(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーの異なるセットが異なる保管容器内に設けられ、各異なるセットが小分子、タンパク質および/または核酸の吸着および結合のためとなるように、各セットが異なる吸着および結合プロファイルを有する、請求項1に記載のコンポーネント。
生物学的サンプルは、血液、唾液、口腔粘膜、体液、毛根、組織、血清、糞便、体分泌物、および培地から成る群から選択されるサンプルである、請求項1に記載のコンポーネント。
シーリング膜を通じて保管容器または混合チャンバーに接続され、またはシーリングキャップを通じてシーリング膜に接続された、サンプル採取デバイスを更に有して成り、
サンプル採取デバイスは、指先穿刺デバイス、指先採血針、スワブ、吸収紙、塗抹標本、キャピラリー、および滴下器具から成る群から選択される採血デバイスである;またはサンプル採取デバイスは、口腔粘膜細胞の採取のためのスクレーパーまたは唾液採取器である;またはサンプル採取デバイスはマイクロサンプル採取デバイスである、請求項1に記載のコンポーネント。
磁性ビーズが異なる混合チャンバー間で規則的に移動可能となるように成っている可動磁場、モータ、前記コンポーネントを回転、振動、または傾斜させるための手段、および任意には検出センサーを有して成り、電源(ACおよび/またはDC)により動力供給されるように成っている、請求項1に記載のコンポーネントを有して成る装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
マシンの一部であり得る、又は一部ではない本発明のコンポーネントは、様々な生物学的サンプルから核酸、タンパク質、または小さい分子等の生体分子の抽出および精製に使用される。本願では、検査溶液および検出センサーは必要ではない。精製した生体分子を得た後、当該精製した生体分子を安定して保存することができる。その結果、これは例えば一般的な実験室または現場等でのサンプル採取等、大規模な生物学的サンプル採取および保管に特に適している。検査溶液と検出センサーを追加することにより、装置のコンポーネントは、ポイント・オブ・ケアの診断試験(例えば、遺伝子型判定のみならず感染症、癌、他の疾患等の診断)のみならず遺伝子配列決定、生体分子の定量化、および他の適当な用途を含む実験場での検査および医療使用のため使用することができる。
【0010】
一態様では、本発明は、装置(デバイスまたはマシン)の一部であり得るまたは一部でない、完全に閉鎖された(すなわち、密封された)コンポーネントを供する。コンポーネントは、生物学的サンプルから生体分子を精製し、場合によりさらに(分析を含む)検査を実施するためのシステムを供する。コンポーネントは、混合チャンバー、接続チューブ、保管容器、シーリング膜、圧力シールまたはスイッチ、精製サンプル採取チューブまたは検査チャンバー、サンプル(溶液、懸濁液、又は固体形態の生物学的サンプル)、磁性ビーズ、(溶解バッファーおよび/または結合バッファーを含む)溶解/結合バッファー、洗浄溶液、任意には検査のために使用される溶離液、任意には検査溶液、任意にはシーリングキャップを有するサンプル採取デバイス、および任意には検出センサーを有して成る。検出センサーは実施される検査に応じて変わり、任意の検出器デバイスが考えられる。検出器デバイスは、コンポーネントの一部であってもなくてもよく、マシンの一部であってもなくてもよい。コンポーネントの任意の部分は、任意の適当な材料から成り、任意の適当なサイズから成り得る。コンポーネントの任意の部分は、押出、射出成形、ブロー成形、および3D印刷等の当業者に知られた任意の適当な手段により作られ得る。コンポーネントのパーツは、当業者に知られた方法により接続され得る。特定の実施形態では、コンポーネントはプラスチックから作製される。ポリ塩化ビニル等の任意の種類のプラスチックが考えられる。特定の実施形態では、コンポーネントは、ほぼボールペンのサイズである。特定の実施形態において、当該コンポーネントは、使用前に当業者に知られた方法によって滅菌することができる。
【0011】
別の態様では、装置(すなわち、デバイスまたはマシン)が供される。当該装置は、本発明のコンポーネントを収容するように成っている。又、当該装置は、可動磁場、当該磁場を移動させるための手段、モータ、コンポーネントを回転、振動、および傾斜させるための手段、電気プラグ、電気コンポーネント、モータ、および機能のために必要な他のコンポーネントを有してなり得る。当該装置は、電源(ACおよび/またはDC)に接続するように成っている。装置は、検出センサーを含み得る。特定の実施形態では、装置は、DVD、CD、メモリスティックなどのコンピュータ可読媒体を任意に含むコンピュータプロセッサを有して成る。特定の実施形態では、装置は加熱器/冷却器を有して成る、または加熱器/冷却器に連結されている。任意の適当な加熱器/冷却器が考えられる。マシンは、コンベアトラックまたはロボットアームなどの適当な取付け(又は据付け;mounting)手段および輸送手段を有して成り得る。任意の適当なマシンが考えられ、任意の適当な材料を使用する従来の方法によって作製され得、任意の適当なサイズからなり得る。
【0012】
特定の実施形態では、装置はプロセッサを有するコンピュータに接続され、コンピュータはコンピュータ可読媒体を任意に有して成る。コンピュータ可読媒体は、媒体を処理することができるプロセッサを備えたコンピュータデバイスの一部であり得る。コンピュータは、生体分子の検査から生じたデータなどのデータを処理し保存するために、および任意にはマシンを操作するために使用され得る。コンピュータは、ラップトップ、タブレット、電話、メインフレームコンピュータ、およびデスクトップコンピュータを含む任意のコンピュータであり得る。
【0013】
「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはコンピュータ関連のマシン的デバイスによって読み取り可能なフォーマットでデータを保存することができる媒体を指す。そのようなコンピュータ可読媒体の例としては、磁気ディスク、カード、テープ、ドラム、パンチカードおよび紙テープなどの磁気媒体、光ディスク(例えばCD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVDなど)、オンラインデータ保存/転送、および当業者に周知の他の媒体を含む。媒体は、例えば、検査データを保存するために使用され得る。
【0014】
装置を用いて、アプリケーションのすべてまたは一部を自動化して行うことができる。当該コンポーネントは、装置がない場合でも磁場の存在下で手動で操作することもできる。マシンは、オペレーターにより手動で少なくとも部分的に操作することもできる。
