特許第6689066号(P6689066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689066
(24)【登録日】2020年4月9日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】基礎パッキン
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20200421BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   E04B1/64 A
   E02D27/01 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-241678(P2015-241678)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-106261(P2017-106261A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 博之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌樹
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0060295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64
E02D 27/00−27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と土台との間に配置される長尺状の基礎パッキンであって、
長辺方向に延在するパッキン本体と、
前記パッキン本体の前記長辺方向の両端面のうちの少なくとも一端面から前記長辺方向に突出する連結用凸部と、
前記パッキン本体の前記長辺方向の両端面のうちの少なくとも他端面に形成され、別の前記基礎パッキンが有する前記連結用凸部と嵌合可能な連結用第1凹部と、
前記パッキン本体の少なくとも上面に設けられた弾性材とを備えており、
前記弾性材は、前記長辺方向の一端が前記パッキン本体の前記長辺方向の前記一端面よりも前記長辺方向外側に配置されるように前記長辺方向に沿って延在し、前記連結用凸部と上下方向に対向するように配置されていることを特徴とする基礎パッキン。
【請求項2】
前記連結用凸部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置から前記パッキン本体の下端まで延在しており、
前記連結用第1凹部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口していることを特徴とする請求項1に記載の基礎パッキン。
【請求項3】
前記パッキン本体の前記長辺方向の一端部であって前記弾性材と対向する部分には、当該パッキン本体の前記上面よりも下方に配置された段差面と、前記段差面と接続され前記長辺方向に沿って当該上面から前記段差面に近づくに連れて下方に傾斜する傾斜面とが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の基礎パッキン。
【請求項4】
前記段差面は、前記連結用凸部の上面と同じ高さレベルに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の基礎パッキン。
【請求項5】
前記弾性材は、前記パッキン本体の前記長辺方向に沿って形成された溝に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基礎パッキン。
【請求項6】
前記パッキン本体の短辺方向の両側面のうちの少なくとも一側面に形成され、前記別の基礎パッキンが有する連結用凸部と嵌合可能な複数の連結用第2凹部をさらに備えており、
前記複数の連結用第2凹部は、前記長辺方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基礎パッキン。
【請求項7】
前記連結用凸部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置から前記パッキン本体の下端まで延在しており、
前記連結用第2凹部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口していることを特徴とする請求項6に記載の基礎パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎と土台との間に連続的に配置される基礎パッキンに関し、より具体的には、玄関や浴室まわりなどに使用される気密性を有する基礎パッキンに関する。
