(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
管理サーバは、確定回収案に基づき、運搬者側端末に回収副産物品目、運搬ルートデータと運搬費を出力し、建設作業所側の端末に回収副産物品目、回収日時と売却額を出力し、買取者側の端末に回収品目、搬入日時と購入額を出力することを特徴とする請求項1記載の建設副産物回収システム。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物は、廃棄物処理法(廃掃法)に従って処理することが制定されている。
ビルの建設工事や工場で製品を生産する等の事業活動に伴って生じた20種類の産業廃棄物について、適正な処理を図るために廃棄物処理法にて、処理が規定されている。排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合には、守らなければならないルールがあり、委託基準が決められている。この委託基準では、排出事業者は委託先の産業廃棄物処分業者や中間の収集運搬業者と役割と責任を明確にした委託契約の締結や、契約のとおり産業廃棄物が適正に運搬、処分されたかの行程を産業廃棄物管理票(マニフェスト)を利用して確認することが義務付けられている。産業廃棄物処理法に基づく仕組みの概略を
図24に示す。
マニフェストシステムとは、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に、マニフェストに、産業廃棄物の名称、数量、運搬者名、処分業者名などを記入し、産業廃棄物の流れを自ら把握・管理する仕組みである。マニフェストの様式は、廃棄物処理法施行規則第8条にて定められている。
建設工事に伴い生ずる建設廃棄物について、廃棄物処理法に沿って適正に処理するために必要な具体的な処理手順等を示すことにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする建設廃棄物処理指針が設けられている。
これらの基準では、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができずに不要となったものを「廃棄物」としている。
【0003】
廃棄物の処理に関して、いくつかの発明が提案されている。
特許文献1(特許第3547051号公報)には、素材メーカーによる素材加工条件と加工業者からの回収条件等をデータベース化した家具材などのリサイクルを目的とした発明が開示されている。
特許文献2(特開2008−15868号公報)には、医療廃棄物に関し廃棄処理管理装置、廃棄処理管理方法、および廃棄処理管理プログラムであって、効率的かつ確実に廃棄物の排出業務を適正化することを目的とした発明が提案されている。
廃棄処理管理装置は、容器情報取得部と、重量情報取得部と、記録部と、問題点判定部と、出力部とを備える。容器情報取得部は、容器情報を取得する。重量情報取得部は、重量情報を取得する。記録部は、重量情報取得部によって取得された重量情報を、容器情報取得部によって取得された容器情報に関連付けして所定の記録媒体に記録する。問題点判定部は、所定の廃棄物の排出業務におけるコストおよび環境負荷に関する問題点を判定する。出力部は、問題点判定部によって判定された結果に関する情報を出力する。
特許文献3(特開2010−250626号公報)には、資源材料のリサイクルについての可否を確実に判定できる判定システム、および、コンピュータをそのような判定システムとして動作させる判定プログラムであって、リサイクル判定システムが、金属資源売却益算出部と、コスト算出部と、判定部とを備え、金属資源売却益算出部は、価格決定システムからリサイクル対象の資源材料の単価を入手し、その資源材料が売却されたときの売却益を算出するものである。コスト算出部は、その資源材料をリサイクルによって得るのに要するコストを算出し、判定部は、上記の売却益と上記のコストとに基づいて、リサイクル対象の資源材料についてのリサイクルの可否を判定する発明が開示されている。
