(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置10の平面図である。基板処理装置10は、平面視において略長方形である。基板処理装置10は、複数の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を一括して処理するバッチ式の基板処理装置である。基板9は、略円板状の基板である。基板9は、結晶方向を示すノッチ93(
図4参照)を周縁部に有する。なお、基板9の外周縁からのノッチ93の深さは、約1mmである。
【0020】
基板処理装置10は、フープ(FOUP)保持部1と、基板処理部2と、主搬送機構3と、搬出入機構4と、姿勢変更機構5と、プッシャ6と、受け渡し機構7と、基板整列機構8と、制御部100と、記憶部101とを備える。制御部100は、基板処理装置10の各構成の動作等を制御する。制御部100は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶するROM、および、各種情報を記憶するRAM等を含む一般的なコンピュータシステムである。フープ保持部1は、基板処理装置10の一の角部に配置される。フープ保持部1は、フープ95を保持する。フープ95は、水平姿勢の複数(例えば、25枚)の基板9を、Z方向に積層した状態で収容する収容器である。
【0021】
図1中のZ方向は、重力方向に平行な方向であり、上下方向とも呼ぶ。また、
図1中のX方向は、Z方向に垂直な方向である。Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。基板9の水平姿勢とは、基板9の主面の法線方向が略Z方向を向く姿勢である。また、後述する基板9の垂直姿勢とは、基板9の主面の法線方向がZ方向に略垂直な方向を向く姿勢である。基板処理装置10では、複数の基板9が、水平姿勢または垂直姿勢にて、基板9の主面に略垂直な方向に積層される。換言すれば、水平姿勢または垂直姿勢の複数の基板9が、基板9の厚さ方向に配列される。
【0022】
図2は、基板処理装置10の(−Y)側の部位を拡大して示す平面図である。
図3は、基板処理装置10の(−Y)側の部位を示す側面図である。
図2に示すように、基板処理装置10では、フープ保持部1の(+Y)側に搬出入機構4が配置され、フープ保持部1とY方向に対向する。また、搬出入機構4の(+Y)側には、基板整列機構8が配置される。
図3では、フープ保持部1および基板整列機構8の図示を省略している。
【0023】
図2および
図3に示すように、搬出入機構4の(+X)側には、姿勢変更機構5が配置される。姿勢変更機構5の(+X)側には、プッシャ6が配置される。プッシャ6の(+X)側には、受け渡し機構7と、主搬送機構3とが配置される。
図3に示す状態では、主搬送機構3は、受け渡し機構7の(+Z)側(すなわち、上方)に位置する。主搬送機構3の(+Y)側には、
図1に示すように基板処理部2が配置される。
【0024】
基板処理部2は、第1薬液槽21と、第1リンス液槽22と、第2薬液槽23と、第2リンス液槽24と、乾燥処理部25と、第1リフタ27と、第2リフタ28とを備える。第1薬液槽21、第1リンス液槽22、第2薬液槽23、第2リンス液槽24および乾燥処理部25は、Y方向に沿って(+Y)側から(−Y)側へとこの順に並んでいる。第1薬液槽21および第2薬液槽23はそれぞれ、同種または異種の薬液を貯溜する。第1リンス液槽22および第2リンス液槽24はそれぞれ、リンス液(例えば、純水)を貯溜する。
【0025】
基板処理装置10において基板9の処理が行われる際には、まず、複数(例えば、25枚)の基板9が水平姿勢にて収容されているフープ95が準備される。そして、フープ95に収容されている複数(例えば、25枚)の基板9から1枚の基板9が、
図2および
図3に示す搬出入機構4の枚葉ハンド42により保持され、フープ95から搬出される。枚葉ハンド42は、1枚の基板9を水平姿勢にて保持する。搬出入機構4は、水平姿勢にてZ方向に配列された状態の複数の基板9を一括して保持するバッチハンド41も備えている。
【0026】
続いて、枚葉ハンド42が水平方向に回転し、枚葉ハンド42が基板整列機構8に向かって前進することにより、1枚の基板9が搬出入機構4から基板整列機構8へと渡される。基板整列機構8は、基板9を周方向に回転して周方向の向きを変更し、基板9の周方向の位置を決定する。
【0027】
