(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688511
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ストーブ
(51)【国際特許分類】
F23B 90/04 20110101AFI20200421BHJP
F23B 60/00 20060101ALI20200421BHJP
F23B 80/04 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
F23B90/04
F23B60/00
F23B80/04
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-23096(P2018-23096)
(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公開番号】特開2019-138575(P2019-138575A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年1月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年11月28日 ウェブサイトに掲載 https://www.yama−michi.biz/single−post/2017/11/28/MOKI%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%96%E3%81%AE%E6%94%B9%E9%80%A0%E3%82%92%E8%A9%A6%E3%81%BF%E3%82%8B−%E3%81%9D%E3%81%AE2
(73)【特許権者】
【識別番号】518036740
【氏名又は名称】田山 祐智
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】田山 祐智
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−170760(JP,A)
【文献】
実開平02−092430(JP,U)
【文献】
特開平10−019216(JP,A)
【文献】
米国特許第06588350(US,B1)
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0103685(KR,A)
【文献】
米国特許第04856491(US,A)
【文献】
中国実用新案第206771433(CN,U)
【文献】
実開昭50−025367(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第2592340(EP,A2)
【文献】
特開2017−009175(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0196637(US,A1)
【文献】
特開昭59−221504(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02096302(GB,A)
【文献】
特開2015−165179(JP,A)
【文献】
特開2016−090168(JP,A)
【文献】
実開昭59−195346(JP,U)
【文献】
特開昭53−043247(JP,A)
【文献】
米国特許第05016609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 90/04
F23B 60/00
F23B 80/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部により囲繞され内部に空気が供給され固体燃料を燃焼させるための熱空間を有した本体を備え、該本体の前側に上記熱空間内に固体燃料を投入する開閉可能な燃料投入口を形成し、上記熱空間の水平方向途中に、下側に燃焼ガスが通過する通過開口を形成して該熱空間を仕切る仕切り板を設け、該仕切り板よりも前側の熱空間を、上記燃料投入口から投入された固体燃料を燃焼させる一次燃焼室として構成し、上記仕切り板よりも後側の熱空間に、上記一次燃焼室から通過開口を通って流入する燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼室を形成し、該二次燃焼室の上側に、煙突に連通し排ガスを排気する排気口を形成したストーブにおいて、
