(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688808
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ヒートシンクを有するLED照明モジュールとLEDモジュールの交換方法
(51)【国際特許分類】
F21V 29/503 20150101AFI20200421BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20200421BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20200421BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20200421BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200421BHJP
【FI】
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/83
F21S45/47
F21Y115:10
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-551058(P2017-551058)
(86)(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公表番号】特表2018-513529(P2018-513529A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】EP2016057018
(87)【国際公開番号】WO2016156463
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】15161967.3
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】メルテンス,ユルゲン ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】マルチェウカ,アストリット
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス,ラルフ フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】スピンゲル,ベンノ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンニンゲル,ゲオルク
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/083122(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3121916(JP,U)
【文献】
特表2012−530341(JP,A)
【文献】
特表2007−528588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 29/83
F21S 45/57
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンク部と、
前記ヒートシンク部のLED取り付け面に取り付けられたLED装置とを有し、
前記ヒートシンク部は、少なくとも第1部分と第2部分とを有するマルチパートヒートシンクの前記第1部分を構成するように設計され、
前記ヒートシンク部は、第2のヒートシンク部の対応する受け開口に受けられる外側表面を有するように設計され、
前記ヒートシンク部は、電気的に絶縁され、熱的に伝導性の周辺部内に組み込まれた導電性キャリアを含む、
LEDモジュール。
【請求項2】
前記電気的に絶縁され熱的に伝導性の周辺部はプラスチックを含む、
請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記導電性キャリアは、少なくとも二つの電気的に分離された部分を有し、前記LED装置は前記導電性キャリアの各部分に電気的に接続されたアノードとカソードとを有する、
請求項1または2に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記LED装置は、前記少なくとも二つの電気的に分離された部分の間の接合上に取り付けられる、
請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記導電性キャリアの少なくとも二つの電気的に分離された部分の一方または両方に電気的に接続された電気的コネクタを有する、