基板整列機構8は、基板支持部80と、モータ81と、センサ82とを備える。基板支持部80は、水平姿勢の基板9を回転自在に支持する。モータ81は、基板9を基板支持部80と共に回転させる回転部である。センサ82は、基板支持部80により支持された基板9のノッチ93を光学的に検出することにより、回転中の基板9の角度位置(すなわち、基板9の周方向の向き)を取得する。基板整列機構8では、モータ81により、基板支持部80により支持された基板9が周方向に回転されて、基板9の周方向の向きが変更される。そして、センサ82により、回転中の基板9のノッチ93が検出され、検出後の所定のタイミングで(すなわち、ノッチ93の検出から所定時間の経過後に)モータ81が停止される。なお、当該所定時間はゼロであってもよい。これにより、基板9のノッチ93が所定位置に位置した状態で、基板9の回転が停止される。すなわち、周方向における基板9のノッチ93の位置合わせが行われる。基板整列機構8は、基板9のノッチ93の周方向の位置を変更するノッチ位置変更機構である。
【0028】
基板整列機構8において、基板9の周方向の位置が決定されると、当該基板9は枚葉ハンド42により基板整列機構8から搬出され、フープ保持部1上のフープ95へと戻される。以下同様に、次の基板9がフープ95から取り出され、基板整列機構8にて当該基板9の周方向の位置が決定され(すなわち、周方向におけるノッチ93の位置合わせが行われ)、フープ95へと戻される。フープ95内の全ての基板9について当該動作が繰り返されることにより、フープ95内の複数の基板9の周方向の向きが変更され、複数の基板9の周方向の位置が決定される。換言すれば、当該複数の基板9が周方向において整列される。
【0029】
なお、基板9の周方向の位置決定においては、フープ95に収容された全ての基板9のノッチ93が、周方向の同じ位置に位置してもよく、異なる位置に位置してもよい。例えば、複数の基板9の配列方向における奇数番目の各基板9については、ノッチ93の周方向の位置が第1の所定位置とされ、当該配列方向における偶数番目の各基板9については、ノッチ93の周方向の位置は、上記第1の所定位置とは異なる第2の所定位置とされてもよい。
【0030】
基板整列機構8による複数の基板9の整列(すなわち、ノッチ93の周方向の位置合わせ)が終了すると、搬出入機構4のバッチハンド41により、複数の基板9がフープ95から搬出される。次に、バッチハンド41が水平方向に回転し、姿勢変更機構5に向かって前進することにより、複数の基板9が搬出入機構4から姿勢変更機構5へと渡される。姿勢変更機構5は、水平姿勢にてZ方向に積層された状態の複数の基板9を、水平保持部51により一括して保持する。姿勢変更機構5は、保持部回転機構54により、Y方向を向く回転軸541を中心として、当該複数の基板9を水平保持部51、垂直保持部52および取付ブロック53と共に、
図3における反時計回り方向に90度だけ回転させる。これにより、複数の基板9の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に一括して変更する。垂直姿勢の複数の基板9は、垂直保持部52により一括して保持される。
【0031】
そして、プッシャ6の保持部昇降機構62が駆動することにより昇降保持部61が上昇し、
図3中に二点鎖線にて示す垂直保持部52から、複数の基板9を受け取って保持する。すなわち、垂直保持部52とプッシャ6との間で、垂直姿勢の複数の基板9の受け渡しが行われる。昇降保持部61は、垂直姿勢にて略X方向に配列された状態(すなわち、積層された状態)の複数の基板9を一括して保持する。姿勢変更機構5の水平保持部51および垂直保持部52が、
図3における時計回り方向に90度だけ回転して保持部昇降機構62の上方から退避すると、昇降保持部61が、Z方向を向く回転軸63を中心として水平に180度回転した後、保持部昇降機構62により下降する。これにより、複数の基板9の積層方向の位置が、回転前に比べて基板9のピッチの半分(すなわち、積層方向において隣接する2枚の基板9間の距離の半分であり、以下、「ハーフピッチ」という。)だけ移動する。
【0032】
その後、上記と同様の手順にて、フープ95に収容されている新たな複数(例えば、25枚)の基板9が、基板整列機構8により周方向に順次整列された後、搬出入機構4により姿勢変更機構5へと渡される。姿勢変更機構5では、当該新たな複数の基板9の姿勢が、水平姿勢から垂直姿勢に一括して変更される。そして、プッシャ6の昇降保持部61が再び上昇し、姿勢変更機構5から当該新たな複数の基板9を受け取って保持する。このとき、昇降保持部61に既に保持されている複数の基板9(以下、「第1基板群」と呼ぶ。)は、新たな複数の基板9(以下、「第2基板群」と呼ぶ。)の間に下方から挿入される。このように、姿勢変更機構5およびプッシャ6により、第1基板群と第2基板群とを組み合わせてバッチを形成するバッチ組みが行われる。
