(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記除霜制御部が、前記上部熱交換要素と前記中央熱交換要素とを同時に除霜し、除霜される前記熱交換要素を前記上部熱交換要素から前記下部熱交換要素に切り替えて、前記中央熱交換要素と前記下部熱交換要素を同時に除霜することを特徴とする請求項6記載の空気調和機。
前記除霜制御部が、前記上部熱交換要素の除霜を開始してから終了するまでの間、前記中央熱交換要素を除霜するとともに、前記下部熱交換要素の除霜を開始してから終了するまでの間、前記中央熱交換要素を除霜することを特徴とする請求項6記載の空気調和機。
前記蓄熱槽から流出した冷媒が、前記圧縮機に流入してから、前記バイパス管を介して前記室外熱交換器に流れるように構成されていることを特徴とする請求項9記載の空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、大型の室外熱交換器であっても、除霜効果を低下させることなく、確実に除霜することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器を環状に接続してなる冷媒回路を有する空気調和機であって、前記室外熱交換器及び前記膨張弁の間に設けられた分配器と、一端が、前記分配器に接続され、他端が、前記室外熱交換器が有する複数の伝熱管に接続される複数の分配管と、一端が前記圧縮機に接続され、途中で分岐するとともに、複数の各他端が、前記分配管と前記伝熱管との接続部またはその近傍に接続されるバイパス管とをさらに具備することを特徴とするものである。
【0009】
このような空気調和機であれば、バイパス管の各他端が、分配管と伝熱管との接続部またはその近傍に接続されているので、分配管の流路抵抗をほとんど受けることなく、高温ガス冷媒を伝熱管に供給することができる。これにより、大型の室外熱交換器であっても、高温ガス冷媒の流量は減少せず、除霜効果を低下させることなく、確実に除霜することができる。
【0010】
複数の前記伝熱管が接続される補助分配器をさらに具備し、前記分配管の前記一端が、前記補助分配器を介して複数の前記伝熱管に接続されており、前記バイパス管の前記各他端が、前記補助分配器に接続されるものが好ましい。
これならば、バイパス管の各他端が、補助分配器に接続されるので、バイパス管の分岐を少なくすることができ、コスト削減や軽量化を図ることができる。
【0011】
具体的な実施の態様としては、前記室外熱交換器が複数設けられており、前記各室外熱交換器に対応して、前記分配器、前記分配管及び前記バイパス管がそれぞれ設けられているものが挙げられる。
【0012】
また、前記室外熱交換器が、複数の熱交換要素を有し、前記熱交換要素を個別に除霜して、除霜される前記熱交換要素を切り替える除霜制御部を更に備え、前記除霜制御部が、1つの熱交換要素の除霜を開始してから終了する前に、別の熱交換要素の除霜を開始することが好ましい。
【0013】
このような空気調和機であれば、除霜制御部が、1つの熱交換要素の除霜を開始してから終了する前に、別の熱交換要素の除霜を開始するので、除霜されている熱交換要素から生じた水が別の熱交換要素で凍ることを防ぐことができ、暖房運転を継続しながらも各熱交換要素を確実に除霜することができる。
【0014】
前記複数の熱交換要素が、上下方向に沿って設けられており、前記除霜制御部が、除霜される前記熱交換要素を、上側の熱交換要素から下側の熱交換要素に向かって順次切り替えるものが好ましい。
これならば、上側の熱交換要素を除霜することにより生じた水が、下側の熱交換要素で凍ることを確実に防ぐことができる。
【0015】
前記室外熱交換器が、上部熱交換要素、中央熱交換要素及び下部熱交換要素を有し、前記中央熱交換要素の容積が、前記上部熱交換要素の容積及び前記下部熱交換要素の容積よりも小さいことが好ましい。
これならば、中央熱交換要素の容積が小さいので、中央熱交換要素が高温になりやすく、上部熱交換要素の除霜により生じた水が中央熱交換要素で凍ることをより確実に防ぐことができる。
また、中央熱交換要素の容積が小さいので、中央熱交換要素の除霜により生じる水の量が少なくなり、下部熱交換要素には霜が生じにくくなり、ひいては下部熱交換要素の除霜時間を短くすることができる。
【0016】
前記除霜制御部が、前記上部熱交換要素と前記中央熱交換要素とを同時に除霜し、除霜される前記熱交換要素を前記上部熱交換要素から前記下部熱交換要素に切り替えて、前記中央熱交換要素と前記下部熱交換要素を同時に除霜するものが好ましい。
