特許第6688390号(P6688390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688390
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】バイオチップ用ピラー構造体
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20200421BHJP
   B01L 3/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   C12M1/00 A
   B01L3/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-529096(P2018-529096)
(86)(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公表番号】特表2018-537978(P2018-537978A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】KR2016014500
(87)【国際公開番号】WO2017099544
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0177119
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518192161
【氏名又は名称】エムビーディー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512196600
【氏名又は名称】サムソン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ドン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ホ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ドン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ナム、 ド ヒョン
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0184182(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0134652(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/021306(WO,A1)
【文献】 特開2004−122751(JP,A)
【文献】 特開2014−022715(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0309649(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0057580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−1/42
G01N 33/50
G01N 37/00
B01L 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Derwent Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形方式により一体に製造されるバイオチップ用ピラー構造体において、
板状構造を有する基板部
前記基板部と一体に形成され、前記基板部の下部面から下方に突出してウェルに挿入される挿入ピラー部、および
前記基板部と一体に形成され、前記挿入ピラー部に対応して前記基板部の上部面から上方に突出する補償ピラー部を含み、
前記補償ピラー部は、前記挿入ピラー部に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有するバイオチップ用ピラー構造体。
【請求項2】
前記補償ピラー部は、前記板状構造の断面からみて、前記挿入ピラー部の直径方向を全て覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオチップ用ピラー構造体。
【請求項3】
前記挿入ピラー部は、
前記基板部の下部面から下方に突出する第1ピラー部、および
前記第1ピラー部の下部面から下方に突出して、末端部に試料が配置される第2ピラー部を含み、
前記第1ピラー部は、前記ウェルの直径よりも小さく、前記第2ピラー部の直径よりも大きい直径を有することを特徴とする請求項1に記載のバイオチップ用ピラー構造体。
【請求項4】
前記補償ピラー部は、前記第2ピラー部の直径に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有することを特徴とする請求項3に記載のバイオチップ用ピラー構造体。
【請求項5】
前記ピラー構造体は、複数の挿入ピラー部および前記複数の挿入ピラー部にそれぞれ対応する複数の補償ピラー部を含み、
前記複数の挿入ピラー部のうちの少なくとも一部は、前記第1ピラー部および前記第2ピラー部を含むことを特徴とする請求項3に記載のバイオチップ用ピラー構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップ用ピラー構造体に関する。より詳細には、ピラー構造体の射出成形時の冷却過程で発生する基板部の部分的陥没現象を防止し、顕微鏡イメージを介した試料分析の正確度および信頼度を改善するバイオチップ用ピラー構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バイオチップ(bio chip)とは、小型基板上にDNA、タンパク質、細胞などの生物学的微細物質に該当する試料を配置して、遺伝子欠陥、タンパク質分布、反応様相などを分析するマイクロチップ(micro chip)をいう。
