(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689076
(24)【登録日】2020年4月9日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】高分子膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 55/18 20060101AFI20200421BHJP
B29C 41/12 20060101ALI20200421BHJP
B29C 41/52 20060101ALI20200421BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20200421BHJP
B29K 29/00 20060101ALN20200421BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20200421BHJP
【FI】
B29C55/18
B29C41/12
B29C41/52
C08J5/18CEP
C08J5/18CEX
B29K29:00
B29L7:00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-250199(P2015-250199)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-113938(P2017-113938A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】山南 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】
神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−114355(JP,A)
【文献】
特開昭60−141537(JP,A)
【文献】
特開平02−204011(JP,A)
【文献】
特開2005−262762(JP,A)
【文献】
特開2004−315689(JP,A)
【文献】
特開2016−165811(JP,A)
【文献】
特開2010−058386(JP,A)
【文献】
特開昭56−112937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/18
B29C 41/12
B29C 41/52
C08J 5/18
B29K 29/00
B29L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料を含有する厚さ20μm以上の高分子膜の製造方法であって、
25℃における粘度が10Pa・s以上の前記高分子材料の高濃度溶液であるドープを圧延ロールを用いて加圧下で圧延して原料シートを得る工程と、
得られた前記原料シートを乾燥する工程と、を有する高分子膜の製造方法。
【請求項2】
前記ドープをベースフィルム上に載置した状態で圧延する請求項1に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項3】
前記ドープをベースフィルム及びカバーフィルムで挟持した状態で圧延する請求項1に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項4】
前記ドープを5m/min以下の速度で移動させて圧延する請求項2又は3に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項5】
前記圧延ロールを前記ドープの進行方向と逆方向に回転させる請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項6】
前記高分子材料を含有する溶液を減圧下で濃縮して前記ドープを調製する請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項7】
前記高分子材料が、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、及びキトサンからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料からなる厚さ20μm以上の平滑性の高い膜を簡便に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料によって形成された膜(高分子膜)は、様々な用途に利用されている。このような高分子膜のうち、多糖類やタンパク質などの実質的に溶融解することのない天然高分子などの高分子材料からなる膜については、例えば、これらの高分子材料の溶液を原料として用いて製造されている。
【0003】
高分子膜は、用途に適応した種々の厚さを有することが要求される。厚さが20μm未満の比較的薄い高分子膜については、例えば、キャストフィルム等の支持体上に原料溶液を流延した後、乾燥する方法(いわゆる流延法)によって製造することができる。
流延法は、具体的には(1)高分子材料を溶媒に溶解させて得た原料溶液をダイから支持体上に流延した後、(2−1)自己支持性を持った流延膜を剥離して乾燥させる、又は(2−2)支持体に貼り付いた状態のまま流延膜を乾燥させた後、支持体から剥離する方法である。なお、合成高分子材料などの溶融解しうる高分子材料からなる膜についても、実験室レベルであれば流延法によって製造することができる。
【0004】
しかし、流延法によって厚さ20μm以上の膜を製造しようとすると、支持体上で膜が均一に乾燥せず、先に乾燥した部分から膜が支持体より剥離したり、膜に部分的な収縮が起きたりする。このため、支持体上で膜が踊ってしまい、厚みが均一で平滑な膜を製造することが困難であるといった課題があった。
【0005】