【0015】
本発明のこれらのおよび他の実施形態を
図1〜
図5を参照して下記に説明する。図中、類似の参照番号は類似の要素を示すために全体を通して使用される。
【0016】
図1は、本発明のコンポーネント100の実施形態を示す。コンポーネントは、任意の適当な材料、例えばプラスチック等から作製され得る。コンポーネントは、ボールペンのサイズのような任意の適当なサイズであり得る。磁場も示されている。コンポーネントと磁場の両方はマシンの一部であってもなくてもよい。
【0017】
1.複数の混合チャンバー1,4,7,10,13及び16。
より多くの混合チャンバーまたはより少ない混合チャンバーが存在し得る。混合チャンバーは、水平方向に隣接して一列に配置される。又、混合チャンバーは、他の適当な態様、例えば垂直方向に隣接して配置され得る。特定の実施形態では、混合チャンバーは、使い捨てプラスチック容器である。
【0018】
2.複数の接続チューブ2,5,8,11,14および17。
より多くの接続チューブまたはより少ない接続チューブが存在し得る。各接続チューブは、2つの隣接する混合チャンバーまたは単一の混合チャンバーと、精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバーを接続する。特定の実施形態では、接続チューブはシール可能な軟質チューブである。他の実施形態では、接続チューブはスイッチである。任意の適当なチューブまたは任意の適当なスイッチが考えられる。チューブまたはスイッチは、任意の適当なサイズとし得、当業者に知られた任意の適当な手段により作製され得る。
【0019】
3.複数の保管容器20,21,22,23,24,25および26。
より多くの保管容器またはより少ない保管容器が存在し得る。特定の実施形態では、保管容器は圧縮可能である。1つ以上の保管容器が各混合チャンバーの上方に取り付けられる。各保管容器は、その下方にある混合チャンバーと直接物理接触しているが、直接流体接触するものではない。混合チャンバーに1つよりも多い複数の保管容器が取り付けられている場合、それらは互いに隣り合って配置され得る。又、保管容器は、他の適当な位置に配置され得る。各保管容器は、穿刺デバイスを有して成る。1つ以上の保管容器は磁性ビーズを有して成る。磁性ビーズは、小分子、タンパク質および/または核酸(DNAおよび/またはRNAなど)の吸着および結合のためのものである。特定の実施形態では、3つ以上の保管容器の各々は、核酸を精製するためのもの、タンパク質を精製するためのもの、および小分子を精製するためのものの異なるタイプの磁性ビーズを有して成る。適当な溶解/結合バッファー(細胞を溶解可能なバッファー[溶解バッファー]および/または生体分子の磁性ビーズへの結合を増強可能なバッファー[結合バッファー])が供される。核酸、タンパク質、および小分子はこの技術分野で知られている。これらを精製するための異なる磁性ビーズもこの技術分野で知られている。特定の実施形態では、保管容器は、溶解/結合バッファー、細胞を溶解しおよび/または生体分子の磁性ビーズへの結合を増強可能なバッファー;洗浄溶液、磁性ビーズに非特異的に結合した不純物を除去するための溶液;溶離液、磁性ビーズから生体分子を溶出するための溶液;精製された生体分子の定性的または定量的分析のための検査溶液/乾燥粉末の1つ以上を有して成り得る。特定の実施形態では、溶解/結合バッファーは、溶解バッファーおよび結合バッファーの両方を含み、1つの保管容器に保存可能である。特定の実施形態では、溶解/結合バッファーは、異なる保管容器に保管された分離バッファーであり得る、または単一のみのバッファー(溶解バッファーまたは結合バッファー)が使用される。特定の実施形態では、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーは、異なる保管容器に保存される。特定の他の実施形態では、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーは、同じ保管容器に保管される。特定の実施形態では、保管容器は使い捨て容器である。特定の更なる実施形態では、保管容器は圧縮可能な使い捨て容器である。特定の実施形態では、保管容器は、特定量の液体、固体または固−液懸濁液が予め装填されたプラスチック容器である。特定の実施形態では、保管容器の容量は約0.01ml〜約15mlである。保管容器は、任意の適当な材料および方法によって作製され得、任意の適当な体積を保持する任意の適当なサイズであり得る。保管容器は、異なる場所(例えば、異なる温度を有する位置)に保管され、運転前に混合チャンバーまたは検査チャンバーに取り付けられ得る。
【0020】
4.複数のシーリング膜34,35,36,37,38,39、及び40。
より多くのシーリング膜またはより少ない密封膜が存在し得る。混合チャンバーは、接続された混合チャンバーと保管容器との間にシーリング膜を有する1つ以上の保管容器と接続される。生物学的サンプルは、シーリング膜34を使用してコンポーネントシステムに入る。又、サンプルは、1つのみのシーリング膜よりもむしろ他のシーリング膜からおよび/または保管容器から入ることができる。特定の実施形態では、シリンジまたはピペットを使用して、保管容器20内にサンプルを添加する、またはシーリング膜を使用して混合チャンバー1にサンプルを直接添加する。シーリング膜は、シリンジ、ピペット、キャピラリー、または圧力によって穿孔(又は穿刺又は貫通;pierce)可能となっている穿刺可能膜である。特定の実施形態では、保管容器のシーリング膜は、シール箔(又はシールされた箔;sealed foil)、プラスチックまたはゴムクロージャー(又は閉鎖部分;closure)である。保管容器のシーリング膜は、膜が穿孔される前に液体、固体または固−液懸濁液の混合チャンバーへの移動を防止し、それによって膜が穿孔されるまで保管容器と混合チャンバーの流体接触が抑制される。シーリング膜の構造的一体性は圧縮を通じて穿孔デバイスによって損傷され、液体、固体または固−液懸濁液が保管チャンバーから混合チャンバーに移動される。
【0021】
5.複数の圧力シール3,6,9,12,15及び18。
より多くの圧力シールまたはより少ない圧力シールが存在し得る。各圧力シールは、隣接する混合チャンバーまたは単一の混合チャンバーと、接続チューブ上の精製サンプル採取チューブ/検査チャンバーとの間に設けられる。圧力シールは、隣接する混合チャンバーまたは単一の混合チャンバーと精製されたサンプル採取チューブ/検査チャンバーとの間の液体交換を可能にするおよび/または無効にするために、接続チューブを開放および/または閉鎖するように成っている。圧力シールは、任意の適当な材料および方法から作製することができ、任意の適当なサイズから成り得る。スイッチが圧力シールの代わりに使用可能である。