【0003】
このようなバイオチップは、基板に多数のピラーが形成されたピラー構造体と、基板に多数のウェルが形成されたウェル構造体を含む。ピラー構造体とウェル構造体は、主に樹脂組成物の素材を用いた射出成形方式によって製造される。
【0004】
しかし、韓国公開特許公報第10-2013-0084394号などに開示されたように、従来の技術は、単純に板状の基板一面に多数のピラーが突出するピラー構造体を使用するため、ピラー構造体の射出成形後の冷却過程で基板に不均一な収縮が起こり、陥没部分が発生する問題がある。
【0005】
また、韓国登録特許公報第10-1218986号などに開示されたように、従来の技術は、試料を基板に直接配置するか、単純な柱形状のピラーに配置してウェルに挿入するため、バイオチップに外力、振動などが加わる場合、試料またはピラーがウェルの側壁と衝突して試料が脱落したり、損傷する問題がある。
【0006】
一方、ウェルの側壁とピラーとの間の衝突を緩和するために、ピラーの直径を大きくした場合、ウェルの側壁とピラーとの間の間隔が狭くなるため、ピラー挿入時ウェル内の空気が抜け出すことができず、ウェルに満たされている培養液に気泡を発生させる問題がある。このように培養液に発生した気泡は、試料の枯死や損傷を招くことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ピラー構造体の射出成形時の冷却過程で発生する基板部の部分的陥没現象を防止し、顕微鏡イメージを介した試料分析の正確度および信頼度を改善することはもちろん、ピラー挿入時に、ウェルに気泡が発生することを防止しながら、ウェルの側壁とピラーとの間の衝突を緩和するバイオチップ用ピラー構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例に係るバイオチップ用ピラー構造体は、板状構造を有する基板部と、前記基板部と一体に形成され、前記基板部の下部面から下方に突出してウェルに挿入される挿入ピラー部、および前記基板部と一体に形成され、前記挿入ピラー部に対応して前記基板部の上部面から上方に突出する補償ピラー部を含む。
【0009】
一実施例において、前記補償ピラー部は、前記挿入ピラー部に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有することができる。
【0010】
一実施例において、前記挿入ピラー部は、前記基板部の下部面から下方に突出する第1ピラー部、および前記第1ピラー部の下部面から下方に突出して、試料が配置される第2ピラー部を含み、前記第1ピラー部は、前記ウェルの直径よりも小さく、前記第2ピラー部の直径よりも大きい直径を有することができる。
【0011】
この場合、前記補償ピラー部は、前記第2ピラー部に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有することができる。
【0012】
一実施例において、前記ピラー構造体は、複数の挿入ピラー部および前記複数の挿入ピラー部にそれぞれ対応する複数の補償ピラー部を含み、前記複数の挿入ピラー部のうちの少なくとも一部は、前記第1ピラー部および前記第2ピラー部を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、バイオチップに使用されるピラー構造体の基板部一面に挿入ピラー部を形成し、基板部の他面に挿入ピラー部に対応する補償ピラーを形成することによって、ピラー構造体の射出成形時の冷却によって発生する基板部の部分的陥没現象を防止し、顕微鏡イメージを介した試料分析の正確度および信頼度を改善することができる。
【0014】
また、ウェルに挿入される挿入ピラー部の上端部直径が、試料が配置される下段部直径よりも大きい値を有するようにすることで、ピラー挿入時のウェルに気泡が発生することを防止しながら、バイオチップに外力、振動などが加わる場合、ウェルの側壁と挿入ピラー部との間の衝突を緩和し、挿入ピラー部に付着された試料の脱落を防止することができる。
【0015】
さらに、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明に係る様々な実施例が前記言及されてない様々な技術的課題を解決できることを以下の説明から自明に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用されるバイオチップの一例を示した図である。
図2】ピラー構造体とウェル構造体との間の結合状態の一例を示した断面図である。
図3】射出成形されたピラー構造体の一例を示した断面図である。
図4図3に示されたピラー構造体の蛍光顕微鏡イメージを示した写真である。
図5】本発明の一実施例に係るピラー構造体を示した断面図である。
図6】本発明の他の一実施例に係るピラー構造体を示した断面図である。
図7】実際に具現されたピラー構造体の一例を示した写真である。
図8】本発明に係るピラー構造体の蛍光顕微鏡イメージを示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の技術的課題に対する解決方案を明確化するために、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するにおいて、関連公知技術に関する説明がむしろ本発明の要旨を不明瞭にする場合、これに関する説明は省略することにする。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは設計者、製造者などの意図または慣例などによって変わることがある。したがって、その定義は、本明細書全般にわたった内容を土台にされなければならない。
【0018】
図1には、本発明が適用されるバイオチップの一例が示されている。
【0019】
図1に示すように、バイオチップ100は、ピラー構造体110とウェル構造体120を含む。一般的に、ピラー構造体110は、板状の基板112一面に多数のピラー114が形成された構造を有する。ピラー114の末端部には、それぞれDNA、タンパク質、細胞など生物学的微細物質を含む試料が配置される。ウェル構造体120は、板状の基板122一面にピラー構造体110のピラー114が挿入される多数のウェル124が形成された構造を有する。ウェル124には、それぞれ培養液や試薬などが一定量満たされる。ピラー構造体110は、ウェル構造体120との結合によって、ピラー114に配置された試料をウェル124の内部に位置させる。一方、ウェル構造体120は、スペーサー部材126を含むことができる。スペーサー部材126は、ピラー構造体110とウェル構造体120との結合面の間に位置して、ピラー構造体110とウェル構造体120との間の結合時に、ウェル124が密閉されることを防止することができる。
【0020】
図2には、ピラー構造体とウェル構造体との間の結合状態の一例が断面図で示されている。
【0021】
図2に示すように、ピラー構造体110とウェル構造体120との間の結合時に、それぞれのピラー114は、それに対応する位置に形成されたウェル124に挿入され、ピラー114に配置された試料116は、ウェル124内部の培養液128などに浸かるようになる。一定時間経過後、実験者は、ピラー構造体110のピラー114に配置された試料の状態を蛍光顕微鏡などによって、分析することになる。したがって、ピラー構造体110は、光透過率に優れた樹脂組成物素材で構成される。例えば、ピラー構造体110は、ポリスチレン(Polystyrene)、無水マイレン酸(Maleic Anhydride)などを含む樹脂組成物素材で構成されることができる。一方、実際のピラー構造体の製造時には、樹脂組成物素材を溶融した後、射出して冷却させる射出成形方式が用いられる。
【0022】
図3には、射出成形されたピラー構造体の一例が断面図で示されている。
【0023】
図3に示すように、ピラー構造体110が射出成形方式により製造される場合、射出後の冷却過程でピラー構造体110全体で収縮が起きる。このとき、ピラー構造体110の基板部112下部面に位置したピラー114の収縮量が基板部210に影響を及ぼすことになり、ピラー114の上側の基板部112上部面部位(X)が陥没する現象が発生することになる。このような基板部112の陥没部位(X)は、光の散乱ないし乱反射を起こし、顕微鏡イメージを歪曲して試料分析を困難にする。
【0024】
図4には、図3に示されたピラー構造体の蛍光顕微鏡イメージが写真で示されている。
【0025】
図4に示すように、基板部112陥没現象が発生したピラー構造体110のピラー114末端部を蛍光顕微鏡で観察すると、基板部112の陥没部分(X)で起きた光の散乱ないし乱反射によって暗影部分が現れるなど、蛍光顕微鏡イメージ上に歪曲が発生することになる。
【0026】
したがって、本発明は、バイオチップに新しい構造のピラー構造体を適用して、ピラー構造体の射出成形時に発生する基板部陥没現象を防止し、バイオチップを用いた試料分析の正確度および信頼度を改善する。
【0027】
図5には、本発明の一実施例に係るピラー構造体が断面図で示されている。
【0028】
図5に示すように、本発明の一実施例に係るピラー構造体200は、基板部210、挿入ピラー部220、および補償ピラー部230を含むことができる。基板部210は、板状構造を有し、ピラー構造体200の基底をなす。
【0029】
挿入ピラー部220は、基板部210と一体に形成され、基板部210の下部面から下方に突出して、ピラー構造体200とウェル構造体(例えば、図1の120)との間の結合時にウェル構造体のウェル(例えば、図1の124)に挿入される。挿入ピラー部320の末端部には、試料が配置される。試料の配置を容易にするために、挿入ピラー部320の末端部に所定の分散物質層(図示せず)が塗布されることができる。このような分散物質層は、培養液や試薬などの透過が可能な多孔性物質からなる。例えば、分散物質層は、ゾル−ゲル(sol−gel)、ヒドロゲル(hydrogel)、アルギン酸ゲル(alginate gel)、有機ゲル(Organogel)、キセロゲル(Xerogel)、またはコラーゲン(collagen)などを含むことができる。この場合、試料は、分散物質層に分散して配置される。
【0030】
補償ピラー部230は、基板部210と一体に形成され、挿入ピラー部220に対応して、基板部210の上部面から上方に突出する。このように、補償ピラー部230が、基板部210の陥没予想の部分に配置されて射出した後、冷却時に発生する挿入ピラー部220の収縮量を補償することによって、基板部210の陥没現象を防止することができる。
【0031】
