(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688809
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】単一フォトダイオードを用いる波長選択スイッチのための光チャンネルモニタ
(51)【国際特許分類】
H04B 10/07 20130101AFI20200421BHJP
G02F 1/31 20060101ALI20200421BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
H04B10/07
G02F1/31
H04J14/02
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-556662(P2017-556662)
(86)(22)【出願日】2016年4月29日
(65)【公表番号】特表2018-520537(P2018-520537A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】US2016029977
(87)【国際公開番号】WO2016176536
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】14/700,281
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510021199
【氏名又は名称】ニスティカ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェファーソン・エル・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード・スミス
【審査官】
佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−501106(JP,A)
【文献】
特表2010−534864(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/153451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00−10/90
G02F 1/31
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長選択スイッチ(WSS)を通って送られるWDM光信号の少なくとも1つの光波長成分を監視する方法であって、
(i)前記WSSの第1の入力ポートからの第1の光波長成分を選択された出力ポートに向け、(ii)前記第1の光波長成分に第1の選択された量の減衰を受けさせる、第1の複数の位相パターンの中からSLMによって作成されるべき第1の位相パターンを選択するステップであって、前記第1の位相パターンはさらに、前記第1の選択された量の減衰を生じさせる前記第1の光波長成分の第1の不採用部分を前記WSSの別の出力ポートと関連する光モニタに向けさせるように選択される、ステップと、
前記第1の位相パターンを用いて前記SLMの第1の部分を周期的にプログラムするステップと、
前記SLMの前記第1の部分が、前記第1の位相パターンを用いて周期的に構成される間に、前記第1の光波長成分を前記SLMの前記第1の部分に向けるステップと
を含み、
前記WDM光信号の光波長成分のすべてを前記光モニタから離れるように向ける別の位相パターンを用いて前記SLMの前記第1の部分を周期的にプログラムするステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
(i)前記WSSの前記第1の入力ポートからの少なくとも第2の光波長成分を第2の選択された出力ポートに向け、(ii)前記第2の光波長成分に第2の選択された量の減衰を受けさせる、第2の複数の位相パターンの中から前記SLMによって作成されるべき第2の位相パターンを選択するステップであって、前記第2の位相パターンはさらに、前記第2の選択された量の減衰を生じさせる前記第2の光波長成分の第2の不採用部分を前記光モニタから離れるように向けさせるように選択される、ステップと、
前記第2の位相パターンを用いて前記SLMの第2の部分を周期的にプログラムするステップと、
前記SLMの前記第2の部分が、前記第2の位相パターンを用いて構成され、前記SLMの前記第1の部分が、前記第1の位相パターンを用いて構成される間に、前記第2の光波長成分を前記SLMの前記第2の部分に向けるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の位相パターンの中から前記SLMによって作成されるべき第3の位相パターンを選択するステップであって、前記第3の位相パターンはさらに、前記第1の光波長成分の前記第1の不採用部分を前記光モニタから離れるように向けさせるように選択される、ステップと、