【0022】
6.精製サンプル採取チューブ又は検査チャンバー19。
精製サンプル採取チューブまたは検査チャンバー19は、最後の混合チャンバ(16)に隣接して設けられる。精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバーは、混合チャンバーの下方または上方などの任意の適当な位置に設けられ得、任意の適当な数のサンプル採取チューブ/検査チャンバーが存在し得る。特定の実施形態において、1つ以上の混合チャンバーは、生物学的サンプルから精製された生体分子が検査のために混合チャンバーから検査チャンバーに、又は採取のために混合チャンバーからサンプル採取チューブへ移されるように、1つ以上の検査チャンバーまたは1つ以上の精製されたサンプル採取チューブと接続される。特定の実施形態では、生物学的サンプルを混合チャンバーから検査チャンバー内または精製サンプル採取チューブ内に流すことが可能であるが、混合チャンバーに逆戻りしないように、接続された混合チャンバーと検査チャンバーとの間または精製されたサンプル採取チューブとの間に一方向性膜が存在する。特定の実施形態では、混合チャンバーと試験チャンバーまたは精製されたサンプル採取チューブとは、シール可能な軟質チューブである接続チューブを使用して接続される。特定の実施形態では、混合チャンバーと検査チャンバーまたは精製サンプル採取チューブとは、スイッチを使用して接続される。精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバーは、任意の適当な材料および方法で作製され得、任意の適当なサイズから成り得る。
【0023】
7.保管容器20内に設置されたサンプル溶液27。
サンプル溶液は生物学的サンプルを含み、例えば、PMSF、塩、バッファー、生理食塩水(saline)、抗凝固剤(anticoagulant)などの他の適当な要素(ingredients)をさらに含み得る。
【0024】
8.磁性ビーズおよび(溶解バッファーおよび/または結合バッファーを含む)溶解/結合バッファー28を保管容器21内に供する。磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを別個の保管容器に供することも可能である。
【0025】
溶解/結合バッファーは、例えば、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製のバッファー等市販品で可能である。溶解/結合バッファーは、磁性ビーズのための任意の適当なバッファーであり、細胞を溶解し、および/または磁性ビーズへの特定の生体分子の結合を増強するための溶解−結合バッファーであり得る。用途(すなわち、異なる生体分子の精製)に応じて、異なる溶解/結合バッファーおよび磁性ビーズを使用することは当業者に知られている。例えば、溶解/結合バッファーは、以下の成分を含む単一溶液であり得る:3〜6Mの濃度のカオトロピック塩;アルカリ金属塩およびアンモニウム塩のような一価塩、マグネシウム塩および亜鉛塩のような二価塩、またはそれらの組合せを含む、0.01〜3Mの濃度の塩;2〜5%(v/v)の濃度の界面活性剤;および20〜50%(v/v)の濃度アルコールを含む。当該アルコールはエタノールまたはイソプロパノールである。この溶解/結合バッファーは、0〜100mM、好ましくは0.5mM〜100mMの濃度のキレート剤を更に含み得る。又、溶解/結合バッファーは、4Mグアニジン塩酸塩、2%トリトン(Triton)X−100、0.1%SDS、0.01%メルカプトエタノール、0.1MNaCl、0.6MLiCl、10mMのトリス(tris)−HCl(pH5.5)、1mMのEDTA、25%イソプロパノールであり得る。
【0026】
磁性ビーズは、磁場を介した吸着を通じて、核酸、タンパク質、および小分子を含む生体分子を精製するために使用される。適切な条件下では、生体分子は磁場中で磁性ビーズに結合し、結合できない物質は溶液中に残り、除去され得る。次いで、結合した生体分子を適当なバッファー中で磁性ビーズから溶出させ、磁場を用いて磁性ビーズから分離し得る。任意の適当な磁性ビーズ(磁性粒子、磁性微粒子、または磁性ナノ粒子とも呼ばれる)を使用し得る。例としては、市販のシラノールシリカ磁性微粒子、アミノ化シリカ磁性微粒子、およびカルボキシル化シリカ磁性微粒子が挙げられるが、これらに限定されない。磁性ビーズは、生物学的サンプルの分離および検出、核酸抽出、免疫測定(immunoassay)などで使用されている。
【0027】
9.保管容器22,23および24に洗浄溶液29,30および31をそれぞれ供する。
【0028】
洗浄溶液は、例えば、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の洗浄溶液等市販品で可能である。洗浄溶液は、任意の適当な洗浄溶液である。洗浄溶液は、例えば洗剤などを含み得る。例えば、洗浄溶液は、200mMのNaCl溶液、0.8MのLiCl、70%のエタノール、50mMのトリスバッファー(pH6.5)を含み得る。あるいは、別の例では、洗浄溶液は70%〜75%のエタノールを含み得る。
【0029】
10.保管容器25に入れられた溶離液32。
溶離液は、磁性ビーズから精製された生体分子を溶出するためのバッファーを含む。特定の実施形態では、溶離液は任意である。
【0030】
溶離液は、例えば、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の溶離液等市販品で可能である。溶離液は、任意の適切な溶離液である。例えば、溶離液は、1mMEDTA、10mMトリス−HCl(pH8.0)、TEバッファーpH7.5−8.5、または滅菌水であり得る。
【0031】
11.試験溶液33を保管容器26内に入れ、これを混合チャンバーに取り付ける。
特定の実施形態では、検査溶液を検査チャンバーに取り付けられた保管容器に保管することも可能であるので、検査溶液を検査チャンバーに直接加えることができる。
【0032】
当業者は、検査溶液が実施される試験によって異なること、および検査溶液が例えば、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の市販品で可能であることを理解するであろう。検査溶液は任意の適当な検査溶液であり、乾燥粉末であってもよい。
【0033】
