(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記PWM出力の変化タイミングを検出し、前記変化タイミングから計測する所定の時間内に入力されるAD変換開始トリガ入力を、前記変化タイミングから計測する所定の時間後、AD変換回路へのAD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御装置。
前記AD変換開始トリガ入力の入力から任意の時間が経過し、前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御装置。
前記変化タイミングから計測する所定の時間内に前記AD変換開始トリガ入力が任意の設定回数までカウントされて前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御装置。
前記AD変換開始トリガ入力はAD変換回路へのAD変換サンプルホールド制御信号として出力し、前記AD変換サンプルホールド制御信号は、AD変換回路のサンプルホールド時間を前記所定の時間延長する
ことを特徴とする請求項2に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御装置。
前記各変換装置は、モータを制御する前記インバータ装置であるか、あるいはAC−DC変換、DC−DC変換、DC−AC変換、およびAC−AC変換のいずれかを制御する前記コンバータ装置である
ことを特徴とする請求項12記載のパワー制御システム。
PWM出力の変化タイミングを検出し、前記変化タイミングから計測する所定の時間内に入力されるAD変換開始トリガ入力を、前記変化タイミングから計測する所定の時間後、AD変換回路へのAD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項14に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御方法。
前記AD変換開始トリガ入力の入力から任意の時間が経過し、前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項15に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御方法。
前記変化タイミングから計測する所定の時間内に前記AD変換開始トリガ入力が任意の設定回数までカウントされて前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力する
ことを特徴とする請求項15に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御方法。
前記AD変換開始トリガ入力は、AD変換回路へのAD変換サンプルホールド制御信号として出力し、前記AD変換サンプルホールド制御信号は、前記所定の時間だけ前記AD変換回路のサンプルホールド時間を延長する
ことを特徴とする請求項15に記載のPWM出力とAD変換の競合回避制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータ用のパワー素子をPWM出力で制御すると、PWM出力の変化タイミングでパワー素子のスイッチングノイズが発生し、そのスイッチングノイズはAD変換回路の入力に伝播するため、AD変換はPWM出力の変化タイミングを避けることが望ましい。
【0006】
しかしながら、複数モータの位置検出用にそれぞれAD変換回路を搭載し、並列処理することで、複数モータのインバータ制御を実現する場合、異なる周期の複数のPWM出力の各々の変化タイミングでパワー素子のスイッチングノイズが発生する。
【0007】
1つのモータ用のPWM出力とAD変換回路であれば、ある1つの周期を有するPWM出力の変化タイミングに対してAD変換回路の変換開始タイミングを競合しないようにすることは容易であるが、異なる周期の複数のPWM出力の各々の変化タイミングは周期が一定ではなく、AD変換回路の変換開始タイミングと競合しないようにすることは困難である。
【0008】
これは複数モータ用に1つのAD変換回路が搭載される場合でも同様である。
【0009】
本開示の目的は、上記従来の問題点を解決し、複数モータのインバータ制御を実現する場合でも、パワー素子のスイッチングノイズが伝播するタイミングを避けたAD変換を容易に実現することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の一局面に従ったPWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法は、PWM出力の変化タイミングを検出し、入力されたAD変換開始トリガのAD変換回路への出力を前記変化タイミングから計測する所定の時間内は禁止するものである。
【0011】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記PWM出力の変化タイミングを検出し、前記変化タイミングから計測する所定の時間内に入力されるAD変換開始トリガ入力を、前記変化タイミングから計測する所定の時間後、AD変換回路へのAD変換開始トリガ出力として出力してもよい。
【0012】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記所定の時間は、任意に設定してもよい。