前記第3の位相パターンを用いて前記SLMの前記第1の部分を周期的にプログラムするステップと、
前記SLMの前記第1の部分が、前記第3の位相パターンを用いて周期的に構成される間に、前記第1の光波長成分を前記SLMの前記第1の部分に向けるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SLMの構成を前記第1の位相パターンと前記第3の位相パターンとの間で交互に入れ替えながら、前記第1の光波長成分を前記SLMの前記第1の部分に周期的に向けるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数の位相パターンの中から前記SLMによって作成されるべき前記第3の位相パターンを選択するステップであって、前記第3の位相パターンはさらに、前記第1の光波長成分の前記第1の不採用部分を前記光モニタから離れるように向けさせるように選択される、ステップと、
前記第3の位相パターンを用いて前記SLMの前記第1の部分を周期的にプログラムするステップと、
前記SLMの前記第1の部分が、前記第3の位相パターンを用いて周期的に構成される間に、前記第1の光波長成分を前記SLMの前記第1の部分に向けるステップと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の複数の位相パターンの中から前記SLMによって作成されるべき第4の位相パターンを選択するステップであって、前記第4の位相パターンはさらに、前記第2の選択された量の減衰を生じさせる前記第2の光波長成分の前記第2の不採用部分を前記光モニタに向けさせるように選択される、ステップと、
前記第4の位相パターンを用いて前記SLMの前記第2の部分を周期的にプログラムするステップと、
前記SLMが、前記第4の位相パターンを用いて周期的に構成される間に、前記第2の光波長成分を前記SLMの前記第2の部分に向けるステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第4の位相パターンを用いて構成される前記SLMの前記第2の部分に前記第2の光波長成分を周期的に向けるステップと交互に切り替わりながら、前記第1の位相パターンを用いて構成される前記SLMの前記第1の部分に前記第1の光波長成分を周期的に向けるステップであって、それによって前記第1の光波長成分を光学的に監視するステップと前記第2の光波長成分を光学的に監視するステップとの間で交互に切り替わる、ステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光モニタに向けられる前記第1の光波長成分の前記第1の不採用部分のパワーレベルを測定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の光波長成分の前記第1の不採用部分の前記測定されたパワーレベルに基づいて前記選択された出力ポートによって受け取られる前記第1の光波長成分のパワーレベルを決定するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パワーレベルを決定する前記ステップは、前記選択された出力ポートから受け取られる前記第1の光波長成分の前記パワーレベルと前記光モニタに向けられる前記第1の不採用部分の前記パワーレベルとの間の比例性を事前に校正するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも第2の光波長成分は、前記第1の光波長成分を除いて前記WDM光信号のすべての光波長成分を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
波長選択スイッチ(WSS)を通って送られるWDM光信号の少なくとも1つの光波長成分を監視する方法であって、
前記WSSの所与の入力ポートからの前記少なくとも1つの光波長成分を、選択された量の減衰を伴って、選択された出力ポートに向けるステップと、
前記選択された量の減衰を生じさせる前記少なくとも1つの光波長成分の不採用部分を前記WSSの別の出力ポートと関連する光モニタに向けるステップと、
前記少なくとも1つの光波長成分のパワーレベルと前記光モニタに向けられる前記不採用部分のパワーレベルとの間の比例性を事前に校正することによって前記少なくとも1つの光波長成分の前記パワーレベルを決定するステップと
を含み、
前記少なくとも1つの光波長成分を選択された出力ポートに向けるステップはさらに、前記少なくとも1つの光波長成分を空間光変調器(SLM)に向けるステップ、および前記少なくとも1つの光波長成分を前記選択された出力ポートに向けるために位相パターンを用いて前記SLMをプログラムするステップを含み、