上記仕切り板の後側の表面に、互いに対面して上記通過開口からの燃焼ガスを上記排気口に向けて導く一対のガイド板を設け、該一対のガイド板の上記通過開口側の間隔よりも上記排気口側の間隔の方を狭く設定し、
上記一対のガイド板を該ガイド板より後側にあって該仕切り板に対向する後壁体に接合し、該仕切り板,後壁体及びガイド板で囲繞され、下側に燃焼ガスの入口を有し上側に出口を有したガイド空間を形成し、該ガイド空間の入口を上記通過開口を通過する燃焼ガスの全てが流入するように形成し、上記出口を排気ガスの全てが上記排気口に流出するように該排気口に接続し、該ガイド空間を、二次燃焼室として構成し、
上記仕切り板に直交する軸線を有するとともに一端開口及び他端開口を有し上記排気口が形成される筒状の排気口部を備え、該排気口部の一端開口を上記仕切り板に接合して閉塞し、上記排気口部の他端開口を上記本体の外部に位置させ、該排気口部の一端開口側の下部に上記ガイド空間の出口が接続される排気口を形成し、該排気口部の一端開口側の上部を、上記ガイド空間の出口から流出する排気ガスが衝止する衝止壁として構成したことを特徴とするストーブ。
【請求項2】
上記一対のガイド板の少なくともいずれか一方のガイド板の一部若しくは全部を、該一対のガイド板の間隔が、下側から上側に向けて漸次狭くなるように傾斜形成したことを特徴とする請求項1記載のストーブ。
【請求項3】
上記仕切り板に対向する後壁体を、上記本体を構成する壁部とは別に設け、上記熱空間を構成する底壁体を、上記本体を構成する壁部とは別に設け、上記後壁体の後端縁及び底壁体の下端縁を連設し、上記本体の下側から後側に亘り、上記後壁体,底壁体,本体を構成する壁部により囲繞され空気が供給される空気供給空間を形成し、該空気供給空間を形成する本体の前側の壁部に開度調整可能な空気取入口を設け、上記後壁体の上側及び上記仕切り板の上側に上記空気供給空間に供給された空気を上記一次燃焼室に吹出す吹出し開口を形成したことを特徴とする請求項1または2記載のストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪等の固体燃料を燃焼させて主に暖房用に用いるストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のストーブとして、例えば、特開2012−78050号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。
図9に示すように、このストーブSaは、薪からなる固体燃料Wを燃焼させるもので、壁部により囲繞され内部に空気が供給されて固体燃料Wを燃焼させるための熱空間Eを有した金属製の本体100を備え、本体100の前壁部101に、熱空間E内に固体燃料Wを投入する開閉可能な燃料投入口102を形成し、熱空間Eの水平方向途中に、下側に燃焼ガスが通過する通過開口103を形成して熱空間Eを仕切る金属製の仕切り板104を設け、仕切り板104よりも前側の熱空間Eを、燃料投入口102から投入された固体燃料Wを燃焼させる一次燃焼室Eaとして構成し、仕切り板104よりも後側の熱空間Eを、一次燃焼室Eaから通過開口103を通って流入する燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼室Ebとして構成し、二次燃焼室Ebの上側の天井壁部105に、煙突106に連通し排ガスを排気する排気口107を形成している。仕切り板104には、燃焼ガスが通過する多数の小孔108が形成されている。本体100壁部には、開度調整可能で熱空間E内に空気を供給する図示外の空気供給口が設けられている。
【0003】
そして、このストーブSaにより、固体燃料Wを燃焼させるときは、燃料投入口102から固体燃料Wを一次燃焼室Eaに投入して着火する。一次燃焼室Eaで固体燃料Wが燃焼すると、燃焼ガスが二次燃焼室Ebに至って更に燃焼が進み、煙突106から排気されていく。この場合、燃焼の拡大に伴って仕切り板104が赤熱し、燃焼ガスがこれに接触することから、燃焼が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−78050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のストーブSaにあっては、仕切り板104を設けてこれを発熱させ、二次燃焼室Ebでの燃焼を促進させるようにしているが、燃焼ガスが仕切り板104の小孔108を通過するので、仕切り板104の下側の通過開口103を通って二次燃焼室Ebに流入する燃焼ガスの流れが緩慢になってしまい、二次燃焼室Ebでの温度が高温になりにくく、燃焼が必ずしも円滑に行われないことがあるという