(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
袋は、例えば、熱融着性を有するシーラント層と耐熱性を有する基材層とが積層された積層フィルムによって形成される。シーラント層が袋の内表面層を形成し、基材層が袋の外表面層を形成する。
【0003】
袋を形成するために積層フィルム同士を接合する方法としては、積層フィルムの外部にある熱源により、熱伝導、輻射、及び対流等によって積層フィルムの表面から徐々に内部へ加熱が進む外部加熱による方法と、積層フィルムそのものが自己発熱することにより、内部と外部が同時並行的に加熱される内部加熱による方法とがある。外部加熱による方法としては、熱板シール(以下単に「ヒートシール」ともいう。)、インパルスシール等による方法があり、内部加熱による方法としては、高周波シール、超音波シール等による方法がある。
【0004】
また、
図10に示されるようにガゼット袋100は、対向する一対の平面部102A、102B及びこれら平面部102A、102Bの両側に設けられた対向する一対の横ガゼット部104、104を有する。ガゼット袋100は、内表面層106が熱融着性を有するシーラント層とされ、外表面層108が耐熱性を有する基材層とされる。
このため、
図11に示されるように、平面部102A、102Bの上部や下部を閉じるために、例えばヒートシールを用いた開放端シール部110が施されても、開放端シール部110の両縁部110Aでは、横ガゼット部104の外表面層108同士が接合されない。この結果、横ガゼット部104の上部や下部が開いた状態となる。このような状態では、ガゼット袋100の外観が劣ることとなる。
また、開放端シール部110と内容物の収容部分との境界部のうち、横ガゼット部104の折込部との交点110Bは、上記横ガゼット部104が開いた状態では、最も応力が集中し易い。このため、誤ってガゼット袋100を落下させた場合等に、応力が集中した交点110Bから破袋が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、
図12に示されるように、横ガゼット部104の上端である開放端シール部110の両縁部110Aを接合して、横ガゼット部104の開きを閉じたガゼット袋100が開発されている。これにより、ガゼット袋100の外観が向上され、かつ破袋が防止される。
【0006】
このような横ガゼット部の開きを閉じる技術として、特許文献1には、横ガゼット部の一部の積層フィルムを除去して貫通孔を設け、貫通孔を通じて一対の平面部の内表面層同士を接合することで、一対の平面部を一体化させたガゼット袋が開示されている。
しかし、このようなガゼット袋は、貫通孔を形成するために切除されて発生した小さなフィルム片が、ガゼット袋の内部に混入したり、このフィルム片が次工程に搬送されることでシール不良を起こす可能性がある。
さらに、横ガゼット部に貫通孔を設け、平面部により貫通孔は塞がれてはいるものの、貫通孔があるところには平面部に凹凸ができ、外観が劣ってしまう。
【0007】
また、
図13は、底ガゼット部112を有するガゼット袋120の下部を示した図であり、
図13(A)はガゼット袋120の正面図、
図13(B)は底ガゼット部112の斜視図である。なお、ハッチングで示される領域は、ガゼット袋120を形成する積層フィルムが接合されている領域である。
底ガゼット部112は、一対の平面部102A、102Bに接合された場合に、外表面層となる外表面層108が耐熱性を有する基材層によって形成されているため、外表面層108同士は通常であれば接合しない。
そこで、底ガゼット部112の縁部の一部が切欠かれることで、底ガゼット部112と平面部102A、102Bとが接合されたとき、切欠き部分112Aを通じて平面部102A、102Bの内表面層106同士が接合される。これにより、一対の平面部102A、102Bが一体化され、ガゼット袋120の縁部において底が開くことを防止し、ガゼット袋120の自立機能が発現する。
しかし、このようなガゼット袋120は、切欠き部分112Aを形成するために切除されて発生した小さなフィルム片が、ガゼット袋120の内部に混入したり、このフィルム片が次工程に搬送されることでシール不良を起こす可能性がある。
この場合も同様に、平面部により切欠き部112Aは塞がれてはいるものの、貫通孔があるところには平面部に凹凸ができ、外観が劣ってしまう。
【0008】
そこで、特許文献2には、底ガゼット部を有する自立袋において、底部材に二本の切断線を設け、二本の切断線間に設けられた帯状部分を折り曲げて船底シール部内の未シール部に位置するように形成させ、帯状部分の折り返し跡において、二枚の本体フィルムの表側フィルムと裏側フィルムが密着シールされ、包装袋の底のガゼットが開くことがなく自立性を維持できる自立性包装袋が開示さている。
【0009】
しかしながら、特許文献2の自立性包装袋においても、二本の切断線が平行とならずに、交差してしまうと切り欠きとなり、フィルム片が袋から切除されてガゼット袋の内部に混入する可能性がある。また、二本の切断線間に設けられた帯状部分が折り曲げられて船底シール部内の未シール部に位置するように形成されるので、表面に凹凸が発生して外観が劣る。さらに、切断線が延びることによってガゼット袋が大きく破れる可能性がある。
【0010】
そこで、特許文献3には、平面部及びガゼット部の端部がヒートシールされた後、ヒートシール部の上から超音波照射して、ガゼット部の外表面同士を接合したガゼット袋が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献3では、超音波照射した際に形成される超音波照射痕がガゼット袋の表面に視認されることから、ガゼット袋の外観が損なわれる可能性がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、外観が良好なガゼット袋、及びガゼット部を閉じる工程においてフィルム片や屑が袋内に混入することを防止すると共に、簡易にガゼット部を閉じることができるガゼット袋の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の態様を有する。
[1]対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれるガゼット部とを備えるガゼット袋であって、
前記ガゼット部のうち、ガゼット袋の外表面を形成している対向する面同士が超音波照射により接合されている超音波シール部を有し、
前記平面部の縁部と前記ガゼット部の縁部とが接合されている接合部を有し、
前記ガゼット部における前記超音波シール部の形成されている面の裏面側に超音波照射痕が形成されているガゼット袋。
[2]前記ガゼット部が、横ガゼット部である、[1]に記載のガゼット袋。
[3]前記ガゼット部が、底ガゼット部である、[1]に記載のガゼット袋。
[4]前記超音波シール部と前記接合部とが重なっている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガゼット袋。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載のガゼット袋の製造方法であって、
半折されたガゼット部用フィルムの外側から超音波を照射して、対向する面同士を接合させて、超音波シール部を形成する工程、及び、
平面部用フィルムの縁部と前記ガゼット部用フィルムの縁部とを接合し、接合部を形成する工程を有するガゼット袋の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外観が良好なガゼット袋、及びガゼット部を閉じる工程においてフィルム片や屑が袋内に混入することを防止すると共に、簡易にガゼット部を閉じることができるガゼット袋の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るガゼット袋、及びガゼット袋の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示される本第1実施形態に係るガゼット袋50は、対向する一対の平面部12A、12Bと、これら平面部12A、12Bの両側に設けられ、袋の内方に折り込まれるガゼット部としての対向する一対の横ガゼット部14、14とを備える。
【0019】
図1に示されるガゼット袋50は、一対の平面部12A、12Bが各々一枚の積層フィルムで形成され、一対の横ガゼット部14、14が各々一枚の積層フィルムで形成されている。
この形態の場合、
図1に示されるように、接合部16Aは、ガゼット袋50の上部から下部にかけて形成されている。
【0020】
図2に示されるように、積層フィルム21は、ガゼット袋50の内表面を形成し、熱融着性を有する内表面層22と、ガゼット袋50の外表面を形成し、耐熱性を有する外表面層24が積層されている。即ち、内表面層22がシーラント層であり、外表面層24が基材層である。
内表面層22を形成している樹脂の融点は、一例として170℃以下、外表面層24を形成している樹脂の融点は、内表面層22を形成している樹脂の融点よりも高く、一例として250℃以上である。また、内表面層22と外表面層24との間に必要に応じて中間層である機能層が積層されていてもよい。
