(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素及びほう素から選択される少なくとも1種の汚染物質を含む汚染土壌に対して鉄粉を添加する鉄粉添加工程と、
磁選前の汚染土壌に吸水性ポリマーを前記汚染土壌に対して0.1質量%以上1.0質量%以下添加する吸水性ポリマー添加工程と、
前記吸水性ポリマーを添加された汚染土壌から鉄粉を乾式磁選により回収除去する乾式磁選工程と、を含み、
前記吸水性ポリマーが添加された磁選前の前記汚染土壌の質量基準の累積50%粒子径D50が6mm以下であることを特徴とする汚染土壌の無害化処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、前記乾式磁選を行うときの汚染土壌の団粒を小さくすることができ、更に、大量の処理剤を使用せずに、浄化土壌が効率良く得られる上に、処理土壌の重量が多くならない、汚染土壌の無害化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素及びほう素から選択される少なくとも1種の汚染物質を含む汚染土壌に対して鉄粉を添加する鉄粉添加工程と、
磁選前の汚染土壌に吸水性ポリマーを添加する吸水性ポリマー添加工程と、
前記吸水性ポリマーを添加された汚染土壌から鉄粉を乾式磁選により回収除去する乾式磁選工程と、を含むことを特徴とする汚染土壌の無害化処理方法である。
<2> 前記吸水性ポリマーが添加された磁選前の前記汚染土壌の質量基準の累積50%粒子径D
50が6mm以下である前記<1>に記載の汚染土壌の無害化処理方法である。
<3> 前記吸水性ポリマーが、ポリアクリル酸塩、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩、ポリアルギン酸塩、デンプン、及びセルロースのいずれか、又はこれらの誘導体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の汚染土壌の無害化処理方法である。
<4> 前記吸水性ポリマーが、ポリアクリル酸ナトリウムである前記<3>に記載の汚染土壌の無害化処理方法である。
<5> 汚染土壌に対して0.1質量%以上1.0質量%以下の前記吸水性ポリマーを添加する前記<1>から<4>のいずれかに記載の汚染土壌の無害化処理方法である。
<6> 鉄粉添加前の汚染土壌の水分含有量が60質量%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の汚染土壌の無害化処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、前記乾式磁選を行うときの汚染土壌の団粒を小さくすることができ、更に、大量の処理剤を使用せずに、浄化土壌が効率良く得られる上に、処理土壌の重量が多くならない、汚染土壌の無害化処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(汚染土壌の無害化処理方法)
本発明の汚染土壌の無害化処理方法は、鉄粉添加工程と、吸水性ポリマー添加工程と、乾式磁選工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0011】
<鉄粉添加工程>
前記鉄粉添加工程は、砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素及びほう素から選択される少なくとも1種の汚染物質を含む汚染土壌に対して鉄粉を添加する工程である。
【0012】
前記汚染土壌とは、例えば、道路工事、トンネル建設工事、再開発工事等の各種建設工事に伴って発生する残土であり、自然由来の前記汚染物質を含有する土壌を意味する。
前記汚染物質としては、例えば、砒素(As)、鉛(Pb)、六価クロム(Cr(VI))、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、水銀(Hg)、シアン(CN)、フッ素(F)、ほう素(B)などが挙げられる。これらのうち、シアンを除く汚染物質は、土壌の汚染に係る環境基準の対象物質のうち、自然由来で岩石や土壌に存在する物質である。
【0013】
鉄粉添加前の汚染土壌の水分含有量は60質量%以下が好ましく、0質量%以上45質量%以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下が更に好ましい。前記汚染土壌の水分含有量の範囲であれば、後述する吸水性ポリマー添加工程での吸水性ポリマーの添加量が少なくてすみ、有利である。
【0014】
前記鉄粉の添加量は、前記汚染土壌に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましい。前記鉄粉の添加量の範囲において、乾式磁選により効率よく汚染物質を回収除去することができる。
前記鉄粉の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、還元鉄粉、ダライコ鉄粉(屑鉄を原料とする)、アトマイズ鉄粉などが挙げられる。これらの中でも、還元鉄粉が好ましい。
