特許第6688886号(P6688886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688886
(24)【登録日】2020年4月8日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】過給システム及び内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/04 20060101AFI20200421BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20200421BHJP
   F02B 37/013 20060101ALI20200421BHJP
   F02B 37/10 20060101ALI20200421BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20200421BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20200421BHJP
   F01P 7/14 20060101ALI20200421BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20200421BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20200421BHJP
   F01P 1/06 20060101ALI20200421BHJP
   F01N 5/04 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   F02B37/04 C
   F02B37/00 500B
   F02B37/013
   F02B37/00 302B
   F02B37/10 Z
   F02B37/00 302D
   F02B39/00 J
   F01P3/12
   F01P7/14 J
   F01P3/20 F
   F01P7/16 504B
   F01P3/20 K
   F01P1/06 Z
   F01N5/04 A
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-527348(P2018-527348)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(86)【国際出願番号】JP2016070954
(87)【国際公開番号】WO2018011967
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸生
(72)【発明者】
【氏名】安 秉一
(72)【発明者】
【氏名】惠比寿 幹
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−097611(JP,A)
【文献】 特開2015−108330(JP,A)
【文献】 特開2008−267260(JP,A)
【文献】 特開2009−270468(JP,A)
【文献】 特許第5777796(JP,B2)
【文献】 特開2012−092710(JP,A)
【文献】 特開2016−118136(JP,A)
【文献】 特開2005−127307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F01P 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コンプレッサ及び第1タービンと、
第2コンプレッサ及び第2タービンと、
前記第1コンプレッサが加圧した吸気を前記第2コンプレッサに供給する吸気ラインと、
前記第2タービンを駆動した排気を前記第1タービンに供給する排気ラインと、
前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサの軸端に連結される電動機と、
前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸端に連結される発電機と、
排気を前記発電機が連結された前記第1タービンまたは前記第2タービンをバイパスさせるバイパス排気ラインと、
前記発電機を冷却する冷却器と、
前記第1タービンまたは前記第2タービンを駆動した排気により前記発電機が駆動するときに前記冷却器を作動する制御装置と、
を備え、
前記第1コンプレッサ及び前記第1タービンと前記第2コンプレッサ及び前記第2タービンのうち、前記電動機と前記発電機が連結される一方は同軸上に連結されず、前記電動機と前記発電機が連結されない他方は同軸上に連結され、
前記バイパス排気ラインに排気開閉弁が設けられ、前記制御装置は、前記排気開閉弁の開放時に前記冷却器の作動を停止し、前記排気開閉弁を閉止して予め設定された所定時間の経過後に前記発電機が連結された前記第1タービンまたは前記第2タービンの回転数が予め設定された所定回転数に到達すると前記冷却器を作動する、
ことを特徴とする過給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記発電機が予め設定された所定回転数になると前記冷却器の作動を開始することを特徴とする請求項1に記載の過給システム。
【請求項3】
前記冷却器は、冷却媒体を前記発電機に導いて冷却する冷却ラインと、前記冷却ラインに設けられる冷却開閉弁とが設けられ、前記制御装置は、前記発電機が駆動するときに前記冷却開閉弁を開放することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過給システム。
【請求項4】
前記第2コンプレッサが加圧した吸気を冷却するインタークーラが設けられ、前記冷却器は、前記インタークーラの冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項5】
前記第2コンプレッサが加圧した吸気を内燃機関の冷却媒体により冷却するインタークーラが設けられ、前記冷却器は、前記内燃機関の冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項4に記載の過給システム。
【請求項6】
内燃機関に冷却媒体を循環して前記内燃機関を冷却する内燃機関冷却ラインと、前記インタークーラに冷却媒体を循環して前記第2コンプレッサが加圧した吸気を冷却するインタークーラ冷却ラインが設けられ、前記冷却器は、前記インタークーラ冷却ラインの冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項4に記載の過給システム。
【請求項7】
前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸受を冷却する軸受冷却装置が設けられ、前記冷却器は、前記軸受冷却装置の冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項8】
前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸受を潤滑する軸受潤滑装置が設けられ、前記冷却器は、前記軸受潤滑装置の潤滑媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項9】
前記冷却器は、前記電動機により駆動する前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサにより加圧された吸気の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項10】
前記冷却器は、前記電動機が連結された前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサによる吸引力により外気を吸引して前記発電機に導いて冷却することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項11】
前記冷却器は、前記発電機及び前記電動機を冷却することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項12】