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、二次燃焼室をより一層高温になり易くするようにして、二次燃焼室での燃焼効率の向上を図ったストーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明のストーブは、壁部により囲繞され内部に空気が供給され固体燃料を燃焼させるための熱空間を有した本体を備え、該本体の前側に上記熱空間内に固体燃料を投入する開閉可能な燃料投入口を形成し、上記熱空間の水平方向途中に、下側に燃焼ガスが通過する通過開口を形成して該熱空間を仕切る仕切り板を設け、該仕切り板よりも前側の熱空間を、上記燃料投入口から投入された固体燃料を燃焼させる一次燃焼室として構成し、上記仕切り板よりも後側の熱空間に、上記一次燃焼室から通過開口を通って流入する燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼室を形成し、該二次燃焼室の上側に、煙突に連通し排ガスを排気する排気口を形成したストーブにおいて、
上記仕切り板の後側の表面に、互いに対面して上記通過開口からの燃焼ガスを上記排気口に向けて導く一対のガイド板を設け、該一対のガイド板の上記通過開口側の間隔よりも上記排気口側の間隔の方を狭く設定した構成としている。
ガイド板は、金属製,石製,セラミック製等、耐熱性があれば、どのような材質のもので形成しても良い。
【0007】
これにより、固体燃料を燃焼させるときは、燃料投入口から固体燃料を一次燃焼室に投入して着火する。燃焼室には空気が供給されるので、一次燃焼室で固体燃料が燃焼していき、燃焼ガスが仕切り板の通過開口を通って二次燃焼室に至って更に燃焼が進み、排気口から煙突を通って排気されていく。この際、燃焼により発生する炎及び燃焼ガスのうち、通過開口を通りきらなかった範囲は、仕切り板によって一次燃焼室内を再び対流し、新たに供給される空気と混ぜ合わさることで一次燃焼室での再燃焼を繰り返し、一次燃焼室の炉内温度を長時間に渡り高く保ち続ける。また、二次燃焼室においては、仕切り板に設けられたガイド板が通過開口からの燃焼ガスを排気口に向けて導くが、一対のガイド板の間隔は、通過開口側よりも排気口側の方が狭く設定されているので、流速が増し、そのため、燃焼ガスが集約されて集中的に燃焼するので、燃焼をより一層促進して高温になり易くすることができ、二次燃焼室での燃焼効率の向上を図ることができる。この結果、本体の壁部の加熱効率が増し、暖房機能を向上させることができる。
【0008】
この場合、上記一対のガイド板の少なくともいずれか一方のガイド板の一部若しくは全部を、該一対のガイド板の間隔が、下側から上側に向けて漸次狭くなるように傾斜形成したことが有効である。傾斜は、直線的でも良く、また、ガイド板を湾曲させて曲線的にしても良い。ガイド板の間隔が、下側から上側に向けて漸次狭くなるので、燃焼ガスの集約が円滑に行われる。
【0009】
また、必要に応じ、上記一対のガイド板の組を、複数組設けた構成としている。燃焼ガスを、段階的に集約したり、複数個所で集約できるので、燃焼をより一層促進して高温になり易くすることができ、二次燃焼室での燃焼効率の向上を図ることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記一対のガイド板を該ガイド板より後側にあって該仕切り板に対向する後壁体に接合し、該仕切り板,後壁体及びガイド板で囲繞され、下側に燃焼ガスの入口を有し上側に出口を有したガイド空間を形成した構成としている。ガイド板と後壁体とは、離間していても、ガイド板による燃焼ガスの集約を行うことができるが、この構成では、一対のガイド板が後壁体に接合され、下側に燃焼ガスの入口を有し上側に出口を有したガイド空間が形成されるので、燃焼ガスが逃げにくくなり、そのため、確実に燃焼ガスを集約することができ、より一層、燃焼効率の向上を図ることができる。
【0011】
そしてまた、必要に応じ、上記一対のガイド板を該ガイド板より後側にあって該仕切り板に対向する後壁体に接合し、該仕切り板,後壁体及びガイド板で囲繞され、下側に燃焼ガスの入口を有し上側に出口を有したガイド空間を形成し、該ガイド空間の入口を上記通過開口を通過する燃焼ガスの全てが流入するように形成し、上記出口を排気ガスの全てが上記排気口に流出するように該排気口に接続し、該ガイド空間を、二次燃焼室として構成している。
これにより、ガイド空間が二次燃焼室となり、一次燃焼室からの燃焼ガスは、全てガイド板にガイドされて集約させられ、他に逃げることなく排気口へ向かうので、燃焼ガスをより一層集中的に集約して燃焼させることができ、燃焼をより一層促進して燃焼効率の向上を図ることができる。