前記不採用部分が、前記光モニタに向けられ、他のどこかに向けられないように、前記選択された量の減衰を生じさせる複数の位相パターンの中から前記位相パターンを選択するステップをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信の分野に関連し、より詳しくは、単一フォトダイオードを用いる波長選択スイッチのための光チャンネルモニタに関連する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムは典型的には、多くのスペクトル的に分離された独立光チャンネルを運ぶために光ファイバを使用するための技法である、波長分割多重方式(WDM)を用いる。波長領域では、光チャンネルは、高密度WDM(WDM)システムでは典型的に、25、50、100または200GHzだけ離れた個別チャンネル波長に中心がある。光チャンネルによって運ばれる情報内容は、典型的にはチャンネル間の間隔よりも狭い、有限の波長帯域にわたって広められる。
【0003】
光チャンネル監視は、遠隔通信キャリアおよび光ファイバシステムのマルチサービスオペレータによってますます使用されつつある。光ネットワーク上のトラフィックが、増加するにつれて、ネットワークの監視および管理が、ますます重要な問題になる。ネットワークを監視するためには、ネットワーク内の特定の点におけるコンポジット信号のスペクトル特性が、決定され、分析されなければならない。この情報は次いで、ネットワークの性能を最適化するために使用されることもある。光チャンネル監視は、再構成可能でかつ自己管理される光ファイバネットワークを使用する最新の光ネットワークにとって特に重要である。
【0004】
例えば、個々の波長チャンネルがネットワークに沿って伝送されるときにそれらを操作するために使用される、再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)および光クロスコネクトは、光チャンネルモニタを必要とする。ROADMは、ネットワークに沿って中間ノードにアドまたはドロップされるべき波長チャンネルの動的かつ再構成可能な選択を可能にする。ROADMでは、例えば、光チャンネルモニタは、アドされるチャンネルのパワーをパススルーチャンネルと等しくすることができるように、チャンネルパワー情報を可変光減衰器(VOA)制御電子機器に提供するために、入ってくるチャンネルのインベントリならびに出ていくチャンネルのインベントリを提供することができる。
【0005】
光チャンネルモニタの一種は、波長チャンネルごとに光スイッチングを行うように構成される一種のスイッチである波長選択スイッチ(WSS)を用い、典型的には入力ファイバにおける任意の波長チャンネルを任意の所望の出力ファイバに切り替える能力がある。それ故に、1×N WSSは、入力ファイバに沿って伝搬するWDM入力信号の任意の波長チャンネルをWSSに結合されるN出力ファイバのいずれかに切り替えることができる。
【0006】
米国出願番号[整理番号第2062/16号]は、WSSに組み込まれるOCMを示す。一連のフォトダイオードが提供され、その各々は、OCMの出力ポートの1つから光波長を受け取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国出願番号[整理番号第2062/16号]
【特許文献2】米国出願番号[整理番号第2062/17号]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、波長選択スイッチ(WSS)を通って送られるWDM光信号の少なくとも1つの光波長成分を監視する方法が、提供される。本方法によると、SLMによって作成されるべき第1の位相パターンは、第1の複数の位相パターンの中から選択される。第1の複数の位相パターン内の位相パターンの各々は、(i)WSSの第1の入力ポートからの第1の光波長成分を選択された出力ポートに向け、(ii)第1の波長成分に第1の選択された量の減衰を受けさせる。第1の位相パターンはさらに、第1の選択された量の減衰を生じさせるための第1の光波長成分の第1の不採用部分をWSSの別の出力ポートと関連する光モニタに向けさせるように選択される。SLMの第1の部分は、第1の位相パターンを用いて周期的にプログラムされる。第1の光波長成分は、SLMの第1の部分が、第1の位相パターンを用いて周期的に構成される間、SLMの第1の部分に向けられる。
【0009】