前記発電機の温度を計測する温度センサが設けられ、前記制御装置は、前記温度センサが計測した前記発電機の温度が予め設定された上限温度を超えると前記冷却器を作動することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の過給システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記温度センサが計測した前記発電機の温度に応じて前記冷却器が前記発電機に供給する冷却媒体の供給量を調整することを特徴とする請求項12に記載の過給システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の過給システムを備えることを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気タービンから排出される排ガスを用いてコンプレッサを駆動して過給を行う過給システム、この過給システムを備える内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車に搭載される内燃機関は、燃費向上を図るために過給機が装着されている。この過給機(ターボチャージャ)は、内燃機関から排出される排ガスを利用してタービン及びコンプレッサを駆動することにより、内燃機関に吸気を圧縮供給して内燃機関の出力を向上させるものである。一方で、電動モータによりコンプレッサを駆動することにより、内燃機関に吸気を圧縮供給して内燃機関の出力を向上させる過給機(スーパーチャージャ)もある。
【0003】
このような過給機としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された内燃機関の過給及び排気浄化システムは、電動機でコンプレッサを回転駆動して空気を圧縮し圧縮空気を内燃機関に供給する電動コンプレッサと、内燃機関からの排気ガスで駆動されるタービンで発電機を駆動して発電するタービン発電機と、タービン発電機で発生させた電気を蓄電し電動コンプレッサに電気を供給する蓄電手段とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−190145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の内燃機関の過給及び排気浄化システムでは、コンプレッサを駆動する電動機と、タービンにより駆動される発電機を有している。この場合、電動機や発電機は、自身の発熱により性能が低下したり、破損したりするおそれがある。また、発電機は、高温の排気により駆動するタービンに直結されることで、排気熱によっても高温となる。そのため、発電機や電動機を十分に冷却する必要がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、発電機を効率良く冷却することで性能の向上を図る過給システム及び内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の過給システムは、同軸上に連結される第1コンプレッサ及び第1タービンと、同軸上に連結される第2コンプレッサ及び第2タービンと、前記第1コンプレッサが加圧した吸気を前記第2コンプレッサに供給する吸気ラインと、前記第2タービンを駆動した排気を前記第1タービンに供給する排気ラインと、前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサの軸端に連結される電動機と、前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸端に連結される発電機と、排気を前記発電機が連結された前記第1タービンまたは前記第2タービンをバイパスさせるバイパス排気ラインと、前記発電機を冷却する冷却器と、前記第1タービンまたは前記第2タービンを駆動した排気により前記発電機が駆動するときに前記冷却器を作動する制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、第1タービンまたは第2タービンを駆動した排気により発電機が駆動するときに冷却器を作動することから、冷却器により発電機が冷却されて高温化が抑制されることとなり、発電機を効率良く冷却して性能の向上を図ることができる。
【0009】
本発明の過給システムでは、前記制御装置は、前記発電機が予め設定された所定回転数になると前記冷却器の作動を開始することを特徴としている。
【0010】
従って、発電機が所定回転数になると冷却器の作動を開始することで、発電機の冷却を行うべきときにだけ冷却器を作動することとなり、冷却器を作動させるための無駄な労力の損失を防止することができる。
【0011】
本発明の過給システムでは、前記バイパス排気ラインに排気開閉弁が設けられ、前記制御装置は、前記排気開閉弁の閉止後に前記冷却器を作動することを特徴としている。
【0012】
従って、第2タービンからの排気ガスの導入先がバイパス排気ラインから排気ラインに切替えられたときに冷却器を作動することで、冷却器により適正なタイミングで発電機を冷却することとなり、発電機の温度上昇を適正に抑制することができる。
【0013】
本発明の過給システムでは、前記冷却器は、冷却媒体を前記発電機に導いて冷却する冷却ラインと、前記冷却ラインに設けられる冷却開閉弁とが設けられ、前記制御装置は、前記発電機が駆動するときに前記冷却開閉弁を開放することを特徴としている。
【0014】
従って、冷却器を、冷却媒体を発電機に導いて冷却する構成とし、発電機が駆動するときに冷却媒体を発電機に導入して冷却することで、簡単な構成で発電機を効率良く冷却することができる。
【0015】
本発明の過給システムでは、前記第2コンプレッサが加圧した吸気を冷却するインタークーラが設けられ、前記冷却器は、前記インタークーラの冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0016】
従って、インタークーラを冷却する冷却媒体の一部を発電機に導いて冷却するため、既存の設備の冷却媒体を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0017】
本発明の過給システムでは、前記第2コンプレッサが加圧した吸気を内燃機関の冷却媒体により冷却するインタークーラが設けられ、前記冷却器は、前記内燃機関の冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0018】
従って、内燃機関を冷却する冷却媒体の一部を発電機に導いて冷却するため、既存の設備の冷却媒体を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0019】
本発明の過給システムでは、内燃機関に冷却媒体を循環して前記内燃機関を冷却する内燃機関冷却ラインと、前記インタークーラに冷却媒体を循環して前記第2コンプレッサが加圧した吸気を冷却するインタークーラ冷却ラインが設けられ、前記冷却器は、前記インタークーラ冷却ラインの冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0020】
従って、内燃機関を冷却する冷却媒体とは別に、インタークーラだけを冷却する冷却媒体の一部を発電機に導いて冷却するため、より低温の冷却媒体により発電機を冷却することで、発電機の冷却効率を向上することができる。
【0021】
本発明の過給システムでは、前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸受を冷却する軸受冷却装置が設けられ、前記冷却器は、前記軸受冷却装置の冷却媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0022】
従って、第1タービンまたは第2タービンの軸受冷却装置における冷却媒体の一部を発電機に導いて冷却することで、既存の設備の冷却媒体を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0023】
本発明の過給システムでは、前記第1タービンまたは前記第2タービンの軸受を潤滑する軸受潤滑装置が設けられ、前記冷却器は、前記軸受潤滑装置の潤滑媒体の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0024】
従って、第1タービンまたは第2タービンの軸受潤滑装置における潤滑体の一部を発電機に導いて冷却することで、既存の設備の潤滑媒体を冷却媒体として用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0025】