【0012】
この場合、上記仕切り板に直交する軸線を有するとともに一端開口及び他端開口を有し上記排気口が形成される筒状の排気口部を備え、該排気口部の一端開口を上記仕切り板に接合して閉塞し、上記排気口部の他端開口を上記本体の外部に位置させ、該排気口部の一端開口側の下部に上記ガイド空間の出口が接続される排気口を形成し、該排気口部の一端開口側の上部を、上記ガイド空間の出口から流出する排気ガスが衝止する衝止壁として構成したことが有効である。
これにより、ガイド空間が二次燃焼室となり、この二次燃焼室の出口から流出する排気ガスが排気口部の衝止壁に衝止するので、それだけ二次燃焼室の燃焼ガスの圧力が高まるとともに、排気口部での排気ガスの燃焼も促進され、より一層、確実に燃焼効率を向上させることができる。
【0013】
また、必要に応じ、上記仕切り板に対向する後壁体を、上記本体を構成する壁部とは別に設け、上記熱空間を構成する底壁体を、上記本体を構成する壁部とは別に設け、上記後壁体の後端縁及び底壁体の下端縁を連設し、上記本体の下側から後側に亘り、上記後壁体,底壁体,本体を構成する壁部により囲繞され空気が供給される空気供給空間を形成し、該空気供給空間を形成する本体の前側の壁部に開度調整可能な空気取入口を設け、上記後壁体の上側及び上記仕切り板の上側に上記空気供給空間に供給された空気を上記一次燃焼室に吹出す吹出し開口を形成した構成としている。
【0014】
これにより、燃焼空気は、本体の前側の空気取入口から取り入れられ、本体の下側から後側に亘って設けられる空気供給空間を通り、吹出し開口から一次燃焼室に吹き出していく。この場合、燃焼空気は、この空気供給空間において、熱空間を構成する底壁体及び後壁体で加温されることから、一次燃焼室には、加温空気が供給されることになり、しかも、一次燃焼室の上から吹出すので、一次燃焼室での燃焼効率を向上させることができ、二次燃焼室での燃焼ガスの分解度を増すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一次燃焼室からの燃焼ガスが仕切り板の通過開口を通って二次燃焼室に至って更に燃焼が進む際、燃焼により発生する炎及び燃焼ガスのうち、通過開口を通りきらなかった範囲は、仕切り板によって一次燃焼室内を再び対流し、新たに供給される空気と混ぜ合わさることで一次燃焼室での再燃焼を繰り返し、一次燃焼室の炉内温度を長時間に渡り高く保ち続ける。また、二次燃焼室においては、仕切り板に設けられたガイド板が通過開口からの燃焼ガスを排気口に向けて導くが、一対のガイド板の間隔は、通過開口側よりも排気口側の方が狭く設定されているので、流速が増し、そのため、燃焼ガスが集約されて集中的に燃焼するので、燃焼をより一層促進して高温になり易くすることができ、二次燃焼室での燃焼効率の向上を図ることができる。この結果、本体の壁部の加熱効率が増し、暖房機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るストーブを示す側面断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るストーブを示す正面断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るストーブの要部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るストーブの仕切り板及びガイド板の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るストーブにおいて、ガイド板の変形例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るストーブにおいて、ガイド板の別の変形例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は斜視図である。
【
図7】本発明の別の実施の形態に係るストーブを示し、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【
図8】本発明の別の実施の形態に係るストーブの仕切り板及びガイド板の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るストーブについて詳細に説明する。
図1乃至