【0015】
前記鉄粉の汚染土壌への添加に併せて酸を添加することが好ましい。前記酸は、前記汚染物質の移動を促進するために添加される。
前記酸としては、塩酸及び硫酸のいずれかが好ましい。
前記酸の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記汚染土壌に対して、0質量%以上1質量%以下が好ましい。
前記酸処理後の汚染土壌のpHは、4.0〜9.0が好ましく、6.0〜8.0がより好ましい。前記pHが上記範囲であると、汚染物質が溶出性に変化することがなく、安全である。また、処理後土壌を浄化土として利用する場合にも、通常の土壌は中性域にあるため、前記pH範囲であることが好ましい。
また、前記酸の使用にあたっては後に吸水性ポリマー添加工程を行うため、水での希釈は行わないことが好ましい。前記吸水性ポリマー添加工程における前記吸水性ポリマーの添加量を多くする必要が生じるためである。
【0016】
前記鉄粉添加前の水分含有量の掘削した汚染土壌に対して、前記鉄粉、又は前記鉄粉及び前記酸を混合機に投入してよく混練する。この場合、前記汚染土壌中に粗大な礫等が入っている場合は、前記混練に支障をきたすため、事前に篩分け及び破砕するなどの前処理を行うことが好ましい。
【0017】
前記混練方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、団粒の細分効果を勘案すると、打撃式混合機よりも、せん断式混合機が好ましい。前記せん断式混合機としては、例えば、二軸式パドル混合機などが挙げられる。
【0018】
<吸水性ポリマー添加工程>
前記吸水性ポリマー添加工程は、磁選前の前記汚染土壌に、吸水性ポリマーを添加する工程である。前記吸水性ポリマーが添加された磁選前の前記汚染土壌の質量基準の累積50%粒子径D
50が6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。前記D
50が6mmを超えると、汚染物質の除去効果が低下することがある。
【0019】
ここで、前記D
50とは、以下で求めることができる。
予め目開き9.5mmの標準篩で篩分けした9.5mm以下の土壌100gに添加剤(例えば、鉄粉、吸水性ポリマーなど)を所定量添加し、混合する。次に、前記混合した前記土壌を、前記土壌の団粒を保持させたままで、標準篩を用いて質量基準での粒度分布を測定し、質量基準の累積50%粒子径(D
50)を求める。
【0020】
前記吸水性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩、ポリアルギン酸塩、デンプン系、及びセルロースの吸水性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、工業的に生産性が優位である、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
前記吸水性ポリマーの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記吸水性ポリマーの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記平均粒径は、小さいほうが好ましい。
前記吸水性ポリマーの添加量としては、特に制限はなく、前記汚染土壌の水分含有量に応じて適宜選択することができ、例えば、前記汚染土壌に対して0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.4質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、前記吸水性ポリマーを添加した効果が得られないことがあり、1.0質量%を超えると、効果が飽和することがある。
また、前記吸水性ポリマーの添加量は、前記汚染土壌の水分含有量に応じて決定してもよい。
なお、前記吸水性ポリマー添加工程は、前記乾式磁選工程前であれば、前記汚染土壌にいつ添加してもよく、例えば、前記鉄粉添加工程と同時に行ってもよい。
また、前記吸水性ポリマーを添加することにより、磁選前の前記汚染土壌の前記D
50が小さくなり、前記乾式磁選工程において、磁着物の回収率が向上するので有利である。
【0021】
なお、前記磁選前の前記汚染土壌の水分含有量は、60質量%以下であることが好ましく、36質量%以下がより好ましく、22質量%以下が更に好ましく、14質量%以下が特に好ましい。前記磁選前の前記汚染土壌の水分含有量が、36質量%以下であると、団粒が概ね土壌粒子単体となり、磁性分離しやすくなり、乾式磁選を効率よく行うことができる。
前記汚染土壌の水分含有量は、例えば、汚染土壌の質量(湿潤土壌質量w1)を測定の後、乾燥炉などを用いて汚染土壌を乾燥させた上で、あらためて土壌質量(乾燥土壌質量w2)を測定し、次式により算出することができる。