【0021】
内表面層22として用いられるフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、又はこれらの混合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選ばれる1種以上からなる未延伸フィルムが挙げられる。またはこれらの樹脂からなる層でもよい。
なお、内表面層22の厚さは、30〜200μmが好ましい。
【0022】
外表面層24として用いられるフィルムとしては、機械適性、印刷適性が良いフィルムが好ましい。例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の合成樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。外表面層24として用いられるフィルムは、印刷適性の点から、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムを用いられることが好ましい。
具体的には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸プラスチックフィルム等が挙げられる。また、必要に応じて合成紙、セロハン、紙、不織布等が用いられてもよい。
外表面層24に用いられるフィルムとして、蒸着層を設けた蒸着フィルムが用いられてもよい。蒸着層としては、例えば、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物が挙げられる。
なお、外表面層24の厚さは、12〜25μmが好ましい。
【0023】
中間層は、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等、要求される機能に応じて適宜選択できる。
中間層に用いられるフィルムとしては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、又はこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム若しくはアルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物を蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムや、断熱性を有する不織布や発泡フィルムが挙げられる。
中間層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
なお、中間層の厚さは、ガゼット袋50に要求される機能を満たすことができる厚さであればよく、6〜20μmが好ましい。
積層フィルム21は、内表面層22、外表面層24および必要に応じて中間層を、接着剤を用いたドライラミネート法、熱接着性樹脂を用いた押出しラミネート法などの公知の方法で貼り合せることで製造できる。
【0024】
図2に示したように、横ガゼット部14は、ガゼット袋50の外表面を形成する、横ガゼット部14の対向する面(以後「外表面」ということがある。)同士が超音波シール部18により接合しており、超音波シール部18が形成されている面の裏面(以後「内表面」ということがある。)側に超音波照射痕19が形成されている。すなわち、横ガゼット部14は、積層フィルム21の外表面層24、24同士が向き合うように半折されており、外表面層24同士が超音波シール部18にて接合し、内表面層22側に超音波照射痕19を有する。
超音波シール部18は、
図3に示すように、横ガゼット部14の外表面層24と外表面層24とに形成される。
第1実施形態において、超音波照射痕19は、
図3に示すように、横ガゼット部14の内表面層22側に形成される。超音波照射痕19の平面視の形状は、超音波シール機の先端部分の形状と同じであり、例えば円形、矩形である。また、超音波シール機で押圧されることにより、超音波シール機と接触する内表面層側は凹部となり、反対側の内表面層側は凸部となるように、半折されて2枚が重なった横ガゼット部14の積層フィルム21、21は変形する。
【0025】
図1に示したように、平面部12A、12Bの縁部(本実施形態の場合は「側縁部」)と横ガゼット部14、14の縁部(本実施形態の場合は「側縁部」)とは、接合部16A、16A、16A、16Aによって積層フィルム21、21の内表面層22、22同士で接合されている。
【0026】