12.移動磁場41は、混合チャンバー1,4,7,10,13又は16に、または精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバー19に配置され得るか、または磁場がシールユニットに影響しない位置に配置され得る。特定の実施形態では、移動磁場は、装置の一部であり、密閉されたコンポーネントの一部ではない。磁場の位置を変えることができ、それによって、磁性ビーズを吸着し、磁性ビーズを懸濁させるまたは混合チャンバー内に引き寄せて富ませる(又は強化する又は補強する又は高める;enrich)ことができる。
【0034】
コンポーネントは完全に密封され(完全に閉鎖されたシステム)、密閉されたコンポーネントと開放された外部環境(例えば、液体、気体、含有水、酸素および他の拡散物質など)との間にて物質交換はない。
【0035】
図2A〜
図2Yは、本開示の閉鎖抽出および検出コンポーネントを使用する例示的な抽出および検出プロセスを示し、以下の工程(工程1〜27)を含む。
【0036】
1.穿刺デバイスがシーリング膜34及び35の構造的完全性を損なう(damage the structural integrity)ように保管容器20及び21を圧縮し、それによって生物学的サンプル、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを混合チャンバー1内で混合させる。溶液中で液体、(任意に溶液中で)固体または固液懸濁液である生物学的サンプル、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを回転または振動によって十分に混合し、それによって生体分子を磁性ビーズに結合させる。生体分子を精製するための磁場中での磁性ビーズの使用はこの技術分野において周知である。
【0037】
2.圧力シール3を開き、接続チューブ2を介して混合チャンバー1と混合チャンバー4を接続する。
【0038】
圧力シールを開く前に、液体は、混合チャンバー1および最大圧力シールまでの接続チューブの一部に含まれる。
【0039】
3.磁場41を混合チャンバー4に配置して、磁性ビーズを捕捉し、富ませる(又は強化する又は補強する又は高める又は濃縮する;enrich)。
【0040】
4.液体が混合チャンバー1に流入するように、密閉されたコンポーネントを傾斜させる。磁性ビーズは混合チャンバー4内に残り、磁場によって捕捉される。
【0041】
5.圧力シール3をリセットし、接続管2を閉じ、混合チャンバー1と4の間の液体の流れを停止する。
【0042】
6.保管容器22を圧縮することにより、穿刺デバイスがシーリング膜36の完全性を損ない、それによって、磁性ビーズと洗浄溶液29とが混合チャンバー4内で混合され、磁性ビーズが回転または振動によって洗浄される。
【0043】
7.圧力シール6を開き、接続チューブ5を介して混合チャンバー4と混合チャンバー7を接続する。
【0044】
8.磁性ビーズを捕捉し富ませるために、磁場41を混合チャンバー7に移動させる。
【0045】
9.液体が混合チャンバー4内に流れるように、密閉されたコンポーネントを傾斜させる。
【0046】
10.圧力シール6をリセットし、接続チューブ5を閉じて、混合チャンバー4と7との間の液体の流れを停止させる。
【0047】
11−19.図示するように、上記の工程を繰り返して、磁性ビーズを洗浄して混合チャンバー7,10および13中の不純物を除去する。
【0048】
20.洗浄後、磁性ビーズは混合チャンバー13内で富み、接続チューブ12は閉じられる。
【0049】
21.保管容器25を圧縮することにより、穿刺デバイスがシーリング膜39の構造的完全性に損傷を与え、それによって磁性ビーズおよび溶離液32が混合され、結合物質が回転または振動によって磁性ビーズから溶出される。
【0050】
22.磁性ビーズを捕捉し富ませるために、磁場41を混合チャンバー13に移動させる。
【0051】
23.密閉されたコンポーネントを傾斜させ、圧力シール15を開き、接続チューブ14を介して混合チャンバー13と混合チャンバー16を接続し、混合チャンバー13から混合チャンバー16内に液体を流す
【0052】
24.圧力シール15をリセットし、接続チューブ14を閉じて、混合チャンバー13と16との間の液体の流れを停止させる。
【0053】
25.穿刺デバイスがシーリング膜40の構造的完全性を損なうように保管容器26を圧縮し、それにより、精製されたサンプルを回転または振動によって検査溶液33と混合させる。
【0054】
26.圧力シール18を開き、接続チューブ17を介して混合チャンバー16と検査チャンバー19とを接続する。次いで、密閉されたコンポーネントの傾斜を維持し、それによって液体が検査チャンバー19に流入するようにして、取り付けられた検出センサー(図示せず)によって検査する。
【0055】
27.または、下記工程の後に、取り付けられたセンサーによって検査を行うことができる。圧力シール18をリセットし、接続チューブ17を閉じる。シールされたユニットは特定の位置に更に戻され得る。
【0056】
当業者であれば、上述のプロセスまたは修正を伴う上記のプロセスはマシンなしで手動で、またはコンポーネントがマシンまたはマシンの一部内に置かれた状態で自動的に/半自動的に実施され得ることは理解されよう。
【0057】
図1および
図2A〜
図2Yは、本発明の特定の実施形態の一般的な説明を供する。小分子、核酸、および/またはタンパク質のような生体分子を抽出および/または検査するための特定の測定の場合、システムコンポーネントの設定および手順は、状況に応じて変わる。限定されるものではないが、いくつかの混合チャンバーが追加、バイパス、又は省略され得る;保管容器は、個々の測定に特定の異なる試薬を含み得る;いくつかの保管容器は空であってもよい;および1つ以上の保管容器は、いくつかの混合チャンバーまたは検査チャンバーなどから除去されまたはこれらに追加されてよい。
【0058】
コンポーネントシステムのコンポーネントの特定の実施形態の追加変更には、例えば、単一の検査チャンバー/精製されたサンプル採取チューブ19を多重検査/サンプル採取を実施するため複数の並列検査チャンバー/精製サンプル採取チューブに置き換えて使用することが含まれる。多重(又はマルチプレックス;multiplex)の磁性ビーズまたは試薬を使用して多重(又はマルチプレックス;multiplex)分析を行うことも可能である。検査を並行して実施するために1つ以上の検出センサーが設置され得る。
【0059】