特許文献4(特開2010−191906号公報)には、何時、どこの物件からどの業者がどのような種類の廃棄物を回収してどの処分場に持ち込んだかを一元管理できる廃棄物管理システムに関する発明であって、運搬担当者が電子秤で廃棄物回収袋の重量を計測し、携帯端末でICタグのタグ番号を読み込んで、車輌番号及び運搬担当者及び通信カメラID並びに回収日時等を携帯端末に登録し、そして、産廃業者で、重量を電子秤で計測し、携帯端末でICタグのタグ番号を読み込んで、荷降日時等と共に、携帯端末に登録した後に、産廃業者携帯端末送信情報を通信ネットワークで基幹サーバに送信させ、一方、基幹サーバ311は、産廃業者携帯端末送信情報の回収日時に対して直前の撮影日時を有する通信カメラ送信情報を引当て、この撮影画像を産廃業者携帯端末送信情報に紐付けて管理する発明が開示されている。
特許文献5(特開2005−301451号公報)には、住宅等の建物を建築する場合に、各建築工程において専門工事業者が排出した廃棄物を正確に管理することができると共に、当該廃棄物のリサイクル率を飛躍的に高め、さらに当該廃棄物に係る物流全体のコストと建物建築に係るコストとを低減させることができる廃棄物管理システム及び廃棄物管理方法に関する発明であって、現場管理者端末が、廃棄物容器に収容された資材に係る廃棄物に関する廃棄物実績情報を入力すると、入力した廃棄物実績情報を廃棄物容器に装着された電子タグに書き込むと共に、廃棄物管理装置に送信し、廃棄物管理装置が、廃棄物実績情報を現場管理者端末から受信すると、受信した廃棄物実績情報を記憶すると共に、受信した廃棄物実績情報と回収指示とを輸送業者端末に送信する廃棄物管理システムが開示されている。
特許文献6(特開2002−255307号公報)には、排出物を定期的に回収するのではなく、所定レベル以上集積された時点で適切に回収し、かつ処理施設に搬送できるようにする排出物の回収/搬送最適化システムに関する発明であって、管理する管理センタの受信装置は、排出物収集所から、集積された排出物の種類及びその集積レベルを表す信号を受信し、かつ排出物処理施設から、処理能力情報を受信し、排出物集配スケジュール作成部及び集配ルート最適演算部は、排出物の種類及び集積レベル並びに処理施設の処理能力情報に基づいて、最適な排出物の集配ルートを決定し、排出物収集指示セクションが、収集車両に対して、集配ルートを指示し、セクションは、GISからの情報を参照して、道路状況に応じて集配ルートを変更し、環境ポイント管理セクションは、排出物収集所及び排出物処理施設それぞれの環境ポイントを演算し管理することが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、建設作業所から発生する建設構造物には使用されない副産物を有価物として回収するシステムである。
建設作業所からは、建設構築物には使用されない副産物が発生し、そのままでは、多くの物は建設廃棄物となり、産業廃棄物として処理されることとなってしまう。建設作業所から発生する副産物は、包装用段ボール、プラスチック製建材の端材、鉄骨、鉄筋やコードなど金属製建材の端材、木製建材の端材など再生あるいは再利用可能な材料が多く含まれている。これらを分別して、まとめることにより、一定以上の価値が生まれ、建設作業所で売買が成立する可能性がある。建設作業所で売買が成立することにより、その副産物は有価物となり、廃棄物処理法が適用される廃棄物の範疇から除外されることとなる。
本発明は、建設作業所から発生する副産物を有価物として扱われる収支分岐点を下げて、建設作業所から発生する廃棄物の減量化と廃棄コストを減少させるシステムである。副産物の分別や規格梱包による貨物の整理、集荷トラックの効率的な運用による集荷費用の低減によって、収支分岐点を下げる。
【0010】
建設作業所では発生する副産物を種別に分別し、できる物は扱いやすい大きさの単位に規格化して、体積、重量などの数量を明確化し、作業所名、種類、数量を記録する。
集荷用のトラックは、運搬者からトラック毎の単価(時間単価等)の登録を受けデータベース化し、始発箇所から荷降ろし場所までに要する運搬費(積み降ろし作業込み)を算出する。トラックは手配のしやすさなども加味してシミュレーションされる。トラック単価は、配送帰りの空荷になりやすい時間など時刻によっても変化する可能性がある。
【0011】
1.システム構成
