(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、少なくとも1つの1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール単位を含有するポリエステルを製造する方法に関する。
【0015】
この方法は、反応器にモノマーを導入するステップを含む。反応器に導入されるモノマーは、二塩基酸又はジエステルである少なくとも1種のモノマー(A)と、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールである少なくとも1種のモノマー(B)とを含む。
【0016】
本発明によると、用語「二塩基酸又はジエステル」は、ジカルボン酸又はカルボン酸ジエステルを意味する。
【0017】
好ましい一実施形態によると、モノマー(A)は、二塩基酸又は二塩基酸の混合物である。フタル酸又はマレイン酸等の特定の二塩基酸は無水物の形態であってもよい。
【0018】
二塩基酸は、芳香族二塩基酸、脂肪族二塩基酸又はこれらの二塩基酸の混合物であってよい。
【0019】
二塩基酸は芳香族であるのが好ましい。二塩基酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、フランジカルボン酸、及びこれらの二塩基酸の混合物から選択されてよい。芳香族酸はテレフタル酸であるのが好ましい。モノマー(A)は、脂肪族二塩基酸又はこれらの二塩基酸の混合物であってもよい。脂肪族二塩基酸は、飽和脂肪族二塩基酸又は不飽和脂肪族二塩基酸であってよい。
【0020】
飽和脂肪族二塩基酸は、鎖状、分岐又は環式でもよい。鎖状の飽和脂肪族二塩基酸に関して、その二塩基酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、並びにそれらの混合物から選択されてよい。鎖状の飽和脂肪族二塩基酸は、コハク酸、アジピン酸及びそれらの混合物から選択されるのが好ましく、最も優先的にはコハク酸である。飽和の環式脂肪族二塩基酸としては、1,4−シクロヘキサン二酸を挙げることができる。
【0021】
モノマー(A)はまた、フマル酸、若しくはマレイン酸、若しくはイタコン酸、又はこれらの二塩基酸の混合物等の不飽和の脂肪族二塩基酸であってもよい。
【0022】
モノマー(A)がジエステル(又はジエステルの混合物)である場合に関して、ジエス
テルは、メチルジエステル及び/又はエチルジエステルであるのが好ましい。ジエステルは、前述の二塩基酸のジエステルから選択されてもよい。ジエステルは、芳香族二塩基酸のジエステルであるのが好ましく、好ましくはテレフタル酸のジエステル、イソフタル酸のジエステル、フタル酸のジエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸のジエステル、1,4−ナフタレンジカルボン酸のジエステル、フランジカルボン酸のジエステル、又はこれらのジエステルの混合物であり、最も優先的にはテレフタル酸ジエステルである。
【0023】
本発明によると、二塩基酸及びジエステルの混合物もモノマー(A)として使用してよい。
【0024】
モノマー(B)は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールである。前述のように、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、それらの製造に従来使用されるモノマー及び製造方法を用いる場合、ポリエステルの着色を引き起こす欠点を有する。1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド、又はそれらの混合物であってよく、イソソルビドが好ましい。イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドは、それぞれソルビトールの脱水、マンニトールの脱水及びイジトールの脱水により取得できる。イソソルビドに関して、イソソルビドは、商品名Polysorb(登録商標)Pの下で本出願人により販売されている。
【0025】
反応器に導入されるモノマーはまた、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール以外のジオール(C)を含むのが好ましい。
【0026】
ジオール(C)は、
・脂肪族ジオール、特に鎖状脂肪族ジオール(C1)、脂環式ジオール(C2)、分岐の脂肪族ジオール(C3)、若しくは
・芳香族ジオール(C4)、又は
・これらのジオールの混合物
であってよい。
【0027】
ジオール(C1)は、有利には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、又はこれらのジオールの混合物、優先的にはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及びこれらのジオールの混合物、きわめて優先的にはエチレングリコールから選択される。
【0028】
ジオール(C2)は、シクロブタンジオール、例えばテトラメチルシクロブタンジオール、ビス−ヒドロキシメチルトリシクロデカン又はシクロヘキサンジメタノール、特に1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール若しくは1,3−シクロヘキサンジメタノール又はこれらのジオールの混合物若しくはこれらのジオールの異性体であってよい。具体的には、これらのジオールは、シス配置でもトランス配置でもよい。同一モノマーに対して様々な異性体が存在する場合、特に明記されない限り、このモノマーを指す場合、それは、このモノマーの異性体又は異性体の混合物であってよい。
【0029】
ジオール(C3)は、その一部として、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール又はこれらのジオールの混合物であってよい。