さらに、多数のシールコンポーネントが、1つ以上のサンプルから小分子、核酸、および/またはタンパク質などの生体分子を抽出および検査するために、1つのデバイス内に設置され得る。当該抽出および検査としては、限定されるものではないが平行したDNAおよび/またはRNAの抽出および検査、平行したDNA、RNAおよび/またはタンパク質の抽出および検査することなどが含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、コンポーネント(すなわち、システムまたはユニット)は、後刻使用のための精製サンプルを保存するために検査を行うことなく小分子/核酸/タンパク質の抽出のためのみに使用され得る。この場合、検査溶液は追加されない。精製されたサンプルが採取チューブ19に採取された後、採取チューブ19(すなわち、サンプル採取チューブ)は、ユニット(すなわちコンポーネント)全体から分離され、保管のためにキャップされ得る。
【0061】
バッファーおよび溶液のいずれも、注入による、または穿孔可能な(piercible)シールを通じてピペットにより導入されるなどによって、コンポーネントを開封することなく保管容器に導入することができる。
【0062】
特定の検査では、適当な標準および/または内部基準を含めることが有利であり得る。
【0063】
特定の実施形態では、試験は、例えば、免疫測定、核酸検出測定、または生化学的検出によって行われる。任意の適当な試験が考えられる。
【0064】
生体分子は、任意の生体分子、例えば、核酸、タンパク質、および小分子を含む。
【0065】
生物学的サンプルは、例えば、血液、唾液、口腔粘膜、体液、毛根、組織、血清、糞便、体分泌物、培地および植物を含む任意の生物学的サンプルを含む。
【0066】
特定の実施形態では、コンポーネントは、生物学的サンプルを採取するためのサンプル採取デバイスをさらに含む。特定の実施形態では、サンプル採取デバイスは、保管容器または混合チャンバーに接続される。特定の実施形態において、サンプル採取デバイスは、穿刺デバイスを有して成る。特定の実施形態では、サンプル採取デバイスは、マイクロサンプル採取デバイスである。特定の実施形態では、患者(例えば、人間の患者または動物)から血液を採取するためのデバイスのようなサンプル採取デバイスは、封止キャップでキャップされ、サンプル採取デバイスは、混合チャンバー、例えば混合チャンバー1にねじ込まれ、シーリング膜34のようなシーリング膜の側に配置されるように成っている。この時点で、サンプルは混合チャンバー1と流体接触していない。圧縮されると、穿刺デバイスは、シーリング(又は封止又は密閉;sealing)キャップおよびシーリング膜34の構造的完全性を損なせ、それによって生物学的サンプルを混合チャンバー1に流入させる。
【0067】
特定の実施形態では、サンプル採取デバイスは採血デバイスである。特定の実施形態では、採血デバイスは指先穿刺デバイスである。特定の実施形態では、指先穿刺デバイスは、指先採血針、スワブ(swab)、吸収紙、塗抹標本(又は塗抹又はスメア;smears)、キャピラリー、またはスポイト(又はドロッパー又は滴下器具;dropper)である。特定の実施形態では、サンプル採取デバイスは、口腔粘膜細胞の採取のためのスクレーパーまたは唾液採取器である。血液サンプル採取デバイスは、抗凝固剤をさらに含み得る。特定の実施形態では、生体サンプルは、コンポーネントに添加される前に、サンプル採取デバイス内の磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーと混合される。
【0068】
特定の実施形態では、当該コンポーネントには微量のサンプル採取がさらに含まれる。特定の実施形態では、微量のサンプル採取量は、液体サンプル10μL〜5mlである。特定の実施形態では、微量のサンプル採取量は、体積で≦2ml、≦1ml、≦0.5mlである。
【0069】
コンポーネントは、混合および/または振動に適合される。特定の実施形態では、装置は、装置が装置の閉鎖したコンポーネントを傾斜させるように成っており、溶液は、より高い位置のチャンバーからより低い位置のチャンバーへと一方向に流れる。
【0070】
精製された生体分子について当該技術分野で知られている任意の適当な検査および分析が考えられる。核酸については、検査および分析には増幅、シークエンシング(又はシーケンシング;sequencing)等が含まれる。タンパク質およびポリペプチドについて、検査および分析には、サイズ決定、免疫測定、別の分子への結合などの機能分析などが含まれる。小分子の場合、検査および分析には、分光分析、別の分子との結合などの機能解析などが挙げられる。
【0071】
図3は、血液DNAの抽出および検査のための本発明のコンポーネントおよび本発明の方法の実施形態を示す。
【0072】
穿孔可能なシールA−血液サンプルは穿孔可能なシールAを介して加えられる。
【0073】
保管容器Bは、内部標準200μLを含む。
【0074】
保管容器Cは、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを含む。1.5mLの溶解/結合バッファー中には磁性ビーズ1mgが含まれる。
【0075】
保管容器Dは、洗浄液I1mlを含む。
【0076】
保管容器Eは、洗浄液II1mlを含む。
【0077】
保管容器Fは、洗浄液III1mlを含む。
【0078】
保管容器Gは、溶離液100μlを含む。また、保管容器Hは、100μlのqPCR検出溶液を含む。
【0079】
磁性ビーズ、溶解/結合バッファー、内部標準、洗浄溶液I、洗浄溶液II、洗浄溶液III、溶離液、qPCR検出溶液(PCRバッファー、HBVプライマープローブ、Taqポリメラーゼ)は、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の市販品で可能である。
【0080】
上記の手順(
図2A〜
図2Y)に基づいて、DNAを抽出し、精製DNAとqPCR検出溶液とを混合した後、典型的な増幅測定を用いて、核酸増幅および検出のために核酸溶液を検査チャンバー19に移す。装置の一部であってもなくてもよい加熱器/冷却器は、qPCR反応サイクルを実施するのに適した温度を供するために検査チャンバー19の隣に取り付けられる。異なる温度を供するために、1つ以上の検査チャンバーが使用され得る。レポーター色素(reporter dye)からのリアルタイム蛍光発光をモニターするために、光度計のような検出センサーが検査チャンバー19の隣に取り付けられる。装置は検査結果を記録し、医療診断のためのHBV遺伝子などの遺伝子の量の最終的な読み取りを供する。
【0081】
図4は、本発明のコンポーネントおよび血液DNAの抽出のための本発明の方法の実施形態を示す。
【0082】
保管容器Aは、精製され得る生体サンプル200μLを含む。
【0083】