図4に示すように、本発明の実施の形態に係るストーブSは、鉄などの金属板で形成された本体1と、本体1を支持する脚体2とを備えて構成され、薪からなる固体燃料Wを燃焼させるものである。本体1は、底壁部3,左右一対の側壁部4,天井壁部5,前壁部6及び後壁部7からなり、本体1の内部には、これらの壁部3,4,5,6,7により囲繞され空気が供給されて固体燃料Wを燃焼させる熱空間Eが設けられている。本体1の内部には、本体1を構成する壁部3,4,5,6,7とは別に設けられるとともに、後壁部7に対面して設けられ左右端縁が一対の側壁部4間に溶接等で固定されて架設される後壁体10と、同様に、本体1を構成する壁部3,4,5,6,7とは別に設けられるとともに、底壁部3に対面して設けられ左右端縁が一対の側壁部4間に固定されて架設され、前端縁が前壁部6に固定される底壁体11とが設けられている。後壁体10及び底壁体11は、金属製の板で形成されており、後壁体10の後端縁及び底壁体11の下端縁は連設されている。これにより、熱空間Eは、後壁体10,底壁体11,上記の側壁部4,天井壁部5及び前壁部6で囲繞されて構成されている。
【0018】
本体1の前壁部6には、熱空間E内に固体燃料Wを投入する開閉可能な燃料投入口12が設けられているとともに、灰を取り出す開閉可能な灰取出し口13が設けられている。また、熱空間Eの水平方向途中には、下側に燃焼ガスが通過する通過開口14を形成して熱空間Eを仕切る金属製の仕切り板15が設けられている、仕切り板15は、その左右端縁部が一対の側壁部4の内壁に内側に突出して溶接等で固定された複数の取付板16にビス等で取付けられ、一対の側壁部4間に架設されている。そして、この仕切り板15よりも水平方向前側の熱空間Eが、燃料投入口12から投入された固体燃料Wを燃焼させる一次燃焼室Eaとして構成され、仕切り板15よりも水平方向後側の熱空間Eに、一次燃焼室Eaから通過開口14を通って流入する燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼室Ebが形成される。また、二次燃焼室Ebの上側には、煙突17に連通し排ガスを排気する排気口18が形成されている。
【0019】
詳しくは、仕切り板15の後側の表面には、互いに対面して通過開口14からの燃焼ガスを排気口18に向けて導く一対のガイド板20が設けられている。ガイド板20は、前端縁21,後端縁22,上端縁23及び下端縁24を有した、上下方向に長い鉄などの矩形状の金属板であり、前端縁21が、仕切り板15の後側の表面に溶接固定されている。そして、一対のガイド板20は、その間隔Lが通過開口14側よりも排気口18側の方が狭くなるように形成されている。具体的には、一対のガイド板20の少なくともいずれか一方(実施の形態では両方)のガイド板20の一部若しくは全部(実施の形態では全部)が、一対のガイド板20の間隔Lが、下側から上側に向けて漸次狭くなるように傾斜形成されている。実施の形態では、各ガイド板20は弧状に湾曲形成されて、傾斜させられている。更に、
図2に示すように、正面から見て、一対のガイド板20は互いに鏡面対称に配置され、これらのガイド板20の下端縁24は対応する側壁部4に接触させられ、上端縁23は仕切り板15の中央上部に位置させられている。
【0020】
また、後壁体10は、一対のガイド板20より後側にあって仕切り板15に平行に対向しており、ガイド板20の後端縁22と後壁体10とは、離間していても良いが、実施の形態では、この一対のガイド板20は、その後端縁22が後壁体10に接合させられている。これにより、仕切り板15,後壁体10及びガイド板20で囲繞され、下側に燃焼ガスの入口26を有し上側に出口27を有したガイド空間28が形成される。更に、ガイド空間28の入口26は、ガイド板20の下端縁24が対応する側壁部4に接触させられているので、通過開口14を通過する燃焼ガスの全てが流入するように形成されているとともに、出口27は、排気ガスの全てが排気口18に流出するように排気口18に接続されている。これにより、ガイド空間28は、二次燃焼室Ebとして構成されることになる。
【0021】
次に、ガイド空間28の出口27と排気口18との接続について、詳しく説明する。本体1の後側上部には、排気口部30が設けられている。排気口部30は、仕切り板15に直交する軸線Pを有するとともに一端開口31及び他端開口32を有し、排気口18が形成される筒状の金属製の部材である。この排気口部30は、その一端開口31が仕切り板15に接合させられて閉塞されており、他端開口32側は、後壁体10及び後壁部7を貫通しており、他端開口32は本体1の外部に位置させられている。後壁部7を貫通して本体1の外に露出した露出部33には、煙突17が取付けられる。
【0022】