本発明の過給システムでは、前記冷却器は、前記電動機により駆動する前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサにより加圧された吸気の一部を前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0026】
従って、電動機により駆動する第1コンプレッサまたは第2コンプレッサにより加圧された吸気の一部を発電機に導いて冷却することで、一部の吸気管だけを増設すればよく、設備コストの増加を抑制することができる。
【0027】
本発明の過給システムでは、前記冷却器は、前記電動機が連結された前記第1コンプレッサまたは前記第2コンプレッサによる吸引力により外気を吸引して前記発電機に導いて冷却することを特徴としている。
【0028】
従って、電動機により駆動回転する第1コンプレッサまたは第2コンプレッサによる吸引力により外気を吸引して発電機に導いて冷却することで、一部の吸気管だけを増設すればよく、設備コストの増加を抑制することができる。
【0029】
本発明の過給システムでは、前記冷却器は、前記発電機及び前記電動機を冷却することを特徴としている。
【0030】
従って、冷却器が発電機だけでなく電動機も冷却することで、発電機及び電動機の温度上昇を抑制して過給機全体の性能を向上することができる。
【0031】
本発明の過給システムでは、前記発電機の温度を計測する温度センサが設けられ、前記制御装置は、前記温度センサが計測した前記発電機の温度が予め設定された上限温度を超えると前記冷却器を作動することを特徴としている。
【0032】
従って、発電機の温度が上限温度を超えると冷却器を作動することで、発電機の冷却を行うべきときにだけ冷却器を作動することとなり、冷却器を作動させるための無駄な労力の損失を防止することができる。
【0033】
本発明の過給システムでは、前記制御装置は、前記温度センサが計測した前記発電機の温度に応じて前記冷却器が前記発電機に供給する冷却媒体の供給量を調整することを特徴としている。
【0034】
従って、発電機の温度に応じて発電機に供給する冷却媒体の供給量を調整することで、発電機の温度を適正温度に維持することができ、過冷却を抑制して冷却器の無駄な作動を抑制することができる。
【0035】
また、本発明の内燃機関は、前記過給システムを備えることを特徴とするものである。
【0036】
従って、過給システムにて、第1タービンまたは第2タービンを駆動した排気により発電機が駆動するときに冷却器を作動することから、冷却器により発電機が冷却されて高温化が抑制されることとなり、発電機を効率良く冷却して性能の向上を図ることができ、その結果、内燃機関の効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の過給システム及び内燃機関によれば、第1タービンまたは第2タービンを駆動した排気により発電機が駆動するときに、冷却器を作動して発電機を冷却するため、発電機を効率良く冷却して性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、第1実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態の第1変形例の過給システムを表す概略構成図である。
図3図3は、第1実施形態の第2変形例の過給システムを表す概略構成図である。
図4図4は、過給システムの作動方法を表すタイムチャートである。
図5図5は、第2実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
図6図6は、第3実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
図7図7は、第4実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
図8図8は、過給システムの作動方法を表すタイムチャートである。
図9図9は、第5実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
図10図10は、第5実施形態の第1変形例の過給システムを表す概略構成図である。
図11図11は、第5実施形態の第2変形例の過給システムを表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る過給システム及び内燃機関の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0040】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の過給システムを表す概略構成図である。
【0041】
第1実施形態の過給システムにおいて、エンジン(内燃機関)11は、図示しないが、エンジン本体に複数のシリンダが形成され、各シリンダにピストンがそれぞれ上下移動自在に支持されており、各ピストンは、下部がクランクシャフトにそれぞれ連結されている。エンジン本体は、各シリンダの上方に燃焼室がそれぞれ形成されており、各燃焼室の上部に吸気ポート及び排気ポートがそれぞれ形成され、吸気ポートに吸気弁が設けられ、排気ポートに排気弁が設けられている。
【0042】
エンジン11は、エンジン本体の一側部に吸気マニホールド12が装着され、他側部に排気マニホールド13が装着されている。吸気マニホールド12は、各吸気ポートを介して燃焼室にそれぞれ連通し、排気マニホールド13は、各排気ポートを介して燃焼室に連通している。また、エンジン本体は、吸気ポートや燃焼室に燃料を噴射するインジェクタがそれぞれ設けられている。
【0043】
第1過給機20は、電動式の低圧過給機であって、第1コンプレッサ21と第1タービン22とを有し、第1コンプレッサ21の回転軸に電動機23が接続され、第1タービン22の回転軸に発電機24が接続されて構成されている。第1コンプレッサ21は、外部から空気を吸入する第1吸気管(第1吸気ライン)L1が連結されると共に、圧縮空気を供給する第2吸気管(第2吸気ライン)L2が連結されている。第1タービン22は、第1排気管(第1排気ライン)L3が連結されると共に、排気ガスを外部に排出する第2排気管(第2排気ライン)L4が連結されている。
【0044】
また、第1コンプレッサ21を迂回するバイパス吸気管(バイパス吸気ライン)L5は、基端部が第1吸気管L1に連結され、他端部が第2吸気管L2に連結されている。第1タービン22を迂回するバイパス排気管(バイパス排気ライン)L6は、基端部が第1排気管L3に連結され、他端部が第2排気管L4に連結されている。そして、バイパス吸気管L5は、吸気開閉弁25が設けられ、バイパス排気管L6は、排気開閉弁26が設けられている。この吸気開閉弁25と排気開閉弁26は、全開位置と全閉位置で停止する開閉弁、または、開度を調整可能な流量調整弁である。
【0045】
第2過給機30は、排気式の高圧過給機であって、第2コンプレッサ31と第2タービン32が回転軸33を介して同軸上に連結されて構成されており、第2コンプレッサ31と第2タービン32は、回転軸33により一体回転することができる。第2コンプレッサ31は、第1過給機20の第1コンプレッサ21から圧縮空気が供給される第1吸気管L1が連結されると共に、エンジン11の吸気マニホールド12に至る第3吸気管(第3吸気ライン)L7が連結されている。第2タービン32は、エンジン11の排気マニホールド13に至る第3排気管(第3排気ライン)L8が連結されると共に、第1過給機20の第1タービン22に排気を供給する第1排気管L3が連結されている。
【0046】
また、電動機23と発電機24は、AC/DG/ACコンバータ(以下、変換機と称する。)35が接続され、この変換機35に蓄電器(バッテリ)36が接続されている。この場合、電動機23と発電機24は、それぞれ専用の変換機と蓄電器を設けてもよい。
【0047】
そのため、第1過給機20は、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転すると、第1吸気管L1から吸気した空気を圧縮した後、この圧縮空気を第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31を通り、吸気マニホールド12からエンジン11の燃焼室に供給することができる。エンジン11は、排気ガス(燃焼ガス)を排気マニホールド13に排出し、第2過給機30は、第2タービン32がこの排気マニホールド13から第3排気管L8を通して供給された排気ガスにより駆動回転し、第2コンプレッサ31を駆動回転することができる。第1過給機20は、第1タービン22が第2タービン32から第1排気管L3を通して供給された排気ガスにより駆動回転し、発電機24を駆動することができる。第1タービン22を通った排気ガスは、第2排気管L4から外部に排出する。