【0030】
ジオール(C)は、有利には脂肪族ジオールから選択され、優先的にはエチレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール及びこれらのジオールの混合物から選択され、きわめて優先的にはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びこれらのジオールの混合物から選択され、最も好ましくはエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びこれらのジオールの混合物から選択される。
【0031】
ジオール(C)が反応器に導入される有利な第一変形形態によると、モノマー(A)は、テレフタル酸であり、モノマー(B)は、イソソルビドであり、かつモノマー(C)は、エチレングリコールである。
【0032】
ジオール(C)が反応器に導入される有利な第二変形形態によると、モノマー(A)は、テレフタル酸であり、モノマー(B)は、イソソルビドであり、かつジオール(C)は、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの混合物である。
【0033】
有利には、モノマー(A)、(B)及び適切な場合には(C)の総モル数に対するモノマー(A)のモル百分率は、25%〜50%、好ましくは33%〜49%、最も優先的には40%〜48%の範囲である。
【0034】
モノマー(C)を反応器中に導入する場合、モノマー(B)及び(C)の総モル数に対する(B)のモル百分率は、1%〜50%、好ましくは2%〜30%、最も優先的には5%〜20%の範囲であるのが好ましい。
【0035】
モノマー(B)及び(C)は水溶液の形態で反応器中に導入されてもよい。
【0036】
モノマー(A)、(B)及び適切な場合には(C)以外のモノマーは、「追加のモノマー」として知られているが、同様に添加されてよい。
【0037】
追加のモノマーは、ヒドロキシド官能基及びカルボン酸官能基を伴うヒドロキシ酸モノマーであってよい。例としては、ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ吉草酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシメチルフランカルボン酸若しくはヒドロキシ安息香酸、又はこれらのヒドロキシ酸の混合物であってよい。使用できる追加のモノマーとしては、グリコリド又はラクチド等のジラクトンを挙げることができる。
【0038】
ヒドロキシ酸モノマーの量は、モノマーの総合計に対して10mol%未満であるのが好ましい。反応器中に導入されるモノマーは、ヒドロキシ酸モノマーを含まなくてもよい。
【0039】
追加のモノマーは鎖伸長モノマーを含んでもよく、鎖伸長モノマー自体は、一般的には、重合ステップ中に製造されるポリエステルの形成前又は形成中に、あるいは重合ステップ中に形成されるポリエステルを鎖伸長モノマーと反応させることを含む「後重合ステップ」として知られる第二ステップの前に、反応器中に導入される。この後重合ステップは、特に、重合ステップ後に回収されるポリエステルと鎖伸長モノマーとを反応押出するステップであってよい。
【0040】
用語「鎖伸長モノマー」は、ヒドロキシル官能基、カルボン酸官能基及びカルボン酸エステル官能基以外の2つの官能基を含み、これらの同一官能基と反応性があるモノマーを意味する。官能基は、イソシアナート、イソシアヌラート、ラクタム、ラクトン、カルボ
ナート、エポキシ、オキサゾリン及びイミド官能基であってよく、前記官能基は、同一又は異なっていることが可能である。本発明に使用してよい鎖伸長モノマーとして、
− ジイソシアナート、好ましくはメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(H12MDI)、トルエンジイソシアナート(TDI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)又はリシンジイソシアナート(LDI)、脂肪二酸二量体(DDI(登録商標)1410 Diisocyanate)から得られるモル質量600g/molを有する脂肪族ジイソシアナート、
− ジイソシアナート二量体、三量体及び四量体、
− 遊離のジイソシアナートが検出される可能性がなく、プレポリマーがその末端のそれぞれでイソシアナート官能基を含有する(α,ω−官能性ポリマー又はテレケリックポリマー)ような条件下で、ジオール又はアミンとジイソシアナートとの反応から得られる「イソシアナート無含有」と称されるプレポリマー、
− ジアルキルカルボナート、具体的にはジアンヒドロヘキシトールジアルキルカルボナート、特にイソソルビドジアルキルカルボナート、
− ジカルバモイルカプロラクタム、好ましくは1,1’−カルボニル−ビス−カプロラクタム、ジカルバモイルカプロラクトン、
− ジエポキシド、
− エポキシド官能基及びハライド官能基を含む化合物、好ましくはエピクロロヒドリン、
− 複素環式化合物、好ましくはビス−オキサゾリン、ビス−オキサゾリン−5−オン類及びビス−アザラクトン、
− メチレン系又はエチレン系ジエステル誘導体、好ましくはメチル又はエチルカルボナート誘導体、
− 上述の生成物のうちの少なくとも任意の2種のいずれかの混合物
を挙げることができる。
【0041】
鎖伸長モノマーの量は、導入されるモノマーの総合計に対して10mol%未満であるのが好ましい。反応器中に導入されるモノマーは、鎖伸長モノマーを含まなくてもよい。
【0042】
