特許第6688758号(P6688758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6688758機械駐車装置リプレース方法およびリプレース型機械駐車装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688758
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】機械駐車装置リプレース方法およびリプレース型機械駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20200421BHJP
   E04H 6/14 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   E04H6/18 601G
   E04H6/14 604M
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-80504(P2017-80504)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-178559(P2018-178559A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】川内 道夫
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−015816(JP,A)
【文献】 特開平04−068177(JP,A)
【文献】 米国特許第04275979(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たなリプレース型機械駐車装置を構成する機械駐車装置リプレース方法において、
主要な構成要素を解体撤去した後、前記既存の垂直循環式機械駐車装置で主要な構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部で、各昇降ガイドレールおよび吊柱の荷重を受けるように吊り構造とし、その後、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の長手方向に複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レールを固定して、リプレース型機械式駐車装置に更新し、駐車車両の乗り込み面における床部に、前記昇降ガイドレールの位置によって生じた前記既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部を備えた横移動式特殊ターンテーブルを設置したことを特徴とする機械駐車装置リプレース方法。
【請求項2】
前記駆動部受部の上方部に、新設架台を搭載し、前記新設架台の上部に新設駆動部を取り付けた後に、前記新設架台に、前記昇降ガイドレールと前記吊柱の上方部をそれぞれ固定したことを特徴とする請求項1に記載の機械駐車装置リプレース方法。
【請求項3】
既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たな機械駐車装置を構成するリプレース型機械駐車装置において、
前記既存の垂直循環式機械駐車装置で前記主要構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部で、昇降ガイドレールおよび吊柱の荷重を受けるように吊り構造とし、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の長手方向に、複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レールを固定し、駐車車両の乗り込み面における床部に、前記昇降ガイドレールの位置によって生じた既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部を備えた横移動式特殊ターンテーブルを設置したことを特徴とするリプレース型機械駐車装置。
【請求項4】
前記駆動部受部の上部に新設架台を固定し、前記新設架台に前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の上方向端部を固定して、前記駆動部受部で、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の荷重を受けるように吊り構造としたことを特徴とする請求項3に記載のリプレース型機械駐車装置。
【請求項5】
前記吊柱は前記昇降ガイドレールの一方側の側方にのみ配置し、前記吊柱の長手昇降方向に所定間隔で複数の前記横行レールを固定し、前記各横行レールに沿って横方向に移動可能な前記フォーク状横行台車をそれぞれ配置し、前記昇降ガイドレール間に昇降方向を案内され、かつ、前記フォーク状横行台車との間で搭載した状態の駐車車両を受け渡しする昇降リフトを配置したことを特徴とする請求項3に記載のリプレース型機械駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の垂直循環式機械駐車装置を更新する機械駐車装置リプレース方法およびリプレース型機械駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメリーゴーランド式駐車装置のような垂直循環式機械駐車装置として、特開2006−155799号公報(特許文献1)、また従来のフォーク式機械駐車装置として、特開平7−317367号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、前後に設けた上・下スプロケット間に巻掛けた前後の主