(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)成分が、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン及び3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)−1−ブタノンからなる群より選ばれる、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体柔軟剤組成物は、下記(A)〜(C)成分:
(A)エステル基及び/又はエーテル基により分断されていてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(B)下記一般式(B−1)で表される硫黄含有香料前駆体、
Y−S−G−Q (B−1)
(式中、
Yは、以下に示す基(Y−1)を表し、
【化2】
((Y−1)中、波線はY−S結合の位置を表し、点線は単結合又は二重結合の位置を表す)、
Sは、硫黄原子を表し、
Gは、2〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアルケニル基から誘導される2価又は3価の基を表し(前記2価又は3価の基は、場合により−OR
11、−NR
112、−COOR
11及びR
11基(各基中、R
11は、水素原子又はC1〜C6アルキル基又はアルケニル基を表す)からなる群から選択される1つ以上の基で置換されていてもよい)、及び
Qは、水素原子、−S−Y基又は−NR
12−Y基(各基中、Yは上記のように規定され、且つ、R
12は、水素原子又はメチル基を表す)を表す。)、及び
(C)アルコール香料
を必須成分として含有する。
【0009】
[(A)成分:カチオン界面活性剤]
(A)成分は、「エステル基及び/又はアミド基で分断されていてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である。
【0010】
(A)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)及びローズ調香気の残香性を液体柔軟剤組成物へ付与するために配合される。
炭素数10〜26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は、10〜26であり、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると液体柔軟剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0011】
長鎖炭化水素基は、エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
アミン化合物としては、2級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が2個)又は3級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が3個)が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
【0012】
アミン化合物としては、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
【化3】
〔式中、R
1〜R
3はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH
2CH(Y)OCOR
4(Yは水素原子又はCH
3であり、R
4は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、−(CH
2)
nNHCOR
5(nは2又は3であり、R
5は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH
3である)、又は、−(CH
2)
nNH
2(nは2又は3である)であり、
R
1〜R
3のうちの少なくとも1つは、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH
2CH(Y)OCOR
4又は−(CH
2)
nNHCOR
5である。〕
【0013】
一般式(A1)中、R
1〜R
3における炭素数10〜26の炭化水素基の炭素数は、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
−CH
2CH(Y)OCOR
4中、Yは水素原子又はCH
3であり、水素原子が特に好ましい。R
4は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR
4が複数存在するとき、該複数のR
4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0014】
R
4の炭化水素基は、炭素数8〜22の脂肪酸(R
4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R
4のもととなる脂肪酸(R
4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R
4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10〜0/100が好ましく、80/20〜0/100がより好ましい。
R
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0015】
R
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。なかでも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸からなる群より選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)〜(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10〜0/100、より好ましくは80/20〜0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60〜100/0、より好ましくは70/30〜90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21〜22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0016】
一般式(A1)における、基「−(CH
2)
nNHCOR
5」中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
R
5は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは15〜19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR
5が複数存在するとき、該複数のR
5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R
5としては、R
4と同様のものが挙げられる。
【0017】
一般式(A1)において、R
1〜R
3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10〜26の炭化水素基)、−CH
2CH(Y)OCOR
4、又は−(CH
2)
nNHCOR
5)であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
R
1〜R
3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH、又は−(CH
2)
nNH