本発明の別の態様によると、光ポートアレイと、光検出器と、分散素子と、集束素子と、プログラム可能な光位相変調器と、プロセッサとを含む光学デバイスが、提供される。光ポートアレイは、光ビームを受け取るための少なくとも1つの光入力ポートおよび複数の光出力ポートを有する。光検出器は、光出力ポートの第1のものに光学的に結合される。分散素子は、光ビームを少なくとも1つの光入力ポートから受け取り、光ビームを複数の波長成分に空間的に分離する。集束素子は、複数の波長成分を集束する。プログラム可能な光位相変調器は、集束された複数の波長成分を受け取る。変調器は、波長成分を光出力ポートの選択された1つに進めるように構成される。光学デバイスはまた、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体も含み、この命令は、実行されると、第1の位相パターンを用いてプログラム可能な光位相変調器の第1の部分をプログラムするように構成されるようにプロセッサを制御する。第1の位相パターンは、(i)光入力ポートの第1のものからの複数の光波長成分の第1のものを選択された出力ポートに向け、(ii)第1の波長成分に第1の選択された量の減衰を受けさせる、第1の複数の位相パターンの中からプロセッサによって選択される。第1の位相パターンはさらに、第1の選択された量の減衰を生じさせる第1の光波長成分の第1の不採用部分を第1の光出力ポートに向けさせるように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】統合されたチャンネルモニタを含む波長選択スイッチ(WSS)の一例の機能ブロック図を示す図である。
【
図2】y軸方向にLCoSデバイスの領域を横断して作成されてもよい周期的階段状位相シフトプロファイルの例を示す図である。
【
図3】WSSを通ってその入力ポートと出力ポートとの間でWDM光信号の波長成分λ1、λ2、λ3およびλ4を送るために使用されてもよいシーケンスの一例を示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間スイッチなどの簡略化された光学デバイスの一例の上面図である。
【
図4B】本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間スイッチなどの簡略化された光学デバイスの一例の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間スイッチなどの簡略化された光学デバイスの代替例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、統合されたチャンネルモニタを含む波長選択スイッチ(WSS)100の一例の機能ブロック図を示す。図を簡潔にするために、WSS100は、N入力ポート110
1、110
2、110
3、・・・110
n(「110」)ならびに2つの出力ポート120および130を有する、N×2スイッチとして描写される。他の実施では、WSSは、3つ以上の出力ポートを有してもよい。
【0012】
スイッチングファブリック140は、入力ポート110のいずれかに受け取られるWDM光信号の個々の波長成分またはチャンネルが、スイッチコントローラ150の制御下で出力ポート120および130のいずれか1つに選択的に向けられてもよいように、入力ポート110を出力ポート120および130に光学的に結合するためにコントローラまたはプロセッサ150の制御下で動作する。
【0013】
図1にさらに示されるように、出力ポート130は、フォトダイオードなどの光検出器135内で終わる。以下で説明されるように、光検出器135は、入力ポート110のいずれかから出力ポート120に向けられる光ビームのパワーレベルおよびおそらくは他の信号品質パラメータを測定するための光チャンネルモニタとして使用されてもよい。もし2つ以上の出力ポートが、提供されるならば(出力ポート130に加えて、それは、OCMのために使用される)、光検出器135は、入力ポート110のいずれかから出力ポートのいずれかに向けられる光ビームのパワーレベルおよびおそらくは他の信号品質パラメータを測定するために使用されてもよい。
【0014】
スイッチングファブリック140は、光学経路変換システムとしての役割を果たすことができる空間光変調器(SLM)を組み込んでもよい。空間光変調器(SLM)は、光学素子(ピクセル)のアレイから成り、そこでは各ピクセルは、光強度を調整するまたは変調するために光学的「バルブ」として独立して働く。光信号は、信号内の個々のチャンネルが、光学素子のうちの複数の素子にわたって広げられるように、スペクトル軸または方向に沿ってアレイ上に分散される。各波長成分もしくはチャンネル、または波長成分もしくはチャンネルのグループは、それらの選択された光学素子に入射するチャンネルの部分が、リターン経路から離れるように向けられるように、選択された数の光学素子を作動させることによって選択的に弱められるまたは阻止されてもよい。
【0015】
WSSデバイスはしばしば、入力ポートと出力ポートとの間でルーティングを行うために液晶オンシリコン(LCoS)デバイスまたは微小電気機械(MEMS)ミラーアレイなどの空間光変調器に頼る。本明細書で述べられる主題への制限としてではなく、例示だけのために、空間光変調器としてLCoSデバイスを用いるWSSが、述べられることになる。
【0016】