これならば、上部熱交換要素の除霜により生じる水が中央熱交換要素で凍ることをより確実に防ぐことができ、各熱交換要素をより確実に除霜することが可能になる。
【0017】
前記除霜制御部が、前記上部熱交換要素の除霜を開始してから終了するまでの間、前記中央熱交換要素を除霜するとともに、前記下部熱交換要素の除霜を開始してから終了するまでの間、前記中央熱交換要素を除霜することが好ましい。
これならば、上部熱交換要素と中央熱交換要素との間で生じる残氷や、下部熱交換要素と中央熱交換要素との間で生じる残氷を確実に防止することができる。
【0018】
前記圧縮機の熱を蓄熱する蓄熱槽をさらに具備し、前記蓄熱槽に蓄熱された熱により冷媒を加熱するとともに、この冷媒を前記バイパス管を介して前記室外熱交換器に流せるように構成されていることが好ましい。
これならば、圧縮機から放熱される熱を利用して冷媒を加熱することができ、除霜運転を高効率にすることができる。これにより、除霜運転時の暖房能力の低下を低減することができ、除霜運転時における使用者の快適性を損なわない。
【0019】
前記蓄熱槽から流出した冷媒が、前記圧縮機に流入してから、前記バイパス管を介して前記室外熱交換器に流れるように構成されていることが好ましい。
これならば、蓄熱槽から流出した冷媒が圧縮機でさらに高温になるため、除霜時間を短縮化することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、大型の室外熱交換器であっても、除霜効果を低下させることなく、確実に除霜することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下に本発明に係る空気調和機の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、第1実施形態における参照符号は、
図1〜
図3においてのみ使用する参照符号である。
【0023】
本実施形態に係る空気調和機100は、
図1に示すように、室内ユニット10と、室外ユニット20と、この室内ユニット10及び室外ユニット20に冷媒が流通できるように構成されたヒートポンプサイクル200とを備える。
【0024】
室内ユニット10には、互いに並列接続された減圧手段11A、11Bと、この減圧手段11A、11Bにそれぞれ直列に接続された室内熱交換器12A、12Bと、室内送風機13A、13Bとが設けられる。
【0025】
室外ユニット20には、四方弁21と、アキュムレータ22と、圧縮機23と、室外熱交換器24と、分配器25と、膨張弁26と、室外送風機27とが設けられる。
【0026】
ヒートポンプサイクル200は、減圧手段11A、11B、室内熱交換器12A、12B、四方弁21、室外熱交換器24、分配器25、膨張弁26とを、この順に接続されたメイン回路201と、アキュムレータ22、圧縮機23の順に接続され、四方弁21に接続される圧縮回路202とから構成される。
【0027】
ヒートポンプサイクル200は、四方弁21における4つのポートの開閉を制御することにより、メイン回路201における冷媒の流れを反転させ、冷房運転と暖房運転とを切換え可能に構成されている。具体的に、四方弁21は、冷房運転を行う場合は、圧縮機23から吐出された高温ガス冷媒を、室外熱交換器24に導入するようにし、暖房運転を行う場合は、圧縮機23から吐出された高温ガス冷媒を、室内熱交換器12A及び12Bに導入するように構成されている。
【0028】
ここで、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、室外熱交換器24及び分配器25の間に、複数の補助分配器251及び複数の分配管252が設けられている。
【0029】
補助分配器251は、室外熱交換器24の近傍に配置されるとともに、当該室外熱交換器24が有する複数の伝熱管241が接続されている。
図1には、3つの補助分配器251が設けられ、各補助分配器251に3本の伝熱管241が接続されている構成を示しているが、補助分配器251の数や各補助分配器251に接続される伝熱管241の本数は、上記の数に限られるものではない。
【0030】
分配管252は、分配器25と室外熱交換器24とを接続するとともに、分配器25から室外熱交換器24に流れる冷媒を分配して各伝熱管241に供給するものである。より具体的にこの分配管252は、一端が分配器25に接続され、他端が、補助分配器251に接続されるとともに、この補助分配器251を介して伝熱管241に接続されている。つまり、分配管252及び伝熱管241は、これらの間に介在する補助分配器251を介して接続されている。
【0031】