【背景技術】
【0002】
床下換気路の形成のために、基礎パッキンを用いる基礎パッキン工法が知られている。この基礎パッキン工法で用いられる基礎パッキンには、例えば、基礎と土台との間に長尺状の基礎パッキンを連続して並設するために、基礎パッキンの長辺方向の両端面に嵌合部と被嵌合部とが形成されたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、建物の一部の箇所では、床下に換気性がないことを要求されることがある。例えば、玄関や浴室まわりでは、基礎と土台との間に隙間(換気口)があると、ここから室内の暖かな空気が流出したり、冷たい外気が侵入したりすることとなり、室内の保温性が損なわれるので、床下に換気性がないことを要求される。このような箇所に採用される基礎パッキンには、例えば、基礎と土台との間の気密性を向上させるために、基礎と土台との間に配置される基礎パッキンであって、上下面において長辺方向の全長に亘って弾性材が貼着されたものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−129662号公報
【特許文献2】実用新案登録第3071575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように長尺な基礎パッキン同士を連結するための技術や基礎と土台との間の気密性を向上させるための技術があるものの、これらの機能を両方持ち合わせた基礎パッキンがない。
【0006】
そこで本発明者が、パッキン本体の長辺方向の両端面に連結用凸部及び当該連結用凸部に嵌合可能な連結用凹部を形成し、パッキン本体の少なくとも上面に長辺方向の全長に亘って弾性材を設けた基礎パッキンについて検討したところ、以下の課題を知見した。基礎と土台との間に複数の長尺な基礎パッキンを長辺方向に連結して配置した場合、各基礎パッキンの少なくとも上面に弾性材が設けられていることで、基礎パッキンが配置されている基礎と土台との間の気密性は向上するが、長辺方向に隣接する2つの基礎パッキンが長辺方向に僅かにでも離れると、両基礎パッキンに設けられた弾性材間に短辺方向に連通する隙間が生じる問題がある。さらに、連結用凸部が基礎パッキンの厚み方向の全幅に亘って形成されていない場合、長辺方向に隣接する2つの基礎パッキンが長辺方向に僅かにでも離れると、両基礎パッキン間であって連結用凸部の上方及び下方に、短辺方向に連通する隙間が生じる問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、長辺方向に連結された基礎パッキン間に短辺方向に連通する隙間が生じるのを抑制することが可能な基礎パッキンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基礎パッキンは、基礎と土台との間に配置される長尺状の基礎パッキンであって、長辺方向に延在するパッキン本体と、前記パッキン本体の前記長辺方向の両端面のうちの少なくとも一端面から前記長辺方向に突出する連結用凸部と、前記パッキン本体の前記長辺方向の両端面のうちの少なくとも他端面に形成され、別の前記基礎パッキンが有する前記連結用凸部と嵌合可能な連結用第1凹部と、前記パッキン本体の少なくとも上面に設けられた弾性材とを備えている。そして、前記弾性材は、前記長辺方向の一端が前記パッキン本体の前記長辺方向の前記一端面よりも前記長辺方向外側に配置されるように前記長辺方向に沿って延在し、前記連結用凸部と上下方向に対向するように配置されている。
【0009】
これによると、1つの基礎パッキンの連結用第1凹部に同じ種類の別の基礎パッキンの連結用凸部を嵌合して両基礎パッキンを長辺方向に連結した状態において、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、両基礎パッキンの弾性材の長辺方向の端部同士が当接した状態になるとともに、当接することで長辺方向又は上下方向に縮んだ部分が両基礎パッキン(パッキン本体)間の隙間に入り込む。このため、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、短辺方向に連通する隙間が両基礎パッキンの間に生じるのを抑制することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記連結用凸部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置から前記パッキン本体の下端まで延在しており、前記連結用第1凹部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口していることが好ましい。