建設作業所端末、買取者端末、運搬者側端末及び管理サーバがインターネット回線につながっている建設副産物回収システムであって、各建設作業所で発生する副産物を登録する建設副産物データベース、副産物の買い取りを希望する業者を登録する買取者データベース、運搬者が運搬可能な車輌を登録する運搬者データベースと、買い取り額と運搬費とを比較する管理サーバを備えている。管理サーバは、買い取り額が運搬費を上回るとき当該副産物を有価物と判定し、買い取り契約が成立したと見なして、契約当事者及び運搬者へ回収決定を出力する。成立した買い取り契約に基づき、買取者は、各建設作業所にトラックを手配して、有価物となった副産物を積み込み、荷降ろし地に搬入する。
買取者は、複数の建設作業所を回って積み込むことができ、複数の種類の副産物を積み込むこともできる。買取者が、専門分野に分かれている場合は、トラックに余裕がある状態で運行することになることになり、また、それぞれの買取者の手配したトラックが建設作業所に出入りすることとなり、煩雑である。回収請負により代行者が複数の買取者の代行回収を行うことにより、トラックの有効利用が可能となる。回収代行は、複数の運搬者と契約することにより、帰路中の空荷など余裕のある車輌を確保できる。
回収業務を代行業務としてシステム化することにより、各地に分散する建設作業所の多品種の副産物と、専門化している買取者、及び流動性のある運搬者の車輌を、選択して有機的に結びつけることができる。
本システムでは、有価物と判定した買い取り契約は、買い取り額と運搬費を比較して、前者が後者を上回る場合に成立することを原則とする。
買い取り額は、基本的には、単価と数量で決定できるが、数量増加に伴って、割り増しも可能である。一方、回収費用は運搬費が大きな部分を占める。トラックの効率性を上げることによって、回収費用は低減する。
したがって、複数の建設作業所から発生する副産物を合算できること、同一車輌に混載できることは、買い取り額を増やし、回収費用を低減する方法として有効である。
【0012】
2.建設作業所
建設作業所は、例えば、ビル建設、道路建設、地下鉄建設、鉄道、河川改修など各地で行われており、同じ建設会社系列や他社建設会社など多種多様である。廃棄物処理法が適用されると、それぞれの建設作業所責任で処理をする必要があり、近隣の同じ会社の建設作業所でもそれぞれ契約し手配する必要がある。建設作業所には、工事管理用の事務所が設けられている。
建設作業所では、作業スケジュール、進捗状況によって、発生する副産物の種類、進入できる車輌の種類、時間などの制約がある。
したがって、建設作業所の端末から、住所、副産物の品目、数量、利用可能な車輌種類、引き渡し可能な日時などの情報を入力する。
【0013】
3.副産物の種類
副産物の種類は、既存ビルなどから発生する物、新規建設に伴い発生する物など多岐多様である。
例えば、段ボール、電線片、プラスチック、金属片、設備機器、容器、木材などがある。
設備機器は、ポンプ、配電盤、発電機、ボイラー、モーター、給湯器など、解体作業に伴って発生する副産物、建設工事に伴って発生する端材、仮設設備の搬出器材、包装品など様々である。大きな機器類は単体で搬出され、段ボールやコード類はまとめて搬出されることもある。
【0014】
4.買取者
買取者は、買い取り可能な品目、単価、買い取り可能な日時、荷降ろし地などを端末から入力する。荷降ろし地は買い取った副産物を運び込んで保管する倉庫やストックヤード等であって、買取者が指定する場所である。単価などは随時変更される。倉庫などの荷降ろし地に侵入可能な車輌の制限情報も入力される。事前に登録していない種類の副産物が、提示された場合は、随時買い取り希望を登録する。
買取者は運搬者に対して回収代行契約などの運契約を結ぶ。基本的には、本システムを利用する買取者は全運搬者と運搬契約することにより、システム運用の自由度が向上する。
買取者が自ら所有する車輌を搬送に使いたい場合は、運搬者としても登録する。
【0015】
5.運搬者
運搬者は、各地の建設作業所から荷降ろし地に副産物を運搬する車両を提供する者である。
提供できる車輌の種類、月日、時間、運搬単価、運転手、運行可能な範囲等を入力する。
建設作業所から建設副産物を運び出す者は、買取者と運搬契約を結び、建設作業所にある副産物を買い取った者に代わって引き取る。本発明では、運搬者がこの役割を兼ねることによって、運搬者に所属する車輌に副産物を積み込む行為をもって、副産物の所有が買取者に移転することとなり、売買が成立することとなる。
