特許第6689085号(P6689085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689085
(24)【登録日】2020年4月9日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】建築用電動シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   E06B9/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-13991(P2016-13991)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-133233(P2017-133233A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】福田 大悟
(72)【発明者】
【氏名】岸本 圭輔
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−143437(JP,A)
【文献】 特開2002−194976(JP,A)
【文献】 特開平11−71977(JP,A)
【文献】 特開2010−95954(JP,A)
【文献】 特開平7−71179(JP,A)
【文献】 特開2007−321409(JP,A)
【文献】 特開2011−94361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/02−9/18
E06B 9/68−9/76
E06B 9/82−9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉作動をする開閉機と、開閉機の開閉駆動のスイッチ操作をする操作スイッチと、開閉機の回転量を検知する回転量検知センサと、該回転量検知センサが接続され、回転量検知センサの回転量検知値に基づいてシャッターカーテンの開閉制御を行う制御部とを備えて構成した建築用電動シャッター装置において、
電源が停電後に復電した場合に、シャッターカーテンの開閉位置に対応する回転量検知センサの回転量検知値を設定するにあたり、前記制御部に、シャッターカーテンの開閉位置を検知する位置検知センサを接続すると共に、制御部には、回転量検知センサの回転量検知値と位置検知センサの位置検知値とをシャッターカーテンの開閉位置に対応して関連付ける検知値関連付け手段と、前記復電したとき、前記位置検知センサの位置検知値に関連付けされた回転量検知値をシャッターカーテンの現在位置の回転量検知値であるとして設定する復電後回転量検知値設定手段とを設けたことを特徴とする建築用電動シャッター装置。
【請求項2】
制御部には、位置検知センサが正常であるか否かの判断をする正常判断手段と、シャッターカーテンがこれ以上上昇させることができない緊急停止位置に達したことの判断をする緊急停止位置検知手段と、該緊急停止位置検知手段からの緊急位置検知信号の入力があるまで上昇させる緊急位置上昇手段と、停電後復電したときに、正常判断手段が正常でないと判断した場合、シャッターカーテンを、緊急停止位置まで上昇させた後、予め設定された回転量検知値だけ降下させ、該降下位置における回転量検知値をリミット設定時の上限回転量値として設定する上限回転量値設定手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の建築用電動シャッター装置。
【請求項3】
緊急停止位置検知手段は、シャッターカーテンの上限位置よりも上位置に設けられ、シャッターカーテン最下端の座板がまぐさ当接することで検知信号を出力するエマージェンシースイッチか前記座板がまぐさに当接することに伴い発生する過負荷を検知する過負荷検知手段の何れかであることを特徴とする請求項2記載の建築用電動シャッター装置。
【請求項4】
回転量検知センサはホールICであり、位置検知センサはポテンショメータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用電動シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入口等の開口部に設けられる建築用電動シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電動シャッター装置においては、シャッターカーテンの開閉位置を、電動の開閉機(具体的には開閉機に内蔵される電動モータのモータ軸等)の回転量を検知する回転量検知センサを備え、シャッターカーテンの開閉に伴い検知される回転量に基づいてシャッターカーテンの開閉位置を検知し、例えばシャッターカーテンの閉作動中において、回転量が全閉位置に相当する値になった場合、開閉機の閉作動を停止するような制御している。
このような電動シャッター装置が停電した場合に、戸締りや出入り等のためシャッターカーテンの開閉操作が必要になることがある。