水分含有量(%)=[1−(乾燥土壌質量w2/湿潤土壌質量w1)]×100
【0022】
<乾式磁選工程>
前記乾式磁選工程は、前記吸水性ポリマーが添加された前記汚染土壌から前記鉄粉を乾式磁選により回収除去する工程である。
【0023】
なお、本発明では、前記磁選前の前記汚染土壌に前記吸水性ポリマーを添加しているため、前記汚染土壌の前記水分含有量が比較的多くても、前記乾式磁選が可能となる。
【0024】
前記乾式磁選としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記吸水性ポリマーが添加された磁選前の汚染土壌を磁力選別機に投入し、磁石により磁着物と非磁着物とに分離する。前記磁力選別機の磁力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,500G以上12,000G以下が好ましく、1,500G以上7,000G以下がより好ましい。
前記磁石としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記乾式磁選工程は、汚染物質を吸着した鉄粉を分離除去することにより、非磁着物の有害物溶出量を低減することが目的であり、1,500G以上7,000G以下の磁力で十分に分離回収できる。これよりも高い磁力であると、予め汚染土壌中に存在した弱磁性の土壌粒子も回収されてしまい、磁着物の量が多くなってしまう。前記磁着物は別途汚染濃縮土壌として処分が必要なため、不必要にこれを多く回収することは経済的ではない。
【0025】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、運搬工程などが挙げられる。
前記運搬工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記磁選後の前記磁着物を処理施設に運搬する工程、前記磁選後の前記非磁着物を埋戻し場所などに運搬する工程などが挙げられる。
前記運搬手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トラックなどの自動車による運搬などが挙げられる。
【0026】
ここで、
図1は、本発明の汚染土壌の無害化処理方法のフロー図である。
まず、掘削した汚染土壌に鉄粉、又は鉄粉及び酸を混合機に投入してよく混合する(鉄粉添加工程)。このとき、汚染土壌中に粗大な礫等が入っている場合は、混合に支障をきたすため、事前に篩分け及び破砕するなどの前処理を行うことが好ましい。
次に、鉄粉を添加混合した汚染土壌を、好ましくは10分間程度養生した後、前記吸水性ポリマーを添加する(吸水性ポリマー添加工程)。
次に、1,500G以上7,000G以下の磁力で乾式磁選により、汚染物質を吸着した鉄粉を回収除去する(乾式磁選工程)。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
(吸水剤とD
50の検討実験)
−吸水性ポリマー−
予め目開き9.5mm以下に篩分けした、水分含有量が23.4質量%の汚染土壌100gに、鉄粉を1質量%添加し、吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム(CP−1、ケミカルテクノス社製))を、表1に示す所定量添加し、混合した。その後、1,500Gの磁石で磁着物を回収した後、非磁着物について、有姿(汚染土壌の団粒を保持させたまま)で標準篩(Testing Sieve、東京スクリーン株式会社製)を用いて、質量基準での粒度分布を測定し、質量基準の累積50%粒子径(D
50)を求めた。
結果を表1及び
図2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
−半水石膏−
前記汚染土壌100gに、半水石膏(ジプサンダーC、石原産業株式会社製)を所定量添加して混合し、前記汚染土壌を有姿で標準篩を用いて粒度分布を測定し、実施例1と同様にして、D
50を求めた。結果を表2及び
図2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
表1、表2及び
図2に示すように、No.1〜No.5のいずれも、吸水性ポリマーが少ない添加量であっても、前記汚染土壌の前記D
50を小さくすることができた。それに対し、No.6〜No.9のいずれも、吸水性ポリマーの添加量よりも多い半水石膏を添加しても、前記D
50は4mmより小さくならなかった。No.11に示すように、半水石膏を10質量%も添加することにより、D
50を4mm以下とすることができた。
即ち、前記吸水性ポリマーを少量でも添加することにより、前記汚染土壌の前記D
50を小さくすることにより、パラパラの状態にすることができ、乾式磁選を効率よく行える状態とすることができた。これに対し、前記半水石膏を添加した場合は、前記汚染土壌の前記D
50があまり小さくならず、乾式磁選を効率よく行う状態とすることができず、乾式磁選を行うためには大量に添加をする必要があった。
【0033】