追加のモノマーは多官能性モノマーであってもよい。用語「多官能性モノマー」は、ヒドロキシド及び/又はカルボン酸及び/又はカルボン酸エステル官能基と反応性があり、かつそれらの官能価が2より大きいモノマーを意味する。多官能性モノマーは、重合ステップの前又は前述の後重合ステップの前に(多官能性モノマーは次に鎖伸長モノマーを置換する)、優先的には重合ステップの前に反応器中に導入されてもよい。これらの分岐化剤の反応性官能基は、ヒドロキシド、カルボン酸、無水物、イソシアナート、イソシアヌラート、カプロラクタム、カプロラクトン、カルボナート、エポキシ、オキサゾリン及びイミド官能基であってよく、前記官能基は同一又は異なっていることが可能であり、好ましくはカルボン酸、ヒドロキシド、エポキシド又はイソシアナート官能基、最も優先的にはカルボン酸又はヒドロキシド官能基である。これらの分岐化剤の官能価は、3〜6、好ましくは3〜4であってよい。従来使用される分岐化剤のうち、リンゴ酸、クエン酸若しくはイソクエン酸、酒石酸、トリメシン酸、トリカルバリル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸一無水物又はピロメリト酸二無水物、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノアンヒドロマンニトール、エポキシ化オイル、ジヒドロキシステアリン酸、トリメチロールプロパン、これらのポリオールのエステル、例えば、グリセリルプロポキシラート(Dow Chemicalにより名称Voranol450の下で販売されている)、エポキシド側鎖官能基を伴うポリマー、トリイソシアナート、テトライソシアナート、及びさらには存在するジ−イソシアナート、トリ−イソシアナート及びテトライソシアナートのそれぞれのホモポリマー、多無水物、及びアルコキシシラン、好ましくはテトラ
エトキシシランを挙げることができる。
【0043】
多官能性モノマーの量は、モノマーの総合計に対して10mol%未満であるのが好ましい。反応器中に導入されるモノマーは、多官能性モノマーを含まなくてもよい。
【0044】
有利には、反応器中に導入されるモノマーの総量に対して、追加のモノマーのモル量は20%未満、優先的には10%未満、又はさらに5%未満である。反応器中に導入されるモノマーは、追加のモノマーを含まなくてもよい。
【0045】
本発明による方法はまた、反応器中に
・元素ゲルマニウムを含む触媒及び元素アルミニウムを含む触媒、若しくは
・元素ゲルマニウム及びアルミニウムを含む触媒、又は
・これらの触媒の混合物
のいずれかを含む触媒系を導入するステップを含む。
【0046】
第一変形形態によると、元素ゲルマニウムを含む触媒に関して、その触媒は以下の化合物から選択されてよい:ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、アクリル酸塩、メタクリル酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩等のハロゲン化カルボン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩等のヒドロキシ炭酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、硫酸水素塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クロリド、塩素酸塩、ブロマイド、臭素酸塩等の無機酸塩、1−プロパンスルホナート、1−ペンタンスルホナート、ナフタレンスルホナート等のオルガノスルホナート、ラウリルスルファート等の有機スルファート、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等のアルコキシド、アセチルアセトン酸、オキシド、他の金属又はヒドロキシドを含む複合酸化物、好ましくは二酸化ゲルマニウム。
【0047】
元素アルミニウムを含む触媒は、以下の化合物から選択されてよい:ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、アクリル酸塩、メタクリル酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩等のハロゲン化カルボン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩等のヒドロキシ炭酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、硫酸水素塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クロリド、塩素酸塩、ブロマイド、臭素酸塩等の無機塩、1−プロパンスルホナート、1−ペンタンスルホナート、ナフタレンスルホナート等のオルガノスルホナート、ラウリルスルファート等の有機スルファート、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等のアルコキシド、アセチルアセトン酸、オキシド、他の金属又はヒドロキシドを含む複合酸化物、好ましくはアルミニウムトリエトキシド。
【0048】
第二変形形態によると、触媒系は、元素ゲルマニウム及びアルミニウムを含む触媒を含み、例えば、アルミニウムとゲルマニウムとの複合酸化物を含む。
【0049】
第三変形形態によると、触媒系は、2つの前述の変形形態に記載の触媒の混合物を含む。
【0050】
触媒系は、元素モル比Ge:Alが0.05:1〜500:1、有利には0.2〜300:1、好ましくは0.33:1〜1.25:1の範囲であるように選択されてよい。この元素比率は、触媒系に含まれる金属のみを考慮することを指摘する。
【0051】
第一及び第三変形形態によると、触媒は、元素モル比Ge:Alが前述の通りであるよ
うな量で選択され、かつ存在してもよい。
【0052】
第二変形形態によると、元素ゲルマニウム及びアルミニウムを含む触媒は、元素モル比Ge:Alが前述の通りであるように選択される。
【0054】