LCoSデバイスは、透明電極を有する透明ガラス層と、個々にアドレス可能なピクセルの二次元アレイに分けられるシリコン基板との間に挟まれた液晶材料を含む。各ピクセルは、局所的位相変化を光信号に提供するために電圧信号によって個々に駆動可能であり、それによって位相操作領域の二次元アレイを提供する。個々のスペクトル成分の操作は、いったん光信号が、回折格子などの回折素子によって空間的に分離されたなら、可能である。スペクトル成分の空間分離は、LCoSデバイスの所定の領域上に向けられ、それは、所定の仕方で対応するピクセルを駆動することによって独立して操作することができる。
【0017】
LCoSデバイスなどのプログラム可能な光位相変調器は、プログラムで決定されるピクセルアレイ内の所与のピクセル場所に位相シフトを作成する。そのような変調器は、他の項目の中でも仮想レンズ、プリズムまたは傾斜ミラーを形成する、複数の方法で使用されてもよい。LCoSデバイスの制限された厚さおよび作動に起因して、任意の所与の場所において達成できる全位相シフトは、制限される。この制限は、レンズの表面パワーを平面内に押し込めることによってフレネルレンズを形成するために使用されるそれに似たセグメンテーション技法の適用によってLCoSデバイスにおいて回避することができる。具体的には、所望の全位相シフトは通常、関心のある波長において2πを法とする。結果として得られる位相はその時、常に2π未満である。残念ながら、このセグメンテーション技法は、セグメント化されないパターンが、作成しないということになる方向に光の散乱を導入する。この散乱光は、クロストークが、LCoS WSSにおいて必然的により高いということの1つの理由である。
【0018】
図2を見ると、y軸方向にLCoSデバイス21の領域を横断して作成されてもよい周期的階段状位相シフトプロファイル39の例が、示される。周期的階段状位相シフトプロファイル39は、累積位相プロファイル37を作成する。累積ステアリングプロファイル37は、所望の位相変化を提供するために所定の電圧を用いて各ピクセル19を駆動することによって作成される。電圧と位相との間には直接的関係があり、位相とステアリング角との間には直接的関係があるので、必要とされる電圧駆動信号を所望のステアリング角と関連付けるルックアップテーブルまたは類似のものが、生成されてもよい。位相の周期的性質は、必要とされる駆動電圧を低減するために利用される。従って、周期的階段状電圧信号は、周期的階段状位相シフトプロファイル39を作成することになり、それは次に、累積位相プロファイル37を作成し、その場合位相リセット41が、2πラジアンの倍数において起こる。入射波長成分に作用するとき、累積位相プロファイル37は、θに比例するまたは等しいステアリング角を作成する。それに応じて、周期的階段状位相シフトプロファイルの適切な調整によって、波長成分は、光ファイバの所望の1つに選択的に向けることができる。
【0019】
特定の入力ポートからの光ビーム(例えば、光波長成分)を特定の出力ポートに向けるとき、ビームは、例えば光ビームが、出力ポートと完全には重ならないように光ビームを向けることによって、所望程度の減衰を伴って弱められてもよい。所望の減衰は、光ビームの一部だけが、出力ポートに結合されるように、LCoSに適用される位相パターンの適切な調整によって達成することができる。
【0020】
光ビームに付与される所望量の減衰は、種々様々な異なる位相パターンを用いて達成されてもよい。ビームが入射するLCoSの部分への異なる位相パターンの適用は、不採用光(すなわち、選択された出力ポートに向けられない光ビームの部分)を異なる方向に向けさせることになる。
【0021】
図1を再び参照すると、実線160は、選択された入力ポート110nから選択された出力ポート120に所望量の光減衰を伴って向けられる光ビームを表す。同様に、実線162は、減衰を生じさせる不採用光を表す。
図1に示される点線は、他の入力ポート110から所望の出力ポート120にLCoSによって向けられる光から生じる望ましくないクロストークを表す。同じ所望量の減衰を伴って光ビームを向ける様々な位相パターンは、異なる量のクロストークを生じさせることもある。それに応じて、一般に、ポート分離を維持するためにこのクロストークを低減する位相パターンを選択することが、望ましいことになる。
【0022】
所望量の減衰を作成しながら、選択された対のポート間に光ビームを向けるために、LCoSまたは他のSLMによって作成されるべき適切な位相パターンを選択するとき、不採用光は、それをポートのいずれかから離れるように向けることによって単に失われるだけのこともある。これは、不採用光162によって
図1に示される。別法として、光ビームの不採用部分の少なくともいくらかを光検出器135を備える出力ポート130に向ける、LCoSによって作成されるべき位相パターンが、選択されてもよい。選択された対の入力ポートと出力ポートとの間に向けられる光ビームの残りの部分に対する光ビームの不採用部分の比は、特定のLCoS位相パターンについて同じであることになる。それ故に、光検出器135によって測定される光の量は、選択された出力ポートに送られる光の量に比例する。選択された出力ポートに送られる光の実際の量は、適切な校正によって決定されてもよく、それは、入力ビームの光パワーならびに選択されたLCoS位相パターンについて選択された出力ポートおよび光検出器の両方によって受け取られる光パワーを測定することによって成し遂げられてもよい。