【0033】
上述のように、第1基板群の複数の基板9(以下、「第1基板9」とも呼ぶ。)は、第2基板群の間に挿入されるよりも前に180度回転している(すなわち、反転している)。このため、第1基板群の複数の第1基板9は、第2基板群の複数の基板9(以下、「第2基板9」とも呼ぶ。)の間に、複数の第2基板9とは表裏反対向きにそれぞれ配置される。換言すれば、昇降保持部61に保持された複数(例えば、50枚)の基板9では、隣接する各一対の基板9は、表面同士または裏面同士を対向させた状態(すなわち、フェース・ツー・フェース状態)である。なお、基板9の表面とは、例えば回路パターンが形成される主面であり、基板9の裏面とは、当該表面とは反対側の主面である。
【0034】
プッシャ6では、第1基板群を保持した昇降保持部61が、第2基板群を受け取る前に180度回転することなく、基板9の配列方向にハーフピッチだけ水平移動することにより、隣接する各一対の基板9が表面と裏面とを対向させた状態(すなわち、フェース・ツー・バック状態)でバッチ組みを行うこともできる。
【0035】
昇降保持部61上にてバッチ組みされた複数の基板9は、昇降保持部61から受け渡し機構7の搬入チャック71へと渡される。搬入チャック71は、受け取った複数の基板9を垂直姿勢にて保持した状態で、保持部昇降機構62の上方から(+X)方向へと移動する。続いて、受け渡し機構7の仲介チャック72が下降し、搬入チャック71から複数の基板9を受け取って上昇する。そして、主搬送機構3の基板チャック31が、仲介チャック72から複数の基板9を受け取る。基板チャック31は、垂直姿勢にてX方向に配列された複数の基板9を保持する。
【0036】
主搬送機構3は、基板チャック31に保持された未処理の複数の基板9を(+Y)方向へと搬送し、
図1に示す基板処理部2の第1リフタ27の上方に位置させる。第1リフタ27は、垂直姿勢にてX方向に配列された複数の基板9を、基板チャック31から一括して受け取る。第1リフタ27は、当該複数の基板9を第1薬液槽21へと下降させ、第1薬液槽21内の薬液中に一括して浸漬させる。そして、複数の基板9を当該薬液中に所定時間だけ浸漬することにより、複数の基板9の薬液処理が終了する。
【0037】
続いて、第1リフタ27が、複数の基板9を第1薬液槽21から引き上げ、(−Y)方向へと移動する。第1リフタ27は、複数の基板9を第1リンス液槽22へと下降させ、第1リンス液槽22内のリンス液中に一括して浸漬させる。そして、複数の基板9を当該リンス液中に所定時間だけ浸漬することにより、複数の基板9のリンス処理が終了する。リンス処理が終了すると、第1リフタ27が、複数の基板9を第1リンス液槽22から引き上げる。主搬送機構3の基板チャック31は、第1リフタ27から複数の基板9を一括して受け取り、第2リフタ28の上方へと移動する。
【0038】
第2リフタ28は、第1リフタ27と同様に、基板チャック31から複数の基板9を一括して受け取り、第2薬液槽23内の薬液中に一括して浸漬させる。複数の基板9の薬液処理が終了すると、第2リフタ28は、複数の基板9を第2薬液槽23から引き上げ、第2リンス液槽24内のリンス液中に一括して浸漬させる。複数の基板9のリンス処理が終了すると、第2リフタ28が、複数の基板9を第2リンス液槽24から引き上げる。主搬送機構3の基板チャック31は、第2リフタ28から複数の基板9を一括して受け取り、乾燥処理部25の上方へと移動する。
【0039】
乾燥処理部25は、基板チャック31から複数の基板9を一括して受け取り、複数の基板9に対して一括して乾燥処理を行う。当該乾燥処理では、例えば、減圧雰囲気中で基板9に対して有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコール)が供給され、基板9を回転させることにより、基板9上の液体が遠心力により除去される。複数の基板9の乾燥処理が終了すると、主搬送機構3の基板チャック31が、乾燥処理部25から処理済みの複数の基板9を一括して受け取り、(−Y)方向へと移動する。
【0040】
続いて、
図2および
図3に示す受け渡し機構7の払出チャック73が、主搬送機構3の基板チャック31から複数の基板9を一括して受け取り、(−X)方向へと移動してプッシャ6の昇降保持部61の上方に位置する。プッシャ6の昇降保持部61は上昇し、払出チャック73から複数の基板9を受け取る。昇降保持部61は、垂直姿勢にてX方向に配列された複数(例えば、50枚)の基板9を保持する。