務チェーンに適宜間隔で複数の吊持材を取着し、各々前後の対応する吊持材間に車両搭載用ケージを吊下げて循環させるようにした駐車装置本体が鉄骨構造体内又は建物躯体内に組み込まれた既設の垂直循環式駐車装置における駐車装置本体を入れ替える改造方法であって、前記主務チェーンが係合する上・下スプロケットの噛み合い歯数を所定数減らして上・下スプロケットを小径にし、上スプロケットの軸芯位置を前記主務チェーンの巻掛けに適した位置まで上方に移動させ、該上・下スプロケットの軸芯位置から前記吊持材による車両搭載用ケージの吊り下げ位置までの距離を、既設の吊持材による車両搭載用ケージの吊り下げ位置とほぼ同一距離にして該車両搭載用ケージの上・下反転部における循環時の隅切り領域を小さくすることを特徴とする垂直循環式駐車装置の改造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、リフト昇降路の片側又は両側に上下複数の格納棚が設けられ、格納棚とリフト昇降路とに横行レールが設けられ、リフトの左右の2ブロックのフォークステージの第1フォークアームの基端が取り付けられた2本の支持レバーの対角線端部に取り付けた昇降杆を、ガイドレールに上下動可能に装着し、この昇降杆を上下動する昇降手段を設け、横行レールには各支持レバーの通過間隙が設けられていて、第1フォークアームとの間に車両を移載する第2フォークアームを具備した台車の横行車輪を移動可能に載置し、この台車の前記通過間隙を通過しない方の側部に歯付杆を取り付け、この歯付杆と係合する歯付ホイールを取り付けた横行モータを建屋側に設けたことを特徴とするフォーク式立体駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−155799号公報
【特許文献2】特開平7−317367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されたように従来の機械駐車装置として、種々の構成のものが知られているが、その更新となると特許文献1に記載のように垂直循環式機械駐車装置は同じ種類の垂直循環式機械駐車装置に更新するものであった。ところが、メリーゴーランド式駐車装置のような垂直循環式機械駐車装置においては、歴史が長く、その分、老朽化も進んでいるため、老朽化した設備を更新したいという要求があるものの、当時存在していた部品製作会社がこの分野から撤退していて、部品調達面でのコストが下がらず、客先の設備更新計画が進まないのが現実である。
【0007】
本発明の目的は、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、比較的容易に新たな機械駐車装置として更新することができるようにした機械駐車装置リプレース方法およびリプレース型機械駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、 既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たなリプレース型機械駐車装置を構成する機械駐車装置リプレース方法において、主要な構成要素を解体撤去した後、前記既存の垂直循環式機械駐車装置で主要な構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部で、各昇降ガイドレールおよび吊柱の荷重を受けるように吊り構造とし、その後、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の長手方向に複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レールを固定して、リプレース型機械式駐車装置に更新し、駐車車両の乗り込み面における床部に、前記昇降ガイドレールの位置によって生じた前記既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部を備えた横移動式特殊ターンテーブルを設置したことを特徴とする。
【0009】
このような機械駐車装置リプレース方法によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部を用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなエレベーター式機械駐車装置として更新することができる。従って、コストが下がるために客先の設備更新計画が進みやすくなる。しかも、昇降ガイドレールの位置によって生じたセンターのずれを横移動式特殊ターンテーブル側で補正することができるので、昇降ガイドレールまたは横移動式特殊ターンテーブルをそれぞれ望ましい位置に設置しても、上述したずれを容易に補正することができる。
【0010】
また本発明は上述の方法に加えて、前記駆動部受部の上方部に、新設架台を搭載し、前記新設架台の上部に新設駆動部を取り付けた後に、前記新設架台に、前記昇降ガイドレールと前記吊柱の上方部をそれぞれ固定したことを特徴とする。
【0011】
このような機械駐車装置リプレース方法によれば、駆動部受部の上方部に配置した新たな新設架台を追加しているため、新設架台によって新設駆動部の位置をより上方にして、駆動部受部と新設駆動部間に位置するスペースも駐車車両の格納スペースとして利用することができるようになる。
【0012】