【0023】
上記の校正プロセスを使用すると、所望量の減衰を伴って任意の選択された対のポート間に向けられる光の量(特定のLCoS位相パターンに対応する)は、光検出器135によって監視することができる。選択された程度の減衰を伴って入力ポートから出力ポートに向けられる各波長は、不採用光を光検出器135に向けながら、選択された程度の減衰を生じさせるLCoS位相パターンを選択することによってこの仕方で連続的に監視することができる。
【0024】
WSSを通って送られる個々の波長成分は、種々様々な異なる方法で光検出器135によって監視されてもよい。
図3は、
図1のWSS100に関連して使用されてもよいシーケンスの一例を示す。特に、
図3は、時間の関数として、WSSを通ってその入力ポートと出力ポートとの間に送られるWDM光信号の波長成分λ1、λ2、λ3およびλ4を示す。
【0025】
図3では、矢印で終わる水平線は各々、対応する波長成分が、選択された量の減衰を伴ってWSSを通って送られる期間を表す。実線は、対応する波長について不採用光が、単に失われるだけの期間を表す。すなわち、実線は、不採用光が、光検出器135に向けられていないので、対応する波長成分が、監視されてない期間を表す。他方では、点線は、不採用光が、光検出器135に向けられているので、対応する波長成分が、監視されている期間を表す。
【0026】
図3が示すように、異なる波長成分からの不採用光は、様々な波長成分が、周期的に監視されてもよいように、光検出器に連続的に送られる。また示されるように、この特定の実施では、所与の波長成分が監視されている時間量は、それが監視されていない時間量よりもはるかに少ない。このようにして、システムは、WSSを通って送られる波長成分のすべてをより良く監視することができる。もちろん、所与の波長成分を監視するのに費やされる時間および監視しないことに費やされる時間の比は、アプリケーションによって異なってもよい。その上、様々な実施では、波長成分が監視されている時間量は、波長成分によって異なってもよく、波長成分の1つまたは複数について経時変化してもよい。
【0027】
多くのアプリケーションについて、波長成分を同時に監視するために光検出器を備える複数のポートを割り当てることは、法外な費用がかかることもある。それ故に、本明細書で示されるデバイスの1つの利点は、単一光検出器を備える単一ポートが、複数の波長成分を監視するために使用されてもよいということである。
【0028】
例示的波長選択スイッチ
上で述べられた種類の光チャンネルモニタが、組み込まれてもよい、波長選択スイッチの一例が、
図4〜
図5を参照して述べられることになる。この光スイッチに関する追加の詳細は、これによって参照により全体として組み込まれる、「Wavelength Selective Switch Employing a LCoS Device and Having Reduced Crosstalk」と題する、同時係属の米国出願番号[整理番号第2062/17]において見いだされてもよい。
【0029】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間WSS100などの簡略化された光学デバイスの一例のそれぞれ上面図および側面図である。光は、入力ポートおよび出力ポートとしての役割を果たす光ファイバなどの光導波路を通じてWSS100に入力され、出力される。
図4Bに最も良く見られるように、ファイバコリメータアレイ101は、コリメータ102
1、102
2および102
3にそれぞれ結合される複数の個々のファイバ120
1、120
2および120
3を備えてもよい。ファイバ120の1つまたは複数からの光は、コリメータ102によって自由空間ビームに変換される。ポートアレイ101から出る光は、z軸に平行である。ポートアレイ101は、
図4Bでは3つの光ファイバ/コリメータ対を示すだけであるが、より一般的には、任意の適切な数の光ファイバ/コリメータ対が、用いられてもよい。
【0030】
一対の望遠鏡または光ビーム拡大器は、ポートアレイ101からの自由空間光ビームを拡大する。第1の望遠鏡またはビーム拡大器は、光学素子106および107から形成され、第2の望遠鏡またはビーム拡大器は、光学素子104および105から形成される。
【0031】
図4Aおよび
図4Bでは、2つの軸において光に影響を及ぼす光学素子は、両方の図において両凸光学系として実線を用いて示される。他方では、1つの軸において光に影響を及ぼすだけである光学素子は、影響を受ける軸において平凸レンズとして実線を用いて示される。1つの軸において光に影響を及ぼすだけである光学素子はまた、それらが影響を及ぼさない軸において点線によって示されもする。例えば、