上記のような課題を解決すべく、例えば、粘度の高い原料溶液(ドープ)を特定の流延ダイより流延バンド上に流延して膜を製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、薄い膜上に流延して薄い膜をさらに形成し、薄い膜どうしを貼り合わせて厚い膜を形成する方法がある。具体的には、デポジッション法により一回の操作で処理して厚さ20μm以上のフィルムを製造する方法が提案されている(特許文献2)。さらに、粘度の高い原料溶液(ドープ)をノズルから均一に押し出す方法が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−234042号公報
【特許文献2】特開2002−285338号公報
【特許文献3】特開2006−117904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案された方法の場合、流延ダイの幅いっぱいにドープを均一に押し出すことが困難であった。また、特許文献2で提案された方法であっても、厚みが均一で平滑な膜を形成することは困難であった。さらに、高分子材料の種類によっては、特許文献2で提案された方法を適用することは困難であった。また、特許文献3で提案された方法の場合、ノズルの幅全体から高粘度のドープを均一に押し出すことが困難であった。すなわち、従来の方法では、厚さが20μm以上でありながらも、厚さが均一で平滑な高分子膜を効率よく製造することは困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、厚さが均一であるとともに平滑な、厚さ20μm以上の高分子膜を効率よく製造することが可能な高分子膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明によれば、以下に示す高分子膜の製造方法が提供される。
[1]高分子材料を含有する厚さ20μm以上の高分子膜の製造方法であって、25℃における粘度が10Pa・s以上の前記高分子材料の高濃度溶液であるドープを
圧延ロールを用いて加圧下で
圧延して原料シートを得る工程と、得られた前記原料シートを乾燥する工程と、を有する高分子膜の製造方法
。
[2]前記ドープをベースフィルム上に載置した状態で圧延する前記[
1]に記載の高分子膜の製造方法。
[
3]前記ドープをベースフィルム及びカバーフィルムで挟持した状態で圧延する前記[
1]に記載の高分子膜の製造方法。
[
4]前記ドープを5m/min以下の速度で移動させて圧延する前記[
2]又は[
3]に記載の高分子膜の製造方法。
[
5]前記圧延ロールを前記ドープの進行方向と逆方向に回転させる前記[
1]〜[
4]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
[
6]前記高分子材料を含有する溶液を減圧下で濃縮して前記ドープを調製する前記[1]〜[
5]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
[
7]前記高分子材料が、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、及びキトサンからなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]〜[
6]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高分子膜の製造方法によれば、厚さが均一であるとともに平滑な、厚さ20μm以上の高分子膜を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ドープを圧延して原料シートを得る工程の一例を示す模式図である。
【
図2】ドープを圧延して原料シートを得る工程の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の高分子膜の製造方法は、高分子材料を含有する厚さ20μm以上の高分子膜の製造方法であり、25℃における粘度が10Pa・s以上の高分子材料の高濃度溶液であるドープを加圧下で延伸して原料シートを得る工程と、得られた原料シートを乾燥する工程と、を有する。以下、その詳細について説明する。
【0013】
高分子材料としては、溶媒に溶解するとともに、その溶液を乾燥させると膜が形成される材料であればよい。高分子材料としては、天然多糖類、タンパク質、及び合成高分子のうち、溶媒に溶解しうる材料を用いることができる。高分子材料の具体例としては、デンプン、化学修飾セルロース、キトサン、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、フィブロイン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニル化合物、ポリビニリデン化合物、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。なかでも、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、キトサンなどが好ましい。特に、ヒアルロン酸ナトリウムは、その溶液の粘度が特に高いために、本発明の製造方法によって膜を製造することが好ましい。
【0014】
高分子材料の高濃度溶液であるドープは、例えば、高分子材料を溶媒に溶解させて調製することができる。溶媒としては、水及び有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、極性溶媒などを挙げることができる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジエチレングリコールなどを挙げることができる。芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエンなどを挙げることができる。ハロゲン化炭化水素の具体例としては、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。エステルの具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどを挙げることができる。エーテルの具体例としては、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブなどを挙げることができる。極性溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、適当な溶解助剤をドープに添加してもよい。また、ドープに各種の添加剤を添加することで、添加剤を含有する高分子膜を膜を製造することもできる。