2であり、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH、又は−(CH
2)
nNH
2であることが好ましい。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。−CH
2CH(Y)OHにおけるYは、−CH
2CH(Y)OCOR
4中のYと同様である。−(CH
2)
nNH
2におけるnは、−(CH
2)
nNHCOR
5中のnと同様である。
【0018】
前記一般式(A1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(A1−1)〜(A1−8)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
【0019】
〔(A1−1)式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基である。(A1−2)〜(A1−8)の各式中、R
9及びR
10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。〕
【0020】
R
7及びR
8における炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR
1〜R
3における炭素数10〜26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R
9、R
10における炭素数7〜21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR
4における炭素数7〜21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、式中にR
9が複数存在するとき、該複数のR
9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0021】
(A)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
【0022】
(A)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0023】
本発明の柔軟剤組成物に含まれる(A)成分としては、
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1−1)〜(A1−8)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1−4)〜(A1−6)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0024】
一般式(A1)及び(A1−1)〜(A1−8)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0025】
例えば、一般式(A1−2)で表される化合物(以下「化合物(A1−2)」という)と、一般式(A1−3)で表される化合物(以下「化合物(A1−3)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR
4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(A1−2)/化合物(A1−3)」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1−2)の4級化物/化合物(A1−3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0026】
一般式(A1−4)で表される化合物(以下「化合物(A1−4)」という)と、一般式(A1−5)で表される化合物(以下「化合物(A1−5)」という)と、一般式(A1−6)で表される化合物(以下「化合物(A1−6)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR
4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(A1−4)、(A1−5)及び(A1−6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(A1−4)が1〜60質量%、化合物(A1−5)が5〜98質量%、化合物(A1−6)が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(A1−4)が30〜60質量%、化合物(A1−5)が10〜55質量%、化合物(A1−6)が5〜35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1−4)、(A1−5)及び(A1−6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1−4)の4級化物が1〜60質量%、化合物(A1−5)の4級化物が5〜98質量%、化合物(A1−6)の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(A1−4)の4級化物が30〜60質量%、化合物(A1−5)の4級化物が10〜55質量%、化合物(A1−6)の4級化物が5〜35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1−4)、(A1−5)及び(A1−6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないアミン化合物が残留する。その際、「4級化物/4級化されていないアミン化合物」の比率は70/30〜99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0027】
一般式(A1−7)で表される化合物(以下「化合物(A1−7)」という)と、一般式(A1−8)で表される化合物(以下「化合物(A1−8)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR
4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(A1−7)/化合物(A1−8)」で表される存在比率が質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
またその4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1−7)の4級化物/化合物(A1−8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0028】
(A)成分は、1種類以上のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(A1−4)〜(A1−6)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
【0029】
(A)成分の配合量は配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは6〜20質量%、さらに好ましくは8〜16質量%である。配合量が5質量%以上であると、より優れた柔軟性付与効果を得ることができる。配合量が30質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の保存安定性がより良好になる。
【0030】
[(B)成分:硫黄含有香料前駆体]
(B)成分は、硫黄含有香料前駆体である。「硫黄含有香料前駆体」とは、香料と、硫黄を含有する不揮発性の基質とを化学的に結合させた化合物をいう、硫黄含有香料前駆体自体は香りを出さないが、光や熱、水などのトリガーにより香料と基質との間の結合が切断されると香料が放出されて、香りを出す。そのため、硫黄含有香料前駆体で衣類を処理すると、当該衣類の着用後や保管後など、使用場面の後半においても香料としての効果を発揮することが知られている。
