(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の浴室用液体洗浄剤は、以下の態様を有する。
<1>(A)成分:界面活性剤と、(B)成分:水溶性高分子と、(C)成分:粘土鉱物とを含み、
25℃でB型粘度計を用いて測定された回転数60rpmにおける粘度V
1が2,000mPa・s以下であり、回転数6rpmにおける粘度V
2が200mPa・s以上であり、かつV
1<V
2の条件を満たす、浴室用液体洗浄剤。
<2>pHが10を超え12未満である、<1>に記載の浴室用液体洗浄剤。
<3>さらに(D)成分:アミノカルボン酸型キレート剤と、(E)成分:グリコール系溶剤とを含む、<1>または<2>に記載の浴室用液体洗浄剤。
<4>前記(D)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.6〜6.0である、<3>に記載の浴室用液体洗浄剤。
<5>前記(B)成分が、疎水的に変性されたアルカリ膨潤性エマルジョンポリマー、疎水的に変性されたアルカリ溶解性エマルジョンポリマー、および天然多糖類系高分子からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子である、<1>〜<4>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<6>前記(C)成分がスメクタイト系の粘土鉱物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<7>さらに水を含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<8>前記粘度V
1が100〜2,000mPa・sであり、前記粘度V
2が200〜10,000mPa・sである、<1>〜<7>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<9>前記浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、
前記(A)成分が、0.04〜5.0質量%であり、
前記(B)成分が、0.01〜2.0質量%であり、
前記(C)成分が、0.01〜1.0質量%である、<1>〜<8>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<10>前記(A)成分が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩またはアルケニルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、およびポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の非石鹸系アニオン界面活性剤であり、
前記(B)成分が、疎水的に変性されたアルカリ膨潤性エマルジョンポリマー、疎水的に変性されたアルカリ溶解性エマルジョンポリマー、および天然多糖類系高分子からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子であり、
前記(C)成分が、合成スメクタイト、およびモンモリロナイトからなる群より選択される少なくとも1種の粘土鉱物である、<1>〜<9>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
<11>前記(D)成分が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、N−ラウロイルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸、およびジエチレントリアミン五酢酸からなる群より選択される少なくとも1種のアミノカルボン酸型キレート剤であり、
前記(E)成分が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである、<3>〜<10>のいずれかに記載の浴室用液体洗浄剤。
以下、本発明の浴室用液体洗浄剤について詳細に説明する。
【0010】
[浴室用液体洗浄剤]
本発明の浴室用液体洗浄剤は、(A)成分:界面活性剤と、(B)成分:水溶性高分子と、(C)成分:粘土鉱物とを含む組成物である。また、25℃でB型粘度計を用いて測定された回転数60rpmにおける粘度V
1が2,000mPa・s以下であり、回転数6rpmにおける粘度V
2が200mPa・s以上であり、かつV
1<V
2の条件を満たすものである。
【0011】
<粘度>
本発明の浴室用液体洗浄剤は、25℃でB型粘度計を用いて測定された回転数60rpmにおける粘度V
1が2,000mPa・s以下であり、回転数6rpmにおける粘度V
2が200mPa・s以上であり、かつV
1<V
2の条件を満たすものである。
浴室用液体洗浄剤が(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含み、かつ25℃でB型粘度計を用いて測定された粘度V
1およびV
2が所定の範囲を満たすことにより、洗浄対象の垂直面に対する浴室用液体洗浄剤の付着滞留性が向上し、かつ良好なすすぎ性が得られる。
【0012】
浴室用液体洗浄剤の粘度V
1は2,000mPa・s以下であり、1,500mPa・s以下が好ましく、1,200mPa・s以下がより好ましい。また、粘度V
1の下限は、100mPa・s以上が好ましく、200mPa・s以上がより好ましい。
粘度V
1は、100〜2,000mPa・sが好ましく、200〜1,200mPa・sがより好ましい。
粘度V
1が2,000mPa・s超であると、すすぎ性が損なわれる。
浴室用液体洗浄剤の粘度V
2は200mPa・s以上であり、600mPa・s以上が好ましく、800mPa・s以上がより好ましく、2,900mPa・s以上がさらに好ましい。また、粘度V
2の上限は、10,000mPa・s以下が好ましく、5,000mPa・s以下がより好ましい。
粘度V
