特許第6689324号(P6689324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6689324
(24)【登録日】2020年4月9日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】小型の摂取可能なデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/07 20060101AFI20200421BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20200421BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20200421BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20200421BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   A61B5/07 100
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/36
   A61K9/32
   A61K47/10
   A61K47/38
   A61J7/04 Z
   A61J3/07 M
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-134532(P2018-134532)
(22)【出願日】2018年7月17日
(62)【分割の表示】特願2013-503945(P2013-503945)の分割
【原出願日】2011年4月7日
(65)【公開番号】特開2019-22655(P2019-22655A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2018年8月14日
(31)【優先権主張番号】61/416,150
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/321,846
(32)【優先日】2010年4月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505222679
【氏名又は名称】プロテウス デジタル ヘルス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ハフェジ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,レイモンド
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−539047(JP,A)
【文献】 特開2008−183240(JP,A)
【文献】 特開2006−142013(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/019778(WO,A2)
【文献】 特表2006−517827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/07
A61J1/00−19/06
A61K9/00,47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤と関連付けるべく構成されている摂取可能な錠剤を備えており、
該摂取可能な錠剤は、
流体に接して起動すべく構成されている摂取可能なデバイスと、
該摂取可能なデバイスの少なくとも一部に接する錠剤材料と、
前記摂取可能なデバイスの少なくとも一部を囲んでおり、前記薬剤の崩壊中に前記摂取可能なデバイス及び前記薬剤の相互作用を抑制すべく構成されているフィルム
を有しており、
前記摂取可能なデバイスは部分電源を含んでおり、該部分電源は、第1の部分及び第2の部分を有しており、該第1の部分及び第2の部分が流体に接すると電力を発生させるべく構成されており、
前記フィルム、前記錠剤材料が流体に接して膨張する際に膨張の方向を制御することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記フィルムは、ポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルセルロースの内の少なくとも1つを有する可溶性のフィルム材料を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィルムは、前記摂取可能な錠剤の両端に開口を画定する非可溶性のフィルム材料を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルムは、流体と前記摂取可能なデバイスとの接触を遅らせて起動を遅らせることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