(B)成分は、液体柔軟剤組成物による処理後の繊維製品への香りつけのために配合される。
【0031】
(B)成分は、下記一般式(B−1)で表される硫黄含有香料前駆体である。
Y−S−G−Q (B−1)
一般式(B−1)中、
Yは、以下に示す基(Y−1)を表し、
【化5】
【0032】
((Y−1)中、波線はY−S結合の位置を表し、点線は単結合又は二重結合の位置を表す)、
Sは、硫黄原子を表し、
Gは、2〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアルケニル基から誘導される2価又は3価の基を表し(前記2価又は3価の基は、場合により−OR
11、−NR
112、−COOR
11及びR
11基(各基中、R
11は、水素原子又はC1〜C6アルキル基又はアルケニル基からなる群から選択される1つ以上の基で置換されていてもよい)、
Qは、水素原子、−S−Y基又は−NR
12−Y基(各基中、Yは上記のように規定され、且つ、R
12は、水素原子又はメチル基を表す)を表す。)
一般式(B−1)中、Gの「2〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアルケニル基から誘導される2価又は3価の基」の例としては、ドデシル基、デシル基やテトラデシル基等が挙げられ、好ましくはドデシル基である。
【0033】
一般式(B−1)で表される化合物の好ましい例としては、メチル又はエチル2−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−2−イルアミノ)−3−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−2−イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−2−イルアミノ)−3−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−2−イルチオ)プロパネート、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−1−ブタノン及び3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)−1−ブタノンからなる群から選ばれる化合物が挙げられる。
香りの持続性を高める観点から、更に好ましくは、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン及び3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)−1−ブタノンからなる群より選ばれる化合物が挙げられ、
最も好ましくは、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノンが挙げられる。
【0034】
硫黄含有香料前駆体は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0035】
(B)成分は、1種類の硫黄含有香料前駆体を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0036】
(B)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。
【0037】
[(C)成分:アルコール香料]
(C)成分であるアルコール香料は、(C)成分自体による衣料への香り付与と、(B)成分による香気(ローズ調香気)の残香強度を向上させるために配合する。
「アルコール香料」とは、一つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール(例えば、脂肪族アルコール、テンペル系アルコールや、芳香族アルコール等)であって、衣料へ香りを付与することができるものをいう。
【0038】
アルコール香料は公知物質であり、市場において容易に入手することができるか、又は、調製可能である。アルコール香料の具体例としては、以下の物質があげられる。
3−メチル−1−ペンタノール、ゲラニオール、セドロール、シトロネロール、ロジノール、ネロール、ジヒドロリナロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、テトラヒドロムゴール、ムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、オシメノール、テトラヒドロミルセノール、ラバンジュロール、イソジヒドロラバンジュロール、ヒドロキシシトロネロール、ノナディル(6,8−ジメチル−2−ノナノール)、エチルリナロール、イソプレゴール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルピネオール−4、ペリラアルコール、4−ツヤノール、3−ツヤノール、ファルネソール、ネロリドール、α−ビサボロール、β−カリオフィレンアルコール、α−サンタロール(2−メチル−5−(2,3−ジメチルトリシクロ[2.2.1.0(2,6)]ヘプタ−3−イル)−2−ペンテン−1−オール)、β−サンタロール(2−メチル−5−(2−メチル−3−メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−2−ペンテン−1−オール)、ベチベロール、セドレノール、パチュリアルコール、ジヒドロカルベオール、フィトール、イソフィトール、スクラレオール、カルベオール、メントール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、2−ノナノール、イソノニルアルコール(3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール)、1−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール(3−メチル−2−ブテン−1−オール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール、β−ペンテノール(1−ペンテン−3−オール)、リーフアルコール(cis−3−ヘキセノール)、trans−2−ヘキセノール、trans−3−ヘキセノール、cis−4−ヘキセノール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、マツタケオール(1−オクテン−3−オール)、cis−6−ノネノール、キュカンバーアルコール(2,6−ノナジエノール)、アンドロール(1−ノネン−3−オール)、ロザルバ(9−デセノール)、1−ウンデセノール、ウンデカベルトール(4−メチル−3−デセン−5−オール)、オシロール(3,7−ジメチル−7−メトキシ−2−オクタノール)、サンタリノール(2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、p,α−ジメチルベンジルアルコール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、1,2−ペンタンジオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール、スチラリルアルコール(1−フェニル−1−ヒドロキシエタン)、ヒドラトロパアルコール、メチルβ−フェニルエチルアルコール、α−プロピルフェニルエチルアルコール、バニリルアルコール、デカヒドロβ−ナフトール、フルフリルアルコール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール、アミルシンナミックアルコール、シンナミックアルコール、フェノキサノール(3−メチル−5−フェニルペンタノール)、1,2−ペンタンジオール、2−エチルヘキサノール、ジメトール(2,6−ジメチルヘプタノール)、3,6−ジメチル−3−オクタノール、コヒノール(3,4,5,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタノール)、ブラハマノール(メチルトリメチルシクロペンテニルブタノール)、バクダノール(2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、ジャバノール(1-メチル-2-[[1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]シクロプロピル]メタノール)、サンダロール(3−メチル−5−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−イル)−ペンタン−2−オール)、シクロヘキシルエチルアルコール、アポパチョン(p−イソプロピルシクロヘキサノール)、フロラロール(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール)、パチョン(p−tert−ブチルシクロヘキサノール)、ベルドール(o−tert−ブチルシクロヘキサノール)、マイヨール(p−イソプロピルシクロヘキシルメタノール)、シクロメチレンシトロネロール、アンブリノール(2,5,5−トリメチル−オクタヒドロ−2−ナフトール)、メチルサンデフロール(5’又は6’−メチルノルボルン−5’−エン−2−イル)−2−メチルペント−1−エン−3−オール)、チンベロール(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール)、ポリサントール(3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール)、ヒドロキシシトロネロール、ノナディル(6,8−ジメチル−2−ノナノール)、イソプレゴール、イソシクロゲラニオール、ミルテノール、ノポール(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−2−エン−2−エタノール)、ピノカルベオール、α−フェンキルアルコール、ボルネオール、イソボルネオール、パチョミント(2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イリデン)エタノール)、カメコール(トリメチルノルボルナンメタノール)、ジメチルサイクロモル、サンタレックスT(イソカンフィルシクロヘキサノール)、ゲラニルリナロール、クミンアルコール、2−メトキシフェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール(1−ヒドロキシ−2−フェノキシエタン)、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、イソブチルベンジルカルビノール、p−メチルベンジルカルビノール、ヒドロシンナミックアルコール、センチフォール(1,1−ジメチル−3−フェニルプロパノール−1)、ミュゲットアルコール(2,2−ジメチル−3−フェニルプロパノール)、フェニルヘキサノール、デカヒドロβ−ナフトール、AR−1(3,6−ジメチルオクタン−3−オール)、アビトール(ヒドロアビエチルアルコール)、α−プロピルフェニルエチルアルコール、p−メチルジメチルベンジルカルビノール、ムゲタノール(1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール)、フロロール(2−イソブチル−4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン)、1,8−シネオール、フェニルエチルアルコール、ターピネオール、アシルシンナミックアルコール及び3−フェニルプロピルアルコール。
【0039】
(B)成分による香気(ローズ調香気)の残香強度を更に向上させる観点から、(C)成分は、ClogP値の高いアルコール香料が好ましい。なかでも、ClogP値が3〜10のものが好ましく、4〜10のものがより好ましく、4.5〜10のものが特に好ましい。ClogP値の高いアルコール香料としては、例えば、サンタロール(α−サンタロール(5.0)、β−サンタロール(5.2))、ブラハマノール(4.7)、サンタリノール(4.7)、バクダノール(5.1)、ジャバノール(4.7)及びサンダロール(5.2)が好ましく、バクダノール、ジャバノール及びサンダロールが特に好ましい(カッコ内はClogP値)。
ここで、ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値をいう。
ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含む香料組成物は、ClogP値が大きい香料成分を多く含む香料組成物よりも親水的な香料組成物であるといえる。
【0040】
(C)成分としては、1種類のアルコール香料を単独で用いてもよく、複数種類のアルコール香料を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
(C)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.0001〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.0005〜1.5質量%、特に好ましくは0.001〜1.0質量%である。配合量が0.0001〜2質量%であると、(B)成分による香気の残香強度をより向上させることができる。
【0042】
(B)成分に対する(C)成分の質量比((C)/(B))は、好ましくは0.05〜50、より好ましくは0.1〜20、さらに好ましくは0.2〜15である。(C)/(B)が0.05〜50であると、(B)成分による香気の残香強度をより向上させることができる。
【0043】
[任意成分]
本発明の液体柔軟剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(C)の必須成分以外の下記の任意成分を配合してもよい。
【0044】
[(D)成分:ノニオン界面活性剤]
液体柔軟剤組成物には、任意成分としてノニオン界面活性剤((D)成分)を配合することができる。
(D)成分を配合すると、液体柔軟剤組成物の安定性(特に凍結復元性)を向上させることができる。
(D)成分としては、液体柔軟剤組成物分野において公知のノニオン界面活性剤を特に制限なく用いることができる。例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物を用いることができる。
アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6〜14、より好ましくは8〜12、最も好ましくは10〜12である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6〜18、より好ましくは9〜18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製Exxal(エクサール)、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10〜100モルが好適であり、より好ましくは20〜70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5が好適であり、より好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