2は、200〜10,000mPa・sが好ましく、600〜5,000mPa・sがより好ましい。
粘度V
2が200mPa・s未満であると、付着滞留性が悪くなる。
良好な付着滞留性とすすぎ性がより得られやすい点から、粘度V
2と粘度V
1との差は、400mPa・s以上が好ましく、2500mPa・s以上がより好ましい。また、粘度V
2と粘度V
1との差は、4,800mPa・s以下が好ましく、3,500mPa・s以下がより好ましい。良好な付着滞留性とすすぎ性がより得られやすい点から、粘度V
2と粘度V
1との差は、400〜4,800mPa・sが好ましく、2500〜3,500mPa・sがより好ましい。また、粘度V
1に対する粘度V
2の比(V
2/V
1)は、1.5〜10が好ましく、3〜7がより好ましい。
粘度V
1が2,000mPa・s以下であり、粘度V
2が200mPa・s以上であり、かつV
1<V
2の条件を満たすことにより、洗浄時に吐出容器等から前記浴室用液体洗浄剤を吐出して洗浄対象表面に付着させた際には、良好な付着滞留性が得られ、かつすすぎ時において、前記洗浄対象表面に付着した浴室用液体洗浄剤にシャワー等で水を掛けた際には、浴室用液体洗浄剤が、前記表面から容易に除去される。
【0013】
<pH>
本発明の浴室用液体洗浄剤は、25℃におけるpHが10を超え12未満であることが好ましい。25℃におけるpHが上記範囲であることにより、浴槽等に付着した汚れに対して良好な洗浄力が得られやすい。浴室用液体洗浄剤のpHは、10.1〜11.4がより好ましく、10.4〜11.4が特に好ましい。
なお、本発明の浴室用液体洗浄剤のpHは、JIS Z8802:2011に準拠して25℃の条件で測定した値である。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は界面活性剤であり、浴室用液体洗浄剤に洗浄力を付与するために用いられる。
(A)成分としては、すすぎ性および洗浄力に優れる観点から、非石鹸系アニオン界面活性剤(A−1)を含む界面活性剤であることが好ましい。
非石鹸系アニオン界面活性剤(以下、(A−1)成分と記載する)とは、炭素数8〜24の飽和または不飽和脂肪酸塩(いわゆる石鹸)を除くアニオン界面活性剤である。(A)成分は、(A−1)成分のみからなるものであってもよく、(A−1)成分と、これ以外の界面活性剤(以下、「(A−2)成分」と記載する)を含むものであってもよい。
【0015】
((A−1)成分)
(A−1)成分としては、例えば、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)等のスルホン酸型アニオン界面活性剤;直鎖または分岐鎖のアルキル硫酸塩(AS)、アルキルエーテル硫酸塩またはアルケニルエーテル硫酸塩(AES)等の硫酸エステル型アニオン界面活性剤;アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの中でもスルホン酸型アニオン界面活性剤、硫酸エステル型アニオン界面活性剤、カルボン酸型アニオン界面活性剤が好ましく、スルホン酸型アニオン界面活性剤がより好ましい。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
【0016】
上記のうち、α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましく、炭素数10〜16のものがより好ましい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20、好ましくは14〜17のアルキル基を有する2級アルカンスルホン酸塩が好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20、好ましくは炭素数10〜18のα−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
アルキル硫酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましく、炭素数10〜16のものがより好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩またはアルケニルエーテル硫酸塩としては、炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドを付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩が好ましい。
ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩としては、炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドを付加したポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルカルボン酸塩が好ましい。
これらの中でも、皮脂・タンパク汚れに対する洗浄力に優れること等から、α−オレフィンスルホン酸塩を含むことが特に好ましい。
上記成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0017】
本発明の浴室用液体洗浄剤中の(A)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.04〜5.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.5〜4.5質量%がさらに好ましく、1.0〜3.0質量%が特に好ましい。
浴室用液体洗浄剤中(A)成分の含有量が、0.04質量%以上であれば、充分な洗浄力が得られるため好ましい。また、浴室用液体洗浄剤中の(A)成分の含有量が、5.0質量%以下であれば、すすぎ性がより良好となるため好ましい。
(A)成分中の(A−1)成分の含有量は、0.1〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
