使用することができる。Cr、Mn、Au、Fe、Sn、Ta、Ti、Sb、Al、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、及び/もしくはPtの添加によって改質(例えば含浸)された活性炭、ならびに/またはこれらの金属の1つ以上の化合物(例えば、ハロゲン化物)を使用することができる。
【0063】
Cr、Mn、Au、Fe、Sn、Ta、Ti、Sb、Al、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、及び/もしくはPtの添加によって改質されたアルミナ、ならびに/またはこれらの金属の1つ以上の化合物(例えば、ハロゲン化物)を使用することができる。
【0064】
Cr、Mn、Au、Fe、Sn、Ta、Ti、Sb、Al、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、及び/もしくはPtの添加によって改質された遷移金属の酸化物、ならびに/またはこれらの金属の1つ以上の化合物(例えば、ハロゲン化物)を使用することができる。
【0065】
遷移金属の好ましい酸化物は、Cr、Ti、V、Zr、またはFeの酸化物である。例えば、Zn、Mn、Zr、Ni、Al、及び/もしくはMg、ならびに/またはこれらの金属の1つ以上の化合物の添加によって改質されたクロミア(Cr
2O
3)単独またはクロミアを使用することができる。好適なクロミア系触媒は、EP−A−0502605,EP−A−0773061、EP−A−957074、WO98/10862、及びWO2006/106353に記載されるものを含む。
【0066】
脱塩化水素化反応のための好ましい触媒群は、活性炭、アルミナ、及び/またはクロミアを含む触媒である。現在では、クロミアに基づく触媒が特に好ましい。好ましいクロミア系触媒は、上記の亜鉛/クロミア触媒である。
【0067】
脱塩化水素化反応に用いられる触媒は、フッ素化反応に用いられる触媒と同じであってもよい。
【0068】
脱塩化水素化反応における触媒は、約0.01〜約50重量%、例えば243dbの重量に基づき、約0.1〜約30%、例えば約0.5〜約20%の量で使用され得る。
【0069】
脱塩化水素化反応は、フッ化水素(HF)の存在下で行うことが好ましい。例えば、アルミナまたは遷移金属の酸化物を工程(例えば、亜鉛/クロミア触媒などのクロミア系触媒)で触媒として使用する場合、HFを使用して、触媒の過度の分解を防止及び/または遅延させることができる。
【0070】
脱塩化水素化反応は、約−70〜約450℃の温度で、大気圧、大気圧未満または大気圧超、好ましくは約0〜約30バール(約0〜約3000kPa)で行われ得る。
【0071】
好ましくは、脱塩化水素化反応は、約100〜約380℃または約200〜約370℃(例えば、約240〜約260℃または350℃)などの約0〜約390℃の温度で行われる。
【0072】
脱塩化水素化反応は、好ましくは約0.01〜約25バール(約1〜約2500kPa)または約0.1〜約20バール(約10〜約2000kPa)の圧力で、例えば約1〜約10バール(約100〜約1000kPa)、例えば、約1〜約5バール(約100〜約500kPa)で行われることが好ましい。
【0073】
脱塩化水素化反応は、典型的には250℃〜400℃、例えば300℃〜350℃、例えば約350℃の温度で行われる。この反応は、典型的には100〜2000kPaの圧力、例えば4〜1800kPa、例えば約1500kPaの圧力で行われる。
【0074】
一態様では、脱塩化水素化反応器の温度及び圧力は、フッ素化反応器の温度及び圧力とほぼ同じかまたは類似している。
【0075】
脱塩化水素化反応は、HFの存在下で行われ得る。一態様では、脱塩化水素化反応器に存在するHFの少なくとも一部は、工程(c)からリサイクルされる。
【0076】
脱塩化水素化工程で生成された1233xfは、脱塩化水素化反応器から工程(a)のフッ素化反応器に直接移送することができる。しかしながら、1233xfは、フッ素化反応器に通す前に精製工程を施され得る。精製は、任意の好適な方法、例えば、1つ以上の蒸留、縮合、吸着、例えば、モレキュラーシーブ及び/もしくは活性炭、または相分離工程、及び/もしくは水または水性塩基でのスクラビングによる任意の他の生成物または試薬からの1233xfの分離によって達成され得る。
【0077】
243dbは市販されている(例えば、Apollo Scientific Ltd、UKから)。代替的に、243dbは、安価な供給原料である四塩化炭素(CCl
4)及びエチレン(以下に示す反応スキーム参照)から出発する合成経路によって調製され得る。これら2つの出発物質は、テロメリゼーションされて1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成し得る(例えば、J.Am.Chem.Soc.Vol.70,p2529,1948を参照し、これは本明細書に参照により組み込まれる)(HCC−250fb、または単に250fbとしても知られている)。
【0078】
250fbをフッ素化して、3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf)及び/または1,1,1−トリフルオロ−3−クロロプロパンを生成させることができる(例えば、本明細書に記載されるように、HFを、任意にクロミア含有触媒、好ましくは亜鉛/クロミア触媒の存在下で用いる)。1,1,1−トリフルオロ−3−クロロプロパンの脱ハロゲン化水素(例えば、NaOHまたはKOHを用いる)は、3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf)を生成する。
【0079】
次いで、1243zfは、1,1,1−トリフルオロ−2,3−ジクロロプロパン(243db)を生成するために(例えば、塩素で)ハロゲン化、例えば塩素化されていてもよい。この反応スキームを以下に要約する(3,3,3−トリクロロプロペンを介して250fbから1243zfまでの経路を除く)。
【化1】
【0080】
任意に、1243zfのハロゲン化は、例えば1243zf、HF及び塩素を含む供給物を提供することによって、反応(a)と同じ反応器で行うことができる。
【0081】
脱フッ化水素化反応(b)は、典型的には約200〜約600℃、例えば約220〜約500℃、例えば約240〜360℃、例えば約340〜約350℃の温度で行われる。この反応は、典型的には、約0.01〜約25バール(約1〜約2500kPa)または約0.1〜約20バール(約10〜約2000kPa)の圧力、例えば約1〜約10バール(約100〜約1000kPa)、例えば、約1〜約5バール(約100〜約500kPa)、例えば約2バール(200kPa)で行われる。
【0082】
反応(b)は、触媒の存在下で行われる。好適な触媒には、活性炭、主族(例えば、アルミナ触媒上のクロムなどのアルミナ系触媒)及びクロミア系触媒(例えば、亜鉛/クロミア)またはニッケル系触媒(例えば、ニッケルメッシュ)などの遷移金属を含むものなどの金属及び炭素系触媒が含まれる。脱ハロゲン化水素を実施する1つの好ましい方法は、クロミア系(例えば、亜鉛/クロミア)触媒などの金属触媒を使用する。
【0083】
好適な亜鉛/クロミア触媒には、上記のものが含まれる。アルミナ触媒上の任意の好適なクロムを使用することができる。アルミナ触媒上の好適なクロムの例には、上記及びWO2013/164618に記載されているものが含まれ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
各工程(a)及び(b)ならびに脱塩化水素化工程(使用される場合)の反応時間は、広範囲にわたって変わり得る。しかし、各工程の反応時間は、典型的には0.01〜100時間、例えば0.1〜50時間、例えば、1〜20時間の範囲である。
【0085】
静的ミキサー、撹拌タンク反応器、または撹拌気液分離容器のような、任意の好適な装置を工程(a)及び(b)ならびに脱塩化水素化工程(使用される場合)の反応器として使用することができる。好ましくは、装置は、腐食に対して耐性のある1つ以上の物質、例えば、HastelloyまたはIconelから作製され得る。