本発明の有利な一実施形態によると、触媒系は元素コバルトを含み、すなわち、
・触媒系は、元素コバルトを含む追加の触媒も含むか、又は
・元素ゲルマニウム及び/又は元素アルミニウムを含む触媒の少なくとも1つが元素コバルトも含む。
【0055】
元素コバルトを含む触媒系を使用することにより、特に改良された彩度b
*を有するポリエステル組成物の取得が可能となる。
【0056】
元素コバルトを含む追加の触媒の例としては、以下の化合物を挙げることができる:ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、アクリル酸塩、メタクリル酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩等のハロゲン化カルボン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩等のヒドロキシ炭酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、硫酸水素塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クロリド、塩素酸塩、ブロマイド、臭素酸塩等の無機酸塩、1−プロパンスルホナート、1−ペンタンスルホナート、ナフタレンスルホナート等のオルガノスルホナート、ラウリルスルファート等の有機スルファート、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等のアルコキシド、アセチルアセトン酸、オキシド、他の金属又はヒドロキシドを含む複合酸化物、好ましくは酢酸コバルト。
【0057】
元素ゲルマニウム及び/又は元素アルミニウムを含む触媒の少なくとも1種が元素コバルトも含む場合、この触媒は、アルミニウム、ゲルマニウム及びコバルトの複合酸化物、アルミニウムとコバルトとの複合酸化物、又はゲルマニウムとコバルトとの複合酸化物であってよい。
【0058】
触媒の簡便性及び入手性の理由から、元素ゲルマニウムを含む触媒及び元素アルミニウムを含む触媒を含む触媒系の触媒系を使用するのが好ましい。有利には、反応器中に導入される触媒系に含まれる金属の総質量は、得られるポリマーの総質量に対して50〜500ppmの範囲である。
【0059】
触媒系は、重合ステップの前又は重合ステップ中に反応器中に導入されてよく、優先的には重合ステップの前に反応器中に導入される。触媒系は、異なる導入段階を介して導入されてもよく、例えば種々の触媒を異なる時間に導入してもよい。触媒系が種々の触媒を含む場合、触媒は同時に反応器中に導入されるのが好ましく、最も優先的には同時に重合ステップの前に導入される。触媒は、未変性体で使用されても、溶液、特に水溶液又はアルコール溶液の形態で使用されてもよく、エチレングリコール等のモノマーの溶液の形態で、溶液中に触媒を希釈又は分散させて使用されるのが好ましい。
【0060】
本発明による方法はまた、モノマーを重合してポリエステルを形成するステップも含む。有利には、この重合ステップは、溶融法により、すなわち反応器中に反応媒体を無溶媒下で溶融状態に保つことにより行われる。この重合ステップは熱熱を供給することにより実施されてもよい。この重合ステップは減圧下で実施されてもよい。
【0061】
モノマー重合ステップは、
・反応媒体が、オリゴマーを形成するために220〜310℃、有利には245〜275℃の範囲の温度で撹拌される、第一段階と、
・形成されたオリゴマーが、ポリエステルを形成するために減圧下で240〜330℃、有利には255〜275℃の範囲の温度で撹拌される、第二段階と
を含むのが好ましい。
【0062】
ポリエステル合成に従来使用される任意の型の撹拌器で反応媒体を撹拌してよい。重合ステップ中に撹拌速度を一定に保ってもよく、又はポリエステルの粘度の増大に応じて反応中に撹拌速度を徐々に減速してもよい。
【0063】
大気圧又は圧力下で、一般的に1.1〜10バールの範囲の圧力で第一段階を実施してもよい。
【0064】
第一段階中に形成されるオリゴマーは、一般的に5000g/mol未満、通常4000g/mol未満の数平均モル質量を有する。このオリゴマーは、一般的に20mL/g未満の粘度指数を有する。
【0065】
反応器から抽出される留出液の量の変化を監視することにより、この第一段階の監視を行ってよい。
【0066】
重合ステップの第二段階に関して、この重合ステップは、減圧下、好ましくは10mバール未満、最も優先的には1mバール未満の圧力で行われる。
【0067】
撹拌器で測定したトルクの量の変化を監視することにより、又は溶融した反応媒体の粘度を評価する任意の他の装置により、重合反応の監視を行ってもよい。
【0068】
有利には、前述の触媒を含む触媒系は、重合ステップの第一段階の前に反応器中に導入される。
【0069】
方法は、モノマー重合ステップの前に、特に第一段階のオリゴマーの形成前に、有利には窒素等の不活性ガスの雰囲気下に反応器を置くことにより実施される、反応器を脱酸素化するステップを含むのが好ましい。この脱酸素化ステップは、一般的に低温度で、すなわち通常100℃未満の温度で実施される。これは、例えば反応器内での100〜700mバールの減圧段階と、その後に反応器中に例えば1.2〜2バールで不活性ガスを導入する段階との順序を少なくとも1回実施することにより行われてよい。この減圧不活性ガスの導入サイクルは、例えば3〜5回にわたって行われてよい。好ましくは、この減圧−窒素サイクルは、試薬、特にモノマー(B)が完全に溶融されるように、60〜80℃の温度で実施される。この脱酸素化ステップは、方法の終了時に得られるポリエステルの着色性をさらに改善する利点を有する。
【0070】