そして、本実施形態における空気調和機100は、
図1及び
図2に示すように、一端が圧縮機23の吐出側配管231に接続され、途中で分岐するとともに、複数の他端が、分配管252と伝熱管241との接続部またはその近傍に接続されるバイパス管30が設けられている。本実施形態では、上述したように、分配管252と伝熱管241との間(前記接続部)には補助分配器251が介在しており、バイパス管30の各他端は、補助分配器251に接続されている。
【0032】
具体的にこのバイパス管30は、圧縮機23の吐出側配管231に接続された主管31と、主管31に設けられた分岐点Pから分岐する複数の枝管32とを有している。枝管32の本数は、補助分配器251の設けられている数と同数であり、本実施形態では3本である。そして、これら枝管32の端部、すなわち、バイパス管30の各他端は、それぞれ異なる補助分配器251に接続されるように構成されている。
【0033】
なお、本実施形態では、バイパス管30における一端から分岐点Pまでの間、すなわち主管31上に、バイパス管30を開閉する二方弁33が設けられている。この二方弁33は、除霜時に図示しない制御部からの信号を受けて、バイパス管30を開状態にし、圧縮機23から室外熱交換器24に高温ガス冷媒を流すように構成されている。これにより、暖房運転を継続しながら室外熱交換器24の除霜をすることができる。
【0034】
このように構成された本実施形態に係る空気調和機100によれば、バイパス管30の各他端が、補助分配器251に接続されているので、分配管252の流路抵抗をほとんど受けることなく、高温ガス冷媒を伝熱管241に供給することができる。これにより、大型の室外熱交換器24であっても、高温ガス冷媒の流量は減少せず、除霜効果を低下させることなく、確実に室外熱交換器24の除霜をすることができ、ひいては、除霜時に高温ガス冷媒を分配管に流していた従来に比べて除霜時間を短くしながらも残霜を防止することが可能になる。
【0035】
また、バイパス管30の各他端が、補助分配器251に接続されるので、バイパス管30の枝管32の本数を少なくすることができ、コスト削減や軽量化を図ることができる。
【0036】
さらに、バイパス管30における一端から分岐点Pまでの間に二方弁33が設けられているので、この二方弁33によりバイパス管30を開状態にすれば、暖房運転をしながら除霜機能を発揮させることができる。
尚、バイパス管30の各他端を補助分配器251と分配管252との間の補助分配器251近傍に接続しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0037】
<第1実施形態の変形例>
なお、本発明は前記第1実施形態に限られるものではない。
【0038】
例えば、前記実施形態の空気調和機100は、単一の室外熱交換器24を具備するものであったが、
図3に示すように、複数の室外熱交換器24A、24Bを具備するように構成しても良い。より詳細には、この空気調和機100は、各室外熱交換器24A、24Bに対応して、分配器25A、25B、補助分配器251A、251B、分配管252A、252B及びバイパス管30A、30Bが設けられている。
【0039】
具体的にこの空気調和機100は、第1室外熱交換器24A及び第2室外熱交換器24Bを具備し、これら各室外熱交換器24A、24Bに対応して、第1分配器25A及び第2分配器25Bと、第1膨張弁26A及び第2膨張弁26Bとが設けられている。
【0040】
より詳細には、
図3に示すように、第1室外熱交換器24Aと第1分配器25Aとの間には、第1補助分配器251A及び複数の第1分配管252Aが設けられており、第2室外熱交換器24Bと第2分配器25Bとの間には、第2補助分配器251B及び複数の第2分配管252Bが設けられている。
なお、これらの補助分配器251A、251B及び分配管252A、252Bは、前記実施形態の補助分配器251及び分配管252と同じ構成を有するものである。
【0041】
また、
図3に示すように、各室外熱交換器24A、24Bに対応して、第1バイパス管30A及び第2バイパス管30Bが設けられている。この第1バイパス管30Aは、前記実施形態のバイパス管30と同じ構成を有するものである。第2バイパス管30Bは、第1バイパス管30Aの第1主管31Aから分岐した第2主管31Bと、第2主管31Bに設けられた分岐点P2から分岐する複数の枝管32Bとを有している。
なお、第1主管31Aには第1二方弁33Aが設けられており、第2主管31Bには第2二方弁33Bが設けられている。
【0042】