提供する車輌は、副産物専用の車輌、あるいは、他の用途との兼用も可能である。例えば、主に、午前中に配送が終了し、午後は空きになる車輌。あるいは、定期搬送便で片道は積荷があるが他の片道は空荷になるような車輌。工場と倉庫など特定のルートを搬送しているトラック便では、空荷になる時間と場所が一定になるので、副産物を回収する場所が空荷になる場所に近いと、利用性が良い。
本システムでは、複数の買取者と契約を行った運搬者に所属する車輌を用いることにより、それぞれの買取者が買い取った副産物を同じ車輌に積み込んで搬送することができるので、別々に搬送するよりも、運搬費を節約することができる。
なお、廃棄物処理法の適用を受けた場合は、排出者となる建設作業所は、処分する廃棄物毎に収集運搬業者と処分業者とを別々に契約して、有料で処分を実施する必要があり、煩雑で、かつコストも発生していたが、本システムでは、副産物は有価物として扱われ、建設作業所は複数の種類の副産物をまとめて扱うことができ、かつ、売却収入を見込むこともできる。
このシステムの特徴は、運搬者が複数の買取者と回収業務契約を行い、副産物の回収を行うことにより、可能となる。勿論、物量が多く、1つの副産物で一台のトラックを占有することもある。運搬者が多くの買取者と契約することが好ましい。
【0016】
6.回収代行業
副産物が産出される建設現場は全国に存在し、建設プロジェクトによって存在箇所が変化する。これらの点在する建設現場に対応して副産物を回収するには、地域の事情に精通した業務展開が適している。この地域別などの事情に応じてシステムを管理・運用する機能を回収代行業として分担させることができる。回収代行業は、地域別の他、システムの構築レベル別に設定するなど各種、複数設けることができる。
システムの管理・運用は、有価評価し回収代行業務として、買取者から回収業務を請負に基づき、車輌を手配することを基本とし、必要な各種登録と副産物回収スケジュールを作り、実行手配、実績記録、報告業務へと発展、拡充させることができる。
例えば、副産物を有価に該当するか評価し、運搬者から車輌の運用管理業務の委託を受けることによって、車輌のスケジューリングを行う。具体的には、回収・搬送ルート、所要時間の算定、運搬車輌状態など事情に精通することも重要な要素となる。また、さらに、回収業務報告、費用清算業務も実施することができる。回収業務を一元化することにより、建設作業所、買い取り業務、運搬業務を一体に実施できる。
回収代行業は、建設現場に密着した業務であり、地域特性などの事情に精通した回収業務を行うために、地域特性や業務内容応じた代行を行う。回収代行は、地域の他、システムの整備レベルに応じたサブ的なシステムにも適用できる。
回収代行業は、地方別など複数設けることができ、地理等のその地域の事情に習熟していると、サービスの向上が実現する。
【0017】
7.建設副産物データベース
建設副産物データベースには、副産物の発生する建設作業所名、搬出可能日、引き渡し可能日(時間)、副産物の種類、荷姿、数量、車輌制限などの情報が格納されている。
【0018】
8.買取者データベース
買取者データベースには、買取者名、取扱副産物品目名、荷降ろし地、買い取り単価、回収代行契約者名、利用可能な車輌の種類、搬入可能日、制限のある日時などの情報が格納されている。
【0019】
9.運搬者データベース
運搬者データベースには、運搬者が提供する車輌情報が格納されている。車輌情報としては、車輌の種類、利用可能な日時、運搬単価(時間単位、午前午後)、運転手、運行できる地域などの情報が格納されている。
【0020】
10.有価判定
有価判定は、副産物の価格を、副産物の数量と単価を基本に積算して決定し、運搬費を利用する車輌と回収に要する時間、時間単価などに基づいて算出し、副産物価格と運搬費を比較して、副産物価格が運搬費を上回った場合に有価と判定し、その副産物は有価物と認定される。
例えば、有価判定は次のようにして行われる。
1.副産物種別価格の総額S=Σan*bn、
S:回収対象の副産物の総額、a:特定日時における建設作業所毎に副産物種リスト A(a1〜an)、b:副産物種別単価リストB(b1〜bn)。
2.運搬費総額D、D:車輌費用など運搬に係る諸費用額
3.比較(S−D)
4.有価評価条件 S−D≧k、k:任意設定数
「k=0」が単純に副産物額が回収に要する額を上回ることとなり、基本的条件である。ただし、利益率を上乗せする、あるいは、他の販促要因費がある場合は、kの値は、「+」あるいは「−」調整をして設定することが可能である。