また本発明は上記目的を達成するために、既存の垂直循環式機械駐車装置で使用していた主要な構成要素を撤去し、その後に、新たな機械駐車装置を構成するリプレース型機械駐車装置において、前記既存の垂直循環式機械駐車装置で前記主要構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部で、昇降ガイドレールおよび吊柱の荷重を受けるように吊り構造とし、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の長手方向に、複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レールを固定し、駐車車両の乗り込み面における床部に、前記昇降ガイドレールの位置によって生じた既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部を備えた横移動式特殊ターンテーブルを設置したことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部を用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなリプレース型エレベーター式機械駐車装置として更新することができる。従って、製作技術の継続性が確保されるために品質的に安全なものとなる。それに加えて、現地工事期間が短くなるために、客先の代替駐車場の費用を安く抑えられる。
【0014】
また本発明は上述の構成に加えて、前記駆動部受部の上部に新設架台を固定し、前記新設架台に前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の上方向端部を固定して、前記駆動部受部で、前記昇降ガイドレールおよび前記吊柱の荷重を受けるように吊り構造としたことを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、駆動部受部の上方部に配置した新たな新設架台を追加しているため、新設架台によって新設駆動部の位置をより上方にして、駆動部受部と新設駆動部間に位置するスペースも駐車車両の格納スペースとして利用することができるようになる。
【0016】
また本発明は上述の構成に加えて、前記吊柱は前記昇降ガイドレールの一方側の側方にのみ配置し、前記吊柱の長手昇降方向に所定間隔で複数の前記横行レールを固定し、前記各横行レールに沿って横方向に移動可能な前記フォーク状横行台車をそれぞれ配置し、前記昇降ガイドレール間に昇降方向を案内され、かつ、前記フォーク状横行台車との間で搭載した状態の駐車車両を受け渡しする前記昇降リフトを配置したことを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、駐車車両のために使用されることになるフォーク状横行台車は昇降ガイドレールの片側のみで昇降方向に複数段形成されるだけであるものの、駐車場建屋の幅方向寸法を抑えて、比較的容易に新たなエレベーター機械駐車装置としてのリプレース型機械駐車装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による機械駐車装置リプレース方法によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部を用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなエレベーター式機械駐車装置として更新することができる。
【0019】
また本発明のリプレース型機械駐車装置によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部を用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなリプレース型エレベーター式機械駐車装置として更新することができる。しかも、このような吊柱を昇降ガイドレールの一方側の側方にのみ配置した片側構成では、昇降ガイドレールの偏寄した位置によってセンターのずれが確実に生じるが、横移動式特殊ターンテーブル側で容易にこのずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】更新前の垂直循環式機械駐車装置を示す平面図である。
図2図1に示した垂直循環式機械駐車装置に形成された乗り込み面の断面図である。
図3】本発明の一実施例による機械駐車装置リプレース方法による作業手順を示すフローチャートである。
図4】既存の垂直循環式機械駐車装置における主要構成要素の解体撤去後の状態を示す平面図である。
図5】既存の垂直循環式機械駐車装置における主要構成要素の解体撤去後の状態を示す断面図である。
図6】新設のリプレース型機械駐車装置における組み立て状態を示す平面図である。
図7】新設のリプレース型機械駐車装置における組み立て状態を示す断面図である。
図8図7に示した横移動式特殊ターンテーブルの拡大図である。
図9】駐車車両を格納する場合の初期状態を示す平面図である。
図10】駐車車両を横移動式特殊ターンテーブルに乗り込ませた状態を示す平面図である。
図11】横移動式特殊ターンテーブルを使用して駐車車両の方向変換を行った状態を示す平面図である。
図12】は、横移動式特殊ターンテーブルを使用してずれ補正を行った後の状態を示す平面図である。
図13】駐車車両を格納する段付近に移動した状態を示す平面図である。
図14】駐車車両を格納した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、下方部に形成された乗り込み面の平面図である。
【0023】
乗り込み面22の床部には、駐車車両を搭載した状態で方向転換を行うターンテーブル23が構成されている。垂直循環式機械駐車装置3の他の具体的な構成は、本発明と直接関係がないので説明を省略する。
図2は、本発明の一実施例による機械駐車装置リプレース方法を採用するリプレース前の垂直循環式機械駐車装置の断面図である。
【0024】