特にオリゴマーを重合する第二段階中に反応器を減圧下に置く場合、モノマーの僅かな部分が反応器から抽出されることがあり、従って失われ得ることに留意されたい。これは、具体的には、最も揮発し易くまた過剰であるモノマーのごく一部である。このモノマーの損失により、触媒が僅かに損失するエントレインメントがもたらされることもある。
【0071】
さらに、「重合添加剤」が重合ステップの前に反応器中に導入されてもよい。
【0072】
重合添加剤のうち、得られるポリエステルの着色をさらに低減することを可能にする酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は、一次酸化防止剤及び/又は二次酸化防止剤であっ
てよい。一次酸化防止剤は、化合物Hostanox(登録商標)03、Hostanox(登録商標)010、Hostanox(登録商標)016、Ultranox(登録商標)210、Ultranox(登録商標)276、Dovernox(登録商標)10、Dovernox(登録商標)76、Dovernox(登録商標)3114、Irganox(登録商標)1010若しくはIrganox(登録商標)1076等の立体障害性フェノール、又はIrgamod(登録商標)195等のホスホナートであってよい。二次酸化防止剤は、Ultranox(登録商標)626、Doverphos(登録商標)S−9228、Hostanox(登録商標)P−EPQ又はIrgafos 168等の3価のリン化合物であってよい。
【0073】
酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド又はテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の見せかけのエーテル化反応を制限できる化合物の少なくとも1種を重合添加剤として反応器中に導入することも可能である。
【0074】
本発明による方法はまた、ポリエステル及び触媒系を含むポリエステル組成物を回収するステップも含む。この組成物は、反応器から溶融ポリマーロッドの形態でポリエステル組成物を抽出することにより回収されてよい。冷却後、従来の顆粒化技術を用いて、このロッドを顆粒に変換できる。
【0075】
重縮合ステップの終了時に得られたポリエステルは、冷却後、半晶質又は非結晶であり得る。
【0076】
本発明による方法はまた、ポリエステル組成物の回収ステップの後、固相重縮合(SSP)ステップを含み得る。当業者であれば、半晶質ポリエステルで開始するこのSSPステップを容易に実施できる。
【0077】
本発明の主題はまた、本発明の方法により取得できるポリエステル組成物であり、このポリエステルは、少なくとも1つの1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール単位を含有し、組成物はまた、元素ゲルマニウムを含む触媒及び元素アルミニウムを含む触媒、若しくは元素ゲルマニウム及びアルミニウムを含む触媒、又はこれらの触媒の混合物のいずれかを含む触媒系も含む。
【0078】
ポリエステル組成物に含まれる触媒系は、本発明による方法に関して前述の触媒系と全く同一である。従って、本発明によるポリエステル組成物において、触媒系に含まれる金属は、0.05:1〜500:1、有利には0.2〜300:1、好ましくは0.33:1〜1.25:1の範囲である元素モル比Ge:Alを有してもよい。
【0079】
ポリエステル組成物中の触媒の量も同様であるが、前述の触媒のエントレインメントによる損失の可能性があるため、反応器中に導入される触媒の量よりも僅かに少ないことがある。しかしながら、これらの損失は比較的小さいと考えることができる。ポリエステル組成物の触媒系に含まれる金属の総質量は、ポリエステルの総質量に対して一般的に30〜500ppmの範囲である。
【0080】
ポリエステルに含まれる触媒中の金属の量は、元素分析により求めることができる。
【0081】
本発明によると、用語「モノマー単位」は、モノマーの重合後に取得できるポリエステルに含まれる単位を意味する。例として、PETに含まれるエチレングリコール及びテレフタル酸単位に関して、それらは、エチレングリコールとテレフタル酸とのエステル化反応、又はエチレングリコールとテレフタル酸エステルとのトランスエステル化反応のいずれかにより取得できる。
【0082】
本発明による組成物に含まれるポリエステルは、ポリエステルのジオール単位(B)と適切な場合には(C)との総重量に対して0.1%〜100%、有利には1%〜50%、好ましくは2%〜30%、最も優先的には5%〜20%の1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール単位(100%は方法において全くモノマー(C)を全く使用しない場合である)を含んでよい。
【0083】
最も好ましい第一変形形態によると、組成物に含まれるポリエステルは、モノマー単位の合計に対して、
・45%〜55%のテレフタル酸単位;
・1%〜25%のイソソルビド;
・20%〜54%のエチレングリコール
を含む。
【0084】
最も好ましい第二変形形態によると、組成物に含まれるポリエステルは、モノマー単位の合計に対して、
・45%〜55%のテレフタル酸単位;
・1%〜25%のイソソルビド単位;
・1%〜53%のエチレングリコール単位;
・1%〜53%の1,4−シクロヘキサンジメタノール単位
を含む。
【0085】
二塩基酸単位の数及びジオール単位の数は、一般的には実質的に同一である。ポリエステルに含まれるジオール単位/二塩基酸単位の比は、1.15/1〜0.85/1、通常1.08/1〜0.92/1の範囲であってよい。
【0086】
ポリエステル中の様々な単位の量は、
1H NMRにより求めることができる。
【0087】
当業者であれば、各ポリエステル単位の量を求める分析条件を容易に見出すことができる。例えば、ポリ(エチレン−コ−イソソルビドテレフタラート)のNMRスペクトルから、エチレングリコールに関する化学シフトは4.4〜5.0ppmであり、テレフタラート環に関する化学シフトは7.8〜8.4ppmであり、及びイソソルビドに関する化学シフトは4.1ppm〜5.8ppmである。各シグナルを積分することにより、各ポリエステル単位の量を求めることが可能となる。