これにより、1つの基礎パッキンに同じ種類の別の基礎パッキンを長辺方向に連結する際に、1つの基礎パッキンの連結用凸部の上面を別の基礎パッキンの連結用第1凹部の上壁部分で上から押さえ込むようにして連結することが可能となる。このため、基礎上面が不陸であっても両基礎パッキンを安定して配置及び固定することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記パッキン本体の前記長辺方向の一端部であって前記弾性材と対向する部分には、当該パッキン本体の前記上面よりも下方に配置された段差面と、前記段差面と接続され前記長辺方向に沿って当該上面から前記段差面に近づくに連れて下方に傾斜する傾斜面とが形成されていることが好ましい。これにより、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、弾性材が両基礎パッキン間の隙間に案内されやすくなる。このため、短辺方向に連通する隙間が両基礎パッキンの間であって連結用凸部の上方に生じるのをより抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記段差面は、前記連結用凸部の上面と同じ高さレベルに配置されていることが好ましい。これにより、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、短辺方向に連通する隙間が両基礎パッキンの間であって連結用凸部の上方に生じるのをより一層抑制することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記弾性材は、前記パッキン本体の前記長辺方向に沿って形成された溝に設けられていることが好ましい。これにより、パッキン本体と基礎又は土台とによって弾性材が経年的に圧縮されても溝によって圧縮が緩和され、弾性力が保持される。したがって、長期的に通気を防止可能となる。また、弾性材の位置ズレも抑制できる。
【0014】
また、本発明において、前記パッキン本体の短辺方向の両側面のうちの少なくとも一側面に形成され、前記別の基礎パッキンが有する連結用凸部と嵌合可能な複数の連結用第2凹部をさらに備えている。そして、前記複数の連結用第2凹部は、前記長辺方向に沿って配列されていることが好ましい。これにより、1つの基礎パッキンと同じ種類の別の基礎パッキンを1つの基礎パッキンの長辺方向の所望位置において、短辺方向に連結することが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記連結用凸部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置から前記パッキン本体の下端まで延在しており、前記連結用第2凹部は、前記パッキン本体の前記上面よりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口していることが好ましい。これにより、複数の連結用第2凹部を有していても、パッキン本体の上面、すなわち、基礎パッキンの上面の面積が小さくならない。このため、基礎パッキンの土台と接触する面積が大きくなって、土台がめり込みにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基礎パッキンによると、1つの基礎パッキンの連結用第1凹部に同じ種類の別の基礎パッキンの連結用凸部を嵌合して両基礎パッキンを長辺方向に連結した状態において、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、両基礎パッキンの弾性材の長辺方向の端部同士が当接した状態になるとともに、当接することで長辺方向又は上下方向に縮んだ部分が両基礎パッキン(パッキン本体)間の隙間に入り込む。このため、両基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れた場合でも、短辺方向に連通する隙間が両基礎パッキンの間に生じるのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る基礎パッキンが用いられた建物構造の部分斜視図である。
図2図1に示す基礎パッキンの斜視図である。
図3図1に示す基礎パッキンから弾性材を取り外した状態の基礎パッキンの斜視図である。
図4図3に示す基礎パッキンの平面図である。
図5図2に示す基礎パッキンの正面図である。