ところで電動シャッター装置としては大別すると、開閉機とシャッターカーテンが巻装される巻取りドラムとのあいだに断続クラッチが設けられており、そして停電になった場合、断続クラッチを断状態にした状態でシャッターカーテンの開閉作動を手で行うタイプ(バランス式)のものと、停電になった場合、開閉機を操作具(例えばハンドルやチェーン等)を用いて強制回転させてシャッターカーテンの開閉作動をするタイプのものとがある。
このように何れのタイプの電動シャッター装置のものにおいても、停電時にシャッターカーテンを開閉作動したような場合、復電後、回転量検知センサの検知した回転量とシャッターカーテンの開閉位置とが相違することになり、このため、この補正をする必要がある。そこで復電後、初めて開閉何れかの操作スイッチが操作されたとき、一旦シャッターカーテンを上限位置(原点補正位置)まで移動させ、該位置にて回転量検知センサの原点補正をするようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−71179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものは、例えば原点補正位置が上限位置に設定されたものとした場合に、停電時においてシャッターカーテンを半開位置まで開閉操作した状態で復電した後、シャッターカーテンを閉鎖させるべく閉操作スイッチを操作した場合に、これが復電後の最初のスイッチ操作であるため、シャッターカーテンは閉作動ではなく、逆の開作動をして上限位置に至ることになり、このため操作者は戸惑うことになって故障と勘違いしてしまうような問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉作動をする開閉機と、開閉機の開閉駆動のスイッチ操作をする操作スイッチと、開閉機の回転量を検知する回転量検知センサと、該回転量検知センサが接続され、回転量検知センサの回転量検知値に基づいてシャッターカーテンの開閉制御を行う制御部とを備えて構成した建築用電動シャッター装置において、電源が停電後に復電した場合に、シャッターカーテンの開閉位置に対応する回転量検知センサの回転量検知値を設定するにあたり、前記制御部に、シャッターカーテンの開閉位置を検知する位置検知センサを接続すると共に、制御部には、回転量検知センサの回転量検知値と位置検知センサの位置検知値とをシャッターカーテンの開閉位置に対応して関連付ける検知値関連付け手段と、前記復電したとき、前記位置検知センサの位置検知値に関連付けされた回転量検知値をシャッターカーテンの現在位置の回転量検知値であるとして設定する復電後回転量検知値設定手段とを設けたことを特徴とする建築用電動シャッター装置である。
請求項2の発明は、制御部には、位置検知センサが正常であるか否かの判断をする正常判断手段と、シャッターカーテンがこれ以上上昇させることができない緊急停止位置に達したことの判断をする緊急停止位置検知手段と、該緊急停止位置検知手段からの緊急位置検知信号の入力があるまで上昇させる緊急位置上昇手段と、停電後復電したときに、正常判断手段が正常でないと判断した場合、シャッターカーテンを、緊急停止位置まで上昇させた後、予め設定された回転量検知値だけ降下させ、該降下位置における回転量検知値をリミット設定時の上限回転量値として設定する上限回転量値設定手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の建築用電動シャッター装置である。
請求項3の発明は、緊急停止位置検知手段は、シャッターカーテンの上限位置よりも上位置に設けられ、シャッターカーテン最下端の座板がまぐさ当接することで検知信号を出力するエマージェンシースイッチか前記座板がまぐさに当接することに伴い発生する過負荷を検知する過負荷検知手段の何れかであることを特徴とする請求項2記載の建築用電動シャッター装置である。
請求項4の発明は、回転量検知センサはホールICであり、位置検知センサはポテンショメータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用電動シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、停電後に復電した場合、回転量検知センサの回転量検知値が、位置検知センサの現在位置の位置検知値に関連付けられた値として設定されることになる結果、停電時にシャッターカーテンを移動させても、復電後、回転量検知センサの正確な回転量検知値の設定が簡単にできることになり、復電後初めて開閉スイッチ操作をしたときにシャッターカーテンが逆作動するようなことが回避される。
請求項2の発明とすることにより、位置検知センサが正常でないと判断された場合に、シャッターカーテンを一旦緊急停止位置まで上昇させた後、予め設定された回転量値だけ下降させ、この下降位置が予め設定された上限回転量値として設定することになり、位置検知センサが故障している場合であっても回転量検知センサによるシャッターカーテンの昇降制御ができることになる。
請求項の発明とすることにより、位置検知センサが故障した場合でも緊急停止位置検知センサを用いることで、現在位置のカウント値の設定が確実になる。
