(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記小形部の断面形状は、前記小形部の断面積が前記平行部の前記第1端部から前記標準部に向けて次第に大きくなるように、前記標準部の断面形状と相似形状である、請求項1に記載のタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、タイヤにおける一実施形態について、
図1〜
図13を参酌して説明する。なお、各図(
図14及び
図15も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビード2aを有する一対のビード部2と、各ビード部2からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部3のタイヤ径方向D2の外端部に連接され、トレッド面を構成するトレッド部4とを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤであって、リム100に装着される。
【0016】
図1において、タイヤ幅方向D1は、左右方向である。また、タイヤ径方向D2は、タイヤ1の直径方向であり、タイヤ周方向D3(
図1において図示していない)は、タイヤ回転軸周りの方向である。なお、
図1において、タイヤ径方向D2のうち、紙面と平行であるタイヤ径方向D2は、上下方向である。また、タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面は、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0017】
タイヤ1は、一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカス層5と、カーカス層5の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナー6とを備えている。カーカス層5及びインナーライナー6は、ビード部2、サイドウォール部3、及びトレッド部4に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0018】
カーカス層5は、本実施形態においては、1つのカーカスプライ5aで構成されている。該カーカスプライ5aは、ビード2aを巻き込むようにビード2aの周りで折り返されている。また、ビード部2は、外表面を構成すべく、カーカスプライ5aのタイヤ幅方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム2bを備えている。そして、サイドウォール部3は、外表面を構成すべく、カーカス層5のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム3aを備えている。
【0019】
トレッド部4は、地面と接するトレッド面(接地面)を構成すべく、カーカス層5の外周側に配置されるトレッドゴム7と、カーカス層5の外周側で且つトレッドゴム7の内周側に配置されるベルト層8とを備えている。本実施形態においては、ベルト層8は、二層のベルトプライ8a,8bを備えている。また、本実施形態においては、トレッドゴム7のタイヤ幅方向D1の端部は、サイドウォールゴム3aの端部に積層されている。即ち、本実施形態に係るタイヤ1は、サイド・オン・トレッドの構造である。
【0020】
ところで、タイヤ1は、タイヤ回転軸周りにタイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴムにより形成されるゴム部を備えている。本実施形態においては、当該ゴム部は、トレッドゴム7としている。そこで、まず、ゴム部を成形する成形装置70について、
図2を参酌して説明する。
【0021】
図2に示すように、成形装置70は、ゴムを押し出す押出部71と、押出部71から押し出されて形成される紐状のリボンゴム10が巻き付けられる巻付部72とを備えている。また、成形装置70は、押出部71及び巻付部72を制御する制御部73を備えている。
【0022】
押出部71は、リボンゴム10の断面形状が一定の形状となるように、ゴムを押し出している。そして、押出部71は、単位時間当たりのゴムの押し出し量が一定となるように、ゴムを押し出している。
【0023】
巻付部72は、円柱状に形成されており、軸周り(回転方向D4)に回転可能である。これにより、巻付部72は、回転することで、押し出されて成形されたリボンゴム10が外周部に巻き付けられる。また、巻付部72は、押出部71に対して、軸方向に相対変位可能である。本実施形態においては、巻付部72が、軸方向に移動可能である。
【0024】
なお、タイヤ周方向D3のうち、リボンゴム10が巻かれて進む方向は、巻き方向D31という。本実施形態においては、巻き方向D31は、タイヤ周方向D3のうち、巻付部72の回転方向D4と反対方向である。
【0025】
制御部73は、押出部71を制御することにより、リボンゴム10の押し出し量や、リボンゴム10の状態(例えば、温度等)を制御している。また、制御部73は、巻付部72を制御することにより、巻付部72の回転速度や、押出部71に対する巻付部72の位置を制御している。
【0026】
図3に示すように、リボンゴム10は、断面積が一定である標準部11と、標準部11の断面積より小さい断面積である小形部12とを備えている。なお、該標準部11の断面積が一定であるとは、断面積が完全に同じことだけでなく、略同じことも含んでおり、例えば、断面積を変更することを意図していない製造上の差異分を含んでいる。本実施形態においては、該標準部11の断面積が一定であるとは、例えば、設計上の標準の断面積に対して±10%程度の範囲を含んでいる。
【0027】