図4Aおよび
図4Bでは、光学素子102、108、109および110は、両方の図において実線を用いて描写される。他方では、光学素子106および107は、
図4Aでは実線を用いて描写され(それらは、y軸に沿って集束パワーを有するので)、
図4Bでは点線を用いて描写される(それらは、x軸に沿ってビームが影響を受けないままにするので)。光学素子104および105は、
図4Bでは実線を用いて描写され(それらは、x軸に沿って集束パワーを有するので)、
図4Aでは点線を用いて描写される(それらは、y軸においてビームが影響を受けないままにするので)。
【0032】
各望遠鏡は、xおよびy方向について異なる拡大係数を有して作り出されてもよい。例えば、x方向における光を拡大する光学素子104および105から形成される望遠鏡の倍率は、y方向における光を拡大する光学素子106および107から形成される望遠鏡の倍率より小さくてもよい。
【0033】
望遠鏡の対は、ポートアレイ101からの光ビームを拡大し、それらを波長分散素子108(例えば、回折格子またはプリズム)に光学的に結合し、それは、自由空間光ビームをそれらの構成波長またはチャンネルに分離する。波長分散素子108は、光をその波長に従ってx-y平面上で異なる方向に分散させるように働く。分散素子からの光は、ビーム集束光学系109に向けられる。
【0034】
ビーム集束光学系109は、波長分散素子108からの波長成分を光学経路変換システムに結合する。この例では、光学経路変換システムは、プログラム可能な光位相変調器であり、それは例えば、LCoSデバイス110などの液晶ベースの位相変調器であってもよい。波長成分は、x軸に沿って分散され、それは、波長分散方向または軸と呼ばれる。それに応じて、所与の波長の各波長成分は、y方向に延びるピクセルのアレイ上に集束される。
【0035】
図4Bに最も良く見られるように、LCoSデバイス110からの反射後、各波長成分は、ビーム集束光学系109、波長分散素子108ならびに光学素子106および107を通って戻り、ポートアレイ101内の選択されたファイバに結合されてもよい。前述の同時係属の米国出願においてより詳細に論じられるように、y軸におけるピクセルの適切な操作は、選択された出力ファイバへの各波長成分の選択的独立ステアリングを可能にする。
【0036】
特定の一実施形態では、LCoSデバイス110は、それが、もはやx-y平面内になく、それ故に光がポートアレイ101から伝搬するz軸にもはや直交しないように、x軸に関して傾斜している。別の言い方をすれば、スキュー角が、z軸と波長分散軸に垂直な変調器の平面内での方向との間に形成される。そのような実施形態は、
図5に示され、それは、
図4Bに示される側面図に似た側面図である。
図5ならびに
図4Aおよび
図4Bでは、類似の要素は、類似の参照数字によって表される。LCoSデバイス110をこの仕方で傾けることによって、散乱光から生じるクロストークは、低減することができる。
【0037】
図4〜
図5に示される特定の波長選択スイッチにおいて用いられる光学経路変換システムは、プログラム可能な光位相変調器(例えば、LCoSデバイス)に基づいているが、より一般的には、例えばDMDなどのMEMSベースのデバイスを含む、他の技術が、代わりに用いられてもよい。
【0038】
図1に示されるコントローラ150は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはその任意の組合せで実施されてもよい。例えば、コントローラは、1つまたは複数のプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、個別論理、またはその任意の組合せを用いてもよい。コントローラが、部分的にソフトウェアで実施されるとき、デバイスは、ソフトウェアのためのコンピュータ実行可能命令を適切な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶してもよく、この開示の技法を行うために1つまたは複数のプロセッサを使用するハードウェアにおいて命令を実行してもよい。
【符号の説明】
【0039】
19 ピクセル
21 LCoSデバイス
37 累積位相プロファイル、累積ステアリングプロファイル
39 周期的階段状位相シフトプロファイル
41 位相リセット
100 波長選択スイッチ(WSS)
101 ファイバコリメータアレイ、ポートアレイ
102 コリメータ、光学素子
104 光学素子
105 光学素子
106 光学素子
107 光学素子
108 光学素子、波長分散素子
109 光学素子、ビーム集束光学系
110 入力ポート、光学素子、LCoSデバイス
120 出力ポート、ファイバ
130 出力ポート
135 光検出器
140 スイッチングファブリック
150 コントローラ、プロセッサ
160 実線
162 実線、不採用光