特許第6688446号(P6688446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688446
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】製本型折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20200421BHJP
   B42D 11/00 20060101ALN20200421BHJP
【FI】
   B42D15/02 501B
   !B42D11/00 Q
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-129360(P2016-129360)
(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公開番号】特開2017-222148(P2017-222148A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−054822(JP,A)
【文献】 実開平04−094681(JP,U)
【文献】 特開2014−148152(JP,A)
【文献】 特開2013−086507(JP,A)
【文献】 特開平09−076670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して連接された4葉片が上から第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片の順で折り畳まれた製本型折り畳み情報通信体であって、前記4葉片の各対向面間に疑似接着フィルムシートが介在し剥離可能に接着されると共に、少なくとも第二葉片と第三葉片の対向面側の第一葉片と第二葉片を連接する折り線及び第三葉片と第四葉片を連接する折り線に沿った部分に完全接着フィルムシートが被覆され、開封に際して第一葉片と第四葉片を連接する折り線及び第二葉片と第三葉片を連接する折り線を切り離すことを特徴とした製本型折り畳み情報通信体。
【請求項2】
請求項1の第一葉片と第四葉片を連接する折り線及び第二葉片と第三葉片を連接する折り線部分を切り落としたことを特徴とした製本型折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み剥離可能に一体化した情報通信体に関する。
さらに詳しくは、剥離後に各葉片が見開き状態に展開され製本状態となる見開き情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近パンフレットやチラシを折り畳み剥離可能に一体化したダイレクトメールを、郵送や配送により受取人へ送付する広告宣伝手段が採用されている。そのようなものとして例えば特開2013−86507号公報に記載される情報通信体の製本手段及びそれを用いた製本型情報通信体及びその製造方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2013−86507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献の発明は、一つの情報通信体において異なる性質(感熱性、感圧性、感湿性、粘着剤等)の接着剤を使用することなく、さらに疑似接着と完全接着の両者を同一処理条件(加熱・加圧処理)で実行することを可能としたものである。そして少なくとも2種類の接着剤により製造可能であった従来の製本タイプの情報通信体を、1種類の接着剤のみにより実行可能としたものである。
【0005】
然るに製本部分がフィルムシートに形成されている感熱接着剤と紙材からなる葉片表面との接着のため、特にマット紙やコート紙等の塗工紙では表面の塗工層が剥がれ易く接着性を阻害するため、両者の接着が十分でなく容易に葉片が製本部分において剥離して脱落してしまう事故が起こる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、製本部分における葉片同士の接着が容易に剥離して脱落することがない情報通信体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の製本型折り畳み情報通信体は、折り線を介して連接された4葉片が上から第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片の順で折り畳まれた製本型折り畳み情報通信体であって、前記4葉片の各対向面間に疑似接着フィルムシートが介在し剥離可能に接着されると共に、少なくとも第二葉片と第三葉片の対向面側の第一葉片と第二葉片を連接する折り線及び第三葉片と第四葉片を連接する折り線に沿った部分に完全接着フィルムシートが被覆され、開封に際して第一葉片と第四葉片を連接する折り線及び第二葉片と第三葉片を連接する折り線を切り離すことを特徴としている。
【0007】
なお、前記完全接着フィルムシートは、対向する第二葉片と第三葉片の製本側の折り線に沿った部分に被覆されてもよく、また前記折り線をまたいで第一葉片と第四葉片側に折返された状態で被覆されていても構わない。
【0008】