本実施形態においては、小形部12は、リボンゴム10の長さ方向の端部10a,10b側のみにそれぞれ配置されている。即ち、標準部11は、リボンゴム10の長さ方向において、一対の小形部12,12の間に配置されている。そして、小形部12の断面形状は、標準部11の断面形状と相似形状である。なお、「相似形状」とは、完全に相似である形状だけでなく、略相似である形状も含んでおり、例えば、肉眼で観察したときに、一見して相似という感性を与える形状を含んでいる。
【0028】
リボンゴム10の断面積は、端部10a,10bから次第に大きくなり、所定の境界位置13で標準部11となる。例えば、リボンゴム10の端部10a,10b(小形部12の先端)の断面積は、リボンゴム10の標準部11(小形部12の基端)の断面積の10〜60%であり、好ましくは、20%〜50%であり、本実施形態においては、50%としている。
【0029】
本実施形態においては、リボンゴム10の断面形状は、幅方向中央部が最大の厚みで、該中央部から両側端に向かって厚みが次第に薄くなる略三角形状としている。斯かる断面形状(標準部11の断面形状)においては、幅寸法が5〜50mmであり、幅方向中央部の厚み寸法が0.5〜3.0mmであり、幅方向両側端の厚み寸法が0.05〜0.2mmであることが、好ましい。
【0030】
なお、リボンゴム10の断面形状は、成形対象となるゴム部(トレッドゴム7)の形態に応じた種々の断面形状とすることができる。例えば、リボンゴム10の断面形状は、略台形状としてもよく、また、平板形状としてもよい。
【0031】
なお、成形装置70は、リボンゴム10を引き伸ばすためにリボンゴム10に付加する引張力を変更することで、巻き付けられるリボンゴム10の断面積を変更している。具体的には、巻付部72の回転速度を変更し、リボンゴム10に付加する引張力を変更することで、リボンゴム10の断面積を変更している。
【0032】
本実施形態においては、小形部12を成形する際の巻付部72の回転速度は、標準部11を成形する際の巻付部72の回転速度よりも、速い。即ち、巻付部72の回転速度は、形成するリボンゴム10の断面積が小さいほど、速く設定されている。そして、小形部12は、リボンゴム10を引き伸ばすことにより、形成されている。
【0033】
次に、成形装置70で成形されるゴム部(トレッドゴム7)について、
図4及び
図5を参酌して説明する。
【0034】
まず、巻付部72が押出部71に対して位置を固定している場合には、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に平行となるように、巻付部72に巻き付けられる。そして、巻付部72が押出部71に対して巻付部72の軸方向(タイヤ幅方向D1)で移動している場合には、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差するように、巻付部72に巻き付けられる。
【0035】
これにより、
図4及び
図5に示すように、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に平行となるように、巻付部72に巻き付けられる状態と、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差するように、巻付部72に巻き付けられる状態とを繰り返される。その結果、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1に進むように、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれる。
【0036】
このとき、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3に対して傾斜して交差するように、巻付部72に巻付けられることで、タイヤ幅方向D1に所定のピッチで送られている。該ピッチは、リボンゴム10の幅寸法よりも小さく設定されている。これにより、リボンゴム10同士がタイヤ幅方向D1で重なり合う。なお、該重なり量は、押出部71と巻付部72とのタイヤ幅方向D1における相対変位量を変更することで、変更できる。
【0037】
このようにして、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10は、タイヤ周方向D3と平行に配置される平行部と、タイヤ周方向D3に対して傾斜し、タイヤ幅方向D1の隣り合う二つの列に亘って配置される傾斜部と、を交互に備えることになる。また、リボンゴム10(傾斜部)のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、例えば、巻付部72の回転速度や、押出部71と巻付部72とのタイヤ幅方向D1における相対変位速度を変更することで、変更できる。
【0038】
なお、各傾斜部のタイヤ周方向D3の長さ(各傾斜部のタイヤ周方向D3の全周に対する割合)は、全て同じに設定されている。例えば、各傾斜部は、1/18周〜1/12周の長さ(巻付部72の回転角度が20°〜30°に相当する長さ)に設定されている。
【0039】
これにより、各傾斜部のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、全て同じに設定されている。例えば、傾斜角度は、45°以下に設定されている。なお、各傾斜部のタイヤ周方向D3の長さや、各傾斜部のタイヤ周方向D3に対する傾斜角度は、それぞれ異なっていてもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、リボンゴム10の第1端部10a、即ち、巻き始端(巻かれる際の始点となる端部)10aは、タイヤ幅方向D1の一方側(
図4及び
図5における右側)の端部に位置する。そして、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の他方側(