空隙を画定するカプセルを更に備えており、
前記摂取可能な錠剤は、前記カプセルの空隙内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、特に医薬品と共に使用するための電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルは、流体に接するとゲル状になる材料から形成されている。摂取可能なデバイスがカプセル内に保持される場合、このようなゲル状の材料は、周囲の流体との接触に依存するデバイスの動作を阻害する可能性がある。例えば、デバイスが流体を通じた伝導を使用して動作する場合に、ゼラチン状の材料の伝導性が低いとデバイスは適切に動作しなくなる。従って、カプセルのゲル状の材料が崩壊する際に、ゲル状の材料がデバイスの構成要素に接しないようにすることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/116718号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更にカプセルは、デバイスと相互作用し得る、又はデバイスに損害を与え得る医薬材料を含んでいる。例えばカプセルが分解する際、医薬材料は、周囲の流体に溶解し、医薬材料を直接囲む流体の化学組成を変化させ、この変化によりデバイスは最適に動作しなくなる可能性がある。カプセルの内容物は、薬剤、賦形剤又は化合物等の材料を含んでもよく、このような材料は、高濃度で溶解した場合、同一のカプセル内に設けられている摂取されたデバイスの動作を阻害する。材料はカプセルが溶解している箇所で溶液に溶解するため、デバイスの周囲は局地的に高濃度となる。腹部の運動と拡散とにより、カプセルの内容物は腹部全体に亘って拡散し、濃度は低下する。この間にデバイスが局所的な高濃度領域で起動すると、デバイスは適切且つ最適に動作しなくなる。
【0005】
また、長期に亘る保管中に医薬材料がデバイスと相互に作用し始めて、デバイスが起動する際に最適な性能を妨げる可能性もある。例えば、カプセル内の製品が酸性であり、電子部品に有害となる場合がある。或いは、内容物が強塩基性であると、電子機器を傷つける可能性がある。更に、カプセルが摂取され分解し始めると、カプセル内の材料又は製品が周囲の流体と相互に作用し始める。
【0006】
従って、デバイスを直接囲む流体環境に存在するカプセルの壁又は他の材料が、デバイスの最適な性能を阻害しないように製造され組み立てられるデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、デバイスが周囲の流体により起動した場合、カプセルの壁及び他の材料がデバイスの性能を阻害することを防ぐための複数の手法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る小型の摂取可能なデバイス及び活性剤を有するカプセルを示す図である。
図2A】本発明の一態様に係る粉末状の賦形剤を有する小型の摂取可能なデバイスを小型の錠剤形態で示す図である。
図2B】本発明の一態様に係るフィルム及び粉末を有する小型の摂取可能なデバイスを小型の錠剤形態で示す図である。
図2C】本発明の一態様に係るフィルムを有する小型の摂取可能なデバイスを示す図である。
図2D】本発明の一態様に係る粉末が接着されている小型の摂取可能なデバイスを示す図である。
図2E】本発明の一態様に係るフィルムを有する小型の摂取可能なデバイスを示す図である。
図2F】本発明の一態様に係る粉末に囲まれたフィルムを有する小型の摂取可能なデバイスを示す図である。
図3】流体に接する前の、小型の摂取可能なデバイス及び活性剤を有するカプセルを示す図である。
図4】本発明に係る崩壊し始めるカプセルの壁と小型の摂取可能なデバイスとを有する、流体に接する初期段階の図3のカプセルを示す図である。
図5】本発明に係る、流体との接触が更に進んだ段階の図4のカプセルを示す図である。
図6】本発明に係る小型の摂取可能なデバイスを作製するための組立ユニットを示す図である。
図7】本発明に係る小型の摂取可能なデバイスを作製するための組立ユニットを示す図である。
図8】本発明に係る小型の摂取可能なデバイスを作製するための組立ユニットを示す図である。
図9】本発明に係る小型の摂取可能なデバイスを作製するための組立ユニットを示す図である。