図6】長辺方向に連結された2つの基礎パッキンが長辺方向に僅かに離れたときの状況を示しており、(a)は要部平面図であり、(b)は要部断面図である。
図7】短辺方向に連結された2つの基礎パッキンを示しており、(a)は連結用凸部を構成する3つの第1凸部が隣接する2つの第2凸部間に嵌合されたときの要部平面図であり、(b)は隣接する2つの第1凸部間に第2凸部が嵌合されたときの要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る基礎パッキン10が用いられた建物構造100について、図1を参照しつつ以下に説明する。
【0019】
本実施形態における建物構造100は、図1に示すように、長尺な基礎1(例えば、布基礎)と、基礎1の延在方向に沿って長尺に延在し、基礎1上においてその長辺方向Aに連結して配置された複数の基礎パッキン10と、基礎1とで複数の基礎パッキン10を挟むように基礎パッキン10上に配置され、長辺方向Aに長尺な木製の土台2とを含んでなる。この建物構造100は、例えば、玄関に用いられる部分の一部を示したものであるが、基礎1と土台2との間を遮蔽する必要のある箇所に採用されるものである。基礎1は、フーチング1aと、フーチング1aから上方に立設された立ち上がり部1bとで構成されている。土台2及び複数の基礎パッキン10は、基礎1に植設されたアンカーボルト、角座金及びナット(ともに図示せず)によって立ち上がり部1b上に固定されている。
【0020】
基礎パッキン10は、合成樹脂から構成されているが、特に限定するものではなく、例えば、金属などから構成されていてもよい。基礎パッキン10は、図2図4に示すように、パッキン本体11と、2つの連結用凸部12と、2つの連結用第1凹部13と、4つの弾性材14と、複数の連結用第2凹部15とを有している。なお、図2及び図3においては、パッキン本体11などの構造を分かりやすくするために、4つの弾性材14を取り外した状態の基礎パッキン10を示している。パッキン本体11は、長辺方向Aに沿って延在する一対の基体21,22と、一対の基体21,22を短辺方向B(長辺方向Aと直交する方向)に接続する5つの接続部23とを有している。
【0021】
各基体21,22は、四角柱形状を有している。一対の基体21,22は、互いに平行に配置されており、5つの接続部23によって、内側面21c,22c同士が互いに離隔しつつ短辺方向Bに沿って対向するように配置されている。図3及び図4に示すように、一対の基体21,22の上面21d,22dであって短辺方向Bの内側端部のそれぞれには、段差面21f,22f及び傾斜面21g,22gがそれぞれ2つずつ形成されている。2つの段差面21fは、基体21の長辺方向Aの両端部に形成されている。2つの段差面22fは、基体22の長辺方向Aの両端部に形成されている。換言すると、4つの段差面21f,22fは、パッキン本体11の長辺方向Aの両端部に配置されている。各段差面21f,22fは、上面21d,22dよりも下方に配置されている。各傾斜面21gは、段差面21fに接続されており、基体21の上面21dから段差面21fに近づくに連れて下方に傾斜している。各傾斜面22gも、段差面22fに接続されており、基体22の上面22dから段差面22fに近づくに連れて下方に傾斜している。
【0022】
図3図5に示すように、一対の基体21,22の短辺方向Bの内側端部であって上面21d,22dには、長辺方向Aに延在する溝21h,22hが形成され、下面21e,22eには、長辺方向Aに延在する溝21i,22iが形成されている。溝21hの底面は、その長辺方向Aの両端が傾斜面21gに接続されている。溝22hの底面は、その長辺方向Aの両端が傾斜面22gに接続されている。つまり、溝21h,22hは、傾斜面21g間及び傾斜面22g間に配置されている。溝21i,22iは、下面21e,22eの長辺方向Aの全長に亘って形成されている。これら溝21h,21i,22h,22iの底部のそれぞれに弾性材14が接着剤によって貼り付けられている。また、弾性材14は、各段差面21f,22f及び各傾斜面21g,22gにも接着剤によって貼り付けられている。
【0023】
5つの接続部23は、図2に示すように、長辺方向Aに沿って互いに離隔して配置されており、隣接する2つの接続部23間にアンカーボルトを挿入するための孔24が構成されている。5つの接続部23のうち、長辺方向Aの両端に配置された2つの接続部23には、基礎パッキン10を基礎1に仮固定するための釘を打つための釘孔25が形成されている。
【0024】