(A)成分中の(A−1)成分の含有量が上記範囲であると、良好な洗浄力が得られやすい。
また、(A)成分が(A−1)成分を含む場合、浴室用液体洗浄剤中の(A−1)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.04〜5.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.5〜4.5質量%がさらに好ましく、1.0〜3.0質量%が特に好ましい。
浴室用液体洗浄剤中の(A−1)成分の含有量が、0.04質量%以上であれば、充分な洗浄力が得られやすい。また、5.0質量%以下であれば、より良好なすすぎ性が得られやすい。
【0018】
((A−2)成分)
(A)成分は、(A−1)成分以外の界面活性剤((A−2)成分)を含むことができる。
(A−2)成分としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、高級脂肪酸塩、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸塩としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩等の炭素数8〜24の飽和または不飽和脂肪酸塩、または、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸塩、パーム油脂肪酸塩、硬化パーム油脂肪酸塩、牛脂脂肪酸塩、硬化牛脂脂肪酸塩等が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲンイオン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸または高級アミン等にアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、脂肪酸ポリグリセリンエステル、糖脂肪酸エステル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、アミドアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、グリセリルエーテル等が挙げられる。
上記成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
(A)成分中の(A−2)成分の含有量は、0〜50質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。より良好な洗浄力を得る観点からは、(A)成分としては、(A−2)成分を含まないものが好ましい。
【0020】
<(B)成分>
(B)成分は水溶性高分子である。
なお、本発明において、高分子とは、重量平均分子量が1,000以上のものをいう。前記重量平均分子量は、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値を、PEG(ポリエチレングリコール)における較正曲線に基づいて換算した値である。また、水溶性高分子とは、1リットルビーカー内で、10gのポリマーを、1,000gの水に添加し、40℃の条件で、スターラー(太さ8mm、長さ50mm)により12時間撹拌(回転数200rpm)した後に溶解しているものをいう。
【0021】
(B)成分としては、グァーガム、ジェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン等に代表される天然多糖類系高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルピロリドン、N−アルキルピロリドン等のピロリドン系高分子;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコール系高分子;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル系高分子等が挙げられる。
また、(B)成分には、高分子電解質も含まれる。
高分子電解質としては、例えば、アルカリ溶解性/膨潤性エマルジョンポリマー(Alkali swellable/soluble emulsion polymer、以後、ASEポリマーと略す場合がある)、疎水的に変性されたアルカリ溶解性/膨潤性エマルジョンポリマー(Hydrophobically modified alkali swellable/soluble emulsion polymer、以後、HASEポリマーと略す場合がある)、酸溶解性/膨潤性エマルジョンポリマー、疎水的に変性された酸溶解性/膨潤性エマルジョンポリマー、酸性ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;塩基性ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;ポリ(四級化アミン)ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;両性ポリマー;アニオン性、カチオン性、および両性多糖類ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;アニオン性、カチオン性、および両性多糖類誘導体;アニオン性、カチオン性、および両性ポリペプチドホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;アニオン性、カチオン性、および両性ポリペプチド誘導体;化学的に変性されたポリペプチドホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;核酸ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;化学的に変性された核酸、天然由来の核酸、酵素、合成および天然由来のタンパク質、ゼラチン、リグノスルホン酸ホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;イオネンホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;アニオン性、カチオン性、および両性ポリエステルホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;アニオン性、カチオン性、および両性ポリウレタンホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩;列挙されているホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩のコポリマーの組合わせ;イオン性および非イオン性ミセル;列挙されているホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩の化学量論的および非化学量論的インターポリマーの組合わせ;列挙されているホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩のポリマーマトリックス;列挙されているホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩の物理的ブレンド;その上にアニオン性、カチオン性、および両性成分がグラフトされている列挙されたホモポリマー、コポリマー、およびこれらの塩、およびこれらの組合わせである。
上記成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
このうち、(B)成分としては、HASEポリマー、または天然多糖類系高分子が好ましい。
【0022】
疎水的に変性されたアルカリ溶解性/膨潤性エマルジョンポリマー(HASEポリマー)は、通常、アニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー、および疎水基を有するモノマーの共重合体である。つまり、「疎水的に変性された」とは、「疎水基を有するモノマー単位」を構造内に有していることを意味する。
本発明においては、HASEポリマーは、例えば、5〜75質量部のアニオン性ビニルモノマー、30〜75質量部の非イオン性ビニルモノマー、および1〜20質量部の疎水基を有するモノマーを含むモノマーの混合物を、モノマーの質量を基準として1質量%未満の界面活性剤の存在下で乳化重合して得られる。HASEポリマーの平均分子量としては、10,000〜5,000,000であるものが好ましく、500,000〜2,000,000であるものがさらに好ましい。
【0023】
アニオン性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ホスホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ナトリウムビニルスルホネート、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、および無水マレイン酸等が挙げられる。このうち、アクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、フマル酸、およびメタクリル酸が好ましく、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、およびアクリル酸がより好ましい。
これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0024】
非イオン性ビニルモノマーとしては、アクリル酸およびメタクリル酸のC1〜C7のアルキルおよびC2〜C7のヒドロキシアルキルエステル、例えば、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、およびp−クロロスチレン;ビニルアセテート、ビニルブチラート、ビニルカプロレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド等が挙げられる。このうち、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび2−ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましく、エチルアクリレート、メチルアクリレートおよびブチルアクリレートがより好ましい。
なお上記において、Cは炭素数を意味し、以後、同様である。
これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0025】
「疎水基を有するモノマー」という用語は、界面活性剤エステル、例えば、C8〜C30アルキルフェノキシ(エチレンオキシ)
6−100エチル(メタ)アクリレートおよびC8〜C30アルコキシ(エチレンオキシ)
6−50エチル(メタ)アクリレート;C8〜C30アルキルフェノキシエチル(メタ)アクリレート;およびC8〜C30アルコキシエチル(メタ)アクリレートを意味する。アミドおよびウレタンのような(但しこれらに限定されない)他の結合を用いることができる。また、C8〜C30カルボン酸のビニルエステル及び(メタ)アクリレートのC8〜C30アルキルエステルのような(但しこれらに限定されない)疎水基を有するモノマーを用いることもできる。
これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0026】
また、天然多糖類系高分子としては、キサンタンガム、またはグァーガムが好ましい。
これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0027】
浴室用液体洗浄剤中の(B)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.1〜1.8質量%がより好ましく、0.2〜1.4質量%が特に好ましい。浴室用液体洗浄剤中の(B)成分の含有量が0.01質量%以上であれば、付着滞留性の効果が得られやすくなる。また、(B)成分の含有量が、2.0質量%以下であれば、すすぎ性の効果が得られやすくなる。