【0021】
回収する副産物候補を決定するには、回収日を指定し、指定日に回収可能な副産物をリストアップし、その日1日あるいは半日程度で回収可能なルート選定する。
回収ルートに存在する副産物をリストアップし直して、数量を換算して、必要な車輌を決定する。
利用可能な車輌の候補をリストアップし、単価と回収時間などを掛けて運搬費を積算する。
次いで、副産物価格と運搬費を比較して、有価の成否を判定する。
有価が成立しない場合は、回収ルートや回収日時を変更して、副産物の価格の積算し直し、ルート変更によって運搬費も再計算する。
また、車輌を優先指定して、回収ルートを選定して副産物価格を算定するオプションも可能である。
またさらに、建設作業所の都合で、回収に日時が特定される場合には、日時を固定して判定することもできる。
有価物と判定された副産物に関わる建設作業所、買取者、運搬者に、有価物と判定された根拠情報を、端末出力などの通知とそれぞれの確認あるいは修正を経て、有価物を確定する。この確定に基づいて、実施する回収スケジュールも設定される。
なお、他の回収案で判定を繰り返しても、有価と判定できない副産物は、廃棄物など他の手段で処理されることとなる。建設作業所の保管期限などによって、本システムによる回収の対象に載らない副産物も存在する。
【0022】
11.実行管理データベース
建設副産物が回収実績を記録する実行管理データベースを備える。この記録に基づき、建設作業所、買取者、運搬者のそれぞれに回収完了報告を出力する。さらに、必要に応じて、月報等の実行実績報告を出力する。
さらに、費用管理データベースを備えて、費用に関する清算、管理をする機能を備えることができる。
【0023】
12.システム構成態様1
建設副産物の回収システム10の構成概要を
図1に示す。
建設作業所1、買取者2、運搬者3及び管理サーバ4がインターネットなどの通信ネットワーク5を介して接続されて建設副産物の回収システム10が構成されている。
建設作業所1には、各地に点在する建設作業所a、b、c、・・の多数の建設作業所が存在し、各作業所から工事の進捗にしたがって様々な副産物が生成され各端末から入力されて登録される。
買取者2は、建設作業所で発生する副産物に対して買い取り希望を有する複数の買取者であって、各買取者は、対象品目及び単価、荷降ろし地を各端末から登録する。買取者は、専門の品目に特化している場合と、全般に取扱可能な者が存在するが、品目別に登録する。
運搬者3は、各種のトラックなどの車輌を提供する者であって、建築作業所から副産物を搬出して買取者が指定する荷降ろし地まで運搬する車輌及び単価を各端末から登録する。
管理サーバ4は、建設作業所1から入力された副産物に関する情報を建設副産物データベース7として構築し、買取者2から入力された買い取り希望品目に関する情報を買取者データベース8として構築し、運搬者3から入力された車輌に関する情報を運搬者データベース6として構築している。また、管理サーバ4には、副産物に関し、有価物と判定し、運搬プログラムを作成して、各端末へ出力する機能を備えている。最終的に回収が確定した副産物は、買い取り売買契約が成立したこととなる。
またさらに、副産物が回収された実績の管理機能も備えることができる。
【0024】
建設副産物回収に関するフローの概略を
図2に示す。
各地の建設作業所100から発生した副産物Aの品目と数量を登録するステップ101、買取者200が買い取り品目と単価を登録するステップ102、運搬者300が提供する車種と単価を登録するステップ103を経て、品目毎に副産物の数量と単価から副産物の価格Bを算出するステップ104、車輌単価に基づき運搬費Cを算出するステップ105、副産物価格Bと運搬費Cを比較するステップ106、ステップ106で黒字になる場合(B−C≧0)、有価物と判定し売買を成立させるステップ107、売買契約に基づき集荷し、運搬を実行するステップ108、副産物を買取者Dが指定する荷降ろし地Eに届けるステップ109をメインの実行フローとする。
ステップ106で赤字になる場合は非回収とするステップ110に入り、元の建設作業所へ副産物情報が戻るルート111に入り、当該建設作業所から新規に発生する副産物などと合算されて再登録されステップ101となる。
ステップ110の段階で、建設作業所の保管制限などの理由によって、再登録ができない場合は、廃棄物処理ステップ112に移行する。