【0048】
このとき、蓄電器36は、蓄電されている電力を変換機35により変換して電動機23に供給可能であり、発電機24が発電した電力を変換機35により変換して蓄電することができる。また、吸気開閉弁25を開放すると、バイパス吸気管L5により第1過給機20の第1コンプレッサ21を迂回して第2過給機30の第2コンプレッサ31に直接吸気することができる。更に、排気開閉弁26を開放すると、バイパス排気管L6により第1過給機20の第1タービン22を迂回して第2過給機30の第2タービン32からの排気を直接排出することができる。
【0049】
エンジン11は、エンジン本体を冷却するウォータジャケット(図示略)が設けられている。また、第3吸気管L7は、第2コンプレッサ31により圧縮された圧縮空気を冷却するインタークーラ41が設けられている。そして、ウォータジャケットの冷却水(冷却媒体)をラジエータ42に供給する第1エンジン冷却水供給管(内燃機関冷却ライン)43が設けられると共に、ラジエータ42で冷却して冷却水をインタークーラ41を介してウォータジャケットに供給する第2エンジン冷却水供給管(内燃機関冷却ライン)44が設けられている。この場合、エンジン11は、エンジン本体の駆動により作動するウォータポンプ(図示略)を備えており、このウォータポンプによりウォータジャケットの冷却水を第1エンジン冷却水供給管43、ラジエータ42、第2エンジン冷却水供給管44、インタークーラ41を通してウォータジャケットに循環することができる。
【0050】
本実施形態の過給システムは、第1過給機20の第1タービン22により駆動される発電機24を冷却する冷却器51が設けられている。この冷却器51は、インタークーラ41の冷却水(冷却媒体)の一部を発電機24に導いて冷却するものであり、具体的には、エンジン11を冷却するためのウォータジャケットの冷却水の一部を発電機24に導いて冷却するものである。
【0051】
即ち、第1エンジン冷却水供給管43は、中途部で分岐して発電機24まで延出される第3エンジン冷却水供給管52及び第4エンジン冷却水供給管53が設けられており、第3エンジン冷却水供給管52に冷却開閉弁54が設けられている。この冷却開閉弁54は、全開位置と全閉位置で停止する開閉弁、または、開度を調整可能な流量調整弁である。なお、発電機24は、図示しない発電機本体の外側にウォータジャケットや冷却水配管などが設けられており、このウォータジャケットや冷却水配管などに冷却水が供給されることで、発電機本体が冷却される。
【0052】
そのため、エンジン11の駆動時に、ウォータポンプによりウォータジャケットの冷却水が第1エンジン冷却水供給管43に送給されるとき、冷却開閉弁54を開放すると、第1エンジン冷却水供給管43を流れる冷却水の一部が第3エンジン冷却水供給管52から発電機24に供給され、発電機24が冷却される。発電機24を冷却した冷却水は、第4エンジン冷却水供給管53から第1エンジン冷却水供給管43に戻される。
【0053】
制御装置50は、エンジン11の運転状態(負荷や回転数など)に応じて吸気開閉弁25、排気開閉弁26、冷却開閉弁54を開閉制御可能となっている。本実施形態にて、制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器51を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26を閉止することで排気ガスを第1タービン22に導入し、所定時間の経過後に第1タービン22の回転数(発電機24の回転数と同等)が予め設定された所定回転数に到達すると、冷却開閉弁54を開放する。この所定回転数とは、第1タービン22の回転数が上昇して発電機24を駆動するとき、発電機24の効率の低下が始まる回転数であり、事前に実験などにより設定しておくことが望ましい。すると、エンジン冷却水の一部が第3エンジン冷却水供給管52から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。
【0054】
また、発電機24の温度を計測する温度センサ55が設けられ、温度センサ55の検出結果が制御装置50に入力される。そのため、制御装置50は、温度センサ55が計測した発電機24の温度が予め設定された上限温度を超えると、冷却器51を作動する。この場合、上限温度とは、例えば、発電機24の性能が著しく低下する温度である。なお、制御装置50は、発電機24が駆動すると、冷却器51を作動するものであるが、発電機24の駆動状態に係わらず、発電機24の温度が上限温度を超えると、冷却器51を作動するように構成してもよいし、発電機24が駆動し、且つ、発電機24の温度が上限温度を超えると、冷却器51を作動するように構成してもよい。また、冷却器51を作動するとき、制御装置50は、温度センサ55が計測した発電機24の温度に応じて冷却開閉弁(流量調整弁)54の開度を調整することで、発電機24に供給する冷却水の供給量を調整してもよい。
【0055】
なお、上述した実施形態にて、冷却器51は、エンジン冷却水の一部を発電機24に供給して冷却したが、この構成に限定されるものではない。図2は、第1実施形態の第1変形例の過給システムを表す概略構成図である。
【0056】
第1実施形態の第1変形例において、図2に示すように、ウォータジャケットの冷却水をラジエータ42に供給する第1エンジン冷却水供給管43が設けられると共に、ラジエータ42で冷却して冷却水をウォータジャケットに供給する第2エンジン冷却水供給管44が設けられている。また、インタークーラ41の冷却水(冷却媒体)をラジエータ61に供給する第1インタークーラ冷却水供給管(インタークーラ冷却ライン)62が設けられると共に、ラジエータ61で冷却して冷却水をインタークーラ41に供給する第2インタークーラ冷却水供給管(インタークーラ冷却ライン)63が設けられ、第2インタークーラ冷却水供給管63に冷却水ポンプ64が設けられている。そのため、エンジン11の駆動とは独立して、冷却水ポンプ64によりインタークーラ41の冷却水を第1インタークーラ冷却水供給管62、ラジエータ61、第2インタークーラ冷却水供給管63を通してインタークーラ41に循環することができる。
【0057】
発電機24を冷却する冷却器71は、インタークーラ41の冷却水の一部を発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第1インタークーラ冷却水供給管62は、中途部で分岐して発電機24まで延出される第3インタークーラ冷却水供給管72及び第4インタークーラ冷却水供給管73が設けられており、第3インタークーラ冷却水供給管72に冷却開閉弁74が設けられている。
【0058】
そのため、冷却水ポンプ64によりインタークーラ41の冷却水が第1インタークーラ冷却水供給管62に送給されるとき、冷却開閉弁74を開放すると、第1インタークーラ冷却水供給管62を流れる冷却水の一部が第3インタークーラ冷却水供給管72から発電機24に供給され、発電機24が冷却される。発電機24を冷却した冷却水は、第4インタークーラ冷却水供給管73から第1インタークーラ冷却水供給管62に戻される。
【0059】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器71を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に冷却開閉弁74を開放する。すると、インタークーラ冷却水の一部が第3インタークーラ冷却水供給管72から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。このとき、冷却水ポンプ64により循環する冷却水量(冷却水速度)を増加してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態にて、冷却器51,71は、発電機24だけを冷却したが、この構成に限定されるものではない。図3は、第1実施形態の第2変形例の過給システムを表す概略構成図である。
【0061】
第1実施形態の第2変形例において、図3に示すように、発電機24を冷却する冷却器81は、インタークーラ41の冷却水の一部を発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第1エンジン冷却水供給管43は、中途部で分岐して発電機24まで延出される第3エンジン冷却水供給管82と、電動機23まで延出される第4エンジン冷却水供給管83が設けられると共に、発電機24と電動機23を連結する第5エンジン冷却水供給管84が設けられており、第3エンジン冷却水供給管82に冷却開閉弁85が設けられている。