図10】小型の摂取可能なデバイスを有するカプセルの一端部を示す図である。
図11】小型の摂取可能なデバイスを製造するための流れ工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の教示に従って、小型の摂取可能なデバイス(MID)が賦形剤及びフィルムを使用して作製されてもよい。本発明の様々な態様に従って、2009年9月21日に出願され「部分電源を備えた通信システム」(COMMUNICATION SYSTEM WITH PARTIAL POWER SOURCE)を発明の名称とする米国特許出願第12/564,017号明細書に開示されているような摂取可能な事象マーカ(又はイオン放出モジュール、本明細書では「IEM」)が、MIDを作製するために様々な製造方法を使用して崩壊材料若しくはスーパー崩壊材料及び/又は崩壊性フィルムで覆われてもよい。本発明の様々な態様に従って、MIDは被覆層又は薄層構造を有してもよく、被覆層又は薄層構造はIEMを囲んでおり、カプセルが摂取されるとカプセル内の医薬品又は薬剤からIEMを分離して隔離し、同様にカプセルの壁が崩壊し始めるとカプセル自体からIEMを分離して隔離する。様々な態様において、MID又はデバイスは、ゲルカプセル、他のカプセル又は担体内に活性剤と共に封入され得る。本組成物は活性剤/担体成分を含んでいる。「活性剤」という用語は、固体又は液体等の流体であってもよい組成物であって、医薬的に許容され得る担体中に存在する活性剤のある量、例えば投与量の組成物を参照している。活性剤は例えば、錠剤、カプセル、軟質ゲル、粉末及び他の薬剤形態の医薬品を含んでもよい。
【0010】
図1を参照すると、カプセル10が空隙14に製品12を有している。本発明に基づいて理解されるように、製品12はあらゆる医薬品又は活性剤であってよい。カプセル10の空隙14内に、小型の摂取可能なデバイス(MID)20が更に設けられている。本発明の教示によれば、空隙14はあらゆる賦形剤又は製品で充填されてもよい。カプセル10は、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の材料等の溶解可能な/崩壊する材料から形成されている。カプセル10が摂取され流体に接すると、カプセル10の壁は、流体に接して軟質ゲル状の材料に変化する。
【0011】
図2Aを参照すると、本発明の一態様に従って、IEM24を囲む賦形剤材料22aを有するMID20aが示されている。本発明の範囲は、賦形剤材料22a内に設けられた電子デバイスのタイプにより限定されない。あらゆる電子デバイスが使用されてもよい。更に、本発明の範囲は使用される賦形剤材料のタイプにより限定されない。例えば、本発明の一態様によれば、賦形剤材料22aは崩壊材料又はスーパー崩壊材料であってもよい。材料の例には、クロスポビドン崩壊剤(例えばBASF(ビーエーエスエフ)社のコリドン(Kollidon)(登録商標)崩壊剤)、ポリビニルポリマー崩壊剤(例えばポリプラスドン(Polyplasdone)(登録商標)崩壊剤)、クロスカルメロースナトリウム崩壊剤(例えばアクジゾル(Ac−Di−Sol)(登録商標)崩壊剤)、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばプリモジェル(Primojel)(登録商標)崩壊剤、エキスプロタブ(Explotab)(登録商標)崩壊剤、及びビバスター(Vivastar)(登録商標)崩壊剤)、ポビドン、デンプン及び微結晶セルロースがあるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明の別の態様によれば、MID20aは、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)又はハイドロヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はそれらの混合物等の可溶性のポリマー又はフィルムで被覆されてもよい。これらの機能は、錠剤の分解又は崩壊を更に遅らせ、図1のカプセル10等のカプセルからのIEM24の分離を遅らせるか又は調節することを可能にすることである。フィルム材料の例には、HPC、ポリエチレンオキシド(PEO)、スクロース又はデキストロース等の糖類、マンニトール又はキシリトール等の糖アルコールのいずれか又はそれらの組み合わせが含まれてもよい。フィルム材料には、更なる材料が添加されてもよく、更なる材料として、例えば可塑剤、及び/又はナトリウム、塩化カリウム若しくはあらゆる食用塩化合物を含む塩のいずれか又はそれらの組み合わせが含まれる。従って、本発明の様々な態様に従って、フィルム材料の例には、PEO、糖又は糖アルコールのうちのいずれか1つを有するHPCと可塑剤との組み合わせ、HPCと可塑剤との組み合わせ、PEOと可塑剤との組み合わせ、及び、塩を有する前述の組み合わせのうちのいずれかが含まれるが、これらに限定されない。本発明の範囲はフィルム材料の厳密な化学組成により限定されず、上述のあらゆる組み合わせが、本発明で述べているようにフィルム材料を作製するために使用されてもよい。