請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
前記ヒートシンク部は、底部と、前記LED取り付け面が確成される頂部とを有し、前記ヒートシンク部は底部から頂部へ先細りになっている、
請求項1または2に記載のLEDモジュール。
【請求項7】
車載照明モジュールを有する、
請求項1または2に記載のLEDモジュール。
【請求項8】
請求項1または2に記載のLEDモジュールと、
前記ヒートシンク部が第1部分を構成するマルチパートヒートシンクの第2のヒートシンク部とを有する、
LEDシステム。
【請求項9】
前記第2のヒートシンク部の開口は先細りのチャネルを有する、
請求項8に記載のLEDシステム。
【請求項10】
前記LEDモジュールのヒートシンク部と前記第2のヒートシンク部とは、前記ヒートシンク部が前記開口に受けられたとき、互いに物理的に接触する、又はエアギャップだけ離れている、
請求項8に記載のLEDシステム。
【請求項11】
光学コンポーネントをさらに有し、
前記LEDモジュールは第1の接続手段を有し、前記光学コンポーネントは第2の接続手段を有し、前記第1と第2の接続手段は共に接続されるように構成されている、
請求項8に記載のLEDシステム。
【請求項12】
前記LEDモジュールと前記第2のヒートシンク部とはそれぞれ一組のフィンとエアフローチャネルとを有し、前記LEDモジュールのヒートシンク部が前記第2のヒートシンク部の開口に受け入れられたとき、前記LEDモジュールの、及び前記第2のヒートシンク部の、フィンとエアフローチャネルとはアライメントされる、
請求項8に記載のLEDシステム。
【請求項13】
請求項8に記載のLEDシステムを有し、
前記LEDモジュールは交換可能である、
照明器具。
【請求項14】
請求項8に記載のLEDシステムのLEDモジュールを交換する方法であって、
前記ヒートシンク部を有するLEDモジュールを、前記第2のヒートシンク部の受け入れ開口から分離することと、
新しいLEDモジュールのヒートシンク部を、前記第2のヒートシンク部の受け入れ開口に挿入することとを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクを含むLEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのLED照明アプリケーションはLEDから放熱するヒートシンクを要する。LEDモジュールの長いサービス寿命を保証するため、発生する熱を取り除くことが重要である。
【0003】
LEDをヒートシンクと組み合わせるほとんどのアプリケーションでは、LEDモジュールはヒートシンクに取り付けられ、またはプリント基板(PCB)に取り付けられ、そのプリント基板自体がヒートシンクに取り付けられている。LEDモジュールまたはLED PCBは、界面で直接接触する中間材料(intermediate materials)を通してヒートシンクに接続される。例えば、LEDからヒートシンクへの熱伝導を容易にするために、はんだ材料や熱伝導材料が界面をつなぎ、エアギャップを防ぐ。発生する熱は、この界面を通してヒートシンクに導かれ、例えばヒートシンクのフィンにより環境に伝えられる。
【0004】
LED、特にハイパワーLEDの寿命は限られている。それゆえ、LEDの交換が必要となる場合がある。ヒートシンクに直接取り付けられたLEDモジュールの場合、これはヒートシンクの交換となる。PCBに取り付けられたLEDの場合、例えば、LED PCBをヒートシンクから取り外し、LED PCBを一つのコンポーネントとして交換することとなる。LEDとそのPCBは一つのユニットであると見なされ得る。
【0005】
この動作は簡単ではないという問題が生じる。特に、熱伝導材料を交換する必要がある。これはゲル材料(gel material)を含み得る。LEDの交換は素人が行うべきではなく、専門家が行う必要がある。LEDが熱伝導材料でよごれると、LEDの信頼性と光出力に悪い影響が生じる。LEDをヒートシンクと一緒に交換することの代替案は、顧客にとってコスト的に受け入れられない。
【0006】
それゆえ、ヒートシンクを交換せずに容易に交換できるLEDモジュールが必要である。かかる必要性の一部は、例えば特許文献1−6に記載の先行技術で解決されている。例えば、ヒートシンクにモジュラーコンセプトを導入することにより、すなわちマルチパートヒートシンクの第1パートにLEDを取り付け、その第1パートがマルチパートヒートシンクの残りのパートと取り外し可能に取り付けられるようにすることにより、解決されている。しかし、かかるマルチパートヒートシンクの制約にはまだ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2012048351A1