【0015】
ドープは、均一であるとともに、異物や気泡が実質的に含まれていないことが好ましい。但し、高分子材料の種類によっては、ドープ中で均一に分散しにくい場合もある。このため、ろ過しうる程度の濃度の高分子材料の溶液をろ過して異物を除去した後、濃縮してドープを調製することが好ましい。高分子材料の溶液をろ過する際に用いるフィルターの孔径は、除去すべき異物のサイズ(粒径)によって適宜選択すればよい。また、高分子材料の溶液をろ過して異物を除去した後、減圧下で濃縮してドープを調製することがさらに好ましい。高分子材料の溶液を減圧下で濃縮することで、気泡を除去することができる。
【0016】
高分子材料の溶液をろ過する場合、この溶液の濃度は、フィルターを通過しうる濃度であることが必要である。なお、ろ過する溶液の濃度を可能な限り高くすることで、ろ過後の濃縮が容易となる。このため、加圧条件下でろ過することが好ましい。なお、ろ過することにより、高分子材料の溶液を均一にすることができる。このため、ろ過して得た高分子材料の溶液を濃縮すれば、より均一なドープを得ることができる。
【0017】
ろ過した高分子材料の溶液を所望とする濃度や粘度となるまで濃縮すれば、ドープを調製することができる。高分子材料の溶液の濃縮は、例えば、限外ろ過膜による限外ろ過;溶媒の沸点付近までの加温;減圧;及びこれらの組み合わせにより行うことができる。なかでも、減圧下で濃縮することで、実質的に気泡を含まないドープを得ることができるために好ましい。減圧下での濃縮の際には、既存の製品を用いることができる。具体的には、市販の自転・公転ミキサーや遠心式濃縮器などを用いることができる。上記のようにして高分子材料の溶液を濃縮することで、原料の一部がいわゆる「ママコ状態」になりにくく、かつ、実質的に気泡を含まない均一なドープを調製することができる。
【0018】
ドープに含有される高分子材料の濃度は、高分子材料や溶媒の種類によって異なるため、その好適な範囲を一概に特定することは困難である。但し、25℃におけるドープの粘度は、10Pa・s以上、好ましくは25Pa・s以上、さらに好ましくは50Pa・s以上である。粘度が10Pa・s未満のドープを加圧下で延伸すると流れてしまい、得られる原料シートの厚さを保持することができなくなる。なお、25℃におけるドープの粘度の上限については特に限定されないが、実質的には1000Pa・s以下であればよい。
【0019】
高分子材料の高濃度溶液である高粘度のドープを加圧下で延伸すれば、原料シートを得ることができる。ドープを延伸する方法としては、一般的なプレス機等を使用してドープをプレス方法や、圧延ロールを用いて圧延する方法などを挙げることができる。いずれの方法であっても、所定の厚さの原料シートを得ることができる。
【0020】
圧延ロールを用いてドープを圧延する場合、圧延ロールはモーターにより回転させてもよく、ドープとの接触によって自由に回転させてもよい。ドープに気泡が巻き込まれるのを防止すべく、ドープを圧延する箇所に押し出す、又はドープをベースフィルムなどの支持体上に載置した状態で圧延することが好ましい。また、ドープをベースフィルム及びカバーフィルムで挟持した状態で圧延することも好ましい。
【0021】
図1は、ドープを圧延して原料シートを得る工程の一例を示す模式図である。
図1に示すように、ドープ20を載置したベースフィルム40を適当な基台50上に置く。そして、ベースフィルム40ごとドープ20を移動させ、エアーシリンダー60等の加圧手段を備えた圧延ロール10を用いてドープ20を圧延すれば、所望とする厚さの原料シート30を得ることができる。その後、ベースフィルム40から原料シート30を剥離し、乾燥して溶媒を除去すれば、目的とする高分子膜を得ることができる。また、圧延後の状態(原料シート30がベースフィルム40に密着した状態)で原料シート30を乾燥させ、乾燥後にベースフィルム40から剥離させることでも高分子膜を得ることができる。さらに、ドープをベースフィルム及びカバーフィルムで挟持した状態で圧延した後、カバーフィルムを剥離させるとともに、ベースフィルムから原料シートを剥離して乾燥させても、高分子膜を得ることができる。また、カバーフィルムを剥離させた状態で乾燥させ、乾燥後にベースフィルムから剥離させることでも高分子膜を得ることができる。なお、ベースフィルム及びカバーフィルムの種類等に特に制限はない。例えば、通常の流延法で支持体等として用いられるキャストフィルムなどをベースフィルムやカバーフィルムとして使用することができる。
【0022】
ドープを延伸して得る原料シートの厚さは、ドープの濃度と、原料シートを乾燥して得られる高分子膜の厚さから算出して設定することができる。例えば、高分子材料の濃度が10質量%であるドープを延伸して厚さ50μmの高分子膜を製造しようとする場合、50μm/0.1=500μmの厚さの原料シートとすれば、この原料シートを乾燥して厚さ50μmの高分子膜を得ることができる。
【0023】
圧延ロールを用いてドープを圧延する場合、圧延ロールは、1軸ロール、上下2軸(2本)のロール、及び前後に並んだ複数本のロールのいずれでもよい。なお、一回の圧延で所定の厚さの原料シートを得るのが困難な場合には、圧延を複数回繰り返してもよい。
【0024】
圧延ロールを用いてドープを圧延する場合、圧延ロールに圧力を加える(加圧する)ことが好ましい。圧延ロールに加圧する方法については特に制限はない。例えば、エアーシリンダーや油圧シリンダー等の加圧手段を用いることで圧延ロールに圧力を加えることができる。また、加える圧力については、ドープの粘度によって異なるので、圧力を可変させつつ、最適な条件で圧延することが好ましい。但し、圧延ロールの長さ1cm当たり10kg以下の圧力をドープに加えて圧延することが好ましい。