請求項の発明とすることにより、ホールICとポテンショメータを用いてシャッターカーテンの開閉制御ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電動シャッター装置の概略正面図である。
図2】開閉機とセンサとの連結関係を示す要部概略図である。
図3】制御部と連結部材との連結関係を示すブロック図である。
図4】シャッターカーテンの通常の開閉制御手順を示すフローチャート図である。
図5】上下限位置の設定制御の手順を示すフローチャート図である。
図6】ポテンショメータのチェック制御手順を示すフローチャート図である。
図7】停電後、復電時のホールICのカウント値設定制御手順を記すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は電動シャッター装置であって、該電動シャッター装置1は、躯体に回転自在に支持される巻取りドラム2、該巻取りドラム2に巻装されるシャッターカーテン3、該シャッターカーテン3の開閉ガイドをするガイドレール4、巻取りドラム2の開閉作動をする電動の開閉機5等の各種の部材装置を備えて構成され、開閉機5の正逆回転駆動に基づいてシャッターカーテン3の開閉作動をすることは何れも従来通りである。
【0009】
6は前記開閉機5の駆動制御をする制御部であって、該制御部6は、開閉機5に内装される電動モータ7のモータ軸7aの回転量(回転数)をパルス信号として検出するホールIC(本発明の「回転量検知センサ」に相当する。)8からの信号、該電動モータ7に対して減速機5bを介して接続される出力軸5aに例えばギア連結されて該出力軸5aの回転検知をするポテンショメータ(本発明の「位置検知センサ」に相当する。)9からの信号、開、閉、停止の操作スイッチ(無線式、押しボタン式等の何れであってもよく、また両者であってもよい。さらには、通過物を検知して起動信号を出力するセンサ等の出力装置であってもよい。)10からの操作信号、障害物検知センサ11からの障害物検知信号、マグサ部に取付けられ、シャッターカーテン最下端の座板3aが当接した場合にこれ以上のシャッターカーテン3の開放作動を緊急停止させるエマージェンシースイッチ(本発明の「緊急停止位置検知手段」に相当する。)12等、シャッターカーテン3の開閉作動制御に必要な信号が入力するようになっている。そして制御部6は、これら入力した信号に基づいて開閉機5に対して必要な制御信号を出力し、これによりシャッターカーテン3の開閉制御が実行されるようになっていること等も何れも従来通りである。
因みに、ホールIC8は、モータ軸7aに設けた磁石の磁力変化をパルスとして電気的にカウントし、シャッターカーテン3の現在位置をカウント値(本発明の「回転量検知値」に相当する。)として検知するものであるから、停電になった場合にシャッターカーテン3を開閉作動したときに、カウント数はこれに追随して変化することはないが、ポテンショメータ9は、出力軸5aの回転に直接的に接続されているため、停電時にシャッターカーテンを開閉作動させたときこれに追随して抵抗値(本発明の「位置検知値」に相当する。)が変化することになるため、ポテンショメータ9が正常である限り、復電後のデータとしてそのまま利用できることになる。
【0010】
制御部6は、シャッターカーテン3の通常の開閉制御、上下限の設定制御、ポテンショメータ9が正常であるか否かのチェック制御、停電があった後、復電した場合のホールIC8の現在のカウント値及び上下限値設定制御等の各種の制御を実行するように設定されており、以降、これらの制御について説明する。
【0011】
まず、シャッターカーテン3の通常の開閉制御であるが、これはまずシャッターカーテン3が停止状態(S1)において、操作スイッチ10が開操作されたか否かの判断(S2)がなされる。操作されたとしてYESの判断がなされるとホールIC8のカウント値(本発明の「回転量検知値」に相当する。)が上限位置(原点位置)か否かの判断がなされる(S3)。ここで上限位置であるとしてYESの判断がなされると、上昇停止(S4)としてリターンする。一方、前記(S3)においてホールIC8のカウント値が上限位置でないとしてNOの判断がなされた場合、シャッターカーテン3の上昇作動が実行される(S5)。この上昇作動は、ホールIC8のカウント値が上限位置になるまで実行され(S6)、上限位置になったと判断された場合に前記上限停止(S4)になりリターンする。
尚、前記(S5)と(S6)とのあいだには、操作スイッチ10が停止操作されたか否かの判断(S7)がなされ、停止操作された場合は上昇停止(S4)してリターンし、操作がない時には上昇作動が実行(S5)される。
【0012】
一方、前記(S2)において、操作スイッチ10が開操作されないでNOであったが、逆に閉操作されたか否かの判断(S8)がなされ、操作されずNOの判断がなされた場合にはリターンし、閉操作されたとしてYESの判断がなされると、ホールIC8のカウント値が下限位置か否かの判断(S9)がなされ、下限位置であるとしてYESと判断された場合、下降停止をする(S10)。これに対し(S9)において、下限位置でないとしてNOと判断された場合、シャッターカーテン3の下降作動を実行される(S11)。この下降作動は、ホールIC8のカウント値が下限位置の値になるまで実行(S12)され、下限位置になったと判断された場合に下降停止をする(S10)。