【特許文献2】JP2011181418A
【特許文献3】WO2014083122A1
【特許文献4】US20120293652A1
【特許文献5】WO2010044011A1
【特許文献6】US20110019409A1
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様による例では、LEDモジュールが提供され、該LEDモジュールは、
ヒートシンク部と、
前記ヒートシンク部のLED取り付け面に取り付けられたLED装置とを有し、
前記ヒートシンク部は、少なくとも第1部分と第2部分とを有するマルチパートヒートシンクの前記第1部分を構成し、
前記ヒートシンク部は、前記第2のヒートシンク部の対応する受け開口に受けられる外側表面を有し、
前記ヒートシンク部は、電気的に絶縁され、熱的に伝導性の周辺部内に組み込まれた導電性キャリアを含む。
【0009】
LEDモジュールは、LED装置とヒートシンクの一部との組み合わせを含む。ヒートシンク部は、例えば、LED装置の動作に必要な冷却を提供するには十分ではない。ヒートシンク部は、全体的な冷却性能を提供するため、さらに別のヒートシンク部と結合される必要がある。
【0010】
LED装置を交換するためには、そのモジュールを一つのユニットとして交換する。これにより、LED装置をヒートシンク部から分離する必要が無くなる。LED装置とヒートシンク部との間の結合は、例えば、熱伝導材料(thermal interface material)を含んでもよい。そうではなく、ユーザは単に、2つのヒートシンク部の間の機械的結合を切断する。これは例えば、単純な押し込み式結合であってもよく、任意的にロック用ねじを含んでいてもよい。
【0011】
好ましくは、2つのヒートシンク部の間には何も材料を設ける必要はなく、2つのヒートシンク部の間には表面的接触(surface contact)、またはエアギャップがあってもよい。熱伝導材料は必要ない。
【0012】
ヒートシンク部は主ヒートシンク(第2部分)への界面としてのみ機能するので、比較的低コストである。導電性に十分なだけ、少し金属を含有していてもよい。熱伝導機能の設計は、ヒートシンクの残りの部分に熱を伝えるのに十分であるだけでよい。
【0013】
ヒートシンク部は、電気的に絶縁され、熱的に伝導性の周辺部内に組み込まれた導電性キャリアを含む。周辺部は、ヒートシンク部から第2のヒートシンク部への熱伝導を容易にする。導電性キャリアを用いて電気信号をLED装置に伝えてもよい。
【0014】
電気的に絶縁性であり、熱的に導電性である周辺部は、プラスチックを含んでもよく、これが導電性キャリアの周りにモールドされ得る。
【0015】
導電性キャリアは、少なくとも二つの電気的に分離された部分を有してもよく、LED装置は導電性キャリアの各部分に電気的に接続されたアノードとカソードとを有してもよい。LED装置は、例えば、導電性キャリア部分の間の接合部の上に取り付けられてもよく、一方の側でアノード接続(または複数の接続)し、他方の側でカソード接続(または複数の接続)してもよい。
【0016】
LED装置に電気信号を伝えるため、電気的コネクタが設けられ、導電性キャリアの電気的に分離された部分の一方または両方に電気的に接続されてもよい。このコネクタはLED装置に外部接続を提供する。一方の端子がグラウンドされている場合、他方の電気的接続のみがあってもよく、電気的に分離された部分の両方に電気的接続があってもよい。
【0017】
ヒートシンク部は、底部と、LED取り付け面が確成される頂部とを有してもよく、ヒートシンク部は底部から頂部へかけて先細りになっていてもよい。これにより、ヒートシンク部が第2のヒートシンク部にアライメントされ、簡単に押し込み式(push fit)を実現できる。テーパーはセルフアライメント手段として機能する。
【0018】
LEDモジュールは、フロントライトモジュールなどの車載ライトモジュールを含んでもよい。車載ライトを定期的に交換する必要があり、このモジュールにより顧客はもっと容易に交換を実行できるようになる。
【0019】
本発明はLEDシステムも提供する。該LEDシステムは、
上記のLEDモジュールと、
第2のヒートシンク部とを有し、第2のヒートシンク部はLEDモジュールのヒートシンク部を受け入れる開口を有する。
【0020】
このLEDシステムは、例えば、車載照明器具などの照明器具の一部であってもよい。