【0062】
そのため、エンジン11の駆動時に、ウォータポンプによりウォータジャケットの冷却水が第1エンジン冷却水供給管43に送給されるとき、冷却開閉弁85を開放すると、第1エンジン冷却水供給管43を流れる冷却水の一部が第3エンジン冷却水供給管82から発電機24に供給され、発電機24が冷却される。また、発電機24を冷却した冷却水は、第5エンジン冷却水供給管84から電動機23に供給され、電動機23が冷却される。電動機23を冷却した冷却水は、第4エンジン冷却水供給管83から第1エンジン冷却水供給管43に戻される。
【0063】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器81を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に冷却開閉弁85を開放する。すると、エンジン冷却水の一部が第3エンジン冷却水供給管82から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。また、発電機24を冷却した冷却水は、第5エンジン冷却水供給管84から電動機23に供給され、電動機23を冷却することができる。
【0064】
なお、この第2変形例の過給システムは、第1変形例の過給システムに対しても適用することができる。
【0065】
ここで、本実施形態の過給システムの作動について説明する。なお、各変形例の過給システムについてもほぼ同様である。図4は、過給システムの作動方法を表すタイムチャートである。
【0066】
本実施形態の過給システムにおいて、図1及び図4に示すように、時間t1にて、エンジン11が始動し、エンジンの要求負荷が上昇すると、吸気開閉弁25を閉止する一方、排気開閉弁26を開放し、第1過給機20の電動機23を駆動して第1コンプレッサ21を駆動回転する。一方、冷却開閉弁54を閉止して冷却器51の作動を停止する。すると、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転することで第1吸気管L1から空気が吸引され、この第1コンプレッサ21が空気を圧縮した後、この圧縮空気として第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に通して吸気マニホールド12からエンジン11の燃焼室に供給する。エンジン11は、各燃焼室で燃料と圧縮空気の混合気に点火して燃焼することで駆動し、排気ガスが排気マニホールド13に排出される。排気マニホールド13から第3排気管L8に排出された排気ガスは、第2過給機30の第2タービン32を駆動回転し、第2コンプレッサ31を駆動回転する。第2タービン32を駆動回転した排気ガスは、第1排気管L3からバイパス排気管L6を通して外部に排出される。そのため、エンジン11の始動時は、第1過給機20の第1タービン22は回転を停止している。
【0067】
このとき、電動機23の回転数が増加(図4の一点鎖線)することで第1コンプレッサ21の回転数が増加し、吸気量及び排気ガス量が増加することで第2過給機30の回転数が徐々に増加する。時間t2にて、第1過給機20の第1コンプレッサ21の回転数が一定となり、エンジン負荷が所定値となった時間t3にて、電動機23の駆動を停止(図4の一点鎖線)すると、第1コンプレッサ21の回転が低下し、電動機23の駆動を停止した時間t4にて、吸気開閉弁25を開放する。すると、空気は第1吸気管L1からバイパス吸気管L5を通って第2コンプレッサ31に吸引され、第2過給機30だけが駆動することとなる。
【0068】
その後、時間t5にて、エンジン負荷が予め設定されて所定値を超えると、排気開閉弁26を閉じ、第2タービン32からの排気ガスが第1排気管L3を通って第1タービン22に導入される。すると、この排気ガスにより第1タービン22が駆動回転し、時間t6にて、発電機24が駆動回転を開始(図4の一点鎖線)する。そして、時間t7にて、第1タービン22の回転数が予め設定された所定回転数に到達すると、冷却開閉弁54を開放する。すると、エンジン冷却水の一部が第3エンジン冷却水供給管52から発電機24に供給され、この発電機24が冷却される。時間t8にて、エンジン負荷が一定値となり、時間t9にて、第2過給機30の回転数が一定値になると、この状態が継続される。
【0069】
エンジンの要求負荷が低下すると、時間t10にて、第1タービン22及び第2過給機30の回転数が低下し、エンジン負荷も低下する。ここで、冷却開閉弁54を閉止し、エンジン冷却水の一部を第3エンジン冷却水供給管52から発電機24に供給することを停止し、この発電機24の冷却が停止される。時間t11にて、発電機24の回転が停止(図4の一点鎖線)すると、時間t12にて、排気開閉弁26を開放し、第2タービン32を駆動回転した排気ガスは、第1排気管L3からバイパス排気管L6を通して外部に排出される。その後、時間t13にて、エンジン11が停止する。
【0070】
このように第1実施形態の過給システムにあっては、第1過給機20と、第2過給機30と、第1コンプレッサ21の軸端に連結される電動機23と、第1タービン22の軸端に連結される発電機24と、排気を第1タービン22をバイパスさせるバイパス排気管L6と、発電機24を冷却する冷却器51と、第1タービン22を駆動した排気により発電機24が駆動するときに冷却器51,71,81を作動する制御装置50とを設けている。
【0071】
従って、第1タービン22を駆動した排気により発電機24が駆動するときに冷却器51,71,81を作動することから、この冷却器51,71,81により発電機24が冷却されて高温化が抑制されることとなり、発電機24を効率良く冷却して性能の向上を図ることができる。
【0072】
第1実施形態の過給システムでは、制御装置50は、第1タービン22(発電機24)が予め設定された所定回転数になると冷却器51,71,81の作動を開始する。従って、発電機24の冷却を行うべきときにだけ冷却器51,71,81を作動することとなり、冷却器51,71,81を作動させるための無駄な労力の損失を防止することができる。
【0073】
第1実施形態の過給システムでは、バイパス排気管L6に排気開閉弁26を設け、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に冷却器51,71,81を作動する。従って、第2タービン32からの排気ガスの導入先がバイパス排気管L6から第2排気管L4に切替えられたときに冷却器51,71,81を作動することで、冷却器51,71,81により適正なタイミングで発電機24を冷却することとなり、発電機24の温度上昇を適正に抑制することができる。
【0074】
第1実施形態の過給システムでは、冷却器51(71,81)は、冷却水を発電機24に導いて冷却する第3、第4エンジン冷却水供給管52,53(82,83、第5エンジン冷却水供給管84、第3、第4インタークーラ冷却水供給管72,73)と、第3エンジン冷却水供給管52(82、第3インタークーラ冷却水供給管72)に設けられる冷却開閉弁54(74,85)とを有し、制御装置50は、発電機24が駆動するときに冷却開閉弁54(74,85)を開放する。従って、冷却器51(71,81)を、冷却水を発電機24に導いて冷却する構成とし、発電機24が駆動するときに冷却水を発電機24に導入して冷却することで、簡単な構成で発電機24を効率良く冷却することができる。
【0075】
第1実施形態の過給システムでは、第2コンプレッサ31が加圧した圧縮空気を冷却するインタークーラ41を設け、冷却器51,71,81は、インタークーラ41へ送る冷却水の一部を発電機24に導いて冷却する。従って、既存の設備の冷却水を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0076】
第1実施形態の過給システムでは、冷却器51,81は、エンジン11の冷却水の一部を発電機24に導いて冷却する。従って、既存の設備の冷却水を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0077】