(D)成分の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9モルPO1モル付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物(ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO20モル)、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物(ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル)、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
【0045】
(D)成分としては、1種類のノニオン界面活性剤を単独で用いてもよく、複数種類のノニオン界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
(D)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%である。(D)成分の配合量が0.01質量%以上であると液体柔軟剤組成物の凍結復元性を向上させることができ、10質量%以下であると液体柔軟剤組成物の粘度の上昇を抑えて、使用性の面で良好なものとすることができる。
【0047】
[(E)成分:(B)及び(C)成分以外の香料成分]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、上記(B)及び(C)成分とは別の香料成分((E)成分)を配合することができる。
(E)成分を配合すると、液体柔軟剤組成物の香気を更に向上させることができる。
(E)成分として用いる香料成分の種類に特に制限はなく、液体柔軟剤組成物に一般的に使用される香料成分を、目的に応じて適宜選択することができる。(E)成分は、1種類の香料成分であってもよく、複数種類の香料成分の混合物であってもよい。また、(E)成分は、香料成分単独であってもよく、香料成分と他の成分(例えば、溶媒や酸化防止剤)とを含む香料組成物であってもよい。
香料成分の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルデヒド類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナールなどが挙げられる。
フェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノールや、イソオイゲノールなどが挙げられる。
エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、p−クレジルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ−β−ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β−フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
ハイドロカーボン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リモネン(特に、d−リモネン)、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ヨノン、β−ヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、ダマセノン、シス−ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンやマルトールなどが挙げられる。
ラクトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサンなどが挙げられる。
ムスク類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類などが挙げられる。
テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ−ヨノン)、カンフェンや、ボルネオールなどが挙げられる。
天然香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油などの精油が挙げられる。
動物性香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香などが挙げられる。
【0048】
(E)成分としては、アルデヒド類、ケトン類及びハイドロカーボン類の香料成分を含有する香料組成物が好ましい。前記香料組成物における、より好ましい香料成分の具体例としては、
アルデヒド類として、α−アミルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、オクタナール、バニリン、エチルバニリンや、ヘリオナールが挙げられ、
ケトン類として、β−ヨノン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、ラズベリーケトンや、マルトールが挙げられ、
ハイドロカーボン類として、リモネン、α−ピネン、β−ピネン及びミルセンが挙げられる。
更に好ましい香料組成物の具体例としては、アルデヒド類としてα−アミルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、オクタナール、バニリン及びヘリオナールからなる群より選択されるものを含み、ケトン類としてマルトールを含むものが挙げられる。
香料組成物が、香料成分としてアルデヒド類と、ケトン類と、ハイドロカーボン類とを含む場合、配合効果の観点で、アルデヒド類、ケトン類及びハイドロカーボン類の香料成分の総質量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。
【0049】
(E)成分が香料組成物である場合、当該香料組成物は、液体柔軟剤組成物、例えば、香料組成物に一般的に使用される溶剤を更に配合してもよい。香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)や、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
溶剤の配合量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。
【0050】
(E)成分が香料組成物である場合、当該香料組成物は、さらに酸化防止剤を配合してもよい。香料用酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール(BHA)、p−メトキシフェノール、β−ナフトール、フェニル−α−ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、γ−オリザノール、ビタミンE(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)・1/3クエン酸塩、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、クェルセチンや、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。好ましくは3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンである。
酸化防止剤の配合量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0051】
(E)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、より好ましくは0.5〜2質量%である。配合量が0.1質量%以上であると香気が強く、より良好な香り持続性効果を得ることができる。配合量が5質量%以下であると、(E)成分の配合過多による、保存安定性低下を回避することができる。
【0052】
