特許第6688648号(P6688648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6688648-電流検出回路 図000002
  • 特許6688648-電流検出回路 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688648
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】電流検出回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20200421BHJP
   G05F 3/24 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   G01R19/165 J
   G05F3/24 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-62156(P2016-62156)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-173244(P2017-173244A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−270252(JP,A)
【文献】 特開平06−152272(JP,A)
【文献】 特開2009−193211(JP,A)
【文献】 米国特許第05602500(US,A)
【文献】 特開平01−296491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00−19/32、
G05F 1/12−1/44、
1/45−1/56、
1/56−1/613、
1/613−1/618、
1/618−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子と、
GND端子と、
測定電流入力端子と、
出力端子と、
ゲートが第2のPMOSトランジスタのドレインに共通接続され、ソースが前記電源端子に共通接続された第1乃至第3のPMOSトランジスタと、
ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが前記GND端子に接続された第1のNMOSトランジスタと、
一端が前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続され、他端が前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続された第1の抵抗と、
ドレインが前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第1のNMOSトランジスタのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有する第2のNMOSトランジスタと、
前記第2のNMOSトランジスタのソースと前記GND端子との間に接続された第2の抵抗と、
ドレインが前記出力端子及び前記第3のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ゲートが前記第2のNMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第2のNMOSトランジスタのしきい値電圧と同じしきい値電圧を有する第3のNMOSトランジスタと、
一端が前記測定電流入力端子及び前記第3のNMOSトランジスタのソースに接続され、他端が前記GND端子に接続された電流測定抵抗と、
ゲートが前記第1の抵抗の一端に接続され、ドレインが前記電流測定抵抗の一端に接続され、ソースが前記GND端子に接続された第4のNMOSトランジスタと、
を備えることを特徴とする電流検出回路。
【請求項2】
前記第2の抵抗の抵抗値は、前記第1の抵抗よりも低い抵抗値である
ことを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出回路に関し、特に、電流測定抵抗に所定電流が流れたことを検出する電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図2に従来の電流検出回路200の回路図を示す。
従来の電流検出回路200は、電流流入端子203と、基準端子202と、電流測定抵抗241と、電流検出部251とを備えている。
【0003】
電流検出部251は、電圧入力端子204と、基準端子電圧入力端子206と、基準電圧回路20と、電圧比較回路261と、出力端子205とで構成されている。
電流流入端子203と基準端子202は、電流測定抵抗241を介して接続され、さらに、電圧入力端子204と基準端子電圧入力端子206にそれぞれ接続されている。
【0004】
基準電圧回路20は、基準端子電圧入力端子206と電圧比較回路261のマイナス入力端子との間に設けられ、基準端子電圧入力端子206の電圧を基準とした基準電圧Vrefを電圧比較回路261のマイナス入力端子に供給する。電圧入力端子204は、電圧比較回路261のプラス入力端子に接続され、電圧比較回路261の出力は、出力端子205に接続されている。
【0005】
上記のように構成された従来の電流検出回路200は、以下のように動作する。
電流流入端子203から電流測定抵抗241を介して基準端子202へ測定電流が流れることにより、電流測定抵抗241の一端に発生した電圧が電圧入力端子204に入力され、この入力電圧と基準電圧Vrefとが電圧比較回路261で比較される。
【0006】