【0021】
第2のヒートシンク部の開口は先細りのチャネル(tapered channel)を含み得る。これは、LEDモジュールの先細りのヒートシンク部に対応し、セルフアライメント押し込み式結合を実現する。
【0022】
好ましくは、LEDモジュールのヒートシンク部と第2のヒートシンク部とは、ヒートシンク部が開口に受け入れられたとき、互いに物理的に接触する、又はエアギャップだけ離れている。すなわち、ユーザは、モジュールを交換するとき、熱伝導材料やその他の充填材料を使う必要がない。
【0023】
LED装置からの光出力のビーム成形をする光学コンポーネントが設けられてもよい。これは、Lambertian LED出力を、例えば自動車のフロントライトの所望のビーム形状に変換するのに用いられてもよい。
【0024】
LEDモジュールは第1の接続手段を有してもよく、光学コンポーネントは第2の接続手段を有してもよく、第1と第2の接続手段は共に接続されるように構成され、第2のヒートシンク部がその間にクランプされてもよい。
【0025】
すなわち、接続手段はLED装置と光学コンポーネントとの間の直接結合を確定し、光学的機能が最適化されるようにされ、第2のヒートシンク部に関する製造公差が無視できる。LED装置と光学コンポーネントとの相対的な位置関係に影響しないからである。
【0026】
LEDモジュールと第2のヒートシンク部はそれぞれ一組のフィンとエアフローチャネルとを含み、モジュールのヒートシンク部が第2のヒートシンク部の開口に受け入れられたとき、LEDモジュールの、及び第2のヒートシンク部のフィンとエアフローチャネルとはアライメントされる。これら二つの部分は、一緒に機能するヒートシンクフィンとチャネルとを確定するように協働する。
【0027】
本発明は、上記のLEDシステムを有する照明器具であって、LEDモジュールは、第2のヒートシンク部の開口から取り外し、新しいLEDモジュールをその開口に挿入することにより交換可能である照明器具も提供する。これにより、ユーザの交換動作が簡単になる。第2のヒートシンク部の開口は、ヒートシンクの背部(光を出力する前面と反対側)にあってもよいが、開口は側部(すなわち光を出力前面と垂直な側)にあってもよい。実際、開口は前面の光出力面に対していかなる角度であってもよい。
【0028】
本発明は、上記のLEDシステムのLEDモジュールを交換する方法も提供する。該方法は、
前記ヒートシンク部を有するLEDモジュールを、前記第2のヒートシンク部の受け入れ開口から分離することと、
新しいLEDモジュールのヒートシンク部を、前記第2のヒートシンク部の受け入れ開口に挿入することとを含む。
【0029】
この方法は、LEDをヒートシンク部から分離する必要がなく、ユーザにとって実装しやすいが、第1のヒートシンク部は完全なヒートシンクではなく単なる界面部分なので、無駄が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付した図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【
図1】LEDモジュールの第1のビューを示す図である。
【
図2】LEDモジュールの第2のビューを示す図である。
【
図3】
図1と
図2のLEDモジュールと共に第2のヒートシンクとビーム形成コンポーネントを含むLEDシステムの斜視ビューを示す図である。
【
図4】
図3のシステムの他のビューを示す図である。
【
図5】
図3のシステムの他のビューを切り取り形式で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、部分的ヒートシンクとLED装置とを組み合わせるLEDモジュールを提供する。部分的ヒートシンクは、少なくとも第1と第2のパートを有するマルチパートヒートシンクの第1の部分である。部分的ヒートシンクは、それだけでは、LED装置を動作させるのに必要な冷却を提供できず、そのため小型かつ安価であり得る。ユーザはモジュールを一つのユニットとして簡単に交換でき、完全なヒートシンクを捨てる大きな浪費やコストを無くすことができる。
【0032】
図1はLEDモジュール1を示し、これはヒートシンク部10と、ヒートシンク部10のLED取り付け面14に取り付けられたLED装置とを含む。ヒートシンク部10は、LED装置12に必要な放熱機能の一部のみを行う。
【0033】
LED装置12は、一つ以上のLEDを有し、それらは取り付け面14上のヒートシンク部10の上に取り付けられる。
【0034】
図2は、