【0041】
次に、昇降保持部61が下降し、プッシャ6と垂直保持部52との間で垂直姿勢の複数の基板9の受け渡しが行われる。具体的には、当該複数の基板9のうち、第2基板群の複数(例えば、25枚)の基板9が、
図3中に二点鎖線にて示す垂直保持部52へと渡される。換言すれば、第1基板群と第2基板群とにより構成されていたバッチが解除され、第1基板群と第2基板群とが分離する。姿勢変更機構5の水平保持部51および垂直保持部52は、
図3における時計回り方向に90度だけ回転する。これにより、第2基板群の複数の基板9の姿勢が、垂直姿勢から水平姿勢に一括して変更される。当該複数の基板9は、水平姿勢にてZ方向に積層された状態で、水平保持部51により一括して保持される。そして、搬出入機構4のバッチハンド41が、水平保持部51から複数の基板9を受け取り、フープ95へと搬入する。処理済みの複数の基板9が搬入されたフープ95は、新たなフープ95と交換される。
【0042】
上述のように、姿勢変更機構5において第2基板群の複数の基板9の姿勢が、垂直姿勢から水平姿勢に変更されると、第1基板群の複数(例えば、25枚)の基板9を保持した昇降保持部61は上昇する。また、第2基板群の複数の基板9を搬出入機構4に渡した水平保持部51および垂直保持部52は、
図3における反時計回り方向に90度だけ回転する。
【0043】
そして、昇降保持部61が再び下降し、プッシャ6と垂直保持部52との間で垂直姿勢の複数の基板9の受け渡しが行われる。具体的には、第1基板群の複数の基板9が、
図3中に二点鎖線にて示す垂直保持部52へと渡される。水平保持部51および垂直保持部52は、
図3における時計回り方向に90度だけ再び回転する。これにより、第1基板群の複数の基板9の姿勢が、垂直姿勢から水平姿勢に一括して変更される。当該複数の基板9は、水平姿勢にてZ方向に積層された状態で、水平保持部51により一括して保持される。そして、搬出入機構4のバッチハンド41が、水平保持部51から複数の基板9を受け取り、フープ95へと搬入する。なお、プッシャ6から姿勢変更機構5への基板9の移動においては、姿勢変更機構5による第1基板群の受け取りが先に行われ、第2基板群の受け取りが後に行われてもよい。
【0044】
姿勢変更機構5およびプッシャ6は、制御部100により制御されることにより、上述のように、基板9の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢へと変更し、また、垂直姿勢から水平姿勢へと変更する。換言すれば、姿勢変更機構5、プッシャ6および制御部100は、基板9の姿勢を水平姿勢および垂直姿勢のうち一方の姿勢から他方の姿勢へと変更する姿勢変更装置である。
【0045】
図1ないし
図3に示す基板処理装置10では、上述のように、略円板状の基板9の処理が行われるが、基板9は、基板処理装置10に搬入されるよりも前に行われた処理(すなわち、前処理)の影響で反っている場合がある。基板9の反りには様々な種類があるが、1つのフープ95に収容されている複数の基板9では、通常、反り状態は共通である。具体的には、当該複数の基板9では、ノッチ93の位置を基準とした場合の反り状態が共通である。基板9の反り状態とは、基板9の反りの向き(例えば、表面側に凸となる向き)、および、基板9の反りの大きさ等を含む情報である。
【0046】
図4は、反っている基板9の例を示す斜視図である。
図4に示す基板9は、第1の径方向K1において、厚さ方向の一方側(すなわち、図中の上向きに凸となる方向)に第1の曲率にて湾曲する。また、基板9は、第1の径方向K1に直交する第2の径方向K2において、厚さ方向の上記一方側(すなわち、第1の径方向K1における湾曲方向と同じ方向)に第2の曲率にて湾曲する。
図4に示す例では、第1の径方向K1における第1の曲率は、基板9の各径方向の曲率のうち最小であり、以下、「最小曲率」ともいう。また、第2の径方向K2における第2の曲率は、基板9の各径方向の曲率のうち最大であり、以下、「最大曲率」ともいう。最小曲率および最大曲率は共に正である。
【0047】
以下の説明では、垂直姿勢にて保持されている基板9において、基板9の厚さ方向の最も一方側に位置する点と、最も他方側に位置する点との間の厚さ方向の距離を、基板9の「厚さ方向の大きさ」という。基板9が反っておらず、平坦である場合、基板9の厚さ方向の大きさは、基板9の厚さと同じである。反っている基板9の厚さ方向の大きさは、例えば、基板9が平坦である場合の厚さよりも約0.5mm大きい。