連結用凸部12は、図4に示すように、パッキン本体11の長辺方向Aの両端面11a,11bにそれぞれ形成されている。より詳細には、連結用凸部12は、基体21の図4中左端面21aと、基体22の図4中右側端面22bとに形成されている。これら2つの連結用凸部12は、パッキン本体11の長辺方向A及び短辺方向Bの中心点に対して点対称に配置されている。また、これら2つの連結用凸部12は、左端面21aから突出した3つの第1凸部31及び右端面22bから突出した3つの第1凸部31から構成されている。連結用凸部12を構成する3つの第1凸部31は、互いに離隔して短辺方向Bに等間隔で配列されており、隣接する2つの第1凸部31間に後述の第2凸部15aを嵌合可能なように、配置されている。各第1凸部31は、図3及び図5に示すように、パッキン本体11の上面11cよりも若干下方の位置からパッキン本体11の下端まで延在している。また、各第1凸部31の上面は、段差面21f,22fと同じ高さレベルに配置されている。また、連結用凸部12を構成する3つの第1凸部31のうち、短辺方向Bの最も内側に配置された第1凸部31が、図3図5に示すように、短辺方向Bに関して段差面21f,22fと重なる位置に配置されており、その上面が段差面21f,22fと同一平面レベルで一体的に繋がっている。
【0025】
連結用第1凹部13も、図4に示すように、パッキン本体11の両端面11a,11bにそれぞれ形成されている。より詳細には、連結用第1凹部13は、基体22の図4中左端面22aと、基体21の図4中右側端面21bとに形成されている。これら2つの連結用第1凹部13は、パッキン本体11の長辺方向A及び短辺方向Bの中心点に対して点対称に配置されている。これら2つの連結用第1凹部13は、左端面22aに形成され、3つの第1凸部31のそれぞれと嵌合可能な3つの第1凹部32、及び、右端面21bに形成され、3つの第1凸部31のそれぞれと嵌合可能な3つの第1凹部32から構成されている。連結用第1凹部13を構成する3つの第1凹部32は、短辺方向Bに互いに離隔して配列され、同じ種類の別の基礎パッキン10の連結用凸部12の3つの第1凸部31と嵌合可能なように配置されている。各第1凹部32は、図3及び図5に示すように、パッキン本体11の上面11cよりも若干下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口している。また、連結用第1凹部13を構成する3つの第1凹部32のうち、短辺方向Bの最も内側に配置された第1凹部32が、図3図5に示すように、短辺方向Bに関して段差面21f,22fと重なる位置に配置されており、対応する段差面21f,22fの一部を切り欠いている。つまり、連結用第1凹部13を構成する3つの第1凹部32のうち、短辺方向Bの最も内側に配置された第1凹部32は、下方のみならず上方に向かって開口している。
【0026】
4つの弾性材14は、図5に示すように、4つの溝21h,21i,22h,22iに配置されている。各弾性材14は、その全部が溝21h,21i,22h,22iに埋没するのではなく、一部が溝21h,21i,22h,22iに埋まっているが、残部は溝21h,21i,22h,22iから露出している。従って、パッキン本体11と、基礎1又は土台2とによって、弾性材14が経年的に圧縮されても溝21h,21i,22h,22iによってその圧縮は緩和され、弾性力が保持される。また、4つの弾性材14が溝21h,21i,22h,22iに配置されていることで、位置ズレも抑制することができる。また、パッキン本体11の上面11c側に設けられた2つの弾性材14は、段差面21f,22gと上下方向Cに対向して配置されている。
【0027】
各弾性材14は、図2に示すように、長辺方向Aに沿って延在しており、長辺方向Aの両端がパッキン本体11の両端面11a,11bよりも長辺方向A外側に配置されている。本実施形態における弾性材14は、長辺方向Aにおいて、その端部が、第1凸部31の中央部の位置に到達するほど、パッキン本体11の両端面11a,11bから突出して配置されている。また、各弾性材14の長辺方向Aの一端が、図2に示すように、連結用凸部12を構成する3つの第1凸部31のうちの短辺方向Bの最も内側に配置された第1凸部31と上下方向Cに対向して配置されている。
【0028】
弾性材14の構成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料やゴム材料等を挙げることができる。なお、弾性材17をパッキン本体11の上面11c及び下面11dに設ける場合、接着剤を用いずに弾性材14を溝21h,21i,22h,22iに嵌合してもよい。また、弾性材17として、例えば、ゴムテープ、ウレタンテープ、発泡樹脂テープ等を用いることとしてもよい。
【0029】