尚、前記(S11)と(S12)とのあいだには、操作スイッチ10が停止操作されたか否かの判断(S13)と、障害物検知スイッチ11から障害物検知信号の入力があったか否かの判断(S14)がなされ、停止操作信号の入力があった場合、または障害物検知信号の入力があった場合には下降停止をし(S10)、停止操作信号の入力がなく、かつ障害物検知信号の入力がない場合には、下降作動は、ホールIC8のカウント値が下限位置の値になるまで実行(S12)される。
【0013】
次に、上下限位置の設定制御ルーチンについて説明する。尚、この設定制御は、シャッターカーテン3の上下限位置の設定を行うものであって電動シャッター装置1を円滑に作動させるためにおいて大変重要な設定であるので、一般のユーザーが行うのではなく、電動シャッター装置の知識、技術に関して精通した専門の作業者が行う必要があり、そこでこのルーチンには簡単に入れないよう例えば操作スイッチ10について特殊なスイッチ操作(通常使用では考えられないスイッチ操作)をすることで漸く入れるように設定されている。
そしてこのルーチンに入り、操作スイッチ10について開操作をする(S15)。これによりシャッターカーテン3は上昇作動をする(S16)。そしてシャッターカーテン3が上限位置に達したら操作スイッチ10の停止操作をし、シャッターカーテン3を上限位置で停止させる(S17)。因みに本実施の形態においては、シャッターカーテン3が上限位置に達したか否かの判断(後述する下限位置についても同様)は前記作業者が目視にて行う。これで上限位置が決定(S18)されたことになり、このときのホールIC8のカウント値を上限カウント値(原点値)としこれを制御部6に記憶させる(S19)と共に、ポテンショメータ9の抵抗値を上限抵抗値として制御部6に記憶する(S20)。
【0014】
ついで操作スイッチ10において閉操作が行われ(S21)、シャッターカーテン3の閉作動が実行される(S22)。この閉作動において、制御部6は、シャッターカーテン3の位置変化に伴い変化するホールIC8のカウント値とポテンショメータ9の抵抗値とを関係づけて記憶する、つまりホールIC8の一定のカウント数(例えば10パルス)毎にポテンショメータ9の抵抗値を確認してこれを記憶すると共に、この位置変化に伴い変化するポテンショメータ9の抵抗値を基準抵抗値として記憶する(S23)。次いでシャッターカーテン3が下限位置に達したら操作スイッチ10を停止操作しシャッターカーテン3を下限位置で停止させ(S24)、下限位置が決定される(S25)。そしてこのときのホールIC8のカウント値を下限カウント値として記憶する(S26)とともに、ポテンショメータ9の抵抗値(本発明の「位置検知値」に相当する。)を下限抵抗値として記憶し(S27)、これによりホールIC8ポテンショメータ9の上下限値の設定が完了しリターンする(S28)。尚、上限と下限との設定順序は逆であっても勿論良い。
尚、上下限停止位置が決定されるまでは、作業者等の保護のため、シャッターカーテン3の開閉作動は、操作スイッチ10の開閉操作をしているときだけ開閉作動を行う、所謂押切り操作により実行されるように構成されており、このため停止操作は、開閉操作をやめることで実行されるようになっている。
【0015】
次に、ポテンショメータ9が正常であるか否かのチェック制御のルーチンについて説明する。このルーチンは、シャッターカーテン3の通常の開閉作動を行うたびに並列的に実行することが好ましいが、例えば数度の開閉作動のたびに行うよう間欠的に実行するよう設定してもよい。
このルーチンにおいては、まずシャッターカーテン3が開閉作動中であると認識される(S29)と、ホールIC8のカウント値が一定のパルス数となるごとにポテンショメータ9の抵抗値を確認し(S30)、このポテンショメータ9の抵抗値と、前記(S23)で関連付けられた基準抵抗値との差が、予め設定された範囲内であるか否かの判断がなされ(S31)、範囲内であるとしてYESの判断がなされた場合にはポテンショメータ9は正常である(S32)とし、ポテンショメータ9の現在抵抗値とホールIC8のカウント値とを関連付けて(S33)リターンし、範囲内ではないとしてNOの判断がなされた場合にはポテンショメータ9は異常であると判断し、この場合には、ポテンショメータ9のチェック制御を停止する。ポテンショメータ9が異常であると判断された場合に、必要においてこれをブザーや表示灯により表示して報知することもあるが、例えば操作スイッチ10を押切りモードとし、押操作しているときだけシャッターカーテン3の開閉作動が実行されるようにしてもよい。
【0016】