【0048】
図5は、
図4に示す基板9を、第1の径方向K1に沿って(すなわち、第2の径方向K2に垂直な方向に沿って)見た側面図である。
図6は、
図4に示す基板9を、第2の径方向K2に沿って(すなわち、第1の径方向K1に垂直な方向に沿って)見た側面図である。
図5および
図6中では、基板9の図中の上側の曲線は、基板9の表面94を示し、基板9の図中の下側の曲線は、基板9の外周縁96を示す。
図5および
図6では、表面94と外周縁96とを容易に区別するために、外周縁96を破線にて示す。
図5に示すように、第1の径方向K1に沿って見た基板9では、基板9の外周縁96は、基板9の表面94と同じ方向(すなわち、上向き)に凸である。
図6に示すように、第2の径方向K2に沿って見た基板9では、基板9の外周縁96は、基板9の表面94とは反対方向(すなわち、下向き)に凸である。
【0049】
上述のように、基板処理装置10では、第1基板群を保持している昇降保持部61により、姿勢変更機構5により保持されている第2基板群を受け取るバッチ組みが行われる。
図7は、バッチ組みの流れを示すフロー図である。
図8および
図9は、バッチ組みの際の姿勢変更機構5およびプッシャ6の動きを示す側面図である。
図8および
図9では、図の理解を容易にするために、複数の基板9の枚数を実際よりも少なく描いている。また、
図8および
図9では、
図4に示す反り状態の基板9(すなわち、第1基板9および第2基板9)のバッチ組みの様子を示しているが、図を簡素化するために、
図8および
図9中では、基板9を反りのない状態で描いている。
【0050】
基板処理装置10では、上述の基板整列機構8により、第1基板群の複数の第1基板9が周方向に順次回転されて周方向の向きが決定される(ステップS11)。換言すれば、第1基板群が基板整列機構8により整列され、各第1基板9のノッチ93(
図4参照)の周方向の位置が、所望の位置に決定される。
【0051】
続いて、整列後の第1基板群が、搬出入機構4および姿勢変更機構5を経由してプッシャ6に渡される。プッシャ6では、第1基板群の複数の第1基板9が、第1保持部である昇降保持部61により保持される(ステップS12)。昇降保持部61は、垂直姿勢にて厚さ方向に配列された複数の第1基板9の下縁部を保持する。昇降保持部61に保持された直後の第1基板群では、複数の第1基板9の表面は(+X)方向を向く。複数の第1基板9を保持した昇降保持部61は、
図8に示す回転軸63を中心として水平に180°回転する。これにより、複数の第1基板9の積層方向の位置が、(+X)側にハーフピッチだけ移動する。また、複数の第1基板9の表面は(−X)方向を向く。
【0052】
次に、基板整列機構8により、第2基板群の複数の第2基板9が周方向に順次回転されて周方向の向きが決定される(ステップS13)。換言すれば、第2基板群が基板整列機構8により整列され、各第2基板9のノッチ93(
図4参照)の周方向の位置が、所望の位置に決定される。ステップS13における第2基板群の整列は、ステップS11よりも後であれば、ステップS12における昇降保持部61による第1基板群の保持と並行して、あるいは、ステップS12よりも前に行われてもよい。
【0053】
整列後の第2基板群は、搬出入機構4を経由して姿勢変更機構5へと渡される。姿勢変更機構5では、水平保持部51により水平姿勢の複数の第2基板9が保持される。そして、複数の第2基板9の姿勢が、水平姿勢から
図8に示す垂直姿勢へと変更される。これにより、複数の第2基板9が、第2保持部である垂直保持部52により保持される(ステップS14)。垂直保持部52は、垂直姿勢にて厚さ方向に配列された複数の第2基板9の下縁部を保持する。垂直保持部52に保持された第2基板群では、複数の第2基板9の表面は(+X)方向を向く。第2基板群は、昇降保持部61により保持された第1基板群よりも上方(すなわち、(+Z)側)に位置する。また、第2基板群は、第1基板群よりも上述のハーフピッチだけ(−X)側に位置する。
【0054】
第2基板群が垂直保持部52により保持されると、制御部100(
図1参照)により保持部昇降機構62(
図3参照)が制御されることにより、昇降保持部61が上方に移動し、垂直保持部52に対して下方から相対的に近づく。昇降保持部61は、垂直保持部52の一対の垂直支持部材521および水平保持部51の一対の水平支持部材511の間を通過して上昇する際に、垂直姿勢の複数の基板9を垂直保持部52から受け取って、