また、この排気口部30の一端開口31側の下部に、ガイド空間28(二次燃焼室Eb)の出口27に対応した排気口18が形成されており、このガイド空間28(二次燃焼室Eb)の出口27と、排気口部30の排気口18が直接連設されて接続されている。また、排気口部30の一端開口31側の上部、即ち、ガイド空間28(二次燃焼室Eb)の出口27に対向する部位は、ガイド空間28(二次燃焼室Eb)の出口27から流出する排気ガスが衝止する衝止壁34として構成されている。
【0023】
更に、上述もしたように、仕切り板15に対向する後壁体10は、金属製の板で形成されて本体1を構成する壁部3,4,5,6,7とは別に設けられ、熱空間Eを構成する底壁体11は、金属製の板で形成されて本体1を構成する壁部3,4,5,6,7とは別に設けられ、後壁体10の後端縁22及び底壁体11の下端縁24は連設されているが、これにより、本体1の下側から後側に亘り、後壁体10,底壁体11,本体1を構成する壁部(前壁部6の下側,一対の側壁部4の下側及び後壁部7)により囲繞され、空気が供給される空気供給空間40が形成される。空気供給空間40を形成する本体1の前壁部6の下側には、開度調整可能な空気取入口41が設けられている。また、後壁体10の上側及び仕切り板15の上側には、空気供給空間40に供給された空気を一次燃焼室Eaに吹出す吹出し開口42,43が形成されている。実施の形態では、後壁体10の上縁及び仕切り板15の上縁は、天井壁部5から僅かに離間しており、ここの離間した開口が吹出し開口42,43として構成されている。
【0024】
従って、この実施の形態に係るストーブSにより、薪からなる固体燃料Wを燃焼させるときは、
図1に示すように、燃料投入口12から固体燃料Wを一次燃焼室Eaに投入して着火する。空気取入口41からは空気供給空間40を通って後壁体10の上側の吹出し開口42及び仕切り板15の上側の吹出し開口43から一次燃焼室Eaに燃焼空気が供給されるので、一次燃焼室Eaで固体燃料Wが燃焼していき、燃焼ガスが通過開口14を通り二次燃焼室Ebに至って更に燃焼が進み、煙突17から排気されていく。
【0025】
この場合、燃焼空気は、空気供給空間40において、熱空間Eを構成する底壁体11及び後壁体10で加温されることから、一次燃焼室Eaには、加温空気が供給されることになり、しかも、一次燃焼室Eaの上から吹出すので、一次燃焼室Eaでの燃焼効率を向上させることができ、二次燃焼室Ebでの燃焼ガスの分解度を増すことができる。
【0026】
また、燃焼室Ea,Ebでの燃焼の際には、燃焼により発生する炎及び燃焼ガスのうち、通過開口14を通りきらなかった範囲は、仕切り板15によって一次燃焼室Ea内を再び対流し、新たに供給される空気と混ぜ合わさることで一次燃焼室Eaでの再燃焼を繰り返し、一次燃焼室Eaの炉内温度を長時間に渡り高く保ち続ける。また、二次燃焼室Ebにおいては、仕切り板15に設けられたガイド板20が通過開口14からの燃焼ガスを排気口18に向けて導くが、一対のガイド板20の間隔Lは、通過開口14側よりも排気口18側の方が狭く設定されているので、流速が増し、そのため、燃焼ガスが集約されて集中的に燃焼するので、燃焼をより一層促進して高温になり易くすることができ、二次燃焼室Ebでの燃焼効率の向上を図ることができる。特に、ガイド板20の間隔Lが、下側から上側に向けて漸次狭くなるので、燃焼ガスの集約が円滑に行われる。
【0027】
また、この場合、ガイド板20と後壁体10とは、離間していても、ガイド板20による燃焼ガスの集約を行うことができるが、実施の形態では、一対のガイド板20は、後壁体10に接合しており、これにより、下側に燃焼ガスの入口26を有し上側に出口27を有したガイド空間28が形成されるので、燃焼ガスが逃げにくくなり、そのため、確実に燃焼ガスを集約することができ、より一層、燃焼効率の向上を図ることができる。特に、ガイド空間28の入口26を通過開口14を通過する燃焼ガスの全てが流入するように形成し、出口27を排気ガスの全てが排気口18に流出するように排気口18に接続したので、ガイド空間28が二次燃焼室Ebとなり、一次燃焼室Eaからの燃焼ガスは、全てガイド板20にガイドされて集約させられ、他に逃げることなく排気口18へ向かうので、燃焼ガスをより一層集中的に集約して燃焼させることができ、燃焼をより一層促進して燃焼効率の向上を図ることができる。
【0028】
更に、二次燃焼室Ebの出口27から流出する排気ガスが排気口部30の衝止壁34に衝止するので、それだけ二次燃焼室Ebの燃焼ガスの圧力が高まるとともに、排気口部30での排気ガスの燃焼も促進され、より一層、確実に燃焼効率を向上させることができる。この結果、本体1の壁部の加熱効率が増し、暖房機能を向上させることができる。