図1のLEDモジュール1をカットアウェイビュー(cut away view)で示す。この図は、ヒートシンク部10が3次元形状を形成するシート金属キャリア16を有することを示す。この3次元形状は、図示した例では、基本的にピラミッド形状である。このピラミッドは、大きな底部18を有し、形状が頂部の取り付け面14へ向けて細くなっており(taper)、頂部はキャリア16の平坦領域20により確成される。このように全体的な形状は、平坦な頂部を有する、頭を切られたピラミッドである。
【0035】
その他の形状、例えば円錐形、円柱形、球形なども同じく可能である。しかし、細くなる構造(tapered structure)が特に興味深いのは、接続が単純になりセルフアライメント(self−alignment)するからである。頂部エリアは底部18より小さく、底部に垂直投影されると底部内にある。
【0036】
他の導電性材料をキャリア16として用いてもよい。
【0037】
キャリアは少なくとも二つの電気的に絶縁されたセクションとして形成され、LED装置12と接続する二つの電気的端子を確定し得る。2つのセクション間の接合を22として示した。LED装置12は、接合部22の上に取り付けられ、一方の側でアノード接続し、他方の側でカソード接続してもよい。
【0038】
LED装置12は、一つ以上のベアダイ(bare dies)として取り付け面14上に取り付けてもよく、あるいはLED PCB上に取り付けて、それを取り付け面14に取り付けてもよい。この取り付けには熱伝導材料を利用してもよい。
【0039】
金属コアPCBを使う場合、PCBと取り付け面との間の機械的接続が、必要な電気的接続を提供してもよい。あるいは、PCBの頂面から取り付け面までワイヤボンド(wirebonds)を設けてもよい。
【0040】
ベアLEDダイを使う場合、その底部には電気接点があり、それが取り付け面の絶縁されたセクションに直接接続されてもよい。
【0041】
LEDは、代替的に、熱拡散器(heat spreader)として機能する金属マウントに取り付けられてもよい。LED及びその金属マウントと、キャリア16との間の接続は、明らかに、放熱金属マウントがキャリアの別の絶縁セクションとショートすることを避ける必要がある。
【0042】
LEDダイまたはLED PCBまたは金属マウント上のLEDを取り付け面に接続する様々な方法が当業者には知られるだろう。
【0043】
キャリア16は、熱伝導プラスチックなどのレイヤ構成の、または多層レイヤ構成の、電気的に絶縁された熱伝導材料周辺部(an electrically insulating heat transfer material surround)24により取り囲まれている。必要な熱伝導は、例えば、0.2W/mKないし50W/mKであってもよい。
【0044】
電気的に絶縁され熱的に伝導性を有する周辺部(surround)24は、導電性キャリア16上に薄い又は厚いコーティングなどの大きな電気的絶縁性を有する第1の材料によりできていてもよい。この電気的に絶縁された材料は、導電性キャリア16とともに、大きな熱伝導性を有する第2の材料に埋め込まれ得る。このように、周辺部の2つの機能、すなわち電気的絶縁と熱伝導とは、2つの別個の材料により実現される。
【0045】
任意的に、熱伝導材料(または多層レイヤ構造)は、さらに別の熱伝導材料により取り囲まれてもよい。この熱伝導材料は金属レイヤのように導電性を有してもよい。これを用いて、第2のヒートシンク部(後で説明する)に対するモジュール1の熱的結合を改善してもよい。別の熱伝導レイヤが電気的シールド機能を果たしてもよい。さらに別の熱伝導材料が、例えば、モジュールの表面にのみ設けられ、熱を第2のヒートシンク部に伝えてもよい。
【0046】
言うまでもなく、周辺部24は、単一レイヤでも、(熱的要件と電気的要件とを分離した)一対のレイヤでも、3層以上のレイヤでもよい。これらの可能性はすべて本発明の範囲内にある。
【0047】
熱伝導周辺部24は、例えば、底面に金属が無いように、キャリア16をカバーする。材料レイヤまたは複数のレイヤは、好ましくはキャリアの周りにモールドされている。
【0048】
電気信号をLED装置に送るため、キャリア16の複数セクションとの電気的に接触する電気的コネクタ26が設けられる。コネクタ26の導電部は、キャリア16とそのモールドされたカバー24がコネクタ26を確成するよう、キャリア16の一部であってもよい。あるいは、コネクタは別のコンポーネントであって、配線その他の接触によりキャリア16のセクションに電気的に接続されてもよい。コネクタ26は、LED装置12に取り外し可能な外部の電気的接続を提供する。
【0049】