第1実施形態の過給システムでは、エンジン11に冷却水を循環して冷却する第1、第2エンジン冷却水供給管43,44と、インタークーラ41に冷却水を循環して第2コンプレッサ31が加圧した吸気を冷却する第1、第2インタークーラ冷却水供給管62,63を設け、冷却器71は、第1インタークーラ冷却水供給管62の冷却水の一部を発電機24に導いて冷却する。従って、エンジン11を冷却する冷却水とは別に、インタークーラ41だけを冷却する冷却水の一部を発電機24に導いて冷却するため、より低温の冷却水により発電機24を冷却することで、発電機24の冷却効率を向上することができる。
【0078】
第1実施形態の過給システムでは、冷却器81は、発電機24及び電動機23を冷却する。従って、冷却器81が発電機24だけでなく電動機23も冷却することで、発電機24及び電動機23の温度上昇を抑制して第1過給機20全体の性能を向上することができる。
【0079】
第1実施形態の過給システムでは、発電機24の温度を計測する温度センサ55を設け、制御装置50は、温度センサ55が計測した発電機24の温度が予め設定された上限温度を超えると冷却器51,71,81を作動する。従って、発電機24の冷却を行うべきときにだけ冷却器51,71,81を作動することとなり、冷却器51,71,81を作動させるための無駄な労力の損失を防止することができる。
【0080】
第1実施形態の過給システムでは、制御装置50は、温度センサ55が計測した発電機24の温度に応じて冷却器51,71,81が発電機24に供給する冷却水の供給量を調整する。従って、発電機24の温度を適正温度に維持することができ、過冷却を抑制して冷却器51,71,81の無駄な作動を抑制することができる。
【0081】
また、第1実施形態の内燃機関にあっては、上述した過給システムを備えている。従って、過給システムにて、第1タービン22を駆動した排気により発電機24が駆動するときに冷却器51を作動することから、この冷却器51により発電機24が冷却されて高温化が抑制されることとなり、発電機24を効率良く冷却して性能の向上を図ることができ、その結果、エンジン11の効率を向上することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の過給システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
第2実施形態の過給システムにおいて、図5に示すように、発電機24を冷却する冷却器91は、第2過給機30の軸受を冷却する冷却水の一部を発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第2過給機30は、第2コンプレッサ31と第2タービン32が回転軸33に連結されて構成され、回転軸33が軸受装置34により回転自在に支持されている。軸受装置34は、例えば、軸受冷却装置として外周部に冷却ジャケット(図示略)が設けられており、エンジン本体のウォータジャケットから第5エンジン冷却水供給管92と第6エンジン冷却水供給管93が軸受装置34の冷却ジャケットまで延出されている。また、軸受装置34は、発電機24まで第7エンジン冷却水供給管94と第8エンジン冷却水供給管95が延出されており、第7エンジン冷却水供給管94に冷却開閉弁96が設けられている。
【0084】
そのため、エンジン11の駆動時に、ウォータポンプによりウォータジャケットの冷却水が第5エンジン冷却水供給管92から軸受装置34に供給されて冷却され、第6エンジン冷却水供給管93によりウォータジャケットに戻される。このとき、冷却開閉弁96を開放すると、軸受装置34に供給された冷却水が第7エンジン冷却水供給管94から発電機24に供給されて冷却され、第8エンジン冷却水供給管95により軸受装置34に戻される。
【0085】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器91を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に冷却開閉弁96を開放する。すると、エンジン冷却水の一部が軸受装置34を通して第7エンジン冷却水供給管94から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。
【0086】
なお、上述の説明では、エンジン11を冷却する冷却水を軸受装置34に供給し、この軸受装置34に供給された冷却水を第7エンジン冷却水供給管94により発電機24に供給して冷却したが、この構成に限定されるものではない。エンジン11を冷却する冷却装置と軸受装置34を冷却する冷却装置が別々に独立して設けられていた場合、軸受装置34を冷却する冷却装置の冷却水の一部を発電機24に供給して冷却すればよい。
【0087】
このように第2実施形態の過給システムにあっては、電動機23や発電機24が連結されていない第2過給機30の軸受装置34を冷却する軸受冷却装置を設け、冷却器91は、軸受装置34を冷却する冷却水の一部を発電機24に導いて冷却している。
【0088】
従って、既存の設備の冷却水を用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0089】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の過給システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
第3実施形態の過給システムにおいて、図6に示すように、発電機24を冷却する冷却器101は、第2過給機30の軸受を潤滑する軸受潤滑装置における潤滑油の一部を発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第2過給機30は、第2コンプレッサ31と第2タービン32が回転軸33に連結されて構成され、回転軸33が軸受装置34により回転自在に支持されている。エンジン11は、第1エンジン潤滑油供給管102が軸受装置34まで延出されており、軸受装置34は、発電機24まで第2エンジン潤滑油供給管103が延出されており、第1エンジン潤滑油供給管102に冷却開閉弁104が設けられている。そして、発電機24は、エンジン11のオイルパン(図示略)に潤滑油を排出するエンジン潤滑油排出管105が設けられている。
【0091】
そのため、エンジン11の駆動時に、エンジン11の潤滑油が第1エンジン潤滑油供給管102から軸受装置34に供給されて潤滑される。このとき、冷却開閉弁104を開放すると、軸受装置34に供給された潤滑油が第2エンジン潤滑油供給管103から発電機24に供給されて冷却され、エンジン潤滑油排出管105によりオイルパンに排出される。
【0092】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器101を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に冷却開閉弁104を開放する。すると、軸受装置34の潤滑油の一部が第2エンジン潤滑油供給管103から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。
【0093】
なお、上述の説明では、エンジン11を潤滑する潤滑油を軸受装置34に供給し、この軸受装置34に供給された潤滑油を第2エンジン潤滑油供給管103により発電機24に供給して冷却したが、この構成に限定されるものではない。エンジン11を潤滑する潤滑装置と、軸受装置34を冷却する潤滑装置が別々に独立して設けられていた場合、軸受装置34を潤滑する潤滑装置の潤滑油の一部を発電機24に供給して冷却すればよい。
【0094】
このように第3実施形態の過給システムにあっては、電動機23や発電機24が連結されていない第2過給機30の軸受装置34を潤滑する軸受潤滑装置を設け、冷却器101は、軸受装置34を潤滑する潤滑油の一部を発電機24に導いて冷却している。
【0095】
従って、既存の設備の潤滑油を冷却媒体として用いることで、設備コストの増加を抑制することができる。
【0096】
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の過給システムを表す概略構成図、図8は、過給システムの作動方法を表すタイムチャートである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