[(F)成分:水溶性溶剤]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、水溶性溶剤((F)成分)を配合することができる。但し、(F)成分の水溶性溶剤には、前述の(C)成分に該当するアルコール香料は含まれない。
(F)成分は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合することができる。
水溶性溶剤としては、炭素数1〜4のアルコール、グリコールエーテル系溶剤及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び、下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
R
6−O−(C
2H
4O)
y−(C
3H
6O)
Z−H ・・・(X)
(式中、R
6は、炭素数1〜6、好ましくは2〜4のアルキル基又はアルケニル基であり、yおよびzはそれぞれ平均付加モル数であり、yは1〜10、好ましくは2〜5であり、zは0〜5、好ましくは0〜2である。)
上記に挙げた中でも、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルや、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
(F)成分の配合量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.01〜25質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。配合量が0.01質量%以上であると十分な配合効果を得ることができる。30質量%以下であると、(F)成分の配合過多による、保存安定性低下を回避することができる。
【0053】
[(G)成分:糖系化合物]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、糖系化合物((G)成分)を配合することができる。
(G)成分は、液体柔軟剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合することができる。
糖系化合物としては、糖骨格を構成する繰り返し単位の数(重合度)が1〜40のものが好ましく、1〜20が更に好ましく、1〜5(すなわち、単糖及び重合度1超5以下のオリゴ糖)が特に好ましい。好ましい糖系化合物としては、糖(単糖、二糖や、オリゴ糖)や糖アルコールが挙げられる。
糖の具体例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、タロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、及び、天然多糖の部分加水分解から得られるオリゴ糖、並びに、これらの糖に置換基を導入した化合物(糖誘導体)が挙げられる。導入可能な置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミン基、4級アンモニウム基や、カルボキシル基等が挙げられ、これらの中ではアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基が更に好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基がより好ましく、なかでも炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が最も好ましい。
糖としては、重合度が1〜5の単糖及びオリゴ糖、並びに、重合度が1〜5の単糖及びオリゴ糖において少なくとも一つの水酸基の水素原子がアルキル基で置換された化合物から選ばれる1種以上が好ましい。上記に挙げた中でも、凍結復元性の観点からは、トレハロースが好ましい。
糖アルコールとしては、エリトリトール、トレイトール、ペンチトール、ヘキシトール、ダルシトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイユトール、キシリトール、マルチトールや、ラクチトール等が挙げられる。
(G)成分としては、1種類の糖系化合物を単独で用いてもよく、2種類以上の糖系化合物からなる混合物として用いてもよい。
(G)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜7質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。配合量が0.01質量%以上であると十分な配合効果を得ることができる。10質量%以下であると、(G)成分の配合過多による、保存安定性低下を回避することができる。
【0054】
[(H)成分:染料及び/又は顔料]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、染料及び/又は顔料((H)成分)を配合することができる。
(H)成分は、液体柔軟剤組成物の外観を向上させるために配合することができる。
染料及び顔料共に、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。また、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報や特開2001−348784号公報などに記載されている染料も用いることができる。
好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料又は反応性染料が好ましい。
染料及び顔料のそれぞれについて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。また、染料と顔料とを併用してもよい。
また、(H)成分は、染料又は顔料のいずれかであってもよく、染料と顔料とを組み合わせて使用してもよい。
(H)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
【0055】
[(I)成分:防腐剤]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、防腐剤((I)成分)を配合することができる。
(I)成分は、主に、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合することができる。
防腐剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
(I)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001〜1質量%である。0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られ、1質量%以下であると、(I)成分の配合過多による、保存安定性低下を回避することができる。
【0056】
[(J)成分:紫外線吸収剤]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、紫外線吸収剤((J)成分)を配合することができる。
(J)成分は、液体柔軟剤組成物を紫外線から保護するために配合することができる。 紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出することで、紫外線防御効果を発揮する成分をいう。
紫外線吸収剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルや、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチルや、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルや、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸や、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸や、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