図9に示すように保持する。これにより、第1基板群および第2基板群のバッチ組みが行われ、プッシャ6の昇降保持部61により第1基板群および第2基板群が保持される。
【0055】
当該バッチ組みの際には、第2基板群の間に第1基板群が下方から挿入され、第1基板群の複数の第1基板9が、第2基板群の複数の第2基板9の間にそれぞれ配置される。複数の第1基板9は、複数の第2基板9とは表裏反対向きに配置される(ステップS15)。具体的には、複数の第1基板9の表面は、上述のように(−X)方向を向き、複数の第2基板9の表面は(+X)方向を向く。基板処理装置10では、昇降保持部61を上昇させる保持部昇降機構62が、複数の第2基板9の間に複数の第1基板9をそれぞれ配置する基板配列機構である。また、昇降保持部61、垂直保持部52、基板整列機構8および保持部昇降機構62は、複数の基板9を配列する基板配列装置である。
【0056】
図10は、バッチ組みされた第1基板群および第2基板群の一部を拡大して示す側面図である。
図10では、第1基板群の第1基板と第2基板群の第2基板との区別を容易にするために、第1基板および第2基板にそれぞれ符号9a,9bを付す。
図10では、第1基板9aおよび第2基板9bの表面94と外周縁96とを容易に区別するために、外周縁96を破線にて示す(
図11ないし
図13においても同様)。昇降保持部61では、第1基板9aおよび第2基板9bは、第1基板9aおよび第2基板9bの下縁部の外周縁96が上下方向に略平行となるように保持される。
【0057】
基板処理装置10では、上述のステップS11,S13において、第1基板群および第2基板群の周方向の向きが所望の向きに決定されている。その結果、複数の第2基板9bの間にそれぞれ配置された複数の第1基板9aの第1の径方向K1が、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交する。換言すれば、複数の第1基板9aの第1の径方向K1が、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交するように、第1基板群および第2基板群の周方向の向きが基板整列機構8により決定されている。第1基板9aの表面94と第2基板9bの表面94とはX方向に対向しており、対向する表面94同士は十分な空隙を介して離間している。なお、複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と厳密に直交する必要はなく、実質的に直交していればよい。換言すれば、複数の第1基板9aの第1の径方向K1と、複数の第2基板9bの第1の径方向K1との成す角度は、実質的に90°であればよい。
【0058】
図10に示す例では、複数の第1基板9aの第1の径方向K1がおよそ上下方向を向き、複数の第2基板9bの第1の径方向K1がおよそ水平方向を向く。なお、複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、厳密に上下方向を向く必要はなく、実質的に上下方向を向いていればよい。また、複数の第2基板9bの第1の径方向K1は、厳密に水平方向を向く必要はなく、実質的に水平方向を向いていればよい。
【0059】
図11は、
図10に示す例とは異なる向きの複数の第1基板9aおよび複数の第2基板9bを昇降保持部61により保持した例である。
図11に示す例では、複数の第1基板9aの第1の径方向K1がおよそ水平方向を向き、複数の第2基板9bの第1の径方向K1がおよそ上下方向を向く。なお、複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、厳密に水平方向を向く必要はなく、実質的に水平方向を向いていればよい。また、複数の第2基板9bの第1の径方向K1は、厳密に上下方向を向く必要はなく、実質的に上下方向を向いていればよい。複数の第2基板9bの間にそれぞれ配置された複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交する。なお、複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と実質的に直交していればよい。第1基板9aの表面94と第2基板9bの表面94とはX方向に対向しており、対向する表面94同士は十分な空隙を介して離間している。
【0060】
図12は、本発明に対する比較例として、第1基板9aの第1の径方向K1および第2基板9bの第1の径方向K1を、仮におよそ水平方向を向けた場合の状態を示す図である。すなわち、