第4実施形態の過給システムにおいて、図7に示すように、発電機24を冷却する冷却器111は、電動機23により第1過給機20の第1コンプレッサ21が駆動することで生成した圧縮空気の一部を発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第1過給機20は、第1コンプレッサ21と第1タービン22とを有し、第1コンプレッサ21の回転軸に電動機23が接続され、第1タービン22の回転軸に発電機24が接続されて構成されている。第1コンプレッサ21は、第1吸気管L1と第2吸気管L2が連結され、第2吸気管L2が第2過給機30の第2コンプレッサ31に連結されている。また、バイパス吸気管L5は、基端部が第1吸気管L1に連結され、他端部が第2吸気管L2に連結されている。
【0098】
冷却吸気管L11は、基端部が第2吸気管L2におけるバイパス吸気管L5の連結部より吸気の流れ方向の上流側に連結され、先端部が発電機24に連結されており、中途部に冷却開閉弁112が設けられている。また、発電機24は、冷却吸気管L11から供給された圧縮空気を外部に排出する排出管L12が連結されている。
【0099】
そのため、エンジン11の駆動時に、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転すると、第1吸気管L1から吸気した空気を圧縮した後、この圧縮空気を第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に供給する。このとき、冷却開閉弁112を開放すると、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気の一部が冷却吸気管L11から発電機24に供給されて冷却され、排出管L12から外部に排出される。
【0100】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器111を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に電動機23により第1コンプレッサ21を駆動すると共に、冷却開閉弁112を開放する。すると、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気の一部が冷却吸気管L11から発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。
【0101】
本実施形態の過給システムの作動について詳細に説明すると、図7及び図8に示すように、時間t1にて、エンジン11が始動し、エンジンの要求負荷が上昇すると、吸気開閉弁25を閉止する一方、排気開閉弁26を開放し、第1過給機20の電動機23を駆動して第1コンプレッサ21を駆動回転する。一方、冷却開閉弁112を閉止して冷却器111の作動を停止する。すると、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転することで第1吸気管L1から空気が吸引され、この第1コンプレッサ21が空気を圧縮した後、この圧縮空気として第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に通して吸気マニホールド12からエンジン11の燃焼室に供給する。エンジン11は、各燃焼室で燃料と圧縮空気の混合気に点火して燃焼することで駆動し、排気ガスが排気マニホールド13に排出される。排気マニホールド13から第3排気管L8を排出された排気ガスは、第2過給機30の第2タービン32を駆動回転し、第2コンプレッサ31を駆動回転する。第2タービン32を駆動回転した排気ガスは、第1排気管L3からバイパス排気管L6を通して外部に排出される。そのため、エンジン11の始動時は、第1過給機20の第1タービン22は回転を停止している。
【0102】
このとき、電動機23の回転数が増加(図8の一点鎖線)することで第1コンプレッサ21の回転数が増加し、吸気量及び排気ガス量が増加することで第2過給機30の回転数が徐々に増加する。時間t2にて、第1過給機20の第1コンプレッサ21の回転数が一定となり、エンジン負荷が所定値となった時間t3にて、電動機23の駆動を停止(図8の一点鎖線)すると第1コンプレッサ21の回転が低下し、電動機23の駆動を停止した時間t4にて、吸気開閉弁25を開放する。すると、空気は第1吸気管L1からバイパス吸気管L5を通って第2コンプレッサ31に吸引され、第2過給機30だけが駆動することとなる。
【0103】
その後、時間t5にて、エンジン負荷が予め設定されて所定値を超えると、排気開閉弁26を閉じ、第2タービン32からの排気ガスが第1排気管L3を通って第1タービン22に導入される。すると、この排気ガスにより第1タービン22が駆動回転し、時間t6にて、発電機24が駆動回転を開始(図8の一点鎖線)する。そして、時間t7にて、第1タービン22の回転数が予め設定された所定回転数に到達すると、電動機23により第1コンプレッサ21を駆動回転すると共に、吸気開閉弁25を閉止し、冷却開閉弁112を開放する。すると、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気の一部が冷却吸気管L11から発電機24に供給され、この発電機24が冷却される。時間t8にて、エンジン負荷が一定値となり、時間t9にて、第2過給機30の回転数が一定値になると、この状態が継続される。
【0104】
エンジンの要求負荷が低下すると、時間t10にて、第1タービン22及び第2過給機30の回転数が低下し、エンジン負荷も低下する。ここで、電動機23により第1コンプレッサ21の駆動回転を停止すると共に、吸気開閉弁25を開放し、冷却開閉弁112を閉止し、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気の一部を冷却吸気管L11から発電機24に供給することを停止し、この発電機24の冷却が停止される。時間t11にて、発電機24の回転が停止(図8の一点鎖線)すると、時間t12にて、排気開閉弁26を開放し、第2タービン32を駆動回転した排気ガスは、第1排気管L3からバイパス排気管L6を通して外部に排出される。その後、時間t13にて、エンジン11が停止する。
【0105】
なお、第4実施形態にて、第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、吸気開閉弁25を閉止し、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気の一部を冷却吸気管L11から発電機24に供給するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、第2吸気管L2における冷却吸気管L11の連結部とバイパス吸気管L5の連結部との間に開閉弁を設け、第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、吸気開閉弁25を開放し、吸気をバイパス吸気管L5により第2コンプレッサ31に供給すると共に、第1コンプレッサ21が圧縮した圧縮空気を冷却吸気管L11から発電機24に供給するように構成してもよい。
【0106】
このように第4実施形態の過給システムにあっては、冷却器111は、電動機23により駆動する第1コンプレッサ21により加圧された吸気の一部を発電機24に導いて冷却している。
【0107】
従って、一部の冷却吸気管L11を増設すればよく、設備コストの増加を抑制することができる。
【0108】
[第5実施形態]
図9は、第5実施形態の過給システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0109】
第5実施形態の過給システムにおいて、図9に示すように、発電機24を冷却する冷却器121は、電動機23により第1過給機20の第1コンプレッサ21が駆動することで発生した吸引力により外気を吸引して発電機24に導いて冷却するものである。即ち、第1過給機20は、第1コンプレッサ21と第1タービン22とを有し、第1コンプレッサ21の回転軸に電動機23が接続され、第1タービン22の回転軸に発電機24が接続されて構成されている。
【0110】
冷却吸気管L13は、基端部が第1吸気管L1におけるバイパス吸気管L5の連結部より吸気の流れ方向の上流側に連結され、先端部が発電機24に連結されており、中途部に冷却開閉弁122が設けられている。また、発電機24は、冷却吸気管L13から作用する吸引力(負圧)により外部から空気を吸入する吸気管L14が連結されている。
【0111】