また、折り畳まれ重なり合う第一葉片と第四葉片を連接する折り線と第二葉片と第三葉片を連接する折り線を、完成した情報通信体から予め切り落としておけば、受取人の開封に際して前記折り線に形成された切取りミシン等の切取り手段を切り落とす手間が省けて至便である。
【0009】
本発明の製本型折り畳み情報通信体を構成する葉片に使用される長尺或いは枚葉シートは、上質紙、マット紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムシート、不織布等を使用することができる。そして各葉片の対向面に被覆される疑似接着フィルムシートは、図8に示すように、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレンを基材11として、一方の面にEVAやポリエチレン等からなる公知の感熱接着剤層12を形成すると共に残るもう一方の面に疑似接着層13を形成したものを好適に使用することができる。
【0010】
前記疑似接着フィルムシートは、葉片の対向する疑似接着予定面に感熱接着剤層12を介して被覆される。そして折り畳まれて疑似接着層13同士が対向する状態で加圧或いは加熱・加圧処理を施すと前記疑似接着層13部分で対向面同士が剥離可能に接着される。その後前記対向面を剥離すると対向する疑似接着層13、13の間から容易に剥離することができる。
【0011】
本発明の製本型折り畳み情報通信体における製本部分の葉片対向面に被覆される完全接着フィルムシートは、図示は省略するが、既述の疑似接着フィルムシートの疑似接着層13に代えて完全接着層を形成したものを好適に使用することができる。このものは葉片の対向する完全接着予定面(製本部分)に感熱接着剤層12を介して被覆される。そして折り畳まれて完全接着層同士が対向する状態で加圧或いは加熱・加圧処理を施すと前記完全接着層部分が剥離不能に接着される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製本型折り畳み情報通信体は、折り線を介して連接されていない葉片同士の製本部分が完全接着フィルムシート同士の接着により強固に接着されているため葉片が剥離して脱落することがない。また折り線を介して連接されている葉片に、前記折り線をまたいで疑似接着フィルムシートが連続的に被覆されている場合、折り線部分が疑似接着フィルムシートにより強化されるため、両葉片が折り線部分から破断して脱落することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の製本型折り畳み情報通信体Jの表面図、(B)は裏面図である。
図2】(A)は図1(A)におけるI−I線断面図、(B)はII−II断面図である。
図3】(A)は製本型折り畳み情報通信体Jを製本状態に展開した様子を示す断面図、(B)は展開時の斜視図である。
図4】本発明の製本型折り畳み情報通信体Jの作製に使用する製本型折り畳み情報通信体シートSの展開図であり、(A)はその表面図、(B)は裏面図である。
図5図4(A)におけるIII−III線断面図である。
図6】(A)は図4及び図5における製本型折り畳み情報通信体シートSを、折り線5(折りミシンが形成されている)から各葉片の裏面側が対向するように二つ折りにした状態の表面図、(B)は裏面図である。
図7】(A)は図6(A)におけるIV−IV線断面図、(B)はV−V線断面図である。
図8】疑似接着フィルムシートGの部分拡大断面図である。
図9】(A)は剥離口における非接着域の異なる態様を示す断面図、(B)は連接される2葉片を1枚の疑似接着フィルムで折り線5をまたいで連続的に被覆するのではなく、2葉片それぞれに異なる疑似接着フィルムシートGが被覆されている場合を示す断面図である。
図10】折り線に形成された折りミシンの異なる態様(フィルムも貫通している)を示す断面図である。
図11】(A)は製本型折り畳み情報通信体シートSが連続的に印刷されている長尺シートの平面図、(B)は2丁の製本型折り畳み情報通信体シートSが印刷された枚葉シートの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。
[製本型折り畳み情報通信体J]
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、本発明の製本型折り畳み情報通信体Jは上から第一葉片1、第二葉片2、第三葉片3及び第四葉片4が折り線5(折りミシンが形成されている)、折り線6(折りミシンが形成されている)から折り畳まれている。そして各葉片の対向面は疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着され一体化されている。なお、第二葉片2及び第三葉片3の製本側縁辺に沿って、製本型折り畳み情報通信体Jの見開き状態が良好となるための折りミシンが、折り線7に形成されている。
【0015】
この製本型折り畳み情報通信体Jの受取人は、図1(A)、(B)の下側縁辺及び図2(B)の右端部に二点鎖線で示す切取線Zを鋏やカッター等で切り落とし、図2(A)に示すところの、各対向葉片の開封側端に沿って形成されている疑似接着フィルムシートGが被覆されていない非接着域から、図3(A)及び(B)に示すように各対向葉片を剥離することができる。