図12に示す比較例ではそれぞれ、第1基板9aの第1の径方向K1および第2基板9bの第1の径方向K1は、およそ同じ方向を向く。
図12に示す比較例では、第1基板9aの上端部と、当該第1基板9aの(+X)側に隣接する第2基板9bの上端部とのX方向の距離が非常に小さく、当該第1基板9aと第2基板9bとが接触するおそれがある。また、基板処理部2における薬液処理等の際に、基板間における処理液の動きが阻害され、基板に対する処理に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0061】
図13は、本発明に対する比較例として、第1基板9aの第1の径方向K1および第2基板9bの第1の径方向K1を、仮におよそ上下方向を向けた場合の状態を示す図である。すなわち、
図13に示す比較例ではそれぞれ、第1基板9aの第1の径方向K1および第2基板9bの第1の径方向K1は、およそ同じ方向を向く。
図13に示す比較例では、第1基板9aの上端部と、当該第1基板9aの(−X)側に隣接する第2基板9bの上端部とのX方向の距離が非常に小さく、当該第1基板9aと第2基板9bとが接触するおそれがある。また、基板処理部2(
図1参照)における薬液処理等の際に、基板間における処理液の動きが阻害され、基板に対する処理に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0062】
一方、
図10および
図11に示す例では、基板整列機構8により第1基板群および第2基板群の周方向の向きを決定することにより、隣接する第1基板9aと第2基板9bとの間に十分な空隙が確保される。このため、第1基板9aと第2基板9bとの接触が防止または抑制される。なお、基板処理装置10では、複数の第1基板9aの第1の径方向K1が、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交するのであれば、基板整列機構8により、必ずしも第1基板群および第2基板群の双方の向きが決定される必要はなく、第1基板群および第2基板群のうち少なくとも一方の基板群の周方向の向きが決定されていればよい。この場合、当該一方の基板群における第1の径方向K1が、バッチ組みした際に他方の基板群における第1の径方向K1と略直交するように、当該一方の基板群の周方向の向きが基板整列機構8により決定される。
【0063】
以上に説明したように、上述の基板配列装置は、第1保持部である昇降保持部61と、第2保持部である垂直保持部52と、基板整列機構8と、基板配列機構である保持部昇降機構62とを備える。昇降保持部61は、垂直姿勢にて厚さ方向に配列された複数の第1基板9aの下縁部を保持する。垂直保持部52は、垂直姿勢にて厚さ方向に配列された複数の第2基板9bの下縁部を保持する。基板整列機構8は、複数の第1基板9aである第1基板群および複数の第2基板9bである第2基板群のうち、少なくとも一方の基板群を周方向に回転して周方向の向きを決定する。基板配列機構である保持部昇降機構62は、昇降保持部61を垂直保持部52に対して相対的に近づけることにより、第2基板群の複数の第2基板9bの間に、第1基板群の複数の第1基板9aを、複数の第2基板9bとは表裏反対向きにそれぞれ配置する。
【0064】
第1基板群および第2基板群の各基板9(すなわち、第1基板9aおよび第2基板9b)は、第1の径方向K1において厚さ方向の一方側に最小曲率にて湾曲し、第1の径方向K1と直交する第2の径方向K2において、厚さ方向の上記一方側に最大曲率にて湾曲する。複数の第2基板9bの間にそれぞれ配置された複数の第1基板9aの第1の径方向K1は、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交する。これにより、
図10および
図11に例示するように、交互に配列された複数の第1基板9aおよび複数の第2基板9bにおいて、配列方向にて隣接する基板間の配列方向の距離(すなわち、厚さ方向にて隣接する第1基板9aと第2基板9bとの間の厚さ方向の距離)の上下方向における均一性を向上することができる。その結果、バッチ組みの際およびバッチ組み後の基板搬送の際等に、第1基板9aと第2基板9bとが接触することを防止または抑制することができる。また、基板処理部2における薬液処理等の際に、隣接する第1基板9aと第2基板9bとの間における処理液の動きを所望の動きに近づけ、第1基板9aおよび第2基板9bに対する好適な処理を実現することができる。
【0065】