【0028】
<(C)成分>
(C)成分は粘土鉱物である。(C)成分としては、天然鉱物および合成により得られる粘土鉱物が挙げられる。
(C)成分としては、スメクタイト型粘土鉱物が好ましい。スメクタイト型粘土鉱物とは、スメクタイト群に属し、特定の層状構造を有するものである。詳しくは、2八面体型(ジオクタヘドラル型)または3八面体型(トリオクタヘドラル型)の2:1層状ケイ酸塩で、層荷電0.6〜0.2のものの総称である。
スメクタイト型粘土鉱物としては、ジオクタヘドラル型3層構造またはトリオクタヘドラル型3層構造を有するものが好ましい。
ジオクタヘドラル型3層構造を有するスメクタイト型粘土鉱物としては、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、パイロフィライトなどが挙げられる。
トリオクタヘドラル型3層構造を有するスメクタイト型粘土鉱物としては、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、タルクなどが挙げられる。
これらの中でも、トリオクタヘドラル型3層構造を有するものが好ましく、ヘクトライトが特に好ましい。
市販品としては、たとえばウィルバーエリス株式会社製のラポナイトRD(合成ヘクトライト)、ズードケミー触媒(株)製のOptigel SH(合成ヘクトライト)、クニミネ工業株式会社製のスメクトンSA(合成サポナイト)等が挙げられる。
浴室用液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.8質量%がより好ましく、0.1〜1.4質量%が特に好ましい。浴室用液体洗浄剤中の(C)成分の含有量が0.01質量%以上であれば、付着滞留性の効果が得られやすくなる。また、(C)成分の含有量が、2.0質量%以下であれば、すすぎ性の効果が得られやすくなる。
【0029】
本発明の浴室用液体洗浄剤は、洗浄力をより高める観点から、更に(D)成分:アミノカルボン酸型キレート剤と、(E)成分:グリコール系溶剤とを含むことが好ましい。
【0030】
<(D)成分>
(D)成分は、アミノカルボン酸型キレート剤である。
本発明の浴室用液体洗浄剤は、(D)成分を含むことで洗浄力がより高められる。特に、25℃におけるpHが10を超え12未満のアルカリ条件下で、(D)成分を含むことにより、(A)成分の含有量が少なくとも、浴槽等に付着した汚れに対する洗浄力が高められやすくなる。
(D)成分としては、例えば、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β−アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ラウロイルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)、ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジカルボキメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)またはこれらの塩等が挙げられる。
このうち、(D)成分としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸(HIDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはこれらの塩が好ましく、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩が特に好ましい。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0031】
浴室用液体洗浄剤中の(D)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.2〜5.0質量%が好ましく、1.5〜4.5質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、洗浄力がより高められる。また、(D)成分の含有量が、上記上限値以下であれば、すすぎ性がより向上しやすくなる。
【0032】
また、(D)成分/(A)成分で表される質量比[(A)成分の含有量に対する、(D)成分の含有量の質量割合、以下「D/A比」ともいう]は、0.6〜6.0が好ましく、0.6〜5.0がより好ましく、0.6〜3.0が特に好ましい。
本発明においては、D/A比を上記範囲とすることで、浴室用液体洗浄剤中の(A)成分の含有量が少ない場合においても、浴槽等に付着した脂肪酸金属塩、皮脂・タンパク汚れに対する洗浄力が向上し、かつ、良好なすすぎ性が得られやすくなる。
一般に、浴槽を擦らずに洗浄する場合には、浴槽の全面に浴室用液体洗浄剤を塗布する必要があるため、洗浄剤の使用量が増加する。本発明の浴室用液体洗浄剤においては、D/A比を上記範囲とすることで、浴室用液体洗浄剤の使用量が増加した場合でも、良好なすすぎ性が得られやすくなる。
【0033】
<(E)成分>
(E)成分は、グリコール系溶剤である。
本発明の浴室用液体洗浄剤に含まれるグリコール系溶剤としては、下記一般式(I)で表される化合物から選択されるものが好ましい。
R
1−O−(C
2H
4O)
x−(C
3H
6O)
y−R
2 ・・・(I)
上記式(I)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基またはベンジル基である。xはオキシエチレン基の平均繰返し数を表す整数であり、0〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。yはオキシプロピレン基の平均繰返し数を表す整数であり、0〜5が好ましく、0〜2がより好ましい。ただし、xとyが同時に0になることはない。
【0034】