(J)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001〜5質量%である。
【0057】
[(K)成分:抗菌剤]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として、抗菌剤((K)成分)を配合することができる。
(K)成分は、液体柔軟剤組成物の保存性を高めるために配合することができる。
抗菌剤としては、液体柔軟剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、ダイクロサン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、8−オキシキノリン、ビグアニド系化合物(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド)、塩酸クロロヘキシジンや、ポリリジン等が挙げられる。これらの中でも、塩化ベンザルコニウム、ビグアニド系化合物や、塩酸クロロヘキシジンが好ましい。
(K)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001〜5質量%である。
【0058】
[(L)成分:水溶性塩類]
液体柔軟剤組成物には、任意成分として水溶性塩類((L)成分)を配合することができる。
(L)成分は、液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で配合することができる。水溶性塩類としては、無機塩及び有機塩のいずれも使用可能である。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウムや、クエン酸ナトリウム等を用いることができるが、なかでも塩化カルシウムが好ましい。
(L)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
(L)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、0.001〜1質量%、好ましくは0.005〜0.8質量%、さらに好ましくは0.1〜0.6質量%である。なお、(L)成分は、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0059】
[(M)成分:水]
本発明の液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水の配合量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。配合量が50質量%以上であると、ハンドリング性がより良好となる。
【0060】
[その他の任意成分]
前記の任意成分以外にも、液体柔軟剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物、例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1など)などを適宜配合することができる。
【0061】
[液体柔軟剤組成物のpH]
液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の加水分解抑制、及び(B)成分の硫黄含有香料前駆体の分解抑制の観点から、25℃におけるpHが1〜6の範囲内であることが好ましく、2〜4の範囲内であることがより好ましく、2〜3の範囲内であることがさらに好ましい。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0062】
[液体柔軟剤組成物の粘度]
液体柔軟剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、1000mPa・s未満であることが好ましい。
保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。800mPa・s未満であると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。使用性の観点からは粘度の下限は特に制限されない。
本発明における液体柔軟剤組成物の粘度とは、B型粘度計(例えば、ブルックフィールド社のアナログ粘度計T)を用いて25℃にて測定される値をいう。
液体柔軟剤組成物の粘度は、前述の(L)成分(水溶性塩類)を用いて調節することができる。
【0063】
[液体柔軟剤組成物の製造方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の調製方法は特に限定されない。液体柔軟剤組成物の公知の調製方法、例えば、主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の調製方法と同様の方法により製造することができる。
例えば、(A)、(B)及び(C)成分を含む油相と、水を含む水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後得られた乳化物に対し、必要に応じて粘度コントロール剤((L)成分)を添加し、混合することにより製造することができる。
油相は、(A)成分の融点以上の温度で、(A)、(B)及び(C)成分と、必要に応じて任意成分(例えば(D)成分及び(F)成分)とを混合することにより調製することができる。
水相は、水と、必要に応じて任意成分(例えば、(I)成分)とを混合することにより調製できる。
尚、粘度コントロール剤((L)成分)の添加方法は、上記記載の添加方法に限定されない。すなわち、粘度コントロール剤は水相に添加することも可能である。
【0064】
[液体柔軟剤組成物の使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物による衣類等の繊維製品の処理方法は特に制限されるものではなく、従来の液体柔軟剤組成物と同様に用いることができる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の液体柔軟剤組成物を溶解させて処理を行う方法や、または、たらいのような容器を用い本発明の液体柔軟剤組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法がある。
液体柔軟剤組成物は、適度な濃度に希釈して使用される。例えば、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(A)成分の濃度が0.01ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、0.1ppm〜300ppmとなるような量で使用するのが更に好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物により処理され得る繊維製品は、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
【0065】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0066】
実施例及び比較例の液体柔軟剤組成物の製造に用いた成分及び製造方法を以下に示す。
【0067】
[(A)成分:カチオン性界面活性剤]
カチオン性界面活性剤組成物として、(A−1)〜(A−3)を使用した。
A−1:カチオン界面活性剤(特開2003−12471の実施例4に記載の化合物)
A−2:カチオン界面活性剤(東南合成(株)製、商品名:HITEX RO16E)