【0025】
圧延ロールを用いてドープを圧延する際には、5m/min以下の速度でドープを移動させて圧延することが好ましい。5m/min以下の速度でドープを移動させて圧延することで、より均一な厚さに圧延することができる。圧延ロールの回転方向は、ドープの進行方向と同一方向及び逆方向のいずれであってもよい。但し、
図2に示すように、圧延ロール15をドープ20の進行方向と逆方向に回転させると、より均一な厚さに圧延することが可能となるために好ましい。
【0026】
ドープを圧延する際、例えば、圧延ロールに加える圧力を連続的又は段階的に変化させることで、得られる原料シート及び高分子膜の厚さを連続的又は段階的に変化させることができる。また、同様の手法で、得られる高分子膜の表面に凹凸などの模様を付けることもできる。これは、ドープを圧延して得られる原料シートの厚さがほとんど変化しないためであり、流延法などの従来の製造方法では困難である。本発明の高分子膜の製造方法では、高分子材料の高濃度・高粘度溶液であるドープを加圧下で延伸するため、ノズルやダイからドープを均一な厚さで、かつ、ノズルやダイの全幅にわたって押し出す従来の製造方法に比して、装置の設計や操作が容易である。
【0027】
本発明の製造方法によって製造される高分子膜の用途には特に制限はない。具体的には食品分野、化粧品分野、医療分野、工業分野等に用いることができる。なかでも、所定以上の厚みを有することが必要とされる、物理的障壁を原理とする癒着防止膜を製造するための方法として本発明の製造方法は特に有用であり、大量生産にも適用することができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
ポリビニルアルコール(商品名「PVA−217」、クレハ社製)150gを水900mLに添加し、加温してポリビニルアルコールを溶解させてPVA溶液を得た。得られたドープの25℃における粘度は、10Pa・sであった。得られたドープをプレス機に載置し、20kg/cm
2の圧力を負荷して厚さ1mmの原料シートを得た。得られた原料シートを乾燥して、厚さ約350μmのPVA膜を得た。得られたPVA膜の厚さは均一であり、反りもなく、その表面は平滑であった。
【0030】
(実施例2)
キトサン(商品名「ダイキトサンH」、大日精化工業社製)5gを水900mLに分散させた後、酢酸を加え、撹拌してキトサン溶液を得た。得られたキトサン溶液を孔径10μmのステンレス製フィルター(富士フィルター製)に通した後、減圧下で濃縮してドープ400gを得た。得られたドープの25℃における粘度は、18Pa・sであった。得られたドープをPET製のベースフィルム(商品名「FE2000」、フタムラ化学社製、厚さ25μm)上に載置した。また、エアーシリンダーを備えた軸に、モーターにより回転可能なステンレス製の圧延ロール(幅20cm、直径7cm)を装着した圧延装置を用意した。この圧延装置を使用し、ベースフィルム上に載置した状態のドープを10cm/minの速度で移動させて圧延し、厚さ3mmの原料シートを得た。なお、原料シートの厚さは、圧延ロールが装着された軸をエアーシリンダーにより上下させ、ドープに加える圧力を制御することで調整した。得られた原料シートを乾燥して、厚さ40μmのキトサン膜を得た。得られたキトサン膜の厚さは均一であり、反りもなく、その表面は平滑であった。
【0031】
(実施例3)
ヒアルロン酸ナトリウム(フードケミファ社製、菌由来製品)40gを水980mLに溶解させた後、減圧して気泡を除去し、ヒアルロン酸ナトリウム溶液(ドープ)を得た。得られたドープの25℃における粘度は、105Pa・sであった。得られたドープをPET製のベースフィルム(商品名「FE2000」、フタムラ化学社製、厚さ25μm)上に載置した。また、エアーシリンダーを備えた軸に、モーターにより回転可能なステンレス製の圧延ロール(幅20cm、直径7cm)を装着した圧延装置を用意した。この圧延装置を使用し、ベースフィルム上に載置した状態のドープを10cm/minの速度で移動させ、エアーシリンダーにより4kg/cm
2に加圧しながら圧延し、厚さ1mmの原料シートを得た。なお、圧延ロールの回転速度は1rpmに設定した。また、圧延ロールの回転方向はドープの進行方向と同一とした。得られた原料シートを乾燥して、厚さ60μmのヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られたヒアルロン酸ナトリウム膜の厚さは均一であり、反りもなく、その表面は平滑であった。
【0032】
(実施例4)
圧延ロールの回転方向をドープの進行方向と逆としたこと以外は、前述の実施例3と同様にして、厚さ60μmのヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られたヒアルロン酸ナトリウム膜の厚さは均一であり、反りもなく、その表面は平滑であった。
【0033】
(比較例1)
ヒアルロン酸ナトリウム(フードケミファ社製、菌由来製品)20gを水980mLに溶解させた後、減圧して気泡を除去し、ヒアルロン酸ナトリウム溶液を得た。得られた溶液をコーターによりPET製のベースフィルム(商品名「FE2000」、フタムラ化学社製、厚さ25μm)上に2mmの厚さで延展した後、乾燥した。しかし、乾燥途中にベースフィルム上で溶液が不均一となった。また、乾燥途中の膜がベースフィルムとともに反るとともに、乾燥によって溶液(膜)が抜けた部分が生じてしまい、厚さが均一かつ表面が平滑な膜を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、例えば、食品分野、化粧品分野、医療分野、及び工業分野で好適に用いられる厚さ20μm以上の高分子膜を簡便に製造することができる。
【符号の説明】
【0035】
10,15:圧延ロール
20:ドープ
30:原料シート
40:ベースフィルム
50:基台
60:エアーシリンダー