【0013】
図2Bを参照すると、本発明の別の態様に従って、IEM24を囲む賦形剤材料22aを有するMID20bが示されている。更に、MID20bは、MID20bの上面及び下面に設けられ、賦形剤材料22aに物理的に接しているか、又は賦形剤材料22aに積層されているフィルム材料32を含んでいる。本発明の別の態様によれば、フィルム材料32は可溶性であり、流体に接して崩壊する。本発明の別の態様によれば、フィルム材料32は流体に接して崩壊しない。本発明の別の態様によれば、図示されているように賦形剤材料22aが端部で露出しているように、MID20bは製造されている。
【0014】
図2Cを参照すると、本発明の別の態様に従って、IEM24を囲むフィルム材料22cを有するMID20cが示されている。本発明の別の態様によれば、フィルム材料22cは流体に接して崩壊する。フィルム材料22cは、例えば、クエン酸トリエチル、グリセロール、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコールの内の少なくとも1つを含む可塑剤と共にポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルセルロースの内の少なくとも1つから形成されてもよく、且つ含んでもよい。
【0015】
図2Dを参照すると、予め形作られた形状の賦形剤材料22aを有するMID20dが示されている。賦形剤材料22aは、材料30を使用してIEM24上に接着されているか又は積層されている。材料30は感圧性の液性接着剤又は乾性接着剤であってよい。賦形剤材料22aは、賦形剤材料22aとIEM24との間に空隙を有するドーム状の形状で示されている。しかしながら、本発明の範囲は、賦形剤材料22aの形状又はIEM24から賦形剤材料22aを分離する距離により限定されない。本発明の他の態様によれば、賦形剤材料22aは、賦形剤材料22aの内面がIEM24の寸法に正確に一致し、賦形剤材料22aの外側がドーム状又は凸状の形状であるように形作られてもよい。製剤製造設備の多くが凸状の対象を扱うように設計されていることを考慮すれば、これは、図1に示したようなカプセル内でのMID20dの取り扱い及び組み立て工程に有益である。
【0016】
図2Eを参照すると、MID20eが、IEM24を囲むフィルム22eを有している。フィルム22eからIEM24を分離する間隙26を有するMID20eが示されている。本発明の範囲は、フィルム22eを形成するために使用される材料のタイプにより限定されない。フィルム22eは図2Bのフィルム32と同様であり、任意の適切な材料から形成されてもよい。任意の適切な材料は、クエン酸トリエチル、グリセロール、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコールの内の少なくとも1つを含む可塑剤と共にポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルセルロースの内の少なくとも1つを含んでいるが、これらに限定されない。本発明の範囲は、間隙26の大きさにより限定されない。本発明の別の態様によれば、間隙26は、フィルム22eの複数の部分がIEM24に接するような最小限度の大きさであってもよい。本発明の別の態様によれば、間隙26は必要に応じて材料又は薬剤で充填されてもよい。
【0017】
図2Fを参照すると、フィルム22fに囲まれたIEM24を有するMID20fが示されている。フィルム22fは賦形剤材料22aに囲まれている。図示しているように、フィルム22fはIEM24に直接接してIEM24を囲んでいる。更にMID20fは、フィルム22fを囲んでフィルム22fに接している賦形剤材料22aを有している。
【0018】
本発明の教示に従って、図2A、2B、2C、2D、2E及び2Fに例として示された様々なMID20の形状は、限定を意図するものではない。例えば、MID20の形状は、本発明の様々な態様によれば、卵形、矩形、又はその中間の形状であってもよく、例えば垂直な側部と凸状の上部及び下部とを有する形状であってもよい。
【0019】