A−3:カチオン界面活性剤(Stepan製、商品名:Stepantex SE-88)
【0068】
A−1は、一般式(A1−4)、(A1−5)及び(A1−6)で表される各アミン化合物(各式中、R
9は炭素数15又は17のアルキル基及びアルケニル基であり、不飽和部分のシス体/トランス体=75/25(質量比)である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物であった。(A1−4)、(A1−5)及び(A1−6)の総質量に対して、(A1−4)は25質量%、(A1−5)は55質量%、(A1−6)は20質量%であった。また、「4級化物/4級化されていないアミン化合物」の比率は90/10(質量比)であった。
【0069】
[(B)成分:硫黄含有香料前駆体]
下記のB−1〜B−2を使用した。
B−1:3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン。B−1は、特表2005-511710号公報の例4記載の化合物である。また、B−1は、一般式(B−1):Y−S−G−Q中、YがY−1(3、4位に二重結合を有する)で表される基、Gが炭素原子12個からなるドデシル基、Qが水素原子である化合物である。
B−2:3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)−1−ブタノン。B−2は、特表2005-511710号公報の例4記載の方法(但し、δダマスコンをδダマセノンへ変更)で合成した。また、B−2は、一般式(B−1):Y−S−G−Q中、YがY−1(1、2位に二重結合を有する)で表される基、Gが炭素原子12個からなるドデシル基、Qが水素原子である化合物である。
【0070】
[(C)成分:アルコール香料]
下記のC−1〜C−3を使用した。
C−1:バクダノール(IFF社製)
C−2:ジャバノール(Givaudan社製)
C−3:サンダロール(Givaudan社製)
【0071】
[(D)成分:ノニオン界面活性剤]
下記のD−1〜D−2を使用した。
D−1:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイド(EO)を60モル付加させたもの)
D−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO20モル
D−3:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(Exxon Mobil社製Exxal13にエチレンオキサイド(EO)を60モル付加させたもの)
上記のEO付加モル数は平均EO付加モル数である。
【0072】
また、各液体柔軟剤組成物に共通して、下記の(F)成分、(I)成分及び(L)成分(表1では、まとめて「共通成分(Z)」と表示)を使用した。
【0073】
[(F)成分:水溶性溶剤]
下記のF−1を、各液体柔軟剤組成物の共通成分として使用した。
F−1:エタノール(日本合成アルコール社製)
各液体柔軟剤組成物におけるF−1の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して2質量%であった。
【0074】
[(I)成分:防腐剤]
下記のI−1を、各液体柔軟剤組成物の共通成分として使用した。
I−1:イソチアゾロン液(約77質量%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、約23質量%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物)(ダウケミカル社製。商品名:ケーソンCG−ICP)
各液体柔軟剤組成物におけるI−1の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.01質量%であった。
【0075】
[(L)成分:水溶性塩類]
下記のL−1を、各液体柔軟剤組成物の共通成分として使用した。
L−1:塩化カルシウム((株)トクヤマ製。商品名:粒状塩化カルシウム)
各液体柔軟剤組成物におけるL−1の配合量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.03質量%であった。
【0076】
[液体柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、表1に記載の通り調整して、次の手順により液体柔軟剤組成物を調製した。
まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(F)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、(I)成分をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物と(I)成分の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(L)成分を添加し、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物(実施例1〜21及び比較例1〜3)を得た。なお、各液体柔軟剤組成物の粘度(B形粘度計、25℃、30rpm粘度)は500mPa・s未満であった。
表1中、各成分の数値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する配合量(質量%)である。
【0077】
[液体柔軟剤組成物の評価]
得られた液体柔軟剤組成物について、以下の手順により「ローズ調香気の残香強度」の評価を行った。
(評価用布の前処理)
市販の綿タオル(東進社製)を、市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン社製)で、二槽式洗濯機(東芝製VH−30S)を用いて、以下の前処理を3回行った。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄10分間と、続く注水すすぎ10分間のサイクルを2回行なった。
【0078】
(洗濯時すすぎ工程における液体柔軟剤組成物による処理)
前処理洗浄した綿タオル(東進社製)1.0kgを、二槽式洗濯機(東芝製VH−30S)を用いて、市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン社製)で10分間洗浄処理を行なった(標準使用量、標準コース、浴比30倍、25℃の水道水使用)。その後、1回目のすすぎを3分間行った。1回目のすすぎに続いて2回目のすすぎを3分間行った。2回目のすすぎの開始時に、上記の各例で得た液体柔軟剤組成物を添加して、3分間の柔軟処理(仕上げ剤6.67mL、浴比20倍、25℃の水道水使用)を行った。洗浄とすすぎの各処理間に脱水を1分間行った。
すすぎ処理後、二槽式洗濯機から綿タオルを取出し、20℃、40%RHの恒温恒湿条件下で18時間乾燥させ、評価用処理布とした。
【0079】
(処理布のローズ調香気の残香強度評価)
上記乾燥後、20℃、40%RH条件下で3日間保管した後の綿タオルの香気強度を、下記の6段階臭気強度表示法に準拠し官能評価した。専門パネラー8人の平均点により、下記判定基準でローズ調香気の残香強度を判定した。商品価値上、○以上を合格とした。結果を表1の「ローズ調香気強度評価」の欄に示す。
<6段階臭気強度表示法>
0:ローズ調香気がまったくしない
1:ローズ調香気であるとやっと感知できる程度の残香強度
2:ローズ調香気であると感知できる程度の残香強度
3:ローズ調香気であると楽に感知できる程度の残香強度
4:ローズ調香気であると強く感じる程度の残香強度
5:ローズ調香気であると強烈に感じる程度の残香強度
<判定基準>
◎◎◎:4.0点以上
◎◎:3.0点以上4.0点未満
◎:2.0点以上3.0点未満
○:1.5点以上2.0点未満
△:1.0点以上1.5点未満
×:1.0点未満