【0088】
好ましくは、ポリエステル組成物は、45より大きい、好ましくは55より大きい明度L
*を有する。
【0089】
固相重縮合ステップが実施される場合、明度L
*は、65に達するか、又はさらには65を超える。
【0090】
ポリエステル組成物が−10〜10、好ましくは−6〜6の彩度b
*を有するのが好ましい。このパラメーターにより、青(b
*が負である場合)から黄(b
*が正である場合)の範囲の彩度の定量が可能となる。
【0091】
パラメーターL
*及びb
*は、CIE Labモデルにより、分光計を用いて求めることができる。
【0092】
ポリエステル組成物は、35mL/g超、好ましくは50mL/g超の相対粘度を有し得る。粘度指数は、実施例のセクションに記載する方法により求めることができる。
【0093】
本発明によるポリエステル組成物中に含まれるポリエステルの数平均モル質量は、5000〜50000g/molの範囲であってよい。
【0094】
ポリエステルのモル質量は、従来の方法により、例えば体積比98/2のクロロホルムと1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールとの混合液中でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により求めることができる。次に、シグナルは、ポリ(メチルメタクリラート)標準で校正した示差屈折計により検出できる。
【0095】
ポリエステルのガラス転移温度は、80℃以上であるのが好ましい。ポリエステルのガラス転移温度は、従来の方法により、特に昇温速度10K/分を用いる示差走査熱量計(DSC)を使用して測定できる。実験プロトコールは、以下の実施例のセクションで詳細に説明されている。有利には、ポリエステルが80〜190℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0096】
本発明はまた、本発明によるポリエステル、少なくとも1種の添加剤若しくは少なくとも1種の追加のポリマー又は少なくとも1種のそれらの混合物を含む組成物にも関する。
【0097】
本発明によるポリエステル組成物は、方法において任意選択的に使用される重合添加剤を含んでもよい。このポリエステル組成物はまた、続いての熱機械的混合ステップ中に一般的に添加される他の添加剤及び/又は追加のポリマーを含んでもよい。
【0098】
記載できる添加剤の例としては、有機若しくは無機の、ナノメートルの若しくはナノメートルでない、機能性若しくは非機能性の充填材又は繊維が挙げられる。それらは、シリカ、ゼオライト、ガラス繊維又はビーズ、粘土、雲母、チタネート、シリケート、グラファイト、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ、木質繊維、カーボン繊維、ポリマー繊維、タンパク質、セルロース系繊維、リグノセルロース繊維及び未分解の顆粒デンプンを挙げることができる。これらの充填材又は繊維により、硬さ、剛さ、又は透水性若しくはガス透過性を改善することが可能となる。この組成物は、組成物の総重量に対して0.1%〜75重量%、例えば0.5%〜50%の充填材及び/又は繊維を含んでもよい。本発明による組成物に使用される添加剤はまた、乳白剤、染料及び顔料を含んでもよい。それらは、酢酸コバルト及び以下の化合物から選択されてよい:HS−325 Sandoplast(登録商標)Red BB(アゾ官能基を有する化合物であり、名称Solvent Red 195でも知られている)、アントラキノンであるHS−510 Sandoplast(登録商標)Blue 2B、Polysynthren(登録商標)Blue R、及びClariant(登録商標)RSB Violet。
【0099】
組成物はまた、加工工具での圧力を低減するための加工助剤を添加剤として含んでもよい。金型又はカレンダーロール等のポリエステルを形成するための器具との接着性を低減する離型剤も使用してもよい。これらの添加剤は、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミド、金属塩、石けん、パラフィン及び炭化水素系蝋から選択されてよい。これらの添加剤の具体的な例は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアラミド、エルクアミド、ベヘンアミド、蜜蝋又はカンデリラ蝋である。
【0100】
本発明による組成物はまた、安定剤、例えば光安定剤、UV安定剤及び熱安定剤、流動化剤、難燃剤並びに帯電防止剤等の他の添加剤を含んでもよい。
【0101】
組成物はまた、本発明によるポリエステル以外の追加のポリマーを含んでもよい。このポリマーは、ポリアミド、本発明によるポリエステル以外のポリエステル、ポリスチレン、スチレンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニ
トリル−ブタジエンコポリマー、ポリ(メチルメタクリラート)、アクリル系コポリマー、ポリ(エーテル−イミド)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルファート)等のポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(エステル−カルボナート)、ポリカルボナート、ポリスルホン、ポリスルホンエーテル、ポリエーテルケトン、及びこれらのポリマーの混合物から選択されてよい。
【0102】
組成物はまた、ポリマーの衝撃特性を改善するポリマー、特に官能化エチレン又は官能化プロピレンポリマー及びコポリマー等の官能性ポリオレフィン、コアシェル型コポリマー又はブロックコポリマーを追加のポリマーとして含んでもよい。