保管容器Bは、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを含む。1.5mLの溶解/結合バッファー中には磁性ビーズ1mgが含まれる。
【0084】
保管容器Cは、洗浄溶液I:1mlを含む。
【0085】
保管容器Dは、洗浄溶液II:1mlを含む。
【0086】
保管容器Eは、洗浄溶液III:1mlを含む。
【0087】
保管容器Fは、溶離液100μLを含む。
【0088】
磁性ビーズ、溶解/結合バッファー、洗浄溶液I、洗浄溶液II、洗浄溶液III、溶離液は、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の市販品で可能である。
【0089】
上記の工程1〜22(
図2A〜
図2T)に基づいてDNAを抽出した後、シールされたユニット(すなわちコンポーネント)を傾斜させ、圧力シール15および18を開放し、混合チャンバー13,16および精製した接続チューブ14,17を介してサンプル採取チューブ19が接続される。これにより、液体が混合チャンバー13から混合チャンバー16を通って精製されたサンプル採取チューブ19に流れるようにする。圧力シール15および18はリセットされる。接続チューブ14および17は閉鎖されている。精製されたサンプルは、精製されたサンプル採取チューブ19内に採取され、精製されたサンプル採取チューブ19は、ユニット全体から離され、保管のためにキャップされ得る。
【0090】
図5は、本発明のコンポーネントおよびELISAを用いたタンパク質の抽出および検査のための本発明の方法の実施形態を示す。
【0091】
保管容器Aは、分析され得る抗原を含む血漿サンプル(plasma sample)を含む。
【0092】
保管容器Bは、磁性ビーズおよび結合バッファーを含む。
【0093】
保管容器Cは、非特異的に結合したタンパク質を除去するための洗浄溶液Iを含む。
【0095】
保管容器Eは、非特異的に結合したタンパク質を除去するための洗浄溶液IIを含む。
【0097】
検出抗体は、酵素に共有結合させることができ、またはそれ自体を、生体共役反応(bioconjugation)によって酵素に連結された二次抗体によって検出することができる。この例では、検出抗体は酵素に共有結合している。基質は、サンプル中の抗原の量を示す可視シグナルを生成するために酵素によって触媒作用が及ぼされる。
【0098】
磁性ビーズ、結合バッファー、洗浄溶液I、検出抗体溶液、洗浄溶液II、洗浄溶液III、基質溶液は、中国上海のエマーサー(Emerther)社、米国マサチューセッツ州ウォルサムのサーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Schientific)社、および米国ニュージャージー州ジャージーシティのベックマン・コールター(Beckman Coulter)社製の市販品で可能である。
【0099】
プラズマサンプル、磁性ビーズおよび結合バッファーは、(デバイスに取り付けられ得る加熱器または冷却器により)適当な温度で混合チャンバー1内にて最初に混合される。抗原は磁性ビーズに結合する。磁性ビーズは、混合チャンバー4に移動され、洗浄溶液Iによって洗浄される。その後、磁性ビーズは、混合チャンバー7に移動され、(デバイスに取り付けられ得る加熱器または冷却器により)適当な温度で検出抗体溶液とインキュベートされる。その後、磁性ビーズを混合室10に移動させ、洗浄液IIで洗浄する。次いで、磁性ビーズは、混合チャンバー13に移動され、基質溶液と混合される。ビーズおよび溶液は、検査チャンバー19に移動され、(デバイスに取り付けられ得る加熱器または冷却器により)適切な温度でインキュベートされる。抗原のレベルを定量するために、分光光度計などの検出センサーを検査チャンバー19の隣に取り付けることが可能である。
【0100】
特定の態様では、下記のコンポーネントが供される。具体的には、生体サンプルから生体分子を精製するための完全に閉鎖されたコンポーネントが供される。当該コンポーネントは、混合チャンバー、接続チューブ、保管容器、シーリング膜、圧力シールまたはスイッチ、精製サンプル採取チューブまたは検査チャンバー、液体、固体または固−液懸濁形態の生物学的サンプル、磁性ビーズ、(溶解バッファーおよび/または結合バッファーを含む)溶解/結合バッファー、洗浄溶液、任意には溶離液、任意には検査溶液、任意にはシーリングキャップを有するサンプル採取デバイスを有して成る。
ここで、各混合チャンバーは使い捨てプラスチック容器であり、混合チャンバーはシール可能な軟質チューブまたはスイッチである接続チューブによって互いに接続されている;各混合チャンバーは隣の混合チャンバーに対して隣接して、水平方向にまたは垂直方向に設けられ;
圧力シールまたはスイッチは、隣接する混合チャンバー間にて液体交換を可能または不可能にするために、接続チューブを開放および/または閉鎖するように成っており、各接続チューブの中央および当該中央の周りに設けられ;
1つ以上の混合チャンバーは、接続された混合チャンバーと保管容器との間のシーリング膜によって、物理的に接触するが液体接触しない1つ以上の保管容器と接続され、前記シーリング膜は、シリンジ、ピペット、キャピラリー、または圧力により穿孔可能な穿孔膜であり;
保管容器のシーリング膜は、膜が穿孔される前に混合チャンバーへの生物学的サンプルの移動を防止し;
保管容器は、異なる場所(例えば、異なる温度の場所)に保管され、操作前に混合チャンバーまたは試験チャンバーに取り付けられ得;
生物学的サンプルは、シーリングキャップおよび穿孔デバイスを有する圧縮可能なプラスチック容器であり、コンポーネントの一部ではないがサンプルに添加するためにコンポーネントに接続され得るサンプル採取デバイスに予め装填され得;
又、生物学的サンプルは、シーリング膜を介して、またはシリンジを用いた注入によって、またはピペット操作によって、保管容器/混合チャンバーに入り得る;または生物学的サンプルは、コンポーネントに添加する前に磁性ビーズおよび溶解/結合溶液と混合され得;
混合チャンバーまたは検査チャンバーに1つよりも多い保管容器が取り付けられている場合、これらは互いに隣接して設けられ;
各保管容器は穿孔デバイスを有して成り;
1つ以上の保管容器が洗浄溶液を含み;
1つ以上の保管容器は溶離液を含み;
1つ以上の保管容器は溶解および/または結合バッファーを含み;1つ以上の保管容器が磁性ビーズを含み;磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーは、同じまたは異なる保管容器に保管され得;