駐車場建屋における複数の縦柱1間における中間上部には、ほぼ水平に、また壁沿いに配置した駆動部受部2Aが結合されている。同図では一本の駆動部受部2Aのみが示されているが、その裏面側にも図示しない同一構造の駆動部受部2Bが配置されている。既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置3では、上述した一対の駆動部受部2A,2B間に主要な構成要素の全てが吊り下げられている。
【0025】
図3は、本発明の一実施例による機械駐車装置リプレース方法による作業手順を示すフローチャートである。
【0026】
先ずステップS1では、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置3の建屋内における主要な構成要素を解体し撤去する。本垂直循環式機械駐車装置3は180度乗り込み型以外の内蔵ターンテーブルを備えた構成である。ステップS1では、既存の垂直循環式機械駐車装置3において主要な構成要素全体を支えていた一対の駆動部受部2A,2Bは、更新後のリプレース型機械駐車装置においても同じ位置で使用する。例えば、一対の駆動部受部2A,2Bが十分な強度を有していれば、そのまま残して流用し、必要に応じて補強を施す。また一対の駆動部受部2A,2Bが強度不足であれば、新設の駆動部受部に交換するが、その場合でも新設の駆動部受部は、既存の垂直循環式機械駐車装置3において使用していたのと同じ位置に設置して固定される。本実施例では、説明を簡略化するために、既存の駆動部受部2A,2Bを残して流用するものとして説明する。
【0027】
図4および図5は、既存の垂直循環式機械駐車装置3における主要構成要素の解体撤去後の状態を示す平面図および断面図である。
【0028】
図5に示した駐車場建屋内壁には複数本の縦柱1A,1Bが設けられており、図5の手前側で対向関係にある角部の縦柱1A間、また図4の奥側で対向関係にある縦柱1B間には、中間上部でほぼ水平に配置されて結合された梁などの駆動部受部2A,2Bが存在している。上述したステップS1で、両駆動部受部2A,2Bは撤去せずに残されているものとすると、既存の垂直循環式機械駐車装置3における主要な構成要素の他の部分は、全て解体撤去されている。
【0029】
上述したように既存の垂直循環式機械駐車装置3において、駆動部受部2A,2Bは、主要な構成要素の総荷重を受けて全体を吊り下げるように使用されていた。更新後のリプレース型機械駐車装置においても同じ位置で駆動部受部2A,2Bを使用し、後述するステップで示すように更新後のリプレース型機械駐車装置における主要な構成要素の総荷重を同様に受けるようにしている。このため、リプレース型機械駐車装置においても駆動部受部2A,2Bを使用した全体的な荷重点は変化していない。
【0030】
図6および図7は、リプレース型機械駐車装置における組み立て状態を示す平面図および断面図である。
【0031】
図3に示した更新手順のステップS1では、残された駆動部受部2A,2Bに対して補強作業を行う。この補強作業は、例えば、図7に示すように駆動部受部2A,2Bにおける長手方向両端部の下方にそれぞれ端部補強ブラケット4を配置すると共に、各端部補強ブラケット4を縦柱1A,1Bに固定するものである。これによって駆動部受部2A,2Bは、新たに設けられた各端部補強ブラケット4によって補強されて縦柱1A,1Bに固定されることになる。
【0032】
図3に示したステップS2では、駆動部受部2A,2Bの上部に新設架台5を搭載設置し固定する作業を行う。駆動部受部2の上方部に構成された新設架台5は、例えば、図6に示すように駆動部受部2A,2Bの上方部に所定距離を隔てて配置された上部水平部材6と、駆動部受部2A,2Bと上部水平部材6の対向部間を結合する結合部材7などを有して、中央部に空間部を形成した構成としている。
【0033】
この新設架台5は、種々の構成を採ることができるが、いずれの場合も図6に示した駆動部受部2A,2Bの上面側もしくはその近傍で結合部材7などが搭載されて、中央部に空洞が形成された構成としている。これによって駆動部受部2A,2Bの上方部で、かつ対向部間には、単に新設架台5を配置するだけのスペースとして使用するだけではなく、新設架台5の中央空間部を駐車スペースとして活用されるようになる。
【0034】
次いで、ステップS3では、新設架台5上に新設駆動部8を設置する作業を行う。この設置作業では、マシンベース9上に構成された新設駆動部8が図7に示すように新設架台5における上部水平部材6の上に設置される。従って、最上部は新設駆動部8が配置されるために、駐車スペースとしては使用できないが、上部水平部材6の下方部における中央空間部は依然として存在しており、これを駐車スペースとして活用することができる。
【0035】
図1で説明したが、取り付け位置を変更しない駆動部受部2A,2Bが駐車場建屋の中間上部に存在するため、新設架台5を配置した部分が駐車スペースとして活用されないと、駐車台数が減少してしまう。しかし、このような中央空間部を有した新設架台5を用いることによって、駆動部受部2A,2Bの位置を変更しないことによる高さ方向における駐車スペースの制限を補うことができる。
【0036】
ステップS4では、新設架台5に昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bを固定して吊り下げる吊り下げ作業を行う。昇降ガイドレール10A〜10Dは、後述する昇降アーム16によって昇降リフト12の昇降動作を案内するものである。図6の平面図に示すように対を成す昇降ガイドレール10A,10Bは、駆動部受部2Aの内側近傍に所定距離を隔てて対向配置されているため、駆動部受部2A,2Bの対向部に後述する昇降リフト12を構成するためのスペースを確保することができる。対を成す昇降ガイドレール10C,10Dは、駆動部受部2Bの内側近傍に所定距離を隔てて同様に対向配置されている。従って、新設架台5の中央空間部が塞がれることはない。