そのため、エンジン11の駆動時に、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転すると、第1吸気管L1から吸気した空気を圧縮した後、この圧縮空気を第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に供給する。このとき、冷却開閉弁122を開放すると、第1コンプレッサ21により発生された吸引力が第1吸気管L1から冷却吸気管L13を通して発電機24、吸気管L14に作用する。すると、吸気管L14は、端部が外部に開放されていることから、外部の空気を吸入して発電機24に供給して発電機24が冷却され、冷却吸気管L13を通して第1吸気管L1に供給される。
【0112】
制御装置50は、第1過給機20の第1タービン22を駆動した排気ガスにより発電機24が駆動するとき、冷却器121を作動する。つまり、制御装置50は、排気開閉弁26の閉止後に電動機23により第1コンプレッサ21を駆動すると共に、冷却開閉弁122を開放する。すると、第1コンプレッサ21により発生された吸引力が第1吸気管L1から冷却吸気管L13を通して発電機24、吸気管L14に作用し、外部の空気が吸気管L14から吸入されて発電機24に供給され、この発電機24を冷却することができる。
【0113】
なお、上述した説明では、外部から吸入した空気を発電機24に供給して冷却したが、この構成に限定されるものではない。図10は、第5実施形態の第1変形例の過給システムを表す概略構成図、図11は、第5実施形態の第2変形例の過給システムを表す概略構成図である。
【0114】
第5実施形態の第1変形例において、図10に示すように、発電機24を冷却する冷却器131は、電動機23により第1過給機20の第1コンプレッサ21が駆動することで発生した吸引力により外気を吸引して発電機24と電動機23に導いて冷却するものである。即ち、冷却吸気管L15は、基端部が第1吸気管L1におけるバイパス吸気管L5の連結部より吸気の流れ方向の上流側に連結され、先端部が2つに分岐し、一つが発電機24に連結され、もう一つが電動機23に連結されており、中途部に冷却開閉弁132が設けられている。また、発電機24と電動機23は、冷却吸気管L15から作用する吸引力(負圧)により外部から空気を吸入する吸気管L16,L17が連結されている。
【0115】
そのため、エンジン11の駆動時に、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転すると、第1吸気管L1から吸気した空気を圧縮した後、この圧縮空気を第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に供給する。このとき、冷却開閉弁132を開放すると、第1コンプレッサ21により発生された吸引力が第1吸気管L1から冷却吸気管L15を通して発電機24及び吸気管L16、電動機23及び吸気管L17に作用する。すると、吸気管L16は、端部が外部に開放されていることから、外部の空気を吸入して発電機24に供給して発電機24が冷却され、冷却吸気管L15を通して第1吸気管L1に供給される。また、吸気管L17は、端部が外部に開放されていることから、外部の空気を吸入して電動機23に供給して電動機23が冷却され、冷却吸気管L15を通して第1吸気管L1に供給される。
【0116】
また、第5実施形態の第2変形例において、図11に示すように、発電機24を冷却する冷却器141は、電動機23により第1過給機20の第1コンプレッサ21が駆動することで発生した吸引力により外気を吸引して発電機24と電動機23に導いて冷却するものである。即ち、冷却吸気管L18は、基端部が第1吸気管L1におけるバイパス吸気管L5の連結部より吸気の流れ方向の上流側に連結され、先端部が電動機23に連結され、中途部に冷却開閉弁142が設けられている。また、電動機23は、連結管L19により発電機24に連結されている。また、発電機24は、冷却吸気管L18及び連結管L19から作用する吸引力(負圧)により外部から空気を吸入する吸気管L20が連結されている。
【0117】
そのため、エンジン11の駆動時に、電動機23により第1コンプレッサ21が駆動回転すると、第1吸気管L1から吸気した空気を圧縮した後、この圧縮空気を第2吸気管L2から第2過給機30の第2コンプレッサ31に供給する。このとき、冷却開閉弁142を開放すると、第1コンプレッサ21により発生された吸引力が第1吸気管L1から冷却吸気管L18を通して電動機23に作用し、連結管L19を介して発電機24及び吸気管L20に作用する。すると、吸気管L20は、端部が外部に開放されていることから、外部の空気を吸入して発電機24に供給して発電機24が冷却され、連結管L19を通して電動機23に供給して電動機23が冷却され、冷却吸気管L18を通して第1吸気管L1に供給される。
【0118】
このように第5実施形態の過給システムにあっては、冷却器121,131,141は、電動機23が連結された第1コンプレッサ21による吸引力により外気を吸引し、吸引した空気を発電機24に導いて冷却している。
【0119】
従って、一部の冷却吸気管L13,L15,L18を増設すればよく、設備コストの増加を抑制することができる。
【0120】
なお、上述した実施形態にて、制御装置50は、エンジン11が高負荷運転状態となり、排気開閉弁26を閉止することで排気ガスを第1タービン22に導入し、所定時間が経過して第1タービン22の回転数が所定回転数に到達すると、冷却器51,71,81,91,101,111,121,131,141を作動するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、制御装置50は、排気開閉弁26を閉止することで排気ガスを第1タービン22に導入し、タイマにより設定された所定時間が経過すると、冷却器51,71,81,91,101,111,121,131,141を作動するように構成してもよい。また、制御装置50は、排気開閉弁26を閉止することで排気ガスを第1タービン22に導入すると同時に、冷却器51,71,81,91,101,111,121,131,141を作動するように構成してもよい。更に、制御装置50は、発電機24が作動しているときだけ、冷却器51,71,81,91,101,111,121,131,141を作動するように構成したが、発電機24が排気系統の近傍に配置されていることから、発電機24が作動していないときも、つまり、常時、冷却器51,71,81,91,101,111,121,131,141を作動して発電機24を冷却するように構成してもよい。
【0121】
また、上述した実施形態にて、第1過給機20の第1コンプレッサ21の軸端に電動機23を連結し、第1タービン22の軸端に発電機24を連結したが、第2過給機30の第2コンプレッサ31の軸端に電動機23を連結し、第2タービン32の軸端に発電機24を連結してもよい。また、第1過給機20を低圧過給機とし、第2過給機30を高圧過給機としたが、第1過給機20を高圧過給機とし、第2過給機30を低圧過給機としてもよい。
【符号の説明】
【0122】
11 エンジン(内燃機関)
20 第1過給機
21 第1コンプレッサ
22 第1タービン
23 電動機
24 発電機
25 吸気開閉弁
26 排気開閉弁
30 第2過給機
31 第2コンプレッサ
32 第2タービン
33 回転軸
34 軸受装置
35 AC/DG/ACコンバータ(変換機)
36 蓄電器
41 インタークーラ
42,61 ラジエータ
43 第1エンジン冷却水供給管(内燃機関冷却ライン)
44 第2エンジン冷却水供給管(内燃機関冷却ライン)
51,71,81,91,101,111,121,131,141 冷却器
52,82 第3エンジン冷却水供給管
53,83 第4エンジン冷却水供給管
54,74,85,96,104,112,122,132,142 冷却開閉弁
62 第1インタークーラ冷却水供給管(インタークーラ冷却ライン)
63 第2インタークーラ冷却水供給管(インタークーラ冷却ライン)
72 第3インタークーラ冷却水供給管
73 第4インタークーラ冷却水供給管
84,92 第5エンジン冷却水供給管
93 第6エンジン冷却水供給管
94 第7エンジン冷却水供給管
95 第8エンジン冷却水供給管
102 第1エンジン潤滑油供給管
103 第2エンジン潤滑油供給管
L1 第1吸気管(第1吸気ライン)
L2 第2吸気管(第2吸気ライン)
L3 第1排気管(第1排気ライン)
L4 第2排気管(第2排気ライン)
L5 バイパス吸気管(バイパス吸気ライン)
L6 バイパス排気管(バイパス排気ライン)
L7 第3吸気管(第3吸気ライン)
L8 第3排気管(第3排気ライン)
L11,L13,L15,L18 冷却吸気管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11