【0013】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記PWM出力を含む複数のPWM出力のそれぞれの変化タイミングを検出し、入力されたAD変換開始トリガのAD変換回路への出力を前記複数の変化タイミングから計測する所定の時間内は禁止してもよい。
【0014】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記複数のPWM出力ごとに時間を計測してもよい。
【0015】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記PWM出力の、立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジの少なくとも一方を検出することで前記変化タイミングの検出を行ってもよい。
【0016】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記AD変換開始トリガ入力の入力から第2の任意の時間が経過し、前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力してもよい。
【0017】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置において、前記AD変換開始トリガ入力の入力から第2の任意の時間が経過し、前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を無効化してもよい。
【0018】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記AD変換開始トリガ入力の入力から第2の任意の時間が経過した場合、前記AD変換開始トリガ入力を無効化してもよい。
【0019】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記第2の任意の時間が経過する前に、前記AD変換開始トリガ入力の変化が任意の設定回数カウントされた場合、前記AD変換開始トリガ入力を無効化してもよい。
【0020】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法において、前記変化タイミングから計測する所定の時間内に前記AD変換開始トリガ入力が任意の設定回数までカウントされて前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を前記AD変換開始トリガ出力として出力してもよい。
【0021】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置において、前記変化タイミングから計測する所定の時間内に前記AD変換開始トリガ入力が任意の設定回数までカウントされて前記AD変換開始トリガ入力が出力されていない場合、前記AD変換開始トリガ入力を無効化してもよい。
【0022】
また、上記PWM出力とAD変換の競合回避制御装置において、前記AD変換開始トリガ入力はAD変換回路へのAD変換サンプルホールド制御信号として出力し、前記AD変換サンプルホールド制御信号は、AD変換回路のサンプルホールド時間を前記所定の時間延長してもよい。
【0023】
また、本開示の別の一局面に従ったPWM出力とAD変換の競合回避制御装置およびPWM出力とAD変換の競合回避制御方法は、複数のPWM出力のそれぞれの変化タイミングを検出し、前記複数の変化タイミングから計測する所定の時間内に入力されるAD変換開始トリガ入力を無効化するものである。
【0024】
また、本開示の別の一局面に従ったPWM出力とAD変換の競合回避制御方法は、複数のPWM出力のそれぞれの変化タイミングを検出し、前記複数の変化タイミングから計測する所定の時間内に入力されるAD変換開始トリガ入力を遅延させてAD変換回路へのAD変換サンプルホールド制御信号として出力し、前記AD変換サンプルホールド制御信号は、前記任意の時間だけAD変換回路のサンプルホールド時間を延長するものである。
【0025】
また、本開示の一局面に従ったパワー制御システムは、複数の変換装置と、上記いずれかの競合回避制御装置を有し、前記各変換装置を制御するマイクロコンピュータとを備え、 前記マイクロコンピュータは、前記各変換装置を制御するPWM出力とAD変換の競合を回避するように制御するものである。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、複数モータのインバータ制御を実現する場合でも、別周期の複数のPWM出力の変化タイミングを避けてAD変換を行なうことが可能となり、AD変換回路の変換精度劣化の一要因である複数のPWM出力の変化ノイズ、ひいては複数のモータ用のパワー素子のスイッチングノイズの伝播の影響を低減することが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について、
図1〜14を用いて説明するが、特に必要な場合以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。また、一度登場した信号等はそれ以降は参照符号のみで参照する。
【0029】
≪実施の形態1≫
図1は本開示の実施の形態1に係る競合回避制御装置の構成例を示している。競合回避制御装置1は、PWM回路A100のPWM出力A101と、PWM回路B110のPWM出力B111と、AD変換開始トリガ入力120を入力とし、AD変換回路130へ入力されるAD変換開始トリガ出力140を出力する。
【0030】