接合部の接合方法は、例えば、加熱されたヒートシールバーを積層フィルムに押し当てた後、冷却された冷却バーを押し当てるという熱板シールを用いたヒートシールによる接合方法が挙げられる。なお、外表面層は、ヒートシールによる温度では溶融しない耐熱性を有しているため、ヒートシールにより接合されることはない。
接合部の接合方法として、ヒートシールの他にインパルスシール等、他の方法が用いられても良い。また、積層フィルムを構成する層にポリ塩化ビニル層や金属箔層を含む場合には、高周波シールによる接合とすることができる。さらに、接着剤による接合等、超音波シールを除く他の接合方法が用いられても良い。
【0027】
上述のように、本第1実施形態に係るガゼット袋50は、超音波シール部18によって横ガゼット部14を形成する積層フィルム21の外表面層24、24同士が接合されている。超音波シール部18の接合は、例えば横ガゼット部14の上端近辺や下端近辺(図示せず)にて行われている。本第1実施形態に係る超音波シール部18は、接合部16Aに比べてその範囲が狭い。すなわち、超音波シール部18は、全体が接合部16Aの領域に含まれていることが好ましい。
超音波シール部18が形成されていないと、横ガゼット部14は外表面同士が離間して開いた状態となってしまう。すなわち、超音波シール部18によって、横ガゼット部14の上端部や下端部の開きが閉じられている。
【0028】
超音波シール部18の接合は、内部加熱である超音波シールにより行われる。積層フィルムの外表面層は、耐熱性を有しており、ヒートシール等の外部加熱による接合が適さないためである。
【0029】
本第1実施形態に係るガゼット袋50の超音波シール部18を形成するために、
図4に示すように、超音波シール機30と基台31とで、積層フィルム21の外表面層24、24同士が向き合うように、内表面を外側にして半折した横ガゼット部14を挟み、超音波シールが施される。超音波シールが施されると、横ガゼット部14を形成する積層フィルム21の外表面層24、24同士が擦れ合い、擦れ合うことで摩擦熱が選択的に生じるので、外表面層24、24同士が接合され、超音波シール部18が形成される。
超音波シールによる接合は、接合させる2面を擦れ合わせるため屑が生じる場合がある。しかしながら、超音波シールによる接合によって屑が生じる部分は、
図4に示されるように、横ガゼット部14を形成する積層フィルム21の外表面層24、24同士が擦れ合わされる部分である。この超音波シール部18が形成される部分は、ガゼット袋50の外側になる。このため、超音波シールによる接合によって屑が生じても、外側であるため袋内に屑が混入することはない。
【0030】
横ガゼット部14において、内表面側の超音波シール機30と接触した部分(即ち、超音波シール部18の裏面側)には、超音波照射痕19が形成される。この超音波照射痕19の上に平面部12Aまたは12Bが重なって接合されることになるため、ガゼット袋の外側から超音波照射痕19は視認されない。また、超音波照射痕19の凹部が形成されている側においては、凹部の上に平面部12Aまたは12Bが覆い被されて、接合部16Aが形成されており、ヒートシール等により内表面層22形成しているフィルムの樹脂が溶融することで凹部の段差を緩和していると思われ、ガゼット袋50の外側から、超音波照射痕19の有無を視認することは困難である。一方、超音波照射痕19の凸部が形成されている側においては、凸部の上に平面部12Bまたは12Aが覆い被されて、接合部16Aが形成されており、例えば接合部がヒートシールで接合されている場合、接合部を形成する際のヒートシールバーの圧力により超音波照射痕19の凸部は押しつぶされ、ガゼット袋の外側から、超音波照射痕19の有無を視認することは困難である。
【0031】
以上説明したように、本第1実施形態に係るガゼット袋は、対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる一対の対向する横ガゼット部とで形成される。そして、ガゼット袋は、平面部の側縁部と横ガゼット部の側縁部とを、内表面同士が積層フィルムの内表面層同士で接合した接合部を備える。また、ガゼット袋は、横ガゼット部の対向する外表面同士が積層フィルムの外表面層同士で、超音波シールによって接合した超音波シール部を備える。さらに、横ガゼット部は、超音波シール部が形成されている面の裏面側の内表面側に超音波照射痕を有する。
【0032】
ガゼット部に超音波シール部を有するガゼット袋は、超音波シール部によりガゼット部の開きが閉じられているので、誤ってガゼット袋を落下させてしまった場合でも、破袋の発生が抑制される。また、超音波シール部の裏側に形成される超音波照射痕を平面部で覆い隠すことができ、超音波照射痕の有無を視認することも困難であるため、外観の良好なガゼット袋とすることができる。