図3、4及び5を参照すると、MID20を有するカプセル10が示されている。カプセル10内に医薬材料、薬剤又は活性剤を含む他の材料が存在してもよい。しかしながら、カプセル10及びMID20の指定したステップを説明するために、これら2つの要素のみが示されている。図3には、保管され流体に接していないカプセル10が示されている。カプセル10が流体に接すると、カプセル10は崩壊し始め、カプセル10の壁が崩れ始めてカプセル10aになる。流体AAが、カプセル10aにより画定された空隙に入り込む。そのため、流体BBがMID20に接する。本発明の一態様によれば、MID20の賦形剤材料が溶解して膨張し始め、MID20の形状が崩れ始めてMID40になる。図5に示されているように、カプセル10に入り込んだ流体AAに更に長い間接した更に進行した段階では、カプセル10の壁は、崩壊してばらばらになってカプセル片10bになる。流体は入り込んで流体BBとしてMID20に接し、その結果、MID20は更に膨張して崩壊し、MID50になる。
【0020】
図6を参照すると、本発明の一態様に従って、MIDを作製する工程が、賦形剤材料60aをプレス62内に入れることを含む。使用される賦形剤材料60aの質量は粉末材料の約0.045gである。しかしながら、本発明の範囲は使用される材料の量により限定されない。IEM24をプレス62に載置する。その後、賦形剤材料60aの質量と同様の追加の賦形剤材料60bを、プレス62内のIEM24の上部に追加する。その後、プランジャー64を使用して圧力を印加し、賦形剤材料を図2AのMID20aのようなMIDに組み立てる。MIDの組み立てに使われる圧力は様々であり、本発明の範囲はこれにより限定されない。IEM24に印加され得る圧力の量に関する公差と組み合わせられた業界基準が決定的要因である。本発明の一態様に従って、一般的な圧力は約1000psiである。
【0021】
図7を参照すると、本発明の一態様に従って、MIDを作製する工程は、プレステーブル72にフィルム材料70を載置することを含む。IEM24をフィルム材料70の上部に載置し、フィルム材料70の別のシートをIEM24の上部に載置する。フィルム材料70は、端70a、70b、70c、70dがIEM24の端を越えて延びるような大きさを有する。その後、サーマルプランジャー74が、フィルム材料70に圧力と熱とを加えて、端70a及び端70bを共に積層して固定する。同様に、端70c及び端70dを共に積層する。
【0022】
図8を参照すると、本発明の一態様に従って、MIDを作製する工程は、プレステーブル82にフィルム材料80を載置することを含む。図6に示した工程により作製されるような内部のMID20をフィルム材料80の上部に載置し、フィルム材料80の別のシートを内部のMID20の上部に載置する。フィルム材料80は、端80a、80b、80c、80dが内部のMID20の端を越えて延びるような大きさを有する。その後、サーマルプランジャー84が、フィルム材料80に圧力と熱とを加えて、端80a及び端80bを共に積層して固定する。同様に、端80c及び端80dを共に積層する。
【0023】
図9を参照すると、図2BのMID20bのようなMID96を作製する工程に、本発明の全体に亘って開示されているフィルム材料と同様のフィルム材料90を図7のプレステーブル72と同様のプレステーブル92上に載置する工程が含まれている。その後、第2のフィルム90をMID20の上部に載置する。その後、サーマルプランジャー94を使用してフィルム材料90に圧力と熱とを加え、フィルム材料をMID20の上部と下部とに固定する。その結果、側端が露出したMID96になる。
【0024】
図10を参照すると、図9のMID96は、本発明の一態様に従って、図1のカプセル10のようなカプセル10の一端部内に設けられている。MID96は、溶解しない又は可溶性ではないフィルム材料90を有している。そのため、流体がMID20に接すると、MID20は膨張してカプセル10の壁をばらばらに砕き、更にMID20内のIEM24をカプセル材料から確実に分離する。
【0025】
図11を参照すると、本発明に係るMID20のようなMIDを製造するか又は組み立てる工程がステップ1110から始まる。ステップ1120では、第1の材料を組立ユニットに追加する。上述したように、粉末状であってもよく又はフィルム材料であってもよい第1の材料を、プレステーブル上に配置されたプレス内に入れる。ステップ1130では、IEM等のデバイスを組立ユニットに載置する。ステップ1140では、第2の材料を追加する。ステップ1150では、材料とデバイスとを固定して組み立てが完了し、MIDが形成される。上述したように、固定が、圧力、熱又は接着剤材料を用いてなされてもよい。本発明の範囲は、MIDを固定して作製するために使用された手法により限定されない。
【0026】