【0103】
本発明による組成物はまた、デンプン、セルロース、キトサン、アルギナート等の天然由来のポリマー、グルテン、エンドウタンパク、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン又はリグニンなどのタンパク質を含んでもよく、これらの天然由来のポリマーは、多分物理的又は化学的に変性されていることがある。デンプンは、分解された形態又は可塑化された形態で使用されてもよい。後者の場合、可塑剤は、水又はポリオール、特にグリセロール、ポリグリセロール、イソソルビド、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール又は尿素であってよい。国際公開第2010/010282A1号パンフレットに記載される方法は、特に組成物を調製するのに使用できる。
【0104】
本発明による組成物は、従来の熱可塑性変形法により生成されてよい。これらの従来の方法は、ポリマーを溶融状態又は軟化した状態で混合する少なくとも1つのステップと、組成物を回収するステップとを含む。この方法は、パドルミキサー若しくは密閉式ロータミキサー、開放ミキサー、あるいは単軸押出機又は2軸同方向回転押出機若しくは2軸異方向回転押出機で実施されてよい。しかしながら、押出成形により、特に同方向回転押出機を用いてこの混合物を調製するのが好ましい。
【0105】
組成物の構成成分の混合は、不活性雰囲気下で行われてよい。
【0106】
押出機の場合、組成物の様々な構成成分は、押出機に沿って位置する供給ホッパ―により導入されてよい。
【0107】
本発明はまた、本発明によるポリエステル又は組成物を含む物品にも関する。
【0108】
この物品は、いかなるタイプの物品でもよく、従来の変形技術を用いて取得できる。
【0109】
この物品は、例えば、織物産業又は他の産業に使用される繊維又は糸であってよい。これらの繊維又は糸は、布帛を形成するために織成されてよく、又は他に不織布であってよい。
【0110】
本発明による物品はまた、フィルム又はシートであってよい。これらのフィルム又はシートは、カレンダー加工、フィルムキャスト押出成形又はインフレーション押出成形技術により生産されてよい。
【0111】
本発明による物品はまた、気体、液体及び/又は固体輸送用容器であってよい。関係する容器は、哺乳瓶、フラスコ、ボトル、例えば炭酸水又は炭酸無含有の水用ボトル、ジュース用ボトル、ソーダ用ボトル、耐酸瓶、アルコール飲料用ボトル、小型瓶、例えば小型の薬瓶、化粧品用の小瓶、皿、例えば調理済み食品用の皿、電子レンジ用の皿、又は蓋であってよい。これらの容器は、いかなるサイズであってもよい。それらは、押出−ブロー成形、熱成形又は射出−ブロー成形により生産できる。
【0112】
これらの物品はまた、光学物品、すなわちレンズ、ディスク、透明若しくは半透明パネル、光学繊維、LCDスクリーン用のフィルム又は窓ガラス等の良好な光学特性を必要とする物品であってもよい。これらの光学物品は、優れた寸法安定性及び光に対する良好な耐性を保持しながら、光源、従って熱源に近接して配置できる利点を有する。
【0113】
物品は、多層物品であってよく、それらの少なくとも1層が、本発明によるポリマー又は組成物を含む。これらの物品は、様々な層の材料が溶融状態で接触して配置されている場合、共押出成形ステップを含む方法により生産されてもよい。例として、チューブ共押出成形、異形材共押出成形、一般的に用語「中空体の共押出ブロー成形」で照合される、ボトル、小瓶又はタンクの共押出ブロー成形、フィルムインフレーションとしても既知である共押出成形ブロー成形、及び流延共押出成形の技術を挙げることができる。
【0114】
物品は、有機ポリマー、金属又は固体状の粘着性組成物をベースとする層上に溶融ポリエステル層を塗布するステップを含む方法により生産されてもよい。このステップは、加圧により、オーバーモールド、層化若しくはラミネーション、押出成形−ラミネーション、コーティング、押出成形−コーティング又は延展により実施できる。
【0115】
本発明はまた、少なくとも1つの1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール単位を含有するポリエステルの着色を低減するための、重合プロセスにおける前述の触媒系の使用にも関する。
【0116】
前述の全ての実施形態は、本発明による方法及びポリエステル組成物に関するが、本発明による使用に適用できることが指摘される。
【0117】
ここで、本発明が以下の実施例において例証される。これらの実施例は、決して本発明を限定するものでないことが指摘される。
【実施例】
【0118】
以下の技法によりポリマーの特性を調べた。
【0119】
ポリマーを130℃で撹拌しながら溶解した後、ウベローデ(Ubbelohde)毛細管式粘度計を用いて、25℃でフェノールとオルト−ジクロロベンゼンとの当量混合物中で溶液粘度の低下を評価する。これらの測定のため、導入するポリマーの濃度は5g/Lである。
【0120】
コニカミノルタCM−2300d分光光度計を用いて、顆粒でポリマーの色を測定した。
【0121】
以下の試薬を下に示す例示的実施例に使用した。
【0122】
モノマー
モノマー(A):Acros製のテレフタル酸(純度99+%)
モノマー(B):Roquette Freres製のイソソルビド(純度>99.5%)Polysorb(登録商標)P
モノマー(C):Sigma−Aldrich製のエチレングリコール(純度>99.8%)
【0123】
触媒
Sigma−Aldrich製のチタンブトキシド(>97%)
Sigma−Aldrich製の二酸化ゲルマニウム(>99.99%)
Sigma−Aldrich製のアルミニウムトリチオキシド(>97%)