【0033】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0034】
図5は、本第2実施形態に係るガゼット袋70の正面図である。なお、
図5における
図1と同一の構成部分については
図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第2実施形態に係るガゼット袋70は、一対の平面部12A、12B及びガゼット部である底ガゼット部40によって形成される。底ガゼット部40は、一対の平面部12A、12Bの下部において、一対の平面部12A、12Bの間に内方に折り込まれて形成されている。なお、ハッチングで示される領域は、ガゼット袋70を形成する積層フィルムが接合されている領域である。
【0035】
平面部12A、12Bと底ガゼット部40とは、ガゼット袋70の下部において、積層フィルムの内表面層同士が下部接合部42によって接合されている。
また、ガゼット袋70の縁部(本実施形態の場合は「側縁部」)において、平面部12A、12Bの縁部(本実施形態の場合は「側縁部」)の相対する内表面同士は、積層フィルム21、21の内表面層22、22同士で側部接合部16、16によって接合されており、平面部12A、12Bの側縁部と底ガゼット部40の側縁部のそれぞれ相対する内表面同士は積層フィルム21、21の内表面層22、22同士で、接合部16A、16A、16A、16Aによって接合されている。下部接合部42は接合部16Aと一体とした舟型接合部としてもよく、舟型接合部には、下部接合部42内で接合されない領域である未シール部44が適宜設けられていてもよい。接合方法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
ここで、底ガゼット部40を形成する積層フィルムの外表面層同士が、超音波シールによる接合である超音波シール部18によって接合されている。
超音波シール部18の接合は、例えば
図5に示されるように底ガゼット部40の右側端近辺や左側端近辺にて行われている。
超音波シール部18が形成されていないと、底ガゼット部40は外表面同士が離間して開いた状態となってしまう。すなわち、超音波シール部18によって、底ガゼット部40の右側端部や左側端部の開きが閉じられている。
超音波シールによる接合は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
なお、超音波シール部18は、接合部16Aと重なる位置において、左右一箇所ずつ設けられればよいが、これに限らず、例えば、ガゼット袋70のサイズに応じて、
図5に示されるようにガゼット袋70の縦方向に超音波シール部18が複数箇所設けられてもよい。
【0038】
以上説明したように、本第2実施形態に係るガゼット袋は、対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる底ガゼット部とで形成される。そして、ガゼット袋は、平面部の側縁部と底ガゼット部の側縁部とを、内表面同士が積層フィルムの内表面層同士で接合した接合部を備える。また、ガゼット袋は、底ガゼット部の対向する外表面同士が積層フィルムの外表面層同士で、超音波シールによって接合した超音波シール部を備える。さらに、底ガゼット部は、超音波シール部が形成されている面の裏面側の内表面側に超音波照射痕を有する。
【0039】
超音波シール部を有するガゼット袋は、超音波シール部によりガゼット部の開きが閉じられているので、誤ってガゼット袋を落下させてしまった場合でも、破袋の発生が抑制される。また、超音波シール部で底ガゼット部を閉じることにより、得られるガゼット袋に自立性を付与することができる。さらに、超音波シール部の裏側に形成される超音波照射痕を平面部で覆い隠すことができ、超音波照射痕の有無も視認することも困難であるため、外観の良好なガゼット袋とすることができる。
【0040】
≪ガゼット袋の製造方法≫
次に、本発明のガゼット袋の製造方法について説明する。
本発明のガゼット袋の製造方法は、半折されたガゼット部用フィルムの外側から超音波を照射して、対向する面同士を接合させて超音波シール部を形成する工程(超音波シール部形成工程)、及び平面部用フィルムの縁部とガゼット部用フィルムの縁部とを接合し、接合部を形成する工程(接合部形成工程)を有する。
以下、第一実施形態のガゼット袋50を例に詳細を述べるが、本願のガゼット袋の製造方法はこれに限定されない。
【0041】
<超音波シール部形成工程>