【0025】
13.システム構成態様2(回収代行システム態様)
回収代行を利用した建設副産物の回収代行システム20の構成概要を
図3に示す。
建設副産物の回収代行システムは、
図1に示す回収システムの基本構成に加えて、回収実行業務を行う回収代行サーバ9を設けている。
図1に示す回収システムと共通する部分については、説明を省略する。
回収代行サーバ9は、管理サーバ4から回収実行に関する機能を分担する。例えば、有価判定まで管理サーバが担当し、成立した契約に基づき回収実行プログラムを回収代行サーバ9が行う。
回収代行サーバ9がどこまで分担するかは、システム設計による。管理サーバ4はデータベースの構築までとし、回収代行サーバ9は、価格設定、費用の精算から以降を分担することもできる。
管理サーバの機能をデータベース構築機能とした場合、回収代行サーバ9を複数設けることも可能となる。例えば、一日程度で回れる範囲を担当する回収代行サーバを地域ごとに設ける。あるいは、品目を特定した回収代行サーバを設けるなどが可能である。
【0026】
回収代行システムによる建設副産物回収に関するフローの概略を
図4に示す。
図示の例は、ステップ106で黒字になる場合(B−C≧0)、有価物と判定し、売買を成立させるステップ107までは、
図2に示す回収フローと同じである。売買成立後に回収代行者400が買取者200に代わって代行回収を行うステップ120を実行するフローとなっている。
回収代行者400は、買取者200から回収実行の委託を受けており、運搬者300に対して車輌の手配依頼を行って、車輌の運用を行い、建設副産物を集荷するステップ121を経て、買取者が指定する場所へ荷降ろしするステップ122を実施する。
ステップ106で赤字になる場合は非回収とする、ステップ110以降のステップは
図2に示すフローと同様である。
なお、回収代行者400が
図4に示すどのステップから担当するかは、設計によることができる。
【0027】
回収代行者が地域別など複数存在することも可能である。
また、副産物の運搬のほか、事後処理の報告業務、費用の決済業務も実施するフローを追加することも可能である。
【実施例1】
【0028】
建設副産物の回収システムの一例を示す。
建設副産物の回収システム運用イメージを
図5に示す。
本例の建設副産物の回収システム運用は、N副産物回収運営会社が担当し、N社はKa建設会社等から建設副産物の回収依頼を受け、副産物が有価物と判定され、建設副産物を買い取る契約が成立した場合、Ra買取者から買い取り物回収委任を受けているTa運搬会社に対して車輌を手配して、運搬を指示し、Ta運搬会社は車輌を建設作業所へ派遣し、副産物を積み込んで回収し、Ra買取者の指定地に搬入する。Ra買取者は、買取実績をN社へ報告する。N社は月次報告をKa建設会社へ報告する。
【0029】
このシステムは、基本的には、
図1に示される回収システム10の構成によって、通信回線でネットワーク化されている。
具体的な機器構成例を
図6に示す。
本建設副産物回収システムは、管理サーバと建設会社・建設作業所端末、運搬会社端末、買取者端末、回収車輌が携帯する携帯端末が通信ネットワークに連結されて構成されている。
管理サーバには、契約演算器、作業用データベース、登録データベース、スケジュール管理、実績管理、報告管理を行う機能を備えている。契約演算器は、副産物を有価物として成立するか判定する機能、及び、有価物の回収契約にしたがって、回収スケジュールを確定する機能を備えている。作業用データベースは、さらに建設副産物DB、運搬者DB、買取者DBを備えている。登録データベースは、本システムに参加するメンバーを登録する参加者に関する基礎データベースである。各参加者には、端末が備えられており、発生する副産物の登録、買い取り品目・単価などの登録、運搬用車輌名・運賃・ドライバーなどを登録する登録機能と、決定された回収スケジュールの表示、実績報告・確認などが各端末から行われる。携帯端末は、回収車輌が携帯し、回収スケジュールの表示、回収先である建設作業所への入所許可・積み込み確認、荷降ろし地への入所許可・搬入確認、回収終了報告などを行う。
これらの、端末及び運用会社に備えられた端末には、照会機能やマニュアル修正機能なども適宜備えられる。
回収ルートを選定するに当たっては、既存のマップデータを活用することができる。
【0030】
本実施例の業務フローを