【0029】
図5には、ガイド板20の変形例を示している。ガイド板20は上記と同様に、上下方向に長い鉄などの矩形の金属板であり、仕切り板15に固定されるとともに後壁体10に接合されている。この一対のガイド板20においては、これらの一部である略下半分の間隔Lが、下側から上側に向けて漸次狭くなるように直線的に傾斜形成され、略上半分が等間隔になるように互いに平行に形成されている。
【0030】
図6には、ガイド板20の別の変形例を示している。ガイド板20は上記と同様に、上下方向に長い鉄などの矩形の金属板であり、仕切り板15に固定されるとともに後壁体10に接合されている。この一対のガイド板20においては、これらの全部の間隔Lが、下側から上側に向けて漸次狭くなるように直線的に傾斜形成されている。
【0031】
図7及び
図8には、本発明の別の実施の形態に係るストーブを示している。これは、上記と同様に構成されるが、上記とは二次燃焼室Ebの構成が異なっている。二次燃焼室Ebは、仕切り板15よりも後側の熱空間Eで構成されている。また、仕切り板15の後側の裏面には、一対のガイド板20の組が、複数組(本例では3組K1,K2,K3)設けられ、これらの組K1,K2,K3が、上下方向に間隔を隔てて列設されている。各ガイド板20は、上記と同様に、仕切り板15に固定されるとともに後壁体10に接合され、仕切り板15,後壁体10及びガイド板20で囲繞され、下側に燃焼ガスの入口26を有し上側に出口27を有したガイド空間28を形成している。また、各ガイド板20の組K1,K2,K3は、一対のガイド板20の間隔Lが、下側から上側に向けて漸次狭くなるように直線的に傾斜形成されている。各ガイド板20の組において、一対のガイド板20の下端縁24の間隔Lは、通過開口14の幅よりも小さくなっており、通過開口14から流入する燃焼ガスがガイド板20の外側へも流れるようになっている。上段のガイド板20の組K1のガイド空間28は、その出口27が排気口18に接続されている。これにより、燃焼ガスを、段階的に集約したり、複数個所で集約できるので、燃焼をより一層促進して高温になり易くすることができ、二次燃焼室Ebでの燃焼効率の向上を図ることができる。
【0032】
尚、上記実施の形態におい
て、熱空間Eを、後壁体10,底壁体11,側壁部4,天井壁部5及び前壁部6で囲繞して構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、従来技術のように、後壁部7を後壁体として構成し、熱空間Eを、底壁部3,側壁部4,天井壁部5,前壁部6及び後壁部7で囲繞して構成し、即ち、熱空間Eを本体1そのもので構成し、ガイド板20を仕切り板15と後壁部7との間に設けるようにしても良く、適宜変更して差支えない。この場合には、空気供給空間40はなくなり、燃焼空気は、本体1の壁部に設けた空気供給口から供給するようになる。
【0033】
更に、本体1の形状も、上記の形状に限定されるものではなく、例えば、底壁部3,側壁部4,天井壁部5を連設して円筒状に形成する等、どのような形状に形成しても良い。また、上記実施の形態では、底壁部3,側壁部4,天井壁部5,前壁部6,後壁部7,後壁体10,底壁体11,仕切り板15,ガイド板20,排気口部30を金属製にしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、石製,セラミック製等、耐熱性があれば、どのような材質のもので形成しても良い。更にまた、上記実施の形態では、固体燃料Wとして薪の場合で説明したが、固体燃料Wとしては、薪に限定されるものではなく、泥炭,石炭,褐炭,瀝青炭,無煙炭,コークス,練炭,木質ペレット,オガライト,オガ炭,木炭,蝋,各種固形燃料等どのようなものでも良いことは勿論である。要するに、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
S ストーブ
W 固体燃料
1 本体
2 脚体
3 底壁部
4 側壁部
5 天井壁部
6 前壁部
7 後壁部
10 後壁体
11 底壁体
12 燃料投入口
13 灰取出し口
14 通過開口
15 仕切り板
16 取付板
E 熱空間
Ea 一次燃焼室
Eb 二次燃焼室
17 煙突
18 排気口
20 ガイド板
21 前端縁
22 後端縁
23 上端縁
24 下端縁
L 間隔
26 入口
27 出口
28 ガイド空間
30 排気口部
P 軸線
31 一端開口
32 他端開口
33 露出部
34 衝止壁
40 空気供給空間
41 空気取入口
42,43 吹出し開口