上述したように、フィルム材料は、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース及びクエン酸トリエチルを含むポリマーフィルムのような種々の材料又はフィルムから形成されてもよい。使用できる他のフィルムはあらゆる可溶性のポリマー、可塑剤を含んでいる。フィルム材料は、本発明の一態様によれば、防湿層を与え、IEM又はデバイスの起動を遅らせるために適切な条件下で溶解する。フィルム層は、カプセル材料及びカプセルの内容物の崩壊及び分散に対して、デバイスを周囲の流体にさらすことを十分遅らせるように設計されている。フィルム層は、可溶性の材料、バリア材料(脂質、ポリビニルアルコール等)、加工助剤(可塑剤、接着促進剤等)及び安定剤を有してもよい。更にフィルムは、積層、コーティング液又はスラリーの塗布、及びその後の硬化により製造されてもよい。本発明の別の態様によれば、フィルム又は層は、タブレット成形機等の乾式圧縮を使用して形成されてもよい。
【0027】
カプセル内に設けられ得る種々の活性剤又は医薬品がある。例えば、FDA(米国食品医薬品局)承認薬剤、特許出願又は発行された特許に化学的に開示された薬剤があり、承認薬剤の一部及びジェネリック医薬品としてオレンジブック(Orange Book )に開示された薬剤がある。本発明の教示によれば、このような薬剤のいずれか又はそれらの組み合わせを、デバイスと共にカプセル内に設けてもよい。これらの薬剤は夫々、特有の化学組成のために、使用されるフィルムの分解に加えてデバイスの動作に特定且つ特有の影響を与える場合がある。そのため、フィルム材料として使用される材料のタイプを、使用される製品の化学組成に適合するために変えてもよい。従って、本発明の範囲は、カプセルの内容物と、デバイスの電子部品の周囲のフィルム又は被覆層とのタイプにより限定されない。
【0028】
本発明の別の態様及び利点によれば、フィルム又は被覆層は更に、カプセル内の薬剤とデバイスの構成要素との相互作用を防止しており、そのため、デバイスは、薬剤の有効性を変化させないか、又は影響を与えない。
【0029】
上述したように、様々な崩壊材料が電子部品を囲むために使用されてもよい。例えば、崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウム又はヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性賦形剤であってもよい。更に、開示された様々な層が、使用される材料及びその特性に応じて除去されたり又は組み合わせられたりできることは明らかである。
【0030】
本明細書に記述するように、「摂取された」(ingested)、「摂取する」(ingest)又は「摂取している」(ingesting )という用語は、生体内へのシステムのあらゆる導入を意味するものと理解される。例えば「摂取している」(ingesting )は、製品を口内から下行結腸に単に置くことを含んでいる。従って、「摂取している」(ingesting )という用語は、システムが導電性流体を含む環境に導入されるときのあらゆる瞬間を参照している。別の例では、非導電性流体が導電性流体と混合する状況がある。このような状況では、MIDが非導電性流体内に存在し、2つの非導電性流体及び導電性流体が混合すると、システムが導電性流体に接してMID内のIEMが起動する。更に別の例では、ある導電性流体の存在を検出する必要がある状況がある。このような例では、導電性流体内にあって起動するシステムの存在を検出することができ、従って、夫々の流体の存在を検出する。
【0031】
別の態様によれば、本発明の実施形態は、下記の少なくとも1つに定義され得る。
【0032】
第1項:カプセル内に設けるためのデバイスであって、
摂取可能な要素と、
該摂取可能な要素の少なくとも一部と物理的に連通する材料と
を備えており、該材料は、前記カプセルの少なくとも一部からの前記摂取可能な要素の物理的な分離を崩壊中に促進することを特徴とするデバイス。
【0033】
第2項:前記摂取可能な要素は、摂取可能な事象マーカを含んでいることを特徴とする第1項に記載のデバイス。
【0034】
第3項:前記材料は、崩壊剤を有しており、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン及び微結晶性セルロースの内の少なくとも1つを更に有していることを特徴とする第1項又は第2項に記載のデバイス。
【0035】
第4項:スーパー崩壊剤が、圧力を使用して前記摂取可能な要素に物理的に結合されていることを特徴とする第3項に記載のデバイス。
【0036】