図7に示す。
第1は、1.情報収集ステップである。情報収集は、各参加者の基礎データの登録、具体的な副産物の登録、買い取り品目・単価などの登録、運搬用車輌の車種・機関などの登録、回収代行契約などの登録を受けて、建設副産物の回収を実行できる基礎情報を収集し管理サーバに登録する段階である。
第2は、仮仮スケジュール選定ステップである。登録された副産物を回収日・出発作業所等を優先基準にして、回収ルート案を選定するステップである。優先条件を設定した後、時間など一定条件の下、マップ情報なども取り入れて、管理サーバが具体的なルートの候補を選定することができる。
第3は、管理サーバが、仮仮案の有価(契約)成立性を検討するステップである。対象副産物の物量、買い取り単価、運搬費などを算出して、副産物額と運搬費を比較して、有価物として買い取り契約の成立性を判定して、成立した回収案を仮案とするステップである。
第4は、管理サーバから回収仮案を建設作業所、買取者、運搬者の端末へ出力して、各者から認否の回答を得るステップである。全員の了解が得られた仮案を確定案とする。了解が得られない場合は、第2ステップへ戻る。なお、端末表示の他、必要に応じてFAXによる出力も可能である。
第5は、確定した回収案を各者の端末へ出力し、確定回収スケジュールを周知するステップである。
第6は、確定した回収案に基づき、必要な伝票や帳票を作成し、各者の端末へ出力等を配信するステップである。回収スケジュールは担当車輌の携帯端末にも出力され、車輌は回収業務を開始する。
第7は、回収スケジュールに基づき、担当車輌が建設作業所へ行き、対象となった有価副産物を積み込むステップである。作業所では、出力されたスケジュールと、車輌が提示した回収通知を照合して確認する。回収車輌は、積み込んだ副産物を携帯端末で確定処理する。
この車輌は買い取りをする業者から回収を委任されており、積み込んだ時点で建設会社から買取者に副産物の所有権が移転し、譲渡が成立したとみなすことができる。これによって、この建設副産物は、廃棄物処理法の適用をされずに処理され、他所の副産物も混載することができ、まとめて回収できるので、有価物として回収できる自由度が高くなる。
第8は、買い取った業者が指定した荷降ろし地へ持ち込むステップである。
第9は、荷降ろし地では、搬入された副産物を車輌携帯端末と買取者端末で突き合わせ確認して検量し、証明書を携帯端末に入力するステップである。建設副産物の有価物としての実物処理はこれで終了する。
以下のステップは、実績管理工程であって、付加ステップである。
第10は、運搬車輌から回収実績を報告するステップである。
第11は、買取者が買い取った明細を端末から報告し、管理サーバへ登録するステップである。
第12は、運搬者から請求された運搬費を管理サーバが受け取り登録するステップである。
第13は、買取者から登録された買い取り額から、運搬者から請求された運搬費を差し引いて算出した支払額を、管理サーバから建設作業所単位で出力するステップである。
第14は、これらの回収実績の報告をまとめて、月次報告書を作成し、管理サーバから各者の端末へ出力するステップである。
【0031】
管理サーバが備えている主な機能を表1に例示する。
【表1】
【0032】
端末が備える機能を表2に示す。
表2は建設作業所設置用端末の機能例を示している。他の箇所の端末もそれぞれに応じた機能を備えており、具体的な表示は省略する。
【表2】
【0033】
回収スケジュール設定に使用する構成を
図8に示す。
回収スケジュールは、例えば、特定の月カレンダーをディスプレイに一覧表示して、その表示から、週別に作業所やルート、車輌をディスプレイから選定し、特定の回収日を設定する。特定の回収日・回収ルートで回収対象となった副産物の有価判定を行って、回収案を決定することができる。回収案が不成立の場合は、対象を変えて再度判定する。
回収スケジュールを決定するに当たり、副産物情報、ルート情報、車輌情報の調整行う構成を
図9に示す。確定するまで、組合せを試行する必要があるので、相互調整を行う。
【0034】
本副産物回収システムを運用するに当たり、各者から入力が必要な情報に関し、建設作業所が入力する構成を
図10に示す。この情報が
図6のシステム構成の参加者データベース中の建設作業所関連の基礎データとして登録され、
図7に示すフロー図の第1ステップ、情報収集に含まれる。