PWM出力A101とPWM出力B111はそれぞれ、1信号(1相)であっても良いし、複数信号の束(例えば、3信号(3相)の束)であっても良いが、1つのPWM回路に対応するPWM出力本数の変更は単なる設計事項であるので、以下の説明、および図面では、説明の簡略化のためにPWM出力を1つのまとまった線で表わしている。
【0031】
競合回避制御装置1の内部には、PWM出力A101とPWM出力B111の変化タイミングを入力としPWM出力A101とPWM出力B111のいずれかの変化タイミングから所定の時間以下の状態(以下、PWM競合状態とする)であることを示すPWM競合状態信号40を出力するPWM変化検出回路2と、PWM競合状態信号40がPWM競合状態を示しているときにAD変換開始トリガ入力120が入力された場合にAD変換とPWMとの競合状態(以下、AD/PWM競合状態とする)であるという意味を持つAD/PWM競合状態信号60を出力するAD/PWM競合検出回路50と、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態を示すときにはAD変換開始トリガ入力120をAD/PWM競合状態でなくなる(以下、AD/PWM非競合状態とする)までの任意の時間だけ遅延させた信号をAD変換開始トリガ出力140として出力するか、またはAD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルして(無効化して)AD変換を開始させないようにする一方、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態ではない状態を示すときにはAD変換開始トリガ入力120を遅延やキャンセルなどの加工をせずにAD変換開始トリガ出力140として出力するAD変換開始制御回路70を備える。
【0032】
PWM変化検出回路2内部は、PWM出力A101とPWM出力B111のいずれかの変化タイミングを検出する変化タイミング検出回路10と、時間計測回路30で構成される。時間計測回路30は、変化タイミング検出回路10でPWM出力A101とPWM出力B111のいずれかの変化が検出された場合に出力される変化タイミング検出信号20を入力として、変化タイミング検出信号20の変化を開始時刻とする任意の時間を計測する。
【0033】
ここでPWM出力A101とPWM出力B111のいずれかの変化タイミングとは、PWM出力A101とPWM出力B111の各出力(複数本のPWMの場合、複数本の各々の出力)の立ち上がりエッジ(ポジエッジ)と立ち下がりエッジ(ネガエッジ)の少なくともいずれか一方を検出したタイミングを意味し、また、時間計測回路30で計測される任意の時間は、PWM出力A101もしくはPWM出力B111が制御するモータ駆動用トランジスタ回路の素子特性も考慮してAD変換回路130へのノイズの影響を低減させ得る時間として設定されるものである。
【0034】
時間計測回路30は、専用のカウンタ回路であっても、タイマカウント機能を有する汎用のカウンタ回路であって、それをソフトウェアで制御するものでも良い。
【0035】
なお、
図1では、説明の簡略化のために、AD変換回路130、および対応するAD変換開始トリガ入力120とAD変換開始トリガ出力140が1つの例で記載しているが、複数のAD変換回路、および対応する複数のAD変換開始トリガ入力と複数のAD変換開始トリガ出力(複数のAD変換回路系)を備えていても良く、複数のAD変換回路系それぞれに対して、AD/PWM競合検出回路50とAD変換開始制御回路70に相当する機能を有することでもよい。
【0036】
図2(a)は、
図1の競合回避制御装置の動作を示すフローチャートの一つの例を示しており、AD変換開始トリガ入力120が入力された場合にAD/PWM競合状態である場合に、AD変換開始トリガ入力120をAD/PWM競合状態でなくなるまでの任意の時間だけ遅延させた信号をAD変換開始トリガ出力140として出力する動作を示す。
【0037】
ステップS200では、競合回避制御装置1にAD変換開始トリガ入力120が入力される。
【0038】
ステップS201では、AD変換開始トリガ入力120が入力されたとき、もしくは後述ステップS202でAD/PWM競合状態を示す場合に、PWM競合状態信号40の出力が、PWM競合状態を示しているかどうかを判断する。PWM競合状態信号40の出力がPWM競合状態を示しているかどうかの判断動作については、後述する。
【0039】
ステップS202では、ステップS201においてYESである場合(PWM競合状態である場合)に、AD/PWM競合状態信号60の出力を、AD/PWM競合状態とし、任意の時間だけAD変換開始トリガ入力120を遅延させる。
【0040】
ステップS203では、ステップS201においてNOである場合(PWM競合状態でない場合)、AD変換開始トリガ出力140を出力し、AD変換を開始する。
【0041】
図2(b)は、
図1の競合回避制御装置の動作を示すフローチャートの別の例を示しており、AD変換開始トリガ入力120が入力された場合にAD/PWM競合状態である場合に、またはAD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルしAD変換を開始させないようにする動作を示す。
【0042】
図2(a)と同じ記号を用いるステップは、
図2(a)と同じステップを表わし、
図2(a)と異なる記号のステップについてのみ、以下説明をする。
【0043】
ステップS204では、ステップS202でAD/PWM競合状態を示す場合に、AD変換開始トリガ入力120をキャンセルし、AD変換を行なわず、動作を終了する。