図4及び
図5における左側)に進むように、巻付部72に螺旋状に巻き付けられ、リボンゴム10の第2端部10b、即ち、巻き終端(巻かれる際の終点となる端部)10bは、タイヤ幅方向D1の他方側の端部に位置する。
【0041】
したがって、本実施形態においては、リボンゴム10は、タイヤ幅方向D1の進む方向が一方向(
図4及び
図5における左側)となるように、巻付部72に螺旋状に巻き付けられる。なお、リボンゴム10の巻き付け方法は、斯かる方法に限られない。例えば、リボンゴム10は、ゴム部(トレッドゴム7)のタイヤ幅方向D1の端部で折り返され、タイヤ幅方向D1の進む方向を一方側から他方側へ変更するように、巻付部72に螺旋状に巻き付けられてもよい。
【0042】
次に、ゴム部(トレッドゴム7)におけるリボンゴム10の巻き付け状態について、比較例と比較しつつ、
図6〜
図13を参酌して説明する。
【0043】
まず、比較例に係るリボンゴム10の巻き始端10a側の巻き付け状態について、
図6及び
図7を参酌して説明する。
【0044】
図6に示すように、比較例に係るトレッドゴム7においては、リボンゴム10の巻き始端10aは、外側1列目L1に位置している。また、比較例に係るリボンゴム10は、全長に亘って、一定の断面積である。そして、リボンゴム10は、外側1列目L1において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第1平行部31は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
【0045】
そして、
図7に示すように、リボンゴム10は、外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第1傾斜部21は、巻き方向D31において外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0046】
このとき、第1平行部31の巻き終端31b(第1傾斜部21の巻き始端21a)は、タイヤ周方向D3において、第1平行部31の巻き始端31aと同じ位置である。その後、リボンゴム10は、外側2列目L2において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第2平行部32は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
【0047】
このように、比較例に係るトレッドゴム7においては、外側1列目L1は、第1平行部31と第1傾斜部21の巻き始端21a側とで構成される。これにより、外側1列目L1において、第1平行部31と第1傾斜部21の巻き始端21a側とが重なることで、ゴムの余剰箇所(
図7における斜線領域A1)が発生する。したがって、外側1列目L1のゴム重量が、タイヤ周方向D3において、不均一になる。
【0048】
次に、本実施形態に係るリボンゴム10の巻き始端10a側の巻き付け状態について、
図8及び
図9を参酌して説明する。
【0049】
図8に示すように、本実施形態に係るトレッドゴム7においては、リボンゴム10の巻き始端10aは、外側1列目L1に位置している。そして、リボンゴム10は、外側1列目L1において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第1平行部31は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
【0050】
なお、第1平行部31の巻き始端31a側は、小形部12で構成されている。具体的には、第1平行部31において、所定の境界位置13よりも巻き方向D31と反対側は、小形部12で構成され、所定の境界位置13よりも巻き方向D31側は、標準部11で構成されている。そして、第1平行部31の断面積は、巻き始端31aから境界位置13に向けて、次第に大きくなっている。
【0051】
そして、
図9に示すように、リボンゴム10は、外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第1傾斜部21は、巻き方向D31において外側1列目L1から外側2列目L2に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。
【0052】
このとき、第1平行部31の巻き終端31b(第1傾斜部21の巻き始端21a)は、タイヤ周方向D3において、第1平行部31の巻き始端31aと同じ位置である。なお、「(タイヤ周方向D3において)同じ位置」とは、完全に同じ位置だけでなく、略同じ位置も含む。
【0053】
また、第1傾斜部21の巻き終端21bは、標準部11と小形部12との境界位置13よりも、巻き方向D31と反対側に位置している。これにより、第1傾斜部21のタイヤ周方向D3の長さは、小形部12のタイヤ周方向D3の長さよりも、短い。そして、第1傾斜部21の一部(巻き始端21a側)は、タイヤ径方向D2の外側から覆うように、第1平行部31の小形部12の一部と重なる。
【0054】
その後、リボンゴム10は、外側2列目L2において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第2平行部32は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。さらにその後、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3において同じ位置で、タイヤ周方向D3に傾斜して巻かれる状態と平行に巻かれる状態とを切り替えられる。
【0055】
このように、トレッドゴム7の一端側の外側1列目L1は、第1平行部31と、第1傾斜部21の巻き始端21a側とで構成される。ところで、