図6に示すように、内表面層22と外表面層24を有する横ガゼット部用フィルム14’を、外表面層24が内側となるように長手方向に沿って半折する。この際に、対向する一対の横ガゼット用フィルム14’、14’が、半折した折り線が内側を向くように平行して配置する。次いで、
図4に示すように、半折された横ガゼット部用フィルム14’、14’の端部を超音波シール機30と基台31とで挟む。超音波を照射して、
図3に示すように、横ガゼット部用フィルム14’の外表面層24、24同士を超音波シールで接合して、超音波シール部18を形成する。このとき、超音波シール部18が形成されている面の裏側(即ち、内表面層22側)には、超音波照射痕19が形成される。
超音波照射条件は使用する積層フィルムによって異なるが、周波数20〜40kHz、照射時間0.1〜0.5秒が好ましい。
【0042】
<接合部形成工程>
図7に示すように、超音波シール部形成工程にて、超音波シール部18、超音波照射痕19が形成された、対向する一対の横ガゼット用フィルム14’、14’を間に挟んで、対向する一対の平面部用フィルム12A’、12B’を、2枚の平面部用フィルム12A’、12B’の内表面層22が内側を向くように配置する。さらに、2枚の平面部用フィルム12A’、12B’の側縁部13と、横ガゼット部用フィルム14’の側縁部13’とが重なるように配置する。
次いで、平面部用フィルムの側縁部13と、横ガゼット部用フィルムの側縁部13’との内表面層22同士を、長手方向に沿って接合して、
図8に示すように接合部16A、16A、16A、16Aを形成する。したがって、超音波シール部18の形成されている面の裏側のみに形成された超音波照射痕19が平面部用フィルム12A’、12B’で覆われる。さらにその後、上端縁部または下端縁部に接合部を形成し、ガゼット袋50’を形成する。
接合部の形成方法としては、ヒートシール、インパルスシール、高周波シール、接着剤による接合等、超音波シールを除く方法が挙げられる。なかでもヒートシールが好ましい。
接合部の形成方法のうち、ヒートシールの条件は使用する積層フィルムによって異なるが、温度150〜200度、時間0.3〜1.0秒、圧力0.3〜0.7MPaが好ましい。
【0043】
本発明のガゼット袋の製造方法によれば、超音波シールによって横ガゼット部用フィルムの外表面層同士の接合をあらかじめ行うため、内表面層同士は擦れ合わず屑が発生しない。従って、フィルム片や屑が袋内に混入することを防止できると共に、簡易にガゼット部を閉じることができる。
【0044】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
例えば、第一実施形態では、さらに底ガゼット部が設けられていてもよい。第二実施形態では、さらに横ガゼット部が設けられていてもよい。
【0046】
また、上記各実施形態では、超音波シール部の全体が接合部又は下部接合部の領域に含まれる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、超音波シール部の一部又は全部が接合部又は下部接合部の領域に含まれない形態としてもよい。この形態の場合、超音波照射痕は接合部と重なっていないため、接合部による超音波照射痕の凹部凸部の段差の緩和はなされないが、平面部が超音波照射痕に接合されずに覆いかぶされることで、ガゼット袋の外側から超音波を照射していないため、その分だけ超音波照射痕の有無の視認が困難である。一方、積層フィルムがアルミニウム等の金属箔を有する場合、超音波照射痕の凹部または凸部において、金属箔が破れてしまう可能性がある。超音波シール部と接合部が重なっていない場合は、ガゼット袋の内側から、その破れが視認できてしまうが、超音波シール部と接合部が重なっていると、その部分は接合部によって一対の平面部とガゼット部が一体となっているため、超音波照射痕の凹部または凸部または凸部の金属箔が破れても、ガゼット袋の内側から視認できることはなく、バリア性等の機能が失われることもない。したがって、超音波シール部と接合部は重なっていることが好ましい。
【0047】
また、上記各実施形態では、ガゼット袋に内容物を外部へ注出する口部材が設けられてもよい。
図9に示すように、口部材25は、ガゼット袋80内に挿入され、内容物を注出する注出管と、注出管の上部に螺合せしめて、注出管の注出口を密閉するキャップとを有することが好ましい。口部材25は、注出管が平面部の上縁部同士で挟持された状態で、ヒートシール等により液密に接合されて取り付けられていることが好ましい。
超音波シール部を備えることにより、ガゼット袋の上縁部の開きを抑制できるので、口部材の取り付けが容易になる。