建設作業所が入力するデータ項目は沢山あり、
図10では3部構成となっている。
一部では、建設会社名、支店名、建設区分、作業所名、施工地住所、工事発注区分、管理責任者などの基本情報を入力する。
2部では、建設作業所関連のデータが入力される。運用責任者、現地担当者、搬出連絡担当者、仕分け担当者などの氏名、連絡手段などである。
3部は、建設作業所の回収に直接関わる情報が入力される。搬入車輌制限、回収期間、工期、回収期の工事工程、回収期間末終了工程、副産物の事前処理情報(圧縮、破砕等)などである。
【0035】
副産物の品目を指定して、回収案を選択する場合の選択画面構成例を
図11に示す。
図11に示す例は、副産物品目として段ボールを選択した場合、対象内容が一覧表示された状態を示している。これからさらに、発生している作業所名を表示させ、回収ルート、車輌などの他の情報を選定して、回収案を作成し、有価判定を行う。この
図11は、例えば、
図7の第2ステップで利用される。
【0036】
図7に示す第4ステップで回収の仮案が各端末に出力された場合、それに各者が応答する例を
図12、
図13に示す。
図12は、買取者Rb買取者が回収対象段ボールについて、データベースに既に登録してあった買取予定単価が15円/kgであったが、回収日では買取単価を14円/kgに値下げ訂正した例が表示されている。
図13は、Rb買取者が回収案に対して、訂正を行って回答するまとめ表を示している。
この例では、2品目に対して、いずれも予定より1円下がっており、この回答を元に、管理サーバは有価として成立するか再判定する。
このように回収案に対して、運搬者からも修正があれば、修正運賃を再判定に反映する。
図14に、運搬者が車輌を登録する個表例を示す。回収案で示された車輌を修正する場合などに使用される。
【0037】
図7に示す回収スケジュール選定や
図8に示す月別スケジュール表示に示すカレンダー表示例を
図15に示す。この例では、副産物が存在する日に建設作業所が登録されており、この表では、10月5日にKa作業所を優先して、回収案を作成した例が表示されている。
【0038】
月別カレンダー
図15からさらに進んで週別カレンダー表示例を
図16に示す。
回収予定日を優先して、副産物が存在する作業所を表示してある。作業所の分布に応じて、回収ルートを選定し、ルート別表示をしている。ルートが選定できた後、ルート毎に有価判定を行う。一連の回収ルートは、○数字で示されている。
図16の例では、○1−1〜○3までの3箇所に到着する時間が設定されている。
図16の第1ルートは、Ka建設−Kb建設の作業所を回ってRa買取者の荷降ろし地へ行くルートである。このルートに○○運搬の1111番の車輌を選定している。
【0039】
この要件で有価判定を行う状態を
図17に示す。有価判定に登録されたデータを用いると、既に登録されている買い取り単価及び運賃では、差引き額が60000円となり、有価物として成立することとなる。
ルート別に有価判定した後、回収予定日の回収案の一覧表示例を
図18に示す。
この第1ルートを仮回収案として各者に提示して、修正などの回答を得て、確定することとなる。これは、
図7の業務フローの第3、第4ステップに該当する。
【0040】
確定した副産物回収案は各者の端末に出力される。建設作業所端末へ出力された確定回収案の表示例を
図19に示す。Ka建設において、冷水ポンプと電線が10月5日の回収対象副産物であり、1台目の4t車が13時に積み込む予定であることが表示されている。また、買取者はRb買取者であることなどが表示されている。このような表示が買取者、運搬者へもそれぞれの形式で出力される。
【0041】
確定回収案を運搬会社端末へ出力した表示例を
図20に示す。
Ta運搬京浜羽田支店に対して、4t車2台、2t車1台を配車依頼してあり、それぞれの車輌の回るルートが表示されている。
【0042】
買取者端末に出力される確定回収案が
図21に表示される。
図21はRa買取者が10月5日に買い取り、荷降ろし地に持ち込まれる副産物が搬入車輌別に表示されている。
【0043】
荷降ろし地に持ち込まれて副産物の回収は終了する。なお、本実施例では、その後の精算などの事後処理機能も設けた。
図22は、買取者Ra買取者に対する買い取り費用の月別リストである。
【0044】
建設会社への月次報告を一覧表示した例を
図23に示している。