図10に示すように、昇降保持部61に保持された複数の第1基板9aの第1の径方向K1はおよそ上下方向を向き、垂直保持部52に保持された複数の第2基板9bの第1の径方向K1はおよそ水平方向を向く。換言すれば、ステップS11〜S14の終了後において、複数の第1基板9aの第1の径方向K1はおよそ上下方向を向き、複数の第2基板9bの第1の径方向K1はおよそ水平方向を向く。そして、保持部昇降機構62は、昇降保持部61を垂直保持部52に対して下方から近づけ、複数の第1基板9aを複数の第2基板9bの間に下方から挿入する。このように、複数の第1基板9aの第1の径方向K1を、バッチ組みの際の第1基板群と第2基板群との相対移動方向に向けることにより、第1基板9aと第2基板9bとが接触することを、より好適に防止し、または、より一層抑制することができる。
【0066】
また、
図11に示すように、昇降保持部61に保持された複数の第1基板9aの第1の径方向K1はおよそ水平方向を向き、垂直保持部52に保持された複数の第2基板9bの第1の径方向K1はおよそ上下方向を向く。換言すれば、ステップS11〜S14の終了後において、複数の第1基板9aの第1の径方向K1はおよそ水平方向を向き、複数の第2基板9bの第1の径方向K1はおよそ上下方向を向く。そして、保持部昇降機構62は、昇降保持部61を垂直保持部52に対して下方から近づけ、複数の第1基板9aを複数の第2基板9bの間に下方から挿入する。このように、複数の第2基板9bの第1の径方向K1を、バッチ組みの際の第1基板群と第2基板群との相対移動方向に向けることにより、第1基板9aと第2基板9bとが接触することを、より好適に防止し、または、より一層抑制することができる。
【0067】
上述のように、基板整列機構8は、第1基板群および第2基板群の双方を周方向に回転して周方向の向きを決定する。これにより、バッチ組みされた状態における第1基板群の周方向の向き、および、第2基板群の周方向の向きを予め設定する際に、設定の自由度を向上することができる。
【0068】
上述の基板配列装置および基板処理装置10では、様々な変更が可能である。
【0069】
基板整列機構8は、基板9を周方向に回転して周方向の向きを変更するものであれば、様々な構造を有する装置であってよい。例えば、基板整列機構8は、垂直姿勢の基板9を順次周方向に回転して周方向の向きを変更する機構であってもよい。また、基板整列機構8は、複数の基板9を同時に周方向に回転させ、複数の基板9のそれぞれの周方向の向きを変更する機構であってもよい。さらには、基板整列機構8では、基板9のノッチ93が所定の係合軸と係合することにより、基板9の回転が停止されてもよい。
【0070】
例えば、基板配列機構(すなわち、保持部昇降機構62)は、昇降保持部61を略水平に移動することにより、昇降保持部61を垂直保持部52へと近づけ、複数の第2基板9bの間に複数の第1基板9aをそれぞれ配置してもよい。また、例えば、基板配列機構は、垂直保持部52を移動することにより、昇降保持部61を垂直保持部52に対して相対的に近づけてもよい。
【0071】
上述の基板配列装置では、複数の第2基板9bの間にそれぞれ配置された複数の第1基板9aの第1の径方向K1が、複数の第2基板9bの第1の径方向K1と略直交するのであれば、複数の第1基板9aの第1の径方向K1、および、複数の第2基板9bの第1の径方向K1は、いずれの方向を向いていてもよい。
【0072】
上述の基板配列装置により配列される第1基板群および第2基板群の各基板9では、最小曲率にて湾曲する第1の径方向K1と、最大曲率にて湾曲する第2の径方向K2とは、必ずしも直交する必要はなく、第2の径方向K2は、第1の径方向K1と45度以上135度以下の角度にて交差していればよい。当該基板9を上述のように配列する場合であっても、上記と同様に、配列方向にて隣接する基板間の配列方向の距離の上下方向における均一性を向上することができる。
【0073】
上述の基板配列装置は、必ずしも基板処理装置10に含まれる必要はなく、基板処理装置10から独立して基板処理装置10の外部に設けられてもよい。基板配列装置は、上述の基板処理装置10以外の様々な装置に組み込まれて使用されてもよい。
【0074】
基板処理装置10は、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、基板処理装置10は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0075】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。