混合チャンバーから単離された生物学的サンプルが、検査のために1つ以上の検査チャンバーに、または採取のために1つ以上のサンプル採取チューブに移されるように、1つ以上の混合チャンバーは、密封可能な軟質チューブまたはスイッチである接続チューブと、接続チューブの中央および当該中央の周囲の圧力シールとによって1つ以上の検査チャンバー/精製されたサンプル採取チューブと接続され、1つ以上の検査チャンバーまたは1つ以上の混合チャンバーに取り付けられた1つ以上の保管容器は、検査溶液または乾燥粉末を含み得;
磁性ビーズは回転または振動によって生体サンプルと接触し;および
コンポーネントは完全に閉鎖されている(すなわち、密封されている)。
【0101】
別の態様では、生物学的サンプルから生体分子を精製するための方法が供される。当該方法は、
a.本発明のコンポーネントを、単独でまたは本明細書に開示された装置中に収容して供すること;
b.生物学的サンプルを当該コンポーネントに加えること;および
c.前記コンポーネントを用いて生体分子を精製すること
を含む。
【0102】
更なる実施形態では、当該方法は、精製された生体分子を検査することを更に含む。例えば、PCR増幅に付して、精製された核酸分子の配列決定(sequence)等をし得る。精製されたタンパク質分子は免疫測定などの任意の測定に付され得る。他の更なる実施形態では、当該方法は、精製された生体分子を保存することを更に含む。特定の実施形態では、コンピュータ、加熱器/冷却器などの他のデバイスがこのマシンに接続され得る。
【0103】
一旦本開示の教示が供されると、当業者はこの態様の方法を各用途に適合するように変更し得る。
【0104】
別の態様では、生物学的サンプルから生体分子を精製するための方法が供される。当該方法は、
(a)磁場および本発明のコンポーネントを、単独で、または本明細書に開示された装置に収容して供すること;
(b)例えば、生物学的サンプルを第1保管容器内に配置することによって、生物学的サンプルをコンポーネントに導入すること;第1保管容器を圧縮して、穿孔デバイスがシーリング膜の構造的完全性を損なわせ、それによって生物学的サンプル、磁性ビーズ、および溶解/結合バッファーを、コンポーネントの最も左側または最も右側のチャンバーであるサンプルを有する混合チャンバー(第1混合チャンバー)内で混合させること(チャンバーは、混合チャンバーまたは検査チャンバーのいずれかである);
(ここで、磁性ビーズ、および/または結合バッファー若しくは溶解バッファーのいずれか又はこれらの両方であり得る溶解/結合バッファーは、サンプルを有する第1の保管容器または第1混合チャンバーと物理的に接触する別の保管容器のいずれかから第1混合チャンバー内に導入され、当該保管容器を圧縮すると、穿孔デバイスはシーリング膜の構造的完全性を損なわせ、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを第1混合チャンバー内に進入させる。)
(ここで、生物学的サンプルは、本明細書に開示されているように、他の方法でコンポーネント内に導入可能であり、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーは同じ保管容器に入れるか、または異なる保管容器に分けられ得る。)
(c)溶液中の生物学的サンプル、磁性ビーズおよび溶解/結合バッファーを回転または振動によって混合すること;
(d)第1混合チャンバーと隣接する混合チャンバー(第2の混合チャンバー)との間の圧力シール(第1圧力シール)を開放し、それにより第1混合チャンバーと隣接する混合チャンバーとの間にある接続チューブ(第1接続チューブ)を通じて2つの混合チャンバーを接続すること;
(用途に応じて、多かれ少なかれ圧力シールと、多かれ少なかれ混合チャンバーと、多かれ少なかれ接続チューブが存在し得る。)
(e)サンプルおよび溶液を含む第2混合チャンバーの下方に磁場を配置して、磁性ビーズを捕捉し、それによって富ませること;
(f)密閉されたコンポーネントを傾けて、液体が第1混合チャンバーに流れるようにすることと、磁場により第2混合チャンバー内に磁性ビーズを残すこと;
(g)第1圧力シールを閉じそれによって第1接続チューブを閉じ、第1混合チャンバーと第2混合チャンバーとの間の液体の流れを止めること;
(h)第2混合チャンバーに接続された保管容器(第2保管容器)を圧縮することで、穿孔デバイスがシーリング膜の構造的安定性を損なわせ、それにより第2保管容器内の洗浄溶液(第2保管容器は洗浄溶液を含んで成る)を第2混合チャンバーに導入させ、それにより第2混合チャンバー内で磁性ビーズおよび洗浄溶液を混合させて、磁性ビーズを回転又は振動によって洗浄すること;
(i)第2混合チャンバーと第1混合チャンバーではない隣接する混合チャンバー(第3混合チャンバー)との間の圧力シールを開き、第2混合チャンバーと第3混合チャンバーの間にある接続チューブ(第2接続チューブ)を通じて第2混合チャンバーと第3混合チャンバーとを接続すること;
(j)第3混合チャンバーの下方に磁場を移動させて、磁性ビーズを捕捉し富ませること;
(k)密封されたコンポーネントを傾けて、液体が第2混合チャンバーに流れるようにすること;
(l)第2圧力シールをリセットし、第2接続チューブを閉じて、第2混合チャンバーと第3混合チャンバーとの間における液体の流れを止めること;
(m)任意には洗浄工程(d)〜(l)を任意に繰り返して、第3混合チャンバーに隣接するが第2混合チャンバーに対して遠位にある追加の混合チャンバー内の不純物を除去すること;
(n)洗浄した後、磁性ビーズは最後の洗浄が行われた最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーで富化され、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーと該第2番目の混合チャンバーに隣接し、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーに存在する前に磁性ビーズが存在していた混合チャンバー(最後の混合チャンバーから3番目の混合チャンバー)との間にある接続チューブを閉じること;(最後の混合チャンバーから3番目の混合チャンバーよりも最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーは第1混合チャンバーより遠位にある。)
(o)溶離液を含む、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーの上方にある保管容器(最後の保管容器から2番目の保管容器)を圧縮することにより、穿孔デバイスがシーリング膜の構造的完全性を損なわせ、それにより磁性ビーズおよび溶離液を混合し、磁性ビーズ上の結合材料を回転または振動によって磁性ビーズから溶離させること;