【0044】
図3は、
図1のPWM変化検出回路2の動作の一例を示している。
【0045】
ステップS300aでは、PWM出力A101の変化タイミングを検出している。PWM出力A101の変化を検出した場合、次のステップS301aに進み、検出しない場合、PWM出力A101の変化タイミングを検出するまで検出動作を続ける。
【0046】
ステップS300bでは、PWM出力B111の変化タイミングを検出している。PWM出力B111の変化を検出した場合、次のステップS301bに進み、検出しない場合、PWM出力B111の変化タイミングを検出するまで検出動作を続ける。
【0047】
ステップS301aでは、PWM出力A101の変化を検知した状態を示す。
【0048】
ステップS301bでは、PWM出力B111の変化を検知した状態を示す。
【0049】
ステップS302では、ステップS301aまたはステップS301bにおいて、PWM出力A101またはPWM出力B111のいずれかの変化が検出された場合に変化タイミング検出信号20を出力する。
【0050】
ステップS303では、ステップS302で変化タイミング検出信号20の出力変化を開始時刻として、任意の時間を計測し、計測中の期間中にPWM競合状態信号40の出力を“PWM競合状態”とする。
【0051】
PWM競合状態信号40の出力の例として、論理“1”の場合を“PWM競合状態”、論理“0”の場合を“PWM非競合状態”とすることが考えられる。
【0052】
ステップS304では、任意の時間の計測後、PWM競合状態信号40の出力を“PWM非競合状態“とする。
【0053】
ここで、例えばPWM出力A101の変化を検出してPWM競合状態信号40が出力されている状態のときにPWM出力B111の変化を更に検出した場合、PWM出力B111の変化を更に検出した時点から、任意の時間の計測を再度開始する。逆に、例えばPWM出力B111の変化を検出してPWM競合状態信号40が出力されている状態のときにPWM出力A101の変化を更に検出した場合、PWM出力A101の変化を更に検出した時点から、任意の時間の計測を再度開始する。
【0054】
なお、任意の時間の計測手段は、タイマカウンタなどのハードウェア制御によるものでもよいし、割り込み処理やループ処理などのソフトウェア制御によるものでもよい。
【0055】
図4は、
図1の競合回避制御装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0056】
時刻T0では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、PWM出力A101、PWM出力B111のいずれも変化がない状態(=PWM非競合状態)であるため、AD変換開始トリガ入力120がそのままAD変換開始トリガ出力140として出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0057】
時刻T1では、PWM出力A101が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0058】
時刻T2では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD変換開始トリガ出力140は変化させない。
【0059】
時刻T3では、任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。ここで、AD変換開始トリガ出力140が出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0060】
時刻T4では、PWM出力B111が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0061】
時刻T5では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD変換開始トリガ出力140は変化させない。
【0062】
時刻T6では、任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。ここで、AD変換開始トリガ出力140が出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0063】
図5は、
図1の競合回避制御装置の動作の別の例を示すタイミングチャートである。
【0064】
時刻T0では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、PWM出力A101、PWM出力B111のいずれも変化がない状態(=PWM非競合状態)であるため、AD変換開始トリガ入力120がそのままAD変換開始トリガ出力140として出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0065】
時刻T1では、PWM出力A101が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0066】
時刻T2では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD変換開始トリガ出力140は変化させない。
【0067】
時刻T3では、時刻T1から開始した任意の時間の計測が完了する前に、PWM出力B111が変化する場合を示しており、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、時刻T3から新たに任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。従って、時刻T1から続く“PWM競合状態”がそのまま続くことになる。