図10に示すように、小形部12においては、同じ長さの標準部11に対して、ゴムの不足箇所(
図10における斜線領域A2)が発生する。なお、
図10は、リボンゴム10の幅が狭いことで起因する、タイヤ幅方向D1のゴムの不足領域のみを斜線領域で図示しており、リボンゴム10の厚みが薄いことで起因する、タイヤ径方向D2のゴムの不足領域を図示していない。
【0056】
そこで、
図11に示すように、第1傾斜部21が外側1列目L1に位置する箇所(
図11における斜線領域A3)のゴム体積は、小形部12に起因するゴムの不足箇所A2のゴム体積と同じとしている。これにより、本実施形態に係るトレッドゴム7は、断面積が全長に亘って一定であるリボンゴム10で構成される比較例に対して、外側1列目L1において、ゴム重量がタイヤ周方向D3において不均一になることを抑制することができている。
【0057】
なお、「(ゴム体積が)同じ」とは、完全に同じことだけでなく、略同じ(例えば、±10%)ことも含んでいる。また、「傾斜部が所定の列(外側1列目L1)に位置するゴム体積」とは、例えば、所定の列L1のみに位置する箇所のゴム体積をいい、所定の列L1と隣の列L2との両方に位置する箇所(即ち、ピッチ送りによりリボンゴム10同士が重なり合う箇所)のゴム体積を除いている。
【0058】
次に、本実施形態に係るリボンゴム10の巻き終端10b側の巻き付け状態について、
図12及び
図13を参酌して説明する。
【0059】
図12に示すように、本実施形態に係るトレッドゴム7においては、タイヤ幅方向D1の内側から外側2列目L2まで、リボンゴム10は、タイヤ周方向D3において同じ位置で、タイヤ周方向D3に平行に巻かれる状態と傾斜して巻かれる状態とを切り替えられている。そして、リボンゴム10は、外側2列目L2において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれている。これにより、第2平行部52は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
【0060】
その後、リボンゴム10は、外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して巻かれる。これにより、第1傾斜部41は、巻き方向D31において外側2列目L2から外側1列目L1に向かうように、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される。そして、リボンゴム10は、外側1列目L1において、タイヤ周方向D3と平行に巻かれる。これにより、第1平行部51は、タイヤ周方向D3と平行に配置される。
【0061】
そして、
図13に示すように、第1平行部51の巻き終端51bは、タイヤ周方向D3において、第1平行部51の巻き始端51a(第1傾斜部41の巻き終端41b)と同じ位置である。また、第1傾斜部41の巻き始端41aは、標準部11と小形部12との境界位置13よりも、巻き方向D31側に位置している。なお、本実施形態に係るトレッドゴム7においては、リボンゴム10の巻き終端10bは、外側1列目L1に位置することになる。
【0062】
これにより、小形部12のタイヤ周方向D3の長さは、第1傾斜部41のタイヤ周方向D3の長さよりも、長い。そして、第1傾斜部41の一部(巻き終端41b側)は、タイヤ径方向D2の外側から覆われるように、第1平行部51の小形部12の一部と重なる。
【0063】
このように、トレッドゴム7の他端側の外側1列目L1は、第1傾斜部41の巻き終端41b側と、第1平行部51とで構成される。ところで、小形部12においては、同じ長さの標準部11に対して、幅が狭いこと及び厚みが薄いことで起因する、ゴムの不足箇所が発生する。
【0064】
そこで、第1傾斜部41が外側1列目L1に位置する箇所のゴム体積は、小形部12に起因するゴムの不足箇所のゴム体積と同じとしている。これにより、本実施形態に係るトレッドゴム7は、断面積が全長に亘って一定であるリボンゴム10で構成される比較例に対して、外側1列目L1において、ゴム重量がタイヤ周方向D3において不均一になることを抑制することができている。
【0065】
以上より、本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部(具体的には、トレッドゴム7)を備えるタイヤ1であって、前記リボンゴム10は、第1端部31a,51bが前記リボンゴム10の端部10a,10bであり、タイヤ幅方向D1の所定の列L1を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置される平行部31,51と、第1端部21a,41bが前記平行部31,51の第2端部31b,51aと連結され、タイヤ幅方向D1の前記所定の列L1からその隣の列L2に亘って、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置される傾斜部21,41と、を備え、前記平行部31,51は、前記第2端部31b,51aの断面積と同じ断面積である標準部11と、前記第1端部31a、51b側に配置され、前記標準部11の断面積より小さい断面積である小形部12と、を備え、前記平行部31,51の前記第1端部31a,51bと前記第2端部31b,51aとのタイヤ周方向D3の位置は、同じであり、前記傾斜部21,41の一部は、前記小形部12の一部と重なるように配置され、前記傾斜部21,41がタイヤ幅方向D1の前記所定の列L1に位置するゴム体積は、前記小形部12が同じ長さの前記標準部11に対して不足するゴム体積と同じである。
【0066】