第5項:スーパー崩壊剤が、接着材料を使用して前記摂取可能な要素に物理的に結合されていることを特徴とする第3項に記載のデバイス。
【0037】
第6項:前記材料は、クエン酸トリエチル、グリセロール、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコールの内の少なくとも1つを含む可塑剤と共にポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルセルロースの内の少なくとも1つを有する可溶性のフィルム材料を有していることを特徴とする第1項乃至第5項のいずれかに記載のデバイス。
【0038】
第7項:前記材料は、熱を加えて前記摂取可能な要素に物理的に結合されていることを特徴とする第1項乃至第6項のいずれかに記載のデバイス。
【0039】
第8項:医薬品を有するユニットであって、
該ユニットは、摂取可能であり、流体に接して起動し、
流体に接して形状が崩れ崩壊する壁を有しており、前記医薬品を保持するための空隙を画定するカプセルと、
該カプセルの前記空隙内に設けられた部分電源を有しており、該部分電源が流体に接してデバイスが起動した際に、電流の情報を符号化し得る前記デバイスであり、好ましくは第1項乃至第7項のいずれかのデバイスと
を備えており、
前記デバイスは更に、
前記部分電源の第1の部分を有する第1面と、
前記部分電源の第2の部分を有する第2面と、
前記部分電源の前記第1の部分及び前記第2の部分の間に電気的に連結されており、電流の情報を符号化するための制御部と
を有しており、
前記ユニットは、前記部分電源の前記第1の部分及び前記第2の部分に亘って設けられた材料を更に備えており、
該材料は、流体に接して崩壊し、前記デバイスと前記カプセルの崩壊する壁とを物理的に分離することを特徴とするユニット。
【0040】
第9項:前記材料は、前記デバイスを囲んでおり、前記デバイス自体に固定されて前記材料と前記デバイスとの間に空隙を画定していることを特徴とする第8項に記載のユニット。
【0041】
第10項:薬剤の供給を追跡するためのシステムであって、
空隙を画定するカプセルと、
該カプセルの空隙に設けられており、第1項乃至第7項のいずれかの摂取可能なデバイス、好ましくは第8項又は第9項のユニット内のデバイスを含む小型の摂取可能な錠剤と
を備えており、
前記デバイスは、流体に接して起動し、摂取可能な要素と、前記摂取可能なデバイスの少なくとも一部と物理的に連通する錠剤材料とを含んでおり、
前記システムは、前記小型の摂取可能な錠剤を少なくとも部分的に囲む材料を更に備えており、
前記錠剤材料は、前記カプセルの少なくとも一部からの前記摂取可能なデバイスの物理的な分離を崩壊中に促進することを特徴とするシステム。
【0042】
第11項:前記材料及び/又は前記錠剤材料は、クエン酸トリエチル、グリセロール、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコールの内の少なくとも1つを含む可塑剤と共にポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルセルロースの内の少なくとも1つを有する可溶性のフィルム材料であることを特徴とする第10項に記載のシステム。
【0043】
第12項:前記材料は、前記小型の摂取可能な錠剤の両端に開口を画定する非可溶性のフィルム材料であり、前記錠剤材料が前記流体に接して膨張した際に、前記フィルム材料は膨張の方向を制御することを特徴とする第11項に記載のシステム。
【0044】
第13項:前記フィルム材料は、流体と前記摂取可能なデバイスとの接触を遅らせて起動を遅らせることを特徴とする第11項又は第12項に記載のシステム。
【0045】
第14項:好ましくは、前記デバイスへの損傷を予防して、組み立て中の前記デバイスの取り扱い及び操作と、医薬品の摂取の際の前記デバイスの確実な起動とを可能にするための、前記医薬品内に組み立てる前記デバイスを製造する方法であって、
第1の材料層を準備するステップ、
第1の部分及び第2の部分を有する前記デバイスを載置し、前記デバイスの前記第1の部分を前記第1の材料層に接触させるステップ、
第2の材料層を準備し、該第2の材料層を前記デバイスの前記第2の部分に接触させるステップ、及び
前記デバイスに前記第1の材料層及び前記第2の材料層を固定して小型の摂取可能なマーカを作製するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【0046】
第15項:前記小型の摂取可能なマーカを前記医薬品に物理的に関連付けるステップを更に含み、
前記小型の摂取可能なマーカを前記医薬品に物理的に関連付けるステップは、ゼラチンのカプセル内への前記小型の摂取可能なマーカの組み込みを有していることを特徴とする第14項に記載の方法。