上述した構成により、大型の室外熱交換器24A、24Bであっても、除霜効果を低下させることなく、確実に除霜することが可能になるうえ、一方の室外熱交換器24A、24Bを除霜しているときに、他方の室外熱交換器24B、24Aを蒸発器として機能させることができるので、除霜時の暖房能力の低下を抑制することができる。
なお、バイパス管30A、30Bの各他端が、分配器25A、25Bと膨張弁26A、26Bとの間に接続されている従来の構成では、除霜に13分要するのに対して、バイパス管30A、30Bの各他端が、補助分配器251A、251Bに接続されている上述の構成では、除霜にかかる時間は5分で済み、従来に比べて除霜時間を短くすることができる。
【0043】
また、前記実施形態の空気調和機は、複数の補助分配器を具備していたが、補助分配器を具備せずに、分配管の各他端が、伝熱管に直接接続されていても良い。この場合は、分配管と伝熱管との接続部またはその近傍にバイパス管の各他端が接続されていれば良い。
なお、上述の近傍とは、接続部から上流側又は下流側(すなわち、接続部から熱交換器側又はその逆側)に、例えば、分配管全長の1/10未満の長さ離れた位置を言う。
【0044】
<第2実施形態>
以下に本発明に係る空気調和機の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態における参照符号は、
図4〜
図8においてのみ使用する参照符号である。
【0045】
本実施形態に係る空気調和機100は、
図4に示すように、室内ユニット10と、室外ユニット20と、この室内ユニット10及び室外ユニット20に高温ガス冷媒が流通できるように構成されたヒートポンプサイクル200とを備える。
【0046】
室内ユニット10には、互いに並列接続された減圧手段11A、11Bと、この減圧手段11A、11Bにそれぞれ直列に接続された室内熱交換器12A、12Bと、室内送風機13A、13Bとが設けられている。
【0047】
室外ユニット20には、四方弁21と、アキュムレータ22と、圧縮機23と、室外熱交換器24と、分配器25と、膨張弁26と、室外送風機27とが設けられている。
【0048】
室外熱交換器24は、複数の熱交換要素を有しており、本実施形態では、
図4に示すように、上下方向に沿って設けられた上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242を有するものである。
【0049】
これらの熱交換要素241、242は、それぞれ分配管251を介して分配器25に接続されており、各熱交換要素241、242には、それぞれ図示しない温度センサが設けられている。
【0050】
ヒートポンプサイクル200は、減圧手段11A、11B、室内熱交換器12A、12B、四方弁21、室外熱交換器24、分配器25、膨張弁26とを、この順に接続されたメイン回路201と、アキュムレータ22、圧縮機23の順に接続され、四方弁21に接続される圧縮回路202とから構成される。
【0051】
このヒートポンプサイクル200は、四方弁21における4つのポートの開閉を制御することにより、メイン回路201における高温ガス冷媒の流れを反転させ、冷房運転と暖房運転とを切換え可能に構成されている。具体的に、四方弁21は、冷房運転を行う場合は、圧縮機23から吐出された高温ガス冷媒を、室外熱交換器24に導入するようにし、暖房運転を行う場合は、圧縮機23から吐出された高温ガス冷媒を、室内熱交換器12A及び12Bに導入するように構成されている。
【0052】
ここで、本実施形態の空気調和機100には、一端が圧縮機23の吐出側配管231に接続され、途中で分岐するとともに、複数の他端が、分配管251に接続されるバイパス管30が設けられている。具体的にこのバイパス管30は、圧縮機23の吐出側配管231に接続された主管31と、主管31から分岐してそれぞれ分配管251に接続される複数の枝管たる第1枝管321及び第2枝管322とを有している。
【0053】
上述のバイパス管30は、第1枝管321に第1二方弁331が設けられ、第2枝管322に第2二方弁332が設けられ、これらの二方弁331、332が開状態になると、対応する枝管321、322に高温ガス冷媒が流れるように構成されている。この高温ガス冷媒は、各枝管321、322が接続される分配管251を経て各熱交換要素241、242に供給され、これにより当該各熱交換要素241、242が除霜される。
【0054】
そして、本実施形態における空気調和機100は、各熱交換要素241、242を個別に除霜して、除霜される熱交換要素241、242を上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242に切り替える図示しない除霜制御部が設けられている。