測定電流が検出電流値に達すると、電圧入力端子204の電圧が基準電圧Vrefを超えるため電圧比較回路261の出力がハイレベルとなり、出力端子205からハイレベルの電流検出信号が出力される(例えば、特許文献1の図2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−241463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の電流検出回路200において、電圧比較回路261は、通常、少なくとも差動増幅回路とバッファ回路とを備えて構成されるため、電圧比較回路261における消費電流が大きい。
【0009】
また、小型化と低コスト化のため、電流測定抵抗241には、なるべく低い抵抗値の抵抗を採用するのが望ましい。しかし、電流測定抵抗241の抵抗値が低いと、測定電流が流れた際に電流測定抵抗241に発生する電圧が低くなることから、この電圧と比較される基準電圧回路20の電圧Vrefも低い電圧値にする必要がある。このため、図示はしていないが、基準電圧回路20は、内部で作成した一定電圧をブリーダ抵抗で10分の1程度に分圧することで、0.1V以下の電圧の基準電圧Vrefを出力するよう構成される。このような低い電圧値の基準電圧Vrefをブリーダ抵抗を用いて生成するためには、電源端子とGND端子間に接続されたブリーダ抵抗に電流を流さなければならず、消費電流の増加につながる。
【0010】
このように、従来の電流検出回路200では、消費電流が非常に大きくなってしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電流検出回路は、電源端子と、GND端子と、測定電流入力端子と、出力端子と、ゲートが第2のPMOSトランジスタのドレインに共通接続され、ソースが前記電源端子に共通接続された第1乃至第3のPMOSトランジスタと、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが前記GND端子に接続された第1のNMOSトランジスタと、一端が前記第1のPMOSトランジスタのドレインに接続され、他端が前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続された第1の抵抗と、ドレインが前記第2のPMOSトランジスタのドレインと前記共通接続された第1乃至第3のPMOSトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第1のNMOSトランジスタのしきい値電圧よりも低いしきい値電圧を有する第2のNMOSトランジスタと、前記第2のNMOSトランジスタのソースと前記GND端子との間に接続された前記第1の抵抗よりも低い抵抗値の第2の抵抗と、ドレインが前記出力端子及び前記第3のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ゲートが前記第2のNMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第2のNMOSトランジスタのしきい値電圧と同じしきい値電圧を有する第3のNMOSトランジスタと、一端が前記測定電流入力端子及び前記第3のNMOSトランジスタのソースに接続され、他端が前記GND端子に接続された電流測定抵抗と、ゲートが前記第1の抵抗の一端に接続され、ドレインが前記電流測定抵抗の一端に接続され、ソースが前記GND端子に接続された第4のNMOSトランジスタとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電流検出回路によれば、従来の電流検出回路と比べ、電源端子からGND端子への電流パスを少なくすることができる。そのため、従来の電流検出回路よりも消費電流を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の電流検出回路を示す回路図である。
図2】従来の電流検出回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の電流検出回路100を示す回路図である。
本実施形態の電流検出回路100は、電源端子101と、GND端子102と、測定電流入力端子103と、電流測定抵抗接続端子104と、出力端子105と、PMOSトランジスタ113と、NMOSトランジスタ123及び124と、電流測定抵抗141と、基準電圧回路10とで構成されている。PMOSトランジスタ113とNMOSトランジスタ123は、比較出力回路を構成する。
【0015】
電源端子101には、電源からプラスの電圧が供給され、GND端子102には、電源からマイナスの電圧が供給されている。
基準電圧回路10は、PMOSトランジスタ111及び112と、NMOSトランジスタ121及び122と、抵抗131及び132とを備えて構成されている。
【0016】
PMOSトランジスタ111、112、及び113は、ゲートがPMOSトランジスタ112のドレインに共通接続され、ソースが電源端子101に共通接続されている。NMOSトランジスタ121は、ゲートがPMOSトランジスタ111のドレインに接続され、ソースがGND端子10に接続されている。抵抗131は、一端がPMOSトランジスタ111のドレインに接続され、他端がNMOSトランジスタ121のドレインに接続されている。NMOSトランジスタ122は、ドレインがPMOSトランジスタ12のドレインに接続され、ゲートがNMOSトランジスタ121のドレインに接続されている。抵抗132は、NMOSトランジスタ122のソースとGND端子102との間に接続されている。
【0017】