上記式(I)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール等のプロピレングリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のエチレングリコール系エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコール系エーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
このうち、(E)成分としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0035】
本発明の浴室用液体洗浄剤中の(E)成分の含有量は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%未満がより好ましく、1.0〜3.0質量%未満が特に好ましい。(E)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、良好な洗浄力が得られやすくなる。また、(E)成分の含有量が、上記上限値以下であれば、良好なすすぎ性が得られやすくなる。
【0036】
本発明において、(A)成分および(E)成分の合計含有量(以下、「A+E合計含有量」ともいう)は、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、0.5〜8.0質量%が好ましく、1.0〜6.0質量%が特に好ましい。A+E合計含有量が、上記下限値以上であれば、洗浄力をより高められる。また、A+E合計含有量が上記上限値以下であれば、すすぎ性がより高められやすい。
【0037】
本発明において、(E)成分/(D)成分で表される質量比[(D)成分の含有量に対する、(E)成分の含有量の質量割合、以下「E/D比」ともいう]は、0.01〜4.0が好ましく、0.4〜3.0がより好ましい。E/D比が前記好ましい範囲であれば、洗浄力がより高められやすい。
【0038】
<溶媒>
本発明の浴室用液体洗浄剤は、浴室用液体洗浄剤の調製のしやすさや、すすぎの際に水に容易に溶解する等の観点から、通常、溶媒として水を含有する。すなわち、本発明の浴室用液体洗浄剤は前記(A)〜(C)成分と、水とを含むものであることが好ましい。
浴室用液体洗浄剤中の水の配合量は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、浴室用液体洗浄剤の総質量に対して、50〜99.5質量%が好ましく、70〜99質量%がより好ましく、75〜98質量%がさらに好ましい。
【0039】
<任意成分>
本発明の浴室用液体洗浄剤は、必要に応じて、上記成分以外に、通常、洗浄剤に使用され得る成分を含有できる。このような任意成分としては、例えば、殺菌剤、防腐剤、抗カビ剤、色素、酸化防止剤、増粘剤(ただし、(B)成分を除く)、紫外線吸収剤、可溶化剤(ただし、(E)成分を除く)、香料、pH調整剤等が挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の無機酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸から選ばれる酸剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアおよびその誘導体、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等から選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましく、塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることがより好ましい。これらpH調整剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
【0040】
本発明の浴室用液体洗浄剤は、従来公知の製造方法により製造できる。例えば、溶媒である水に、上記(A)〜(C)成分、必要に応じて任意成分を加えた後、これらを混合する方法等が挙げられる。混合時の撹拌条件、温度等は任意に選択できる。
【0041】
[浴室用液体洗浄剤の使用方法]
次に、本発明の浴室用液体洗浄剤の使用方法(洗浄方法)について説明する。
本発明の浴室用液体洗浄剤の使用方法としては、例えば、浴室用液体洗浄剤を吐出容器に収容し、この吐出容器から、適量の浴室用液体洗浄剤を洗浄対象に塗布し、一定時間経過後に、シャワー等ですすぐ、「擦らず洗い」をする使用方法、また、浴室用液体洗浄剤をスポンジ等の洗浄用具に含浸し、浴室の壁面、浴槽面、その他の浴室付帯設備等の洗浄対象をスポンジ等で擦り洗いをする使用方法等が挙げられる。
本発明の浴室用液体洗浄剤は、浴槽等の垂直面に対する付着滞留性に優れ、浴槽に付着した汚れに対する高い洗浄力も有している。さらに、浴槽全面に浴室用液体洗浄剤を塗布して前記浴室用液体洗浄剤の使用量が増加した場合でも優れたすすぎ性を有するため、「擦らず洗い」をする使用方法に好適に用いられる。
本発明の浴室用液体洗浄剤は、浴槽等の洗浄対象面に対する付着滞留性に優れるため、洗浄対象の垂直面から液体洗浄剤が垂れ落ちにくい。また、浴室用液体洗浄剤をシャワー等ですすぐ際のすすぎ性にも優れている。
【0042】
本発明の浴室用液体洗浄剤を収容する吐出容器としては、スプレー容器やスクイズ容器等が挙げられるが、洗浄対象に対する塗布性に優れることから、スプレー容器が好ましい。
スプレー容器としては、エアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型あるいは蓄圧型)、ディスペンサースプレー容器等が挙げられる。これらの容器は、手動式のものでもよいし、電動式のものでもよい。
エアゾールスプレー容器としては、例えば、特開平9−3441号公報、特開平9−58765号公報等に記載されているものが挙げられる。エアゾールスプレー容器に充填する場合、噴射剤としてLPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等を使用できる。これら噴射剤は単独で使用されても良く、2種以上を混合して使用されてもよい。