【0037】
各昇降ガイドレール10A〜10Dの上端部は、図7に示すように駆動部受部2A,2B上に搭載した新設架台5の上部水平部材6などに固定され、吊り下げられている。駆動部受部2A,2Bの上方部に上部水平部材6を有する新設架台5が搭載されているため、各昇降ガイドレール10A〜10Dを駆動部受部2A,2Bと干渉しない位置に配置しても、その上端部を上部水平部材6に固定することができる。また新設架台5が駆動部受部2A,2B上に搭載されているため、各昇降ガイドレール10A〜10Dの荷重は、新設架台5を介して駆動部受部2A,2Bで受けることになる。
【0038】
ここで、各昇降ガイドレール10A〜10Dは、昇降方向の中心が駐車場建屋の中央部に配置されるのではなく、図7における左方側に偏寄されている。これによって限られた駐車場建屋内のスペースを効果的に活用しながら、更新すると共に十分な駐車スペース13を確保するようにしている。
【0039】
この駐車スペース13に相当する位置に、一対の吊柱11A,11Bが配置されている。この吊柱11A,11Bは、詳細を後述するフォーク状横行台車19Aを横移動させる構成のために使用される。図6から分かるように吊柱11A,11Bは、駆動部受部2A,2Bと各昇降ガイドレール10A〜10Dの位置関係と同じように、駆動部受部2A,2Bの対向側近傍にそれぞれ配置されており、これによってフォーク状横行台車19Aの横移動のために必要なスペースが確保されている。両吊柱11A,11Bの上端部は、図7に示したように各昇降ガイドレール10A〜10Dと同様に、駆動部受部2A,2B上に搭載した新設架台5の上部水平部材6などに固定され、吊り下げられている。
【0040】
駆動部受部2A,2Bの上方部に上部水平部材6を有する新設架台5が搭載されているため、両吊柱11A,11Bを駆動部受部2A,2Bと干渉しない位置に配置しても、その上端部を上部水平部材6に固定することができる。また新設架台5が駆動部受部2A,2B上に搭載されているため、両吊柱11A,11Bの荷重は、新設架台5を介して駆動部受部2A,2Bで受けることになる。
【0041】
こうして、各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bは、駆動部受部2A,2Bにおけるそれぞれの対向側近傍における各仮想垂直平面上にそれぞれ配置されている。この配置関係を利用して、ステップS5では、駆動部受部2Aの対向側近傍、また駆動部受部2Bの対向側近傍を利用して、各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bにほぼ水平に保持された複数の横行レール14A〜14Nを取り付ける。
【0042】
一対の昇降ガイドレール10A,10Bと吊柱11Aにはほぼ水平に保持された複数段の横行レール14A〜14Nが固定され、同様に一対の昇降ガイドレール10C,10Dと吊柱11Bにはほぼ水平に保持された複数段の横行レール14A〜14Nが固定されている。両側に位置された各横行レール14A〜14Nは、各段において同一水平面で対向配置されている。例えば、図6が最上段を示すとすると、各昇降ガイドレール10A,10Bと吊柱11A側に固定された横行レール14Aと、各昇降ガイドレール10C,10Dと吊柱11B側に固定された横行レール14Aとは、同じ最上段で同一水平面に対向配置されており、フォーク状横行台車19Aを昇降リフト12側に水平移動させるときに案内する構成となっている。
【0043】
各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの長手方向には、駐車車両の車高を考慮した寸法を隔てて他の段の横行レール14B〜14Nも同様にそれぞれ固定されている。上述したように昇降ガイドレール10A,10Bおよび吊柱11Aと、昇降ガイドレール10C,10Dおよび吊柱11BBは、それぞれ対向配置された関係の異なる各仮想垂直平面上に分散されて配置されているため、横行レール14A〜14Nの固定作業は容易に行える。
【0044】
続くステップS6では、カウンターウエイト15A,15Bが搬入され、ステップS7では、昇降アーム16および昇降リフト12の据え付け作業が行われる。これらの搬入作業は、乗り込み口17から行われ、各昇降ガイドレール10A〜10Dの下方部に昇降アーム16を取り付けた後に、昇降アーム16上に昇降リフト12が設置される。
【0045】
ステップS8では、主索(チェーンまたはワイヤーロープ)18の取り付け作業が実施される。
【0046】
ステップS3で既に設置されている新設駆動部8には、両駆動部受部2A,2Bのそれぞれの上方部付近に配置された各シーブまたは歯車などが設けられており、駆動部受部2A側に配置されたシーブまたは歯車には主索18が掛けられている。この主索18の一方の端部はカウンターウエイト15Aのプーリまたは歯車に掛けた後にマシンビーム9に固定されている。主索18の他方側の端部は、詳細な図示を省略しているが昇降リフト12に固定される。
【0047】
図6に示した駆動部受部2B側でも同様に図示しない主索が設けられ、その一端部は他のカウンターウエイト15Bのプーリまたは歯車に掛けた後にマシンビーム9に固定され、他方側の端部は昇降リフト12に連結される。
【0048】
ステップS9では、各横行レール14A〜14Nの上にフォーク状横行台車19A〜19Nが上架される。各フォーク状横行台車19A〜19Nは、図6に示すように昇降リフト12と対を成すように構成され、各横行レール14A〜14Nに沿って回転するガイドローラの助けを受けながら水平方向に移動可能に構成されている。
【0049】