斯かる構成によれば、平行部31,51の第1端部31a,51bがリボンゴム10の端部10a,10bであるため、平行部31,51の第1端部31a,51bは、リボンゴム10の巻き始端10a又は巻き終端10bとなる。そして、平行部31,51は、タイヤ幅方向D1の所定の列L1を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置されている。また、平行部31,51は、第2端部31b,51aの断面積と同じ断面積である標準部11と、第1端部31a,51b側に配置され、標準部11の断面積より小さい断面積である小形部12とを備えている。
【0067】
傾斜部21,41は、第1端部21a,41bが平行部31の第2端部31b,51aと連結され、タイヤ幅方向D1の所定の列L1からその隣の列L2に亘って、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置されている。そして、平行部31,51の第1端部31a,51bと第2端部31b,51aとのタイヤ周方向D3の位置は、同じであり、傾斜部31,51の一部は、小形部12の一部と重なるように配置されている。
【0068】
さらに、傾斜部21,41がタイヤ幅方向D1の所定の列L1に位置するゴム体積は、小形部12が同じ長さの標準部11に対して不足するゴム体積と同じである。これにより、平行部31,51が構成する所定の列L1において、ゴム重量がタイヤ周方向D3において不均一になることを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るタイヤ1においては、前記小形部12の断面形状は、前記小形部12の断面積が前記平行部31,51の前記第1端部31a,51bから前記標準部11に向けて次第に大きくなるように、前記標準部11の断面形状と相似形状である、という構成である。
【0070】
斯かる構成によれば、小形部12の断面形状が、標準部11の断面形状と相似形状であり、そして、小形部12の断面積が、平行部31,51の第1端部31a,51bから標準部11に向けて次第に大きくなっている。これにより、平行部31,51が構成する所定の列L1において、ゴム重量がタイヤ周方向D3において不均一になることを効果的に抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係るタイヤ1においては、前記平行部31は、巻き始端31aが前記リボンゴム10の巻き始端10aであり、タイヤ幅方向D1の所定の列L1を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置され、前記傾斜部21は、巻き始端21aが前記平行部31の巻き終端31bと連結され、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の前記所定の列L1からその隣の列L2に向かって、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置され、前記傾斜部21の一部は、タイヤ径方向D2の外側から覆うように、前記小形部12の一部と重なる、という構成である。
【0072】
また、本実施形態に係るタイヤ1においては、前記傾斜部41は、巻き方向D31においてタイヤ幅方向D1の前記隣の列L2から前記所定の列L1に向かって、タイヤ周方向D3に対して傾斜して配置され、前記平行部51は、巻き始端51aが前記傾斜部41の巻き終端41bと連結され、タイヤ幅方向D1の前記所定の列L1を構成すべく、タイヤ周方向D3と平行に配置され、そして、巻き終端51bが前記リボンゴム10の巻き終端10bであり、前記傾斜部41の一部は、タイヤ径方向D2の外側から覆われるように、前記小形部12の一部と重なる、という構成である。
【0073】
また、本実施形態に係るタイヤ1の製造方法は、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部(具体的には、トレッドゴム7)を備えるタイヤ1の製造方法であって、断面形状が一定である前記リボンゴム10を成形するように、ゴムを押し出すことと、回転する巻付部72に、押し出されて成形された前記リボンゴム10を巻き付けることと、を含み、前記リボンゴム10を引き伸ばすために前記リボンゴム10に付加する引張力を変更することで、前記巻き付けられるリボンゴム10の断面積を変更する。
【0074】
斯かる方法によれば、ゴムを押し出すことで、断面形状が一定であるリボンゴム10を成形し、押し出されて成形されたリボンゴム10を、回転する巻付部72に巻き付ける。これにより、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部(具体的には、トレッドゴム7)を備えるタイヤ1を製造できる。
【0075】
そして、リボンゴム10を引き伸ばすためにリボンゴム10に付加する引張力を変更することで、巻き付けられるリボンゴム10の断面積を変更する。これにより、形成するゴム部の形状に対応して、リボンゴム10の断面積を変更することで、ゴム重量が不均一になることを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態に係るタイヤ1の製造方法は、前記リボンゴム10に付加する引張力を変更すべく、前記巻付部72の回転速度を変更する、という方法である。
【0077】
斯かる方法によれば、巻付部72の回転速度を変更することで、リボンゴム10に付加する引張力を変更することができる。これにより、巻き付けられるリボンゴム10の断面積を容易に変更することができる。
【0078】
なお、タイヤ及びタイヤの製造方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、タイヤ及びタイヤの製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0079】