NMOSトランジスタ123は、ドレインが出力端子105及びPMOSトランジスタ113のドレインに接続され、ゲートがNMOSトランジスタ122のゲートに接続されている。電流測定抵抗接続端子104は、測定電流入力端子103及びNMOSトランジスタ123のソースに接続されている。電流測定抵抗141は、一端が電流測定抵抗接続端子104に接続され、他端がGND端子102に接続されている。NMOSトランジスタ124は、ゲートが抵抗131の一端に接続され、ドレインが電流測定抵抗接続端子104に接続され、ソースがGND端子102に接続されている。
【0018】
NMOSトランジスタ121及び124は、通常のしきい値電圧を有し、NMOSトランジスタ122及び123のしきい値電圧は、NMOSトランジスタ121及び124よりも低い。
【0019】
上記のように構成された電流検出回路100において、基準電圧回路10では、しきい値電圧の低いNMOSトランジスタ122に流れる電流が、PMOSトランジスタ112とPMOSトランジスタ111とで構成されるカレントミラー回路により、PMOSトランジスタ111のドレイン電流にコピーされる。このPMOSトランジスタ111のドレイン電流は、抵抗131を介して通常のしきい値電圧であるNMOSトランジスタ121に流れる。
【0020】
ここで、NMOSトランジスタ122とNMOSトランジスタ121の駆動能力を同じにし、両NMOSトランジスタが飽和動作している場合、両NMOSトランジスタのオーバードライブ電圧が同じとなる。このため、抵抗131と抵抗132にかかる電圧の合計値が両NMOSトランジスタのしきい値電圧の差となる。従って、NMOSトランジスタ122と抵抗132との接続点Nに、両NMOSトランジスタのしきい値電圧の差より低い電圧の基準電圧VREFを生成することができる。
【0021】
なお、抵抗131の抵抗値に対して抵抗132の抵抗値を低くすると、基準電圧VREFの電圧値を更に低くすることができる。
基準電圧VREFが抵抗132にかかることで流れる電流は、PMOSトランジスタ112を介してPMOSトランジスタ113のドレイン電流にコピーされる。
【0022】
PMOSトランジスタ113のドレイン電流よりもNMOSトランジスタ123が流せるドレイン電流が大きい場合、出力端子105は電流測定抵抗接続端子104の電圧となり、GND端子102の電圧に近い値となる。一方、PMOSトランジスタ113のドレイン電流よりもNMOSトランジスタ123が流せるドレイン電流が小さい場合、出力端子105は電源端子101の電圧となる。
【0023】
ここで例えば、PMOSトランジスタ111とPMOSトランジスタ112とPMOSトランジスタ113の駆動能力を同じに、NMOSトランジスタ122とNMOSトランジスタ123の駆動能力を同じに、NMOSトランジスタ121とNMOSトランジスタ124の駆動能力を同じに設定する。
【0024】
これにより、基準電圧VREFよりも電流測定抵抗141の電圧が低い場合、PMOSトランジスタ113のドレイン電流よりもNMOSトランジスタ123が流せるドレイン電流が大きくなるので、出力端子105からはGND端子102の電圧に近い電圧が出力される。基準電圧VREFよりも電流測定抵抗141の電圧が高い場合、PMOSトランジスタ113のドレイン電流よりもNMOSトランジスタ123が流せるドレイン電流が小さくなるので、出力端子105からは電源端子101の電圧が出力される。
【0025】
また、NMOSトランジスタ124には、PMOSトランジスタ113のドレイン電流と同じ電流がコピーされる。このため、PMOSトランジスタ113のドレイン電流は、NMOSトランジスタ124へ流れ、電流測定抵抗141には流れない。従って、電流測定抵抗141には測定電流入力端子103から入力された電流のみが流れるため、測定電流以外の誤差電流の影響を排除できる。
【0026】
上述のような本実施形態の電流検出回路100によれば、従来の電流検出回路のように、電源端子からGND端子への電流パスを多く必要とする電圧比較回路を用いることなく、基準電圧VREFと電流測定抵抗を用いたI−V変換で発生した電圧とを比較し、電流測定抵抗に所定電流が流れたことを検出することが可能となる。したがって、消費電流を大幅に削減することができる。
【0027】
なお、本実施形態において、各PMOSトランジスタや各NMOSトランジスタの駆動能力が同じであるとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、PMOSトランジスタ112とPMOSトランジスタ113の駆動能力比とNMOSトランジスタ122とNMOSトランジスタ123の駆動能力比が同じであればよく、また例えば、NMOSトランジスタ124の流す電流はPMOSトランジスタ113の流す電流と同じであれば良い。
また、抵抗132の抵抗値は、PMOSトランジスタ112とPMOSトランジスタ111のミラー比に応じて変更すれば良い。
【0028】
更に、本実施形態において、抵抗131や抵抗132にかかる電圧は、両NMOSトランジスタのしきい値電圧の温度変化がほぼ等しいため、温度に対して変化しない。また、抵抗131と抵抗132を同じ材料とすることで、抵抗132にかかる電圧は温度に対して変化しない。よって、接続点Nに温度変化の少ない基準電圧VREFをGND端子102基準で生成することができるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0029】
10 基準電圧回路
101 電源端子
102 GND端子
103 測定電流入力端子
104 電流測定抵抗接続端子
105 出力端子
111、112、113 PMOSトランジス
121、124 NMOSトランジスタ
122、123 低しきい値NMOSトランジスタ
131、132 抵抗素子
141 電流測定抵抗
図1
図2