図示されたコネクタ16は、モジュール1の外殻内に配置され、ヒートシンク部10内に引っ込んでいるコネクタ26を確成するようになっている。これにより空間的な節約を改善できる。
【0050】
ヒートシンク部10の底部18は、放熱フィン28を有し、図示した例には、ヒートシンク部10を通って延在する空気流チャネル30もある。これらは、シート金属キャリア16中の穴を通り、またはモジュール1の全側面(complete sides)はシート金属キャリア16無しで作られていてもよい。
【0051】
図3は、上記のLEDモジュール1と第2のヒートシンク部40とを有するLEDシステムを示す。第2のヒートシンク部40は、LEDモジュール1のヒートシンク部10を受ける開口42を有する。これは、モジュール1が受けられる負電極(negative)として機能する。
【0052】
第2のヒートシンク部40はフィンとチャネルとを有する。2つのヒートシンク部10と40のフィンとチャネルは、協働して、チムニー高価によりLEDから放熱する換気システムを構成する。
【0053】
開口42は、LEDモジュール1のヒートシンク部10の形状と対応する形状を有する先細りのチャネルを含む。モジュール1は開口42に押し込み型になっており、先細り(taper)はセルフアライメント機能を為す。
【0054】
開口42は第2のヒートシンク部40を通って延在し、モジュール1が挿入された時、取り付け面14が露出し、LED装置12が光出力を提供する。ビーム形成光学コンポーネント44は、LED装置12からの光出力をビーム成形するために用いられる。これは、Lambertian LED出力を、例えば自動車のフロントライトの所望のビーム形状に変換するのに用いられてもよい。
【0055】
第2のヒートシンク部40にモジュール1を固定するため、モジュール1はガイドロッドの形状の接続部(connection features)46を有し、光学コンポーネント44はスレッドボア(threaded bores)の形状の対応する第2の接続部48を有する。第1と第2の接続部は、スレッドボアと係合するガイドロッドにねじを挿入することにより、共に接続される。これらは相対的な位置調整を可能とし、又はパーツを一つの固定された位置的関係にクランプし得る。モジュール1と光学コンポーネント44は、間に挟まれた第2のヒートシンク部40と共にクランプされる。
【0056】
替わりにスナップ式接続を用いて、ねじ止めその他の接続パーツの必要性を回避してもよい。
【0057】
すなわち、接続はLED装置12と光学コンポーネント44との間であり、光学的機能が最適化され、第2のヒートシンク40から生じる製造公差を無視できる。
【0058】
モジュール1のヒートシンク部10は、主ヒートシンク(第2の部分40)への界面として機能する。それゆえ、低コストで作ることができる。
【0059】
モジュール1は、従来の電球と同様に、外側から照明システム全体に取り付け及び取り外しされる。
【0060】
図示していないが、モジュール1が挿入される位置に、取り外し可能な防水カバーを、システムの外側に取り付けてもよい。
【0061】
開口42の第2のヒートシンク部40の厚みは、モジュールの高さより小さくてもよく、LED装置12が第2のヒートシンク部40を越えて、光学コンポーネント44のキャビティ形成部に突き出ている。第2のヒートシンク部40は、光出力の一部を切り取ることはない。あるいは、第2のヒートシンク部40は、所望の光学機能全体の一部を実施するように設計されてもよい。
【0062】
モジュール1のヒートシンク部10は、開口42にはめ込まれてもよく、両者の間にエアギャップが確成(defined)されてもよい。エアギャップにより、例えば、接続部46、48をアライメントし、関与するすべてのパーツの位置及び製造の公差を補償する調整が可能となる。LEDモジュール1と第2のヒートシンク部40との間のエアギャップにより、熱的対流によりモジュール周りの空気の循環が可能となる。この加熱された空気を、例えば、照明システムの外側カバーを霜取りするように流し得る。
【0063】
図4は、
図3のシステムを前方から見たところを示し、光学コンポーネント44と第2の接続部48とをよりはっきりと示している。
【0064】
図5は、
図3のシステムをカットアウェイビュー(cut away view)で示し、モジュール1のヒートシンク部のフィン及びチャネルが、第2のヒートシンク部40のフィン及びチャネルとアライメントされて、それらが共に必要な熱的特性を有するヒートシンクを構成するかをはっきりと示している。
【0065】
ヒートシンク部10と光学装置44との間の接続装置の一例は上記した。LED装置12の隣の取り付け面14に組み込まれた穴やピンなどの代替的なアライメント手段を設け、これと光学系を係合させてもよい。