上記実施形態に係るタイヤ1においては、小形部12は、リボンゴム10の巻き始端10a側と巻き終端10b側の両方とにそれぞれ備えられる、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、小形部12は、リボンゴム10の巻き始端10a側又は巻き終端10b側の一方のみに備えられる、という構成でもよい。
【0080】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、リボンゴム10の端部10a,10b、即ち、小形部12は、タイヤ幅方向D1の外側1列目L1に配置される、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、リボンゴム10の端部10a,10b、即ち、小形部12は、タイヤ幅方向D1の外側2列目L2や外側3列目L3に配置されてもよく、即ち、タイヤ幅方向D1の何れの列に配置されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、小形部12の断面形状は、標準部11の断面形状と相似形である、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、小形部12の断面形状は、標準部11の断面形状と非相似形である、という構成でもよい。
【0082】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、小形部12の断面積は、平行部31,51の第1端部31a,51bから標準部11に向けて連続的に大きくなっている、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、小形部12の断面積は、平行部31,51の第1端部31a,51bから標準部11に向けて段階的に大きくなっている、という構成でもよい。
【0083】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、リボンゴム10を引き伸ばすことにより、リボンゴム10の断面積が変更される(即ち、小形部12が形成される)、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、押出部71から押し出されるゴムの断面形状を変更したり、押出部71からの単位時間当たりのゴムの押し出し量を変更したりすることにより、リボンゴム10の断面積が変更される、という構成でもよい。
【0084】
また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、巻付部72の回転速度を変更することにより、リボンゴム10に付加する引張力を変更し、リボンゴム10の断面積が変更される(即ち、小形部12が形成される)、という構成である。しかしながら、タイヤ及びタイヤの製造方法は、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤ及びタイヤの製造方法においては、
図14に示すように、引張機構74がリボンゴム10を引っ張ることにより、リボンゴム10の断面積が変更される、という構成でもよい。
【0085】
図14に係る成形装置70は、押出部71から押し出されたリボンゴム10を巻付部72に向けて搬送する搬送機構75と、リボンゴム10を把持して引っ張る引張機構74とをさらに備えている。なお、搬送機構75は、複数の搬送ローラ75aを備え、搬送ローラ75a,75a同士間の距離を変更することで、リボンゴム10を引っ張って断面積を変更する、即ち、引張機構74の機能を兼用する、という構成でもよい。
【0086】
また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、ゴム部(トレッドゴム7)を成形する成形装置70は、一つの巻付部72に対して、一つの押出部71を備えている、という構成である。しかしながら、タイヤ及びタイヤの製造法は、斯かる構成に限られない。
【0087】
例えば、タイヤ及びタイヤの製造方法においては、
図15に示すように、成形装置70は、一つの巻付部72に対して、複数(
図15においては二つ)の押出部71を備えている、という構成でもよい。なお、
図15に係る成形装置70において成形されたゴム部(トレッドゴム7)は、例えば、小形部12は、タイヤ幅方向D1の所定の列L1で、二つ備えられることになる。
【0088】
また、上記実施形態に係るタイヤ1においては、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状に巻かれたリボンゴム10により形成されるゴム部は、トレッドゴム7である、という構成である。しかしながら、タイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、タイヤにおいては、リボンゴム10により形成されるゴム部は、トレッドゴム7の一部でもよく、他のゴム2b,3a,6でもよい。要するに、リボンゴム10により形成されるゴム部は、限定されない。
【0089】
また、上記実施形態に係るタイヤ1の製造方法は、小形部12をリボンゴム10の端部10a,10b側に形成する、という方法である。しかしながら、タイヤの製造方法は、斯かる方法に限れられない。例えば、タイヤの製造方法は、リボンゴム10の中間部に小形部12を形成する、という方法でもよく、1本のリボンゴム10に対して、複数の小形部12を断続的に形成する、という方法でもよい。
【0090】
また、タイヤ1は、加硫前のタイヤ(未加硫タイヤ)も、加硫後のタイヤ(加硫タイヤ)も含まれる。なお、加硫後のタイヤにおいては、タイヤ1を鋭利な刃物で切断し、その断面により、リボンゴム10の境界面を観察することができる。これにより、リボンゴム10の巻き状態の特定は、可能である。