その後、ステップS10では、横行モータ20の据え付け作業を行う。この横行モータ20は、図6に示すように各横行レール14A〜14Nに沿って段毎にそれぞれ配置され、その回転をチェーンなどによってフォーク状横行台車19A〜19Nに伝達するものである。横行モータ20を一方向に回転させると、フォーク状横行台車19A〜19Nを上述したガイドローラによって移動させて昇降リフト12と重なる位置まで移動させることができる。一方、横行モータ20を他方向に回転させると、フォーク状横行台車19A〜19Nを上述したガイドローラによって移動させてフォーク状横行台車19A〜19Nを図示に位置へと戻すことができる。
【0050】
その後、ステップS11では、図7に示すように各フォーク状横行台車19A〜19Nの上に駐車車両を搭載可能な板状のパレット21A〜21Nがそれぞれ配置される。各フォーク状横行台車19A〜19Nは、それぞれパレット21A〜21Nを搭載しているため、駐車車両およびその他の落下物は各パレット21A〜21Nで受け止められる。また、各パレット21A〜21Nは、その上に搭載された各駐車車両をタイヤ部分で受けるため、櫛歯を簡略化している。具体的には、図6に示すように各フォーク状横行台車19A〜19Nはその長手方向の両端部側にのみ櫛歯24A,24Bを有している。さらに具体的には、この両端部側に形成された櫛歯間では、櫛歯が省略された簡易な構成とされている。
【0051】
次いで、ステップS12では、乗り込み面22の床部に横移動式特殊ターンテーブル25の据え付け作業が行われる。上述したように既設の垂直循環式機械駐車装置は、リプレース型機械駐車装置、つまり片列エレベーター式機械駐車装置として更新されるため、各昇降ガイドレール10A〜10Dによって囲まれた領域を昇降リフト12が昇降移動するとき、昇降方向の中心は図6および図7に示したように左側に編寄されている。このため、例えば、昇降リフト12から駐車車両を乗り込み面22における床側に下ろしたとき、既設の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心と比べて位置がずれており、通常のターンテーブルを使用して旋回させることができない。従って、更新後において、これまで使用されていたものと同様の内蔵ターンテーブルを使用することはできない。そこで、上述したずれを補正することができる構成の横移動式特殊ターンテーブル25を乗り込み面22の床側に配置している。
【0052】
図8は、図7における横移動式特殊ターンテーブル25の拡大図である。
【0053】
横移動式特殊ターンテーブル25は、リプレース型機械駐車装置における位置関係のずれを補正する方向に延びて、かつ乗り込み面22よりも下方に埋め込んだ固定ガイド26と、この固定ガイド26に対してガイドローラなどを用いて補正方向に移動可能な可動台27と、可動台27上に搭載されて向き変更可能なターンテーブル部28と、可動台27上のターンテーブル部28を固定ガイド26に沿って位置関係のずれを補正する方向に駆動する駆動装置29などを有して構成されている。
【0054】
続くステップS13では、既に設置された各電気機器における配線作業や、制御盤との接続作業などの電気・制御工事が実施される。
【0055】
ここまでの各作業によって、新設部品の据え付けは完了する。この完了状態で、既設の垂直循環式機械駐車装置は、リプレース型機械駐車装置、つまり片列エレベーター式機械駐車装置として更新される。搬入された各新設部品、つまり、新設架台5と、新設駆動部8と、各昇降ガイドレール10A〜10Dと、吊柱11A,11Bと、昇降リフト12と、横行レール14A〜14Nと、カウンターウエイト15A,15Bと、昇降アーム16と、フォーク状横行台車19A〜19Nなどの主要な構成要素は、最終的に駆動部受部2A,2Bで荷重が受けられる。これは今回の更新前に、既存の垂直循環式機械駐車装置において駆動部受部2A,2Bにより、主要な構成要素の総荷重を受けて全体を吊り下げていた構成と同じである。
【0056】
その後、ステップS14では、試運転、調整を行い性能確認が行われ、次いで、ステップS15では、塗装、仕上げ工事が実施される。
【0057】
図9図14は、横移動式特殊ターンテーブル24を使用して駐車車両を格納する場合の処理を示す平面図である。
【0058】
図9に示すように駐車車両30が乗り込み面22の出入口17から進入するとき、更新後のリプレース機械式駐車装置において、各ガイドレール10A〜10Dに沿って昇降移動される一対の昇降アーム16間を結ぶ中心線31、または一対の昇降アーム16間に搭載されることになる図示を省略した昇降リフト12の長手方向の中心線31は、既設の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心線32に対して、間隔33だけずれている。
【0059】
従って、図10に示すように駐車車両30をパレット21上に乗り込ませた後、図11に示すようにターンテーブル部28を旋回して、パレット21を図示を省略した昇降リフト12に搭載して昇降移動できる向きとなるように90度向きを変換しても、上述したずれによる間隔33は補正されない。そこで、図12に示すように上述したずれに対する補正処理を行う。
【0060】
つまり、この補正処理は、図8に示した駆動装置29を作動させて、固定ガイド26に沿って可動台27をずれを補正する方向に駆動することによって行われる。可動台27の移動距離は上述した間隔33にほぼ等しく設定されており、図12に示したようにパレット21および駐車車両30の長手方向に中心線は、更新前の中心線32から更新後のリプレース機械式駐車装置における中心線31まで補正される。このため、図12に示したようにパレット21および駐車車両30の長手方向に中心線は、図示を省略した昇降リフト12の長手方向の中心線31と合致する。この状態では、昇降アーム16によって昇降リフト12を昇降移動させることができ、パレット21および駐車車両30を図7に示した任意の段、例えば横行レール14Kの段へと昇降搬送することができる。