複数の連結用第2凹部15は、図3及び図4に示すように、複数の第2凸部15a、2つの張り出し部15b及び基体21,22の短辺方向Bの外側面21f,22fによって画定されて構成されている。つまり、複数の連結用第2凹部15は、パッキン本体11の短辺方向Bの両側面11e,11fのそれぞれにおいて、長辺方向Aに沿って並んで形成されている。
【0030】
複数の第2凸部15aは、外側面21f,22fのそれぞれから短辺方向B外側に突出し且つ長辺方向Aに配列されている。複数の第2凸部15aは、長辺方向Aに隣接する2つの第2凸部15a間に連結用凸部12(すなわち、連結用凸部12を構成する3つの第1凸部)を嵌合可能なように、長辺方向Aに沿って等間隔に配列されている。張り出し部15bは、外側面21f,22fの上端部のそれぞれから短辺方向B外側に突出して形成されている。また、張り出し部15bは、外側面21f,22fの長辺方向Aの全長に亘って形成されており、複数の第2凸部15aの上端と一体的に接続されている。張り出し部15bの上面は、図5に示すように、パッキン本体11の上面11cの一部を構成している。このような第2凸部15a及び張り出し部15bによって画定されてなる各連結用第2凹部15は、図3及び図5に示すように、パッキン本体11の上面11cよりも若干下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口している。
【0031】
続いて、複数の基礎パッキン10を長辺方向Aに連結したときの状態について、図6を参照しつつ以下に説明する。
【0032】
基礎パッキン10は、通常、基礎1の立ち上がり部1b上に配置され、土台2と基礎1とに挟まれて固定される。つまり、基礎1と土台2との間に複数の基礎パッキン10を配置する場合、図6(a)に示すように、1つの基礎パッキン10の連結用凸部13の3つの第1凸部31を、同じ種類の別の基礎パッキン10の連結用第1凹部の3つの第1凹部32に嵌合し、別の基礎パッキン10の連結用凸部13の3つの第1凸部31を、1つの基礎パッキン10の連結用第1凹部の3つの第1凹部32に嵌合して、両基礎パッキン10を長辺方向Aに連結する。
【0033】
このように複数の基礎パッキン10を長辺方向Aに連結すると、各基礎パッキン10の弾性材14は、図6(b)に示すように、その長辺方向Aの端部同士が接触し、長辺方向Aに圧縮される。また、各弾性材14は、基礎パッキン10と基礎1とによって、及び、基礎パッキン10と土台2とによって、上下方向Cにも圧縮される。これにより、基礎1及び土台2と、基礎パッキン10との間の隙間、及び、連結された基礎パッキン10間の隙間が弾性材14によって埋められる。
【0034】
連結された2つの基礎パッキン10が、図6に示すように、長辺方向Aに沿って若干離れた場合でも、弾性材14の端部同士が接触し長辺方向Aに縮んでいる。さらに、弾性材14が第1凸部31及び第1凹部32と上下方向Cに対向する位置に配置されている。このため、図6(b)に示すように、2つの基礎パッキン10間の短辺方向Bに連通する大部分の隙間が、先端が第2凹部32に嵌合する第1凸部31によって塞がれ、その他の隙間が弾性材14のパッキン本体11の端面11a,11bから突出した部分によって塞がれる。この結果、2つの基礎パッキン10間の短辺方向Bに連通する隙間が生じにくくなる。
【0035】
変形例として、第1凸部31が、端面11aの上下方向Cの中央部のみから突出するような凸形状を有していても、弾性材14のパッキン本体11の端面11a,11bから突出した部分が基礎1及び土台2からの押圧力によって、両パッキン本体の端面11a,11b間の隙間(第1凸部31の上方及び下方に存在する隙間)に入り込む。このため、上述の実施形態と同様に、2つの基礎パッキン10間の短辺方向Bに連通する隙間が生じにくくなる。
【0036】
続いて、複数の基礎パッキン10を短辺方向Bに連結したときの状態について、図7を参照しつつ以下に説明する。
【0037】
複数の基礎パッキン10を短辺方向Bに連結する場合は、図7(a)に示すように、1つの基礎パッキン10の連結用凸部12の3つの第1凸部31を、同じ種類の別の基礎パッキン10の連結用第2凹部15に嵌合して、両基礎パッキン10を短辺方向Bに連結する。
【0038】
このように複数の基礎パッキン10を短辺方向Bに連結すると、別の基礎パッキン10(図7中下方にある基礎パッキン10)の各弾性材14の端部が、1つの基礎パッキン10(図7中上方にある基礎パッキン10)の側面11fに当接し、短辺方向Bに圧縮される。また、各弾性材14は、基礎パッキン10と基礎1とによって、及び、基礎パッキン10と土台2とによって、上下方向Cにも圧縮される。これにより、基礎1及び土台2と、基礎パッキン10との間の隙間、及び、連結された基礎パッキン10間の隙間が、上述と同様に、弾性材14によって埋められる。