次に、停電があった後の復電時におけるホールIC8のカウント値の復元をするためのルーチンについて説明をする。まず、停電後の復電であるか否かの判断(S35)がなされ、復電であるとしてYESの判断がなされた場合、ホールIC8およびポテンショメータ9の上下限値が設定済みであるか否かの判断(S36)がなされ、設定されていないとしてNOの判断された場合には前述した上下限位置の設定制御ルーチンに移行する。一方、設定されているとしてYESの判断がなされた場合、ホールIC8の現在のカウント値をリセットする(S37)。ついでポテンショメータ9が前回のポテンショメータチェックルーチンにおいて正常であったか否かについて判断(S38)をし、正常であるとしてYESの判断がなされた場合、ポテンショメータ9の現在位置の抵抗値からこれに関連付けられたホールIC8のカウント値を現在値として設定してリターンする。
これに対し、(S38)においてポテンショメータ9が異常であるとしてNOの判断がなされた場合、シャッターカーテン3の開閉操作がなされたか否かの判断(S40)をし、なされたとしてYESの判断がなされた場合、シャッターカーテン3を上昇させ(S41)、エマージェンシースイッチ12からの検知信号が入力したか否かの判断がなされる(S42)。入力したとしてYESの判断がなされると、開作動を停止し、その後、シャッターカーテン3を、予め設定されているカウント値だけ下降させ(S43)。この位置のカウント値をリミット設定時に設定された上限カウント値として設定し、登録をする(S44)。
【0017】
叙述の如く構成された本実施の形態において、停電後、復電した場合に、ポテンショメータ9の抵抗値に関連付けられたホールIC8のカウント値がシャッターカーテン3の現在位置のカウント値として設定されることになる結果、停電時にシャッターカーテン3を開閉移動させたとしても、復電したときにはポテンショメータ9の抵抗値に関連付けられた(対応した)ホールIC8のカウント値が現在カウント値として設定されることになり、このため、復電後、最初に開閉スイッチ操作をしたときに、従来のようにシャッターカーテンが逆作動するようなことが回避され、通常のシャッターカーテン3の開閉作動がすぐに実行されることになり、不自然さがなくなる。
【0018】
また、ポテンショメータ9の抵抗値が、基準の抵抗値に対して予め設定される値以上ずれていて異常であると判断された場合には、ポテンショメータ9が異常であるとしてホールIC8のカウント値とポテンショメータ9の抵抗値との関連付けを停止し、ホールIC8のカウント値によるシャッターカーテン3の開閉制御を行うことになるが、この場合に停電した後、復電した場合には、最初の操作スイッチ10の開閉操作があった場合に、シャッターカーテン3を、エマージェンシースイッチ12による検知信号の入力があるまで上昇させて停止し、この位置から予め設定されているカウント値だけシャッターカーテン3を下降させ、この下降位置のホールIC8のカウント値を上限設定時に設定された上限カウント値として設定することになるため、ポテンショメータ9が異常であってもホールIC8によるシャッターカーテン3の開閉制御を実行することができることになる。
【0019】
尚、上記実施の形態では、ポテンショメータ9に異常がある場合の対処としてエマージェンシースイッチ12を設けたものについて説明したが、これに限定されるものでなく、シャッターカーテン最下端の座板3aがマグサ上端に当接することに伴い発生する過負荷を検知するようにし、これによりシャッターカーテン3が上限に達したものとして判断し、この位置から予め設定されているカウント値だけシャッターカーテン3を下降させ、この下降位置のホールIC8のカウント値を上限設定時に設定された上限カウント値として設定するようにしても本発明を実施することができる。
因みに過負荷検知は、電動モータの電流検知により過負荷検知をするものや、上下限間のストロークを多数の区間として区分し、各区間毎のパルス間隔や経過時間を初回(あるいは正常時)のデータと比較し、所定以上大きくなった場合に過負荷であるとして検知するものが例示される。
また、回転量検知センサとしては、ホールICに限定されるものでなく、インクリメント型エンコーダ、タコジェネレータ等の開閉機(電動モータ等の回転部材)の回転を電気的に検知するものであればよく、位置検知センサとしては、ポテンショメータに限定されるものでなく、アブソリュート型エンコーダ等の移動部材の移動を停電時でも物理的に受けることによりシャッターカーテンの移動量を検知するもので、復電時に移動部材の移動量がそのまま判別されるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、建造物の開口部に建て付けられる建築用電動シャッター装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電動シャッター装置
2 巻取りドラム
3 シャッターカーテン
3a 座板
4 ガイドレール
5 開閉機
6 制御部
8 ホールIC
9 ポテンショメータ
10 操作スイッチ
12 エマージェンシースイッチ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7