(処理前土壌の水分が多い場合の検討)
予め目開き9.5mm以下に篩分けし、加水して水分60質量%に調整した土壌スラリー100gに、鉄粉を1質量%添加し、吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム(CP−1、ケミカルテクノス社製))を、表1に示す所定量添加し、混合した。その後、1,500Gの磁石で磁着物を回収した後、非磁着物について、有姿(土壌の団粒を保持させたまま)で標準篩(Testing Sieve、東京スクリーン株式会社製)を用いて、質量基準での粒度分布を測定し、質量基準の累積50%粒子径(D
50)を求めた。
結果を表3及び
図5に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
図5に示すとおり、処理前の土壌は水分が多く、スラリー状となった。このため、吸水性ポリマーの添加量が少ないNo.12、及びNo.13では、処理後もスラリー状態を呈したが、No.14〜No.16では固形状となっており、前記D
50も5mm以下と低くなり、高含水状態でも少ない添加量で細粒化が可能であることが分かる。
【0036】
(磁着物回収量とD
50の関係)
予め目開き9.5mm以下に篩分けした、水分含有量が23.4質量%の土壌A(シルト混じり砂)100gに鉄粉を1質量%添加し、10質量%硫酸0.1mL混合した後、半水石膏(ジプサンダーC、石原産業株式会社)を、表4に示す所定量を添加し、混合した。その後、1500Gの磁石で磁着物を回収した後の非磁着物について、有姿(土壌団粒を保持させたまま)で標準篩を用いて粒度分布を測定し、質量基準の累積50%粒子径(D
50)を求めた。前記D
50と磁着物回収率の関係を表4及び
図3に示す。
また、予め目開き9.5mm以下に篩分けした、水分含有量が21.5%の土壌B(粘土混じり砂)100gに鉄粉を1質量%添加し、10質量%硫酸0.1mL混合した後、吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、高吸水性樹脂CP−1、ケミカルテクノス社製))を、表5に示す所定量を添加し、混合した。その後、1500Gの磁石で磁着物を回収した後の非磁着物について、有姿(土壌団粒を保持させたまま)で標準篩を用いて粒度分布を測定し、質量基準の累積50%粒子径(D
50)を求めた。前記D
50と磁着物回収率の関係を、同様に表5及び
図3に示す。
【0037】
【表4】
【表5】
【0038】
図3、表4及び表5に示すように、磁着物の回収率は前記D
50が小さくなるほど増加する傾向が示され、効率的に磁着物が回収できることが示された。なお、添加した鉄粉量よりも磁着物回収率が多いのは、土壌中にも磁性鉱物が存在するためである。
【0039】
(実施例1)
予め目開き9.5mm以下に篩分けした、砒素汚染土壌100gに、鉄粉0.5g、10質量%硫酸0.1mLをそれぞれ混合した後、吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム(高吸水性樹脂CP−1、ケミカルテクノス社製))0.2gを混合した。磁選前の汚染土壌の前記D
50は3.5mmであった。
次に、1,500Gのフェライト磁石で磁選し、磁着物と非磁着物とに分離した。各産物について、As含有量、非磁着物についてAsの溶出量の分析を実施した。
【0040】
得られた非磁着物及び磁着物は、底質調査方法に基づく含有量分析及び環境省告示第18号に基づく溶出量分析を行った。
【0041】
なお、下記表6中の「処理前土壌のAs含有量」及び「磁着物中のAs収支」は、下記式から求めたものである。
【0042】
・処理前土壌のAs含有量(mg/kg)=(処理後土壌のAs含有量×処理後土壌の乾燥質量分布+磁着物のAs含有量×磁着物の乾燥質量分布)/(処理後土壌の乾燥質量分布+磁着物の乾燥質量分布)
【0043】
・磁着物中のAs収支(%)=(磁着物のAs含有量×磁着物の乾燥質量分布)/(処理前土壌のAs含有量×処理前土壌の乾燥質量分布)×100
【0044】
実施例1の結果を表6に示した。
【表6】
【0045】
(比較例1)
実施例1の吸水性ポリマーを中性固化材(ジプサンダーC、石原産業株式会社製)10gに変えたこと以外は、実施例1と同様にして各産物について、As含有量、非磁着物についてAsの溶出量の分析を実施した。なお、磁選前の汚染土壌の前記D
50は3.4mmであった。
【0046】
比較例1の結果を表7に示す。
【表7】
【0047】
また、実施例1及び比較例1の処理後の各産物の質量を
図4に示す。
【0048】
表6及び表7に示すとおり、実施例1及び比較例1の処理後土壌(非磁着物)は、As溶出量が同程度に低下していた。しかし、実施例1は、吸水性ポリマーを0.2gだけ添加しているのに対して、比較例1では、中性固化材を10gも添加することで同程度の効果が得られるため、表6、表7及び
図4の処理後土壌の質量分布が示すとおり、実施例1のほうが比較例1よりも、より少ない質量の処理後土壌を得ることができた。