トリガースプレー容器の例としては、例えば、特開平9−268473号公報、特開平10−76196号公報等に記載のものが挙げられる。
ディスペンサースプレー容器の例としては、例えば、特開平9−256272号公報等に記載のものが挙げられる。
蓄圧式のトリガースプレー容器としては、例えば、特開2013−154276号公報等に記載のものが挙げられる。
これらの中でも、噴霧性状やスプレーパターンが良好であり、良好な塗布性が得られることから、蓄圧式のトリガースプレー容器が好ましい。
【0043】
以上説明したとおり、本発明の浴室用液体洗浄剤は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を組み合わせ、かつ粘度V
1および粘度V
2を所定の範囲とすることにより、付着滞留性に優れ、かつ良好なすすぎ性が得られる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
<浴室用液体洗浄剤の調製>
表に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法により、各実施例および比較例の浴室用液体洗浄剤をそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
なお、各例の浴室用液体洗浄剤は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように水で調製した。
各例の浴室用液体洗浄剤の組成を表1〜4に示した。
但し、実施例15は参考例である。
【0046】
本実施例において使用した原料は以下の通りである。
【0047】
<(A)成分>
・(A−1−1):AOS、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム)、ライオン株式会社製、商品名「リポランLJ441」。
・(A−1−2):LAS、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム[アルキル基の炭素数10−16]、ライオン株式会社製、商品名「ライポンPS−230」。
・(A−1−3):AES、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩[アルキル基の炭素数12−14(直鎖率100%)、エチレンオキシドの平均付加モル数2]。新日本理化株式会社製、商品名「シノリンSPE−1250」。
・(A−1−4):MES、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩(脂肪酸残基の炭素数が16−18のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩)、ライオン株式会社製、商品名「MIZULAN FL−80」。
・(A−1−5):SDS、ラウリル硫酸塩、ライオン株式会社製、商品名「サンノールLM−1130」。
【0048】
<(B)成分>
・(B−1):疎水的に変性されたアクリル膨潤性エマルジョンポリマー(HASEポリマー)、ROHM AND HAAS社製、商品名「Acusol(登録商標)801S」。
・(B−2):疎水的に変性されたアルカリ溶解性アクリルエマルジョンポリマー(HASEポリマー)、ROHM AND HAAS社製、商品名「Acusol 820」。
・(B−3):キサンタンガム、三昌株式会社製、商品名「KELZAN」。
・(B−4):グァーガム、三昌株式会社製、商品名「GRINDSTED GUAR175」。
【0049】
<(C)成分>
・(C−1):合成ヘクトライト、ウィルバーエリス株式会社製、商品名「ラポナイトRD」。
・(C−2):モンモリロナイト、クニミネ工業株式会社製、商品名「クニピア(登録商標)F」。
【0050】
<(D)成分>
・(D−1):エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA2Na)、アクゾノーベル社製、商品名「ディゾルビンNA2」。
・(D−2):ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、キレスト株式会社製、商品名「キレストHA」。
・(D−3):ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、キレスト株式会社製、商品名「キレストGA」。
・(D−4):ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸(HIDA)、キレスト株式会社製、商品名「キレストEA」。
・(D−5):ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、キレスト株式会社製、商品名「キレストPA」。
<(E)成分>
・(E−1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」。
【0051】
各実施例および比較例の浴室用液体洗浄剤について、付着滞留性、すすぎ性及び洗浄力を以下のように評価した。評価結果を表1〜4に示す。
<浴室用液体洗浄剤の評価方法>
(付着滞留性評価)
トリガースプレー容器(ライオン株式会社製「ルックまめピカ トイレのふき取りクリーナー」の容器)に浴室用液体洗浄剤を充填し、テストピース(10cm×10cm、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製)の上部一辺に沿って、前記洗浄剤5gを直線状に噴霧した。その後、テストピースを90度に傾けて5分間放置した後、テストピースから垂れ落ちた浴室用液体洗浄剤の質量を測定し、下記評価基準に従って浴室用液体洗浄剤の付着滞留性を評価した。下記評価基準において、◎および○を合格とした。
【0052】
<<付着滞留性の評価基準>>
◎:付着滞留性が非常に良好[テストピースから垂れ落ちた浴室用液体洗浄剤の質量が1.0g以下]。