【0066】
モジュール1の内部には、LEDの光出力を制御する付加的駆動電子回路が含まれてもよく、またはすべての駆動電子回路がこのユニットとは別に設けられてもよい。
【0067】
上記の例は、平坦面上に取り付けられたLED装置12を有し、光は法線方向に(ヒートシンクの一般面、すなわち底部18の面に垂直に)放射される。LED装置12は、その替わりに、底部18の面からオフセットされた面上に取り付けられてもよい。例えば、歩道へのLED光放射は、LED装置12を底部に垂直に、例えば突き出しているフィン上に取り付けることにより実現してもよい。LED装置12は、任意の所定角度での光放射を可能とするように、所望の任意の角度で取り付けられてもよい。
【0068】
上記の例では、LEDは、モジュール1の頂部に、特に平坦な頂部に取り付けられていた。LEDは、その替わりとして、一つ以上の先細りの(tapered)側壁に取り付けられてもよい。このテーパー(taper)の目的は、取り付けを容易にするためである。LEDは、ヒートシンク部10が第2のヒートシンク部40に取り付けられたときに、要求通りLED光が出力され得る限り、どの位置にあってもよい。LEDは、ヒートシンク部10の複数の位置にあってもよく、例えば、頂部にあっても、先細りの(tapered)側面にあってもよい。
【0069】
LEDを保護するため、モールド1の頂部に保護カバーを設け、LED装置12がモジュール1の頂部に露出しないようにしてもよい。LED装置12は、その替わりに、樹脂などの保護カバー中に組み込まれてもよい。これは、LED装置12の前置光学系(pre−optics)として機能するように成形し得る。
【0070】
LED装置12の側部(side)は、LED装置12からのサイド放射を防ぐように、反射サイドコーティングによりカバーされていてもよい。あるいは、熱伝導材料24が、反射材料として機能するように、LEDの側部に形成されてもよい。LEDモジュール1の頂部のシート金属キャリア16は、熱伝導材料でほぼ完全に覆われていてもよい。
【0071】
LEDモジュール1を交換するために、(スナップ留めを開放して、又はねじ留めを外して)第2のヒートシンク部40の受け開口(receiving opening)42からモジュール1を分離し、新しいLEDモジュール1のヒートシンク部10を第2のヒートシンク部40の受け開口42に挿入して、新しいLEDモジュール1を設ける。この挿入をできるだけ容易にし、2つのパーツの方向が正しいことを保証するキーイング(keying)手段があってもよい。
【0072】
この方法は、LEDをヒートシンク部10から分離する必要がなく、ユーザにとって実装しやすいが、ヒートシンク部10は完全なヒートシンクではなく単なる界面部分なので、無駄が少ない。
【0073】
LEDモジュールは、フロントライトモジュールなどの車載ライトモジュールを含んでもよい。車載ライトを定期的に交換する必要があり、このモジュールにより顧客はもっと容易に交換を実行できるようになる。
【0074】
このモジュール1のサイズは、ユーザが容易に取り扱えるように選択される。そのサイズは、モジュールが担う光源の光量に依存する。そのサイズは、LEDが発生する熱の好適な熱管理をでき、この熱が主ヒートシンク部に伝えられるようなサイズである。これにより最小サイズが課される。LED装置が故障した時にはモジュール1が廃棄されるので、無駄にしないようにサイズは小さくしなければならない。
【0075】
例として、図示した正方形底部のピラミッド形状のモジュール1の場合、正方形底部は、比較的低出力LED装置12の場合、35mm×35mmでよく、比較的高出力LED装置12の場合、50mm×50mmでよい。よって、底部の面積は400mm2ないし4000mm2であってもよい。第2のヒートシンク部40は、より大きな底部面積を有し、例えば、モジュールの底部面積の少なくとも2倍であり、または少なくとも5倍であってもよい。
【0076】
請求項に記載した発明を実施する際、図面、本開示、及び添付した特許請求の範囲を研究して、開示した実施形態のその他のバリエーションを、当業者は理解して実施することができるであろう。請求項において、「有する(comprising)」という用語は他の要素やステップを排除するものではなく、「1つの(「a」又は「an」)」という表現は複数ある場合を排除するものではない。相異なる従属クレームに手段が記載されているからといって、その手段を組み合わせて有利に使用することができないということではない。請求項に含まれる参照符号は、その請求項の範囲を限定するものと解してはならない。