【0068】
時刻T4では、時刻T3から開始した任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。ここで、AD変換開始トリガ出力140が出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0069】
図6は、
図1の競合回避制御装置の動作のさらに別の例を示すタイミングチャートである。
【0070】
時刻T0では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、PWM出力A101、PWM出力B111のいずれも変化がない状態(=PWM非競合状態)であるため、AD変換開始トリガ入力120がそのままAD変換開始トリガ出力140として出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0071】
時刻T1では、PWM出力A101が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0072】
時刻T2では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態となり、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルする。
【0073】
時刻T3では、任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。
【0074】
時刻T4では、PWM出力B111が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0075】
時刻T5では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態となり、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルする。
【0076】
時刻T6では、任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。
【0077】
図7は、
図1の競合回避制御装置の動作のさらに別の例を示すタイミングチャートである。
【0078】
時刻T0では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、PWM出力A101、PWM出力B111のいずれも変化がない状態(=PWM非競合状態)であるため、AD変換開始トリガ入力120がそのままAD変換開始トリガ出力140として出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0079】
時刻T1では、PWM出力A101が変化することにより、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。
【0080】
時刻T2では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態となり、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルする。
【0081】
時刻T3では、時刻T1から開始した任意の時間の計測が完了する前に、PWM出力B111が変化する場合を示しており、PWM変化検出回路2で変化タイミング検出信号20が生成され、時刻T3から新たに任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号40を“PWM競合状態”として出力する。従って、時刻T1から続く“PWM競合状態”がそのまま続くことになる。
【0082】
時刻T4では、時刻T3から開始した任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号40が“PWM非競合状態”となる。
【0083】
なお、上記実施の形態1では競合回避制御装置1について説明したが、
図2および
図3のフローチャートで示される機能をソフトウェアで実現しても良い。
【0084】
≪実施の形態2≫
図8は本開示の実施の形態2に係る競合回避制御装置の構成例を示している。実施の形態1との違いは、PWM出力A101とPWM出力B111の各々の変化タイミング検出回路及び時間計測回路を独立に有していることであり、以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0085】
競合回避制御装置1の内部には、PWM出力A101とPWM出力B111の変化タイミングを入力としPWM出力A101とPWM出力B111のいずれかの変化タイミングから各々所定の時間内の状態(以下、PWM競合状態A、PWM競合状態Bとする)であることを示すPWM競合状態信号A40a、PWM競合状態信号B40bを出力するPWM変化検出回路3と、PWM競合状態信号A40aがPWM競合状態Aを示しているときまたはPWM競合状態信号B40bがPWM競合状態Bを示しているときにAD変換開始トリガ入力120が入力された場合にAD変換とPWMとの競合状態(AD/PWM競合状態)であるという意味を持つAD/PWM競合状態信号60を出力するAD/PWM競合検出回路50abを備える。その他の回路については、実施の形態1と差異はない。
【0086】