具体的にこの除霜制御部は、前記各二方弁331、332を開状態及び閉状態に切り替えることにより、除霜される熱交換要素241、242を切り替えるように構成されおり、本実施形態では、
図5に示すように、一方の熱交換要素241、242の除霜を開始してから終了する前に、他方の熱交換要素242、241を開始するように構成されている。
【0055】
より詳細には、前記除霜制御部は、上部熱交換要素241に設けられた図示しない温度センサからの信号を取得して、この温度センサの値が所定の第1下限値以下になったら、即ち上部熱交換要素241の温度が所定の第1下限温度以下になったら、上部熱交換要素241の除霜を開始するように構成されている。また、前記除霜制御部は、前記温度センサの値が所定の第2下限値以上になったら、即ち上部熱交換要素241の温度が所定の第2下限温度以上になったら、下部熱交換要素242の除霜を開始するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1下限温度は、第2下限温度よりも低い値に設定されている。
【0056】
具体的にこの除霜制御部は、上部熱交換要素241の温度が−5度以下になると第1二方弁331を開状態にして上部熱交換要素241の除霜を開始し、上部熱交換要素241の温度が0度以上になると第2二方弁332を開状態にして下部熱交換要素242の除霜を開始するように設定されている。
【0057】
また、この除霜制御部は、各熱交換要素241、242に設けられた図示しない温度センサの値がそれぞれ所定の上限値以上になったら、即ち各熱交換要素241、242の温度がそれぞれ所定の上限温度以上になったら、熱交換要素241、242の除霜を終了するように構成されている。具体的にこの除霜制御部は、各熱交換要素241、242の温度がそれぞれ2度以上になると各二方弁331、332を閉状態にして各熱交換要素241、242の除霜を終了するように設定されている。
なお、各熱交換要素241、242の上限温度は互いに等しい値に設定する必要はなく、自由に変更することが可能である。
【0058】
上述の設定により、除霜制御部は、
図5に示すように、上部熱交換要素241の除霜を開始してから終了する前に、下部熱交換要素242の除霜を開始することになり、本実施形態では、前記除霜制御部は、各熱交換要素241、242をそれぞれ約7分間除霜するとともに、上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242を約2分間同時に除霜する。
なお、上述した下限温度及び上限温度を変更することにより、各熱交換要素241、242の除霜される時間を自由に変更することが可能である。
【0059】
ここで、各熱交換要素241、242をそれぞれ除霜する除霜時間は、暖房運転時間と除霜時間との合計に対して、暖房運転時間が占める割合に基づいて算出されており、本実施形態では、暖房運転時間が暖房運転時間と除霜時間との合計の80%以上になるように算出されている。ただし、上述したように算出された除霜時間(本実施形態では7分)以内に霜が解ける場合は、各温度センサの値が上昇するので、この場合は除霜時間以内に除霜が終了することになる。
また、上述した各熱交換要素241、242をそれぞれ除霜する除霜時間(本実施形態では7分)には、上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242を同時に除霜する時間(本実施形態では2分)が含まれるようにしても良いし、含まれていないようにしても良い。
【0060】
このように構成された本実施形態に係る空気調和機100によれば、除霜制御部が、上部熱交換要素241の除霜を開始してから終了する前に、下部熱交換要素242の除霜を開始するので、始めに除霜されている上部熱交換要素241から生じた水が下部熱交換要素242で凍ることを防ぐことができ、空気調和機100の暖房能力の低下を防ぐことができる。
また、一方の熱交換要素241、242を除霜しながら、他方の熱交換要素242、241を蒸発器として働かせることにより、暖房運転を継続しながらも各熱交換要素241、242を確実に除霜することが可能になる。
【0061】
さらに、熱交換要素241、242が、上下方向に沿って設けられており、除霜制御部が、除霜される熱交換要素241、242を、上側の上部熱交換要素241から下側の下部熱交換要素242に向かって順次切り替えるので、上部熱交換要素241を除霜することにより生じた水が、下部熱交換要素242で凍ることを確実に防ぐことができる。