○:付着滞留性が良好[テストピースから垂れ落ちた浴室用液体洗浄剤の質量が1g超2.5g以下]。
△:付着滞留性がやや劣る[テストピースから垂れ落ちた浴室用液体洗浄剤の質量が2.5g超4.0g以下]。
×:付着滞留性が劣る[テストピースから垂れ落ちた浴室用液体洗浄剤の質量が4.0g超]。
【0053】
(すすぎ性の評価)
トリガースプレー容器(ライオン株式会社製「ルックまめピカ トイレのふき取りクリーナー」の容器)に充填し、浴槽内の壁面全面に対し、各例の浴室用液体洗浄剤40gを噴霧して付着させた後、シャワーを用いて水道水ですすぎを行い(水温15℃、流量0.2L/秒)、浴槽の排水口から泡が完全に排出されるまでの時間を測定し、下記評価基準に従って浴室用液体洗浄剤のすすぎ性を評価した。下記評価基準において、◎および○を合格とした。
【0054】
<<すすぎ性の評価基準>>
◎:40秒未満
○:40秒以上50秒未満
△:50秒以上60秒未満
×:60秒以上
【0055】
(洗浄力:垂直面での洗浄力評価)
一般家庭の浴槽内側壁面に、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製テストピース(10cm×10cm)を固定した後、成人男性3名がそれぞれ3回入浴(1日につき1回の入浴を3日間繰り返し、その間、風呂水のみを入れ替え、浴槽は洗わずに使用)し、テストピース表面10箇所に汚れを付着させた。
この汚れが付着したテストピースを充分乾燥させた後、各例の浴室用液体洗浄剤をトリガースプレー容器(ライオン社製「ルックまめピカ トイレのふき取りクリーナー」の容器)を用いて、前記テストピースの全面が濡れるようにスプレー塗布し、前記テストピースを90度に傾け5分間放置した後、水道水(15℃)ですすぎ流した。テストピースを充分乾燥させた後、テストピース表面10箇所の汚れの除去状態を目視、指触により評価し、下記垂直面での洗浄力の評価基準に従って、垂直面での洗浄力を評価した。なお、上記テストピース表面10箇所としては、テストピース表面の全面に略均等の間隔で位置する10箇所を選定した。下記評価基準において、◎および○を合格とした。
【0056】
<<垂直面での洗浄力の評価基準>>
◎:汚れ落ちが非常に良好[テストピース表面10箇所のうち、8箇所以上、目視による汚れが観察されず、かつ、つるつるとした指触が得られる]。
○:汚れ落ちが良好[テストピース表面10箇所のうち、5箇所以上、目視による汚れが観察されず、かつ、つるつるとした指触が得られるが、少なくとも3箇所はざらざらとした指触を感じる]。
△:ほとんど汚れが落ちない[テストピースの表面10箇所のうち、6箇所以上、目視による汚れが観察され、かつ、ざらざらとした指触を感じるが、前記目視による汚れおよびざらざらとした指触は、洗浄前より軽減されている]。
×:全く汚れが落ちない[テストピース表面10箇所のうち、10箇所とも目視による汚れが観察され、ざらざらとした指触を感じ、前記目視による汚れおよびざらざらとした指触は、洗浄前と変わらない]。
かかる評価結果を、表1〜4の垂直面での洗浄力の欄に示す。
また、上記テストピース表面10箇所のうち、汚れ落ちが確認された箇所(目視による汚れが観察されず、かつ、つるつるとした指触が得られた箇所)の個数を表1〜4の汚れ落ち箇所の欄に示す。
【0057】
(洗浄力:水平面での洗浄力の評価)
一般家庭の浴槽内側壁面に、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製テストピース(2cm×10cm)を固定した後、成人男性3名がそれぞれ3回入浴(1日につき1回の入浴を3日間繰り返し、その間、風呂水のみを入れ替え、浴槽は洗わずに使用)し、テストピースに汚れを付着させた。
この汚れが付着したテストピースを充分乾燥させた後、前記テストピースに対して、その全面が濡れるように各例の浴室用液体洗浄剤をトリガースプレー容器(ライオン株式会社製「ルックまめピカ トイレのふき取りクリーナー」の容器)を用いてスプレー塗布し、5分間放置(水平状態)した後、水道水(15℃)ですすぎ流した。その後、テストピースを充分乾燥させ、5枚のテストピース表面の汚れの除去状態を目視、指触により、下記洗浄力の評価基準に従って評価した。下記評価基準において、◎および○を合格とした。
【0058】
<<水平面での洗浄力の評価基準>>
◎:汚れ落ちが非常に良好[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察されず、5枚ともテストピース全面につるつるとした指触が得られる]。
○:汚れ落ちが良好[5枚のテストピースのうち、1枚以上は目視による汚れが観察されず、かつ、テストピース全面につるつるとした指触が得られる。また、5枚のテストピースのうち、少なくとも1枚はテストピースにざらざらとした指触を感じる]。
△:ほとんど汚れが落ちない[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じるが、前記目視による汚れおよびざらざらとした指触は、洗浄前より軽減されている]。
×:全く汚れが落ちない[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じ、前記目視による汚れおよびざらざらとした指触は、洗浄前と変わらない]。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
表1〜4に示す結果から、各実施例の浴室用液体洗浄剤は、浴槽の垂直面に対する付着滞留性に優れ、かつすすぎ性も良好であった。
一方、(A)成分、(B)成分、または(C)成分のいずれかを含まない浴室用液体洗浄剤(比較例1〜3)は、垂直面に対する付着滞留性、またはすすぎ性のいずれかが劣っていた。また、25℃での粘度V
1および粘度V
2が、本願発明の範囲を満たさない浴室用液体洗浄剤(比較例4、5)も、垂直面に対する付着滞留性、またはすすぎ性のいずれかが劣っていた。
以上の結果より、本発明を適用した浴室用液体洗浄剤は、浴槽等の垂直面に対する付着滞留性に優れ、かつ良好なすすぎ性が得られることが確認できた。