【0039】
短辺方向Bに連結された2つの基礎パッキン10が、長辺方向Aに沿って若干離れた場合でも、弾性材14の端部がパッキン本体11の側面11fに接触している。さらに、弾性材14が第1凸部31と上下方向Cに対向する位置に配置されている。このため、上述の基礎パッキン10が長辺方向Aに連結されたときと同様に、2つの基礎パッキン10間の長辺方向Aに連通する大部分の隙間が、先端が連結用第2凹部15に嵌合する連結用凸部13(第1凸部31)によって塞がれ、その他の隙間が弾性材14によって塞がれる。この結果、2つの基礎パッキン10間の長辺方向Aに連通する隙間が生じにくくなる。
【0040】
本実施形態においては、連結用凸部12を構成する3つの第1凸部31が、隣接する2つの第1凸部31間に第2凸部15aを嵌合可能なように、配置されている。このため、図7(b)に示すように、別の基礎パッキン10を1つの基礎パッキン10に対して長辺方向Aに、その第1凸部31の長辺方向Aのピッチでずらして配置することが可能となる。この場合においても、上述と同様に、2つの基礎パッキン10間の長辺方向Aに連通する隙間が生じにくくなる。
【0041】
以上に述べたように、本実施形態の基礎パッキン10によると、1つの基礎パッキン10の連結用第1凹部13に同じ種類の別の基礎パッキン10の連結用凸部12を嵌合して両基礎パッキン10を長辺方向Aに連結した状態において、両基礎パッキン10が長辺方向Aに僅かに離れた場合でも、両基礎パッキン10の弾性材17の長辺方向Aの端部同士が当接した状態になるとともに、当接することで長辺方向A又は上下方向Cに縮んだ部分が両基礎パッキン(パッキン本体)10間の隙間に入り込む。このため、両基礎パッキン10が長辺方向Aに僅かに離れた場合でも、短辺方向Bに連通する隙間が両基礎パッキン10の間に生じるのを抑制することが可能となる。
【0042】
また、連結用凸部12(第1凸部31)が、パッキン本体11の上面11cよりも下方の位置からパッキン本体11の下端まで延在し、連結用第1凹部13(第1凹部32)が、パッキン本体11の上面11cよりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口している。これにより、1つの基礎パッキン10に同じ種類の別の基礎パッキン10を長辺方向Aに連結する際に、1つの基礎パッキン10の連結用凸部12の上面を別の基礎パッキン10の連結用第1凹部13の上壁部分で上から押さえ込むようにして連結することが可能となる。このため、基礎1の立ち上がり部1bの上面が不陸であっても両基礎パッキン10を安定して配置及び固定することが可能となる。
【0043】
また、パッキン本体11の弾性材14と対向する部分に、段差面21f,22f及び傾斜面21g,22gが形成されていることで、長辺方向Aに連結された両基礎パッキン10が長辺方向Aに僅かに離れた場合でも、弾性材14が両基礎パッキン間の隙間に案内されやすくなる。このため、短辺方向Bに連通する隙間が両基礎パッキン10の間であって連結用凸部12の上方に生じるのをより抑制することが可能となる。
【0044】
また、段差面21f,22fが、連結用凸部12(第1凸部31)の上面と同じ高さレベルに配置されている。これにより、長辺方向Aに連結された両基礎パッキン10が長辺方向Aに僅かに離れた場合でも、短辺方向Bに連通する隙間が両基礎パッキン10の間であって連結用凸部12の上方に生じるのをより一層抑制することが可能となる。
【0045】
また、弾性材14が、溝21h,21i,22h,22iに貼り付けられている。これにより、パッキン本体11と基礎1又は土台2とによって弾性材14が経年的に圧縮されても溝21h,21i,22h,22iによって圧縮が緩和され、弾性力が保持される。したがって、長期的に通気を防止可能となる。
【0046】
また、パッキン本体11に複数の連結用第2凹部15が長辺方向Aに沿って形成されている。これにより、1つの基礎パッキン10と同じ種類の別の基礎パッキン10を1つの基礎パッキン10の長辺方向Aの所望位置において、短辺方向Bに連結することが可能となる。
【0047】
また、連結用第2凹部15は、パッキン本体11の上面11cよりも下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口している。これにより、複数の連結用第2凹部15を有していても、パッキン本体11の上面11c、すなわち、基礎パッキン10の上面11cの面積が小さくならない。このため、基礎パッキン10の土台2と接触する面積が大きくなって、土台2がめり込みにくくなる。