【0062】
<第2実施形態の変形例>
なお、本発明は前記第2実施形態に限られるものではない。
【0063】
例えば、前記実施形態の空気調和機100は、室外熱交換器24が上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242を有するものであったが、熱交換要素の数は限られるものではなく、例えば
図6の上段に示すように、上部熱交換要素241、下部熱交換要素242及び中央熱交換要素243を有するものであっても良い。
【0064】
より詳細には、この室外熱交換器24は、中央熱交換要素243の容積が、上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242の容積よりも小さくなるように構成されている。
具体的にこれら各熱交換要素241、242、243は、それぞれ分配管251を介して分配器25に接続されており、この分配管251には、バイパス管30の主管31から分岐する複数の枝管たる第1枝管321、第2枝管322及び第3枝管323が接続されている。また、これらの各枝管321、322、323には、それぞれ第1二方弁331、第2二方弁332及び第3二方弁333が設けられている。
そして、図示しない除霜制御部が、前記各二方弁331、332、333を開状態及び閉状態に切り替えることにより、除霜される熱交換要素241、242、243を切り替えるように構成されている。より詳細には、この除霜制御部は、
図6の下段に示すように、始めに上部熱交換要素241の除霜を開始して、当該上部熱交換要素241の除霜が終了する前に中央熱交換要素243の除霜を開始し、当該中央熱交換要素243の除霜が終了する前に下部熱交換要素242の除霜を開始するように構成されている。
なお、除霜制御部が各熱交換要素241、242、243の除霜を開始及び終了するタイミングは、前記実施形態と同様、各熱交換要素241、242、243に設けられた図示しない温度センサの値に基づいて制御されている。
【0065】
上述した構成によれば、中央熱交換要素243の容積が上部熱交換要素241及び下部熱交換要素242の容積よりも小さいので、中央熱交換要素243が高温になりやすく、上部熱交換要素241の除霜により生じた水が中央熱交換要素243で凍ることをより確実に防ぐことができる。
また、中央熱交換要素243の容積が小さいので、中央熱交換要素243の除霜により生じる水の量が減少し、これにより下部熱交換要素242に流れる水の量が少なくなることで、下部熱交換要素242の除霜時間を短くすることができる。
さらに、中央熱交換要素243の容積が小さいので、除霜中に蒸発器の能力を確保することができ、室内吹き出し温度が低下することを防ぐことで、連続暖房による不快感を軽減することが可能になる。
【0066】
また、上述したように、室外熱交換器24が上部熱交換要素241、中央熱交換要素243及び下部熱交換要素242を有する構成において、除霜制御部が、
図7に示すような制御で、各熱交換要素241、242、243の除霜を開始及び終了するように構成されていても良い。
即ち、この除霜制御部は、上部熱交換要素241と中央熱交換要素243との除霜を同時に開始し、中央熱交換要素243の除霜は継続したまま、除霜される熱交換要素を上部熱交換要素241から下部熱交換要素242に切り替えて、中央熱交換要素243と下部熱交換要素242との除霜を同時に終了するように構成されている。
この構成により、上部熱交換要素241の除霜により生じる水が中央熱交換要素243で凍ることをより確実に防ぐことができ、暖房運転を継続しながらも各熱交換要素241、242、243をより確実に除霜することが可能になる。
【0067】
上述した制御を実現するための具体的な構成としては、
図8に示す構成が挙げられる。
すなわち、ここでの空気調和機100は、分配管251と各熱交換要素241、242、243の伝熱管24a〜cとの間に介在する補助分配器25a〜cをさらに具備しており、この補助分配器25a〜cに主管31から分岐する第1枝管321及び第2枝管322が接続されている。
【0068】
より具体的には、第1枝管321は、途中でさらに2つに分岐して、一方が上部熱交換要素241に対応して設けられた補助分配器25aに接続され、他方が中央熱交換要素243に対応して設けられた補助分配器25cに接続されている。
また、第2枝管322は、途中でさらに2つに分岐して、一方が、下部熱交換要素242に対応して設けられた補助分配器25bに接続され、他方が中央熱交換要素243に対応して設けられた補助分配器25cに接続されている。