ABCR GmbH製のn−ブチルスズヒドロキシドオキシド(95%)
Sigma−Aldrich製のモリブデントリオキシド(>99.5%)
Sigma−Aldrich製の酢酸コバルト四水和物(99.999%)
【0124】
重合添加剤
BASF SE製のIrgamod(登録商標)195:酸化防止剤
BASF SE製のIrgamod1010:酸化防止剤
Clariant製のHostanox PEPQ:酸化防止剤
Sigma−Aldrich製のリン酸(99.999+%):酸化防止剤
酢酸ナトリウム三水和物(純度>99.0%):エーテル化反応を制限するための重合添加剤
40%水溶液としてSigma−Aldrich製のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド:エーテル化反応を制限するための重合添加剤
【0125】
ポリエステルの調製:
実施例1:
893.8g(14.4mol)のエチレングリコール、701.1g(4.8mol)のイソソルビド、2656.1g(16.0mol)のテレフタル酸、0.181gの酢酸ナトリウム及び0.707gのIrgamod195を7.5Lの反応器中に入れる。0.394gの二酸化ゲルマニウム(すなわち、Ge=80ppm)と1.216gのアルミニウムトリエトキシド(すなわち、Al=60ppm)とを触媒として導入する。
【0126】
イソソルビド結晶から残留酸素を抽出するために、4回の減圧−窒素サイクルを60〜80℃で実施する。次に、反応混合物を5.7バールの圧力下で常時撹拌(150rpm)しながら260℃(4℃/分)まで加熱する。回収した留出液の量からエステル化度を推定する。その後、圧力を90分かけて0.7mバールまで低下させ、温度を270℃まで上昇させる。初期のトルクに対して15Nmのトルクの増加を得るまで、これらの減圧及び温度条件を維持した。必要な重縮合時間を下表に報告する。最後に、ポリマーロッドを反応器の下部弁により流延し、熱制御した水浴中で冷却し、約15mgの顆粒状に細断する。
【0127】
このように取得したポリ(エチレン−コ−イソソルビド)テレフタラート樹脂は、低下した溶液粘度55.8mL/g、及び数平均モル質量10300g/mol
−1を有する。得られたポリマー顆粒は淡黄色であり、以下の色彩的特性を有する:L
*=56.7、a
*=0.0及びb
*=9.4。
【0128】
実施例2〜6及び比較例1〜7:
一連の実施例2〜13に対して、触媒の性質及び割合を除いて、同一の合成条件を用いた。これらの条件を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
実施例7:
422.1g(6.8mol)のエチレングリコール、418.2g(2.9mol)のイソソルビド、1143.6g(7.9mol)の1,4−シクロヘキサンジメタノール、2656.0g(16.0mol)のテレフタル酸、0.60gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド及び1.94gのIrganox1010を7.5Lの反応器に入れる。また、0.703gの二酸化ゲルマニウム(すなわち、Ge=126ppm)と0.538gの酢酸コバルト四水和物(33ppm)とを触媒として導入する。
【0131】
イソソルビド結晶から残留酸素を抽出するために、4回の減圧−窒素サイクルを60〜80℃で実施する。次に、反応混合物を2.5バールの圧力下で常時撹拌(150rpm)しながら250℃(4℃/分)まで加熱する。回収した留出液の量からエステル化度を推定する。次に圧力を大気圧まで30分かけて低下させる。大気圧で、0.71gのアルミニウムトリエトキシド(すなわち、Al=30ppm)、0.42gのリン酸及び1.95gのHostanox PEPQを反応器に加える。次に、圧力を0.7mバールまで30分かけて低下させ、温度を265℃まで上昇させる。初期のトルクに対して12Nmのトルクの増加が得られるまで、これらの減圧及び温度条件を220分維持した。最後に、ポリマーロッドを反応器の下部弁により流延し、熱制御した水浴中で冷却し、約15mgの顆粒状に細断する。
【0132】
このようにして得た樹脂は、低下した溶液粘度61.5mL/gを有する。得られたポリマー顆粒は灰色であり、以下の色彩的特性を有する:L
*=48.8、a
*=−0.4及びb
*=0.3。
【0133】
実施例から、ゲルマニウムに加えてアルミニウムを使用することにより、最終的なポリマーの着色(定数η
redに対して)を大幅に低減することが可能となることがわかる。
試験CEx1をEx1と比較すると、Ex1は、パラメーターL
*が増大しかつパラメーターa
*及びb
*が低減したことが観察されるため、これは注目すべきことである。Geの触媒含有量が高い200ppm(Cex2、Ex3、Ex4)を用いてなされた同じ観察、又はGe及びAlに加えてCoを有する(Ex6及びCEx3)を用いてなされた同じ観察は、着色に関して同様の観察をもたらす。
【0134】
試験CEx5、Cex6及びCex7から、他の金属混合物に対するGe/Al混合物の利点がわかる。
− 混合物Ge/Mo(CEx.5)は、国際公開第2004/048437号パンフレットに使用される別の触媒系であるが、黒色のポリマーをもたらす。
− 実施例CEx6において、チタンにアルミニウムを加えることは、Ge/Al対に匹敵する触媒作用をもたらさず、重合はかなり長くなり、最終的なポリマーはかなり濃く着色される。8ppmのTiは、PETの合成用に使用される通常の量であることが指摘される。
− 最後に、試験CEx7から、アルミニウムと組み合わせたスズの使用は、この場合にも、弱い着色を伴うポリマーをもたらさない。
【0135】
実施例7は、本発明を実施する別の方法を示し、この場合、エチレングリコール、イソソルビド及びシクロヘキサンジメタノールを含むジオールの混合物を使用する。