【0061】
図13および図14は、駐車車両30を横行レール14Kの段へと搬送されたときの初期状態および終期状態を示す平面図である。
【0062】
昇降リフト12は、横行レール14Kに設置されているフォーク状横行台車19Kよりも多少上方に位置させて停止されている。このとき、横行モータ20を一方向に回転すると、フォーク状横行台車19Kはガイドローラに沿って案内されながら矢印の左方側である昇降リフト12の下部へと移動される。その後、昇降リフト12を下降させると、昇降リフト12はフォーク状横行台車19Kを通過するが、パレット21は通過できないので昇降リフト12からフォーク状横行台車19Kに受け渡される。
【0063】
次いで、横行モータ20を逆方向に回転させると、フォーク状横行台車19Kはガイドローラによって案内移動させて図14の位置へと戻され、パレット21上に搭載された駐車車両30は、駐車スペースへと格納された状態となる。
【0064】
パレット21上に搭載された駐車車両30の出庫時は、上述の入庫時と逆の手順で行って、更新後のリプレース機械式駐車装置における中心線31から既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心線32へと補正した後に、ターンテーブル部28の旋回によって駐車車両30の方向変換を行ってから、出入口17より出庫させる。
【0065】
このような機械駐車装置リプレース方法およびリプレース型機械駐車装置によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部2A,2Bを用いて、例えば、既存のメリーゴーランド型駐車装置として知られる垂直循環式機械駐車装置を更新する場合、新たな部品を調達して同型のメリーゴーランド型駐車装置である垂直循環式機械駐車装置とするのではなく、エレベーター式機械駐車装置に更新するため、大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達が難しい部品を使用することなく、比較的容易に新たな機械駐車装置として更新することができる。
【0066】
また、昇降リフト12を昇降案内することになる各昇降ガイドレール10A〜10Dと吊柱11A,11Bを駆動部受部2A,2Bで吊り下げ、各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bを利用して、昇降リフト12上に搭載された駐車車両と重なる位置から駐車車両の収納位置間でフォーク状横行台車19A〜19Nを横方向に移動案内する横行レール14A〜14Nを固定している。このため、片列エレベーター式機械駐車装置とした場合や、既存の駐車場建屋の大きさなどによって、昇降リフト12の昇降方向の中心が既存の垂直循環式機械駐車装置の中心からずれることがある。しかし、駐車車両を搭載した状態のターンテーブル部28を固定ガイド26に沿って位置関係のずれを補正する方向に駆動可能な横移動式特殊ターンテーブル25とすることによって、上述したずれを容易に補正することができる。これによって、更新後の機械式駐車装置においても横移動式特殊ターンテーブル25を使用しての乗り込みが可能となる。
【0067】
上述した実施例では、説明を簡略化するために、既存の駆動部受部2A,2Bを残して流用するものとして説明したが、既存の駆動部受部を撤去して同様の新設駆動部受部2A,2Bを既存の駆動部受部と同じ位置に固定しても、同様の効果を得ることができる。同様に、駆動部受部2A,2Bとしては図示の梁に限らず、これまで使用されている種々の駆動部受け部を利用することができる。また、新設部品における各部の構成は図示のものに限らず、類似の構成に置換することができ、この置換に応じて各ステップに微調整を加えることもできる。
【0068】
また上記の実施例では、図4における駐車場建屋の幅方向が比較的小さいために、フォーク状横行台車19A〜19Nを配置して構成した駐車スペースは片側となっているが、既存の駐車場建屋に十分な幅方向があるなら、各昇降ガイドレール10A〜10Dの左右にそれぞれ駐車スペースを構成することもできる。
【0069】
さらに上記の実施例では、最下部に乗り込み面を有した構成について説明したが、乗り込み面を他の位置とした場合でも同様に適用できる。
【0070】
以上説明したように本発明による機械駐車装置リプレース方法は、主要な構成要素を解体撤去した後、前記既存の垂直循環式機械駐車装置で主要な構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部2A,2Bで、各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの荷重を受けるように吊り構造とし、その後、前記昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの長手方向に複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レール14A〜14Nを固定して、リプレース型機械式駐車装置に更新し、駐車車両の乗り込み面22における床部に、昇降ガイドレール10A〜10Dの位置によって生じた既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部28を備えた横移動式特殊ターンテーブル25を設置したことを特徴とする。
【0071】