PWM変化検出回路3内部は、PWM出力A101の変化タイミングを検出する変化タイミング検出回路10aとPWM出力B111の変化タイミングを検出する変化タイミング検出回路10bと、変化タイミング検出回路10aでPWM出力A101の変化が検出された場合に出力される変化タイミング検出信号20aと、変化タイミング検出回路10bでPWM出力B111の変化が検出された場合に出力される変化タイミング検出信号20bと、変化タイミング検出信号20aの変化を開始時刻とする任意の時間を計測する時間計測回路30aと、変化タイミング検出信号20bの変化を開始時刻とする任意の時間を計測する時間計測回路30bで構成される。
【0087】
時間計測回路30aと時間計測回路30bで計測される任意の時間が異なるのは、PWM出力A101もしくはPWM出力B111が制御するモータ駆動用トランジスタ回路の素子特性の違いでAD変換回路130へ与えるノイズの影響が異なる場合に、ノイズを低減させ得る時間を別個に設定するためである。
【0088】
図9は、
図8の競合回避制御装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0089】
実施の形態1の
図4との違いは、PWM競合状態がPWM競合状態AとPWM競合状態Bの2種類あり、
図9の例では、PWM競合状態Aの時間よりもPWM競合状態Bの時間の方が長いということである。
【0090】
この場合、PWM競合状態AでAD変換開始トリガ入力120が入力された場合よりもPWM競合状態BでAD変換開始トリガ入力120が入力された場合の方が、AD変換開始トリガ入力120が入力されてからAD変換開始トリガ出力140が変化する時間がより多く遅延する。
【0091】
なお、本実施の形態2ではPWM競合状態Aの時間よりもPWM競合状態Bの時間の方が長い例を説明したが、PWM競合状態Aの時間よりPWM競合状態Bの時間の方が短くてもよい。
【0092】
図10は、
図8の競合回避制御装置の動作のさらに別の例を示すタイミングチャートである。
図9との違いは、先に“PWM競合状態”となったPWM競合状態Aの終了時刻が、後に“PWM競合状態”となったPWM競合状態Bの終了時刻よりもあとになっていることである。
【0093】
時刻T0では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、PWM出力A101、PWM出力B111のいずれも変化がない状態(=PWM非競合状態)であるため、AD変換開始トリガ入力120がそのままAD変換開始トリガ出力140として出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0094】
時刻T1では、PWM出力A101が変化することにより、PWM変化検出回路3で変化タイミング検出信号20aが生成され、任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号A40aを“PWM競合状態”として出力する。
【0095】
時刻T2では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD/PWM競合状態信号60がAD/PWM競合状態となり、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルする。
【0096】
時刻T3では、時刻T1から開始した任意の時間の計測が完了する前に、PWM出力B111が変化する場合を示しており、PWM変化検出回路3で変化タイミング検出信号20bが生成され、時刻T3から新たに任意の時間の計測を開始し、計測中にPWM競合状態信号B40bを“PWM競合状態”として出力する。
【0097】
時刻T4では、AD変換開始トリガ入力120が入力されるが、“PWM競合状態”であるため、AD/PWM競合状態信号60が時刻T2から引き続き“AD/PWM競合状態”となり、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルする。
【0098】
時間T5では、時刻T3から開始した任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号B40bは“PWM非競合状態”となるが、時刻T1から開始した任意の時間の計測が完了していないため、PWM競合状態信号A40aは“PWM競合状態”のままとなる。
【0099】
時刻T6では、時刻T1から開始した任意の時間の計測が完了し、PWM競合状態信号A40aが“PWM非競合状態”となり、AD/PWM競合状態信号60が“AD/PWM非競合状態”となり、ここで、時刻T2で入力されたAD変換開始トリガ入力120に対応するAD変換開始トリガ出力140が出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0100】
時刻T7では、時刻T4で入力されたAD変換開始トリガ入力120に対応するAD変換開始トリガ出力140が出力され、AD変換回路130がAD変換動作を行なう。
【0101】
つまり、複数のPWM出力の“PWM競合状態”が時間的に重なる場合、“PWM非競合状態”に変化するのが時間的にもっとも遅いほうの“PWM競合状態”が“AD/PWM競合状態信号60”を生成するのに用いられる“PWM競合状態”である。
【0102】
なお、上記実施の形態2では、時刻T2、時刻T4それぞれで入力されたAD変換開始トリガ入力120に対し、時刻T6、時刻T7それぞれでAD変換動作を開始しているが、時刻T2、時刻T4いずれかで入力されたAD変換開始トリガ入力120に対するAD変換動作をキャンセルしても良い。つまり、AD/PWM競合状態からAD/PWM非競合状態に移行後につき1回のAD変換動作を行なうようにしてもよい。