【0016】
なお、前記製本型折り畳み情報通信体Jの下側縁辺を鋏やカッター等で切り落として開封する動作を、製造の最終段階で切り落とし工程を設けておくことにより省略しておけば極めて至便である。
【0017】
そして図3(A)及び(B)に示すよう見開き状態に剥離展開された折り畳み情報通信体Jの各葉片は、第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4においては対向面間に折り線5をまたがって被覆されている疑似接着フィルムシートGにより脱落することはなく、第二葉片2と第三葉片3においてもその製本部分が完全接着フィルムシートK同士の接着により剥離不能に強固に接着されているため脱落することはない。
【0018】
既述の通り見開き状に展開された製本型折り畳み情報通信体Jの各葉片は、内部に隠蔽されていた各葉片の表面が透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGに被覆された状態となっており、受取人は前記疑似接着フィルムシートを透して隠蔽されていた情報を確認することができるのである。
【0019】
[製本型折り畳み情報通信体Jの製造方法]
図4(A)及び(B)は本製本型折り畳み情報通信体Jの製造に使用する、製本型折り畳み情報通信体シートSの表面図及び裏面図である。前記製本型折り畳み情報通信体シートSは、4葉片が交差する折り線5及び6(何れも折りミシンが形成されている)を介して田の字状に連接されている。そして同図(A)に示すように、第二葉片2及び第三葉片3の略全面に疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に折り線5をまたいで帯状に4葉片の表面に完全接着フィルムシートKが被覆されている。
なお第二葉片2及び第三葉片3における疑似接着フィルムシートGと完全接着フィルムシートの境目の間隙に設けられた折り線7には、既述の通り製本状態を良好にするための折りミシンがさらに形成されている。
【0020】
また図4(B)に示すように、製本型折り畳み情報通信体シートSの裏面側には左右の縁辺を残してほぼ全面的に疑似接着フィルムシートGが被覆されている。
【0021】
そして製本型折り畳み情報通信体シートSを製本型折り畳み情報通信体Jに仕上げるには、まず図4(B)及び図5に円弧状の矢印で示すように、折り線5(折りミシンが形成されている)から第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4の裏面同士が対向するように折り畳み、図6(A)、(B)及び図7(A)、(B)に示す状態に二つ折りする。
【0022】
続いて図7(B)に示すように、折り線6(折りミシンが形成されている)から第二葉片2及び第三葉片3の表出面側を対向させて折り畳み、図2(B)に示す状態に仕上げる。そしてその状態で、例えばヒートローラ等により加圧・加熱処理を施すことにより、対向する疑似接着フィルムシート同士は剥離可能に、また完全接着フィルムシート同士は剥離不能にそれぞれ接着されるのである。
【0023】
なお本発明は前記実施例に限られるものではない。
例えば第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4の開封側端に沿って形成する非接着域は、図9(A)に示すように、何れかの葉片に被覆されている疑似接着フィルムシートGが開封側端いっぱいにまで延長されて被覆されていても構わない。
【0024】
また既述の実施例では第一葉片1と第二葉片2及び第三葉片3と第四葉片4を連接する折り線5をまたいで、一枚の疑似接着フィルムシートGが連続的に被覆されているが、図9(B)に示すように、各葉片にそれぞれ1枚の疑似接着フィルムシートGが被覆され折り線5をまたがない(被覆していない)構成でも構わない。
【0025】
さらにまた各折り線5、6及び7に形成される折りミシンは、製本型折り畳み情報通信体Jの剥離展開に際してストレスなく実行できるための配慮であるが、前記折りミシンは既述の各葉片を形成するシートのみを貫通する態様であってもよく、或いは図10(A)及び(B)に示すように、被覆されている各種フィルムシートも含めて共に貫通していても構わない。また折りミシンではなく折り筋等の他の折り手段に変えてもよく、或いは折り手段を形成せずに直接折り込んでも構わない。
【0026】
また、本発明の製本型折り畳み情報通信体は、図11(A)に示すように製本型折り畳み情報通信体シートSが連続的に印刷された長尺シートを使用するビジネスフォーム印刷や輪転印刷により製造することができるが、同図(B)に示すように単数或いは複数丁の製本型折り畳み情報通信体シートS(同図では2丁印刷されている)が印刷された枚葉シートから製造することもできる。
【符号の説明】
【0027】
J 製本型折り畳み情報通信体
S 製本型折り畳み情報通信体シート
G 疑似接着フィルムシート
K 完全接着フィルムシート
Z 切取線
1、2、3、4 葉片
5、6、7 折り線(折りミシンが形成されている)
11 基材
12 感熱接着剤層
13 疑似接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11