【0047】
第16項:前記デバイスは、第1項乃至第7項のいずれかのデバイスであることを特徴とする第14項又は第15項に記載の方法。
【0048】
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」が、本明細書及び請求項で用いられている場合、文脈が別段に明示しない限り、複数の指示対象を含むことを留意すべきである。更に、請求項がいかなる選択的な要素も排除して記載されていることを留意すべきである。従って、この記述は、請求項の要素の記載に関する「唯一の(solely)」、「のみの(only)」等の排他的用語の使用、又は「否定的な(negative)」限定の使用のための先行記載として機能すべく意図される。
【0049】
当業者が本開示を読むと明らかであるように、本明細書に説明され例示された個々の実施形態は夫々、別々の構成要素及び特徴を有しており、別々の構成要素及び特徴は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の複数の実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されてもよく、又はいずれかの特徴と容易に組み合わされてもよい。全ての記載された方法は、記載された事象の順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0050】
上記の発明は、理解の明瞭化のために、図示及び例示によりある程度詳しく説明されているが、ある変更及び調整が、添付の請求項の趣旨又は範囲から逸脱することなく本発明になされてもよいことが、本発明の教示を考慮すると当業者に容易に明らかとなる。
【0051】
従って、前述の内容は本発明の本質を単に示しているに過ぎない。本明細書に明示的に説明されていないか又は示されていないが、本発明の本質を具体化して本発明の趣旨及び範囲に含まれる様々な構成を当業者が考案することが可能であることは明らかである。更に、本明細書に述べられている全ての例及び条件的な用語は、本発明の本質と、本技術分野を進展させるために本発明者により与えられた概念とを理解する際に読者を支援することを本質的に意図するものであり、このように具体的に述べられた例及び条件に限定するものではないと解釈されるべきである。更に、本発明の本質、態様及び実施形態だけでなく、本発明の具体的な例を述べている本明細書における全ての記載は、本発明の構造的且つ機能的な等価物の両方を含むことを意図するものである。加えて、このような均等物は、現時点で既知の均等物及び今後開発される均等物の両方、すなわち構造に関わらず同一の機能を有する開発された全ての要素を含むことを意図するものである。従って、本発明の範囲は、本明細書に示され説明された例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の請求項により具体化される。
【0052】
米国特許法第119条(e)に基づいて、本出願は、2010年4月7日に出願され「錠剤内の小型の摂取可能な事象マーカ」(MINIATURE INGESTIBLE EVENT MARKER IN TABLET)を発明の名称とする米国仮特許出願第61/321,846号明細書、及び、2010年11月22日に出願され「医薬品を備えた摂取可能なデバイス」(INGESTIBLE DEVICE WITH PHARMACEUTICAL PRODUCT)を発明の名称とする米国仮特許出願第61/416,150号明細書の出願日を優先日として主張しており、上記出願の開示が、参照により本出願に組み込まれる。
【0053】
本出願は、以下の出願、すなわち、(A)2009年9月21日に出願され「部分電源を備えた通信システム」(COMMUNICATION SYSTEM WITH PARTIAL POWER SOURCE)を発明の名称とする米国特許出願公開第2010/0081894号明細書として公開された米国特許出願第12/564,017号明細書、及び(B)2007年10月25日に出願され「起動が制御されている摂取可能な識別子」(CONTROLLED ACTIVATION INGESTIBLE IDENTIFIER)を発明の名称とする米国特許出願公開第2010/0239616号明細書として公開された国際出願第PCT/US12/447,172号明細書に関連しており、これらの出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
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