(p)最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーに磁場を移動させて、磁性ビーズを捕捉し富ませること;
(q)シールされたコンポーネントを傾斜させ、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーと最後の混合チャンバーとの間の圧力シール(最後の圧力シールから2番目の圧力シール)を開き、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーと最後の混合チャンバーとを、これらの2つの混合チャンバー間にある開放された接続チューブ(最後の接続チューブから2番目の接続チューブ)で接続し、それによって、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーから最後の混合チャンバーに液体が流れることを可能にすること;
(r)最後の圧力シールから2番目の圧力シールをリセットし、最後の接続チューブから2番目の接続チューブを閉じて、最後の混合チャンバーから2番目の混合チャンバーと最後の混合チャンバーとの間の液体流れを止めること;
(s)最後の混合チャンバーに接続された検査溶液/乾燥粉末を含む保管容器(最後の保管容器)を圧縮して、穿孔デバイスがシーリング膜の構造的完全性を損なわせ、それによって精製されたサンプルが回転または振動により検査溶液/乾燥粉末と混合させること;
(t)圧力シール(最後の圧力シール)を開放し、最後の接続チューブを介して最後の混合チャンバーと、第1混合チャンバーから最も遠位側にあるチャンバーである検査チャンバーを接続し、次いで密閉したコンポーネントの傾斜を維持し、検査のために液体を検査チャンバーに流入させること;
(u)検査溶液/乾燥粉末の追加または検査をすることなく、磁性ビーズから生体分子を溶離させた後(工程p)、精製されたサンプルを精製サンプル採取チューブに採取し得ることを含む。
(v)なお、いくつかの特定の測定では、溶離工程または検査工程などのいくつかの前述の工程を省略し得る。酵素、抗体溶液、基質溶液および/または追加のインキュベーションの追加等、いくつかの更なる工程が追加され得る。
【0105】
特定の実施形態では、この態様の方法は、コンポーネント上に取り付けられた検出センサーによる検査をさらに含む;又は、最後の圧力シールをリセットする工程と最後の接続チューブを閉じる工程との2つの工程後に、取り付けられたセンサーによって検査を行うことが可能である。検出センサーは、装置の一部、コンポーネントの一部、またはこれらのどちらでなくてもよい。本開示の教示が与えられると、当業者は、各用途に適合するようにこの態様の方法を変更することが可能である。例えば、多かれ少なかれ混合チャンバー、多かれ少なかれ接続チューブ、多かれ少なかれ保管容器、多かれ少なかれシーリング膜、多かれ少なかれ圧力シールまたはスイッチ、多かれ少なかれ精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバーがあり得る。1つ以上のセットの洗浄工程、本明細書に開示される1つ以上のサンプル採取デバイスが存在し得る。ある場合、いくつかの混合チャンバーが追加され、バイパスされ、または省略され得る。保管容器は、個々の測定に特異的な異なる試薬を含み得る。いくつかの保管容器は空であってよい。1つ以上の保管容器がいくつかの混合チャンバー又は検査チャンバーから除去され又は追加されてよい。追加の変更には、例えば、多重検査/サンプル採取を実施するため、単一の検査チャンバー/精製されたサンプル採取チューブを複数の平行である検査チャンバー/精製されたサンプル採取チューブに置き換えて使用することが含まれる。多重の磁性ビーズまたは試薬を使用して多重分析を行うことも可能である。1つ以上の検出センサーを設置して、検査を並行して実施してよい。更に、限定されないが、並行したDNAおよび/またはRNAの抽出および検査、並行したDNA、RNAおよび/またはタンパク質の抽出および検査等を含む、並行した1つ以上のサンプルからの小分子、核酸および/またはタンパク質などの生体分子の抽出および検査のために、複数の密閉されたコンポーネントを1つのデバイスに設置し得る。多数又は少数の混合チャンバー、接続チューブ、保管容器、シーリング膜、圧力シールまたはスイッチ、および精製されたサンプル採取チューブまたは検査チャンバーがあり得る。より多くの生物学的サンプル、より多くの磁性ビーズ、溶解/結合バッファー、洗浄溶液、任意には溶離液、および任意には検査溶液が追加され得る。任意には、シーリングキャップを有するサンプル採取デバイスが追加され得る。任意には、加熱器および/または冷却器が追加され得る。任意には、検出センサーが追加され得る。
【0106】
本明細書で使用されるように、名詞の前の単語「a」または「複数」は、特定の名詞の1つ以上の特定の名詞を示す。
【0107】
定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法および材料は、本発明における使用のために本明細書に記載される。当該技術分野で公知の他の適当な方法および材料も使用することができる。材料、方法、および例は、例示的なものに過ぎず、限定を意図するものではない。
【0108】
本明細書中にて言及された全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、および他の参考文献は、参照することでその全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。
【0109】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態のみを開示するものである。本発明は、その詳細な説明と関連して記載されているが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を例示するものであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されよう。他の態様、利点および変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。したがって、本発明の特定の特徴のみを例示し説明したが、当業者には多くの修正および変更が創出されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれるすべてのそのような修正および変更を包含するように意図されていることは理解されよう。