この場合、補償ピラー部230は、挿入ピラー部220に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有する必要がある。例えば、補償ピラー部230の直径(b)が挿入ピラー部220直径(a)よりも小さい場合、すなわち挿入ピラー部220に対する補償ピラー部230の直径比(b/a)が1未満である場合、補償ピラー部230と基板部210側で挿入ピラー部220の末端部を介して顕微鏡レンズに入ってくる光間に経路差が発生して、顕微鏡イメージの歪曲が発生することがあり得る。一方、補償ピラー部230の直径(b)が挿入ピラー部220直径(a)の1.3倍よりも大きい場合、すなわち、挿入ピラー部220に対する補償ピラー部230の直径比(b/a)が1.3を超過する場合、バイオチップの高集積化を困難にして、不必要な材料の損失を招くことはもちろん、むしろ補償ピラー部230の上部面が陥没する現象が発生することがあり得る。
【0032】
図6には、本発明の他の一実施例に係るピラー構造体が断面図で示されている。図7には、実際に具現されたピラー構造体の一例が写真で示されている。
【0033】
図6および図7に示すように、本発明の他の一実施例に係るピラー構造体300は、基板部310、挿入ピラー部320、および補償ピラー部330を含む。基板部310、挿入ピラー部320、および補償ピラー部330は、それぞれ図5の基板部210、挿入ピラー部220、および補償ピラー部230に対応するものである。
【0034】
留意点は、挿入ピラー部320が、第1ピラー部322と第2ピラー部324を含むことである。第1ピラー部322は、基板部310の下部面から下方に突出する。第2ピラー部324は、第1ピラー部322の下部面から下方に突出して、その末端部に試料が配置される。このような第1ピラー部322と第2ピラー部324は、挿入ピラー部320に段差を形成する。すなわち、第1ピラー部322は、挿入されるウェルの直径よりも小さく、第2ピラー部324の直径(a)よりも大きい直径(c)を有する。
【0035】
前述したように、挿入ピラー部320が単純な柱形状で構成される場合、バイオチップに加わる外力、振動などによってウェルの側壁に挿入ピラー部が衝突して試料が脱落したり、損傷することがある。一方、ウェルの側壁と挿入ピラーとの間の衝突を緩和するために、挿入ピラー部の直径を大きくした場合、ウェルの側壁とピラーとの間の間隔が狭くなって、挿入ピラー部の挿入時にウェル内の空気が抜け出せず、ウェルに満たされている培養液に気泡を発生させることになる。培養液に発生した気泡は、試料の枯死や損傷を招くことになる。
【0036】
したがって、ウェルに挿入される挿入ピラー部320の上端部322の直径(c)が、試料が配置される下段部324の直径(a)よりも大きい値を有するように構成することによって、挿入ピラー部の挿入時ウェルに気泡が発生することを防止しながら、ウェルの側壁と挿入ピラー部との間の衝突を緩和することができる。
【0037】
この場合、補償ピラー部330は、第2ピラー部324に対する直径の比が1以上1.3以下の範囲に該当する直径を有することができる。
【0038】
一方、ピラー構造体300は、所定面積の基板部310に複数の挿入ピラー部および前記複数の挿入ピラー部にそれぞれ対応する複数の補償ピラー部を含むことができる。この場合、複数の挿入ピラー部全体が段差を有する必要はないので、複数の挿入ピラー部のうちの少なくとも一部のみ、第1ピラー部322および第2ピラー部324を含んで段差を有するように構成されることができる。例えば、ピラー構造体300の基板部310に形成されたm×n個の挿入ピラー部のうち、最外角に位置した挿入ピラー部または四角形の基板部310の各角部に位置した挿入ピラー部びのみ、第1ピラー部322および第2ピラー部324を含み、残りの挿入ピラー部320は、一般的な柱形状を有するように構成されることができる。
【0039】
一方、本発明の実施例に関連し、本明細書に記述された「上部面」と「下部面」、または「上方」と「下方」は、挿入ピラー部と補償ピラー部の相対的な位置および構造を示すために、相対的な概念で使用されたものである。
【0040】
図8には、本発明に係るピラー構造体の蛍光顕微鏡イメージが写真で示されている。
【0041】
図8に示すように、本発明に係るピラー構造体の場合、図4とは異なり、蛍光顕微鏡イメージに暗影部分などの歪曲が発生していないことが分かる。
【0042】
すなわち、本発明に係るピラー構造体は、補償ピラー部が基板部の陥没予想部分に配置され、ピラー構造体の射出後の冷却時に発生する挿入ピラー部の収縮量を補償することによって、基板部陥没現象とこれによる顕微鏡イメージの歪曲を防止し、顕微鏡イメージを介した試料分析の正確度および信頼度を改善することができる。
【0043】
また、本発明によれば、ウェルに挿入される挿入ピラー部の上端部の直径が、試料が配置される下段部の直径よりも大きい値を有するようにすることで、ピラー挿入時ウェルに気泡が発生することを防止しながら、バイオチップに外力、振動などが発生する場合、ウェルの側壁と挿入ピラー部との間の衝突を緩和し、挿入ピラー部に付着された試料の脱落を防止することができる。さらに、本発明に係る様々な実施例は、当該技術分野はもちろんのこと、関連技術分野において、本明細書に記載された内容以外の他の様々な技術的課題を解決できることはもちろんである。
【0044】
ここまで、本発明について具体的な実施例を参考にして説明した。しかし、当業者であれば、本発明の技術的範囲で多様な変形実施例を具現し得ることを明確に理解することができる。したがって、先に開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。すなわち、本発明の真の技術的思想の範囲は、添付された特許請求範囲に示されており、これと均等の範囲内にあるすべての差異点は、本発明に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8