このような機械駐車装置リプレース方法によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部2A,2Bを用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなリプレース型機械式駐車装置に更新することができる。従って、コストが下がるために客先の設備更新計画が進みやすくなる。しかも、各昇降ガイドレール10A〜10Dの位置によって生じたセンターのずれを横移動式特殊ターンテーブル25側で補正することができるので、昇降ガイドレール10A,10Bまたは横移動式特殊ターンテーブル25をそれぞれ望ましい位置に設置しても、上述したずれを容易に補正することができる。
【0072】
また本発明は上述の機械駐車装置リプレース方法に加えて、既存の垂直循環式機械駐車装置で主要構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置に駆動部受部2A,2Bの上方部に、新設架台5を搭載し、新設架台5の上部に新設駆動部8を取り付けた後に、新設架台5に、各昇降ガイドレール10A〜10Dと吊柱11A,11Bの上方部をそれぞれ固定したことを特徴とする。
【0073】
このような機械駐車装置リプレース方法によれば、駆動部受部2A,2Bの上方部に配置した新たな新設架台5を追加しているため、新設架台5によって新設駆動部8の位置をより上方にして、駆動部受部2A,2Bと新設駆動部8間に位置するスペースも駐車車両の格納スペースとして利用することができるようになる。
【0074】
また本発明のリプレース型機械駐車装置は、既存の垂直循環式機械駐車装置で前記主要構成要素を吊り下げていた既存の駆動部受部と同じ位置の駆動部受部2A,2Bで、昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの荷重を受けるように吊り構造とし、昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの長手方向に、複数段の格納スペースをそれぞれ形成するように複数段の横行レール14A〜14Nを固定し、駐車車両の乗り込み面における床部に、昇降ガイドレール10A〜10Dの位置によって生じた既存の垂直循環式機械駐車装置における昇降方向の中心との間のずれを補正する方向に横移動可能なターンテーブル部28を備えた横移動式特殊ターンテーブル25を設置したことを特徴とする。
【0075】
このような構成によれば、既存の駆動部受部と同じ位置に配置した駆動部受部2A,2Bを用いているため、従来の垂直循環式機械駐車装置を大掛かりの構造変更を行うことなく、しかも現在では調達できないような入手困難な部品によって再現しようとすることなく、比較的容易に新たなリプレース型機械駐車装置に更新することができる。従って、製作技術の継続性が確保されるために品質的に安全なものとなる。それに加えて、現地工事期間が短くなるために、客先の代替駐車場の費用を安く抑えられる。しかも、各昇降ガイドレール10A〜10Dの位置によって生じた昇降方向の中心のずれを横移動式特殊ターンテーブル25側で補正することができるので、昇降ガイドレール10A,10Bまたは横移動式特殊ターンテーブル25をそれぞれ望ましい位置に設置しても、上述したずれを容易に補正することができる。
【0076】
また本発明は上述の構成に加えて、駆動部受部2A,2Bの上部に新設架台5を搭載し、この新設架台5に各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの上方向端部を固定して、駆動部受部2A,2Bで、各昇降ガイドレール10A〜10Dおよび吊柱11A,11Bの荷重を受けるように吊り構造としたことを特徴とする。
【0077】
このような構成によれば、駆動部受部2A,2Bの上方部に配置した新たな新設架台5を追加しているため、新設架台5によって新設駆動部8の位置をより上方にして、駆動部受部2A,2Bと新設駆動部8間に位置するスペースも駐車車両の格納スペースとして利用することができるようになる。
【0078】
また本発明は上述の構成に加えて、吊柱11A,11Bは各昇降ガイドレール10A〜10Dの一方側の側方にのみ配置し、吊柱11A,11Bの長手昇降方向に所定間隔で複数段の横行レール14A〜14Nを固定し、各横行レール14A〜14Nに沿って横方向に移動可能なフォーク状横行台車19A〜19Nをそれぞれ配置し、各昇降ガイドレール10A〜10D間に昇降方向を案内され、かつ、フォーク状横行台車19A〜19Nとの間で搭載した状態の駐車車両を受け渡しする昇降リフト12を配置したことを特徴とする。
【0079】
このような構成によれば、駐車車両のために使用されることになるフォーク状横行台車19A〜19Nは昇降ガイドレール10A,10Bの片側のみで昇降方向に複数段形成されるだけであるが、駐車場建屋の幅方向寸法を抑えて、比較的容易に新たなエレベーター式機械駐車装置としてのリプレース型機械駐車装置を得ることができる。しかも、このような吊柱11A,11Bを各昇降ガイドレール10A〜10Dの一方側の側方にのみ配置した片側構成では、各昇降ガイドレール10A〜10Dの偏寄した位置によってセンターのずれが確実に生じるが、横移動式特殊ターンテーブル25側で容易にずれを補正することができる。
【符号の説明】
【0080】
2A,2B 駆動部受部
5 新設架台
10A〜10D 昇降ガイドレール
11A,11B 吊柱
12 昇降リフト
14A〜14N 横行レール
19A〜19N フォーク状横行台車
25 横移動式特殊ターンテーブル
28 ターンテーブル部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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