【0103】
≪実施の形態3≫
図11は本開示の実施の形態3に係る競合回避制御装置の構成例を示している。実施の形態1との違いは、実施の形態1でのAD変換開始トリガ出力140を、AD変換サンプルホールド制御信号150(以下、AD変換S/H制御信号150とする)として出力していることであり、以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0104】
実施の形態1の
図1のAD変換開始制御回路70と同じ機能を有するAD変換S/H制御回路80の出力をAD変換S/H制御信号150としてAD変換回路130に出力している。
【0105】
AD変換開始トリガ入力120自体は、競合回避制御回路4で遅延やキャンセルなどの加工をすることなくAD変換回路130に入力される。
【0106】
この構成によれば、AD変換開始トリガ入力120の入力によりAD変換回路130のAD変換動作自体は開始するが、任意の時間だけ遅延したAD変換S/H制御信号150に基づき、AD変換回路130のAD入力のサンプルホールド時間を延長させることができるため、AD変換回路130へのノイズの影響を低減させるという本願の目的が達せられる。
【0107】
≪実施の形態4≫
図12は本開示の実施の形態4に係る競合回避制御装置の構成例を示している。実施の形態1との違いは、実施の形態1でのAD変換開始制御回路70を、AD変換開始制御回路71としていることであり、以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0108】
AD変換開始制御回路71は、AD変換開始トリガ入力120の入力変化を開始タイミングとするカウンタ(図示せず)を備え、時間計測回路30で計測する任意の時間とは異なる第2の任意の時間を計測する。
【0109】
上記第2の任意の時間は、AD変換開始トリガ入力120が入力されてからAD変換回路130のAD変換動作の開始が行なわれなければならない規定時間以内に設定される。
【0110】
そして、AD変換開始トリガ入力120が入力されてから第2の任意の時間が経過したら、AD/PWM競合状態信号60の状態に関わらず、AD変換開始トリガ入力120をAD変換開始トリガ出力140として出力する。
【0111】
これにより、
図5で説明したような、複数のPWM出力が連続して変化することによる“AD/PWM競合状態”の連続状態が続いても、強制的にAD変換回路130のAD変換動作を開始することができ、AD変換動作が実行されないことを防止することが可能となる。
【0112】
≪実施の形態4の変形例1≫
本開示の実施の形態4の変形例1に係る競合回避制御装置について説明する。実施の形態4との違いは、AD変換開始制御回路71は、AD変換開始トリガ入力120の入力変化を開始タイミングとするカウンタ(図示せず)を備え、時間計測回路30で計測する任意の時間とは異なる第3の任意の時間を計測する。
【0113】
上記第3の任意の時間は、AD変換開始トリガ入力120が入力されてからAD/PWM競合状態になったあと、その後AD/PWM非競合状態になる前までの第3の任意の時間が経過したらAD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルしAD変換回路130のAD変換を開始させないようにする規定時間として設定される。
【0114】
これにより、AD変換開始トリガ入力120が入力されてからAD/PWM競合状態が長く続く場合に、その後AD/PWM非競合状態になる前までの第3の任意の時間が経過した時、時間が経過しすぎてその時点でのAD変換回路130のAD変換結果がシステムで不要と判断されるような場合に、無駄なAD変換動作をキャンセルすることが可能となる。
【0115】
≪実施の形態4の変形例2≫
本開示の実施の形態4の変形例2に係る競合回避制御装置について説明する。実施の形態4との違いは、AD変換開始制御回路71、AD変換開始トリガ入力120の入力の変化を任意の設定回数だけカウントするカウンタ(図示せず)を備える。
【0116】
そして、“AD/PWM競合状態”の状態下でAD変換開始トリガ入力120が任意の設定回数入力された場合、AD/PWM競合状態信号60の状態に関わらず、AD変換開始トリガ入力120をAD変換開始トリガ出力140として出力する。
【0117】
これにより、
図5で説明したような、複数のPWM出力が連続して変化することによる“AD/PWM競合状態”の連続状態が続いても、強制的にAD変換回路130のAD変換動作を開始することができ、AD変換動作が実行されないことを防止することが可能となる。
【0118】
≪実施の形態4の変形例3≫
本開示の実施の形態4の変形例3に係る競合回避制御装置について説明する。実施の形態4との違いは、AD変換開始制御回路71は、AD変換開始トリガ入力120の入力の変化を任意の設定回数だけカウントするカウンタ(図示せず)を備える。
【0119】
そして、“AD/PWM競合状態”の状態下でAD変換開始トリガ入力120が任意の設定回数入力された場合、AD/PWM競合状態信号60の状態に関わらず、AD変換開始トリガ出力140の出力そのものをキャンセルしAD変換回路130のAD変換を開始させないようにする。
【0120】