【0048】
また、本実施形態の基礎パッキン10によると、1つの基礎パッキン10に同じ種類の別の基礎パッキン10を短辺方向Bに連結する際に、1つの基礎パッキン10の隣接する2つの第2凸部15a間に別の基礎パッキン10の連結用凸部15(3つの第1凸部31)を嵌合して両者を連結すること、及び、1つの基礎パッキン10の第2凸部15aを別の基礎パッキン10の隣接する2つの第1凸部31間に嵌合して両者を連結することが可能となる。このため、長辺方向Aにおいて、1つの基礎パッキン10に対する別の基礎パッキン10の連結の自由度を向上させることが可能となる。また、連結用第1凹部13が、複数の第1凹部32から構成されている。これにより、1つの基礎パッキン10に同じ種類の別の基礎パッキン10を長辺方向Aに連結した状態において、両基礎パッキン10が短辺方向Bにずれにくくなる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態における基礎パッキン10は、4つの弾性材14を有しているが、1又は2つの弾性材14がパッキン本体11の上面11cにだけ設けられていてもよい。これにおいても、上述と同様に、両基礎パッキン10が長辺方向Aに僅かに離れた場合でも、短辺方向Bに連通する隙間が両基礎パッキン10の間に生じるのを抑制することが可能となる。また、弾性材14の数は適宜決めればよい。また、上述の実施形態における弾性材14は、両端がパッキン本体11の両端面11a、11bよりも長辺方向A外側に配置されているが、本発明においては、パッキン本体11の一方の端面11a、11bから長辺方向A外側に突出して配置されていればよい。弾性材14の突出量は、対向する連結用凸部13(第1凸部31)の突出長さの範囲内にするのが好ましい。
【0050】
パッキン本体11は、単なる板状部材にアンカーボルトを挿通するための孔が形成されておればよい。また、パッキン本体11を構成する部材(一対の基体21,22及び接続部23)には、下方に開口する複数の凹部や内部に空洞が形成されていてもよい。こうすれば、基礎パッキンを製造するため原材料の使用量の増加を抑制させることが可能となり、基礎パッキンの重量が増加するのを抑制することが可能となる。
【0051】
連結用凸部12が、1、2、及び、4以上の第1凸部31から構成されていてもよい。また、連結用凸部12は、パッキン本体11の端面11a,11bの一方にのみ形成されていてもよい。この場合、連結用第1凹部13は、端面11a,11bの他方にのみ形成されていることが好ましい。また、連結用凸部12は、端面11a,11bの一方に2以上形成されていてもよい。この場合、連結用第1凹部13は、端面11a,11bの他方に2以上形成されていることが好ましい。要するに、連結用凸部12及び連結用第1凹部13は、基礎パッキン10同士を長辺方向Aに連結可能に配置されておればよい。連結用第1凹部13が、1,2,及び4以上の第1凹部32から構成されていてもよい。また、連結用第1凹部13が、連結用凸部12を嵌合可能な1つの凹部から構成されていてもよい。また、第1凹部32が下方に向かって開口していなくてもよい。
【0052】
連結用第2凹部15は、パッキン本体11の側面11e,11fのそれぞれに1つだけ形成されていてもよいし、側面11e,11fの一方にのみ1以上の連結用第2凹部15が形成されていてもよい。また、連結用第2凹部15が基礎パッキン10に設けられていなくてもよい。連結用第2凹部15は、下方に向かって開口していなくてもよい。
【0053】
パッキン本体11に、1〜3及び5以上の溝21h,21i,22h,22iが設けられていてもよいし、溝自体が設けられていなくてもよい。パッキン本体11の長辺方向Aの両端部であって弾性材14と対向する部分に段差面21f,22f及び傾斜面21g,22gを設けているが、パッキン本体11の長辺方向Aの一端部に段差面及び/又は傾斜面を設けるようにしてもよく、また、パッキン本体11に、段差面21f,22f及び傾斜面21g,22gが設けられていなくてもよい。また、段差面21f,22fが、連結用凸部12(第1凸部31)の上面と同じ高さレベルに配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 基礎
2 土台
10 基礎パッキン
11 パッキン本体
11a,11b 端面
11c 上面
12 連結用凸部
13 連結用第1凹部
14 弾性材
15 連結用第2凹部
21f,22f 段差面
21g,22g 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7