そして、第1枝管321及び第2枝管322は、分岐したあと、再び合流して補助分配器25cに接続されており、この合流点Xと各枝管321、322に設けられた分岐点P1、P2との間に、それぞれ逆止弁V1、V2が設けられている。
【0069】
上述した構成により、高温ガス冷媒を第1枝管321から上部熱交換要素241及び中央熱交換要素243に同時に供給することができ、また、高温ガス冷媒を第2枝管322から下部熱交換要素242及び中央熱交換要素243に同時に供給することができる。
【0070】
また、前記実施形態では、除霜制御部が、温度センサの値に基づいて各熱交換要素の除霜を開始及び終了していたが、図示しないタイマ等の値に基づいて、各熱交換要素を所定の時間除霜するように構成するとともに、各熱交換要素の除霜時間を所定の時間重複させるように構成しても良い。
尚、第1枝管321及び第2枝管322を補助分配器25a、25b、25cと分配管251との間の補助分配器25a、25b、25c近傍に接続しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0071】
さらに、空気調和機100は、
図9に示すように、圧縮機23を蓄熱する蓄熱槽40をさらに具備し、この蓄熱槽40に蓄熱された熱により加熱された冷媒が、バイパス管30を介して室外熱交換器24に流れるように構成されていても良い。
【0072】
具体的にこの蓄熱槽40は、圧縮機23の周囲に設けられており、圧縮機23から放熱される熱を圧縮機23との接触面を介して蓄熱するものであり、例えば液体などの蓄熱材と、内部に冷媒が流れるとともにこの冷媒に蓄熱した熱を与える蓄熱熱交換器41と、蓄熱槽の温度(以下、蓄熱温度ともいう)を検出する蓄熱温度センサ42とを有している。
なお、蓄熱槽40は、必ずしも圧縮機23と接触している必要はなく、圧縮機23の近傍に設けられていても構わない。
【0073】
より詳細に前記空気調和機100は、蓄熱槽40から流出した冷媒が、圧縮機23に流入してから、バイパス管30を介して各室外熱交換要素241、242に流れるように構成されており、ここでは、
図9に示すように、蓄熱槽40から冷媒が流出する流出側配管411が、室外熱交換器24と四方弁21との間に接続されている。なお、この流出側配管411には、逆止弁5が設けられている。
また、蓄熱槽40に冷媒が流入する流入側配管412は、室内熱交換器12A、12Bと分配器25との間から分岐しており、この流入側配管412には、図示しない制御部からの信号を受け付けて開状態と閉状態とに切り替わる第3二方弁413が設けられている。
【0074】
以下、図示しない制御部による制御内容について説明する。
【0075】
ここでは、前記制御部は、蓄熱温度センサからの信号を受け付けるとともに、蓄熱温度が所定の第1温度より低い場合は第3二方弁413を閉状態にし、蓄熱温度が所定の第2温度より高い場合は第3二方弁413を開状態にし、蓄熱温度が第1温度以上かつ第2温度以下の場合は第3二方弁413の開閉状態を維持するように構成されている。
つまり、蓄熱温度が上昇している場合は、第2温度に達するまでは第3二方弁413が閉状態になっており、第2温度に達すると第3二方弁413が開状態になる。一方、蓄熱温度が低下している場合は、第1温度に達するまで第3二方弁413が開状態ににあっており、第1温度に達すると第3二方弁413が閉状態になる。
【0076】
また、前記制御部は、外気の温度(以下、外気温度ともいう)を検出する図示しない外気温度センサからの信号を取得して、外気温度が所定の温度以下の場合に、上部熱交換要素241の除霜時には第3二方弁413を閉状態にし、下部熱交換要素242の除霜時に第3二方弁413を開状態にするように構成されている。
【0077】
上述した構成により、圧縮機23から放熱される熱を利用して冷媒を加熱することができ、除霜運転を高効率にすることができる。これにより、除霜運転時の暖房能力の低下を低減することができ、除霜運転時における使用者の快適性を損なわない。
【0078】
また、蓄熱槽40の熱を除霜運転の終盤に集中して使用することができ、蓄熱材の容量と蓄熱槽40のサイズを小さくするとともに、コスト削減や室外ユニット20のコンパクト化を図ることができる。
【0079】
さらに、蓄熱槽40により加熱された冷媒が、圧縮機23に流入してから各熱交換要素241、242に流れるので、冷媒をより高温にした状態にすることができ、各熱交換要素241、242の除霜時間を短くすることができる。
【0080】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。