これにより、AD変換開始トリガ入力120が入力されてからAD/PWM競合状態が長く続く場合に、その後AD/PWM非競合状態になる前までにAD変換開始トリガ入力120が任意の設定回数入力された時、AD変換開始トリガ入力120をトリガとして行なうべきAD変換回路130のAD変換動作が複数回行なわれていないことでそれ以降のAD変換回路130のAD変換結果がシステムで不要と判断されるような場合に、無駄なAD変換動作をキャンセルすることが可能となる。
【0121】
≪実施の形態5≫
図13は本開示の実施の形態5に係るエアコン室外機に用いられるシステム構成例を示している。
【0122】
本実施の形態のエアコン室外機システムでは、AC電源をDC電圧に変換する際の力率を改善させるPFC制御回路1600と室外機のファンモータ1611を制御するファンモータ制御回路1601、室外機のコンプレッサモータ1612を制御するコンプレッサモータ制御回路1602をマイコン1603で制御している。
【0123】
前記PFC制御回路1600は、入力電圧、入力電流及び出力電圧をアナログ値としてAD変換器A1604に入力し、前記AD変換器A1604の変換結果により、PWM回路A1605の出力波形を決定し、前記PWM回路A1605のPWM出力によって出力電流と出力電圧を制御している。
【0124】
前記ファンモータ制御回路1601は、前記ファンモータ1611に流れる電流をアナログ値としてマイコンのAD変換器B1606に入力し、前記AD変換器B1606の変換結果により、PWM回路B1607の出力波形を決定し、前記PWM回路B1607のPWM出力によって前記ファンモータ1611の回転を制御している。
【0125】
前記コンプレッサモータ制御回路1602は、コンプレッサモータ電流をアナログ値としてマイコンのAD変換器C1608に入力し、前記AD変換器C1608の変換結果により、PWM回路C1609の出力波形を決定し、前記PWM回路C1609のPWM出力によって前記コンプレッサモータ1612の回転を制御している。
【0126】
前記PFC制御回路1600と前記ファンモータ制御回路1601と前記コンプレッサモータ制御回路1602は、それぞれ異なる個別の周期で制御されている。前記マイコン1603は実施の形態1から4に記載している競合回避制御装置1610を備えており、前記競合回避制御装置1610は、前記PFC制御回路1600と前記ファンモータ制御回路1601と前記コンプレッサモータ制御回路1602に使用される前記PWM回路A1605、前記PWM回路B1607、前記PWM回路C1609のPWM出力のそれぞれの変化タイミングを検出し、前記変化タイミングから計測する任意の時間内に入力されるAD変換器A1604、AD変換器B1606、AD変換器C1608のAD変換開始トリガ入力を遅延させてそれぞれのAD変換タイミングを変更する。
【0127】
これにより、前記PFC制御回路1600と前記ファンモータ制御回路1601と前記コンプレッサモータ制御回路1602を制御するPWM出力とAD変換の競合を回避することが可能となり、AD変換時にパワー素子のスイッチングノイズの影響を受けることなく安定した動作を実現することができる。
【0128】
なお、前記エアコン室外機システムだけではなく、洗濯機、冷蔵庫等の家電用途やACサーボ、汎用インバータ等の産業用途や駆動モータ、電動コンプレッサ等の車載用途に幅広く採用されているモータ制御システムにも有用である。
【0129】
≪実施の形態6≫
図14は本開示の実施の形態6に係るサーバ電源に用いられるシステム構成例を示している。
【0130】
本実施の形態のサーバ電源システムでは、AC電源をDC電圧に変換する際の力率を改善させるPFC制御回路1700と前記DC電圧を内部供給用のDC電圧に変換するフルブリッジDCDC制御回路1701を備え、前記PFC制御回路1700と前記フルブリッジDCDC制御回路1701をマイコン1702で制御している。
【0131】
前記PFC制御回路1700は、入力電圧、入力電流及び出力電圧をアナログ値としてAD変換器A1703に入力し、前記AD変換器A1703の変換結果により、PWM回路A1704の出力波形を決定し、前記PWM回路A1704のPWM出力によって出力電流と出力電圧を制御している。
【0132】
前記フルブリッジDCDC制御回路1701は、出力電流、出力電圧をアナログ値としてAD変換器B1705に入力し、前記AD変換器B1705の変換結果により、PWM回路B1706の出力波形を決定し、前記PWM回路B1706のPWM出力によって出力電圧を制御している。
【0133】
前記PFC制御回路1700と前記フルブリッジDCDC制御回路1701は、それぞれ異なる個別の周期で制御されている。
【0134】
前記マイコン1702は実施の形態1から4に記載している競合回避制御装置1707を備えており、前記競合回避制御装置1707は、前記PFC制御回路1700と前記フルブリッジDCDC制御回路1701に使用される前記PWM回路A1704、前記PWM回路B1607のPWM出力のそれぞれの変化タイミングを検出し、前記変化タイミングから計測する任意の時間内に入力されるAD変換器A1703、AD変換器B1705のAD変換開始トリガ入力を遅延させてそれぞれのAD変換タイミングを変更する。
【0135】
これにより、前記PFC制御回路1700と前記フルブリッジDCDC制御回路1701を制御するPWM出力とAD変換の競合を回避することが可能となり、AD変換時にパワー素子のスイッチングノイズの影響を受けることなく安定した動作を実現することができる。
【0136】
なお、前記サーバ電源システムだけではなく、太陽光発電やLED制御や充電器等の電源システムにも有用である。